はじめに
自分を成長させるために、また就職活動の一環として、長期インターンへの参加を考えている方もいると思います。
インターン先にベンチャー企業を考えている方にとっては、最近よく耳にするスタートアップについても気になっているのではないでしょうか。
ベンチャー企業と混同されることの多いスタートアップですが、ここではその違いも含め、スタートアップで長期インターンに参加することのメリット・デメリットについて解説します。
【長期インターンするならスタートアップ!?】ベンチャー企業との違い
「ベンチャー企業」は、新しい技術で小さくはじめた起業間もない企業のことを広く意味する日本だけの言葉です。
さらに「スタートアップ」または「スタートアップ企業」という言葉は、日本でも海外の「startup」「startup company」と同じく、GoogleやAmazon・Facebook・Uberなどの革新的な事業で短期間のうちに成長していく企業を指します。
言葉のイメージからベンチャー企業と混同されがちですが、社員数や創業年数などで定義されない点は同じでも、ビジネスモデルやゴールに明確な違いがあります。
まず日本における両者の違いを押さえましょう。
ビジネスモデル
日本でいうベンチャー企業は、既存のビジネスモデルを自分たちの新しい技術や工夫で、新たに作り直していくことで成長する企業を指します。
たとえば、既存の通信業から拡大していったソフトバンクは、かつてのベンチャー企業から大企業に成長した代表的な例です。
一方、スタートアップは、世の中にまだ存在していない革新的なビジネスを展開していく企業のことを指しています。
それまでの常識を破壊してまったく新しい価値を生み出し、それまで誰も手をつけたことのない新しいアイデアをもとに、世の中に革命を起こし、急激に成長する企業のことを意味しています。
今までに例を見ない業態であるため、はじめは需要もなく「死の谷」と呼ばれる赤字が続くのも特徴です。
Google・Amazon・Facebook・Uberがスタートアップの代表的な例としてあげられます。
ゴール
ベンチャー企業とスタートアップでは、ゴールまでの時間に特徴的な違いがあります。
ゴールとは、具体的にいえば、企業に出資した資金をIPO(株式上場)またはM&A(売却)により回収することです。
そしてこの資金回収を目指すことは「EXIT戦略(出口戦略)」と呼ばれます。
ベンチャー企業は既存のビジネスモデルを小さな資金から始め、長期的に拡大して最終的に大企業のように市場を確立させます。
それに対して、スタートアップでは起業の時点からEXIT戦略を意識して事業を拡大させ、短期的に成長し、IPOやM&Aを目指しているのです。
つまり、ベンチャー企業はEXIT戦略を長期的に見ているのに対し、スタートアップでは起業時点から短期的に見ていることが大きな特徴です。
このゴールまでのスピードも大きな違いといえるでしょう。
【長期インターンするならスタートアップ!?】メリット
長期インターンに参加することは、就職活動を成功に導く近道となるだけでなく、社会に出る準備段階として自らを大きく成長させることが期待できます。
特にスタートアップでの長期インターンは、インターン後にそのままその会社に入社できるケースが多いうえ、スタートアップが短期間に大きく成長を目指す企業であることから、その成長過程に関わることができるかもしれない貴重なチャンスです。
ほかにもスタートアップに特徴的なメリットがあるので紹介しましょう。
経営者と関われる
スタートアップ企業は社員の数が少ないことも多いので、経営者の近くで働けることがメリットの1つといえるでしょう。
社長と顔を合わせる機会がほとんどない大企業とは違い、スタートアップでは経営者の生の声を聞けるので、経営理念や考えを知ることができます。
特にスタートアップは、革新的なアイデアで起業し世の中にイノベーションを起こそうとする企業であるため、経営者はチャレンジ精神旺盛な魅力的な人物であることが多いでしょう。
魅力的な経営者と向き合うことで、影響されることも多く、自分自身を成長させることができるでしょう。
起業に対する姿勢や手法を近くで見て学べるため、将来自分でも起業したいと考えている人には、得られるものが大きい魅力的なメリットです。
裁量権が大きい
スタートアップでは社員やインターン生の人数が少ないため、一人ひとりの裁量権が大きいこともメリットといえます。
裁量権とは、自分の考えによって判断し、処理する権利です。
組織が固まっていないことから、マニュアルや仕事のやり方が決められていないことも多いでしょう。
自分自身で考え、試行錯誤しながら業務を進めなければならない一方、責任をもって仕事をこなすことで成長したい人には大きなメリットです。
「言われたことをただこなすだけの仕事ではやりがいが感じられない」と思う人や、自分のアイデアで挑戦したい人、自分に自信のあるスキルがあって、場合にはそれを試したい人には魅力的なポイントでしょう。
社員であっても、自分の意見が通らないことの多い大企業では得られないメリットです。
【長期インターンするならスタートアップ!?】デメリット
スタートアップでの長期インターンには、メリットも多いですがデメリットもあります。
スタートアップは資金面でも労働力の面でも十分であるとはいえません。
「とりあえずインターンに参加して、さまざまなことを教えてもらおう」と、受け身の姿勢で参加しても得られるものは少なく、長期のインターンであることから、多くの時間を浪費してしまう結果になってしまいます。
スタートアップで長期インターンに参加することを考える場合には、以下で解説するデメリットがあることも理解していなければなりません。
研修が充実していない
終身雇用を前提としていることから、時間をかけて未熟な新入社員から一人前の社員を育てようとする大企業では、新入社員の未熟さはいわば折り込み済みで、莫大な費用をかけて研修が行われます。
これはインターンの場合でも同じで、大企業の場合には丁寧な研修体制が整っていることも多いです。
一方スタートアップでは、大企業と同じような組織体制が確立されていることは珍しいです。
