自己PRとガクチカがかぶってしまう時の対処法!例文付きで解説

自己PRとガクチカがかぶってしまう時の対処法!例文付きで解説

自己PRとガクチカはかぶってもいいの?

自己PRとガクチカはかぶらない方が良いです。

企業がこの2つの両方を聞くのは、それぞれの質問に違う意図があるからです。

自己PRは就活生の強みが何かを知るために聞き、ガクチカは何かに取り組むときの努力の仕方や困難の乗り越え方を知るために聞きます。

したがって、自己PRとガクチカがまったく同じ内容では、両方を聞く意味がありません。

しかし、就活生からすると、企業にアピールできるエピソードがいくつもあるわけではなく、自己PRとガクチカが似通ってくると悩むケースも少なくありません。

この記事では、そんな時の対処法について解説します。

まず自己PRとガクチカの違いを押さえよう

自己PRとガクチカがかぶらないようにするためには、まず両者の違いをしっかり理解しておく必要があります。

自己PRでは、自分の長所や強みが何かを、体験やエピソードに基づいてアピールします。

ガクチカでは、学生時代に熱心に取り組んだことについて、困難を乗り越えた経験や達成した成果をアピールします。

以下に、それぞれについて詳しく解説します。

自己PRとは

自己PRでは、あなたの強みや長所を聞かれています。

まず「私の強みは〇〇です」「長所は〇〇です」とストレートに伝えましょう。

もちろん、それだけでは説得力がないので、なぜそう言えるのか、あるいはどのようにその強みを手に入れたのかを、具体的な経験・エピソードに基づいて説明する必要があります。

企業が判断したいのは、将来その強みが会社にどう貢献できるのかです。

したがって、その強みによってどんなことが達成できたのか、今後どのように強みを生かしていきたいのかも伝えたいポイントです。

あなたの強みや長所が企業の求める人物像にマッチしたときにアピール力が増すので、企業がどんな人物を求めているかは、自己PRの際に必ず確認しておく必要があります。

ガクチカとは

ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」という意味です。

ガクチカで聞かれているのは、何に力を入れたのかではなく、力を入れるプロセスでどんな困難に出会い、どうそれを乗り越えたか、その結果どんなことを達成したかです。

困難な状況で何を感じ、どのようにモチベーションを維持したのかも触れたい点です。

企業はそれを聞くことで、入社後に仕事で困難にあったときに、どのようなパフォーマンスをする人物かを判断したいのです。

したがって、単に「英語力を身につける努力をした」などの項目と「TOEICで800点をとった」などの結果だけでは不十分で、結果を達成するまでのプロセスを述べるのが重要になります。

自己PRとガクチカで企業が評価するポイント

企業が評価するポイントは、自己PRでは自社とのマッチング、ガクチカでは入社後の仕事への取り組み方です。

このような評価ポイントを押さえて自己PRとガクチカを作成することで、企業に採用メリットを明確に伝えることができます。

以下に、自己PRとガクチカの企業の評価ポイントを、それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

自己PRでは自社とのマッチング

自分の強みや長所を述べる自己PRで企業が評価するポイントは、その強みや長所が企業が求める人物像とマッチするかどうかです。

行動力、柔軟性、計画性、創造力、コミュニケーション能力など、人物の人柄や内面からくる強みや長所はさまざまあり、どれが企業の文化や求める人物像にマッチするかは企業によって異なります。

一口に「優秀な人材」と言っても、その中身は業種や個々の企業によって大きく違うのです。

いわば、応募者と自社との「相性」を判断するために聞くのが自己PRです。

したがって自己PRでは、述べようとする強みや長所が、応募する企業と相性が良いものかどうかで評価が大きく変わってきます。

自己PRを述べるときは、常に企業とのマッチングに配慮しましょう。

ガクチカでは仕事への取り組み方

学生時代に力を入れたことを述べるガクチカで企業が評価するポイントは、努力をする過程で必ず出会う壁や困難をどう乗り越えたかです。

困難にどう対処したかを聞くことで、企業は入社後のあなたの、仕事に取り組む姿勢を見極めたいと考えています。

困難にくじけないモチベーションをどう保ったのかも、企業が知りたいポイントです。

どの企業も厳しい競争環境の中で生存と発展を目指しており、業務には常に困難がともないます。

スムーズに高い成果を得られたという内容より、困難にどう向き合い、どのように意欲を維持したかという内容が評価されるのはそのためです。

ガクチカを述べるときは、達成した結果だけでなく、達成までのプロセスで出会った困難をどう乗り越えたかを伝えるのが評価のポイントになります。

どちらも企業の採用メリットが重要

自己PRもガクチカも、企業にとって採用メリットがあることを伝えるのが重要です。

自己PRで性格や人柄が企業の業務内容や社風にマッチすることを伝えるのも、ガクチカで困難に負けない物事への取り組み姿勢を伝えるのも、企業に採用メリットをアピールするために他なりません。

したがって自己PRもガクチカも、締めくくりとしてアピールしたポイントを入社後にどう生かしていきたいかを述べるのが大切です。

自己PRとガクチカがかぶってもいいケース

自己PRとガクチカはかぶらない方がいいと述べましたが、かぶっていいケースもあります。

ESや面接で企業にアピールできることを述べようとしても、自己PRとガクチカにまったく違うことを書くほどの経験やエピソードがないと感じる就活生は少なくありません。

かといって事実無根のことを書くわけにいかないのはもちろんなので、悩ましいところです。

しかし、ゼミや部活、アルバイトなどのテーマが自己PRとガクチカでかぶるのは、その内容や書き方によってはOKです。

テーマだけが同じである場合

自己PRとガクチカのテーマがどちらも「ゼミ」あるいはどちらも「アルバイト」だとしても、かぶっているのがテーマだけならかまいません。

ただし、具体的なエピソードや話し方まで同じでは、企業にとっては両方を聞く意味がなくなります。

テーマは同じでも、エピソードは別のものを選ぶ、話し方を変えるなどの差別化が必要です。

たとえば、同じ「アルバイト」のテーマでも、自己PRでは「仲が悪かったスタッフ間を融和させて店内の雰囲気を明るくした」エピソードでコミュニケーション能力をアピール。

ガクチカでは「お客のリピート率向上のために行った提供時間の短縮」のエピソードで売上向上をアピールするなど、別々のエピソードを述べることで、それぞれの企業の評価ポイントを押さえることが可能です。

自己PRとガクチカが被かぶってしまう時の対処法

テーマがかぶり、内容的にも似通ってしまう場合は「文章の構成のフレームワークを変える」「視点を変える」という対処法があります。

以下に2つの対処法について説明するので、自己PRとガクチカで異なる企業の評価ポイントを意識しながら作成してみましょう。

とくに文章構成のフレームワークは、ESや面接など就活のさまざまな場面で活用できるので、ぜひチェックしておきましょう。

文章構成のフレームワークを変える

文章の構成を変えることで、話題の強調される部分が変わり、話の印象が変わるため、かぶりが目立たなくなります。

自己PRはPREP法

自己PRはPREP法での文章構成をおすすめします。

PREP法とは、Point(結論)、Reason(根拠)、Example(事例)、Point(結論)の順で文章を構成するフレームワークです。

最初に結論を述べて、次にその根拠を述べ、その次に具体例を、最後に結論をもう一度述べます。

分かりやすく、論理的で説得力がある記述法として広く用いられています。

自己PRをPREP法で述べると次のようになります。

●Point(結論)

「私の強みは企画力です」など、自己PRの結論である強みを一文でズバリと述べます。

このように結論を先に述べることで、読み手(聞き手)は最初に話の核心に触れることができます。

●Reason(理由)

次に、なぜそう結論したのかの理由を述べます。

自己PRでは「年々低調になって参加者が減ってきた学園祭を、斬新な企画で盛り上げました」など、次に述べるExampleの概要を述べます。

●Example(具体例)

自己PRの説得力をになう重要な部分で、強みが活かされた具体的なエピソードを述べます。

もっともボリュームのある部分ですが、あまり長くなりすぎないように注意が必要です。

●Point(結論)

もう一度結論(自分の強み)を提示して締めくくります。

自己PRでは、その強みを入社後にどう活かすかをつけ加えて、採用メリットをアピールしましょう。

ガクチカはSTAR法

ガクチカはSTAR法での文章構成をおすすめします。

STAR法とは、Situation(状況)、Target&Task(目標・課題)、Action(行動)、Result(結果)の順で文章を構成するフレームワークです。

自分が行ったことをエピソードを中心に、簡潔に分かりやすく述べる方法として、プレゼンテーションなどにもよく用いられています。

ガクチカをSTAR法で述べると次のようになります。

●Situation(状況)

学生時代に何に力を入れ、どんな成果があったかを端的に述べて、エピソードの舞台設定をします。

●Target&Task(目標・課題)

力を入れたことの目標は何で、目標達成のために何が課題だったかを述べます。

目標には具体的な数値を入れるとリアリティが出ます。

●Action(行動)

課題を解決し、目標を達成するためにどう行動したかを述べます。

ここがガクチカのいわばハイライトで、ボリュームももっとも大きい部分です。

●Result(結果)

行動によって生じた結果、得られた成果を述べて締めくくります。

その結果・成果を入社後にどう生かしたいかをつけ加えて、採用メリットをアピールしましょう。

視点を変える

自己PRとガクチカのエピソードがどうしてもかぶる場合は、視点を変えることでエピソードの重点が移り、印象が変わります。

上に、テーマはかぶってもエピソードはかぶらないようにと述べましたが、他にエピソードが見つからないときや、とくに思い入れがあるエピソードがあって自己PRでもガクチカでもアピールしたときは、視点を変えて述べるようにしましょう。

たとえば「例年1回戦敗退の弱小バスケット部を地区大会で優勝するまで強化した」という1つのエピソードでも、視点を変えることで自己PRにもガクチカにも使えます。

自己PRでは「自分の強み」という視点からエピソードを見て、強みが活きたというストーリーにします。

ガクチカでは「困難の克服」という視点からエピソードを見て、困難を克服していくプロセスを中心にストーリーを組み立てます。

自己PRは強みが生きた経験を話す

自己PRは、自分の強みに着目して、それが活きた例としてエピソードを紹介しましょう。

上記のバスケット部の例なら、「分析力」という強みを活かして、練習法のボトルネックや、個々のプレーヤーの弱点を分析し、トレーニング方法を改革してチームを強化した、というふうにストーリーを組み立てます。

ガクチカは乗り越えた困難について話す

ガクチカは、何かに取り組む際にぶつかった困難に着目して、その困難にどう対処して、どのような成果を上げたというプロセスを中心にしてエピソードを紹介しましょう。

上の例なら、最初は分析の手法が定まらず苦労したことや、分析結果にチームメンバーの納得がなかなか得られなかったが、データを見せることで納得してもらったなど、困難とその克服を中心にストーリーを組み立てます。

【例文】自己PRとガクチカの違い

自己PRとガクチカの違いを例文で紹介します。

例文を見ながら、自己PRとガクチカの違いをきっちり押さえておきましょう

今回は同じエピソードで例文を作成していますので、エピソードがかぶってしまうという方も参考にしてください。

自己PRはPREP法の構文で作成し、ガクチカはSTAR法の構文で作成しています。

自己PRの例文

私の強みは、問題解決力があることです。

大学ではワンダーフォーゲルのサークル活動で、その強みを活かして4泊5日の大雪山縦走を成功させました。

サークルへの入会当初は、日帰り登山が主のサークルで、メンバーはもっと本格的な登山がしたいグループと、日帰り登山を楽しみたいグループに分かれていました。

どちらの登山スタイルも好きだった私は、サークル内の融和を保ちつつ、本格的な登山もできるサークルにするという課題の解決に取り組みました。

そこで私は全メンバーに、サークルを行き来自由な形で2つのチームに分け、両方が参加する活動も必ず行うという提案をしました。

最初は反対の意見もありましたが、そのつど話し合いを重ねて解決策を探し、何とか合意に達しました。

このような問題解決能力を活かして、貴社に入社したあかつきには、業務上の問題が生じた際も前向きに解決に取り組んでいきます。

ガクチカの例文

私は大学で、ワンダーフォーゲルのサークル活動に力を入れてきました。

入会したときのサークルは、日帰り登山を好むグループと本格的な縦走をしたいグループに分かれて、意見がまとまらない状況でした。

どちらの登山も好きだった私は、2つの登山を楽しめるサークルにするという目標を掲げて、課題に取り組みました。

そこで私は、この難しい状況を乗り越えるために、希望すればどちらの活動にも参加できることを条件に、サークルをA、B2つのグループに分けるという方向で、メンバーと話し合いを重ねました。

その結果何とかメンバー全員の了解を得ることができ、昨年の夏は大雪山の登山に、Aグループは1泊2日で参加し、Bグループは4泊5日の縦走をするという形で臨むことができました。

この経験から私は一見相反する課題も解決不可能ではないことを学びました。

仕事でもこの経験を活かして、困難な課題にも投げ出さずに取り組んでいきたいと思います。

受かった学生が心掛けていたこと

自己PRとガクチカの作成で、選考に受かって採用された学生が心掛けていたことを以下にまとめます。

自己PR編

●自己分析をし、強みをはっきりさせておく

自分の強みが何かがはっきりしていなくては、自己PRの焦点が定まらないし、まず書き出しでつまづいてしまいます。

また、いい加減に選んだ強みでは、自己PRに説得力が出ないし、面接官に深堀りされたときにボロが出ます。

自己PRを書く前に、しっかりと自己分析をして、自分の強みを明確にしておく必要があります。

●エピソードは私生活のことなどなんでもいい

自己PRで述べるエピソードは、学業や部活動、アルバイトに限るわけではありません。

自分の強みをアピールできるエピソードなら、両親や兄弟とのエピソードでも、友人とのエピソードでもかまいません。

ただし、異性の友人とのエピソードは、就活においては避けるべきでしょう。

●企業の求めている人材と自分の共通点を見つけておく

企業が就活生に自己PRを求めるのは、就活生の強みや長所と自社のマッチングを見るためです。

自分の強みと企業の求める人材にどんな共通点があるかは、自己PRで常に意識しておくべきポイントです。

ガクチカ編

●一番達成感のあったことを振り返る

学生時代に力を入れたことが複数ある場合は、いちばん達成感があったことをガクチカで述べましょう。

達成感が大きいのは、達成までにさまざな困難があり、それを乗り越えられたことを示しています。

その経験をガクチカで述べることで、企業はあなたが困難に負けない人材であると評価してくれます。

・思いつかないときはつらかった経験を思い出す

力を入れて何かを達成したことが思いつかないときは、つらかった経験を思い出してみましょう。

その経験から得たものはないように思えても、つらかったことにどう対処したかは企業が評価するポイントのひとつです。

また、今のあなたはつらかったことを乗り越えたからこそあるわけで、その経験で何かを学び、何かを達成しているのかもしれません。

・行動や成果に着目する

ガクチカでは、何に力を入れたかという題材ではなく、その際にどのように行動し、どんな成果があったかという、プロセスや具体的なエピソードが重要です。

それを述べることで、企業はあなたがどんな姿勢で物事に取り組むのか、困難に直面したときにどう対処するのかをイメージすることができるからです。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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