はじめに
就職活動では、選考過程のほとんどで面接の機会を設けられていますが、面接とは別に面談が設けられるケースも増えてきています。
面談と面接は言葉こそ似ていますが、実は似て非なるものです。
就活生の中には、あまり聞きなれない面談の案内が届いて、どういうものかわからずに戸惑ってしまう人もいるかもしれません。
この記事では、面談と面接の違いやそれぞれの特徴、種類や特徴についても解説しています。
面談と面接の違いを知って、その機会を最大限に活かしましょう。
面談と面接の違いとは
面談と面接の大きな違いは、合否が出るかどうかです。
面接は、企業が応募者の能力や人物像を見極める選考の場で、必ず合否が出ます。
それに対して面談は、社員と応募者が気軽に交流する情報交換の場であり、合否には直結しません。
かつては、すべての選考が終わったあとに、内定者のみを対象として面談を実施する企業が大多数でした。
しかし最近は面接の前に面談の場を設け、相互理解を深めてから本格的な選考に進むケースが増えているのです。
立場の違い
面接は、企業が応募者に対して合否の判断を下すため、どうしても企業の立場が上になります。
一方、面談でのコミュニケーションは、企業と学生が対等な立場で行われます。
就活生としては、自分が志望している企業の社員と対等といっても気後れしてしまうかもしれません。
しかし、対等な情報交換の場が必要だと思うからこそ、企業側は面談の場を設けているのです。
大体の面談では、まず会社概要や業務内容の説明が行われ、キャリアビジョンや希望条件などについて質問されることもあります。
面談時に話した内容で合否が決まることはないので、素直な考えを話してみてください。
また、学生のほうから質問をするチャンスも多いので、選考へ進む前に確認しておきたいことは、気軽に聞いてみましょう。
雰囲気の違い
面接は企業の会議室などを使って、緊張感のある雰囲気で行われます。
一般的な形式では、長机に面接官が1名もしくは複数名座っていて、向かいに少し離れて参加者の座る椅子が用意されています。
一方の面談は、余裕をもった時間設定とフランクな雰囲気で行われるので、リラックスして話ができるでしょう。
面接と同じようにオフィスへ招かれる場合でも、面接官と参加者が距離を置いて向かい合うような形式ではなく、より近い距離で、資料などを一緒に見ながら対話形式で話します。
また、面談はオフィス内ではなく、カフェなどで行われることも少なくありません。
カジュアルな面談は特にベンチャー企業などで多く、服装指定がない、または私服指定の場合もあります。
目的の違い
面接は選考に応募してきた学生のスキルや適性・企業の社風に合うかどうか・活躍が見込めそうかなどを見極めて、合否を決めるために行われます。
面接はあくまで選考の場であるため、採用基準に達している応募者は合格、達していない応募者は不合格となるのです。
一方で面談はフランクな情報交換の場であり、相互理解を深めることが目的になっています。
相互理解を深める理由は、のちのちのミスマッチを防ぐためです。
選考前に相互理解を深めることは、企業にとっては内定辞退者や入社後すぐに辞めてしまう人を減らすことができ、就活生にとっても入社後のギャップを回避できるというメリットがあります。
面談は応募者と企業の双方が、本格的な選考~入社前の不安を解消できる貴重な機会なのです。
面接の種類と目的
面接は企業側が応募者を見極めて、合否の判断を下すために行われます。
企業が主導権を握って学生に質問をするという形式であり、就活生から見ると受動的な一方向のコミュニケーションです。
ただし、面接は複数回行われるケースがほとんどで、面接官の人数や参加者の人数にも違いがあります。
どの段階で、どの形式の面接を実施するかは企業によって異なります。
ここでは、面接の種類を集団面接と個人面接に分け、それぞれの特徴や目的について解説しましょう。
集団面接
集団面接は、面接官1人や複数人に対して、学生が複数人で行う面接です。
一次面接など、応募者がたくさん残っている選考初期の段階で実施されることが多いようです。
1人ずつ順番に回答するパターンのほか、指名や挙手で回答するパターンなどもあり、回答した内容をもとに、個別に1つ2つ追加の質問をされることもあります。
また、コミュニケーション能力をはかる目的で、参加者同士のグループディスカッション形式を採用している企業も多いです。
普通の集団面接でも、他者の話を聞くときの姿勢や表情などを見て、コミュニケーション力や共感力を見ていることがあります。
あまり多くはありませんが、挙手で回答する形式の場合は、ほかの参加者に配慮しながら発言する力も求められるでしょう。
個人面接
個人面接は、面接官1人や複数人に対して就活生1人で臨む面接であり、企業が応募者をある程度絞り込んだあと、選考過程の中盤~終盤に実施されることが多いようです。
募集人数や応募者の少ない企業では、選考初期から個人面接を行うところもあります。
面接官は人事担当者のほか、社内で新入社員の配属が予定されている部署の所属長などが同席する場合もあり、最終面接では役員面接が行われる企業も多いです。
また、ベンチャー企業では社長自らが面接官を務めたり、同席したりすることもあるようです。
個人面接では必然的に自分に当てられる時間が長くなり、集団面接よりも深掘りをされる傾向にあるため、より入念に企業研究をして自身の考えを深めておくなどの準備が必要になります。
面談の種類
面談の主な形式には、カジュアル面談とリクルーター面談があります。
フランクな雰囲気で対等な立場の対話形式で行われることは、どちらの面談にも共通していますが、面談の目的や面談をする相手に違いがあるのです。
ここでは、カジュアル面談とリクルーター面談、それぞれの目的や特徴についてご紹介しています。
面談は選考の場ではなく、基本的には合否に直結しませんが、面談前の準備や心構えをするときの参考にしてみてください。
カジュアル面談
カジュアル面談は、本格的な選考が始まる前に、応募者と企業間で認識のずれを調整するために行われる面談です。
企業の会議室やミーティングルームに学生を招く場合もありますが、カフェやレストランなどのオフィス外で実施することも増えています。
面談をする相手は企業の社員ですが、若手~中堅くらいの、学生がリラックスして話せるような人物が担当することも多いようです。
選考に直接的な関係はありませんが、丁寧や言葉づかいや態度には気を配る必要があります。
服装指定がない場合はスーツ、私服指定の場合はオフィスカジュアルで臨むと良いでしょう。
面談には相互理解を深めてミスマッチを防ぐ目的があるので、マナーは徹底しながらも、リラックスして対話をしてみてください。
リクルーター面談
企業に在籍している、あるいは企業から雇われたリクルーターが、応募者の中から選ばれた優秀な学生に対して、早期かつ個別にアプローチするための面談です。
大学のOB・OGを名乗る人から連絡が来て、面談のお誘いを受けるという形で実現します。
面談の場所はカフェやレストランなど、オフィスの外であることが多く、フランクな雰囲気で行われます。
選考に直結するものではありませんが、企業は「アプローチしたい」と思った学生をリクルーター面談に誘うので、就活生にとってはチャンスです。
悪い印象を与えると、今後の選考に影響が出る可能性もゼロではないため、言葉づかいや態度には気を配らなければなりません。
服装指定がない場合はスーツが無難、私服指定の場合はオフィスカジュアルで臨みましょう。
面談の目的
一昔前の就職活動では、採用選考前の面談が実施されるケースはほとんどなく、会社説明会のあとにエントリーシートを提出し、通ったら一次面接に進むのが一般的でした。
面談を実施する場合でも、それは選考終了後に内定者を対象にしたものであることが多かったのです。
しかし近年、限られた採用スケジュールの中で、選考には直接関係のない面談を取り入れる企業が増えているのは、やはりメリットが大きいからだと言えるでしょう。
企業が面談を実施する主な目的は2つあります。
マッチング度を見る
応募者と企業とのマッチング度が低いと、先々に内定辞退や早期退職のリスクが高まるため、企業はより自社に合った人材を獲得したいと考えています。
ミスマッチのまま採用・入社に至ると、いずれは「想定していたような人材・企業ではなかった」という結果になってしまいます。
しかし、エントリーシートや数回の面接だけで、応募者の価値観や人物像をすべて把握するのは、非常に難しいです。
面接よりもフランクに話せる面談では、対話の中で学生の価値観があらわれやすく、企業は自社とのマッチング度をより正確に見極められます。
また、その時点でのマッチング度を判断するだけではなく、面談で意見交換をすることによってマッチング度を高めることも可能です。
学生集め
企業には、面談の場で自社の魅力を伝えることで、たくさんの学生を集めて、より優秀な学生を採用したいというねらいもあります。
学生にとって就職活動が、その後の人生に関わる重大なステップであるように、企業にとっての採用活動も、会社の未来を左右する重大な事柄です。
さらに少子高齢化が進むと、多くの業界で人材不足が深刻になってくるといわれており、企業は自社を存続させるために、少しでも優秀な人材が欲しいと考えています。
しかし、インターネットに採用情報を掲載したり、会社説明会を開催したりするだけでは、自社の魅力を伝えるのが難しいと捉えている企業は多いようです。
その点、学生とじっくり対話ができる面談は、企業にとっても貴重なPRの場になるのです。
就活生にとって面談を行うメリット
就活生の中には、本格的な選考が始まる前に面談というステップがあることに対して、内定までのハードルが1つ増えたように感じる人もいるかもしれません。
選考に直結しないとはいえ、言葉づかいや態度、服装などのマナーに注意するところは面接と同じですし、企業研究などの準備をまったくしないまま面談に臨むわけにはいかないのも事実です。
しかし、企業の採用活動において大きな意味をもっている面談は、就活生にとってもいくつかのメリットがあります。
社会人と話すことに慣れることができる
就職活動において、社会人とのコミュニケーションは避けて通れません。
学生生活の中で社会人と話す機会はあまり多くありませんし、アルバイト先に社員の人がいても、本部の社員と日常的に交流があるというパターンは少ないでしょう。
就職活動で選考が始まったら、社会人、しかも企業の中枢にいる人たちと対話をして、自分をアピールしていかなければなりません。
しかし、日頃そのようなシチュエーションに慣れていないため、過度に緊張してしまう就活生が非常に多いのです。
フランクな雰囲気でリラックスして話せる面談は、社会人とのコミュニケーションに慣れる良い機会です。
面談を通して、面接本番やOB訪問、そして入社後の社会人生活に備えましょう。
気軽に質問できる
面談はフランクな雰囲気なので、質問がしやすいというメリットもあります。
面接でも「最後に何か質問はありますか」と言われることもありますが、やはり選考の場であるため、なんでも聞いて良いという雰囲気ではありません。
ほとんどの就活生は「ありません」と答えるか、好印象につながる質問を事前に調べておき、それを質問するという方法を選んでいると思います。
しかし面談なら、面接では聞きにくいことも比較的気軽にたずねることができますし、時間にも余裕のあるケースが多いです。
わからないことや不安なこと・会社の雰囲気・仕事の内容や働きがいなどを、実際に働いている社員の人から聞くことができるので、企業への理解が深まって、志望動機も固められます。
対等にコミュニケーションができる
面接とは異なり、面談は対等な立場で行われることがほとんどであるため、質問や自己表現をより自分らしくできます。
面談のコミュニケーションは質疑応答ではなく、対話・話し合いです。
相手から質問されることはありますが、適正やスキルを評価するための質問ではなく、相互理解やマッチング度の確認・擦り合わせ行うための質問です。
まったく緊張しないで答えることは難しいかもしれませんが、取りつくろわずに真意を伝えるほうが、意義のある面談になるでしょう。
勤務条件の確認が行われることもありますが、不明点や疑問に思うことは聞いても問題ありません。
また、面談では親交を深めるために雑談も混ざります。
自分らしい魅力を発揮できるようにリラックスして臨みましょう。
おわりに
ご紹介してきたように、面談は企業と就活生の双方にとって重要な意味をもっています。
面談に行かなくても選考へ進める企業もありますが、面談のお誘いが来たら、ぜひ参加をおすすめします。
ただし、面談は選考に直結しないからといって、あまりにも気軽になりすぎないよう注意が必要です。
基本的なマナーと感じの良いコミュニケーションを心がけて参加してください。
面談で手ごたえを感じられれば、本格的な選考にも高いモチベーションで臨めるでしょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート