はじめに
これから就職活動を本格的にスタートしようとしている学生の中には、最近になってはじめて「就活の軸」という言葉を知った人もいるのではないでしょうか。
いよいよ準備を進めようとしている段階で、先輩などから「早めに考えておいたほうが良い」とアドバイスをもらったかもしれません。
しかし、そもそも就活の軸とはなんのことで、どうやって見つけるものなのかわからない学生の中でも、特に人材業界を志望する人にわかりやすく解説していきましょう。
就活の軸とは
準備はこれからという学生にとっても、そろそろ準備に本腰を入れようとしている学生にとっても、これから頻繁に目にしたり、耳にしたりする言葉が就活の軸です。
どんな業界で働きたいか、その中でもどの会社を選ぶべきか、そんな決定をする際の基準となるのが就活の軸です。
それがはっきりしていなければ志望先を決められず、動機すらあいまいなままになってしまいます。
さらには将来どんな働き方をしたいと思っているのか、入社後にどんなポジションで活躍したいかなども明確にしておかなければなりません。
そうした準備を重ねていくうちに応募したい企業が定まるだけではなく、譲れない条件なども見えてきて自分の希望にあった業界や企業が具体的になり、企業研究などの準備にも前向きに取り組めるでしょう。
人材業界とは
就活の視点からニュースや新聞などで情報収集をしていると、これから伸びていくであろう業界と、衰退していくかもしれない業界があることに気づきます。
将来のことを考えれば仕事がなくなってしまうリスクを抱えている業界よりも、長期的な需要が見込まれる業界で働きたいと思う学生もいるでしょう。
その点において人材業界は、規模がますます拡大している業界の1つで、安定した成長が続いていくと予想されています。
なぜなら高齢化とともに人口の減少ペースがますます加速している中で、当然ながら労働人口はますます急減するからです。
そんな状況も追い風となって、労働市場において企業と求職者の橋渡しの役割を担う業務は、さらに注目されていくでしょう。
就活の軸が聞かれる理由
活動を進めていくうえで、就活の軸を定めておくことが大切だと理解できたと思います。
しかし、働いてみたい企業が見つかったからそれでおしまいというものではありません。
なぜなら、いよいよ書類選考がはじまり面接に挑もうとする段階において、就活の軸は必ずと言っていいほど問われるものであるからです。
「まだまだ軸のことなど考えてもいない」という学生のために、どうして面接で聞かれて答えなければならないのか、具体的な理由とともに確認しておきましょう。
ミスマッチを防ぐ
面接などの場で企業が就活生に就活の軸を質問する大きな理由は、ミスマッチを防ぎたいという意図があり、内定辞退や早期退職を防ぎたいというねらいがあるからです。
いくら学校の成績が優秀で、人柄が申し分なかったとしても、それだけで採用になるわけではありません。
「親にすすめられたから」などという理由で応募してきたのでは、入社してから社風に合わないなどの理由ですぐに辞めてしまうかもしれません。
「周りが内定をもらっているからここに決めよう」というような考えで入社しても、なかなか仕事へ前向きになれず、活躍も期待できないでしょう。
そこで面接の段階で志望動機などとともに就活の軸を質問することにより、入社後のビジョンが明確であるかどうかを判断しているのです。
志望理由を知るため
数ある中からどうして自社を選んだのかを知ろうとする理由は、企業の採用担当者ではなくても想像に難くないでしょう。
志望理由を質問することでニーズにあった人材かどうかだけではなく、どれほど入社したいと思っているのか志望度の高さも判断しています。
つまり、事前にどれほどの準備をしてきているのかまで見極めているため、ほかの学生と差別化できるような理由を答えなければなりません。
それによって入社してから同じ方向を向いて働いていけるかどうかを見ているため「知名度が高いから」などという理由では、採用担当者の心に響くことはないでしょう。
さらに、いくら将来的に有望な業界だからといって、それだけで志望しているのなら将来性を見込めないと思われてしまうでしょう。
就活の軸の見つけ方
まだ志望する企業すら定まっていない学生の中には「面接においても質問される就活の軸をどうやって見つければ良いのかわからない」という人もいるでしょう。
あるいはすでに就活を進めていても、いよいよゴールが近づいている段階で軸がぶれてしまい、悩みが深くなった結果、企業を選び直すというケースも少なくありません。
そんな状況に陥らないためにも、就活の軸はどうやって見つければ良いのか、どのようにぶれない軸を作っていくべきかを見ていきましょう。
さまざまな企業説明会に出る
どの企業で働きたいのかを決めるうえで、そもそも決定の基準は人それぞれで、プロセスも1つだけとは限りません。
たとえば職場の雰囲気を重視するにしても、伸びやかなムードが自分に合っているのか、あるいは優秀な人たちと働くことにより自分を成長させたいと思う人もいるでしょう。
しかし初期の段階においてはそれすらも迷うことがあるはずで、そんなときにはできるだけ多くの企業の話を聞いてみましょう。
企業説明会などの就活イベントに積極的に参加すると、おもしろいと思った企業がある反面、興味がわかなかったということがあるかもしれません。
そんな経験を通じて関心を持った企業の特徴や共通点などが洗い出されていくと、徐々にと軸が見えてくるでしょう。
自己分析をする
企業の説明会などでさまざまな話を聞く中で、同じ業界でもフィールドが分かれていることに気づくはずです。
それぞれの企業の規模だけではなく、どのような分野が得意でどんなサービスに力を入れているのかもわかってくるでしょう。
たとえば同じようなサービスを提供していても、サポートの対象が企業なのか求職者なのか、どちらに重きを置いているか違いがあります。
そうした事業内容の違いを知ることにより、自分はどちらに向いているかを考えることも自己分析のきっかけになるはずです。
社風や働き方など職場環境の違いがわかると、どちらのほうがモチベーションを高めやすいかなど、これまでの経験や出来事を振り返りながら、感情ベースの分析もできるようになっていくでしょう。
他己分析をしてもらう
説明会に参加するなどして企業の話を聞くことが自己分析のきっかけとなるように、自分1人で黙々と考え込むより誰かに相談してみることも有効な手段です。
家族でも友人であっても聞きやすい相手に質問してみれば、自分でこれまでまったく気づかなかった行動パターンのようなものを教えてくれるかもしれません。
あるいは、すでに就活を経験している先輩に話を聞く機会が持てれば、より就活の軸作りに役立つ分析をしてもらえることもあるでしょう。
いずれにしても、自分ではまるで意識していなかった長所や強みを知るきっかけにもなるはずです。
それによって自分とは違った視点を取り入れつつ自己分析を進めていけば、独りよがりではない、説得力のあるものに仕上がっていくでしょう。
人材志望学生が使える就活の軸の一例
ここまで見てきたように就活の軸を定めることや、自己分析を進めることは必ずしも1人で行うべきものでもありません。
誰かに協力を仰ぐのは何も悪いことではなく、仕上げるまでに手を借りたからといって、採用においてマイナスにもなりません。
むしろ何位もわからないままで対策が進まない状態でいるよりも、人の意見を積極的に聞いてみるべきでしょう。
これから就活の軸をまとめる際にも、数多くある参考例に目を通しておくと、大いに役立つはずです。
人の成長過程に携わりたい
人材業界で働こうとしているのなら、誰でも人に関わる仕事がしたいと思っているはずです。
その中でも特に、ただ人の役に立つだけではなく、サポートを通じて成長していく姿を目の当たりにできることが醍醐味と言えるのではないでしょうか。
目標に向かって歩んでいる人を後押しするためには、真摯に向き合わなければならず、悩みを共有することもあるでしょう。
これまでと違う分野に挑戦しようとする人を相手にすれば、やりたいことを明確にしていく過程を共にすることがあるかもしれません。
まさに現役の学生が就活の軸を見つけることと同じように、自分自身の経験を振り返りながら強みを見出す作業に、一緒になって取り組める点では、仕事を通じて人の成長に携わりたいと思うならうってつけと言えるでしょう。
より多くの人や業界について知識を深めたい
さまざまな人と関わる仕事といえば、幅広く社会について知らなくても、いろいろと頭に浮かぶはずです。
日常生活を送る中で、たとえば百貨店やアパレルの販売員として働く人もそうでしょうし、旅行代理店の窓口業務などもそれに該当するでしょう。
それぞれが多くの人と関わり役に立つ仕事をしているわけですが、人材業界がそれらと大きく異なるのは、人だけではなく企業とも関わります。
特定の業界にだけ携わるだけではなく、一人前になって担当することとなる企業によっては、それまでまったく関心がなかった分野に触れるチャンスが出てくるでしょう。
そのような機会を通じて幅広い業界について知識が深まっていき、社会全体を俯瞰できるような視野の広さが身につくはずです。
正解が決まっていないものに取り組みたい
将来に向けてどのような経歴を積み上げていきたいかなど、理想とするキャリアプランは人によってそれぞれです。
どれほどの人と関わっても、何1つ同じものに巡りあうことはまれでしょう。
それは企業の置かれている状況も同様で、どのような課題を抱えていて、どんな人材を欲しているのかも異なります。
そのような中で人と企業との間に立つ人材業界では、常に正解が1つとは限らない状況で汗を流さなければなりません。
個性や目的などを尊重しながらサポートすることが求められていても、日々何が正解かがわからない状態で模索し続けるわけです。
つまり正解がないからこそやりがいが感じられる、そう考えられる人に向いている業界と言えるのではないでしょうか。
おわりに
「残業がなくても給料は高く、福利厚生が充実しているから」など、それだけの理由ではなかなか内定を勝ち取ることはできません。
特に人材業界で働こうとしているのであれば「人と関わる仕事がしたい」という動機だけでは企業から物足りないと思われてしまうでしょう。
多くの人や幅広い業界と携わるなかで、自分自身がどのように成長できそうか、理想の将来像とあわせて深く考えることで、就活の軸がしっかりと定まり就活を成功させられるでしょう。