短期間の成長を目指していることや、必要最低限の人数で仕事を回していることも多いことから、インターン生にまで手が回らないということもあります。
常に自ら学び、獲得していく姿勢が必要となります。
また特にスタートアップは、スキルを持ったメンバーで立ち上げているので、社員が全員即戦力であり、インターン生にも即戦力となり得るスキルが要求されがちです。
負担が大きい
スタートアップ企業では、社員やインターン生の人数が少ないということで、一人ひとりの仕事量が大きくなる傾向にあります。
インターン生であっても、ほかの社員と同じように業務に責任をもたなければならないため、自分の社内での業務範囲も、企業活動のサイクルに組み込まれてしまうのです。
業務が忙しい期間は、たとえ大学の試験期間であっても会社を休みにくくなる場合もあり、学業がおろそかになってしまう危険性もあります。
やりがいを感じることができる一方、万が一何かトラブルが生じた場合は、学業を返上して対応をしなければならない場合もあり得ることがデメリットといえるでしょう。
組織が十分でないため、学業に対する会社側の配慮が十分でない可能性もあることに注意しなければなりません。
【長期インターンするならスタートアップ!?】仕事内容
最短1日から2〜3日の短期のインターンとは違い、長期インターンでは3ヶ月から半年、長い場合には数年の場合もあります。
そのため長期インターンでは、企業の中に入って社員の一員として責任をもって業務に携わり、かつ企業の利益に貢献することを期待されます。
経験できる業務は企業によって異なりますが、営業・ライター・マーケティングなどの仕事であることが一般的です。
それぞれどのような業務になるのか、あらかじめ知っておくと安心して参加できるでしょう。
営業
営業するための準備や実際の営業活動を行います。
特に起業してから間もないスタートアップでは、営業力は今後の会社の成長を目指すうえでは重要な課題です。
営業力は、どの会社でも必要とされる能力なので、長期インターンで営業を経験することは大きな財産となるでしょう。
固定の取引先があったり、ある程度会社の業務内容が知られていたりする会社とは異なり、スタートアップの場合は、まだ世の中にない革命的な業態で成長を目指す会社です。
したがって、実績ゼロのところから始めなければならない難しさに加え、その業務内容を理解してもらうまでに苦労がともなうことも予想されます。
営業のインターンの具体的な業務内容については、以下の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
ライター
インターネットが普及した近年では、マーケティングや宣伝広告など、Webメディアを使っての活動は、企業にとってはいわば必須です。
就職活動においても興味のある会社の詳細を知りたい場合は、多くの人がまず会社のホームページを閲覧していることでしょう。
会社のホームページをはじめ、Webメディアで記事を書くのがライターの仕事です。
自社サイトの記事作成に専念するライターもいれば、実際取材に行って、構成から考えて記事を作成するライターもいます。
ライターの仕事にも種類があり企業によってさまざまですが、ライターの仕事は「書く」ことが基本です。
自社ホームページの記事を更新しながら、ほかの業務を行う場合もあります。
マーケティング
マーケティングは、市場のニーズを把握し、そのニーズを満たすために企業が行う活動や戦略のことです。
具体的には、WebページのSEO対策・市場のリサーチ・広報・商品企画などの仕事が該当します。
SEOとは検索エンジン最適化のことで、SEO対策は検索エンジンからの評価が高くなる施策をして、検索された場合の表示の順位を上げることが仕事です。
Webマーケティングでは、Google AnalyticsやGoogle Optimize、Search Consoleなどの技術を学ぶことができます。
しかし企業によっては、SEO対策をはじめ、Web関連の業務を外部の専門の会社に委託している場合もあるので、この分野を経験したい場合は注意が必要です。
ほかにも、市場のニーズをとらえるための市場リサーチの方法を学んだり、発想力を活かして商品企画に挑戦したりできる場合もあります。
くわしくは、以下の記事を参考に理解を深めましょう。
【長期インターンするならスタートアップ!?】インターンの探し方
目指すスタートアップはどのように探したら良いのでしょうか。
スタートアップでは、会社のプロモーション活動を経営者自らSNSで発信している場合が多くあります。
発信内容は、経営理念や社風などのほか採用活動や、インターンの募集を行うこともありますのでホームページのほか、SNSもチェックしてみましょう。
どんなスタートアップが存在するかを調べるためには、スタートアップやベンチャーが参加していることも多い、行政主導のビジネスプランコンテストなどもチェックしてみるのも1つの方法です。
また、就活サイトではインターンを希望している人に向けた、インターン紹介サイトがあるので、参考にしてみてください。
なお、就活サイト以外の方法で応募する場合は、くれぐれも失礼のないように注意しましょう。
まとめ
インターンに参加することは、企業をよりよく知れるだけでなく、自分を成長させることができ、また選考を有利にできるなど多くのメリットがあります。
特に夢のあるスタートアップでインターンに参加することは、大企業に成長していくその一端を、自分も担うことができるかもしれない可能性をもっています。
しかし、スタートアップのすべてが成功するとは限りません。
シナリオ通りに行かない場合もあるということは、頭に入れておかなければなりません。
経営理念や社風が自分に合っているか、そのインターンで得たいものは何かを明確にして参加することが大切です。
自分が活かせるスタートアップ企業を見つけて、長期インターンに参加し、実りある学生生活を送るとともに就職活動を成功させましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート