新卒の就活でも人気の高い業界のひとつが食品業界です。
毎年の就活人気企業の上位に、食品・飲料企業がランクインされ、常に競争の激しい業界のひとつとなっています。
新卒を始め、就活中の人にとっては憧れの企業のインターンシップで業界の中身を知り、活動に拍車をかけて内定を目指したいものです。
その前に、まずはインターンシップを勝ち取ることが大切で、その鍵になるのが志望動機です。
そこで、採用担当者の意識を引き寄せる志望動機の書き方とコツを見ていきましょう。
食品業界とは
食品業界とは食品の生産、加工、流通、販売、そしてサービス提供に関連する全ての企業や組織の総称です。
非常に幅広く、多岐にわたる活動を行います。
農業や漁業などの一時産業から、商品を加工する製造業、流通を担当する物流業、そして消費者に直接販売する小売業や飲食サービス業まで多岐にわたる業種があります。
人々の生活に欠かせないものであり、毎日の食卓に並ぶ食品はこの業界の努力によって提供されているのです。
食品業界の分類
食品業界は大きく分けると4つの種類に分けられます。
自分がこれからどのような業種で働くことになるか検討するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
第一次産業
第一次産業は、食品製造に用いる原料を生産する企業であり、農業や漁業、酪農、畜産などが含まれます。
農業は米、野菜、果物などの作物を栽培する活動で、食品の基本的な原材料となります。
漁業は海や川で魚や貝類を捕獲、養殖する活動で、酪農や畜産は牛や豚、鳥などの家畜を育てて乳製品や肉製品を生産する活動です。
自然環境との調和を保ちつつ、持続可能な方法で行われることが近年のトレンドとして挙げられます。
商社
商社は第一次産業で生産された原料を買い取り、食品メーカーに販売するのが仕事です。
商社は原産地から消費地までの物流を担い、原材料の品質管理や供給の安定化を目指しています。
商社の役割は単なる仲介にとどまらず、市場の需要と供給を見定め、価格の調整や輸出入業務を行うことも重要な役割の1つです。
これにより、食品メーカーが必要な原料を適切な時期に入手できるようサポートしています。
食品メーカー
食品メーカーは、第一次産業や商社から買い付けた原料を加工して、消費者に届けられる食品を作る企業です。
多様な加工技術を駆使して、原材料を安全でおいしい食品に変える役割を果たします。
例えば、野菜を洗浄しカットして冷凍食品に加工したり、牛乳を発酵させてチーズやヨーグルトを製造したりが業務です。
また、食品メーカーは品質管理や衛生管理にも力を入れており、消費者が安心して食べられる製品を提供することを目指しています。
小売店、飲食店
小売店や飲食店は、食品メーカーから購入した製品を消費者に提供する企業です。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、レストランやカフェなどが該当します。
小売店は消費者が日常的に利用する場所であり、多様な食品を取り揃えています。
飲食店は調理された食品を提供し、外食の機会を提供するのが仕事です。
このような店舗は、消費者のニーズやトレンドに敏感で、時代の変化に応じた商品やサービスを提供することが求められます。
食品業界の現状
食品業界の現状は多くの課題と変革の期間に直面しています。
まず、新型コロナウイルスのパンデミックにより消費者の外食頻度が減少し、食品業界全体は一時大きな影響を受けました。
レストランやカフェなどの外食産業は特に打撃を受け、多くの店舗が閉店や営業形態の変更を余儀なくされました。
家庭での食事需要は一定数増加し、スーパーマーケットなどの需要は増加しましたが、全体的な市場の動揺は避けられませんでした。
また、原材料の高騰も食品業界において大きな課題です。
天候不順や国際的な物流の困難、地政学的なリスクなどが原因で農作物やその他の食品原材料の価格は上昇しています。
消費者や食品業界はコスト削減や効率化のための新たな戦略を模索する必要に迫られています。
また、SDGsへの取り組みを積極化しているのもトレンドの1つです。
環境への配慮、食の安全性の向上、サプライチェーン全体での持続可能性の確保も求められています。
このように、食品業界は近年不安定で多くの課題を抱える一方で、変革の機会も広がっています。
インターンを募集している職種
続いて、食品業界においてインターンを募集している職種について詳しく紹介します。
様々な職種においてインターン生を募集していますが、代表的なものは以下の4つです。
ぜひ、気になる職種があれば、どのような業務を行うものなのか確認してみてください。
営業
営業職は自社で製造・加工した食品などを他の企業に対して販売する役割を担います。
自社の製品の特徴などを深く理解した上で、顧客に対して魅力的に伝えることが重要です。
小売店やレストラン、ホテル、病院など多岐にわたる顧客が存在し、新規顧客の開拓と既存顧客との関係維持の両方を行い、製品の導入を促進します。
また、市場動向や競合他社の動きを常に把握し、それに基づいて販売戦略を立案することも営業の仕事です。
商品企画
商品企画職は市場調査を行い、消費者のニーズに合った商品を企画する役割を担います。
まず市場のトレンドや消費者の志向を詳細に分析し、アンケート調査やデータ分析、競合他社の製品研究などを通じて得られた情報をもとに新商品のコンセプトを立案します。
その後、製品の具体的な仕様、デザイン、パッケージ、価格設定などを決定し、製造部門やマーケティング部門と連携しながらプロジェクトを推進するのが仕事です。
研究開発
研究開発は食材の持つ効能や機能を研究して新しい食品の開発を行う役割です。
食品の成分や栄養価、風味に関する詳細な分析を行うだけでなく、新しい商品や飲料のレシピを考案し、試作を繰り返すことも仕事の1つです。
また、食品の安全性や品質管理にも細心の注意を払う必要があります。
例えば防腐剤の使用を最小限に抑えつつ保存性を高める方法を研究したり、アレルゲンを含まない新しい成分の開発を行ったりします。
近年では消費者の健康志向に応えるために、機能性食品やスーパーフードを取り入れた製品開発が求められているのもトレンドの1つです。
生産管理
生産管理職は工場の生産ラインを最適化するための人員や機械をマネジメントします。
まず生産計画を立案して、計画に基づいて人員配置や機械の稼働スケジュールを調整します。
また、効率的な生産体制を構築するために常に工場の現場を監督し、問題が発生した際には迅速に対応するのも仕事の1つです。
そして生産ラインの効率を向上させるための改善提案も行い、新しい技術や機械の導入も検討します。
また、品質管理も生産管理の重要な業務の1つです。
製品の品質を維持し、規格に合った商品を安定して生産するために定期的な検品や検査も行います。
食品業界のインターンシップの内容
続いて、食品業界のインターンシップの内容についても紹介します。
食品業界のインターンシップは以下の4つのステップで行われることが多いです。
会社の事業説明
まずインターンに参加したら、会社の事業説明が始まることが多いです。
会社の事業説明では、その企業がどのような食品を扱っているのか、どのようなビジネスモデルで運営されているのかの詳しい説明をされます。
食品業界は非常に幅広く、各企業の取り扱う商材やビジネスモデルが大きく異なります。
したがって、この事業説明を通じて企業の全体像を理解し、自分がどの分野でどのように貢献できるか見極めることが重要です。
この段階で得た知識はインターンシップ期間中だけでなく、後の選考プロセスでも役立つため、覚えておきましょう。
工場見学(社内見学)
次に工場見学を行うことが多いです。
特に食品メーカーの場合は工場見学がメインとなります。
この見学では、企業の看板商品がどのような過程で生産されているかを実際に確認できます。
生産ラインの効率性や衛生管理の徹底ぶりを確認できるため、現場のイメージを具体的につかむことも可能です。
また、工場見学を通じて企業の技術力や品質管理の重要性を実感し、食品の安全性や美味しさを支える裏側の努力を理解できます。
工場見学で学んだことは志望動機などに盛り込むと良いでしょう。
グループワーク
その後、グループワークが行われます。
グループワークでは新商品の開発ディスカッションなど、身近で興味深いテーマが設定されることが多いです。
参加者は意見を出し合い、アイデアをまとめて他のグループや社員に対してプレゼンテーションを行います。
この過程を通じて、チームワークやコミュニケーション能力、そしてプレゼンテーションスキルを磨けます。
また、異なる視点や考え方を持つ他の参加者との意見交換は、自分自身の視野を広げ、新たな発見や学びを得る重要な機会となります。
社員からのフィードバック
最後に社員からのフィードバックがあります。
フィードバックではグループディスカッションに対する振り返りや、社員と一対一で話す機会が設けられることが多いです。
ここで得られるアドバイスや指摘は自己改善のための貴重なヒントとなるでしょう。
さらに、インターンシップ期間中に優れた成績を残した参加者には早期選考の案内がもらえることもあります。
これにより、インターンシップが将来のキャリアにつながる可能性が高まります。
このように、食品業界のインターンシップは業界理解を深め、実践的なスキルを習得する絶好の機会といえます。
食品業界のインターンシップが人気な理由
食品・飲料業界に就職を希望する人の中には、さまざまな理由や憧れ、夢を抱いている人もいるでしょう。
食品・飲料業界企業が、人気企業の上位にいつも入っているのには色々な理由が考えられますが、そのひとつが人間の生活に欠かせない衣食住のうちの食を供給する業界だからというのは言うまでもありません。
さらに食品・飲料は消耗品であり、常に供給と需要のバランスが成り立つため、企業としての将来性、展望も比較的明るい要素があります。
食に対するこだわりや嗜好は、みなそれぞれが持っているものです。
食品・飲料は日常生活に深く関わる業界のため、昔から好きだった食品の企画・製造に関わりたいという就職希望者も多くいます。
人間の生活に深く関わりのある業界だからこその安定した企業経営と企画や製造という発展的業務への希望が、常に高い人気を誇るゆえんでしょう。
食品業界のインターンシップの特徴
続いて、食品業界のインターンシップの特徴についても理解しておきましょう。
どのような特徴があるのかについて踏まえておくことで、インターンシップの募集が始まるまでにしっかりと対策ができます。
実施時期
実施時期は他の多くの業界と同様に、8月から9月の夏休み期間に集中しています。
これにより、大学生が学業の合間を利用して参加しやすくなります。
しかし、秋や冬にもインターンシップが実施される場合も多いです。
したがって、特に第一志望の企業がある場合は、その企業の採用ページをこまめにチェックすることが重要です。
企業ごとに実施時期が異なるため、最新情報を収集し、エントリーのタイミングを逃さないようにすることがインターンシップ成功の鍵です。
また、企業の採用ページではインターンシップの詳細なスケジュールや応募方法が掲載されていることが多く、事前に準備を整えられます。
インターンの期間
インターンの期間は、食品業界では主に短期インターンが中心です。
1Dayから1週間で行われるプログラムが一般的であり、学生が気軽に参加できるように設計されています。
短期間で企業の業務内容を体験し、食品業界の特性や仕事の流れを理解できるように構成されているのです。
一方、長期インターンシップはあまり実施されていませんが、ベンチャー企業などは実施することもあります。
より深い業務経験を積むことができ、自分のキャリアに対する理解を深められます。
企業との関係を築く絶好の機会であるため、もし気になる企業が長期インターンシップを実施している場合は、ぜひ参加するようにしましょう。
オンライン実施の企業も増えている
オンラインでインターンを実施する企業が増えていることも、コロナ禍の影響で大きな変化を遂げた点です。
以前は対面でのインターンシップが主流でしたが、現在ではオンラインでの実施が一般的となっています。
これにより、倍率が非常に高かった対面形式のインターンシップに比べて参加枠が増え、参加しやすくなっていると考えられます。
オンラインのインターンシップでは、ビデオ会議システムを利用して企業の事業説明やグループワークを行い、リモートでの仕事の進め方を学べます。
食品業界のインターンシップに参加するメリット
続いて、食品業界のインターンシップに参加するメリットを大きく分けて3つ紹介します。
どのようなメリットがあるのか理解した上で取り組むことで、インターンシップの効果を最大化できるため、ぜひ参考にしてみてください。
業界理解・企業理解が深まる
業界理解や企業理解が深まるのが、食品業界のインターンシップに参加する最も大きなメリットの1つです。
インターンに参加することで、社内に入るだけでなく、働いている社員の方々から話を聞けたり、業務体験ができたりと、業界理解・企業理解が非常に深まります。
これはあなたがその企業に入社するかどうかの判断材料にできるだけでなく、志望動機に学んだ内容を加えられるのも大きなメリットの1つです。
インターンに参加して企業や業界についての理解を深め、他の就活生に差をつけましょう。
本選考につながる
本選考に繋がることが多いのも、食品業界のインターンシップに参加する大きなメリットです。
インターン参加者限定で早期選考の案内が受け取れたり、もし受け取れなくても本選考の際にアピールで使える材料が多く手に入ったりと、本選考での内定獲得につながることが多いです。
少なくとも、参加していない就活生よりは一歩リードしている状況と判断して良いでしょう。
したがって、入社意欲が高い企業については、ぜひインターンシップに参加してネット上の情報だけでは判断できない様々な情報を肌で感じてモチベーションを高めるようにしましょう。
食品業界でインターンシップを実施している企業(2024年7月時点)
食品業界の企業で、インターンシップを実施している企業を一部ご紹介します。
ここでご紹介しているのは記事更新タイミングでの情報であり、必ず正しい情報であることを保証するものではありません。
本記事の情報をめぐって起きた損害や不利益については責任を追いかねるため、最新情報は必ず企業のホームページを参照してください。
- 業種: 食品(関連業種:化学)
- 本社: 東京都
- 企業HP: https://www.nisshin-oillio.com/
リーディングカンパニーとして食用油の分野で新たな価値を提供
- 業種: 食品(関連業種:化粧品、化学、商社(食料品)、医薬品)
- 本社: 大阪府
- 企業HP: https://www.glico.com/jp/
「栄養菓子」に基づき、食品による健康向上を目指す
- 業種: 食品(関連業種:プラント・エンジニアリング、その他製造、繊維)
- 本社: 東京都
- 企業HP: https://www.nisshin.com/
製粉事業や加工食品事業など多岐にわたる事業を展開
- 業種: 食品
- 本社: 東京都、兵庫県
- 企業HP: https://www.itoham-yonekyu-holdings.com/
食品業界の厳しい事業環境に対応しながら成長を続ける
- 業種: 音楽・音響機器(関連業種:食品)
- 本社: 静岡県
- 企業HP: https://jp.yamaha.com/index.html
夏期・冬期の一般インターンシップを通じて、幅広い分野でのキャリア形成を支援
食品業界のインターンの志望動機を考える時のポイント
続いて、食品業界のインターンシップの志望動機を考える際のポイントについても紹介します。
様々なポイントが存在しますが、大きく分けて以下の4つを意識しておけば質の高い回答を用意できるはずです。
ぜひ参考にして、あなたが目指す企業のインターンに参加できるよう、質の高い志望動機を作成しましょう。
志望動機に必要な要素を知る
まずは志望動機を考える際には志望動機に必要な要素を知ることが重要です。
なぜその業界なのか、なぜその企業なのか、どこに魅力を感じるのか、どのように企業に貢献できるかを明確にしましょう。
食品業界に対する興味や情熱を示すことが重要であるため、自分の過去の経験や興味がどのように食品業界に結びつくのか具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
また、なぜその企業を選んだのかを明確にすることも求められます。
企業のビジョンやミッション、企業文化など共感する点を具体的に挙げ、自分の価値観や目標と一致していることを説明しましょう。
食品業界が求める人物像を知る
食品業界が求めている人物像について知ることも、志望動機を作成する上で欠かせない要素です。
企業ごとに求める人物像は異なりますが、一般的に食品業界では積極性、コミュニケーション能力、責任感などが重要視されます。
新しいアイデアや改善提案を積極的に出せる姿勢を示すことで、企業の成長に貢献できることをアピールしましょう。
またコミュニケーション能力をアピールする際は、チームでの協力や顧客対応に不可欠なスキルであり、企業の信頼関係構築に寄与することを示すのも良いです。
責任感について話す際は、食品の安全性や品質管理において非常に重要であり、高い責任感を持っていることを示すことが求められます。
このように、志望動機においては、求められる人物像に自分がどのように適しているか、具体的なエピソードや実績を交えて説明することが良いです。
食品業界の魅力を知る
食品業界の魅力を理解しておくことも、志望動機を明確にするために非常に重要です。
食品業界の魅力は、製品を通じて消費者から直接反応を感じられること、食を通じて人々の健康に貢献できることが挙げられます。
これらの魅力を自分の言葉でうまく表現し、どのポイントに強く惹かれたのかを明確に伝えることが求められます。
例えば、消費者の健康を支える製品開発に強い関心がある場合、その具体的な理由を述べることが重要です。
さらに食品業界の動向や課題にも触れることで、自分が業界に対してどれだけの理解と関心を持っているか示すことも可能です。
これにより企業に対する自分の本気度と熱意をアピールできます。
食品を通じて何をしたいのか考える
食品を通じて何をしたいのかについて考えることも、志望動機を作成するにあたっては非常に重要です。
単に「食品業界で働きたい」というだけでなく、食品業界を通じて具体的にどのような目標を達成したいのかを考えることが求められます。
例えば「食品の安全性を向上させたい」「環境に優しい製品を開発したい」「世界中の人に健康で美味しい食品を提供したい」など、具体的なビジョンを持つことが大切です。
このビジョンを企業の方向性や目標と一致させることで、自分がその企業でどのように貢献できるかを具体的に示せます。
企業研究をしっかりと行い、企業の理念や戦略に共感する点を見つけ出し、それを自分のビジョンと結びつけることで企業に対する深い理解をアピールできます。
食品業界のインターンシップの志望動機の構成
志望動機を書く時は、文章の構成にも気を配る必要があります。
企業の担当者は多くの応募書類に目を通しますから、すべてをじっくり読み込めません。
そのため、要点をわかりやすく整理し、相手に自分のアピールしたいポイントが伝わりやすい文章にする必要があるのです。
志望動機におすすめなのは「1.なぜインターンに参加するのか→2.参加するに至った経緯→3.インターンで何を得たいか→4.インターンへの意気込み」の文章構成です。
各項目で押さえておくべきポイントをご紹介します。
なぜインターンに参加するのか
最初に志望動機の結論にあたる「なぜインターンに参加するのか」を述べましょう。
冒頭に結論を置くことで、その文章の最も重要な部分が相手に伝わりやすくなります。
ここでは「食品業界を内側から見てみたい」「営業職の基本を学びたい」など、自分がインターンに参加する理由を簡潔に説明するに留めます。
相手の興味を惹き、その後の文章をじっくり読んでもらうために、ここでは結論のみをわかりやすく述べるよう心がけましょう。
また、最初に結論を述べる構成はビジネス文書の基本ですから、ほかの文章を書く際も結論は冒頭に、簡潔に書くことをおすすめします。
参加するに至った経緯
続いて、食品業界に興味を抱いたきっかけやその企業を選んだ経緯などを述べましょう。
ここでは業界研究や企業研究で得た情報のほか、大学の専攻を交えて経緯を説明するのも効果的です。
「食品業界の中でも、特に〇〇の分野で優れた技術を持っている点に惹かれた」「大学で菌について学ぶ中で、発酵食品の開発を行っている貴社に興味を抱いた」など、その企業ならではの特色を織り込んでインターンに応募した経緯を具体的に説明します。
何を得たいか
インターンに参加して得たいスキルや、知りたいことなどを述べるパートです。
「インターンで営業職を経験し、食品業界の営業に必要なスキルを身につけたい」「新商品の開発にあたって技術職がどのような働きをするのか知りたい」など、できるだけ具体的に説明します。
ここでは「〇〇を経験したい」だけではなく、その経験から何を得たいのかまで述べるよう注意しましょう。
企業はインターンをただの職場体験のように考えている学生よりも、学習や実践の場として考えて意欲的にスキルや知識を身につけようとしている学生に意欲を感じ、好印象を抱きます。
インターンへの意気込み
インターンへの意気込みといっても、ただ「頑張ります」というだけでは意味がありませんから、「何をどう頑張るのか、インターンを頑張ることで自分がどうなりたいのか」が伝わるような文章にしましょう。
ここでは、インターンに参加するうえで何を意識していきたいか、インターンで得たものを今後にどう活かすかなど、具体的に説明します。
「インターンで自分の技術力を試し、足りない部分を明確にして大学での学びに活かしたい」など、成長意欲を感じさせる内容が望ましいです。
食品業界のインターンシップの志望動機の例文
食品業界のインターンの志望動機の例文として、「食品業界の営業職に求められるスキルを知るためにインターンに参加するケース」と「飲食業界の商品企画の仕事内容を知るために参加するケース」をご紹介しますので、文章の構成や各パートの配分などを参考にしてください。
ただし、例文はあくまでも参考に留め、決して丸写しはしないようにしましょう。
インターネット上には就職活動の情報があふれ、例文も多く掲載されていますが、自分の経験したエピソードをもとに、自分の言葉で語ることが重要です。
例文1:営業
私は食品業界の営業という職種に求められるスキルが知りたいと考え、貴社のインターンに応募しました。
私はもともと食べることが好きで、現在はレストランでアルバイトをしています。
アルバイトを通じてコミュニケーション力を磨く中で、このコミュニケーション力を食品業界の営業職に活かせるのではないかと思うようになりました。
営業職にはコミュニケーション力以外にも多くのスキルが求められるであろうことは予想がつきますが、具体的に必要とされるスキルを知るためには、インターンで実際に営業職を経験する必要があると考えました。
貴社のインターンを通じて営業職に求められるスキルを知り、そのスキルを深めていきたいです。
また、将来は食品業界で働きたいと考えており、インターンを自分の食品業界への適性や食品業界に貢献する方法を確認する場にしたいと思っています。
例文2:商品開発
私は、飲食業界の商品企画の仕事について知りたいと思い、貴社のインターンに応募しました。
私は貴社が昨年発売した〇〇が好きで、店舗に足繁く通っているうちに、幅広い年代のニーズを満たす商品構成になっていることに気付き、興味を惹かれました。
そして、どのような過程を経てそうした商品が開発されているのかを調べている時に、貴社の商品開発部門でのインターン募集を知り、応募した次第です。
まずはインターンを通じて商品開発に求められるスキルを学び、自分に足りない要素を知りたいと考えています。
また、インターンで学んだことを今後の自分の成長に活かし、アイデアを実際に形にする力を身につけたいと思います。
インターンで取り組むグループワークでは、立場の違う方と意見を交わしながら商品開発の仕事を体感したいです。
例文3:研究開発
私が貴社のインターンに参加したい理由は、革新的な食品開発に取り組む姿勢に強く共感し、自分の研究開発のスキルを活かせると考えたからです。
貴社は常に新しい食品の開発に挑戦し、健康志向の消費者に向けた製品を数多く提供しています。
私は大学での食品価格の研究を通じて抗酸化物質を多く含む食品の開発に関心を持ち、研究成果を応用することで新しい健康食品のプロトタイプを作成しました。
この経験から、理論を実践に移し、消費者の健康を支える食品開発に取り組むやりがいを実感しました。
貴社の製品ラインナップや開発プロジェクトにおいてのもとで自分のスキルを磨くことで、多くの人々に貢献できると考えています。
貴社において最新の科学的知見を活用し、消費者の健康を支える革新的な商品の開発に貢献する所存です。
例文4:生産管理
私が貴社を志望する理由は、生産管理における高度なシステムと効率的な生産プロセスに強い関心を持っているからです。
貴社の生産管理システムは業界内でも高い評価を受けており、その運用方法を学び、自分のスキルを向上させたいと考えました。
私は大学で学生食堂の運営改善に取り組み、食材の仕入れから調理・提供までのプロセスを見直し、無駄を削減し効率を向上させるための改善策を提案しました。
その結果、お昼休みの待ち時間を平均30%削減し、さらに食材コストも20%削減することに成功しました。
このような経験から、生産管理の重要性とその影響力を実感し、高度な環境での実践を通じてスキルを深めたいと考えるようになりました。
貴社の生産管理チームにおいて工場の生産ラインの最適化と効率化に貢献したいと考えています。
特にデータ分析を通じて生産プロセスの改善点を見つけ出し、具体的な解決策を提案することで、貴社の生産効率の向上とコスト削減に寄与したいと考えています。
食品業界インターンの志望動機を考える時の注意点
続いて、食品業界のインターンの志望動機を作成する際に気をつけなければならないポイントについて2つ紹介します。
以下の2点を踏まえた上で、マイナスの印象を与えないように心がけることも重要です。
食が好きなことだけを伝えない
食品業界のインターンの志望動機を作成するにあたって、ただ「食べることが好きだから」と書いてしまう人もいますが、それは避けましょう。
食品に対する興味や情熱を示すことは確かに重要です。
しかし、それだけでは企業に対する真剣な意欲や具体的な貢献意識が伝わりません。
例えるならば、教師を目指す人が「子供が好きだから」と言うのと同じようなものです。
企業が求めているのは、自社のファンではなく、自社に貢献できる能力と意欲を持った人物です。
例えば、食品の安全性や品質管理に対する関心や消費者の健康を支えるための製品開発に対する情熱や、持続可能な食の生産に貢献したいという具体的な目標を示すことが重要です。
また、自分のスキルや経験がどのように企業の業務に役立つかを具体的に説明することで、企業に対する理解と自分の適性をアピールできます。
「単に食べることが好き」という表面的な理由ではなく、食品を通じてどのような価値を提供したいのか、どのようにして企業の発展に貢献したいのかを明確に伝えることが志望動機を作成するにあたってのポイントです。
なぜその企業なのかを明確にする
食品業界には数多くの企業が存在しているため、なぜその企業に応募したのかについても説明しなければなりません。
それぞれの企業に異なる特徴があるため、その中で特定の企業を選んだ理由を具体的に示しましょう。
まず企業研究を徹底的に行い、企業のミッションや製品ラインナップ、企業文化、社会貢献活動などについて詳しく調べることが重要です。
例えば、その企業が特定の分野で革新的な技術を持っている、環境保護に積極的に取り組んでいる、あるいは消費者に対する姿勢が魅力的であると感じた場合、それを具体的に述べることが求められます。
また、自分の価値観やキャリア目標が企業の方向性とどのように一致しているかを説明することも重要です。
企業に対する真摯な姿勢を示すためには具体的なエピソードやデータを用いて、なぜその企業が自分にとって最適なのか納得のいく形で説明することが求められます。
これにより、企業に対する意欲があることが分かりやすく伝えられます。
食品業界のインターンは難関だからこそ自分の意思をしっかり持とう
人気の食品・飲料業界のインターンシップは、募集人数もあまり多くもないため、募集に対して応募者がかなり多くなることが予想されます。
そんな多数の応募者の中から勝ち抜いていくためには、他の人とは違った志望動機を記述し、しっかり自己PRすることが大切です。
企業の理念や理想、社会的取り組みをしっかり研究し、自分の言葉で意思を伝えましょう。
学生さんに人気が高い食品業界のインターンの選考に通るには、消費者の立場としての学生目線ではなく、安全で高品質な食品を届ける役割を担う人材を採用しようとする人事目線で志望動機を作成することがポイントです。
製造している食品への愛や愛着をアピールするのではなく、自分がどんな人間で、どんな能力があり、どのような活躍ができるかや、インターンを通じて何を学び、成長していきたいかをアピールしましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート