リース業界のビジネスの仕組みとは?レンタル業界との違いについても紹介

リース業界のビジネスの仕組みとは?レンタル業界との違いについても紹介

「リース業界ってどのようなビジネスなの?」 「レンタルとリースの違いって何?」 「自分はリース業界に向いているのか知りたい」 このように、リース業界に対して気になっていることや疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、リース業界のビジネスの仕組みやリース契約の特徴・種類といった基礎知識から、レンタル業界とリース業界の違い、主なリース会社や職種、リース業界に向いている人と向いていない人の特徴を解説しています。

この記事を読むことで、リース業界やリース会社に対して理解が深められます。そして、自分がリース業界に向いているのかどうかわかるため、今後の就職活動に役立つことでしょう。

リース業界への就職を希望している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

リース業界のビジネスの仕組み

リースとは「賃貸借」を意味し、顧客企業に対して設備や器具などを長期的に貸し出すサービスのことです。貸与するのはオフィスで使用するコピー機やパソコンをはじめ、船舶、航空機、不動産など多岐に渡ります。

リース会社は、顧客企業が必要とする設備機器を代理購入して貸し出し、リース料を受け取ることで利益を得ています。

設備機器を導入したい顧客が自ら導入する設備機器を選定してリース会社と契約し、設備機器が導入されたのを確認してから、リース料の支払いがスタートするというのが基本的な取引の流れです。

リース契約の特徴とは

一般的にリース契約では、設備機器を導入した点検や保守、修繕などは顧客側が責任を持って対処します。しかし、リース契約とは別に保守契約を結ぶことで、リース契約期間中のトラブルに備えるケースが多くなっています。

またリース契約の特徴として、リース料金は毎月一定の均等月払いという点があります。原則中途解約はできず、リース契約期間内に中途解約する場合は解約手数料を支払わなくてはなりません。

リースの種類

リースは大きく分けると「オペレーティング・リース」と「ファイナンス・リース」の2種類あります。

以下では、それぞれの特徴と違いを詳しく解説しますので、しっかり理解しておきましょう。

オペレーティング・リース

オペレーティング・リースとは、利用者が必要としている期間だけリース契約することです。

利用者は契約期間に応じてリース料を支払い、契約期間が終了したら設備機器を返却します。実際に利用者が所有しているわけではないため、設備機器が故障した際の修理代金などは、貸している側のリース会社が負担します。

また、基本的に返却された設備機器は売却されることから、対象となる設備機器は中古品でも値がつくものに限定されているのが特徴です。

ファイナンス・リース

ファイナンス・リースは、原則として中途解約が不可能なリース契約のことで、設備機器が故障した際の修理代金などは利用者側が負担します。設備機器の購入代金や保険料など全ての費用をリース料として支払うフルペイアウトが条件になっています。

つまり、リース会社からお金を借りて設備機器を購入し、それらを使用しながら費用を返済している状態ということです。

ファイナンス・リースには、リース契約満了時に所有権が利用者側に移る「所有権移転ファイナンス・リース取引」とリース契約が満了しても所有権はリース会社にある「所有者移転外ファイナンス・リース取引」があります。

レンタル業界とリース業界の違いについて

レンタル業界とリース業界の違いがよくわからず混同してしまう方も多いでしょう。リース業界とレンタル業界の大きな違いは、「契約期間」と「対象物」にあります。

・契約期間 リースの場合、3~10年程度と長期契約が基本になりますが、一般的に多くのレンタルは1日~1ヶ月程度と比較的短期間の契約になります。また、リースは原則中途解約ができないのに対し、多くのレンタルは中途解約が可能です。

・対象物 リースの場合は、利用者が指定した設備機器をリース会社が購入して貸し出します。一方、レンタルの場合は、レンタル会社が保有している在庫を繰り返し貸し出すため、中古品がほとんどです。

企業がリースサービスを利用する理由とは

リースは顧客企業にとって、いくつかのメリットをもたらします。

設備購入時は最新のものであっても、長く使い続けることにより設備が旧式になってしまいます。しかしリースであれば、設備を切り替えたいタイミングでリース期間を設定することで、常に最新の設備を使用することが可能です。

また、一般的に企業が事業を始めるときは、さまざまな設備が必要となり、それらを全て揃えるとなると金銭的負担が大きくなります。リースの場合は、頭金不要・月額料金で利用できるため、初期費用を抑えて事業に必要な設備を導入できるのがメリットといえるでしょう。

リース業界の市場規模はどれくらい?

リース業界の日本国内における市場規模は、需要は保っているものの取扱高が伸び悩み、頭打ち状態になっているのが実状です。

これまで国内市場に目を向けてきた企業は、生き残りをかけて積極的に海外市場にシフトチェンジしています。また、介護・医療分野や環境といった分野に踏み込み、新たな事業展開を行う企業も増えています。

リース業界は、アイデア次第で今後の発展が期待できる市場といえるでしょう。

代表的なリース会社5選

リース業界の全体像を把握するためには、リース業界各社がどのような会社なのか理解を深めることが大切です。

ここでは、代表的なリース会社5選を紹介します。それぞれの会社の特徴を押さえながら、業界比較してみましょう。

1:オリックス

オリックス(当時オリエント・リース)は、東京オリンピックが開催された1964年に3商社5銀行によって設立され、日本にリース業という新しい分野を浸透させるためにスタートしました。

リース事業を起点として事業領域を拡大し、現在は投資・融資・銀行・生命保険・資産運用・不動産・自動車関連・環境エネルギーなど事業は多岐に渡り、日本国内のみならず、今日では全国30か国以上で事業を展開しています。

このように、事業の多角化や海外展開をはじめ、「新しい価値を創造する」ことが他にはない企業に成長させたオリックスグループの経営哲学です。

出典:1. 歓迎“オリエント・ソース”御一行様│オリックス株式会社 参照:https://www.orix.co.jp/grp/company/brand/history/history_01.html

2:三井住友ファイナンス&リース

三井住友ファイナンス&リースとは、住友商事系の住商リース株式会社と三井住友銀行系の三井住友銀リース株式会社が合併して設立されました。

メガバンクグループと商社が有する広範囲に及ぶ強固な顧客基盤、ネットワークの活用、そしてそれぞれが得意とする業務分野を掛け合わせることにより、付加価値の高いサービスを提供しています。

これらを通じて、通常のリースにはないリース企業ならではのファイナンスサービスを提案し、不動産や環境エネルギー、ヘルスケア、3R(リデュース、リユース、リサイクル)ビジネスなどの分野を中心に、幅広い分野で業務展開している企業です。

3:三菱HCキャピタル

三菱HCキャピタルは、三菱UFJリース株式会社と日立キャピタル株式会社が統合して設立されました。

三菱UFJリースの強みは国内事業および三井商事株式会社、三菱UFJフィナンシャルグループとの事業連携、そして日立キャピタル株式会社の強みは海外事業および国内外における日立グループとの事業連携です。

この2つの企業が統合されたことにより、リース会社の枠を超えた先進的なアセットビジネスを幅広く積極的に展開しています。

4:東京センチュリー

東京センチュリーは、東京リース株式会社とセンチュリー・リーシング・システム株式会社が合併して誕生した、伊藤忠商事株式会社を母体とした日本の大手総合リース企業です。

情報通信機器や設備機器をはじめとする国内リース事業、法人・個人向けの国内オート事業、船舶や不動産など高度な専門的知識を駆使したスペシャルティ事業、世界30か国以上の国と地域向けの国際事業などに取り組んでいます。

5:芙蓉総合リース

芙蓉総合リースは、東京都千代田区本社を置く日本のリース企業です。1969年の設立以来さまざまな形態の企業向けリースを中核としており、ファイナンスや割賦販売を提供することで、お客様企業の効果的な設備投資を支援しています。

また、伝統的なリース事業のみならず、商業用建物や物流倉庫などの不動産リースや航空機など、高度で専門的な知識を活用し、お客様企業のニーズに合ったソリューションを提供しているのが芙蓉総合リースの強みです。

