はじめに
グループディスカッションはすべての企業で実施される選考形式ではありません。
面接や筆記試験と違い、対策が難しい試験です。
また、面接は志望動機・ガクチカなど必ず聞かれる質問があるので、回数をこなすうちに慣れてきます。
しかし、グループディスカッションはどんなテーマが与えられるか読めません。
この記事ではグループディスカッションで与えられる可能性の高いテーマ例や、選考を突破するコツ・事前準備について紹介します。
ぜひ参考になさってください。
企業がグループディスカッションを行う理由
グループディスカッションのテーマ事例を見る前に、企業がグループディスカッション形式の選考を行う理由をチェックしましょう。
一度に大人数を選考する形式なので、どちらかといえば応募者の多い大企業で実施されることが多いです。
また、応募者を絞り切れていない選考過程前半(一次面接前後)で実施される傾向があります。
試験自体は難しさを感じる方が多いですが、選考通過率が低い試験ではありません。
過度に緊張せず、リラックスして臨むことが大切です。
足切りをしたい
グループディスカッションを行う時点で、企業はまだ応募者をあまり絞れていません。
1対1の面接で何百人・何千人のコミュニケーション能力をチェックするのは、かなり時間がかかってしまうでしょう。
そのため、グループディスカッションの様子を見て明らかにコミュニケーション能力の劣る学生・自分勝手な言動が目立つ学生などを落としています。
いわば「足切り」に適した試験形式として、グループディスカッションを採用していると考えてください。
この選考を突破した方は、コミュニケーション能力・プレゼン能力などで企業が求めるスキルの水準を満たしていると評価されています。
その後も役員面接・最終面接と厳しい選考が続きますが、自信を持って面接を受けてください。
人柄を知りたい
グループディスカッションの特徴として、議長・書記など役割が与えられることが挙げられます。
人事担当者の目線からは、どの役に立候補するかで応募者がどんな人柄をしているか・どんな長所に自信を持っているかある程度把握できるでしょう。
決まった役のない方も、発言内容やタイミングなどで「仕事や会議でどんな役割をこなしてくれるか」についてある程度想像がつきます。
組織はリーダータイプの方ばかりいてもまとまりにくいですし、明るく元気なキャラクターの方ばかり集めれば職場の雰囲気が良くなるわけでもありません。
多くの採用担当者は、できるだけさまざまな個性を持った人を集めたいと考えています。
グループディスカッションで応募者の人柄を知っておけば、極端に偏った採用になる可能性が低くなるでしょう。
グループディスカッションの流れ
続いて、グループディスカッションの流れや役割について紹介します。
初めてこの形式の選考に臨む方は、事前に確認しておきましょう。
最近は、対面形式ではなくオンラインで選考をする場合があります。
書記を置かないことがある・会話がぶつかりにくくなるよう人数が少なめに設定されるといった可能性が考えられますが、おおまかな流れはオンラインでも違いはありません。
対面でもオンラインでも、試験時間は1グループ30分前後になることが多いです。
企業からの説明
最初に、企業の採用担当者からグループディスカッションについて説明がなされます。
選考がどんな目的で行われるか・時間はどれぐらいか・どんな流れで進むか・話し合ってもらうテーマは何かといった事項が説明されるでしょう。
流れはどこの企業もほとんど同じですが、説明の中で重要なことが話されている可能性があります。
たとえば、「〇分までに結論を出して代表者が発表してください」「発表は〇分以内にお願いします」といった時間に関する指示は聞き逃さないようにしましょう。
時間に関する決めごとをしっかり守れないと、かなり選考を通過できる可能性は低いです。
自分一人でクリアできる試験ではなく、同じグループになった方とチームワークを発揮して全員で通過できるよう頑張りましょう。
グループ分け
続いてグループ分けが行われますが、企業によっては最初からグループごとに時間を区切って学生を呼ぶところもあります。
