はじめに
クリエイティブ性を求めている業種や企業の中には、自由形式の自己PR提出を求めてくるところがあります。
パソコンで作成するエントリーシートやWeb上で入力するフォームとは違い、応募者それぞれの考えで書く自由形式のシートは内容に制約やルールはありません。
逆に言えば、特定のフォーマットが用意されていないため、どう書けば良いのかわからないといった状況に陥りがちです。
当記事では、手書きで作成する自由形式の自己PRについて、パソコン作成との違いと書き方のポイントを詳しく解説していきます。
【手書きで自己PR】そもそも自己PRとはなにか
魅力的な自己PRを書くには、そもそも自己PRとは何か、企業はなぜ自己PRを聞くのかを押さえる必要があります。
まず、自己PRとはあなたが業務中に発揮できる強みは何かという設問です。例えば計画性や対応力などが挙げられます。
そして、企業が自己PRを聞く意図については「ポテンシャルを見るため」と「人柄を見るため」の2点が挙げられます。
企業はあなたの強みと、どのように強みを発揮したのかから、あなたが入社後に活躍できるか、すなわちあなたのポテンシャルを見ています。
そして、ポテンシャルだけではなく、あなたの人柄やどんな価値観を持っているのかにも注目し、あなたが企業の一員として同じ目標に向かい、同じ熱量で努力できるのかを見ています。
【手書きで自己PR】手書きとパソコンで何か違いはあるの?
手書きとパソコンでの作成との大きな違いは、書く際の形式を決めて一気に適用できる点です。
フォントのサイズや種類はもちろん、1行あたりの文字数や画面の区切り方といった要素を簡単に適用し、変えることができます。
一方、手書きの場合はイラストなども含めて自分の手で書かなければならないため、丁寧に仕上げようとするほど時間と手間がかかります。
パソコンのようにすぐ書き換えられるわけではないので、提出期限までに十分な余裕を確保して取り組むべきでしょう。
手書きの場合
手書きで自己PRを作成する場合、完成までに多くの手間を必要とします。
清書中に書き間違いをした場合や文面の修正が入った時点で書き直しになるため、慎重かつ丁寧に一文字ずつ書く必要があります。
したがって、効率良く作成するためには、先に書く内容を決めてから取り組んだほうが良いでしょう。
一方、文字やイラストには就活生それぞれの癖が出るため、採用担当者が就活生の人となりや想いを感じ取りやすいという長所もあります。
たとえば小さく控えめな文字を書いていれば弱気な人だという印象を持ちますし、反対に力強い書体であれば堂々とした人だという印象付けができます。
字の丁寧さを通して、やる気や取り組みへの真摯さを見られることになるので、一字一字を見やすくきれいに書くよう心がけたほうが良いでしょう。
パソコンの場合
パソコンで作成する場合、手軽に書き足しや修正が行える点は大きな強みといえ、パソコンを使った文書作成のスキルがあるということをアピールする意味で役立ちます。
また、書体や画面の構成はあらかじめ形式化されているため、見た目に大きな差が生じず、きれいに整えやすいという点も長所の一つです。
その分、文章の構成や言葉遣い、エピソードを順序立てて書いているかなど、内容自体の適切さを厳しく見られることになります。
パソコンで作成していると、作業の進みやすさからつい文字数が増えてしまうことや冗長的に話を広げてしまうこともあるでしょう。
しかしながら、そのような文章の粗雑さは、書類選考において辛口に評価される点でもあります。
したがって、すぐ書けるからと勢いで文章を書き上げるのではなく、下書きの段階から推敲を重ね洗練させるべきでしょう。
どっちがいいの?
手書きとパソコンを比較した場合、手間や時間を考慮するとパソコンでの作成が手軽です。
また、作成後に後付けで内容の追加や修正も行えるため、どちらでの提出も可能な場合はパソコンを選ぶ人が多いかと思います。
とはいえ、自己PRとして記述する内容については手書きでもパソコンでも変わりませんし、清書までに何度も書き直すことになるのも同様です。
基本的には送り先の業種を見て、どちらの方がより好意的に受け取ってくれるのか判断したほうが良いでしょう。
たとえば、信用を第一とする銀行関係では、手書きでの提出を求めてくる場合がありますし、ITスキルを要求するベンチャー系の場合はパソコンで作成するよう求めてくる場合があります。
その時々の都合に合わせ、どちらの形式でもすぐ提出できるように文章やイラストの準備をしておきましょう。
【手書きで自己PR】自由記入欄に書く際のポイント
自由形式で自己PRを作成する場合、一番心がけるべきは「自身がアピールすることを絞って説明すること」です。
いくら自由といっても、説明にあたっての文字数や記入欄の大きさはおおよそ決まっているはずです。
したがって、応募先の企業が掲げているビジョンや募集に際して提示している人材の要件に対して、「自分がどのように強みを持っており、どう仕事の中で活かすのか」ということを、限られた文字数の中で表現しなければいけません。
相手に伝わりやすく、インパクトのある自己PRを書くために、以下のことを踏まえると良いでしょう。
箇条書きで書いていく
初めから自分の長所が1つに定まっている場合は良いですが、多くの場合はそう単純でもありません。
書きたいことがいくつもあり、長い文章の中で選んで語る必要がある場合は、いったん箇条書きをしてみると良いでしょう。
長い文章の中で順々に書き並べていくと、どうしても間延び感の否めない内容になってしまいがちです。
まずは相手に伝えたい項目を簡潔な文章で並べてすべて書き出してみましょう。
そのうえで、そこに至った自分の経験やエピソードを交え、詳しい内容を書いていくと、アピールポイントが明瞭にまとまっていきます。
後は、自分の主張したいことや希望先の企業の要求している事柄との兼ね合いを考えながら、効果的なポイントに絞り込んでわかりやすい文章を構成していくと良いでしょう。
見出しを付けて工夫する
エントリーシートや履歴書にある数行の自己PR欄と異なり、1枚の用紙を使って自分のアピールポイントをまとめる場合には、一つながりの文章が冗長的に見えてしまいがちです。
そのような分量のある自己PRを作成する必要がある時は、各項目に見出しを付けて整理すると全体の構成を見やすくすることができます。
自分の強み、それが強みである理由、エピソード、……といったように、扱っている内容を踏まえた見出し分けを行うことで、企業に対してあなたのアピール内容がわかりやすく伝わるようになります。
数行ごとに細かく段落分けする必要はありませんが、文章全体の流れとして見た場合、起承転結の区切りになるような場所ではセクションを分けたほうが良いでしょう。
イラストなどで差別化する
自由形式で、なおかつ記述のスペースが広い場合は文字以外のものを使うことも有効です。
たとえば、イラストなどが許容できるようなデザイン系やベンチャー系の企業に送る場合は、文章を補足する形でイラストを挿し込むことにより、内容を理解しやすくすることができます。
また、こういったビジュアル的な要素は採用担当者の興味を惹きやすく、デザイン能力や図表を使って説明する能力をアピールすることにもつながります。
もちろん、このような表現を良しとしない厳格な企業もあるので、応募する企業が許容できるかどうか事前に把握をしておいたほうが良いでしょう。
また、イラストに説明を依存する自己PRでは、採用担当者も低く評価する可能性が高いです。
図表を持ち込まなくても相手に理解してもらえるよう、わかりやすい文章を書くように心がけましょう。
【手書きで自己PR】自己PRを記入する際の最強の構成
自由形式と聞くと、読んで字のごとく就活生それぞれの思うままに書いて良いという印象を持ちますが、実際には強いセオリーというものが存在します。
書類選考においては、理論的に物事を説明できるかどうかが評価基準として重要視されています。
前後で矛盾した内容を書かないといった基本的な部分もそうですが、「自分の伝えたいことはこれだ」と簡潔に示せているかは特に大切です。
したがって、最初に結論を置き、順序立てて根拠や今後への活かし方を説明していく構成が、書類選考においてはシンプルかつ強い文章と言えるでしょう。
以下の項目で、最強の構成について詳しく見ていきましょう。
結論
自己PRにおいては、真っ先に結論を出すことが大切です。
たとえば、自分の強みについて書くのであれば、最初に「これが私の強みだ」と明確に相手へと示すことで、これから何について説明する文章なのかがわかりやすく伝わります。
また、先に結論を置くことによって後に続く根拠やエピソードがその信憑性を補強する形となり、具体性を持った文章としてのまとまりが生まれます。
企業で働くうえでは、文章や口頭で業務のやりとりをする際、相手にまず要件を伝えることが求められるため、こういった構成の組み上げ方を身につけることは重要です。
自己PRや志望動機などを書く際は、結論を先に述べることを意識して文章を考えたほうが良いでしょう。
根拠
最初に述べた結論に対して、なぜそう思っているのかという理由やそう考えるに至った経緯、エピソードを説明するのが根拠のセクションとなります。
自己PRで強みの根拠を示すにあたっては、学業や課外活動など、具体的な経験を題材にして簡潔に内容をまとめると、順序のはっきりした文章が作りやすくなります。
ただし、複数の根拠を羅列することやエピソードをいくつも挙げて説明すると冗長的な内容になってしまうので、1つか2つに絞って構成すると良いでしょう。
また、エピソードを交えて文章を構成する場合には、最初にどういった課題や悩みがあったのかを示したうえで、どのように取り組み、改善や結果の達成を果たしたのか、それぞれ順序立てて説明しましょう。
入社後どのように活かすか
書類選考で失敗するアピール文にありがちなのが、自分の強みについてだけ一通り語って、それが入社後にどう役立つかはっきりしないまとめ方をする文章構成です。
自己PRは、就活生自身の売り込みたい強みや特長を伝える文章ですが、同時に入社後の働きが期待できるかどうかを採用担当者が見て判断するための文章でもあります。
たとえ素晴らしい実績や取り組みへの真摯さがあっても、具体的な入社後のビジョンが欠けていては、社員としての働きを期待することはできません。
自身のアピール要素を踏まえて、どのような心がけで仕事に取り組むのか、身につけたスキルを仕事にどう活かしていくのかを簡潔にまとめて書きましょう。
また、強みを発揮してきた分野が仕事と直接関係しない場合でも、取り組みへの姿勢や応用力をアピールすることが大事です。
必ず入社後の活用については触れておきましょう。
結論
一通り文章を書き終えたら、改めて結論を示して「自分の強みはこうだ」と強調しましょう。
最初に述べたことをもう一度最後に持ってくることで、どのようなテーマで書いた文章なのかが明確になり、全体に締まった構成となります。
自由形式の自己PRでは全体の文量も多くなるため、読んでいる途中で「これは何をアピールするための文章だっただろうか」となる場合もあります。
結論に帰ってくることで主題をはっきりとさせ、採用担当者にアピールしたいことを的確にわかってもらえるようにしましょう。
また、最後の結論についてはあまり長々と書かず、シンプルにまとめることが大切です。
「以上のことから、私の強みは〇〇です」のように、1文から2文で内容を締めましょう。
【手書きで自己PR】手書きする際の注意点
手書きで自己PRを作成する場合に気を付けた方が良い点は、「読む側の目線を忘れない」ことと「誤字脱字や下書き」です。
パソコンで作成する場合は簡単に修正が行えますが、手書きの場合は一度清書してしまうと細かい手直しが難しくなります。
勢いで作業を行うよりも、十分に時間を使いながら一つひとつを丁寧に仕上げていくように心がけましょう。
以下に、それぞれの注意点について詳しく解説していますので、参考にしてください。
読む側の目線を忘れない
手書きで作成するにあたっては、自分以外の人が読む書類であるという点を常に考えておくことが大切です。
あなたがどれだけこだわって特徴的な自己PRを仕上げても、一つひとつの文字が小さくて読みづらい場合や行間が窮屈に詰まっていると、相手にはわかりづらく意味のないものとなってしまいます。
また、冗長的で理解のしづらい文章では、どれだけ魅力をアピールしても相手には意図が伝わりません。
あくまで企業の方に受け取っていただき、内容を読んでもらう書類です。
文字の可読性や文章の明瞭さにはこだわりを持ちましょう。
また、イラストや表を自己PRの中に盛り込むのであれば、できる限りフリーハンドを避け、定規などを使ってきれいに書きましょう。
誤字脱字や下書きの消し忘れに気を付ける
手書きの場合、ペンを使って清書した後に誤字脱字を修正することはほぼできません。
提出する書類なので、メモ書きのように横線を入れることや修正液などを使って直すことはご法度です。
最初から書き直す手間をかけることにならないよう、文章はしっかりと推敲を行い、下書きの段階から誤字のないよう気を付けて書きましょう。
また、就活生が意外と見落としがちなものとして、シャープペン等で下書きを行った線を消し忘れている場合があります。
薄い下書きであっても、提出するものにそういった痕跡を残したままでは、採用担当者からの心象は良くありません。
正当に内容を評価してもらうためにも、清書後には必ずチェックを行い、下書きの消し忘れがないよう確認しましょう。
おわりに
当記事では、手書きで自己PRを作成する場合について、パソコン作成との違いや書くうえでのポイントを詳しく解説しました。
今日ではパソコン入力での作成が主流になっていますが、一部の業種や企業では手書きでの自己PR作成を通して、就活生の人となりや取り組みへの真摯さを評価する場合があります。
そのため、手書きでの提出に備えておくことは大切と言えるでしょう。
また、手書きでもパソコンでも、理論的に順序立てて文章を構成することが求められます。
自身の強みやその根拠についてあらかじめ考えを整理するなど、自己PR文を作るうえでの事前準備は共通して取り組んでおいたほうが良いでしょう。
自由記入形式の自己PRを作るにあたってのポイントも、作成する際の参考にしましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート