小売業界の今後の動向とは?仕事内容・志望動機の書き方もあわせて紹介

小売業界の今後の動向とは?仕事内容・志望動機の書き方もあわせて紹介

「小売業界の職種にはどんなものがある?」 「小売業界の今後の展望は?」 「小売業界の業態の特徴について知りたい」 小売業界への就職を検討していて、業界の特徴や仕事内容について具体的に知りたいという人もいるでしょう。

この記事では小売業界のビジネスモデルや職種について解説し、さらに代表的な企業5選を紹介しています。また、小売業界の現状や将来的な見通しについても解説しています。

この記事を読むことで小売業界についての業界知識や、自分が小売業界に向いているかどうかを確認できるでしょう。

小売業界の志望動機や自己PRを考える時のコツも紹介しているため、小売業界への就職を目指している人はぜひこの記事を読んでみてください。

小売業界の特徴・仕組み

小売業の役割は、商品を仕入れて消費者に販売することです。小売店は商品をメーカーから直接仕入れる場合もありますが、卸売業者を通して仕入れるケースが多いでしょう。

商品の仕入れ値と、販売価格の差額が小売業者の利益となります。

小売業界の業態紹介

小売業の代表的な業態としては、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストア、100円ショップ、百貨店といったものがあります。

また、家電量販店やアパレルショップなど、専門的な商品を扱う店も小売業界の業態の一つです。以下に主な業態の特徴を挙げていますので、参考にしてください。

・スーパーマーケット:食品、日用品などの生活必需品を販売する。総合スーパーは衣食住に関わる商品を取り扱い、専門スーパーは食料品専門、住居関連専門、衣料品専門などの分類がある。 ・ドラッグストア:医薬品や化粧品を主力として販売する。一部店舗では薬剤師を配置し、店舗の一角に調剤薬局を併設している。 ・コンビニエンスストア:スーパーマーケットよりも小規模な店舗で、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートに代表される飲食料品小売業。経済産業省による業態分類では「飲食料品を扱うセルフサービスの販売店で、売場面積30㎡以上250㎡未満、1日の営業時間が14時間以上」と定義されている。 ・100円ショップ:100円商品を中心に生活雑貨、食品などを取り扱う。代表的な店はダイソー、キャンドゥ、セリアなど。 ・百貨店:衣食住に関連する商品を幅広く品揃え、ブランド感や高級感のある商品を取り扱う。贈答品やビジネス向けの需要に対応した商品も多い。

出典:利用上の注意|経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2/h14/pdf/h14g-riyou.pdf

小売業界の主な職種は?

小売業で働く人の姿を想像した時に、接客や販売といった仕事を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。小売業界を支える職種には、接客販売の他にも様々な種類があります。

ここでは、小売業界の職種について詳しく確認してみましょう。

販売

販売職の仕事は、店頭で直接お客様に商品を売ることです。スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストア、百貨店などの店舗に来店したお客様のニーズを聞き取ったり、商品の説明をしたりして販売につなげます。

接客以外にも、売り場に商品を陳列する、レジで会計をするといった仕事もあります。

バイヤー

バイヤーは商品を仕入れる職種です。売れそうな商品を吟味して、メーカーや卸売業者から仕入れます。また、メーカーと協力して新たな商品を開発することもあります。

売れる商品を品揃えするためには、情報収集をしっかり行って店舗の地域性や客層に合ったものを仕入れることが必要です。バイヤーが買い付けをする際には価格交渉が発生するため、多方面の知識や経験値が求められるでしょう。

店舗運営

店舗でのキャリアを積むと、店長やエリアマネージャー、スーパーバイザーなどの役職に就いて店舗運営を任される場合があります。売上管理や店舗スタッフの管理、売場の運営などを行い、店舗全体をまとめる責任者のポジションです。

マーケティング

マーケティング職は販売促進のための戦略を立てたり、イベントやキャンペーンの企画を行ったりする仕事です。顧客や競合の動向を調べ、商品を売るための施策を考えます。

それに加えて、チラシや販促物の作成、テレビやWeb上での広報活動なども行います。

商品開発

商品開発は、プライベートブランド(PB)などの自社商品を企画・開発する仕事です。近年は、自社で開発した商品をプライベートブランドとして販売する企業が多くなっています。

商品開発のために市場調査を行い、消費者のニーズに合った商品を企画します。企画・開発だけでなく、商品の販売促進や宣伝活動に関わる施策を考えることもあるでしょう。

売れる商品を作るには最新のトレンドや消費者の動向をつかむ必要があるため、情報収集・分析力が求められます。

物流管理

商品の物流管理をしたり、在庫コントロールをしたりする仕事です。効率良く物流を回すために入荷量を調整し、適正な在庫管理を行います。

特に実店舗とネット通販を手掛ける企業では細かい在庫管理が必要となるため、物流管理の役割は重要でしょう。

小売業界の有名企業を紹介!

小売業界には、日頃からよく名前を耳にしたことのある有名企業が多く存在します。ここからは、小売業を営む企業の中から5社を厳選して、その特徴や業態などを紹介します。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストアの「セブンイレブン」やスーパーマーケットの「イトーヨーカドー」などを展開し、小売業界の中で大きな存在感を持つ企業グループです。

セブンイレブンやイトーヨーカドー以外にも、主なグループ会社として「ロフト」「アカチャンホンポ」「そごう」「西武」などの有名店舗が名を連ねています。

グループが保有する日本国内の店舗数は約22,700店舗(2022年2月末時点)ですが、海外にも多く出店しており、全世界の店舗を合計すると約80,000店舗もの店舗数になります。(2021年12月末時点)

出典:個人投資家のみなさまへ|株式会社セブン&アイ・ホールディングス 参照:https://www.7andi.com/ir/individual/

株式会社ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、衣料品の製造から販売までを一貫して行う製造小売業の大手です。「ユニクロ」「ジーユー」「セオリー」などのファッションブランドを展開しています。

日本国内だけでなく海外への出店も積極的で、世界25の国と地域に2394店舗(2022年8月時点)を保有しています。 出典:ファーストリテイリングについて|株式会社ファーストリテイリング 参照:https://www.fastretailing.com/jp/about/business/aboutfr.html

イオン株式会社

日本の小売業界で大きなシェアを占めるのが、イオンです。グループ企業の中にはコンビニエンスストアの「ミニストップ」、ドラッグストアの「ウエルシア」、100円ショップの「キャンドゥ」などがあり、様々な業態の店舗を展開しています。

イオン株式会社とグループ企業を合わせると約300の企業で構成され、店舗数は約20,000店舗です(2022年12月時点)。

出典:企業概要|イオン株式会社 参照:https://www.aeon.info/company/overview/

出典:企業情報|イオン株式会社 参照:https://www.aeon.info/company/

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」を中心として、総合スーパー事業なども手掛けるグループです。国内需要だけでなく海外への出店も拡大中で、「顧客に喜びと感動を与える」という企業理念のもと成長を続けています。

株式会社ニトリホールディングス

ニトリホールディングスのグループ企業には、家具・インテリア用品を販売する「ニトリ」やホームセンターの「島忠」などがあります。

ニトリは手頃な価格で質の良い商品を提供するため、製造・物流・販売を一貫して行う「製造物流小売業」というスタイルを作り上げました。ここ数年は海外への出店も加速しています。

小売業界の市場規模と今後の動向

経済産業省の調査によると、2021年の小売業全体の販売額は150兆4620億円でした。業態別に見ると、家電量販店、ホームセンター、スーパーマーケットの売上額が減少したものの、ドラッグストア、コンビニエンスストア、百貨店の売上額は増加しています。

小売業界の今後の動向がどのように推移していくのか、3つのポイントを紹介します。

出典:2021年小売業販売を振り返る|経済産業省 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20220414minikeizai.html

ITの活用

小売業界の各企業は、ITを採り入れたマーケティングを推進しています。従来のPOSシステムに加え、キャッシュレス決済が普及したことによって購入データの分析精度が上がり、より高度な販売戦略を立てられるようになってきました。

また、ネットショッピングが拡大する中で、実店舗だけではなくネット通販に重点を置く小売企業が増えています。今後は高齢化の進行に合わせて、買い物に出るのが困難な顧客のためのネット通販やデリバリー対応といったサービスがさらに充実していくでしょう。

エッセンシャルワーカーの求人増

小売業は地域の生活を支えるライフラインとしての役割を持っており、スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストア、ホームセンターで働く従業員は「エッセンシャルワーカー(日常生活を維持するために不可欠な職業)」と呼ばれます。

小売業界は慢性的に人手不足の傾向があると言われているため、今後も需要が増えていく見込みがあるでしょう。

出典:2021 特定最低賃金(各種商品小売業)の必要性について|新潟地方最低賃金審査会 参照:https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-roudoukyoku/content/contents/-030929-roudou1-2.pdf

小売業界で注目されている「SPA」と「DtoC」

小売業界について勉強する時は、「SPA」や「DtoC」という用語を知っておきましょう。SPAとDtoCは、いま小売業界で注目されているビジネスモデルです。

SPAは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略を指し、自社で商品の開発、プロモーション、販売まで一貫して行うスタイルです。このようなビジネスモデルを「製造小売業」と言います。

SPAの特徴は、自社開発の商品を自社の店舗に限定して販売することでしょう。SPA業態でビジネスを展開する代表的な企業としては、ニトリ、ユニクロ、無印良品、GAPなどがあります。

DtoCは「Direct to Consumer」を略したもので、メーカーが自社製品を消費者に直接販売するビジネスモデルです。

小売業界では、メーカーが卸売業者や小売業者を介して消費者に商品を提供するのが一般的な流れですが、近年はDtoCで消費者に直接商品を届けるメーカーも多くなっています。

また、ネット通販でAmazonなどのモールを利用して出店した場合、手数料が発生したり価格競争になったりするデメリットがあるため、ECサイトで自社商品を消費者に直接売るスタイルが支持されつつあります。

DtoCを採用している企業の例としては、ランドセルメーカーのセイバン、メンズコスメのバルクオム、ビジネスウェアのカスタムオーダーサービスを提供するFABRIC TOKYOなどが挙げられます。

小売業界に向いている人とは?

小売業界への就職を検討している人の中には、自分が小売業に向いているかどうか知りたいという人もいるでしょう。

ここでは小売業界に向いている人の特徴を3つ紹介します。自分に当てはまるかどうか確認してみてください。

コミュニケーション能力が高い

店頭でお客様と接する機会が多い小売業には、高いコミュニケーション能力が求められます。

小売業の店舗には様々な客層のお客様が来店します。お客様の要望に合わせた提案をしたり、お客様の様子を察して柔軟に対応したりするスキルが必要でしょう。

ストレスに強い

接客販売や店舗運営の職に就いていると、クレーム対応をしなければならないケースもあります。お客様から叱責を受けて、強いストレスを感じることもあるでしょう。

また、バイヤー職は売れると見込んで仕入れた商品が大量に売れ残ってしまったり、施策が思ったように振るわなかったりといったリスクと隣り合わせです。そういったプレッシャーやストレスをうまくコントロールできる人は、小売業界に向いているでしょう。

流行に敏感

小売業で成功するためには、トレンドを先読みして売れそうな商品を発掘したり、いま話題の商品をタイムリーに提供したりできる瞬発力が必要です。

常にアンテナを張って流行やトレンドを敏感にキャッチできる人は、小売業に向いていると言えるでしょう。

小売業界の志望動機の書き方

小売業界への就職を目指す場合、志望動機は以下のポイントを押さえて書きましょう。

・なぜ小売業界を志望するのか明確にする ・その会社を志望した理由を答えられるようにする ・入社後どのように会社に貢献するのか考える

まずは、どんな仕事をしたくて小売業界を選んだのか、小売業界の特徴を掴んだうえで理由を述べます。

その会社を志望する理由については、企業研究をしっかり行って他企業との比較をしながら考えると良いでしょう。あいまいな理由では「他の企業でも良いのでは?」と思われてしまうため、その企業でなくてはならない理由をはっきりさせましょう。

さらに、採用後はどのように活躍して会社に利益をもたらすつもりなのか、熱意を持って伝えることで採用担当者や面接官に与える印象が良くなります。

小売業界で評価される自己PRを書くには?

小売業界の選考を通過するためには、エントリーシートや履歴書に書く自己PRにも力を入れましょう。ここでは、選考で評価される自己PRの書き方について具体的に解説します。

小売業界の求める人材像を確認

まず大切なのは、小売業界に適した人物像であることをアピールすることです。小売業に向いている人の特徴としては、前述したように初めて会うお客様の対応ができるコミュニケーション能力を持っていることが挙げられます。

また、配属された店舗のスタッフと連携して業務を進められる協調性も求められるでしょう。さらに、顧客のニーズやトレンドを的確につかんで販売に活かせる発想力も必要です。このような小売業界の求める人材像を理解した上で、自己PRに盛り込みましょう。

自己PRの基本の構成

「私の強みは〇〇です」と先に結論を述べてから、それを裏付けるエピソード、そこから学んだこと、入社後のビジョンの順に組み立てるのがおすすめです。

各項目について詳しく見ていきましょう。

まずは結論

自己PRの出だしは、結論から先に述べると言いたいことが伝わりやすくなります。前置きが長いと何が言いたいのか分からなくなってしまうため、一番初めに「私の長所は〇〇です」と自信を持って伝えましょう。

具体的なエピソード

次に、その長所や強みを裏付けるエピソードを紹介しましょう。エピソードに説得力を持たせるために、どんな課題に直面したのか、何を目標として取り組んだのか、それに対してどのように行動したのかといった話をできるだけ具体的に書くのがポイントです。

企業側は応募者の人柄や価値観について知りたいと思っているため、自分の人となりが伝わるようなエピソードを選びましょう。

学んだこと

続いて、課題や問題に対して取り組んだ結果どうなったのか、そこから何を学んだのかということを記述しましょう。

可能であれば数字を用いて、「アルバイトでチャレンジをした結果、売上が前年比105%になりました」などの表現をすると、達成度が分かりやすくなります。

入社後のビジョン

最後に、その企業に採用されたら自分の強みをどう活かせるのかということを述べましょう。企業が求めるのは、入社後に自社の利益に貢献してくれる人材です。

入社した後にどんな仕事をして、どのように活躍したいのか明確なビジョンを持って自己PRを考えましょう。そのためには企業研究や業界研究を入念に行っておくことが大切です。

小売業界について理解を深めよう

小売業界の仕事は、流行や消費者のニーズに合わせて商品を提供することです。人と接することが得意な人や、トレンドに敏感で新しいものが好きな人は、小売業界の仕事にやりがいを感じられるでしょう。

この記事を読んで小売業界についての知識を身につけ、就職活動に活かしてみてはいかがでしょうか。

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