オンラインの場合も、あらかじめ企業が学生のグループ分けを済ませているでしょう。
同じ学校の知り合いの方・友達と一緒のグループで参加できれば心強いですが、グループディスカッションはそもそも知らない方とディスカッションさせることを目的にしています。
グループ分けで、学生の希望を取ることはまず考えられません。
そのため、知り合い同士をできるだけ同席させないよう、できるだけ別大学の学生同士でグループを作ることもあります。
偶然一緒の組になる可能性もゼロではありませんが、基本的には友人・知人と一緒のグループにはなれないと考えてください。
役割決め
続いて、ディスカッションに必要な司会進行(議長・リーダー)などの役割を担う方を決めます。
企業の担当者が役割をあらかじめ指定してくれる場合もありますが、「役割決め」のステップもディスカッションの一部として学生に任せることも多いです。
役割決めの時間が短いほど、その後のディスカッションに多くの時間を割けます。
主な役割について理解し、素早く決められるようにしましょう。
役割について知っておくと、自分の得意な役割に立候補して選考で有利になることもできます。
与えられた役割を全うできれば、それだけでグループディスカッションの選考を通過できる可能性がかなり高いです。
特に司会や発表者などは、自分のビジネススキル・センスをアピールするのに適しています。
司会進行
司会進行を任される方は、ディスカッションで非常に重要な役割を担います。
時間内にすべての方から意見を引き出せるよう、適切に場を回していかなければなりません。
意見が割れても時間内に結論を出すためには、どのように一つの結論を決めるか提案する必要もあります。
そのため、司会進行をする方はコミュニケーション能力・気配りといったスキルが必要です。
周りによく気が付くのが長所の方は、この役割に立候補してアピールすることをおすすめします。
書記
学校で求められる書記であれば、字がきれいなことが第一条件でしょう。
しかし、グループディスカッションの書記は、口で話された意見を簡潔にまとめて記す能力が求められます。
場合によっては、論点を整理するため表や箇条書きといった書き方を工夫しなければなりません。
そのため、書記は論理的思考力などをアピールするのに適した役割です。
自分の意見を話すよりも、人の意見をよく聞く・要点を整理するといったことが得意な方はチャレンジしてみましょう。
タイムキーパー
タイムキーパーは、ディスカッションを時間内に終わらせるために絶対に必要な役割です。
テーマと制限時間を与えられた時点で、全員の意見を聞く・それぞれの意見をすり合わせる・結論を出すというステップにどれぐらいの時間をかけるか考えていなければなりません。
また、議論の中で相手の話をさえぎることなく「残り時間が何分か」「そろそろ〇〇のステップに移りましょう」といった声かけをすることも求められます。
空気を読む力などが求められ、地味ながらかなり重要なポジションです。
発表者
ディスカッションの最後が発表で終わる場合、代表して意見を述べる発表者も決めなければなりません。
ディスカッションの内容・結論を時間内でうまく説明するためには、高度なプレゼン力・日本語力が必要です。
非常に難しい役割ですが、発表の時間は確実に自分一人だけがアピールできる時間になります。
アピールチャンスが一番与えられる役割なので、自信がある方はぜひ立候補しましょう。
テーマが自分の得意ジャンルで、話をまとめやすいと感じた時は特にチャレンジしやすいです。
ディスカッション
全員の役割を決めたら、いよいよディスカッションが始まります。
多くの場合、テーマに沿ってまずは一人ひとりが発言の機会を与えられるでしょう。
司会進行の方が参加者全員に話を振る形、「どなたか意見のある方は」と発言を求める形どちらも考えられます。
しかし、全員が発言しないうちに、司会進行役が次のステップに移ることはありえません。
仮に司会の方が誰かがまったく発言していないのに結論までもっていこうとするなら、その司会をした方は不合格になってしまうでしょう。
