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はじめに
企業選びの軸は、応募したい企業を決めるうえで譲りたくない、自分にとって指針となる軸のことです。
企業選びの軸を決めることは、自分が就活で何を目指すのか、何を目標とするのか見定めるのに役に立ちます。
ただ「企業選びの軸」といってもなかなかピンとこないものです。
どういったものを企業選びの軸として持つべきなのか、また面接で答えるべきなのか、回答例から考えてみましょう。
- 企業選びの軸についての考え方
- 人との繋がりを軸にするメリット
- 人との繋がりを軸にする際のポイント
- 他の学生と差別化する例文の作り方
- 企業選びの軸について詳しく知りたい人
- 企業選びの軸で他の学生と差別化を図りたい人
- 企業選びの軸がわからない人
- 例文を参考にして企業選びの軸を固めたい人
【人との繋がり:例文】企業選びの軸を質問する企業の目的
企業の面接官が、軸足をどこに置いて就職活動をしているかを質問するのはなぜでしょうか。
企業選びの軸を質問する企業の目的を明確にすることで、面接官を納得させる回答ができるようになります。
仕事選びに明確な基準を持っているか
企業の面接官が自社への志望動機とは別に、企業選びの軸を尋ねるのは、やりたい仕事を選ぶための明確な基準を有しているかを知りたいためです。
たとえば、人の役に立ちたいと保険の営業職を志望する一方で、人と接する仕事が好きだから飲食店の店長候補の職にも応募しているという場合、自分としては興味が分かれているだけで、どちらもやってみたいのかもしれません。
ですが、採用する企業側から見れば、いったい何がしたいのか、何を目指したいのかが定まっていないと思われる場合や自社に来る気があるのか多業種が本命なのかわかりにくいです。
仮に業種をまたいだ場合やチャレンジしたい職種がいくつかあるといった場合も、何を目指して就活をしているのか一つの軸があると納得してもらえます。
人の生活を支える仕事がしたい、大学で学んできた専門知識を活かしたい、新しいモノを生み出す仕事がしたいなど、一番目指したいところを明確にしましょう。
企業選びの軸が自社とマッチしているか
面接官が企業選びの軸を質問するのは、自社とマッチした仕事探しをしているのかを確認したい目的もあります。
顧客の悩みを解決する仕事がしたいと言いながら内勤の事務職を志望することやこれまでにないモノを開発する仕事がしたいと言いながら保守点検をメインとする会社にエントリーしても、なぜ自社を選ぶことになったのかが掴めないことになります。
本当にやりたいことと志望している職種がマッチしていなければ、内定が欲しくてとりあえずエントリーしたのかと思われ、入社しても仕事が合わずにすぐに辞めてしまうだろうと採用されません。
どのような軸がよいのか
ブレがなければなんでもよいわけではなく、どの業界やどの職種でも潰しが利くような汎用性のある軸は避けるべきです。
社会貢献がしたい、自分が成長できる環境だからは、あらゆる業界や職種で当てはまるものです。
業界ならでは、志望する職種ならでは、さらにはその企業だからこその理由が企業選びの軸となっていないといけません。
また、貴社の製品やサービスが好きだから、長く愛用していたからといった消費者目線の軸も望ましくありません。
確かに入社する企業の製品やサービスのファンであることは大切ですが、だから何をしたいのか、何をしてくれる人材なのかを企業は知りたいので、単にファンであるだけでは企業選びの軸とはいえないからです。
価値観の確認
企業側でも自分たちの考えに近い学生がほしいと思っています。
そのために学生がどのような価値観を持っていて、これだけは譲れないと思っていることや大切にしていることは何か気になっているのです。
ここで価値観が大切にしていることと、会社としてのポリシーに相違がある場合は断られる可能性が高いです。
逆に価値観や大雪にしていることに共通点があり、会社にしっかりと貢献してくれそうな学生だと感じると、内定が決まる可能性もグンと上がります。
たとえばチームでプロジェクトを成功させなければならない会社では、仲間意識を大切にしている方やコミュニケーションを普段から意識している学生と相性がいいと思います。
逆にあまり誰かと協力するのは疲れると感じているのがわかると、会社との相性も悪いと感じられるでしょう。
学生の思考に一貫性があるか
面接では1つの質問だけでなく、さまざまなことを聞かれ答えなければいけません。
学生の思考に一貫性があるかどうかを見るために、突っ込んだ質問もされます。
よく聞かれるような志望動機や自己PRでは立派なことを答えていても、いざ突っ込まれた質問でしどろもどろになってしまうと、一貫性に欠けると思われてしまいます。
逆に自分の意志をしっかりと思っていると、深いところまで考えているので案外答えられるものです。
そのため突っ込まれたことを聞かれても、物怖じせず答えられます。
結果、企業側にも本当に自社で働きたいと思っている学生だと感じられ、内定まで進みやすくなるのです。
【人との繋がり:例文】人との繋がりを企業選びの軸にするのはあり?
結論からいうと「人との繋がり」を企業選びの軸にすることは、問題ありません。
社内外の人と関わるうえで人との関わりは切っても切り離せません。
ただし、伝える場合は「なぜ」人との繋がりを重視するのかを説明しましょう。
あなたの過去の経験や価値観を踏まえて説得力のある理由を答える必要があります。
「何となくそう思った」という理由では、考えることができない人だという印象になり評価が悪くなります。
「人との繋がり」の言い換え表現
人との繋がりと一口に言っても、社内か社外どちらの人に対してなのか人により解釈が異なります。
そのため、具体的にどのような人との繋がりが大切か伝える必要があります。
例えば、社内での繋がりを大切にする場合は
・チームワークを大切にしたい
・お互いを高めあえる雰囲気で働きたい
社外での繋がりを大切にしたい場合は
・自分と関わった人を喜ばせたい
・様々な人の生活を豊かにするお手伝いがしたい
などが挙げられます。
あなたの考えや価値観が表れた言い換え表現に変えてみましょう。
ここでも「なぜ」の問いかけが重要です。
なぜチームワークを大切にしたいのか、自分と関わった人を喜ばせたいのか、深堀して考えることであなたの価値観がより明確になります。
【人との繋がり:例文】企業選びの軸があることのメリット
単に面接対策ではなく就活を有利に進めるうえでも、企業選びの軸を用意することは効果的です。
そのメリットは下記3点が考えられます。
・自分の言葉で話せる
・企業選びが簡単に絞れる
・就活が長引かない
企業選びの軸を持っている人は就活生の中でも少ないでしょう。
就活は人生はじめての経験ということで、わからないことだらけです。
だからこそ、何かしら軸を持っている人は有利に就活を進めることができます。
メリットを1つずつ詳しく見ていきましょう。
自分の言葉で話せる
しっかりと軸が定まっていると、なぜその企業を志望したのかを自分の言葉で話すことができます。
ありきたりなセリフではなく、自分の言葉で話すことで企業側からも高い評価を得られます。
なぜなら、ほとんどの就活生が定型文を暗記して面接に挑んでいるからです。
定型文の暗記が悪いわけではありませんが、自分の言葉で話す人と比べると、与える印象が全然違います。
自分の言葉で話せると、企業選びの軸や志望動機、あなたの人柄に一貫性があることを示すことができ、さらに説得力が増したアピールができるでしょう。
企業選びが簡単に絞れる
軸を決める前というのは、さまざまな職業に目がいきます。
そしてどこから考えていいのかわからないので、とりあえず聞いたことがあるような名称の企業ばかりを見てしまうでしょう。
ブランドとしては問題がなくても、本当に自分に合うかどうか心配になってしまうのではないでしょうか。
広く浅く見ているうちは、本当に自分に合う企業を探すのも大変です。
自己分析を行い、こういったものだと自分の力を発揮しやすくやりがいを感じられるというものが見つかると、後はそれに当てはまる企業を見つけるだけですので簡単です。
どんなにブランドとしては魅力がある会社だとしても自分に合わないとわかることで、その企業は選ぶときに除外されています。
いざ本格的に企業を選ぶときには簡単に絞れますので、その後のやらなければいけないこともトントン拍子に進みます。
迷いも少なくなり、効率良く就活を進められるでしょう。
就活が長引かない
企業にこの学生がほしいと思ってもらえない限り、永遠と就活が続きます。
周りの友人たちが内定決まり始め、何で自分だけがこんな目に遭わなければいけないかと思ってしまうでしょう。
就職が決まらないというのは原因があるからであって、自己責任でもあるのです。
この企業で働きたいという熱意が感じられない学生を、企業としてもほしいと思いません。
しかし本格的な就活の前に軸を決めておくと、意思決定にも役立ち即座の判断で就活がサクサク進むようになります。
熱意ややる気も伝わりやすく、早い段階から内定がもらえるようになるのです。
自分の思いも伝わりますし、大学4年生になってから3年生のうちにしっかりと軸を決めていて良かったと実感するでしょう。
【人との繋がり:例文】企業選びの軸を作る前にすべきこと
とはいえ、企業選びの軸を作るのはそう簡単なことではありません。
ここでは効率良く企業選びの軸を作るためのステップとして、3つのステップを紹介します。
一つひとつこなしていくと、徐々に企業選びの軸が見えてくるかもしれません。
自分の中で譲れない軸を作る
まず、「自分の中で譲れない軸」を作りましょう。
「自分の中で譲れない軸」は、あなたが「就職後どういうことがしたいか」「どういう点を重視するか」ということを示すものです。
この場合「人との繋がり」があなたの譲れない軸になるでしょう。
あなたがなぜ「人との繋がり」が譲れないのか、過去の経験と紐づけてみましょう。
具体的なエピソードを用いることで説得力のある軸になります。
例えば、
「自分が◯◯で困っていた時、友人が助けてくれた」
「◯◯ができる人を探していたとき、◯◯さんが紹介してくれた」
といったように、人との繋がりが大切だと思ったエピソードを思い出しましょう。
そのエピソードが、なぜ人との繋がりが大切だと思ったのかも明確にしておくことが大事です。
本音と建前を使い分けよう
企業選びの軸を正直に話すと、給料が高くて休みが多いなどの福利厚生面が気になるという方は意外と多いです。
しかし、そうした福利厚生面に魅力を感じていることをアピールしても企業は学生の入社意欲を評価することはありません。
そのため、就活の場では本音と建前をうまく使い分けることが必要です。
どれだけ福利厚生の整っている企業でも、それは多くある魅力のうちの一つです。
企業に対して自分が働いている姿をイメージさせることが必要なので、就活の場では仕事面でやりたいことがあって志望企業ではそれが可能なこと、また、それが実現できるような福利厚生によるサポート体制が整っているといったことをアピールすることをオススメします。
企業側の求める人物像から軸を修正する
次に、企業側の求める人物像にあわせ、軸を修正しましょう。
というのも、企業にはそれぞれビジョンや求める人物像が異なります。
たとえば、一方ではスイーツの価値を高めるため、よりアーティスティックな人を求めますし、もう一方では新規顧客よりも既存顧客を重視するサポート要員を欲しています。
このように、企業に響くアピールをするには、企業側の求めるものや企業理念、ビジョンなどによって軸を修正していく必要があります。
例えば、あなたが営業職を志望する場合は単に「様々な人と繋がりたい」と伝えるのではなく「様々な人の困っていることを解決したい」「様々な人の生活を豊かにしたい」など、ニュアンスを変えることでより響く回答ができるでしょう。
【人との繋がり:例文】企業選びの軸の答え方
面接で企業選びの軸を聞かれた時に、面接官に良い印象を与えられる答え方というものが存在します。
そこで以下で解説する答え方の三つの構成部分をもとに自分の企業選びの軸を論理的に伝えられるようになりましょう。
1:結論を述べる
面接で「あなたの企業選びの軸を教えてください」と質問された場合、まずは自分が1番重要視している企業選びの軸を一言で述べましょう。
このとき、文章が長いと結局自分が何を軸にしているのか面接官にうまく伝わらない場合があるので、必ず簡潔に述べるようにしましょう。
2:企業選びの軸を持つことになったエピソードを述べる
次にその企業選びの軸を持つことになった背景や理由を述べていきます。
その際に軸を定めることになったきっかけとなる具体的なエピソードを用いることで自分の企業選びの軸に説得力を加えることができます。
3:企業とのつながりを述べる
最後に自分の企業選びの軸と企業とのつながりを述べるようにしましょう。
例えば企業理念や企業の環境、制度と自分の持つ企業選びの軸が重なっていることを述べ、御社でなければならないという強い意思を示すことが大切です。
また、企業選びの軸をもとに、自分が入社してからどう活躍していくかを示せると尚良いです。
【人との繋がり:例文】企業選びの軸の例文
企業選びの軸の答え方を知っても具体的なイメージが少ない方も多いと思います。
そこでここでは先ほど述べた答え方のポイントを踏まえた例文をご紹介します。
例文1:人とのつながりを大事にしたい
私は学生時代に飲食店のアルバイトを2年間続けていました。
よくお店に来店してくれる常連さんや友達と話をするのが好きでした。
また、大学では映像制作の勉強をしていました。
映画などを観て楽しむよりも、それを作る側として人に感動を届けたりすることに魅力を感じています。
そのため、私は映画会社の営業職を志望しています。
今まで大学で映像制作を学んでいたこともあり、製作者の気持ちも理解できる他、営業として多くの人との繋がりを大切にしていきたいと考えています。
例文2:チームワークを大切にしたい
私は「チームワークを大切にする企業」を企業選びの軸にしております。
大学時代は部活動に勤しんでおり、1つの目標に向かってチームワークを高めて努力し、優勝できたことがすごく感慨深い経験でした。
この経験から、チームで大きな目標に向かい、チームで努力することにやりがいを感じるようになりました。
御社に入社したいと思ったきっかけは、インターンシップでの社員の方との会話です。
インターンシップで社員の○○さんが、チームでイベントを成功させたというエピソードを聞き、私の部活動での経験と重なりました。
大学生活のみならず、今後数十年間チームとして働けることにワクワクしています。
チームワークを大切にされている御社で、ぜひ働きたいと考えております。
例文3:地域の人々の生活を支えたい
私の企業選びの軸は「人々の生活を支えること」です。
私は大学では災害ボランティアに参加しており、近所の人々が親戚かどうかに関わらず互いに支え合う姿に感動しておりました。
そこから、自分も誰かに手を伸ばせる存在になりたい、困っている人の救いになりたいと強く思うようになりました。
御社は地域密着で、今後もこの地に根差していこうとされており、私もその一員になりたいと強く思っています。
お客様や近所の方々とコミュニケーションを積極的に取り、より地域に愛されて貢献できる企業になれるよう、私も御社のお役に立ちたいと考えております。
企業選びの軸は、自分が企業選びで重視したいポイントを基本に企業に合わせるのがベストですが、中には聞かれたときに就活軸として言わないほうがよいこともあります。
待遇面を企業選びの軸にしない
給料が高い、福利厚生が充実している、残業時間が短いという待遇は、多くの人が重視しているポイントだと思います。
しかし、それを就活軸にするのは、企業にとって魅力的ではありませんし、ときに仕事内容は見ていないのかと良くない印象を与えることがあります。
企業間で使いまわせる内容にしない
「世の中に貢献できる」「人を笑顔にできる」「やりがいがある」など、まったく触れないまで徹底しなくても内容に具体性がない使いまわしのできる就活軸は避けるべきです。
例えば世の中に貢献できるでも良いですが、なぜ貢献できるのか、本当にその企業でないといけないのかしっかりした理由を添えた上で就活軸として回答しないと「別に自社でなくても良いのでは」とマイナスイメージになってしまうことがあります。
できるだけ使いまわしができる軸は避けるのがベストです。
どうしても軸が普遍的な内容になるようであれば、理由に具体性をつけるように注意しましょう。
まとめ
企業面接では、何をポイントに就活をしているのか、企業選びの軸を問われることがあります。
当たり障りのない内容を話す人もいますが、企業は本当に自社にマッチする人材なのかを知りたいので、ここで普遍的な内容を言ってしまうのは間違い。
自分軸をベースに企業リサーチをしっかりした上で、経験、企業理念、制度など具体性を交えながら就活軸の回答をするように意識しましょう。