出典:会社概要|企業情報|芙蓉総合リース株式会社 参照:https://www.fgl.co.jp/fgl/about.html

リース業界の主な職種

リース業界の主な職種は、「営業職」「経理職」「資産管理職」「審査・法務職」の4つに分けられます。

ここでは、リース業界で活躍するそれぞれの職種の業務内容について解説します。

営業職

リース企業に総合職として入社した多くの方が、営業職としてキャリアスタートしています。営業職の業務内容は、顧客となる企業や個人にリース契約を提案・販売することです。

リース契約を販売するためには、顧客の課題をしっかり汲み取ったうえで、課題解決に向けた方法を提案する能力が必須です。また、スムーズに業務を進めていくためには高いコミュニケーションスキルが求められます。

経理職

経理職というと、従業員の給与計算や決済をメインに行っているというイメージを持つ方もいるでしょう。

リース会社における経理職は通常の経理業務に加えて、リース契約に関わる税務処理や契約書の作成などの重要な役割を担っています。

税制や税務処理、法律などの専門的な知識はもちろんですが、会社の経営を維持・向上させるための税務知識を求められる職種でもあります。

資産管理職

資産管理職の主な業務内容は、リースしている商品の契約・延長や終了、廃棄などの管理業務です。

リース会社の資産である商品が有効活用されることなく廃棄することになれば、会社にとって損失につながります。一方、リースしている商品の契約が延長されたり、契約が終了した商品を中古市場に回したりすることができれば、利益になります。

資産管理職が行う商品の運用によって会社の利益が大きく左右されるため、資産であるリース商品を守りつつ上手に運用していくというスキルが求められるでしょう。

審査・法務職

審査・法務職は、リース契約を結ぶにあたって、契約相手の支払い能力が問題ないかを審査する与信業務を行います。

リース契約をした相手が、業績悪化や経営破綻などに陥り支払い能力を失った場合、損害を被るのは商品を購入して貸し出しているリース会社です。

そのような事態にならないように、契約相手の財務状況や経営状態を調査して、契約を締結しても問題ないかあらかじめ確認しておかなければなりません。

リース会社の中でも金融業の側面が強い業種であるため、与信業務をミスなく的確に行う能力や財務知識などの専門的な知識が求められます。

リース業界に向いている人の特徴

リース業界の主要な企業や業務内容について詳しく解説してきましたが、自分はリース業界に向いているのか疑問に思う方もいるでしょう。

ここでは、リース業界ではどのような人材が活躍できるのか、リース業界に向いている人の特徴を紹介します。

  • さまざまな業界と関わってみたい人
  • 顧客と長い付き合いがしたい人
  • 語学力に自信がある人

さまざまな業界と関わってみたい人

リース会社は特定分野の顧客に対してだけビジネスを展開するのではなく、リースを必要とするさまざまな業界の顧客を対象としています。そのため、ビジネスを通してさまざまな業界と関わることができます。

1つのことを深めていくのではなく、さまざまな業界に関わりビジネスを幅広く行いたいという人や、将来自分自身で起業するにあたってさまざまな業界と関わり勉強したいという人は、リース業界に向いているといえるでしょう。

顧客と長い付き合いがしたい人

既存の顧客を大切にし、良好で長いお付き合いをしていくのが得意という方や、顧客のニーズをきちんと汲み取ったうえでベストな提案ができるという方は、リース業界に向いているといえるでしょう。

リース業界では数年単位の契約が基本になります。リース契約が終わった後も別な設備機器に入れ替えて再契約を締結することも多いため、長期に渡って顧客と信頼関係を築くことが大切です。

語学力に自信がある人

リース業界というと、今までは日本国内の企業をメインにサービス提供していましたが、国内市場が頭打ち状態になりつつあります。リース業界各社は、今後新しい販路を拡大していくために、海外進出するのが喫緊の課題といえるでしょう。

海外企業と取引するのならば、英語が話せるなどの語学力は必須です。今後、ますます海外進出を図っていくリース業界では、語学力に自信がある人は重宝され活躍できることでしょう。

リース業界に向いていない人の特徴

ここでは、リース業界に向いていない人の特徴を紹介します。

リース業界に向いていない人がリース業界に就職した場合、自分の能力を発揮できずミスマッチを起こしてしまう可能性があります。自分のビジョンや考え方と一致しているかどうか確認してみましょう。