ディスカッションでの発言内容自体は、評価に大きな影響を及ぼしません。
志望企業の批判になったりまったくテーマと的外れな意見を述べたりしない限りは大丈夫なので、自分が自信を持って論理的に説明できる意見を述べましょう。
発表
結論が出たら、発表者の方が代表して全員の意見を述べます。
このステップまで来たら、後は発表者以外の方は見守ることしかできません。
できるのは、発表者が発表しやすいよう意見をまとめること・発表者が「こういう内容を発表したい」と確認した時に抜けや間違いがあれば意見を出すことぐらいです。
発表者の方は、ここが勝負どころとなります。
自分に与えられた発表時間内に、内容をまとめなければなりません。
長くなりすぎないよう、不要な部分をいかに削っていくかのスキルが問われています。
ディスカッションをしている段階から、上手にメモを取っておくことも大切です。
ただ発言内容を書き留めるだけでなく、「論点」「課題」「対策」などポイントがわかりやすくなるノート作りを心がけましょう、
グループディスカッションのテーマ
それでは、グループディスカッションの選考で出題されやすいテーマを紹介します。
多くの企業では、自社の事業内容と関連あるテーマで出題がなされるでしょう。
この選考はビジネススキルを見る意味もあるので、ビジネスと関連の薄いテーマになる可能性は低いです。
事前に企業研究をしておくと、ある程度どんなテーマで出題されるか絞り込めます。
志望業界がはっきりしている方は、前に受けた同業種の企業と似たテーマを与えられることもあるでしょう。
売上を上げるタイプ
小売・製造業などで出題されやすいテーマに、「どうしたら売上を上げられるか」があります。
このテーマが与えられた時のポイントは、まず前提条件を洗い出すことです。
商品のメインターゲットはどんな方か(性別・年齢など)・店舗の立地条件・直面している課題。競合他社の状況などを考える必要があります。
そのうえで、どの課題を解決すれば良いかを決め、課題解決策を考えていかなければなりません。
ディスカッションの時間は限られているので、時間内に話し合える課題は一つになるでしょう。
価格を安くする・サービスを充実させる・パッケージを変えるなど具体的な方法を発表できるようにしてください。
その結論に至った理由も、論理的に説明できるようにしておきましょう。
コンビニの売上を上げるにはどうすれば良いか?
コンビニの店舗(住所・周りの環境・現在の売上といった条件が説明される架空の店舗)について、どうしたら売上を上げられるかというテーマです。
このテーマのポイントは、そのお店がどのような顧客を主な相手にしているかになります。
駅前にあるコンビニなら、通勤・通学のお客様をいかに取り込めるかがポイントになるでしょう。
一方住宅街にあるコンビニでは、いかに近所のお客様が気軽に立ち寄れる店舗にするかのほうが大きな課題です。
そのため、まずは立地条件などからどの顧客層からの売上を伸ばせそうかを話し合いましょう。
その後、具体的な施策(夜遅い時間帯のビジネスマンが購入する夜食・栄養ドリンクなどを充実させるなど)を出し合っていきます。
コロナ禍においてビジネススーツの売上を上げるにはどうすれば良いか?
現在、コロナの影響をテーマにする企業は多いです。
コロナで売上が落ちた商品・サービスはたくさんあります。
リモートワークで出社の必要がなくなったため、ビジネススーツも多くの方が購入頻度を減らした商品でしょう。
この課題を解決するためには、まずスーツの需要が落ちていること自体を受け入れなければなりません。
そのうえで、ビジネススーツの特性を踏まえどんなアプローチで売上を伸ばすか考えます。
たとえば、スーツは定期的にクリーニングに出す必要がある衣服です。
コロナで外出がしにくくなっている中、自宅で洗いやすい・メンテナンスしやすいスーツを強化するというアプローチが考えられます。
スーツを着るのはオフィス勤めの方が中心なので、それ以外の方にスーツを販売する手段はないか模索する手もあるでしょう。
サブスクが流行している中でCDやDVDの売上を上げるにはどうすれば良いか?
サブスクやダウンロードサービスが流行しているため、現在はCD・DVDなど音楽や映像コンテンツをモノで所有する方が少なくなりました。
このテーマは、時代や環境の変化に敏感化・柔軟に対応できるかが問われています。
メインのアプローチは、いかに商品自体を「購入してもらえる」付加価値を付けていくかです。
たとえば、アーティストのコアなファンであれば多くの方が音楽をダウンロードするだけでなくCD自体を所有したいと考えるでしょう。
ターゲットを細分化し、付加価値を付けることでサブスクではない部分にもお金を出してもらうにはどうすれば良いでしょうか。
このテーマは多くの学生も利用している身近な業界がテーマです。
それだけに意見が割れやすく、一つの結論に導くための司会進行役の手腕もカギになります。
レンタカーの売上を上げるにはどうすれば良いか?
先ほどの見出し(サブスク下のCD・DVD)では、商品・サービス自体の需要は変わっていないものの、時代や環境の変化で売上アップの余地が少なくなっていることを課題にしました。
逆に、世間の需要が減少しているものを復活させるにはどうしたら良いかというテーマが出題される可能性もあります。
都市部で交通網が整備されたうえ、車をよく使う方はマイカーを所有し使用頻度の少ない方もカーシェアリングという選択肢が出ている今はレンタカーの需要も少なくなりました。
この課題のポイントは、レンタカーがあくまで「手段」であることを認識することです。
観光地など目的地の需要をはっきり提示する・レンタカーを使う場合と他の手段(公共交通機関など)を利用した場合を比較しメリットを示すといった方法が考えられます。
自社のボールペンの売上を上げるにはどうすれば良いか?
自社製品の売上を上げるにはどうするか、という課題も定番です。
製造業などを受ける方は、グループディスカッション前に主力商品の情報をしっかり予習しておきましょう。
現在競合している製品と差別化できる部分はないか、どんなターゲットを相手にした商品なのか知っておくことが大切です。
ディスカッションでも、いかに他社より優れている点をアピールできるか・買ってもらえる余地があるのにアピールできていない顧客層はいないかなどを話し合うことになるでしょう。
もっと難しい課題として、なんの変哲もない安いボールペンをサンプルで渡され「このペンを多くの方に売る方法を考えてください」というテーマが出されることもあります。
この場合「誰に売るか」「どうやって売るか」が非常に難しく、ここをクリアするための方法をうまく考えなければなりません。
課題解決タイプ
商品の売上アップの方法を考えるテーマと並び、頻出のテーマが課題解決タイプです。
業界や企業が抱える課題を解決するためにはどうすればいいかを考えます。
もちろん、これは普段から現役経営者・ビジネスマンが考えていることです。
それでも解決が難しい課題は存在しており、学生がいきなり確実な方法を提示することはできません。
ポイントは与えられた課題にどのようなアプローチで迫るかと、その方策を採った場合どんな結果が得られるかのビジョンをしっかり示すことです。
多くの企業は、選考で学生に「逆境でも諦めずチャレンジできる粘り強さがあるか」も見ています。
難しい課題を与えられた場合も、解決の糸口がないかしっかり考えられることをアピールしましょう。
withコロナの時代における旅行業界の展望とは?
