皆さんはアパレル業界にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「ファッションが好き」「トレンドの最先端で働きたい」といった華やかなイメージを持つ方が多いかもしれませんね。
アパレル業界は、私たちの生活に彩りを与える「衣服」を通じて、文化やライフスタイルそのものを提案する、非常にクリエイティブで魅力的な業界です。
しかし、その裏側には、企画、生産、物流、販売、マーケティングといった多くの機能が複雑に連携しています。
就職活動において、この「好き」という気持ちを「仕事」として捉え直す作業は欠かせません。
そのために最も有効な手段が、インターンシップへの参加です。
インターンシップは、業界のリアルな姿、仕事の厳しさとやりがいを肌で感じる絶好の機会です。
この記事では、アパレル業界のインターンシップに焦点を当て、その概要から具体的なプログラム内容、さらには選考を突破するための秘訣まで、皆さんが今知りたい情報を網羅的に解説していきます。
この記事を読んで、アパレル業界への理解を深め、万全の準備でインターンシップに臨みましょう。
目次[目次を全て表示する]
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界とは
アパレル業界と聞くと、多くの学生さんが「服を売る仕事」や「デザイナー」を思い浮かべるかもしれませんが、実際は非常に裾野の広い巨大な産業です。
この業界の構造を理解する際によく使われるのが、「川上・川中・川下」という分類です。
まず「川上」は、服の元となる素材、つまり糸や生地を生産する繊維・素材メーカー(例:東レ、帝人など)を指します。
次に「川中」は、その素材を仕入れて、衣服の企画・デザイン・製造を行うアパレルメーカー(例:オンワード、ワールドなど)や、他社ブランドの製品を仕入れて販売するセレクトショップ(例:ユナイテッドアローズ、ビームスなど)が該当します。
そして「川下」は、最終的に消費者に商品を届ける小売業、具体的には百貨店(例:三越伊勢丹)や量販店(例:ユニクロ、しまむら)、ECサイト(例:ZOZO)などを指します。
このように、一口にアパレルと言っても、素材開発から製造、販売、そしてITを駆使したプラットフォームビジネスまで、多岐にわたる企業が関わり合って成り立っています。
近年では、ファーストリテイリング(ユニクロ)のように、企画から製造、販売までを一貫して行うSPA(製造小売業)モデルが主流となりつつあり、業界の構造も変化し続けています。
インターンシップを考える上では、自分がアパレル業界の「どの部分」に興味があるのか、川上・川中・川下のどの領域でキャリアを築きたいのかを意識することが、企業研究の第一歩となるでしょう。
【アパレル業界のインターンシップ】インターンシップを募集している職種
アパレル業界のインターンシップと聞いて、皆さんが真っ先にイメージするのは、店舗での販売(接客)体験かもしれません。
確かに、お客様と直接触れ合う販売職はアパレルビジネスの根幹であり、多くの企業がインターンシップのプログラムに取り入れています。
しかし、アパレル企業の仕事はそれだけではありません。
皆さんが普段手に取る一着の服が店頭に並ぶまでには、非常に多くの専門職が関わっています。
例えば、トレンドを分析し、どのような商品をどれだけ作るかを決める「MD(マーチャンダイザー)」、具体的なデザインに落とし込む「デザイナー」、ブランドの魅力を世に広める「プレス(広報・PR)」、そして服を形にするために工場とやり取りをする「生産管理」など、多種多様な職種が存在します。
多くの総合アパレル企業では、インターンシップを「総合職」として募集し、その中で適性や希望に応じて様々な仕事を体験できるプログラムを用意しています。
一方で、デザイナーやパタンナーといった専門職は、服飾系の専門学生を対象としたり、別途ポートフォリオ(作品集)の提出を求めたりする場合も少なくありません。
このセクションでは、アパレル業界のインターンシップで募集されることが多い主要な職種について、その仕事内容とインターンシップでどのような経験ができるのかを具体的に解説していきます。
自分の興味や強みがどの職種で活かせそうか、想像しながら読み進めてみてください。
総合職(販売・営業)
アパレル業界のインターンシップにおいて、最も募集枠が多く、多くの学生が参加するのがこの「総合職(販売・営業)」です。
アパレル企業にとって、店舗はお客様との最大の接点であり、ブランドの世界観を体現する最も重要な場所です。
そのため、将来的にどの職種に進むとしても、まずは現場である「販売」を経験することがキャリアの基礎となると考える企業が大多数です。
インターンシップでは、実際に店舗に立ち、接客の基礎、商品の陳列(VMD:ビジュアル・マーチャンダイジング)、在庫管理(バックヤード業務)などを体験するプログラムが組まれることが多いです。
単なるアルバイトとは異なり、社員の視点で「どうすれば売上が上がるか」「お客様に満足していただくためには何が必要か」を考えるワークショップが組み込まれているのが特徴です。
また、総合職にはBtoC(消費者向け)の店舗運営だけでなく、BtoB(企業向け)の「営業」も含まれます。
これは、自社ブランドの商品を、百貨店やセレクトショップに卸す(取り扱ってもらう)ための交渉を行う仕事です。
インターンシップでBtoB営業を体験できる機会は稀ですが、企業説明会や社員座談会などで、その役割について深く知ることは可能です。
販売職のインターンシップは、「服が好き」という気持ちが「どうすればこの服の魅力を伝えられるか」というビジネス視点に変わる瞬間を体験できる、非常に価値のある機会と言えるでしょう。
専門職(MD・デザイナー)
アパレル業界の「花形」とも言えるのが、専門職である「MD(マーチャンダイザー)」と「デザイナー」です。
デザイナーは、ブランドのコンセプトに基づき、具体的な服のデザインを描き起こす仕事です。
一方、MDは「売れる商品」を企画するビジネスの司令塔です。
市場のトレンドを分析し、「いつ、何を、どれだけ、いくらで」作るかという商品計画全体を設計し、デザイナーや生産管理と連携しながらプロジェクトを推進します。
これら専門職のインターンシップは、総合職に比べて募集枠が非常に少なく、高い競争率になることが一般的です。
特にデザイナー職は、服飾の専門知識やデザインスキル、ポートフォリオ(作品集)の提出が求められるケースがほとんどで、未経験者が参加するのは難しい傾向にあります。
一方、MD職のインターンシップは、学部学科不問で募集されることもありますが、内容はより実践的です。
例えば、「来シーズンのトレンドを予測し、新商品を企画せよ」といったテーマでのグループワークや、実際のMDアシスタントとしてデータ分析、市場調査(競合店舗リサーチ)などを任されることもあります。
これらの職種を目指す場合、インターンシップは自分の適性を見極める絶好の機会であると同時に、自分のセンスや論理的思考力を企業に示す重要な選考の場でもあることを強く意識する必要があります。
専門職(生産管理・プレス)
デザイナーやMDが生み出した企画を「形」にし、そしてその魅力を「広める」役割を担うのが、「生産管理」と「プレス(広報・PR)」です。
まず「生産管理」は、服を製造する工場と連携し、品質(クオリティ)、価格(コスト)、納期(デリバリー)を管理する仕事です。
デザイナーの意図した通りの品質を保ちつつ、設定された原価と納期を守るため、国内外の工場と日々調整を行います。
インターンシップでは、実際のサンプル品の検品作業を手伝ったり、生産工程に関する基礎知識を学ぶ座学や、工場とのやり取り(メールや仕様書)の一部を体験したりすることがあります。
アパレルビジネスの根幹である「モノづくり」の現実と難しさを知ることができる、非常に重要な職種です。
一方、「プレス」は、ブランドの認知度やイメージを向上させるための広報活動全般を担います。
雑誌やWebメディアへの商品貸し出し、SNS(Instagramなど)の運用、ファッションショーや展示会といったイベントの企画・運営などが主な業務です。
インターンシップでは、プレスルームでのサンプル管理や、SNS投稿のアイディア出し、イベント準備のアシスタントなどを経験できる場合があります。
華やかなイメージがありますが、実際は地道な作業も多く、ブランドへの深い理解と発信力が問われる仕事です。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンシップの時期
アパレル業界のインターンシップの時期は、他の業界と同様に、主に「サマーインターンシップ」と「ウィンターインターンシップ」の2つに大別されます。
サマーインターンシップは、大学3年生(修士1年生)の夏休み期間である8月から9月にかけて開催されることが多く、その募集は早い企業では大学3年生になった直後の4月から5月頃に開始されます。
夏は比較的長期間のプログラム(数日〜数週間)が組まれることもあり、じっくりと業界や企業を研究したい学生にとっては絶好の機会です。
一方、ウィンターインターンシップは、大学3年生の12月から2月頃に開催されます。
この時期は、就職活動が本格化する直前であり、企業側も本選考を意識したプログラム(1dayのワークショップや選考直結型のイベントなど)を増やす傾向にあります。
募集は10月から11月頃にピークを迎えます。
アパレル業界の特徴として、一部の企業では、本選考が始まる3月以降も「スプリングインターンシップ」として短期間の会社説明会兼ワークショップを開催することもあります。
重要なのは、人気企業のインターンシップは応募が殺到し、すぐに締め切られてしまうため、常日頃から志望企業の採用ページや就活情報サイトをこまめにチェックし、早めに行動を起こすことです。
特に専門職のインターンシップは募集時期が限られている場合があるため、注意が必要です。
募集期間
アパレル業界のインターンシップ募集期間は、主に2つの大きな波があります。
第1の波は「サマーインターンシップ」の募集で、大学3年生(修士1年生)の4月下旬から6月頃にかけてピークを迎えます。
大手企業や人気のセレクトショップなどは、この時期に多くの学生の応募を集めます。
エントリーシート(ES)の提出やWebテストの受検、面接などが6月から7月にかけて行われ、参加者が決定します。
第2の波は「ウィンターインターンシップ」の募集で、10月から12月頃が中心です。
この時期は、夏に参加できなかった学生や、夏を経て志望業界をアパレルに固めた学生が応募します。
特にウィンターインターンシップは、本選考(翌年3月以降)への優遇措置や早期選考ルートに直結しているケースも多く、企業側も学生側も熱量が高まる時期です。
サマーインターンシップで思うような結果が出なかったとしても、諦めずにウィンターインターンシップに再挑戦することが非常に重要です。
また、通年採用や秋採用(9月〜10月)の一環としてインターンシップを募集する企業や、デザイナー職など専門職の募集を別途行う企業もあるため、志望度が高い企業については、採用サイトの「マイページ登録」を早期に済ませ、情報を見逃さないようにすることが肝心です。
開催期間
インターンシップの「開催期間」は、プログラムの目的に応じて大きく異なります。
最も多いのは、1日(1day)または2〜3日程度の「短期プログラム」です。
これらは主に「ウィンターインターンシップ」や「スプリングインターンシップ」で見られ、内容は企業説明会、業界研究セミナー、グループワーク(例:「新店舗のコンセプトを立案せよ」)、社員との座談会などが中心です。
短期間で企業の雰囲気やビジネスモデルの概要を掴むのに適しており、本選考直前の最終確認としても役立ちます。
一方、「サマーインターンシップ」では、5日間から、長いものでは2週間〜1ヶ月といった「中長期プログラム」が実施されることもあります。
こちらは、より実務に近い内容が特徴です。
例えば、総合職であれば数日間の店舗実習(接客、VMD、在庫管理)、企画職であればMDアシスタントとしての市場調査や企画立案の補助などを経験できる場合があります。
中長期のプログラムは、仕事の楽しさだけでなく厳しさもリアルに体感できるため、入社後のミスマッチを防ぎたい学生にとって非常に有意義です。
ただし、実施企業は限られており、選考の倍率も高くなる傾向にあるため、ESや面接での志望動機をしっかり練り上げる必要があります。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンシップの内容
アパレル業界のインターンシップで体験できる内容は、企業が学生に何を学んでほしいかによって、実に様々です。
業界全体の理解を深めることを目的としたセミナー形式のものから、実際の業務に深く入り込む実践的なものまで、プログラムは多岐にわたります。
多くの企業で共通して見られるのは、「企業理解(座学)」と「実践(ワーク)」の組み合わせです。
例えば、午前中は企業の歴史やブランドフィロソフィー、アパレルビジネスの仕組み(SPAモデルなど)について学び、午後からは学んだ知識を活かしてグループワークを行う、といった流れです。
特にアパレル業界は、「センス」や「感性」といった定性的な要素と、「売上」や「在庫回転率」といった定量的なデータを両立させることが求められる業界です。
そのため、インターンシップのプログラムも、トレンドを分析する感性的なワークと、売上データを分析して戦略を立てる論理的なワークがバランスよく組み込まれていることが多いのが特徴です。
このセクションでは、アパレル業界のインターンシップでよく見られる代表的なプログラム内容を3つの形式に分けて、それぞれ具体的に解説していきます。
自分がどの形式に最も興味があるか、どの経験が自己成長に繋がりそうかを考えながら読んでみてください。
ワークショップ形式
ワークショップ形式は、アパレル業界のインターンシップで最も一般的に採用されているプログラムの一つです。
これは、1dayや短期(2〜3日)のインターンシップで主に行われ、学生が数人のグループに分かれて特定の課題に取り組む形式です。
企業側は、このワークショップを通じて、学生の論理的思考力、協調性、リーダーシップ、そして何よりも「アパレルビジネスへの理解度」を見ています。
よくあるテーマとしては、「特定のブランドの課題を分析し、売上向上のための施策を提案せよ」「ターゲット層(例:Z世代)に向けた新商品を企画し、プロモーション戦略まで考えよ」「架空のセレクトショップのVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を立案せよ」といったものが挙げられます。
これらの課題は、正解が一つではありません。
重要なのは、トレンドや市場データを分析し、論理的な根拠(なぜその施策が有効なのか)を示しながら、チームで意見をまとめ上げ、最終的に社員に向けて説得力のあるプレゼンテーションを行うプロセスそのものです。
社員からのフィードバックも非常に具体的であり、自分の強みや弱み、そしてアパレルビジネスの面白さと難しさを短時間で凝縮して体験できるのが、この形式の最大の魅力です。
店舗実習形式
アパレル業界のインターンシップ、特に総合職(販売職)を志望する場合、避けて通れないのが「店舗実習形式」のプログラムです。
これは、実際の店舗に配属され、社員とほぼ同じように業務を体験するものです。
期間は数日間から数週間にわたることもあります。
多くの学生は「接客」をメインに想像するかもしれませんが、店舗の仕事はそれだけではありません。
お客様がいない時間帯の在庫管理(バックヤード業務)、商品の品出し、店内の清掃、そして最も重要なVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の変更作業など、業務は多岐にわたります。
インターンシップでは、これらの業務を体験しながら、「どうすればお客様が商品を手に取りやすいか」「この服の魅力を伝えるにはどんな言葉がけが良いか」を常に考えることが求められます。
アルバイト経験者であっても、社員の視点、つまり「売上」や「顧客満足度」を意識して働く経験は新鮮でしょう。
この実習の最大のメリットは、その企業の「接客スタイル」や「ブランドが大切にしている価値観」を肌で感じられることです。
企業のリアルな雰囲気、働く社員の姿を間近で見ることで、自分がその環境で輝けるかどうかを判断する貴重な材料になります。
企画・マーケティング体験
MD(マーチャンダイザー)やプレス(広報・PR)、マーケティングといった専門職を志望する学生にとって、最も魅力的なのが「企画・マーケティング体験」型のインターンシップです。
これらのプログラムは、本社機能(オフィス)での業務体験が中心となります。
募集枠は非常に少なく、選考難易度も高い傾向にありますが、得られる経験は非常に貴重です。
例えば、MDのインターンシップであれば、アシスタントとして次シーズンのトレンドリサーチ(雑誌やSNS、競合他社の動向調査)を手伝ったり、過去の売上データを分析して「売れ筋」と「死に筋」を見極める作業の一部を体験したりします。
プレスやマーケティングであれば、SNS投稿の企画案を作成したり、メディア向けのプレスリリース作成やサンプル管理の補助を行ったりすることもあります。
これらの体験を通じて、華やかなイメージの裏側にある地道なデータ分析や、緻密な戦略立案の重要性を痛感することになるでしょう。
この形式のインターンシップは、自分の「好き」という感性だけでなく、「なぜそれが売れるのか」を論理的に説明する能力が求められることを学ぶ、絶好の機会となります。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンシップが人気な理由
アパレル業界のインターンシップは、毎年多くの就活生から高い人気を集めます。
その理由は、単に「ファッションが好きだから」という表面的なものだけではありません。
もちろん、自分の好きな「服」や「ブランド」に仕事として関われるかもしれないという期待感は、他の業界にはない強力な動機付けになります。
しかし、それ以上に、現代の就活生がインターンシップに求める「リアルな経験」と「キャリアへの直結性」が、アパレル業界のプログラムには色濃く反映されているからです。
多くの学生が、消費者として親しんできた業界だからこそ、「働く側」に回った時のギャップを自分の目で確かめたいという、強い目的意識を持って応募しています。
また、BtoCビジネスが中心であるため、自分の仕事の成果がお客様の反応としてダイレクトに返ってくる「やりがい」を想像しやすいことも、人気を後押ししている要因でしょう。
このセクションでは、なぜこれほどまでにアパレル業界のインターンシップが就活生を惹きつけるのか、その具体的な理由を3つの側面から深掘りしていきます。
これから応募を考えている皆さんも、自分がなぜ惹かれるのかを再確認するきっかけにしてみてください。
華やかなイメージがある
アパレル業界が人気な最大の理由の一つは、その「華やかなイメージ」にあることは間違いありません。
ファッション雑誌、テレビドラマ、InstagramなどのSNSを通じて目にするアパレル業界は、常におしゃれな服に囲まれ、トレンドの最先端で活躍する、洗練された世界として映ります。
デザイナーやモデル、プレスといった職種は特にその象徴であり、「自分もあんな風に働いてみたい」という憧れを抱く学生は非常に多いです。
インターンシップは、その憧れの世界の「入り口」を覗き見る、最初のチャンスとなります。
実際にスタイリッシュなオフィスで働いたり、美しいディスプレイが施された店舗に立ったりすること自体が、他業界のインターンシップでは得難い特別な経験と感じられるのです。
もちろん、多くの学生は、その華やかさの裏に地道な努力や厳しい現実があることも理解していますが、それでもなお、その「憧れ」をモチベーションに応募するケースが後を絶ちません。
この「好き」という強い感情は、就職活動を乗り越える上で強力なエネルギー源にもなり得ます。
企業側も、そうした強い情熱を持った学生を求めている側面があります。
業界のリアルを知れる
消費者として最も身近な業界の一つであるからこそ、「働く場」としてのリアルな姿を知りたいというニーズが非常に高いことも、人気の理由です。
私たちは普段、完成された商品が並ぶ店舗しか目にしません。
しかし、「その服は誰が企画し、どこで、どのように作られ、いくらの利益を見込んで価格設定されているのか」といったビジネスの裏側は、外部からはほとんど見えません。
インターンシップ、特に店舗実習や企画体験プログラムは、この「消費者」から「提供者」への視点の転換を強烈に体験させてくれます。
例えば、店舗実習では、キラキラした接客時間の裏で、膨大な量の在庫を管理する地道なバックヤード業務や、売上目標達成へのプレッシャーが存在することを知ります。
企画体験では、一つの商品を生み出すために、どれだけ多くのデータ分析と関係者との調整が必要かを学びます。
こうした「ギャップ」や「厳しさ」を含めた「業界のリアル」を、入社前に知ることができるのは、ミスマッチを防ぐ上で計り知れない価値があります。
この「現実確認」こそが、学生がインターンシップに参加する大きな動機となっています。
早期選考につながりやすい
近年の就職活動において、インターンシップが「本選考の一部」として機能していることは周知の事実です。
アパレル業界もその例外ではありません。
特に、大学3年生(修士1年生)の夏から冬にかけて実施されるインターンシップは、企業が優秀な学生を早期に囲い込むための重要な場となっています。
インターンシップ中のグループワークでの活躍や、実習での意欲的な態度が社員の目に留まれば、「インターンシップ参加者限定の早期選考ルート」に招待されるケースが非常に多いです。
具体的には、本選考での一次面接やエントリーシートが免除されたり、特別な座談会に呼ばれたりといった優遇措置が考えられます。
一般の選考ルートよりも早い段階で内定を獲得できる可能性があることは、就活生にとって計り知れないメリットです。
もちろん、全ての企業が選考直結型を公言しているわけではありませんが、インターンシップで企業理解を深め、自分の顔と名前を覚えてもらうこと自体が、本選考において圧倒的に有利に働くことは間違いありません。
このような実利的な側面も、アパレル業界のインターンシップの人気を支える大きな要因となっています。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンシップの特徴
アパレル業界のインターンシップは、金融やメーカー、ITといった他業界と比較して、いくつかの際立った特徴を持っています。
これらの特徴は、業界のビジネスモデルや企業文化が色濃く反映されたものです。
例えば、アパレルは「モノ」を扱うだけでなく、そのモノが持つ「世界観」や「スタイル」といった感性的な価値を提供するビジネスです。
そのため、インターンシップにおいても、学生の論理的思考力と同時に、そうした「感性」や「ブランドへの共感度」を見極めようとする傾向があります。
また、最終製品が消費者(BtoC)に直接届くビジネスが中心であるため、インターンシップのプログラム内容も、お客様の視点や現場(店舗)を非常に重視したものが多いです。
机上の空論ではなく、いかにリアルなビジネスに触れさせるかを大切にしている企業が目立ちます。
これから解説する3つの特徴を理解しておくことは、インターンシップの選考対策(ESや面接)を立てる上でも、参加時の心構えとしても非常に役立ちます。
アパレル業界ならではの「お作法」とも言える部分を、しっかりと押さえておきましょう。
実務体験型が多い
アパレル業界のインターンシップの最大の特徴は、「実務体験型」のプログラムが非常に多いことです。
これは、単に会社説明を聞いたり、業界研究のグループワークを行ったりするだけでなく、社員が実際に行っている業務の一部、あるいは全体を体験するものです。
その代表例が、先にも述べた「店舗実習」です。
アパレル企業にとって店舗はビジネスの最前線であり、お客様の生の声や商品の動きを直接感じられる唯一の場所であるため、多くの企業がインターンシップでこの店舗実習を重視します。
数日間にわたり、社員と同様に接客、レジ業務、在庫管理、VMD(ディスプレイ)の変更などを経験します。
また、本社での企画職インターンシップであっても、単なるシミュレーションではなく、実際のデータ(匿名化された売上データやSNSのエンゲージメント数値)を用いて分析を行ったり、進行中のプロジェクトのアシスタント業務(サンプル管理やリサーチ)を任されたりすることがあります。
企業側には「学生にリアルな仕事の大変さとやりがいを理解してもらい、入社後のミスマッチを減らしたい」という明確な意図があります。
学生にとっては、体力や精神力も求められますが、その分、自己分析や企業理解が格段に進むという大きなメリットがあります。
私服参加が多い
他業界のインターンシップでは「スーツ着用」が一般的ですが、アパレル業界では「私服でお越しください」または「あなたらしい服装で」と指定されるケースが非常に多いのが特徴です。
これは、学生をリラックスさせるためという側面もありますが、それ以上に重要な意味を持っています。
企業側は、学生の「服装」を通じて、その人の個性、センス、そして何よりも「自社ブランドへの理解度や共感度」を見ています。
例えば、シンプルでクリーンなスタイルを標榜するブランドのインターンシップに、過度に装飾的な服装で行くのはTPOに合っているとは言えません。
かといって、個性を恐れて全員が同じような無難な服装になるのも望まれていません。
最も重要なのは「清潔感」を保ちつつ、その企業のブランドイメージやテイストに「寄り添う」姿勢を見せることです。
もし可能であれば、その企業の服をコーディネートに一点取り入れるのも良いアピールになります。
ただし、全身をそのブランドで固める必要はなく、あくまでも「自分らしさ」の中で、企業へのリスペクトを表現することが求められます。
この「私服指定」は、アパレル業界の選考における最初の「テスト」の一つであると認識しておきましょう。
専門職は募集が少ない
総合職(販売職や営業職)のインターンシップ募集は比較的多くの企業で行われていますが、「デザイナー」「パタンナー」「MD(マーチャンダイザー)」といった専門職のインターンシップ募集は、それに比べると非常に少ないのが現状です。
これは、これらの職種が、アパレルビジネスの根幹をなす「モノづくり」や「商品企画」という非常に専門性の高い領域を担っているためです。
特にデザイナーやパタンナーといった技術職は、服飾系の専門学校や美術大学などで専門的な知識やスキル(デザイン画、縫製技術、CAD操作など)を学んでいる学生を対象とすることがほとんどです。
選考では、多くの場合、ポートフォリオ(作品集)の提出が必須となります。
MD職については、学部学科不問で募集されることも増えてきましたが、それでも総合職に比べれば枠は格段に少なく、人気も高いため、選考倍率は非常に高くなる傾向にあります。
これらの専門職を志望する場合は、インターンシップの募集情報を見逃さないよう、早期から志望企業の採用サイトを徹底的にチェックし、ポートフォリオの準備などを進めておく必要があります。
総合職として入社し、数年後に社内公募などで専門職へキャリアチェンジする道も一般的であるため、広い視野でキャリアプランを考えることも重要です。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界でインターンシップに参加するメリット
アパレル業界のインターンシップに参加することは、皆さんの就職活動、ひいては将来のキャリアにおいて、非常に大きなメリットをもたらします。
人気があり、選考の準備も大変ですが、それに見合うだけの価値が間違いなくあります。
多くの学生が「早期選考に乗りたい」という実利的な目的で参加しますが、メリットはそれだけにとどまりません。
むしろ、インターンシップを通じて得られる「リアルな経験」と「深い自己理解」こそが、本選考を突破し、入社後に活躍するための本当の糧となります。
アパレル業界は、消費者としての「好き」と、仕事としての「現実」の間にギャップが生まれやすい業界です。
インターンシップは、そのギャップを自分の目で確認し、「それでも自分はこの仕事がしたいのか」を問い直す絶好の機会です。
このセクションでは、アパレル業界のインターンシップに参加することで得られる3つの主要なメリットについて、具体的に解説していきます。
これらのメリットを意識して参加することで、インターンシップでの学びを最大化することができるでしょう。
企業や業界への理解が深まる
インターンシップに参加する最大のメリットは、企業や業界に対する解像度が劇的に上がることです。
皆さんは普段、「消費者」として完成された商品や洗練された店舗を見ています。
しかし、インターンシップでは「提供者」の視点に立つことになります。
例えば、店舗実習を通じて、一着の服を売るために、接客だけでなく、膨大な在庫管理、緻密なディスプレイ変更、日々の売上分析といった裏方の仕事がいかに重要であるかを痛感します。
また、企画体験ワークショップでは、トレンドを分析し、原価計算をしながら商品企画を立案する難しさを知るでしょう。
SPAモデル、百貨店ビジネス、セレクトショップなど、企業によって異なるビジネスモデルの強みや弱みも、社員の話や実務を通じて具体的に理解できます。
このように、Webサイトや説明会だけでは決して得られない「生の情報」と「ビジネスの仕組み」に触れることで、エントリーシートや面接で語る志望動機に圧倒的な具体性と熱量が宿ります。
なぜ他社ではなく、その企業でなければならないのかを、自分自身の実体験に基づいて語れるようになるのです。
働くイメージが具体的になる
「アパレル業界で働く」と一口に言っても、その働き方は職種や企業によって全く異なります。
インターンシップは、その漠然とした「働くイメージ」を、極めて具体的にする手助けとなります。
例えば、「服が好きだから販売職」と考えていた人が、店舗実習でVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の奥深さに触れ、「自分は接客よりも、空間全体でブランドの世界観を表現する仕事に興味があるかもしれない」と気づくことがあります。
また、企画職のワークショップで、データ分析やロジカルな戦略立案が中心であることを知り、「自分は感性よりも論理性を活かしたい」と再認識するかもしれません。
逆に、憧れていたプレスの仕事が、サンプル管理やメディアとの地道な調整業務の積み重ねであることを知り、「イメージと違った」と感じることもあります。
最も重要なのは、その企業の「社風」や「人」を肌で感じられることです。
社員の方々がどのような表情で、どのような価値観を持って働いているのかを間近で見ることで、「自分もこの人たちと一緒に働きたい」と強く思えるか、あるいは「少し違うかもしれない」と感じるか、その判断ができるようになります。
自己分析が進む
インターンシップは、他者(社員や他の参加学生)との関わりの中で、自分自身の「強み」と「弱み」を客観的に知ることができる、最高の自己分析の場です。
例えば、グループワークでリーダーシップを発揮できたと感じても、社員からのフィードバックで「論理性に欠ける」と指摘されるかもしれません。
逆に、自分では短所だと思っていた「こだわり過ぎる性格」が、企画立案のワークで「細部まで妥協しない姿勢」として高く評価されることもあります。
特に店舗実習では、お客様とのコミュニケーションを通じて、自分の「対人能力」がどの程度通用するのか、リアルな手応えを感じることができます。
思うように商品が売れなかった時、何が原因だったのかを振り返る作業(=リフレクション)は、そのまま自己分析につながります。
インターンシップで「できたこと」「できなかったこと」「楽しいと感じたこと」「苦痛だと感じたこと」を具体的に言語化していくことで、自分の「得意」や「価値観」が明確になります。
この「実体験に基づいた自己分析」は、机の上で過去を振り返るだけの自己分析よりも、はるかに説得力があり、本選考の「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」や「自己PR」の強力なエピソードとなります。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界でインターンシップを実施している企業(25年6月時点)
アパレル業界では、非常に多くの企業がインターンシップを実施しています。
グローバルに展開するSPA(製造小売業)の巨人から、独自のセンスでトレンドを牽引するセレクトショップ、多種多様なブランドを抱える大手アパレルメーカーまで、その形態は様々です。
ここで紹介するのは、あくまで2025年6月時点(※執筆時点の2025年10月における「26卒向け」の情報として解釈)での一例であり、年度によってプログラム内容や募集時期は変動します。
重要なのは、これらの例を参考にしつつ、自分が興味を持つ企業の採用サイトをこまめに確認し、最新の情報を自分で掴み取ることです。
各社がどのような人材を求め、どのような体験を提供しようとしているのか、その「意図」を読み解きながら企業研究を進めましょう。
このセクションでは、それぞれ異なる特徴を持つ代表的な3社をピックアップし、過去に実施されたインターンシップの傾向や特徴について解説します。
自分の志向性と照らし合わせながら、どの企業のインターンシップが自分に合っているかを考えてみてください。
ファーストリテイリング
「ユニクロ」や「ジーユー」を展開するファーストリテイリングは、アパレル業界の枠を超え、世界的なリーディングカンパニーとして就活生から絶大な人気を誇ります。
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という理念のもと、インターンシップも非常に本質的かつ挑戦的な内容となっているのが特徴です。
同社のインターンシップは、単なる「アパレル体験」ではなく、「グローバルリーダー」や「経営者」を育成することに主眼が置かれています。
例えば、過去には数日間にわたり、実際の店舗運営における課題(売上、在庫、人員配置など)を分析し、具体的な改善策を立案・実行・検証するような、非常に難易度の高いプログラムが実施されました。
参加者には、徹底した顧客視点と、データを元にした論理的思考、そしてチームを巻き込むリーダーシップが求められます。
「服が好き」というレベルを超え、アパレルというビジネスを通じて世界を舞台に活躍したい、本気で経営を学びたいという高い志を持つ学生にとって、これ以上ない成長の機会となるでしょう。
選考難易度は極めて高いですが、挑戦する価値は十分にあります。
ユナイテッドアローズ
「UNITED ARROWS」や「BEAUTY&YOUTH」など、高感度なセレクトショップを多数展開するユナイテッドアローズは、その洗練されたブランドイメージと独自の企業理念で、多くの学生を惹きつけています。
同社のインターンシップの特徴は、「販売職」の重要性と専門性を深く理解することに重点を置いている点です。
ユナイテッドアローズは「お客様への対応(接客)」をビジネスの核と捉えており、インターンシップでも、その理念を体現するためのワークショップや、店舗での実務体験が中心となることが多いです。
例えば、「お客様の潜在的なニーズを引き出し、期待を超える提案を行う」ためのロールプレイングや、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を通じて「服」だけでなく「ライフスタイル」をどう表現するかを考えるグループワークなどが実施されます。
単に服を売るのではなく、独自の価値観やスタイルを「提案」することの難しさとやりがいを学べるのが大きな魅力です。
ファッションへの高い感度と、ホスピタリティ精神、そして同社の理念への深い共感をアピールすることが、選考突破の鍵となるでしょう。
ワールド
「UNTITLED」や「TAKEO KIKUCHI」など、百貨店向けブランドからSC(ショッピングセンター)向けブランドまで、非常に多岐にわたるブランドポートフォリオを持つワールドグループも、多様なインターンシップを提供しています。
同社の特徴は、長年培ってきたアパレルビジネスのノウハウと、近年強化している「プラットフォーム事業(BtoB)」の両側面を学べる可能性がある点です。
インターンシップでは、同社の持つ豊富なブランド群の中から一つを取り上げ、そのブランドの課題分析やリブランディング戦略を考えるといった、マーケティングやMD(マーチャンダイザー)に近い視点が求められるワークショップが開催されることがあります。
また、総合アパレルメーカーとして、企画、生産、販売、物流といった一連の「サプライチェーン」の仕組みを学ぶ座学も充実しています。
特定のブランドが好きというだけでなく、アパレルビジネス全体の構造や、多様なブランドをマネジメントする「仕組み」に興味がある学生にとって、非常に学びの多いプログラムとなるでしょう。
幅広い事業展開をしているからこそ、自分の活躍できるフィールドを見つけやすい企業とも言えます。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンに合格するためのポイント
アパレル業界のインターンシップは、その人気ゆえに選考倍率が高くなることが予想されます。
特に企画職やマーケティング職、そして人気の高い大手企業のインターンシップは、多くの学生が応募します。
その中で選考を突破するためには、他の学生と差をつけるための「戦略」が必要です。
「服が好きです」「御社のブランドのファンです」という熱意はもちろん重要ですが、それだけでは不十分です。
企業側が知りたいのは、「なぜ数あるアパレル企業の中で自社なのか」「その学生がインターンシップで何を学び、将来どのように活躍してくれそうか」という点です。
つまり、「好き」という感情を、いかに「ビジネスへの理解」と「自身の強み」に結びつけて語れるかが勝負の分かれ目となります。
このセクションでは、アパレル業界のインターンシップ選考(エントリーシートや面接)を突破するために、皆さんが今すぐ準備すべき3つの重要なポイントを解説します。
これらを徹底的に準備することが、合格への最短距離となります。
企業研究とブランド理解
インターンシップの選考を突破するために最も重要なことは、「徹底した企業研究とブランド理解」です。
エントリーシートや面接で必ず問われる「なぜ当社か」という質問に対し、説得力のある回答を用意するためには欠かせません。
アパレル業界は、似たようなテイストのブランドや、同じSPAモデルを採用している企業も多く、差別化が難しいと感じるかもしれません。
だからこそ、表面的な情報(売上高、店舗数、人気商品)だけでなく、その企業の「理念(フィロソフィー)」や「歴史」、そして「強みと弱み(課題)」まで深く掘り下げる必要があります。
例えば、同じセレクトショップでも、ユナイテッドアローズとビームスでは、企業理念やお客様へのスタンス、得意とするスタイルが異なります。
その違いを自分の言葉で説明できなければなりません。
最も有効な研究方法は、実際に店舗に足を運ぶことです。
複数の競合店舗を訪れ、商品のラインナップ、価格帯、ディスプレイ(VMD)、そして「店員の接客スタイル」を徹底的に比較してください。
そこで感じた「違い」こそが、皆さんの志望動機を裏付ける強力な根拠となります。
「なぜアパレルか」を明確にする
次に重要なのが、「なぜあなたはアパレル業界を志望するのか」という問いに対する答えを、論理的に構築することです。
多くの学生が「服が好きだから」という理由を挙げますが、これは「きっかけ」に過ぎず、「志望動機」としては非常に弱いと言わざるを得ません。
面接官は「服が好きな人」ではなく、「服を“仕事”にしたい人」を探しています。
「好き」という感情を、自分の「強み」や「過去の経験」と結びつけて、「なぜ仕事としてアパレルを選んだのか」を説明する必要があります。
例えば、「服が好きなだけでなく、大学時代の文化祭で企画リーダーとしてチームをまとめ、目標を達成した経験がある。
この『企画力』と『実行力』を活かし、服を通じて人々の生活を豊かにするMDの仕事に挑戦したい」といった具合です。
あるいは、「アパレルでのアルバイトを通じて、お客様の悩みに寄り添い、コーディネートを提案することで『ありがとう』と言われることに、何よりもやりがいを感じた。
この経験から、接客のプロフェッショナルとしてキャリアを築きたい」というのも立派な動機です。
自分の原体験とアパレル業界の接点を見つけ出し、自分だけのストーリーを構築しましょう。
アルバイト経験などを具体的に語る
アパレル業界を志望する学生の中には、アパレル(服屋)や雑貨店でのアルバイト経験を持つ人も多いでしょう。
これは、インターンシップの選考において非常に強力な武器となります。
ただし、単に「アパレルでバイトしていました」と事実を述べるだけではアピールになりません。
重要なのは、その経験を通じて「何を考え、何を学び、どのような成果を出したか」を具体的に語ることです。
例えば、「ただ接客するだけでなく、お客様の年齢層や天候に合わせてディスプレイの服を変更することを店長に提案し、その結果、特定商品の売上が前週比で10%向上した」といった具体的なエピソードが求められます。
また、「在庫管理の効率化のために、バックヤードの整理方法を見直し、品出しの時間を短縮することに貢献した」という裏方のエピソードも、ビジネス視点を持っている証拠として高く評価されます。
アルバイトをしていない場合でも、サークル活動や学業で「目標達成のために工夫した経験」や「チームで課題を乗り越えた経験」があれば、それをアパレルビジネス(例:チームで売上目標を追う)に置き換えてアピールすることが可能です。
【アパレル業界のインターンシップ】アパレル業界のインターンシップに関するよくある質問
ここまでアパレル業界のインターンシップについて詳しく解説してきましたが、皆さんの頭の中には、まだいくつかの具体的な疑問や不安が残っているかもしれません。
「専門知識がないと不利になるのでは?」「私服指定って、具体的に何を着ればいいの?」といった、アパレル業界ならではの悩みは尽きないものです。
こうした細かい疑問を一つひとつ解消しておくことは、自信を持って選考に臨むために非常に重要です。
多くの学生が同じような不安を抱えていますから、ここでしっかりと確認しておきましょう。
このセクションでは、就活生から特によく寄せられる3つの質問(FAQ)を取り上げ、それぞれに対して就活アドバイザーの視点から具体的にお答えしていきます。
これらの回答を参考に、万全の態勢でインターンシップの準備を進めてください。
服飾系の学部でなくても不利にならないか
これは非常に多い質問ですが、結論から言えば、「総合職(販売、営業、MD、マーケティングなど)」を目指す場合、服飾系の学部でないことは全く不利になりません。
むしろ、企業側は多様なバックグラウンドを持つ人材を求めています。
例えば、経済学部で学んだデータ分析能力はMD職に、文学部で培った言語化能力はプレスやマーケティング職に、法学部で学んだ論理的思考力は営業や生産管理職に、それぞれ活かすことができます。
アパレル企業は「ファッションのプロ」であると同時に、「ビジネスのプロ」を求めているのです。
そのため、一般学部で学んだ専門性や論理的思考力は、大きな強みとなります。
ただし、「デザイナー」や「パタンナー」といった技術的な専門職を志望する場合、話は別です。
これらの職種は、服飾の専門知識やデザインスキル、ポートフォリオ(作品集)が選考でほぼ必須となるため、専門の学部や学校で学んでいる学生が有利になるのは事実です。
自分がどの職種を目指すのかによって、この質問の答えは変わってくることを理解しておきましょう。
インターンシップの服装は(私服の場合)
アパレル業界特有の「私服参加」の指定は、多くの学生を悩ませるポイントです。
まず大前提として守るべきは「清潔感」です。
シワだらけのシャツや、汚れた靴は論外です。
その上で、どのような服装を選ぶべきかですが、最も安全かつ効果的なのは、「その企業のブランドイメージやテイストに合わせる」ことです。
例えば、ユニクロのようなシンプルでクリーンなブランドのインターンシップであれば、奇抜なデザインよりも、上質な素材感のシンプルな服装が好まれます。
一方、トレンドを強く打ち出すセレクトショップであれば、ある程度トレンドを取り入れたコーディネートが評価されるでしょう。
もし可能であれば、その企業の服をコーディネートに一点取り入れるのも、企業研究のアピールになります。
ただし、競合他社のロゴが大きく入った服を着ていくのは、絶対に避けるべきマナー違反です。
迷った場合は、その企業の店舗スタッフがどのような服装をしているか、あるいはWebサイトやSNSに登場する社員の服装を参考にすると良いでしょう。
「自分らしさ」と「企業へのリスペクト」のバランスが鍵となります。
インターンシップに参加しないと本選考で不利になるか
この質問に対しても、多くの学生が不安を感じています。
結論としては、「インターンシップに参加しなかったからといって、それだけで即不合格になるわけではないが、参加した学生に比べて不利になる可能性は高い」 と言えます。
理由は2つあります。
1つ目は、「早期選考ルート」の存在です。
先述の通り、多くの企業がインターンシップ参加者(特に成績優秀者)に対し、本選考の一部免除や、一般応募とは別の選考ルートを用意しています。
このルートに乗れない時点で、内定獲得のチャンスが一つ減ることになります。
2つ目は、「志望動機の深さ」です。
インターンシップに参加した学生は、実務体験や社員との交流を通じて、その企業の「リアル」を深く理解しています。
その結果、本選考のESや面接で語る「志望動機」や「入社後にやりたいこと」には、圧倒的な具体性と熱量が宿ります。
インターンシップに参加していない学生が、Webサイトの情報だけでこれに対抗するのは容易ではありません。
したがって、志望度が高い企業であればあるほど、インターンシップへの参加は必須であると考え、全力で準備することをおすすめします。
【アパレル業界のインターンシップ】まとめ
アパレル業界のインターンシップについて、その全体像から具体的な内容、選考対策まで詳しく解説してきました。
アパレル業界は、「好き」を仕事にできる魅力的な業界であると同時に、トレンドの移り変わりが激しく、グローバルな競争に晒される厳しいビジネスの世界でもあります。
インターンシップは、その華やかさと厳しさの両方を肌で感じ、自分が本当に「消費者」から「提供者」へとマインドセットを変えて働く覚悟があるのかを確かめる、またとない機会です。
選考を突破するためには、「服が好き」という気持ちを一歩進め、「なぜこの企業で、自分のこの強みを活かして貢献したいのか」を論理的に説明する必要があります。
本記事で紹介した企業研究の方法や自己PRのポイントを参考に、しっかりと準備を整えてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート











