はじめに
志望動機の書き方やコツを調べていても、結局、具体的な例文が思い浮かばずに手が止まってしまう場合は多々あります。
要領を得た志望動機を書くには、企業が何を見ているのか、書くべき内容やポイントについてきちんと整理しておかなければなりません。
そこで今回は、受かる志望動機を書くコツとして、企業がどういった内容を見ているかを解説します。
志望動機の文章構成や、NGとされる内容の具体例についても解説しているので、自分の書いた志望動機のセルフチェックにもぜひ活用してください。
【志望動機作成のコツ】志望動機とは
志望動機とは、エントリーシートや履歴書においてその企業で働きたいと考える理由を書くものです。
どういった業務に興味があり、どのような経験を積みたいと考えているのか、仕事に対する熱意などをつづる部分です。
大抵の企業は、志望動機の欄を見て学生の資質や志望度を判断して、採用するかしないかを決めています。
言い換えると、どれだけ魅力的な能力や経験を積んだ学生であっても、志望動機がきちんと書けていなければ、なかなか採用されないといった事態に陥ってしまうのです。
つまり、志望動機を書くコツとはすなわち、あなたの持つ熱意や仕事に対する考えを、企業が志望動機からスムーズに読み取れるかどうかです。
志望する理由をよりわかりやすく、誰が見ても納得するように書かなければなりません。
【志望動機作成のコツ】志望動機は何を書けば良いのか
志望動機には具体的に4つのエッセンスを盛り込んでおきましょう。
まず、企業に対する志望理由の前に業界を志した理由について触れます。
次に、職種に対してもなぜ興味を抱いたのか書いておきましょう。
こうした前提情報を書いたあとに、企業を志望した理由や入社後にどのような活躍をするかについて書きます。
唐突に企業に対する志望理由を伝えるだけではいけませんし、就職したあとの働きぶりについて言及しないのも好ましくありません。
4つの内容について、それぞれどのような内容を書くべきか詳細を見ていきましょう。
なぜその業界を志望したのか
志望動機にはまず、なぜその業界で働きたいと考えたかについて書きましょう。
企業は学生の仕事に対する熱意をはかるために、業界や自社にどういった経緯で興味を抱いたのか知りたいと思っています。
たとえば、有形・無形にかかわらず何かしらのサービスを世に広めたいといった志望動機は、どの業界にも言える志望動機です。
その業界でなければ携われない仕事や、業界が今後どのように発展していくか、将来的な展望をふまえた詳細な志望理由が必要となるのです。
学生の中には本音として、働くことがお金を稼ぐ手段の1つに過ぎないという人もいるでしょう。
しかし、企業が仕事や自社に対する学生の熱意を知りたいと思っている以上、それに合わない返答をしているようでは書類選考や面接は突破できません。
なぜその職種なのか
企業は志望動機を通じて、学生が将来的にどういったキャリアを形成していきたいかについても興味をもっています。
業界や企業への志望理由は語れるのに「職種はなんでも良い」と答えるようでは「企業のネームバリューに惹かれている」と思われてしまうかもしれません。
会社を支える職種には営業や事務以外にもさまざまな種類があり、それぞれに仕事としての魅力が詰まっています。
就職した際にどういった働きぶりを見せるかについてきちんと言及するなら、志望動機の段階でどの職種に就きたいかまで話す必要があるのです。
志望する職種をアピールするには、企業が展開する事業や先輩社員でどういった人が活躍しているか、リサーチが欠かせません。
OB/OG訪問や長期インターンへの参加などをヒントに、自分が将来的に社会人としてどう活躍したいかを考えておくと良いでしょう。
なぜこの企業を志望したのか
志望動機の中には業界や職種の志望理由と合わせて、企業に対する志望理由も入れておきましょう。
たとえば、志望する業界が絞れたとしても、その業界の中には無数の企業が存在します。
会社によって展開する事業も違えば、取り扱う商材、価格帯というように販売手法や属性が違う企業ばかりなのです。
まったく同じようなサービスを展開する企業が何社もあるのではなく、どの会社も他社との差別化をはかりながらビジネスに取り組んでいます。
こうした会社ごとの違いをきちんと認識しておかなければ志望動機は書けません。
企業ごとの特徴や特色ある取り組みを知らないということは、志望企業に対するリサーチがきちんとできていないことになります。
面接での受け答えにも悪影響をおよぼすため、企業に対する志望理由はきちんと整理しておきましょう。
入社後にどんな活躍をしたいか
入社に向けた意欲を示す志望動機では、入社後に自身がどういった活躍をしたいと考えているかについても触れておきましょう。
志望動機には業界や職種、企業に対する志望理由が書かれていなければなりません。