  • 海外勤務を希望しない人
  • BtoC営業を希望する人

海外勤務を希望しない人

リース業界に向いている人の特徴で解説したように、リース業界は国内市場が頭打ち状態にあり、今後は積極的に海外進出していく考えです。

また、リース業界が顧客とするさまざまな業界でも海外進出が進んでおり、海外進出する日本企業を支援するために、リース業界の海外進出もますます加速化していくでしょう。

このようなことから、海外勤務を希望しない人はリース業界には向いていない可能性があります。

BtoC営業を希望する人

BtoCとはBusiness to Consumerの略で、企業(Business)が一般消費者(Consumer)を相手にして行うビジネス形態のことを意味します。一般消費者に向けて商品やサービスを提供する企業のことで、食品メーカーや家電メーカーが該当すると考えていいでしょう。

一方、リース業界のビジネスは企業を顧客とするBtoB営業になります。BtoC営業ができる会社は少なく、BtoC営業を希望している人には向いていない可能性があります。

しかし、BtoC営業を希望する全ての人がリース業界に向いていないわけではありません。

リース業界は数年単位の契約が基本になるため、既存顧客と長く良好な関係を築いていくことが重要です。なぜBtoC営業を希望するのか、その理由によっては自分の理想とする働き方とリース業界の働き方がマッチするでしょう。

リース業界の志望動機を考える際のポイント

BtoBのビジネスを行うリース業界は学生にはあまり馴染みがなく、志望動機を考える際に悩んでしまう方もいるでしょう。

ここでは、リース業界の志望動機で盛り込んでおくべき3つのポイントについて解説します。

志望動機を考える際の参考にしてください。

  • リース業界を希望する理由を明確にする
  • 採用後にどう貢献するかビジョンを明確にする
  • リース業界の中でもなぜその企業でなければならないかをまとめる

リース業界を希望する理由を明確にする

採用する企業からしても、学生にとってあまり馴染みのないリース業界を志望する理由は気になるポイントです。なぜ、リース業界を志望するのかという理由は明確に述べられるようにしておきましょう。

ただし、大手企業が多く、大手総合商社やメガバンクが資本になっていて安定しているという志望理由は控えた方が無難です。安定志向は悪いことではありませんが、これから変革期を迎えるリース業界にとってはマイナス要素として捉えられる可能性があります。

これまでに解説してきたリース業界の環境の変化を理解し、その中で自分はどのようなことにチャレンジしていきたいかまとめてみると、前向きな姿勢を面接官にアピールできるでしょう。

採用後にどう貢献するかビジョンを明確にする

先述したように、リース業界のビジネス環境は大きく変化しつつあります。今までと同じようなビジネスのやり方では行き詰ってしまうため、自発的に新しいことにチャレンジしていく姿勢が求められます。

リース業界への就職を希望する学生には、与えられた仕事をこなすだけではなく、自分から積極的に学び、失敗を恐れず新しいことにチャレンジしていくことを求めている企業が多いでしょう。

企業の取り組みやビジョンをしっかりと理解して、自分が入社後会社にどう貢献していくのか、能動的な姿勢を盛り込むことが大切です。

リース業界の中でもなぜその企業でなければならないかをまとめる

従来のリース業だけでは頭打ち状態のため、リース業界では企業ごとに海外進出や新しい取り組みを進めています。このようなビジネス環境の大きな変化から、ひとくちにリース業界といっても、企業ごとにビジョンや方向性が異なります。

自分が志望する企業のホームページや会社説明会、OBOG訪問などを通じて企業研究し、その企業に関して理解を深めることが重要です。

企業理解をしたうえで志望動機を面接官に伝えると、しっかりと企業研究しているというアピールにもつながります。

リース業界について理解を深めよう

リース業界は学生にはあまり馴染みのない業界ですが、さまざまな業界の企業と接点があり、お金や証券を扱わない安定した金融業として人気の業界です。また、従来の国内リース事業から海外進出への拡大など、大きな変革期を迎えています。

学生にはあまり馴染みがない分、リース業界や企業についてどれだけ理解を深められるかで、他の学生と大きく差をつけられるかが決まるでしょう。

ぜひこの記事を参考にしてリース業界について理解を深め、就職活動に役立ててください。

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