社員の人柄を志望動機にしていい?ポイントや注意点、差別化の仕方を解説!

社員の人柄を志望動機にしていい?ポイントや注意点、差別化の仕方を解説!

はじめに

就職活動において、志望動機を問われる機会は書類作成や面接など数多く存在します。

そのような場面で答える動機は人によってさまざまですが、中には答え方を考えないとマイナスな受け取り方をされる場合もあるので、注意が必要です。

とくに、会社訪問やインターンシップなどで関わった社員の人柄の良さを理由に、その会社の採用選考を受けている場合、志望動機の答え方をよく考える必要があります。

当記事では、人柄を志望動機に使えるかどうかや、答え方のポイントについて解説します。

【人柄は志望動機に使える?】社員の人柄は志望動機に使える!

まず第一に気になる点は、社員の人柄を志望動機にしても良いかというところでしょう。

結論からいえば、「社員の人柄にひかれた」「話をして、同じ環境で働きたいと思った」など、社員の人柄を理由に志望することは問題ありません。

その企業でなければならない理由や、あなたのモチベーションの源泉となっているもの、将来のビジョンといった点を中心に問われるのが志望動機の項目ですが、人柄を理由にして答えることでこれらの内容を表現できます。

しかし、回答するうえではいくつかの注意点があります。

答え方によっては、逆にこちらの印象を下げてしまう場合もあるので、ポイントを押さえた内容となるよう取り上げ方やアピールに工夫が必要です。

人柄を志望動機にする就活生は多い

ほかとの差別化を図りたい就活生に多い志望動機の1つが、「社員の人柄にひかれた」というものです。

企業の業種や事業内容、就活生自身の専攻する分野などは、比較的内容が似通ったものになりがちなことから、会社ごとの違いをアピールすることが難しくなります。

そのため、「社員の人柄ならその会社ならではのものだから、他社と差別化できそう」といった理由や、「仕事にあまり興味がないので人柄を動機にしよう」という消極的な理由から、人柄が志望動機に選ばれることは少なくありません。

しかし、面接官はそういった思惑を当然見抜いていますし、「なんとなく人柄にひかれた」というだけでは、その会社が良い理由にはなり得ません。

きちんと面接を通すに値するような熱意があると理解してもらうためにも、志望動機にする理由をより深く掘り下げましょう。

【人柄は志望動機に使える?】社員の人柄を志望動機にする際の企業の反応と注意点

先にも述べたように、社員の人柄にひかれたことを動機にする場合は、「なんとなく」では面接官に通用しません。

最終的な決め手が人柄であったとしても、この先社会に出て活動していくうえであなた自身がどうしたいのか、どうなりたいのかを考えたうえで選んでいるはずです。

そういった部分が見えず、ただ惰性的に物事を選んでいると思われてしまうと、マイナスな印象を持たれかねません。

人柄を理由に志望動機を答える場合、どういった部分に注意する必要があるか、それぞれ見ていきましょう。

「仕事に対して興味がない?」と思われないようにする

会社の事業内容や業務内容にはとくに触れず「御社の社員の人柄が良いと感じた」と答えた場合、企業が感じることは「仕事内容について何も思わなかったのか」というところでしょう。

仕事面の意欲が感じられなかったり、企業研究を怠っていると思わしい回答だったりする場合、面接官は「この人は入社したとしても業務を頑張ろうとしないだろう」という評価をします。

その職場で働く人の人格や振る舞いにひかれるところがあるのは良いですが、あなた自身がここで働きたいと思っているかどうかは別です。

ただ人柄の良し悪しを理由にするのではなく、「職場がこういう雰囲気だと、効率的に業務が進められる」というように、人柄と仕事とを結びつけて答えるように意識しましょう。

「企業研究をしっかりしていてない?」と思われないようにする

人柄ばかりに注目した志望動機を答えている就活生は、面接官から企業研究の不備を疑われる場合があります。

社員の雰囲気が良かった話や、実際に話をして好意的だったというエピソードは、説明会や会社訪問といった機会があれば多少なりともわかることです。

そのような社員に感じた印象は、多少関わっていれば誰にでもいえてしまう内容であり、滑り止め感覚で選考を受けているのではないかという疑いも当然向けられることになります。

人柄が良かったことだけにこだわって話を作るのではなく、企業研究や自己分析に取り組んだうえで「人柄の魅力が志望先を決める最後の一押しになった」とアピールした方が、より自然な志望動機の答え方といえるでしょう。

「考えて就活をしている?」と思われないようにする

面接官が力を入れてチェックしている要素でもう1つ重要なのが、就活生が自分自身の将来像やキャリアを考えながら就活に取り組んでいるかという点です。

就活は、この先にあなたが社会で活動していく場所を決めるための大事な行事です。

自分自身のビジョンを持たず、相手の人柄や印象といったものを理由にこの先の数十年を過ごす環境を選んでも良いのか、外部要因だけを決め手にするのかといった点を気にかけている面接官もいます。

そこまで真剣に考えず、ただ流されるままに選んでいると思われれば、当然好感度は下がってしまうでしょう。

相手に誤解を持たれないよう、あなたが自分自身の人生をしっかりと考えたうえで、人柄を1つの判断材料として重視したことをアピールしましょう。

【人柄は志望動機に使える?】社員の人柄を志望動機にする際のポイント

これまで述べたように、志望動機においては人柄そのものを動機とするよりも、将来設計や業界に対する理解を持ったうえで、人柄を重要視したと答えることが重要です。

まずはその部分を強調して伝え、仕事に対して熱意があることを示した方が良いでしょう。

また、「人柄にひかれた」と一口にいっても、具体的にどういった経緯をたどってそのような結論にいたったのかが明らかでないと、面接官の印象は悪くなります。

こうした志望動機を答えるうえで押さえておきたいポイントについて、それぞれ見ていきましょう。

業界の志望動機を伝える

志望動機を答えるうえで最も大切なのは、なぜこの業界に入りたいかという点をはっきり答えることです。

たとえ企業の志望動機がその会社の社員の人柄にあったとしても、大元はその会社が手がける業種や事業に対して関心があったことに起因するでしょう。

そのような業界を選んだ理由を明確に答えることで、この業界で働いていきたいという意思があることをアピールできます。

当然ですが、こういった動機を答える際は業界や企業について十分な分析を行い、あなた自身の特徴や専門分野を踏まえて考えることが重要です。

まずは、なぜこの業界に行きたいと思ったのかをまとめたうえで、どうして社員の人柄からこの会社が良いと思ったのか答えるようにしましょう。

社員の人柄にひかれたエピソードを具体化する 「人柄にひかれた」といっても、そう感じさせることとなったエピソードは人によって異なるものです。

例えば、会社の説明会に参加して社員と接触した場合と、インターンなどをきっかけに直接職場を拝見した場合とでは、見られる光景や受ける印象がそれぞれ違ってきます。

あなたがいつどこで、誰にどのような形で会ったのか、そこでどういった内容の交流があったのかなど、具体的なエピソードを軸に話をしましょう。

「この就活生は、社員のこういった部分に感銘を受けたのか」と、面接官も実態を踏まえて評価できます。

また、回答の内容を事前に考えておくためにも、企業のイベントに参加したり、社員と交流できる機会を持ったりした場合は必ずメモを残しておきましょう。

なぜ人柄を重視するのかをしっかり伝える

志望動機を聞かれて、ただ「御社の社員の人柄にひかれた」とだけ答えるのでは、面接官にその意図が伝わりません。

人柄を重視して会社を選んだことは伝わりますが、なぜあなたが社員の人柄を重要な判断材料としているのかがわからないからです。

理由を理解してもらうためにも、具体的な経験を例に挙げて、周りの人柄を大切にしようと思った経緯をわかりやすく説明しましょう。

あなた自身の経験と結びつけて話をすることで、説得力が増すだけでなく、あなたにしか語れないオリジナリティのあるアピールができます。

仕事第一に考えたうえで人柄が重要であったという結論であれば、「仕事のモチベーションがある」とされ、企業から高評価が得られる場合もあります。

社員となりたい人物像を比較して伝える

社員の人柄については、職場環境の良さや働きやすさといった観点だけでなく、あなたの将来的なビジョンと社員とを比較して伝える場合にも効果的です。

これから社会で経験を積み、自身のキャリアを構築していくうえでは、職場にその見本となる存在がいることはエントリーを決める大きな要因となり得ます。

自分の目指している姿や将来実現したいことと、現在会社にいる社員との姿を重ねながら、「自分の将来のビジョンと社員像とがマッチしていた」というように答えることで、面接官からの評価も良いものとなるでしょう。

こういった内容を語るには、あなた自身の分析がとても重要になります。

早い段階から取り組みをはじめ、将来にどのようなビジョンを持っているのか明確にしておきましょう。

OB訪問を積極的に行ったとアピールする

社員の人柄を志望動機に挙げようとしたということは、あなた自身がある程度社員と交流を持ち、やりとりをしているはずです。

例えば説明会で顔を合わせたのであれば、あなた自身がどれだけ足しげく通ったかやどういう形式で話を聞いたのか、具体的に答えた方が効果的です。

また、OB訪問や懇談会の経験については、どの部署の何という社員が来て話をする機会があったのか、エピソードを出して話した方が良いでしょう。

ここに来るまでしっかりと就活に取り組んでおり、そのうえでこの会社に行きたいという強い思いをアピールすることで、入社への本気度を示すことができます。

企業側も、就活生がどの社員と会って話をしたのか把握していますから、内容を盛らずに経験したありのままを答えて経験に信憑性を持たせましょう。

【人柄は志望動機に使える?】志望動機の差別化のポイント

志望動機を答えるにあたって、志望先の企業だからこそいえる内容を盛り込むのは難しいことです。

とくに、同業種の他社を合わせて受けている場合などは、「正直この企業という決め手がない」などの理由から、どちらでも通用する回答にしてしまう人も少なくありません。

ほかの企業と明確に差別化して、「この会社に入りたい」という熱意が伝わる志望動機を考えるには、社員のSNSをチェックしたり、OB訪問の機会を活用したりしてその企業ならではの情報を集めるのが効果的です。

具体的なポイントについて見ていきましょう。

社長や社員のSNSをチェックする

今日では、社長や取締役、社員などがSNSを通して会社についての情報を発信することが一般的になりました。

こういった企業系のアカウントでは、自分の企業についてさまざまなことを書き込んでいるため、他社との相違点や特徴を見つけ出すのにとても役立ちます。

また、社長など企業運営に関わる立場の方が運用しているアカウントでは、経営や社員のあり方についてその方自身の考えを挙げていたり、業界や会社の展望について語っていたりすることもあります。

あなた自身の将来像やキャリアプランと照らし合わせながら志望動機を考えていくうえでは、これらの情報が活用できるでしょう。

そのほか、企業のコーポレートサイトでも情報発信を行っている場合があるので、欠かさずチェックしておきましょう。

OB訪問などで企業に入って良かった点を聞いてみる

採用情報やIRなどの形で公開している情報だけでは、実際の職場の雰囲気や魅力を知ることが難しい場合も多くあります。

そんなときに活用したいのが、OB訪問や学校向けの説明会です。

OBから見た社内の様子や入社して良かった点を尋ることで、外側からはわからない職場の雰囲気や働きやすさ、仕事に対するモチベーションなどを知ることができます。

また、採用選考を受けた際に持っていた印象が、入社後どのように変わったのかを聞いてみるのも良いでしょう。

経験者の口からより正確な情報を知ることで、その企業ならではの魅力や特色に気づく場合もあります。

企業の関係者と積極的に触れあえる貴重な機会なので、ぜひ活用してみましょう。

【人柄は志望動機に使える?】例文

私は「一人ひとりと親身に向き合い育てていく」という、貴社の社員の人柄にひかれて志望しました。

私は現代人の生活に必要不可欠となり、新しい社会の形を作っていく基盤であるIT業界に興味があり、その仕事をより深く知ろうと思い貴社を訪問させていただきました。

その中で貴社の社員の方々とお話しさせていただきましたが、企業や提供しているサービスの内容を説明するだけでなく、ITに関する知識などを深くやさしく教えてくださったのです。

そのおかげで、身の回りで使われているITサービスがどのような仕組みで動いているのか知ることができ、IT業界に対してより具体的なイメージを持てました。

また、一就活生でしかない私に真摯に向き合ってくださり、知識を学んでいくことに期待していただいている点に強く感銘を受けたのです。

このような環境で働ければ、自分ものびのびと仕事に取り組むことで生産性も上がり、より企業に貢献できると考え、この度貴社を志望しました。

まとめ

当記事では、人柄を志望動機に挙げる場合の注意点やポイントについて説明しました。

人柄の良さや働きやすい雰囲気を理由に挙げ、面接官に対して好印象を与えるためには、「それだけで決めたわけではない」というアピールが大切です。

志望の決め手になったとしても、この企業が業界においてどのような立場にあるのか、どんな特色があるのかといったところは当然見ているはずです。

そのような「あなたがこの業界を選んだ理由」を踏まえたうえで、社員の人柄を志望動機として答えるようにしましょう。

 

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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