みなさんは「お手数をおかけしますが」という言葉を日常生活で使用しているでしょうか?
「お手数おかけします」という言葉は、学生生活では使う場面が少ないため、これまであまり使ったことがない方も多いと思います。
就職活動をするようになって初めて「お手数おかけします」」という言葉を見たり聞いたりした方もいらっしゃるかもしれません。
言葉を覚えるのは素晴らしいことですが、意味や使い方を間違えてしまうと覚えた経験も台無しになってしまいます。
ビジネスシーンでよく使うからこそ、意外と間違って使ってしまっている場合もあるので注意しましょう。
こちらでは、「お手数おかけします」の正しい使い方や意味についてご紹介します。
上司や目上の方に対しも使用できる言葉なので、就職活動中に覚えておくと役立ちますよ!
インターンや社会に出た時のために参考にしてください。
- 「お手数おかけします」の使い方がわからない
- 社会人として必要なビジネスマナーを学びたい
目次[目次を全て表示する]
「お手数おかけしますが」の意味と読み方は?
まずは「お手数おかけします」という言葉の意味について知りましょう!
「お手数おかけします」という言葉は「手間をかけてしまいますが、よろしくお願いいたします」という意味が込められています。
「手数」は「てかず」と「てすう」と言う2種類の読み方がありますが、「お手数おかけします」という言葉は一般的に「おてすうおかけします」と読みます。
この言葉は「手数(てすう)」という単語が込められていますが、手数が指す意味を知っていますか?
「手数」は、「相手のために行うための労力や面倒ごと」という意味ががあります。
そのため、その手数をかけるというのは、「労力やお時間をとらせてしまうかもしれない」ことへの謝罪の気持ちが含まれています。
また「お手数おかけします」という言葉は手数をとらせて何かをしていただく相手に対しての、感謝の気持ちも同時に込められています。
「お手数おかけします」というのは、お詫びと感謝を同時に丁寧に伝えることができるとても便利な言葉です。
就職活動を始めたり、社会人になって働いたりすると、自分だけでは完結しない仕事に出会います。
社内の同僚や社外の取引先に何か依頼する機会も多く、「お手数おかけします」という言葉を様々な場面で使うようになりますよ。
「お手数おかけします」は「おてすうおかけします」と読み、「手間をかけてしまいますが、よろしくお願いいたします」という意味になります!
「お手数おかけしますが」と「お手数をおかけしますが」はどちらが正しい?
結論からいいますと、文法的に正しいのは「お手数をおかけします」のほうです。
「お手数おかけします」は「お手数をおかけします」という文言から助詞を省いたものとなっており、文法的には正しくありません。
しかし、ビジネスの場では「お手数おかけします」という形で頻繁に使われることも多いです。
メールなどの文面では、正しい「お手数をおかけします」を使用したほうが印象も良いでしょう。
一方で、話し言葉ではどちらを使用しても相手に違和感を与えることはないと考えられます。
現代の日本語の会話では、助詞を省いた言い方が一般的になっているからです。
「お手数おかけしますが」の正しい使い方は?
これまでの生活で、「お手数おかけします」という言葉を使い慣れていないと、どう使えばいいか悩んでしまいますよね。
まずは「お手数おかけします」という言葉をどのような場面で使えばいいかを知りましょう!
実際に活用できる例文を用いて使い方をご紹介します。是非、参考にしてください。
相手に依頼するときの冒頭につける場合
「お手数おかけします」というのは、相手に何かを依頼するときによく使われます。
例えば、メールでこんな風に使用します。
先日は弊社にお越しいただきありがとうございました。
お手数おかけしますが、打ち合わせの資料をデータでご送付くださいますか。
何卒よろしくお願い致します。
弊社のサービスに興味をお持ちいただきありがとうございます。
お手数おかけしますが、ご希望内容について詳しくご教示いただけますでしょうか。
ご連絡お待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。
このように「お手数おかけします」の後に、確認や連絡の返事のお願いするような内容を記載して使用します。
2つ目の例文で使われている「ご教示いただけますでしょうか」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃると思います。
「ご教示いただけますでしょうか」という言葉は「教えてもらえますか」という旨を丁寧に伝えたい時に使われる言葉です。
社会に出て先輩や上司、取引先の方に対して使うことが多くなる言葉なので「お手数おかけします」と一緒に覚えておくと便利ですよ。
これらが一般的な使い方になります。参考にしてみてください。
クッション言葉として「お手数おかけします」を使う場合
「お手数おかけします」という言葉は、お詫びや感謝を伝えるだけではなく、クッション言葉としても使えます。
クッション言葉は、依頼内容や確認内容などの用件の前に添えて使用する言葉のことをいいます。
クッション言葉を使うと直接的な表現を和らげて丁寧な印象を与えられます。ビジネスを円滑に進めたいときに活用出来ます。
「お手数おかけします」をクッション言葉として使用するとへりくだった印象を与えることが出来ますよ。
「お手数おかけします」をクッション言葉として使う場合、以下のように使用します。
- お手数おかけしますが、ご記入ください。
- お手数おかけしますが、ご返信ください。
このように「ご記入ください」「ご返信ください」とだけ書くと強い印象を与えてしまいますが、クッション言葉をいれることで丁寧な印象を与えることが出来ます。
「お手数おかけします」は相手への依頼内容を伝える前の冒頭で使用し、丁寧な印象を与えられる!
▼「お手数おかけします」と同様に「お願い申し上げます」も就活でよく使用しますので、一緒に確認しておくようにしましょう。
「お手数おかけします」は目上の人に使っても大丈夫!
「お手数おかけします」という言葉には、相手に手間や面倒をかけることのお詫びや感謝の気持ちが含まれていますが、目上の人に使っても大丈夫な言葉なのか心配な方もいらっしゃると思います。
この言葉は、丁寧な表現になっているので、目上の人や上司、社外の人に使っても全く問題ありません。
また、会社の同僚に使っても大丈夫ですよ。基本的に丁寧な表現になっているので、きちんとした文章の時には、積極的に「お手数おかけします」を文面に入れていきましょう。より相手に敬意を伝えられます。
▼就活生がよく間違う弊社・当社・御社・貴社の使い方。今のうちに正しく使えるように使い方を知っておきましょう。
「お手数おかけしますが」の類語は?
「お手数おかけします」と似た意味を持つ類語はどのようなものがあるかご存知ですか?
メールや手紙は、同じ言葉を繰り返し使用すると読みづらくなることがあります。そのため、ほかの表現も覚えておくと便利です。
これからご紹介する類語は「お手数おかけします」という言葉では伝えきれない、謝罪や感謝の気持ちを伝えたい場面で使えます。
類語の使い方も覚えて、コミュニケーションを円滑に進めましょう!
類語その1.何かを依頼するときに使用出来る言葉は?
相手に何かを依頼したいときに、「お手数おかけします」という言葉以外にどのような言葉が使用できるでしょうか?
こちらでは、「お手数おかけします」の類語や使い方をご紹介します。例文を読みながら覚えましょう!
まず「お手数おかけします」は「お手間をおかけします」という言い換えが出来ます。
「手数」と「手間」は似た意味を指す類語のため、言い換えとして使用することが出来ます。
- お手間をおかけしてしまい、申し訳ございません
- お手間を取らせませんので、○○様のご都合の良い時にお伺いできたらと思います。
このように「お手間をおかけします」は相手に時間を取らせてしまったことを詫びる時などに使用しましょう。
2つ目の例文は、相手に「長い時間をいただきませんので」という旨を伝えたいときに使います。
次に「ご面倒おかけします」という言い換えも出来ます。
手数と面倒は同じような意味を持つ類語のため、言い換えをすることが出来ますよ。
- ご面倒おかけしますが、再度お送りいただけますでしょうか。
- ご面倒おかけしており、恐縮でございます。
「ご面倒おかけします」は謝意という「過ちを詫びる気持ち」や「感謝の心」を示す気持ちも含まれています。
自分のミスや不手際によって相手に手間をとらせてしまうときに「ご面倒おかけします」という言葉を使うと、丁寧な気持ちが伝わりますよ。
また、「ご迷惑をおかけします」を使用する場合もあります。と言い換えることも出来ます。
この言葉も「ご面倒おかけします」と同様、相手にとって、大きな不都合をお願いする場合に使われます。
- ご迷惑をおかけしますが、ご対応のほどよろしくお願いいたします。
- ご迷惑をおかけしており恐縮ではございますが、ご理解いただけますでしょうか。
「ご面倒おかけします」と似た印象の言葉ですが、「ご迷惑をおかけします」は「相手に不利益や不快感を与えてしまったとき」や「相手に迷惑がかかってしまうことを依頼する場合」に使います。
こちらでご紹介した表現以外にも様々な表現があります。
似ている言い換えでもそれぞれ使い方は異なります。その時の場面に合わせた正しい使い方を心がけましょう。
「お手数おかけします」を繰り返し使用するのではなく、類語である「お手間をおかけします」や「ご面倒おかけします」も使用するようにしよう!
類語その2.クッション言葉として使える言葉は?
ビジネスシーンでよく使われる「クッション言葉」として使える「お手数おかけします」の類語はご存知でしょうか?
クッション言葉として「お手数おかけします」以外に使える類語は、このようなものがありますよ。
- 「恐れ入りますが」
- 「恐縮ではございますが」
- 「お忙しいところ申し訳ありませんが」
また、「お手数おかけします」を短縮して、「お手数ですが」という表現もよく利用します。
どの表現もビジネスのやり取りで使用する場面が多いので、覚えておきましょう。
就活で使う場合
「お手数をおかけします」はビジネスの場でよく使われる印象の言葉ですが、就活のシーンでも使用頻度が高いです。
企業など応募先にメールを送る際、確認が必要な書類や内容を添付したときの締めの言葉として「お手数をおかけしますが、ご確認をよろしくお願いいたします。」のように使用します。
「お手数をおかけしますが」を使用することで、相手に対して丁寧な印象を与えることが可能です。
また、物腰を低くお願いすることができるので、相手からしても断りづらい状況を作ることもできるでしょう。
このように就活シーンではもちろん、ビジネスシーンでも「お手数をおかけします」は一種の駆け引きとして使用されることがあります。
正しい言葉は相手に良い印象を与えるだけではなく、対等な立場を築くためのスキルであると考えられますので、メールを送る際は注意を払い、正しい言葉を使うように心がけましょう。
番外編:英語でどう言えばいい?
「お手数をおかけしますが」という非常に丁寧な表現は、日本特有のものであると思うかもしれませんが、英語にも似たような表現は存在します。
下記の3つは覚えておいて損はないものなので、余裕がある人は覚えておくと良いでしょう。
I’m sorry to trouble you, but~ (お手数をおかけしますが…)
I know it’s a big ask, but~ (大変な頼みだとは思うのですが…)
Could you please~? (…してくださいますか)
「お手数おかけしますが」正しく使えているか確認しよう
「お手数おかけします」という言葉は、様々な場面で活用出来るとても便利な言葉です。
文頭につけるだけで、丁寧な印象を与えることが出来ます。ですが、使いやすい言葉だからこそ、誤った使い方をしていないか確認しましょう。
どんな文章にも「お手数おかけします」を使ってしまうと伝えたいことも伝わらなくなってしまいます。
言葉は正しい使い方をすることで初めて相手に伝わります。誤った使い方をしていないか、例文を読みながらチェックしましょう!
「お手数おかけします」は自分に対して使うことは出来る?
「お手数おかけします」というのは、相手に手数をかけるという意味を持ちます。そのため、自分の行動に対して使用すると間違いになりますので、注意しましょう。
例えば、以下のような表現は間違いになります。
- お手数おかけしますが、私が明日お伺いします。
- お手数おかけしますが、書類を送付いたします。
ですが先程ご紹介した例文は、以下のように言い換えれば大丈夫です。
- ご足労おかけしますので、私が明日お伺いいたします。
- 書類を送付いたします。お手数おかけしますがご確認のほどよろしくお願いいたします。
「ご足労おかけしますので、私が明日お伺いいたします。」の「ご足労おかけしますので」は相手に対して「わざわざ来ていただくのは申し訳ないので」という気持ちを伝えたい時に使います。
この後に「お忙しい中恐縮ではございますが、お待ちしております」と加えるとより丁寧になりますよ。
「書類を送付します。お手数おかけしますがご確認のほどよろしくお願いいたします。」は、書類を送付する宛先は自分のためクッション言葉はつけなくて大丈夫です。
相手に送付した書類を確認して欲しい場合は「お手数おかけしますがご確認のほどよろしくお願いいたします。」と付け加えるのが正しい使い方になります。
どうしても「お手数おかけします」の言葉の使い方が分からなくなってしまった時は、「お手数おかけします」の言葉を「誰が行うことに対して使うのか」考えてみてくださいね。
慣れてくれば失敗せずに正しく使うことが出来ます。
相手に「お手数かけさせます」と使うのは正しい?