コロナで大打撃を受けた業界といえば、なんといっても旅行・観光業界です。
現在も確実な出口が見えておらず、将来どのように進んでいけば生き残りを図れるか考える必要性に迫られています。
このテーマは、時事問題について問われているとも考えられるでしょう。
普段からニュース・新聞などで業界に関する知識を得ているかがポイントです。
少なくとも、現在すでに行われてきた取り組みについて勉強しておきましょう。
その中で成功した取り組みはどこが優れていたのか、その取り組みをより進歩させるためにはどうすれば良いかなどを考えてみてください。
旅行業界と同じく、外食業界・ブライダル業界・娯楽施設といった企業でも同様のテーマが出題される可能性があります。
国民のテレビ離れが進む中でテレビ業界はどのように進むべきか
テレビは、ここ数十年で国民の利用方法が大きく変わりました。
ネットで番組が見られるようになった・スマホなど競合する娯楽が増えたといった事情からテレビ離れが進んでいます。
普通に考えると、テレビが以前のようにゴールデンタイムに20~30%といった視聴率を当たり前に出すことは難しいでしょう。
そんな中、テレビ業界はどのように進んでいくかを考えるのは非常に難しいテーマです。
幅広い市場の知識と分析力が必要になってきます。
こちらは「売上アップ」系の課題と異なり、視聴率を回復させることだけが答えではありません。
たとえ視聴率が落ちてもスポンサーが付くような番組作りをする・予算を縮小化させ社会のニーズに合わせた番組作りに向かっていくといった答えも考えられます。
世界的にガソリン自動車の需要が高まる中で日本の自動車業界はどのように進むべきか
自動車は日本が非常に強い業界ですが、いつまでも日本企業が勝ち組でいられる保証はありません。
日本はもちろん、世界でも自動車のニーズは毎年変化を続けています。
現在も日本で走っている車の多くはガソリン自動車であり、世界的も日本の質の高いガソリン自動車はニーズが高いです。
この状況で、日本企業はどのようにグローバルな事業展開ができるでしょうか。
また、数十年後を考えると自動運転・次世代エネルギーなどさまざまなトレンドに対応していかなければなりません。
今後の経営戦略をどうすれば良いか、力を入れる方向性を示すのも一つの答えです。
与えられるテーマが大きいものの、ディスカッションの時間が限られています。
最初に「現座用把握したうえで事業展開を考える」「将来の課題を見据えた経営ビジョンを示す」、どちらを取るかはっきり決める必要があるでしょう。
新卒の離職率を下げるにはどのようにすれば良いか
社会全体が抱える課題がテーマになることも多いです。
例えば、新卒の離職率を下げるにはどうしたらいいか出題されることがあります。
多くの採用担当者は、すでに社会人・ビジネスマンという立場に慣れています。
この課題に関しては、学生のほうが新卒に近い気持ちで考えることができるでしょう。
「自分が人事の人間だったら」ではなく、学生だからこそ「新卒で働くのにこんな不安がある」というスタート地点から考えることができます。
どんなサポートがあれば新卒が働きやすいか、仕事が辛くい時にどんな支えがあれば助かるかを考えてみてください。
似た課題として、「日本の出生率を上げる」「若者の投票率を上げる」「待機児童を減らす」といったテーマが出題される可能性もあります。
自社の課題とその解決方法とは?
自社の課題やその解決策が、ディスカッションのテーマに指定されることも多いです。
そのため、どのような業種でも自社に関するテーマが出題される時に備え企業研究をしておくことをおすすめします。
この課題では、コミュニケーション能力・思考力などに加え自社について最低限の知識を備えているかもチェックポイントになっている可能性が高いです。
筋の通った意見であっても、企業の理念と対立する考え方であった場合マイナスポイントになってしまうおそれがあります。
特に大事になるのは、課題をどのように乗り越えるか自分なりの考えを持っているかどうかです。
課題を見つけた時にどのように立ち向かっていくかは、ビジネス面での人柄・働き方にも反映されます。
新規事業立案タイプ
グループディスカッションで、「新規事業を考えてみてください」という新規事業立案タイプのテーマが出題される場合も多いです。
もちろん数十分の限られた時間で、本当にビジネスを立ち上げるのに必要なリサーチや損益分岐点の計算などはできません。
成功する可能性が高いか低いかは、大きなチェックポイントにならないでしょう。
むしろ、「どうしてそのビジネスをやりたいと思ったのか」「企業がそのビジネスをするとどんなメリットがあるか」「社会にどのように役立てるか」といったポイントをしっかり論理的に話せるかが大切です。
その企業や業界にマッチするビジネス・サービスを考える必要もあります。
学生によってアイデアはさまざまなので、どうやって意見を一つにまとめるかもポイントです。
新しくショッピングモールを設立するならどういったものにするか
新規事業立案をテーマにする場合、学生が話しやすいよう馴染みあるサービスが例に出される場合があります。
ショッピングモールは、ほとんどの学生が利用したことがあるはずです。
しかし、グループディスカッションの新規事業計画としてショッピングモールを考える時は、どういった観点から新しいショッピングモールを作るか考えねばなりません。
まずはそのショッピングモールを利用する方はどんな顧客層かを考え、軸となるコンセプトを打ち出すことが大切です。
若者をメインターゲットにするか、ファミリー層をメインターゲットにするかで大きくコンセプトや必要な準備が変わるでしょう。
出店場所や予算などが決まっている場合、その課題に合った計画を立てる必要もあります。
Z世代の若者に向けた新サービスを考案せよ
Z世代の若者に向けた新サービスなど、あらかじめターゲットを絞ったテーマが出されることも多いです。
もちろん逆に現在若者をメインターゲットにしている商品・サービスを、もっと年齢層の高い方に普及させるためのサービスを考えるよう指示されることもあります。
この課題では、企業や商品に関する知識に加えそのターゲット層に対する知識も必要です。
時事問題の知識や一般社会常識がしっかり身についている学生ほど、この課題では有利になります。
アイデアを出す時は、そのアイデアがどうしてZ世代に向いているかを上手に説明できなければなりません。
Z世代の嗜好・購買力・チェックしている媒体といったアプローチから考え、わかりやすい説明を心がけましょう。
学生をターゲットにした新規事業を立案せよ
学生をターゲットに、どういった新規事業を提案するかを課題にされることもあります。
自分自身が当事者となっているだけに、この課題では「自分が魅力的に感じること」をアイデアとして出しやすいです。
しかし、それが独りよがりなものではなく一般的にも通用するメリットであることを説明するのは決して簡単ではありません。
「自分ならこういった点に魅力を感じます」で終わらせるのではなく、「周りの友達もこうした点に不満を持っていて、ビジネスチャンスになると思います」など客観的な目線も加えてみましょう。
社会人になってからも、自分が良いと思ったアイデアが本当に形になることを証明しなければいけないシーンが出てきます。
その時に冷静で客観的な判断ができる人物かが、この課題のポイントです。
新たにベンチャー企業を設立するならどういったサービスにするか
多くのベンチャー企業は、今後もさらなる新規サービス・事業を立ち上げて成長していく気概を持っています。
学生にもアントレプレナーシップ・チャレンジ精神を求める傾向が強く、グループディスカッションでも「もしベンチャー企業を立ち上げるなら」といった課題が出される可能性も高いです。
ベンチャー企業なので、「どんなことでも挑戦できる」という自由さはあります。
しかし、採用担当者は、ここで学生の人柄やビジネスに対する価値観をチェックしている可能性が高いです。
どういったサービスなら勝てると考えるのか・どんな事業ならチャレンジしがいがあると考えるのかが問われています。
「社会に貢献できる」ことを打ち出してもいいですし、「未知の領域である」ことを理由にチャレンジしたいとアピールすることもできるでしょう。
自社のサービスを活かした新規事業を立案せよ
新規事業系でも、自由度があまり高くない課題が出されることがあります。
具体的には、既存の自社サービスを活かした新規事業に何が考えられるかという課題です。
当然、出題される自社サービスについてしっかり理解している必要があります。
グループディスカッションに必要な能力に加え、企業・業界研究がちゃんと進んでいるかを確認している課題と言えるでしょう。
自社サービス前提なので、グループごとが出す答えはどうしても似たものになる可能性が高いです。
奇抜なアイデアで勝負するより、ありきたりな答えと感じられてもそのアイデアが良いと思った理由を明確に打ち出せるよう取り組みましょう。
アイデア出しよりも、その後の肉付けのほうに力点が置かれる課題です。
グループディスカッションを突破するためのコツ
最後に、グループディスカッションの選考を突破するためのコツを紹介します。
グループディスカッションはチーム戦ではないので、同じグループが全員合格・全員不合格に二分されることはありません。
しかし、チームワークが良いグループにいた学生ほど合格率が高くなります。
一緒になったグループの学生をライバルではなく、チームメイトと考えてください。
意見が対立する可能性もありますが、その時も相手をけんか腰に批判する姿勢はマイナス評価につながります。
無理にアピールしない
自分が一番アピールしようと、無理にアピールするのは禁物です。
協調性がないとみなされ、かえって減点対象になる可能性もあります。
発表を除いたディスカッションの時間が20分で、メンバーが6人となれば一人あたりの発言時間は3分程度です。
アイデア出し・質問・意見などをすべて合わせて、発言できるチャンスはもともと3回~4回程度だと考えておきましょう。
全員が限られた時間で個々の意見を出し納得できる議論ができたかどうかのほうが、自分の主張が採用されたかよりもポイントが高いです。
ほかの学生の意見を採用したほうが良いと思った時はそれを認め、その意見をブラッシュアップする方向にシフトしましょう。
ほかの学生の意見をしっかり聞けていることも、非常に良いアピール材料です。
論理的な議論を心がける
テーマによっては、どうしても学生同士の意見が分かれることがあります。
その時に即座に否定するのではなく、「そういう意見も考えられますね」とワンクッション入れる・受け止める姿勢を見せることが大切です。
その後で「しかし自分は~~のほうが良いのではと考えます。なぜなら××というメリットがあるからです」とつなげれば、論理的な議論につながるでしょう。
逆に自分が言おうとした意見とほぼ同じ内容を、前の方に話されてしまうこともあります。
その場合もただ「良いと思います」と同調するのではなく、良いと思った自分なりの理由や補足をプラスすることが大切です。
最終的な結論がより洗練されたものとなるよう貢献できれば、同じ意見を後から言った場合でも十分評価対象になります。
役職で評価されるわけではない
司会進行や発表者といった役職は、チームの中で非常に目立ちます。
役職に就いたほうが有利と考える学生は多いです。
しかし、役職を得たからといって評価されるのではなく、その役割をしっかり果たせたかどうかのほうが評価に影響を与えます。
司会進行の役職についても進行がおぼつかず、ほかの人のサポートがなければなかなか話が進まないようなら落とされてしまうでしょう。
司会に選ばれなければ発表者、発表者でも選ばれなければタイムキーパーと無理に役職を狙う必要はありません。
自分の能力・性格に合った役にだけ立候補してください。
初めてグループディスカッションをする方は、あえて最初は役職に就かず役職の方がどんな言動をするか研究してみるのも手です。
「うまいな」「自分もできそうだな」と思ったら、次は自分が役職に就いてアピールしてみましょう。
まとめ
グループディスカッションは少し特殊な選考形式ですが、コツを理解すればかなり高い確率で合格できます。
特にプレゼン能力に自信のある学生にとっては、面接以上に自分のスキルをアピールするチャンスです。
自分に発言のターンが回ってきた時は、面接と同じく結論ファーストで話すことをおすすめします。
そのほうが論理的で簡潔な話し方をしている印象を与えられますし、限られた時間で議論を終わらせやすいです。
最近はオンラインでグループディスカッションをしてもらう企業も多いので、不安な方はZOOMなどのビデオ通話ツールにも慣れておきましょう。
対面で話すのとは少し勝手が違い、場の雰囲気や相手の顔・口元などから自分が今話して大丈夫かを見極めなければなりません。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート