顧客を相手に仕事をする上で避けられないものの一つがクレーム対応です。
特に顧客と接する機会の多い接客業の場合、クレームに対してうまく対応できれば業務上大きなメリットとなります。
クレーム対応経験を採用担当に伝える場合、具体的なエピソードを提示することが大切です。
そして、クレームへの対応の結果、顧客がどのように満足し、業務上どのようなメリットが発生したのか、何が得られたのかも述べるようにしましょう。
しかし、クレーム対応経験を魅力的に伝えるためにはどうすればよいのか分からない方もいるでしょう。
今回は、ESや面接対策に有利となるクレーム対応の経験を、魅力的に自己PRするコツについて考察していきます。
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【クレーム対応経験で自己PR】そもそも自己PRが聞かれる理由とは?
なぜ企業は面接で、自己PRを聞くのでしょうか。
自己PRが聞かれる主な理由は「強みや弱みを知るため」「経験やスキルを知るため」「人柄や性格を知るため」です。
応募先企業に対して強みを持って活躍できる姿勢を自己PRで伝えれば、採用担当により良い印象を与えられます。
採用担当の関心を高める自己PRを作成するためにも、まずは自己PRが聞かれる理由についての理解を深めておきましょう。
強みや弱みを知るため
自己PRが聞かれる理由は、強みや弱みを知るためです。
企業は自社に貢献してくれる人材を求めています。
つまり、学生が入社したことにより、自社がどのような利益を得られるのか、成長できるのかを考えているということです。
新卒採用の場合、中途採用とは違ってポテンシャルで採用します。
現在持っているスキルよりも、将来活躍できる強みを持っているかどうかを判断しています。
このことから、企業は自己PRを通して、自社と相性の良い学生を探しているのです。
自己PRでは自分の強みや弱みを見られているため、どんなところに強みがあるのか、明確に伝わる文章を心がけましょう。
経験やスキルを知るため
企業が面接で自己PRを聞く理由は、経験やスキルを知るためです。
自己PRでは経験やスキルも見られています。
なぜなら、企業は応募者が入社後、どのように活躍してくれるのかを具体的に知りたいと考えているからです。
自己PRの目的は企業に自分を売り込むことです。
そのため、どのような経験をして、どのようなスキルを身につけたのか、それを将来仕事にどう活かすのかなど、具体的なストーリーを使いながら自己PRするとよいでしょう。
人柄や性格を知るため
また、企業は就活生の人柄や性格を知るためにも、面接で自己PRを聞いています。
企業は能力だけではなく、人柄や性格を含めて採用するかどうかを判断するため、自己PRを通して経験も一緒に聞かれます。
どのような経験をしてきたのか、なぜその経験をするに至ったのか、というストーリーから応募者がどんな人物なのかを探ろうとしているのです。
また、「みんなをまとめられる」という強みでも、先頭で引っ張ってまとめるタイプもいれば、裏でみんなをサポートしてまとめるタイプもいます。
企業は応募者がどのような人柄なのか、できるだけ詳しく知るために自己PRを聞いているのです。
そのため、人柄や性格が伝わるように、「なぜ」の部分を明確に伝えられるようにしておきましょう。
【クレーム対応経験で自己PR】クレーム対応からアピールできる強み3選
クレームは顧客からの不満や問題を伝えられたときに発生するため、就職活動で評価される要素が複数あります。
また、クレーム対応は顧客満足度の向上に繋がるため、クレームに対応する能力がある人材を求める企業も多く存在します。
具体的な強みは、主に「ヒアリング能力」「提案能力」「根気強さ」の3つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.ヒアリング能力
まず紹介するクレーム対応からアピールできる強みは、ヒアリング能力です。
そもそもクレームを入れる顧客は、提供された商品やサービスについての不満があり、怒りの感情を持っています。
そのため、クレーム対応では顧客の話に集中し、問題点を正しく理解する必要があります。
相槌やクッション言葉をうまく使いながら、顧客の声を感謝と誠意をもって受け止めているということを伝えることも重要です。
これらのことから、営業や接客業に欠かせないヒアリング能力に直結します。
2.提案能力
また、クレーム対応の経験で得た、提案能力もアピールできる強みの一つです。
クレーム対応では最終的に事態を収拾させるため、顧客に改善点を提示しなければなりません。
顧客の情報をもとにニーズを把握し、その上で顧客が求めているものをより正確に提案する必要があります。
顧客のニーズにあったものを提案できれば、顧客の満足度も高まります。
また、そこから信頼関係が生まれてリピーターになるきっかけにも繋がるでしょう。
これらのことから、提案能力はあらゆる仕事で「顧客の満足度を高める姿勢」へと繋がります。
3.根気強さ
最後にクレーム対応を行ってきた就活生は、厳しい物言いにも耐えられる根気強さがあるとも予想できます。
企業や採用担当は根気強さを長所とする就活生に対して、努力家や責任感がある、打たれ強いといったことを期待しています。
根気強いことが評価されることは、その性格が成果を出すことに繋がりやすいイメージを与えてくれるからです。
企業で働く上では、成果を出すことを重要視しています。
そのため、クレーム対応経験で得た根気強さをアピールすることで、困難も投げ出さず、仕事を成し遂げてくれると期待されるでしょう。
【クレーム対応経験で自己PR】企業は自己PRで何を重視している?
そもそも企業は学生の自己PRを何に注目して評価しているのでしょうか?
企業は学生のエピソードそのものを評価しているわけではありません。
以下、企業が自己PRにおいて何を重視しているのか説明していきます。
企業はクレーム対応で学生の人柄を見ている
企業はどちらかというと、あなたがどんな経験を積んだのかよりも、その経験で発揮した学生の考え方や動向に焦点を当てているといえるでしょう。
そのため自己PRする際には経験よりもそのとき何を思ったのか、どのような行動をとったのかが重要となるわけです。
自分らしさをアピールするにはどのようなエピソードが伝わりやすいでしょうか。
自分のクレーム対応経験で自分がどのような理由からどのような行動をとったのか、もう一度整理して自己PRを作成しましょう。
クレーム対応から自分の人柄を上手に伝えよう
先にも述べた通り、企業は学生のエピソードそのものよりもエピソードを通して学生の人柄を見ているのです。
ただ実績の大きさだけで自己PRに使用するエピソードを決めるのはやめましょう。
自分の性格や資質がわかりやすいエピソードの方が実は企業からの印象もいいかもしれません。
自身の問題解決力や論理的思考力など、アピールポイントを決めて魅力的な自己PRを作成しましょう。
【クレーム対応経験で自己PR】クレーム対応経験をさらに魅力的に伝えるコツ
クレーム対応の経験はどのように伝えると魅力が伝わるのでしょうか?
他の学生と差をつけるにはどのようなことを意識すればいいでしょうか?
以下ポイントを確認して自己PRをよく考えてみてください。
クレーム対応での成果を明確に
クレーム対応の経験を、さらに魅力的に思わせるコツは「成果」をしっかりと説明することです。
「私はクレーム対応の経験があります」と主張するだけでは事実を述べているだけであり、自己PRとはいえません。そこで、「クレーム対応を行った結果として顧客はどう満足し、アルバイト先にどんなメリットがもたらされたか」まで伝えましょう。以下、例文です。
私は服屋でアルバイトしているとき、「洗濯したら服が縮んだ」というクレーム対応を行いました。
そのとき、お客さんには誠心誠意をこめて「相性の悪い洗剤を使ったこと」「タグに注意書きがあったこと」を説明し、理解してもらえました。
結果として、アルバイト先の常連客を失わずに済み、店長からも感謝を受けました。
エピソードはできるだけ具体的に伝える
自己PRで伝えるエピソードはクレーム対応に関わらず、具体的に説明する必要があります。
企業は学生とは初対面ですので学生の経験がどうしても漠然としか理解できないからです。
自身の経験がせっかく魅力的でも詳細で伝わりやすい説明ができなければ魅力は十分に伝わりません。
自分の持っている経験や性格を十分に理解してもらうためには企業ができるだけ想像しやすいように具体的な説明をすることがカギになります。
クレーム対応の経験では「相手の立場」も考慮する
クレーム対応の経験は、確かに魅力的な自己PRポイントですが、伝え方を間違えると面接官の評価を落としてしまうリスクもあります。
たとえば、「相手の立場」を考えていない伝え方をした場合です。
まるで、クレームの相手を悪者のように扱い、「自分の能力によって撃退しました」と結論付ける自己PRをしてしまうと、面接官は「この人はお客さんの立場になれない人だ」と捉えるでしょう。
クレームが届いたからには、店や企業側にも落ち度があった可能性が大きいのです。
まずはお客さんの立場になって考え、親身になって対応できたかを面接官は気にかけています。
クレーム対応経験を自己PRするときには、お客さんの存在を無視しないように客観的なエピソードを語りましょう。
【クレーム対応経験で自己PR】クレーム対応を自己PRするときの注意点
クレーム対応を自己PRにする際、何を意識すればいいでしょうか。
せっかくのクレーム対応経験を最大限魅力的に伝えるためには前述のポイントに加えて以下の注意点も念頭に入れておきましょう。
企業のニーズに合わせた自己PRを心掛けよう
自己PRで重要なのは、「面接官が聞きたいこと」を話す点です。
どんなに興味深いエピソードを語ったとしても、企業の仕事内容や理念から外れていれば、面接官の印象には残らないでしょう。
クレーム対応の経験には、人間が成長できるさまざまな教訓が含まれています。
就活生は志望する職種に合わせて、活かせる教訓を面接官に伝える必要があります。
営業であれば「コミュニケーションの大切さ」が教訓になりますし、企画系であれば「顧客の声を反映させる必要性」が教訓になるでしょう。
販売系なら「ミスを犯した後にフォローする重要性」というように、企業で活かせる教訓を学んだとしっかりアピールしましょう。そうすれば面接官の心に深く残る自己PRが完成します。
入社後に活かせることをアピールしよう
自己PRは自分の性格を企業に理解してもらうために行います。
そのためどうしても過去の経験について多く語りがちになるでしょう。
過去に充実した経験を積んできたことは決して悪い印象は与えません。
しかし、それに加えて将来性もアピールできると企業からの評価はさらによくなります。
過去の経験を今後にどう活かしていくかを明言できると入社後の活躍も期待されるはずです。
自身が経験から得てきたものを今後と結びつけて考えましょう。
エピソードそのものよりも成長に焦点を当てる
再三言っておりますが、企業はエピソードを重視しているわけではありません。
企業はエピソードよりもそこから見える学生の人柄を重視しています。
自己PRを作成するにあたって、自身の経験よりもそこから考えたことや学んだことに焦点をおいて内容を考えましょう。
【クレーム対応経験で自己PR】クレーム対応の自己PR例文3選
これまでの説明で、クレーム対応経験が就活に役立つことは理解できたでしょう。
しかし、実際に自己PRを考える際、どのように作成したらよいのかわからない方も少なくありません。
そこでここからは、クレーム対応からアピールできる強みで紹介した3つの能力に分けて自己PRの例文を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
1.ヒアリング能力をアピールする例文
私は学生時代より飲食店のアルバイトをしていました。
飲食店では、時間帯責任者という職位で、その時間帯のリーダーを務めていました。
私の主な仕事は、スタッフのシフト調整や社員とのやり取り、その時間帯のクレーム対応でした。
中でもクレーム対応はさまざまなお客様のクレームを聞いて対応することで、改めて相手の話をしっかりと聴いて困りごとを理解し、適切な回答を行うことの大切さを学びました。
お客様の意見を最後まで聞き、誠心誠意お詫びの気持ちを伝えることで、怒っていたお客様が最後には笑顔で帰宅され、また後日お店に来てくれた時にはとてもやりがいを感じました。
御社で採用して頂いた際には、この経験から学んだことを活かし、真摯にお客様の声に耳を傾けることを意識して顧客満足度を高めていきたいと考えております。
2.提案能力をアピールする例文
私は学生時代、コールセンターのアルバイトをしていました。
商品が破損したため交換できないかと電話を受けましたが、保証期間が過ぎており、無料で交換することができませんでした。
どうにか交換できないかと考えて調べていくうちに、低予算で修理が済むプランを見つけました。
そのことを伝えると、不満を抱えていたお客様に嬉しかったと感謝されました。
お客様の立場に立ち、満足のいく提案ができれば、多くの問題は解決すると思いますので、この能力を活かし、貴社に貢献できるように努力する所存です。
3.根気強さをアピールする例文
私の強みは根気強さで、何事も途中で投げ出したくないと考えています。
ショッピングモールでコスメを担当していましたが、ある時にお客様から「使っていたら肌がかぶれた」というクレームがありました。
多くのクレームは使用する際の注意を守らなかったり、事前にパッチテストを行わなかったりすることが原因ですが、まずはお客様が納得できるように真摯にお客様の声に耳を傾けました。
内容をしっかり聞いてまずは謝罪し、確認するべきポイントを伝えた上で正しい使い方をお伝えしました。
若干納得いかない感じがあったため、お客様が納得できるよう根気強く説明したら納得してもらえ、最後は笑顔で帰宅されました。
御社でも目標を達成するために何が必要かを考え、根気強く仕事に取り組んでいきます。
【クレーム対応経験で自己PR】クレームで魅力的な自己PRをしよう
クレーム対応は責任感があり、また論理的に説明するため冷静である必要がある印象を与えます。
また、クレーム対応は皆ができることではありません。
経験としてはとても貴重です。
さらに職業によっては重視される能力の一つともなりえます。
自分の性格を知ってもらうために自分の魅力が何であるか、どのようにアピールするべきかをよく考えて、企業に好印象を与えましょう。
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