実際によく見かけるのが、「お手数かけさせます」という言葉です。
手数というのは、あくまで相手の手間や労力という意味です。お手数かけさせますというのは、相手の手間を自分が要求しているような意味合いになるので、避ける必要があります。
この場合は「お手数おかけしてしまいますが」や「お手数おかけしております」と言い換えれば相手に気持ちが伝わりますよ。
「お手数かけさせます」は相手に手間や面倒を押し付ける失礼な表現になるので、注意しましょう。
相手に依頼する際の使い方の注意点
「お手数」とは、相手に面倒をかけてしまうようなことです。
相手にとって面倒ではないことに対して「お手数をおかけします」を用いることは、仰々しいイメージを与えてしまう可能性があります。
>例えば「お手数をおかけしますが、そちらのホチキスを取っていただけますか」のように、相手にとってそれほど面倒ではないことに対して使用するのは控えたほうが良いと考えられます。
このような場合に用いるのは「すみませんが」や「恐れ入りますが」などが良いでしょう。
「お手数をおかけしますが」が使われる簡単な会話例を紹介!
ここからは実際に「お手数をおかけしますが」という言い方が用いられる簡単な会話例について詳しく紹介していきます。
このような場面でどのように活用するのかについて理解しておきましょう。
「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」の例文
こちらの表現は、どちらかに落ち度があるわけではなく、「貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」というニュアンスで使うことが多いです。
A「お世話になっております。
先日はZoomでのミーティングにご参加いただき、誠にありがとうございました。
ご提案いただいたプロジェクトに関する資料をお持ちであれば、ご共有いただければ幸いです。」
B「お世話になっております。
こちらこそ、先日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
資料についてですが、後ほど担当からお送りいたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
A「承知いたしました。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
「お手数をおかけして申し訳ございませんが、ご確認よろしくお願いいたします」の例文
こちらは先ほどとは異なり、多少、謝罪のニュアンスが含まれています。
A「お世話になっております。
本日までに提出をお願いしているフレームワークのですが、何時までにご提出いただけますでしょうか。」
B「大変お待たせしてしまい、申し訳ございません。
ちょうど先ほど完成いたしました。
お手数をおかけして申し訳ございませんが、ご確認よろしくお願いいたします。」
「お手数をおかけしますが、お電話をお待ちしております」の例文
こちらは電話での連絡を依頼する際に利用することが多い文章です。
メールなどでは伝わりにくい内容、またはすぐにでも内容を確認したい場合に利用します。
「お世話になっております。
昨日までにご提出いただく予定の資料ですが、進捗はいかがでしょうか。
完成次第、ご教授いただければ幸いです。
お手数をおかけしますが、お電話をお待ちしております。」
「お手数をおかけしますが」の多用はNG
「お手数をおかけします」はビジネスシーンで頻繁に使われ、口頭やメールの文面でも多用しがちになってしまうほど便利な言葉です。
意味をあまり考えず、テンプレートのように使ってしまう人も多いかと思われます。
丁寧な表現なのですが、頻繁に使用してしまうことで「ご面倒をおかけします」という意味が薄れてしまっては元も子もありません。
また、1つのメールの文面に「お手数をおかけします」という文言が多用されていると、メール自体が冗長になってしまい、何をお願いしたいのかが相手にはっきりと伝わらない可能性もあります。
それではかえって失礼なメールとなってしまいます。
ほかの言葉を用いるなどし、うまく言葉を言い換える工夫が大切でしょう。
【まとめ】「お手数おかけしますが」を使用して人間関係を円滑にしよう!
今回は就活やビジネスシーンでよく耳にする「お手数おかけします」という言葉の正しい使い方や、類語についてご紹介しました。
「お手数おかけします」はご紹介した通り、社会人生活の中で活用する場面の多い言葉です。
相手に手間や労力をかけさせることへのお詫びと感謝の2つの意味合いが込められています。
- 「お手数おかけします」は、「手間をかけてしまいますが、よろしくお願いいたします」という意味である。
- 「お手数おかけします」を多用しすぎると読みづらい文章になるため、類語を用いるようにする。
- 「お手数おかけします」を自分の行動に対して使用するのは間違いである。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート
小玉 彩華
「お手数おかけします」は就職してからもよく使う言葉ですが、正しい使い方を知らずに話す方も多くいらっしゃいます。最低限のビジネスマナーなので、今のうちから正しい使い方を学んでおきましょう!