はじめに/h2>
「長所ってどういう意味の言葉?」 「長所と自己PRの違いが分からない」 「就活でどうやって長所をアピールするの?」 普段は何気なく使っている長所という言葉ですが、その意味や使い方を正しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。
この記事では長所の意味や使い方を、例文を交えて詳しく説明します。類義語や対義語、英語表現なども紹介するため、長所という言葉をより多角的に把握できるようになるでしょう。
長所の意味を知り使いこなせるようになれば、自分の長所を分かりやすく言語化できるようになります。
長所は就活のエントリーシートや面接などで必ず聞かれる項目です。就活に必要なスキルのため、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
「長所」の意味・読み方
長所は、その人や物の良いところやすぐれているところを指す言葉で、音読みで「ちょうしょ」と読みます。よく他人や他のものより良いところやすぐれているところが長所だと誤解されがちですが、他人との比較は必要ありません。
自分が長所だと思っているところが長所です。また、自分が思う長所だけではなく、他人からの高い評価も長所として表現できます。
つまり、自己評価であれ他人からの評価であれ、性質や行動などがすぐれていると認識されている部分が長所になります。
自己PRとの違い
就活中、エントリーシートや面接などでたびたび見聞きするのが長所と自己PRです。一見すると同じような意味かと早合点しがちですが、2つの言葉には違いがあり、求められている回答も異なります。
自己PRのPRはパブリックリレーションズの略で、「公衆(Public)」と「関わり(Relations)」という2つの単語から成り立っています。組織と公衆が望ましい関係を創るための考え方や行動を意味する言葉で、日本語では広報と略されることが多いです。
この一般的なPRの概念を自己PRに置き換えた場合、組織が自分、公衆が志望企業となり、自分と志望企業が望ましい関係を創るための考え方や行動=自分の能力が志望企業にとっていかに有益かをアピールする広報活動ということになります。
つまり、自己PRは自分の長所が志望企業にとって有益であることを伝える行動のことで、対企業という視点が重要です。
対して、長所は自己評価や他人からの評価が高い部分のことであるため、就活で回答を求められた場合は自身のすぐれている部分を厳しい自己分析を交えながら伝えましょう。
長所のアピールで見られているのはこういうことができるという能力だけではなく、人柄や人間性も審査対象になっているので注意が必要です。
「長所」の使い方・例文
長所がどういう意味を持つ言葉か分かったところで、自分の中で具体的にどれが長所にあたるのか分からなければ他人にアピールすることはできません。また、ある程度長所について把握していても、伝え方で悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、自分の長所を言語化するための例文を紹介します。エントリーシートや面接時の回答の参考にしてみてください。
誰にでも長所があれば短所もある
誰にでも長所があれば短所もあるのが当然ですが、人はやたらと自分の短所に目を向けがちです。特に自己評価の低い人は自分に長所がないと思い込み、短所をなくそうと努力する傾向があります。
短所は誰にでもあるという前提のもと、短所をなくすのではなく長所を伸ばすことに注力するのが、自分との正しい向き合い方ではないでしょうか。
以下で長所を用いた例文を紹介します。
- 私の長所は料理が上手なことです
- 彼の長所は初対面の人ともコミュニケーションを取れることです
- 私の長所は明るい所です
- 私の長所は集中して短期的に成果を出せることです
私の長所は料理が上手なことです
私の長所は料理が上手なことです。実家が美容室を経営しており、子どもの頃から夕食作りを手伝っていたため、料理の基本はそこで培われたものだと思います。
大学入学から1人暮らしをはじめましたが、お弁当も含め食事のほとんどは自炊です。冷蔵庫に入っている食材を確かめ、どういう料理が作れるか、足りないものがあれば代用品を使ってみるなど工夫しながら毎日キッチンに立ちました。
その中で、こういう工程で調理すれば美味しく作れる、こっちの調理器具を使った方が時間の短縮になるなど、さまざまな気づきもありました。
テスト前やアルバイトなどで時間があまり取れないときは、時短にこだわっています。料理を合理化して短時間で美味しいものが作れたときは、達成感のようなものを感じました。
自分の頭の中で描いた設計図通りのものを作るのが料理の醍醐味だと思います。
彼の長所は初対面の人ともコミュニケーションを取れることです
彼の長所は初対面の人ともコミュニケーションを取れることです。ゼミではじめて顔をあわせたときも、彼の方から話しかけてくれました。その後も作業グループのリーダーとして、各種の連絡や進行管理など、さまざまな局面で助けてもらっています。
そんな彼も大学に入ったばかりの頃は周囲と馴染めず、誰とも関わらずに家と学校を往復していたそうです。そんなときに同居している母親から「なんでそんな顔しているの」と聞かれ、あらためて鏡を見てびっくりするほど生気のない顔をしていることに気づきました。
それから1日1回は誰かに話しかけることをテーマに生活し、コミュニケーション能力の高い現在の彼へと成長しました。ゼミの研究結果が良い成績を収めたのも、彼のコミュニケーション能力によるところが大きいと思います。
私の長所は明るいところです
私の長所は明るいところです。大学ではサッカー部に所属していますが、1年生の秋に膝を故障してしまい選手としての道は閉ざされました。それでもサッカーが大好きで、どんな形でも良いからサッカーに関わりたいと思いマネージャーをやらせてもらっています。
マネージャーをはじめた頃、元選手だったせいか他の部員からは同情されているような感じがしました。このままでは雰囲気が悪くなると思い、マネージャーの仕事を笑顔でこなすようになったあたりから、私と他の部員との不自然さは解消されたと思います。
最近ではコーチからフォーメーションに関する意見を求められるなど、選手の視点では見えなかった部分にも興味が湧いてきています。
私の長所は集中して短期的に成果を出せることです
私の長所は集中して短期的に成果を出せることです。出版社でインタビューの文字起こしのアルバイトをしているのですが、社員の方から仕事が早いとほめられたことがありました。
他のアルバイトと掛け持ちしていて学習時間の確保が難しい時期もあったのですが、図書館の学習室で時間を決めて勉強してみたところ、自宅でダラダラやるよりも良い成績を収められました。
これらの経験により、私は短期間で集中的に作業を行うのが得意なタイプだと自負しています。
長所も短所もない
長所も短所もないという人は、実のところ長所と短所が分からない人のことではないでしょうか。
自分を客観視できない人ほど、自分の長所や短所を見つけにくいものです。長所は自分の中ですぐれていると思えることですから、他人とくらべる必要はありません。
それでもどうしても長所が見つけられなければ、短所から探してみるのも良いでしょう。短所と長所は表裏一体ですから、短所の言い換えが長所になっている場合もあります。
以下で長所を用いた例文を紹介します。
- この計画には長所がいくつかある
- ログインしなくても閲覧できることがシステムの長所です
この計画には長所がいくつかある
この計画には長所がいくつかあります。明確に目標が設定されているため、業務や作業実績が可視化できるという部分がもっとも大きな長所です。このことは社員のモチベーションの維持にも大きく関わってきます。
モチベーションの維持は作業の効率化につながります。作業実績を自分で確認することが可能なため、目標の達成を実感しワンランク上の目標に再設定することも可能です。
ログインしなくても閲覧できることがシステムの長所です
ログインしなくても閲覧できることがシステムの長所です。自分から情報を発信するのではなく、ただ閲覧したいだけというユーザーも一定数存在します。そういった方は、自分のアカウントを持たず他人の情報を閲覧することで満足感を得るのでしょう。
アプリをインストールしてログインするのが一般的な使い方ですが、このシステムではブラウザからアクセスすることで閲覧が可能になります。ライトユーザーの獲得にも一役買ってくれそうです。
ことわざ・慣用句「長所は短所」とは
長所は短所ということわざをご存知でしょうか。
ここまで長所の意味や使い方を紹介してきましたが、その長所が短所であるということわざに違和感を持つ人もいるでしょう。
ここでは、長所は短所の意味と使い方を説明します。
「長所は短所」の意味
長所は自分の強みですから、そこをあてにするのは心情として理解できます。実際、長所を活かして仕事や勉強などで成果をあげている人も多いでしょう。
しかし、長所に頼りっきりになってしまうとそこに過信や驕りが生まれ、結果として大きな失敗を引き起こすことがあります。つまり、長所は短所とは、視点を変えれば長所が短所になりうるという意味のことわざです。
「長所は短所」の使い方
コミュニケーション能力の高い人は周囲から評価され、好意的に受け入れられることが多いでしょう。しかし、ビジネスにおいてはコミュニケーション能力の高さという長所を冗漫と取られるケースや、明るさを不謹慎と見なされることもあります。
協調性の高い人が自分の意見がないとされたり、高いリーダーシップが我の強さに置き換えられたりすることも少なくありません。
使い方の例は以下の通りです。
コミュニケーション能力の高いところがあなたの長所ですが、クライアントとの商談では言葉の1つ1つが大切で、あなたのカジュアルな言動は短所にあたります。長所は短所のことわざの通り、今後は言動に気をつけましょう。
「長所」の類義語・言い換え表現
類義語とは、語句の形は違っていても意味が似通っている2つ以上の単語を指します。また、言い換えは同じ事柄を別の言い方で表すことです。
長所は長けている部分のことですが、その意味に近い言葉はいくつか存在します。ここでは長所の類義語と言い換え表現をおさらいしましょう。
- 特長・特徴
- 取り柄
- 見どころ
- 強み
- 売り
- 持ち味
- 魅力
- メリット
特長・特徴
特長と特徴は同じく「とくちょう」と読む言葉ですが、意味には多少の違いがあります。特長は他よりも特にすぐれている点を意味し、特徴は特に目立っている点を意味する言葉です。
特長が良い部分だけを表しているのに対し、特徴は良い部分も悪い部分もどちらにも使える表現なので、どちらかといえば特長の方が長所に近い意味といえるでしょう。
取り柄
取り柄はその人の中のすぐれた部分を表す言葉で、意味的には長所と非常に良く似ています。
違いをあげるのであれば、長所が具体的な部分を表すことが多いのに対し、取り柄はそれよりやや大雑把にまとめた性質を表現するときに使われ、へりくだったようなニュアンスを与えます。
また、長所は人にも物にも使われますが取り柄は人の特質のみを表します。
見どころ
見どころは見ごたえのあるところ、見る価値のあるところという意味で、映画やテレビ番組、スポーツの試合など、実際に目で見る事象に対して使われる表現です。
これが人に使われるときは、「見どころのある○○」といった形で表記され、見込みや将来性といった意味に転じます。
強み
強みも長所と似通った意味の言葉ですが、長所が自分の中のすぐれた部分を表すのに対し、強みはその長所を用いて相手に利益をもたらせることを表す言葉です。
就活の面接などでは、自己PRで説明すべき内容が強みになります。
売り
売りは文字通りセールスポイントのことで、強みと似た使い方をします。人に使う場合は自分を商品に見立て、相手から見たその商品のオリジナルな価値が売りです。
強みは自分の中の長所が相手の利益となることを表しますが、売りは他者からの評価を踏まえた上でのセールスポイントになります。
持ち味
持ち味は食物が持つ本来の味のことですが、人や創作物などに使う場合は特有の良さや味わいという意味になります。
これまでの生活の中で培った特質のようなもので、取り柄と同じような使い方をする場合もあります。強みとの違いは、強みが他人との比較を前提にしているのに対し、持ち味は他人とは関係なく自分の中の特質を表す点です。
魅力
人の心を惹きつける力が魅力で、対象が人以外でも景色や物などさまざま事象で使われます。
人が対象の場合、魅力のある人は他人の心を惹きつける力のある人のことで、外見や能力、内面的なものも含め非常に多岐に渡る要素を包括的に表す言葉です。
メリット
メリットは利点の英語表現をカタカナ語化した言葉です。
長所と意味がよく似ていますが、長所が人や物に使えるのに対しメリット、利点は人に使えないという違いがあります。
「長所」の対義語
反対の意味を持つ対となる語句のそれぞれを対義語といいます。反対語という名称もありますが、意味は対義語と変わりません。
ここでは長所の対義語と、長所の対義語と意味的に似ている言葉を紹介します。
- 短所
- 欠点
- デメリット
- 弱み
短所
長所の対義語が短所です。長所がすぐれている部分のため、その反対は劣っている部分になります。人の場合は性質のよくない部分という意味でも使われ、長所と同じように短所も自己分析の中から見つけられます。
欠点
欠点は文字通り欠けている点のことで、短所と同じような意味の言葉です。
2つの違いは使う対象で、短所は人に使うことが多く欠点は人以外の物などに使うことが多い傾向にあります。欠点の対義語は長所の他、利点や美点があげられます。
デメリット
デメリットはメリットの対義語にあたる言葉で、損失や不利益を表します。
メリットは利点と同義で、デメリットは利点の対義語である欠点と同義ということになります。人の性質を表す言葉として用いることはあまりありません。
弱み
弱みは短所に似た意味を持つ言葉ですが、短所が劣っている部分を具体的に表すことが多いのに対し、弱みは性質などの弱さの表現としてよく用いられます。
また、弱みを握られるという言い回しが示す通り、弱みには隠しておきたいことや後ろめたさといったニュアンスもあります。対義語は強みです。
「長所」の英語表現
長所やその類義語は英語でどう表記されるのでしょうか。メリットは利点の英語表現からカタカナ語化した言葉であると説明しましたが、長所の英語表現は他にもいくつか存在します。
ここではそれらの英語表現と意味、語源などを紹介します。
merit
meritは報酬を意味するラテン語が語源の言葉です。カタカナ語化したメリットは名詞として用いられますが、英語では名詞の他に(賞などに)値するという意味の動詞としても使われています。
名詞の日本語訳は利点や長所の他、価値や実績などがあり、カタカナ語のメリットよりも幅広い用途があります。
advantage
「~に先行する」という意味のフランス語のadvanceが語源になっています。日本語では強みや長所と訳される他、有利や利益といった意味もあります。
テニスでデュース後に1点先行した際に使われるアドバンテージも、advantageの意味の1つです。
strong points
strong pointsは強みや長所と訳される英語です。文字通り強い点で、日本語では売りも類義語に該当するでしょう。
ちなみに和製英語にアピールポイントという言葉がありますが、これも実際の英語ではstrong pointsが正しい表記です。
「長所」の意味と使い方を正しく覚えておこう
長所にはいくつかの類義語あり、それらと区別して使うには正しい知識と理解が必要です。対義語や英語表現を知ることは、そのための助けの1つとなるでしょう。
長所をぼんやりとしか理解していないと、不利益をこうむる可能性もあります。
特に就活のエントリーシートの記入や面接の受け答えでは、強みを回答するべきか長所を回答するべきか、瞬時に判断を下さなければなりません。自己PRを求められているなら強みや売りを、性格や性質への回答ならば長所や特長を答えましょう。
長所の意味や使い方を正しく知ることは、実際に自分の長所を見つけるための手がかりになります。誰にでも必ずあるのが長所ですから、自己分析を通して新たな長所を探してみてください。