これらの志望理由については、ある程度、事前リサーチによって内容が埋まるものなので、ほかの学生とそう大差ない内容になるはずです。
しかし、入社後の活躍については完全に自分オリジナルの志望動機となります。
自分がどういった働き方を好み、どういった社会人になりたいかといったキャリアプランが問われているのです。
内定はゴールではなく、あくまでも社会人として働くための1つの通過点にすぎません。
入社後に自分がどのような人材に成長し、どういった飛躍を遂げたいかをしっかりと考えておきましょう。
【志望動機作成のコツ】企業は何を見ているのか
志望動機において企業が見ている項目は具体的に以下の3つです。
まず、志望する業界や企業で働きたいという熱意があるかどうかは大前提です。
学生がどういった人柄であるかを知り、職業や社風に対する適性があるかどうかも志望動機を通じて見極めています。
つまり、働きたいという思いを熱意で示し、自身の人材としての魅力を人柄と職業適性にてアピールするのが志望動機作成のコツです。
それぞれの項目についてバランスよく記載していけるよう、3つのポイントの詳細について見ていきましょう。
熱意があるか
企業は志望動機を通じて、学生がどのくらい自社に入りたいと考えているか、仕事に対する熱意がどのくらいあるかを見ています。
なぜなら、働いていると思うような成果があがらなかったり、大きな失敗をしてしまったりして、周りに迷惑をかけることがあるからです。
人は誰しも仕事の壁にぶつかるときがあります。
そんなとき、仕事に対して並々ならぬ熱意のある人であれば、仕事を辞めてしまうことはありません。
前向きに次から次へと仕事をこなして経験を積んでいくため、人材としてより早く成長して会社に貢献してくれる可能性が高いとも考えられます。
つまり、企業が採用したいと思うのは仕事に対する熱意が感じられる学生なのです。
強い想いは、内に秘めるのではなく、熱意があると積極的にアピールしていきましょう。
どんな人柄か
志望動機では、仕事に対する熱意のほかに、学生がどういった人柄であるかについても見られています。
企業が人柄を知りたがる理由は、仕事上の課題や困難を学生がどう乗り切るかを知りたいと考えているからです。
誰しも、仕事をしているとうまくいかないことがあります。
採用活動で重視されているのは、失敗をしない人間ではなく、失敗から学んで次に活かせる行動がとれる人材なのです。
仕事に対して実直で問題に立ち向かっていけるような人柄の学生であれば、企業は安心して採用を決められるでしょう。
また、企業は学生の人柄を知ることで、自社の雰囲気になじめる人材かどうかも判断しています。
どれだけ熱意のある学生でも、既存社員や会社の社風と合わないようでは離職しやすいと考えられているのです。
自分を完全に偽って演じる必要はありませんが、企業の雰囲気に合いそうだと採用担当者に思われる必要があります。
適性はあるか
志望動機では職業適性として職場に早くなじみ、しっかりと仕事を覚えていけるかどうかも見られています。
たとえば、営業職には1日に得意先を何件も回れるような体力が必要ですし、事務職には数字を正確に扱えるような緻密さが必要です。
営業志望なのに体力に自信がない、事務職志望なのに大雑把な性格であるようでは、読み手は学生の職業適性があまり感じられないでしょう。
大事なのは、職務に対する圧倒的な能力やスキルではなく適応能力です。
社会人として働いたことのない新卒であっても、職業適性さえあれば短期間のうちに成長して、即戦力として働けそうだと判断してもらえるのです。
企業や職種についてしっかりと事前リサーチを行い、求められる人物像や、実際にどのような人材が活躍しているかについて調べておきましょう。
【志望動機作成のコツ】志望動機作成のコツ
志望動機は、書く内容と合わせて文章が以下の4つのポイントを網羅できているか確認しましょう。
まず、志望動機の冒頭には必ず結論となる部分を伝えます。
企業が志望動機を通じて学生の何を知りたいのか、企業が求めている人物像と合致する部分を意識しましょう。
志望動機を聞いたあとに企業が「なぜ?」と思うような内容は好ましくありません。
また、何よりも志望動機は簡潔な文章で書くように心がける必要があります。
以上4つのポイントを意識できるようまとめたので、志望動機作成のコツとして見ていきましょう。
結論から書く
志望動機の書き方の基本は、結論ファーストです。
結論ファーストとは、文章の冒頭に志望動機で伝えたい内容を書くことです。
この場合「私は(志望する業界や企業)で(志望する職種)に就き(将来的にどういった仕事をして)活躍したいと考えています。」と伝えましょう。
一文60文字前後でまとめ、(志望する業界や企業)・(志望する職種)・(将来的にどういった仕事をして)の3つの部分がしっかりと埋められるかがカギです。
いずれかの項目の内容が思い浮かばない、またはそれぞれの志望理由がつながらないようであれば、構成をまた1から考え直す必要があります。
結論がきちんと一文でまとまれば、志望動機に書く内容の指針が自分の中でも定まります。
面接でも自分の書いた結論をベースに受け答えができるため、スムーズなやり取りができるでしょう。
企業のなぜを意識する
志望動機の内容は、書いたものがしっかりと企業のなぜを解消できているかどうかについても意識を向けてみましょう。
企業は志望動機を通じて、学生の仕事に対する熱意や人柄、職業や社風に対する適性を見ています。
「貴社で働きたい」という主張をベースにしながらも、企業が志望動機を知りたいと思っているポイントについて、きちんと言及しておく必要があるのです。
よくある失敗例として、入社したいという気持ちばかりを書き綴ってしまい、実際に働いたときの具体的な行動が一切書けていない志望動機もあります。
説得力に欠けた志望動機であることはもちろん、企業のなぜが解消できていないため、人事担当者は途中で読むのをやめてしまうかもしれません。
企業に合う人物像を意識する
志望動機では、きちんとした企業研究を行い、企業が求める人物像に当てはまるような内容が書けていると好印象です。
自分を偽って企業で好まれる人物像を演じる必要はなく、自身の個性と企業が理想とする人物像の合致する点を見出しておけば良いのです。
企業の特色に沿った人物であるとアピールするには、企業研究をきちんと行っておかなければなりません。
会社説明会への参加はもちろん、インターンを実施している企業であれば必ず応募するべきですし、できるならOB/OG訪問をするのもおすすめです。
一概に「こういった人材でなければ内定がもらえない」というわけではなく、あくまでも自分なりに研究して企業の特徴をつかんでおくことが重要なのです。
簡潔な文章を心がける
志望動機を書く際の基本中の基本にして最大のコツは、一文を長くしすぎないことです。
人は、一文あたり60文字前後の文章であれば、すんなりと読みやすく内容がしっかりと頭に入ってくるといわれています。
何より、思いの丈をまとめずにダラダラと書かれた志望動機は、書いている途中で自分でも何が言いたかったのかわからなくなってしまいがちです。
簡潔な文章を書くには、書き始める前に内容を整理して書いたあと、何度も見直す必要があります。
特に志望動機は自分で何度も書き直していると、内容をチェックしても自分の本当に伝えたいことが書けているか確認しづらいものです。
志望動機を書き終えたら、必ず内容を知らない第三者に読んでもらってチェックしてもらいましょう。
自分の言いたいことがまとまっているか、簡潔にわかりやすい文章が書けているかがすぐに判断できます。
【志望動機作成のコツ】NGな志望動機の特徴
ここからは、作成した志望動機に対してNGが下されてしまうポイントについて解説します。
よくある志望動機の書き方やコツには、内容についての指南は示されていても、完成した文章をチェックする手立てがありません。
ポイントとしては、結論があいまいになっていないか・文章が漠然としていないか・文章の長さ・例文のコピー&ぺ―ストといった4つです。
それぞれ、どういった点に注視してチェックしていくかを解説します。
できあがった文章をそのままにするのではなく、セルフチェックや第三者のチェックを通すことで、志望動機はどんどんブラッシュアップされていきます。
結論があいまい
志望動機の構成は、はじめに結論を伝えるべきです。
この結論の内容があいまいだと、一番伝えたい内容が伝わらず、読み手はゴールをどこに設定すればよいかわからないため、志望動機を読みながら困惑します。
まず、記載したい内容は「私は貴社で、(志望する職種の)仕事を通じて(このような)活躍をしたいと考えています」というようにしましょう。
文章構成としては、(志望する職種の)から仕事に対する熱意を示し、(このような)という部分から人柄や職業適性を伝えるように文章を書いていきます。
このとき、言いたいことがまとまっていない状態で志望動機を書いてしまうと、結論の一文が無駄に長くなってしまい、相手に内容が伝わりません。
あいまいな言い方や表現を避け、言いたいことがストレートに伝わる文章を心がけてください。
文章が漠然としている
志望動機を書いていると、言いたいことや考えが次から次へと沸き上がってきて内容がまとまらず、結果的に文章が漠然としてしまう場合もあります。
漠然とした志望動機とならないようにするため、職種は1つに限定し、仕事に対する思いや働きたい理由を自身の経験やエピソードを使って具体的に伝えましょう。
内容にある程度のまとまりがあったとしても、読み手が自分の意図とは違った解釈をしてしまわないかについても注意が必要です。
志望動機は書いて終わるわけではなく、内容を知らない人に読んでもらって、自分の伝えたい内容が相手に伝わっているか確認するのがマストです。
特に、企業が志望動機で見ている熱意や人柄、適性についてきちんと言及できているかどうかをチェックしましょう。
文が長い
NGを出される志望動機には、文章が長くなりやすいといった傾向もあります。
一般的に、文章の理想的な長さは60文字前後とされています。
たとえば以下の文章で56文字です。
「相手に伝わる志望動機を書くには、伝えるべき4つのポイントを盛り込み、より具体的で簡潔な内容にすることが求められます。」
無駄に長い文章を書いてしまいやすい人は、1つの文章内に言いたいことを複数詰め込んでしまっていることが多いでしょう。
場合によっては、同じことを違う言い回しで何回も言っているだけの場合もあるため、何度も読み直してください。
つまり、文字数から文章の長さを判断し、長い文章はいくつかの要素に分けて文章を区切って整理する必要があるのです。
志望動機がまとまらないという人は、一度、短い文章をつなげる要領で書いてみてください。
例文をコピーしている
志望動機は作っている段階ならまだしも、完成した暁には完全なるオリジナルの文章である必要があります。
よくネットには、志望動機の例文としてさまざまな参考文章が載っています。
最初のうちは、こうした例文の構成を参考にして、自分が志望動機でどういった内容を書くべきか学んでいってかまいません。
しかし、Webサイトに記載された例文をそのままコピーして、自分の志望動機として提出する行為はNGです。
自身のエピソードに裏打ちされた志望理由も不十分となるため、説得力に欠ける志望動機となってしまいます。
万が一、書類選考を通過できたとしても、コピペされた志望動機では面接での受け答えに困ってしまう場合があります。
1つの質問を皮切りに、一気にボロが出てしまう場合もあるのでやめてください。
【志望動機作成のコツ】良い例文
私が貴社を志望した理由は、食品業界の中でも営業にフォーカスした貴社の企業理念に深く共感したからです。
貴社は創業当初から加工食品や冷凍食品といった多岐にわたる事業を展開し、販路を拡大して大きな収益を納めてこられました。
実際にOB/OG訪問をした際も、仕事のやりがいとして「人との関わりが生まれることにおもしろさを感じる」というお話を聞けたことが大変印象的でした。
私は、居酒屋のアルバイトでバイトリーダーを任されており、コミュニケーション能力を活かしてすべてのアルバイトとお店をつなぐ架け橋としての役割を担っていました。
社会人として働く際も、こうして自分の周りにいるすべての人との関わりを大切にしながら、仕事を進めていきたいと考えています。
そこで幅広いネットワークの形成を何よりも第一に考え、仕事をしながらさまざまな人との関わり合いが生まれる貴社の営業の仕事に興味をもちました。
私が入社した暁には、コミュニケーション能力を活かして、会社と顧客の架け橋となるような仕事をして貴社に貢献したいと考えています。
【志望動機作成のコツ】NGな例文
私は学生時代にオンラインゲームに勤しんでおり、その経験がおそらく貴社の仕事にも役立つと考えて貴社を志望しました。
講義やアルバイトに行く時間以外のほとんどをゲームに費やしていたため、ゲームのことなら誰よりもくわしいという自信があります。
貴社は通信業界でも知名度が非常に高く、入社してからの研修が充実していると聞いたので、自分も入社すればスキルアップができると考えました。
福利厚生制度も充実していて、長く働けそうな会社だと感じているため、第一志望としています。
私には好きなことに精一杯取り組む力があることとインターネット関連の知識があります。
貴社での仕事もどの部署に配属されたとしても、それなりに一通りはこなせるはずなので、即戦力として使えるはずです。
アルバイトでも働き始めてから3ヶ月程度ですべての仕事を覚えられたので、仕事もスムーズに覚えられるでしょう。
「周りの人に迷惑をかけないこと」をモットーに生きてきたので、貴社に入社した際もとにかく頑張って仕事に励む所存です。
まとめ
志望動機を書くには仕事に対して自分がどういったモチベーションをもっているのか、企業や業界に対してきちんと事前リサーチできているかが前提となります。
入社したいという気持ちだけを書き連ねるのではなく、書き方のコツに沿って、結論から書き始めて文章が長くなりすぎないことも大切です。
特に、良い例文・悪い例文でも紹介した通り、自分の長所やアピールポイントをダラダラと書いても意味がありません。
志望動機は企業が志望動機を通じて知りたいこと、どういった内容が好まれやすいかをきちんと整理したうえで書きましょう。
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