銀行のインターンシップを徹底解説!実施企業や合格のためのポイントも紹介

銀行のインターンシップを徹底解説!実施企業や合格のためのポイントも紹介

就職活動を進める中で、「銀行」はいつの時代も高い人気を誇る業界です。

特にメガバンクをはじめとする大手銀行のインターンシップは、参加倍率が非常に高く、多くの学生が挑戦します。

しかし、その人気の高さゆえに、「なぜ銀行なのか?」「インターンシップで何をするのか?」といった本質的な部分を深く理解しないまま応募してしまうケースも少なくありません。

この記事では、銀行のインターンシップに焦点を当て、その概要から具体的なプログラム内容、人気の理由、そして最難関とも言われる選考を突破するためのポイントまで、網羅的に解説していきます。

銀行業界に興味がある方はもちろん、まだ志望業界を絞り込めていない方も、この記事を通じて「銀行で働く」ことのリアルなイメージを掴んでください。

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【銀行のインターンシップ】銀行とは

まず、「銀行」とは何か、その役割を再確認しましょう。

皆さんの最も身近な存在としては、「預金」や「振込」を行う場所かもしれません。

しかし、銀行の本来の役割はそれだけではありません。

銀行には大きく分けて「預金業務」「貸出業務」「為替業務」という三大業務があります。

これらは、社会のお金の流れを円滑にする「金融仲介機能」と呼ばれ、経済活動に不可欠なインフラです。

個人の資産を預かるだけでなく、企業が新しい事業を始めるための資金を「貸出(融資)」し、国内外の企業間での支払い(決済)を「為替」で支えています。

まさに、社会の「血液」であるお金を循環させる心臓部と言えるでしょう。

また、一口に銀行と言っても、全国規模でグローバルな取引を行う「メガバンク」、特定地域に根差して中小企業を支える「地方銀行」、資産運用や不動産などを専門に扱う「信託銀行」など、その種類と役割は多岐にわたります。

就職活動においては、この「銀行ごとの特徴」を理解することが、志望動機を深める第一歩となります。

【銀行のインターンシップ】インターンシップを募集している職種

銀行のインターンシップと聞くと、窓口業務や法人営業をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、近年の銀行業務は非常に多様化しており、インターンシップも様々な職種(コース)に分けて募集されることが一般的です。

自分が将来どのようなキャリアを歩みたいのか、どの分野で専門性を発揮したいのかを考え、応募するコースを選ぶことが非常に重要になります。

例えば、幅広く銀行業務を経験しながらキャリアを築く「総合職」と、特定の分野(マーケット、ITなど)で専門性を高める「専門職」では、インターンシップの内容も求められる素養も大きく異なります。

自分の適性や興味がどこにあるのかを見極めるためにも、まずはどのような職種が募集されているのかを知ることから始めましょう。

安易に「一番募集人数が多いから」という理由で選ぶのではなく、各職種の内容をしっかり比較検討してください。

総合職

銀行のインターンシップ募集において、最も一般的で募集人数も多いのが「総合職」コースです。

この職種は、将来の銀行を担う幹部候補生として、幅広い業務を経験することが前提となっています。

インターンシップでは、特に「法人営業(リテール部門含む)」の業務を体験するプログラムが組まれることが多いのが特徴です。

具体的には、数人のグループで架空の企業(クライアント)の財務状況や事業課題を分析し、「どのような融資プランを提案すべきか」「事業承継の問題をどう解決するか」といった課題解決型のグループワークを行います。

このプロセスを通じて、銀行員に求められる論理的思考力、情報分析力、そしてチームで成果を出す協調性を学ぶことができます。

総合職は特定の専門知識よりも、未知の課題に対して前向きに取り組み、周囲を巻き込みながら答えを出していく「ポテンシャル」が重視される傾向にあります。

金融の知識に自信がなくても、これまでの学生生活(ガクチカ)で培った課題解決能力やリーダーシップを発揮したい学生に最適なコースと言えるでしょう。

専門職

「専門職」コースは、特定の分野におけるプロフェッショナルを目指すための採用枠です。

総合職が幅広く業務を経験するジェネラリストであるのに対し、専門職は入行初期から特定の部門に配属され、高度な専門性を磨いていくスペシャリストとなります。

インターンシップも、その専門分野に特化した非常に高度な内容となるケースがほとんどです。

例えば、「マーケット部門」であれば、為替ディーリングのシミュレーションや、複雑な金融商品の設計を体験します。

「アセットマネジメント部門」では、市場分析やポートフォリオ構築のワークショップが行われるでしょう。

これらの職種は、金融工学、数学、統計学といった理系の素養や、高度な語学力が求められることも少なくありません。

そのため、インターンシップの選考段階から、大学での研究内容や関連する知識・資格の有無を問われることもあります。

「自分の専門性を金融の世界で活かしたい」という明確な意志と、高い学習意欲を持つ学生にとって、非常に挑戦しがいのあるコースです。

IT・DX職

近年、銀行業界全体が最も力を入れている分野が「IT・DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

従来の銀行システムを維持・管理するだけでなく、AIを活用した新しい金融サービスの開発、ビッグデータを活用したマーケティング戦略、FinTech企業との連携、そして強固なサイバーセキュリティの構築など、その役割は急速に拡大しています。

これに伴い、IT・DX職専門のインターンシップを導入する銀行が急増しています。

プログラム内容は、銀行の持つ膨大なデータを分析するデータサイエンスのワークショップ、新しいスマートフォンアプリの企画立案、実際のシステム開発の現場見学など、非常に実践的です。

この職種は、情報系の学生はもちろん、統計学やデータ分析を学んだ文系の学生にも門戸が開かれています。

銀行という巨大なプラットフォームを舞台に、テクノロジーの力で新しい金融の未来を創り出したい、そんな意欲を持つ学生に強くおすすめするコースです。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンシップの時期

就職活動において、スケジュール管理は合否を分ける非常に重要な要素です。

特に銀行のインターンシップは、その人気と重要性の高さから、他の業界に比べて募集開始時期が早い傾向にあります。

大学3年生(修士1年生)の春、新学年が始まってすぐに情報解禁・募集開始となるケースも珍しくありません。

「夏休み前の6月頃から考え始めれば良いだろう」と油断していると、気づいた時には主要なメガバンクのサマーインターンシップの募集が締め切られていた、という事態になりかねません。

インターンシップは主に夏(サマーインターン)と秋冬(オータム・ウィンターインターン)に開催されますが、それぞれに特徴と目的があります。

本選考への影響度も異なるため、自分がどの時期に、どのインターンシップに参加すべきか、戦略的に計画を立てる必要があります。

募集期間

銀行インターンシップの募集期間は、大きく分けて2つのピークがあります。

1つ目は「サマーインターンシップ」です。

これは主に大学3年生(修士1年生)の6月〜7月にかけて募集が行われます。

情報解禁はさらに早く、4月〜5月頃から各銀行のウェブサイトで情報が出始めます。

エントリーシート(ES)の提出やWebテストの受検がこの時期に集中するため、大学の授業や試験と並行して準備を進める必要があり、非常に多忙になります。

2つ目のピークは「オータム・ウィンターインターンシップ」で、こちらは主に9月〜12月頃にかけて募集が行われます。

サマーインターンに比べると募集枠が少ない場合もありますが、本選考が近づいていることもあり、より選考直結型のプログラムが用意されていることもあります。

どちらの時期も、募集期間が非常にタイト(数週間程度)であることが多いため、常にアンテナを張り、志望企業の締切を見逃さないよう注意が必須です。

開催期間

インターンシップの「開催期間」も様々です。

サマーインターンシップは、大学の夏休み期間である8月〜9月に集中して開催されます。

一方、ウィンターインターンシップは、大学の冬休みや春休み期間にあたる12月〜2月頃に開催されるのが一般的です。

プログラムの「日数」にも注目しましょう。

最も多いのは、3日間〜5日間程度の「短期インターンシップ」です。

これは、グループワークや社員との座談会を通じて、業務理解と企業理解を深めることを目的としています。

また、企業説明会と簡易的なワークショップを組み合わせた「1dayインターンシップ(ワンデー仕事体験)」も多く開催されます。

これは主に業界研究や企業比較のために活用できます。

稀に、2週間〜1カ月程度の実務体験型「長期インターンシップ」が開催されることもあり、これらは非常に選考倍率が高いですが、得られる経験も格段に大きくなります。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンシップの内容

銀行のインターンシップでは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

前述の通り、開催期間によってその内容は大きく異なります。

1dayのような短期間のものでは「企業理解」がメインとなり、数日間にわたるものでは「業務理解」と「参加学生の評価」がメインとなります。

銀行のインターンシップは、コンサルティング業界と並び、非常に「思考力」を問われるプログラムが多いのが特徴です。

単に講義を聞くだけの「受け身」の姿勢では、何も得られません。

どのプログラムに参加するにしても、「自分ならどう考えるか」「なぜその結論に至ったのか」を常に問われます。

ここでは、代表的な期間別のプログラム内容について、その特徴と目的を解説します。

自分の目的に合わせて、どの期間のインターンシップに応募すべきかを見極めましょう。

1dayインターンシップ

1dayインターンシップは、その名の通り1日で完結するプログラムです。

多くの場合、午前中は「業界・企業説明」に充てられ、銀行の役割、業務内容、その銀行の強みやカルチャーについて、人事担当者や現場社員から詳しい説明を受けます。

午後は、「簡易的なグループワーク」や「座談会」が設定されるのが一般的です。

グループワークといっても、数日間のインターンのように複雑な財務分析を行うものは少なく、「銀行の新しいサービスを考える」「中小企業の課題を特定する」といった、比較的短時間でアイデアを出し合う形式のものが主流です。

このプログラムの最大の目的は、学生に「銀行業務への興味」を持ってもらうことです。

そのため、選考要素は薄い(あるいは無い)場合が多く、参加のハードルも比較的低い傾向にあります。

業界研究を始めたばかりの時期に、複数の銀行を比較検討するために参加するのが効果的な使い方です。

短期インターンシップ(数日)

銀行インターンシップの「本番」とも言えるのが、3日間〜5日間程度の短期インターンシップです。

このプログラムの中核を成すのは、間違いなく「グループワーク(GW)」です。

特に、総合職コースでは「法人営業体感ワーク」が定番となっています。

参加者は4〜6人程度のチームに分けられ、架空のクライアント企業に関する詳細な資料(財務諸表、事業内容、市場環境など)が渡されます。

そして、「この企業の経営課題を特定し、銀行員として解決策(融資、コンサルティング等)を提案せよ」といった課題が与えられます。

最終日には、チームで練り上げた提案を、現場の管理職クラスの社員(審査役)の前でプレゼンテーションします。

この全プロセスを通じて、銀行員に必須の論理的思考力、情報処理能力、協調性、プレゼンテーション能力が厳しく評価されます。

社員からのフィードバックも非常に手厚く、本選考に直結するケースが最も多い、非常に重要なインターンシップです。

長期インターンシップ(数週間)

数週間にわたる長期インターンシップは、主にメガバンクや一部の専門職コースで募集されることがあります。

これは、ベンチャー企業などで見られる「実務型」のインターンシップに近い形態です。

参加者は、特定の部署に仮配属され、社員の指導のもとで実際の業務に近いプロジェクトやリサーチを担当します。

例えば、マーケット部門であれば、実際のアナリストと共に特定セクターの市場分析レポートを作成したり、IT・DX部門であれば、新しいシステムの開発プロジェクトの一部に関わったりします。

短期インターンシップが「シミュレーション」であるのに対し、長期インターンシップは「リアルな業務」の一端を担う点が最大の違いです。

そのため、求められるコミットメントも高く、選考も非常に難関です。

しかし、得られる経験は圧倒的であり、自分の適性を深く見極められるだけでなく、社員と強固な関係性を築くことも可能です。

優秀な成果を残せば、本選考で極めて有利になることは間違いないでしょう。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンシップが人気な理由

なぜ、銀行のインターンシップはこれほどまでに高い人気を集めるのでしょうか。

その背景には、単なる「安定」というイメージだけではない、就活生を惹きつける複数の理由が存在します。

銀行は、あらゆる産業と密接に関わっており、その業務を通じて経済全体の動きをダイナミックに感じられる業界です。

そのスケールの大きな仕事内容に魅力を感じる学生は少なくありません。

また、銀行が長年培ってきた「人材育成の仕組み」に対する信頼感もあります。

手厚い研修制度や、若いうちから責任ある仕事を任される環境に、自己成長の可能性を見出す学生も多いでしょう。

ここでは、数ある理由の中から、特に多くの就活生が銀行インターンシップを志望する「3つの主要な理由」について深掘りしていきます。

安定性と信頼性

多くの変革期にあるとはいえ、銀行業界が持つ「安定性」と「社会的信頼性」は、依然として就活生にとって大きな魅力です。

銀行は国の金融インフラを支える根幹的な存在であり、その公共性の高さは他の業界にはない特徴です。

景気の波に左右されにくいビジネスモデル(預金・貸出)を持っていることに加え、大手銀行であればその経営基盤は極めて強固です。

また、「銀行員」という職業が持つ社会的な信用の高さも、学生が惹かれる要因の一つでしょう。

親世代からのイメージも良く、自分のキャリアを「手堅く」スタートさせたいと考える堅実な学生層から、根強い支持を集めています。

インターンシップは、その安定した組織の内部を直接見ることができる最初の機会であり、そのカルチャーや雰囲気を肌で感じたいという動機が、人気を後押ししています。

業務内容の専門性と社会貢献性

銀行の業務は、非常に高度な専門知識を要します。

法人営業であれば財務・会計・法務、マーケット部門であれば金融工学や経済学など、常に学び続ける姿勢が求められます。

こうした「専門性」を身につけ、金融のプロフェッショナルとして成長できる環境に魅力を感じる学生は非常に多いです。

単なる「物売り」ではなく、企業の経営者と対等に渡り合い、財務戦略のパートナーとして課題解決に貢献できる仕事に、知的なやりがいを見出すのです。

また、その「社会貢献性」の高さも人気の理由です。

銀行の融資がなければ、新しい工場は建たず、革新的なベンチャー企業も成長できません。

自分たちの仕事が、企業を支え、雇用を生み出し、ひいては日本経済全体に貢献しているという「スケールの大きさ」と「使命感」は、銀行業務ならではの醍醐味です。

インターンシップでその一端に触れることは、大きな動機付けとなります。

本選考への優遇

実利的な面で、これが最も大きな理由の一つであることは間違いありません。

多くの銀行、特にメガバンクでは、サマーやウィンターの短期インターンシップが「本選考の一部」として明確に位置づけられています。

インターンシップに参加し、そこで高い評価を得ることが、その後の「早期選考(通常よりも早い時期に行われる選考)」への招待条件となっているケースが非常に多いのです。

銀行は、数日間のグループワークを通じて、ESや数回の面接だけでは分からない学生の「本質的な能力(論理的思考力や協調性など)」を見極めようとしています。

インターンシップで優秀と判断された学生は、本選考の一次・二次面接が免除されたり、特別なリクルーターがついたりするなど、内定獲得に向けて非常に有利なポジションを得ることができます。

この「選考のファストパス」を得るために、多くの優秀な学生が銀行インターンシップに殺到するのです。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンシップの特徴

銀行のインターンシップには、他の業界(例えばメーカーやIT)とは異なる、いくつかの際立った特徴があります。

これらの特徴を事前に理解しておくことは、選考対策を立てる上でも、インターンシップ本番で成果を出す上でも非常に重要です。

一言でいえば、銀行のインターンシップは「短期間で、学生の地頭と対人能力を徹底的に見極める場」であると言えます。

知識の量よりも、プレッシャーの中でいかに論理的に考え、チームとしてのアウトプットを最大化できるかが問われます。

また、金融という「信用」を扱う業界柄、プログラムの運営は非常に厳格で、参加する学生の質も極めて高いレベルでそろっています。

ここでは、銀行インターンシップに臨む上で知っておくべき「3つの際立った特徴」を解説します。

グループワーク(GW)が多い

前述の通り、銀行のインターンシップ、特に数日間のプログラムは「グループワーク(GW)漬け」と言っても過言ではありません。

これは、銀行の実際の業務が、一人で完結することはほぼ無く、常にチームで動くことを前提としているためです。

法人営業担当者がクライアントから相談を受けても、融資を実行するには審査部門の分析と承認が不可欠であり、複雑な案件では法務部や市場部門との連携も必要になります。

インターンシップのGWは、まさにこの「協働プロセス」のシミュレーションです。

社員は、個人の能力(分析力、発想力)だけでなく、チーム内での「立ち回り」を厳しくチェックしています。

例えば、議論をリードする力、対立意見を調整する力、他のメンバーの意見を引き出す傾聴力など、チーム全体のパフォーマンスをいかに高められるかが評価のポイントとなります。

選考倍率が非常に高い

銀行インターンシップ、特にメガバンクや大手信託銀行のプログラムは、就活生全体の中でもトップクラスの応募数を集めます。

人気のプログラムともなれば、その選考倍率は数十倍から、時には100倍近くに達することもあります。

これは、本選考への優遇措置が大きな魅力であることに加え、金融業界に興味がない学生でも「力試し」や「業界研究」のために応募するケースが多いためです。

この高い倍率を突破するためには、まずES(エントリーシート)とWebテストという「第一関門」をクリアしなければなりません。

特にWebテストは、多くの応募者をふるいにかけるために、ボーダーラインが非常に高く設定されていると言われています。

中途半端な準備では、インターンシップのスタートラインに立つことすらできないという厳しさが、銀行インターンシップの大きな特徴です。

実施期間が比較的短い

メーカーの技術系インターンシップや、IT企業のエンジニアインターンシップでは、数週間から数カ月にわたる長期プログラムが用意されていることもあります。

それに対し、銀行のインターンシップは、1day、3日間、長くても5日間程度と、比較的「短期間」に集中しているのが特徴です。

これは、銀行が一度に非常に多くの学生を受け入れ、効率的に評価・選別を行う必要があるためです。

また、学生側にとっても、短期間であれば大学の授業と両立しやすく、夏休み期間中に複数の企業のインターンシップに参加できるというメリットがあります。

しかし、期間が短いということは、「濃密」であることの裏返しでもあります。

わずか数日間で自分の能力をアピールしきらなければならず、初日からトップスピードで思考し、発言していくことが求められます。

じっくりと自分を慣らしていく時間は無い、という緊張感が常にあります。

【銀行のインターンシップ】銀行でインターンシップに参加するメリット

高い競争率を勝ち抜いて銀行のインターンシップに参加することには、本選考への優遇以外にも、計り知れないほどの大きなメリットがあります。

たとえその銀行が第一志望でなかったとしても、銀行のインターンシップで得られる経験は、他の業界の選考を受ける上でも必ず役立つ「ポータブルスキル」を鍛えてくれます。

論理的に物事を考え、データを分析し、他者に分かりやすく伝える能力は、あらゆる仕事の基礎となるからです。

また、全国から集まる優秀な学生たちと数日間、真剣に議論を交わす経験は、自分の現在地を知り、視野を広げる絶好の機会となります。

ここでは、インターンシップ参加によって得られる「3つの主要なメリット」について具体的に説明します。

業界・企業理解が深まる

インターンシップに参加する最大のメリットは、やはり「業界・企業理解」が圧倒的に深まることです。

ウェブサイトや説明会で聞く「企業の課題解決をサポートします」という言葉が、具体的にどのような業務プロセスを経て実現されているのかを、身をもって体験できます。

例えば、グループワークで財務諸表(B/S、P/L)を読み解き、その企業の強みや弱みを分析する作業を通じて、銀行員が日常的にどのような「視点」で企業を見ているのかをリアルに知ることができます。

また、プログラム中に多くの時間を共にする現場社員との交流は、非常に貴重な情報源です。

仕事のやりがいだけでなく、厳しさ、忙しさ、キャリアパスの実際など、パンフレットには書かれていない「生の声」を聞くことで、その企業で働くことの解像度が格段に上がります。

この「リアルな理解」こそが、入社後のミスマッチを防ぐ最大の武器となります。

志望動機が明確になる

「なぜ自分は銀行で働きたいのか?」この問いに対する「自分だけの答え」を見つけられることも、大きなメリットです。

多くの学生が、インターンシップに参加する前は「経済を支えたい」「規模の大きな仕事がしたい」といった、やや漠然とした志望動機を持っています。

しかし、インターンシップでの実体験を通じて、その動機はより具体的で強固なものへと進化します。

例えば、グループワークで必死に考え抜いた提案が、現場社員から「その視点は面白い」と評価された経験は、「自分の分析力を活かして、企業の成長に貢献したい」という確信に変わるでしょう。

逆に、「この仕事は自分には向いていないかもしれない」と気づくことも、同様に価値のある「発見」です。

いずれにせよ、インターンシップという「原体験」に基づいた志望動機は、本選考の面接において、他の誰にも真似できない圧倒的な説得力を持ちます。

優秀な学生と出会える

銀行のインターンシップ、特にメガバンクのプログラムは、全国のトップクラスの大学から、非常に優秀な学生が集結する場です。

学業だけでなく、部活動、留学、起業など、様々な分野で高い成果を出してきた「猛者」たちと、寝食を(オンラインだとしても)共にするかのように濃密な数日間を過ごします。

グループワークでは、自分とは全く異なる視点からの鋭い意見や、卓越したリーダーシップに圧倒されることもあるかもしれません。

しかし、この「レベルの高い環境」に身を置くことこそが、自分自身の成長にとって最大の起爆剤となります。

自分の強みと弱みを客観的に認識できるだけでなく、彼らから受ける「知的刺激」は、その後の就職活動全体へのモチベーションを高めてくれます。

そして、ここで出会った仲間たちは、就活中はもちろん、社会人になってからも続く「貴重な人脈」となるはずです。

【銀行のインターンシップ】銀行でインターンシップを実施している企業(25年6月時点)

銀行と一口に言っても、その種類は様々です。

ここでは、2025年6月時点の情報に基づき、インターンシップを実施している代表的な銀行を「メガバンク」「信託銀行」「地方銀行」の3つのカテゴリに分けて紹介します。

各カテゴリの代表例を知ることで、それぞれの銀行が持つ特色や、インターンシップで求められることの違いが見えてくるはずです。

(※注:下記はあくまで一例であり、プログラム内容や募集時期は年度によって異なります。

必ず各企業の最新の採用情報をご確認ください。

自分の興味やキャリアプランに合わせて、どのタイプの銀行が自分に合っているかを考える参考にしてください。

メガバンク(例:三菱UFJ銀行)

日本を代表する3大メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)は、いずれも大規模なインターンシッププログラムを実施しています。

ここでは三菱UFJ銀行を例に挙げますが、その特徴は「圧倒的な規模感」と「業務の幅広さ」です。

グローバルな大企業や海外プロジェクトのファイナンス案件をテーマにしたグループワークなど、メガバンクならではのダイナミックな仕事を体感できるプログラムが用意されています。

また、総合職(オープン)、専門職(マーケット、ITなど)と、コース別採用が明確に分かれており、自分の志向に合わせた応募が可能です。

国内外の優秀な学生がこぞって応募するため、選考は極めてハイレベルですが、参加できれば本選考への大きなアドバンテージと、他では得難い経験が手に入ります。

信託銀行(例:三井住友信託銀行)

信託銀行は、通常の銀行業務(預金、貸出)に加え、「信託業務」と「併営業務(不動産、証券代行など)」を手掛ける専門性の高い金融機関です。

三井住友信託銀行をはじめとする大手信託銀行のインターンシップでは、この「業務の幅広さ」を活かしたプログラムが特徴です。

例えば、個人の資産運用コンサルティング、企業の年金制度設計、不動産の仲介・管理といった、メガバンクとは一味違うテーマのワークが体験できます。

銀行業務だけでなく、不動産や資産運用といった分野にも深く関わりたいと考える学生にとって、非常に魅力的な選択肢です。

求められるのは、ジェネラリストとしての素養に加え、特定の分野を深く掘り下げる知的好奇心と専門性です。

地方銀行(例:横浜銀行)

地方銀行は、その名の通り、特定の地域に根差した金融サービスを提供する銀行です。

横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)のようなトップクラスの地方銀行は、メガバンクに引けを取らない高度な金融ソリューションを提供しています。

地方銀行のインターンシップの最大の特徴は、「地域密着」のリアルな業務を体感できる点にあります。

顧客は地元の中小企業や個人が中心であり、グループワークのテーマも「地元の商店街の活性化プラン」「地域企業の事業承継問題」など、より身近で具体的なものが多くなります。

「生まれ育った地元に貢献したい」「大企業だけでなく、中小企業の経営者と深く関わりたい」といった志向を持つ学生に最適です。

その地域での影響力は絶大であり、地域経済のハブとしての役割を肌で感じることができるでしょう。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンに合格するためのポイント

これまで見てきたように、銀行のインターンシップは非常に価値が高い反面、選考倍率も極めて高い難関です。

この狭き門を突破するためには、付け焼き刃の対策ではなく、戦略的な準備が不可欠です。

銀行がインターンシップ選考で見ているのは、大きく分けて「論理的思考力(地頭)」「協調性(チームワーク)」「志望度の高さ(熱意)」の3点です。

これらをES、Webテスト、面接(またはグループディスカッション)という選考プロセスの中で、いかに効果的にアピールできるかが勝負の分かれ目となります。

ここでは、数多くの学生を指導してきたアドバイザーの視点から、合格のために「絶対に外せない」3つのポイントを伝授します。

志望動機(なぜ銀行か)を明確にする

ESや面接で必ず問われるのが「志望動機」です。

「なぜ他の業界ではなく、銀行なのか?」「なぜ他の銀行ではなく、当行なのか?」この問いに、自分自身の言葉で、論理的に答えられなければなりません。

「安定しているから」「給料が高いから」といった本音は一旦横に置き、「銀行のどのような機能・役割に魅力を感じたのか」を具体的に語る必要があります。

例えば、「サークル活動で資金繰りに苦労した経験から、企業の挑戦を資金面で支える銀行の仕事に興味を持った」というように、自身の「原体験」と銀行の業務を結びつけることが重要です。

さらに、「その中でも貴行の〜という取り組み(例:中小企業支援、DX推進)に共感した」と、企業研究に基づいた「その銀行でなければならない理由」を付け加えられると、説得力が格段に増します。

徹底的なWebテスト対策

どれほど素晴らしい志望動機やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を持っていても、Webテストの点数がボーダーラインに達していなければ、ESを読まれることすらなく不合格(お祈り)となります。

特に銀行、とりわけメガバンクは、数万件に及ぶ応募者を効率的に絞り込むため、Webテストのボーダーラインを非常に高く設定していると言われています。

主流なのは「SPI」や「玉手箱」といった形式です。

これらのテストは、能力の高さよりも「慣れ」が点数を大きく左右します。

市販の対策本を最低3周は解き、特に「玉手箱」特有の形式(計数・言語・英語)には完璧に対応できるように準備してください。

大学3年生の春、インターン募集が本格化する前(4月〜5月)から対策を始めるのが理想です。

「ガクチカ」で論理的思考力と協調性を示す

ESや面接の核となる「ガクチカ」では、単に「リーダーを務めた」「サークルを存続させた」という「結果」だけをアピールしても評価されません。

銀行が知りたいのは、その結果に至るまでの「プロセス」であり、そこであなたが「どう考え、どう行動したか」です。

銀行員に求められる「論理的思考力」と「協調性」が示されているかが鍵となります。

具体的には、「(課題の特定)→(課題の原因分析)→(解決策の立案)→(周囲を巻き込んで実行)→(結果と学び)」というフレームワークで語ることを意識してください。

例えば、「チームの課題はAだと考えた。

なぜならBというデータがあったからだ。

そこでCという施策を実行した。

その際、Dという反対意見もあったが、Eという対話を通じて納得してもらった。

結果、Fという成果が出た」というように、あなたの思考プロセスと行動が明確に伝わるように構成しましょう。

【銀行のインターンシップ】銀行のインターンシップに関するよくある質問

ここまで銀行インターンシップについて詳しく解説してきましたが、それでも個別の不安や疑問は尽きないことでしょう。

特に、自分自身の属性や経験が選考で不利に働くのではないか、といった悩みは、多くの就活生が抱える共通のものです。

「学歴フィルターは本当にあるのか?」「金融の知識はゼロだが大丈夫か?」 といった、直接は聞きにくい質問もあるかと思います。

ここでは、就活アドバイザーとして日々学生から寄せられる「よくある質問」の中から、特に重要な3つを取り上げ、率直にお答えしていきます。

これらの疑問を解消し、余計な不安を取り除いて、自信を持って選考に臨んでください。

地方の学生や文系学生でも不利ではないか?

この質問は非常に多いですが、結論から言えば「全く不利ではない」ケースがほとんどです。

まず地方の学生についてですが、近年、銀行は多様な人材を確保するため、オンラインインターンシップの開催や、全国の主要都市での選考会を積極的に行っています。

物理的な距離がハンデになることは、コロナ禍を経て劇的に減少しました。

むしろ、地方銀行を志望する場合は「地元出身」であることが大きな強みになります。

次に文系学生についてですが、銀行(特に総合職)の採用は、その大多数が文系学生です。

銀行側も、金融知識は入行後の研修で徹底的に教え込む前提で採用活動をしています。

それよりも、「ガクチカ」などで示される「論理的思考力」「ストレス耐性」「コミュニケーション能力」といったポテンシャル(潜在能力)を重視しています。

したがって、文系であることや、現時点で金融知識がないことを理由に、臆する必要は全くありません。

参加するために必要な資格やスキルはあるか?

インターンシップの「総合職」コースに応募する段階で、必須となる資格やスキルは基本的に「ありません」。

よく「簿記(日商簿記検定)は持っていた方が良いですか?」と聞かれますが、持っていれば「金融業界への興味」を示す材料にはなりますが、合否を直接左右するものではありません。

それよりも、前述の通り「Webテスト対策」を万全にすることの方が、選考突破においては何倍も重要です。

ただし、「専門職」コースを志望する場合は話が別です。

例えば「IT・DX職」であればプログラミング経験やデータ分析のスキル、「マーケット部門」であれば高度な数学的素養や高い英語力(TOEICスコアなど)が求められる、あるいは持っていると強く優遇される場合があります。

総合職を目指すのであれば、資格取得に時間を割くよりも、ESとWebテスト、面接対策に全力を注ぐべきです。

インターンシップに落ちたら本選考は不利になるか?

この点を心配して、インターンシップへの応募をためらってしまう学生がいますが、それは非常にもったいないことです。

結論として、インターンシップ選考に「不合格」となったことが原因で、その後の本選考で「不利」になることは、まずありません。

銀行側も、インターンシップは募集枠が非常に限られており、優秀な学生であってもWebテストの点数が僅かに足りなかったり、ESの方向性がたまたま合わなかったりして、不合格になるケースがあることを理解しています。

むしろ、インターンシップに応募したという「熱意」は記録に残っています。

不合格だった原因(おそらくWebテストかES)をしっかり分析・改善して本選考に再チャレンジすれば、全く問題ありません。

ただし、逆にインターンシップに「参加」して、そこで著しく評価が低かった場合(無断欠席、グループワークでの非協力的な態度など)は、本選考に影響が出る可能性はあります。

【銀行のインターンシップ】まとめ

この記事では、銀行のインターンシップについて、その全体像から具体的な攻略法までを網羅的に解説してきました。

銀行のインターンシップは、経済の根幹を支える仕事のダイナミズムを体感できるだけでなく、自分自身の論理的思考力や協調性を試し、鍛え上げる絶好の「道場」です。

そして何より、本選考への重要なステップであることは間違いありません。

その門は非常に狭く、競争は熾烈ですが、正しい準備をすれば突破口は必ず見えます。

「なぜ銀行なのか」という自らの軸を明確にし、徹底的なWebテスト対策を行い、自分の経験を論理的に語る準備をすること。

これが合格への王道です。

この記事を参考に、万全の準備で銀行インターンシップに挑戦し、皆さん自身の未来を切り開く大きな一歩を踏み出してください。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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