はじめに
NTTデータは、1988年に日本電信電話株式会社のデータ通信本部をベースに設立された企業です。
日本ではシステムインテグレーターの先駆けとして、現在もIT社会をシステム面から支えています。
間違いなく情報サービス事業では業界最大手に属する企業であり、あらゆるビジネスの根幹に関わっているといっても過言ではありません。
ここではNTTデータを知るために、詳しく研究していきます。
NTTデータの事業内容
NTTデータの企業理念は「情報技術で、新しい「仕組み」や「価値」を創造し、より豊かで調和の取れた社会の実現に貢献する」というものです。
事実、IT技術でビジネスを根幹から支え、常にさまざまな企業や官公庁とのプロジェクトで社会を創造している企業といえます。
2008年から海外ビジネスを本格化しており、特に新興国をメインに新しいビジネスの可能性に注目し続けている点も注目でしょう。
海外拠点は世界53ヶ国(2019年現在)と多く、従業員はその半数が海外で活躍していることも特徴です。
そんな同社の事業は多岐にわたりますが、具体的な内容はどのようなものか、それぞれのジャンルごとにまとめてみましょう。
ビッグデータ・BI
企業内外に蓄積されたビッグデータを分析し、ビジネスで活用できるようにするのがBI(ビジネスインテリジェンス)です。
BIは一般的には経営や会計、情報処理の分野で使われる用語ですが、現在ではビジネスの意思決定に役立てる技術を広く意味する言葉になりつつあります。
具体的にはトランザクションデータなどが該当しますが、これら膨大なデータを迅速な意思決定につなげることができれば、競合他社との差別化や競争に大いに役立ちます。
NTTデータはそれを技術的にサポートし、BIを実現するためのツール提供や実装、導入後の定着化までトータルで支援しているのが特徴です。
ビッグデータの軸はVolume(量)、Variety(多様性)、Velocity(流動性)の3要素ですが、近年はここにValue(価値)やVeracity(正確性)を加えることで4Vや5Vと表現されることも増えました。
NTTデータはこの中で特にVariety(多様性)に着目し、多種多様なデータへのアクセシビリティを高めることに重きを置いている点も特筆できます。
AI(人工知能)
これからのビジネスに欠かせないAI事業においては、NTTデータは膨大なデータの収集・蓄積から分析・実行まで全てのプロセスを包括する事業を展開しています。
顧客のニーズと提供できるテクノロジーのギャップを埋めることを目的として、実に多様な事業をサポートしている点が特徴です。
例えば社内外に個別管理されていた顧客情報や営業・技術情報を統合し、関連付けによって新たなソリューションを提供したり、業務の効率化や高度化を図ったりするビジネス支援が基本となっています。
また全く別の視点から、顧客の表情や声から話し手の印象値をレポート化するアプリケーションを開発し、これまでになかった新しいマーケティング手法の提供なども行っています。
脳情報とAIとの融合や、AIで「コミュ力」を採点する接客練習、人に代わって意味解釈するクローリングといった斬新なプログラムの開発や応用を行っている点もユニークです。
IoT
AIにも関連しますが、IoTの進歩により、社会が変わる期待は年々世界で高まっています。
すでにさまざまな業種業界でIoTをいかに有効活用するか、いかにエンドユーザーへ付加価値を提供できるかが重要なポイントと捉えられるようになってきました。
まだまだ技術者が足りない状況ですが、NTTデータはいち早くAIと併せてIoTを活用したビジネス展開を具体的に図るため、サービスを総合的に提供できる組織づくりをしてきました。
顧客情報の活用を促進するデータサイエンティストやITエンジニアを抱え、ビジネスのデジタルイノベーションパートナーとして新たな価値を創造するサポートを行っています。
データにまつわるさまざまなキーワードが登場する現代、同社はまだデータを使いこなせていない企業が多いと判断し、状況を打破するためのIoT化を推進する事業展開を行っているといえます。
ロボティクス
ロボティクス事業はNTTデータの得意とするジャンルです。
コミュニケーションロボットやドローンなどがすでに浸透しつつありますが、技術を組み合わせた新サービスは企業を実際に変えつつあります。
NTTデータはロボットやデバイスを連携させたサービスを提供するため、クラウド上で利用できる基盤開発などに力を入れています。
具体的には、デスクワークの自動化や効率化を行う、RPAソリューションの提供などが代表的な事業でしょう。
見守り介護ソリューションや入力ミス削減のための帳票OCRなど、すでにニーズがあり、社会で活用できる具体的な技術を有しています。
ペーパーレス化や業務効率化、仮想知的労働者の稼働など、より具体的なロボティクス事業を展開しています。
また同社が現在取り組んでいるのは、クラウドロボティクス基盤の確立です。
これは利用者や状況を正しく認識して複数のロボットやデバイスを統合し、高度な知的処理を行うクラウド基盤の開発です。
単体では処理能力に限界のあるロボットやデバイスの機能をクラウドに集約することで、今までにない付加価値が高いサービスの創出が可能となります。
すでに実証実験を通じ、先端サービスの創出に取り組んでいます。
決済
日本ではキャッシュレス決済への移行が官民挙げて推進され始めていますが、現実にはまだ加速化したとはいえない状況です。
経済産業省は2025年までにキャッシュレス比率を40%にまで高める目標を掲げていますが、まだ利用率は20%台に留まっているのが現状です。
NTTデータはその背景に日本独自の社会情勢があり、治安の良さや現金の入手が容易であるといったことに加え、現金への高い信頼があると見ています。
つまり裏を返せばキャッシュレス決済には根強い不安があり、安心して決済できる信頼性の確立が必要不可欠なことになります。
同社はこの各種不安を払拭し、安心してキャッシュレス決済を利用できる社会づくりのため、店舗のキャッシュレス決済システムをセキュアに構築する事業に尽力しています。
例えば、SSFの第三者認証要件を満たすさまざまなアプリケーションの開発など、キャッシュレス決済の利用拡大に寄与する事業にも力を入れています。
クラウドコンピューティング
NTTデータは、開発をクラウドで集約する取り組みを行っています。
グローバルビジネスの拡大に合わせ海外でもすでに事業を展開しており、ヨーロッパでのクラウド構築などは代表的な功績といえます。
NTTデータの強みは、日本でクラウド概念が浸透する前から、あらゆる企業の基盤システムを構築・運用してきた実績があることです。
同社はすでに大規模な共同利用センターを構築し、運用し、機能をデータ通信サービスとして提供してきました。
大手企業や官公庁が信頼を寄せるクラウドコンピューティングのノウハウをもとに、インフラの専門家がクラウド環境の総合運用サービスを提供しています。
また、複数クラウドの相互接続を可能とする技術の高さも特筆できます。
システム特性に応じて最適なクラウドを採用し、システムやデータのシームレスな連携が可能としています。
NTTデータの募集職種から分かる仕事内容とは
NTTデータが新卒作用枠を設けている職種は、いくつかあります。
それぞれの部門でどのような仕事に適性がある人材が求められているのか、まとめてみましょう。
SE
NTTデータのSEは、顧客のビジネスに合わせた要件定義とシステム設計・構築ができる人材を求めています。
顧客の元を訪れてヒアリングし、課題を発見して解決策を導き出す仕事です。
同社で採用枠が多く設けられている職種であり、プログラマーとしての側面ではなく、将来的にはプロジェクトマネージャーやITスペシャリスト、コンサルタントとして活躍できる人材が求められています。
営業
NTTデータにおける営業は、顧客にとって利用価値の高いシステムやサービスなどを企画立案し、それをプレゼンテーションすることで受注・販売につなげる仕事です。
クライアントからの依頼もありますが、新規ビジネスの企画も仕事となります。
営業は、顧客営業からソリューション営業、コンサルタントなど全般での活躍が期待されています。
相手は大手メーカーなども多いため、理系卒も求められる人材です。
R&D
NTTデータの技術を支える根幹であり、新技術を核にしたソリューションや新サービスの開発、事業化などの研究開発職となります。
理系卒者・理系院卒者向けですが、実力があればその限りではないようです。
FM(ファシリティマネジメント)
FMは、NTTデータの提供するシステムを導入するにあたり、関連する建物や電源・空調・情報通信設備などの総合管理を仕事とします。
建築系・電力系の業務が主であり、システムを安定運用するための建築マネジメントができるスペシャリストが求められます。
理系建築学科や院卒者、電気工学専攻者などが求められる専門性の高い職種です。
スタッフ(法務・財務など)
NTTデータの企業法務やコーポレートファイナンスなどの専門業務です。
バックオフィスにあたりますが、財務スタッフは資金調達から運用を行う職種ですので、理系学生の活躍が期待されます。
経営サポートを行う意味では、やはり数字に強い人材がニーズの高い職種といえます。
NTTデータの競合他社との違い
NTTデータは冒頭でも触れた通り、システムインテグレーターです。
具体的にはITを駆使し、社会に必要不可欠なあらゆるシステムを構築する情報サービス企業を指します。
もちろんほかにも同様の業務を展開している企業があり、クライアントの課題解決のため設計・開発、運用・保守などを請け負っています。
これらの業務のうち、工程の一部分のみを請け負う企業もありますが、NTTデータは全てを一貫して請け負うことができる規模を誇ります。
競合他社との違いについてまとめてみましょう。
幅広いビジネス展開
NTTデータの魅力は、業界でもトップクラスの売り上げ規模を誇る業績です。
これは幅広いビジネス展開をしつつ、その全域で確実に実績を上げていることの証しといえます。
官公庁や大企業をクライアントに持ち、あらゆる業界のベースをシステムで支える大規模ビジネスに取り組んでいることから、このような業績を残しているのでしょう。
創立から30期連続で増収を達成している企業は、競合他社を探してもそうそうあるものではありません。
需要のある事業に集中
ビジネスの幅は広いですが、その全てが非常に社会的需要の高い事業であることに注目できます。
BIやAI、IoTなど、先に挙げた事業の全てにおいて、現在はもちろんこの先の社会においても必須であることは疑いようもありません。
つまり中長期で見て非常に伸びしろのある事業に集中しており、発展の要素しか見当たらないのが他社との大きな違いです。
これはもちろん、競合他社と比べて同社が企業の安定性や将来性を強く持っていることを意味します。
企業の信頼性と長年培ったノウハウ
NTTデータは情報サービス業界の最大手で、日本電信電話を礎としている信頼性があります。
NTT株式会社が発行済株式総数の過半数を所有する連結子会社であり、NTTグループの主要企業の一つでもあるため、社会的信頼はとても高いといえるでしょう。
すでに世界で50ヶ国以上、200を超える都市でサービスを展開しており、世界で信頼されるビジネスパートナーです。
同社は、日本電信電話公社データ通信本部として日本のインフラ整備に関わっていた1967~1987年を源流期、独立した1988~2004年を変革と挑戦期、2005年以降をグローバル戦略期と表現しています。
これだけの長きにわたり日本のインフラを支えてきた企業は、事実、どこを探しても見つけることはできません。
NTTデータが求める人物像とは
NTTデータは、未来を創造する情熱とバイタリティあふれる人材を求めています。
同社の事業価値は、高度な技術力と実行力でシステム開発を行うことですが、この世にまだない新しい仕組みの創造こそ真価だと定めています。
当然のことながら競争すべき相手は世界中にあり、あらゆる国や地域の経済や暮らしの新しい仕組みをつくることが求められます。
このように幅広い業務に意欲的に取り組める人物像とは、一体どのようなタイプなのでしょうか。
好奇心旺盛
好奇心旺盛な人物は、知らないことや新しいことに心惹かれる知識欲の強い個性を持ちます。
自身の成長につながりますし、それが事業を推進させる原動力にもなるため、多くの企業が求める資質でもあります。
また同社の場合、世界各国で活躍する社員も多いため、新しい環境に飛び込める勇気のある人が求められる傾向もあるでしょう。
幅広い知識やスキルを自分から身に着け、恐れることなく新しい挑戦ができるタイプが求められます。
行動力がある
企業が求める行動力は、もちろん考えなしに何でもやってしまうことではありません。
思考や行動にブレがなく、集中して物事に取り組む力を持つ人物が求められます。
余計なことに捉われることなく、仕事としてなすべきことをひたむきに遂行する力があれば評価されるでしょう。
企業にとって利益を増加させる行動を実行してくれる人材が、魅力的に映らないはずはありません。
NTTデータが新卒者に求めるものは、「社会のために自律的に考え、自ら動き周りを巻き込む」力です。
また「多様な仲間と共通の目標を創り成し遂げる」力も求めていますので、単独で突っ走る人ではなく、たくさんの人を巻き込んで全員で物事に当たる人物像を求めていることが分かります。
何事にも真摯に向き合う
仕事には責任が発生します。
どんな些細な仕事にも真摯に向き合う姿勢は必要不可欠です。
またNTTデータは、「最新の技術に興味を持ち、変化を起こすことを楽しむ「変革力」」も新卒者に必要な要件としています。
新しい社会の仕組みを生み出すイノベーターとして、何事にもまっすぐに向かっていける人物像を求めています。
探求心を持って、国境を意識せず、グローバルフィールドで事業創造に向き合える強い意志と情熱を持つ人物であるべきです。
まとめ
NTTデータは、日本を代表するシステムインテグレーターです。
1988年の創立から、新しい「仕組み」や「価値」を創造することを目指し、現在も世界50ヶ国以上でグローバルビジネスを行っています。
社会をシステムから支えるデジタル業界最大手であり、中長期的にも需要の高い事業をメインに展開していますので、非常に将来性のある大企業といえるでしょう。
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