目次[非表示]
はじめに
相手の目線に立って物事を考えるのは、ビジネスの場で必要不可欠なスキルです。
お客様をはじめ会社の上司・先輩・同期など、社内の人に対しても、相手の立場で考えながら人間関係を作ることが求められます。
今回は履歴書・エントリーシートなどの自己PRで「相手目線」をアピールする際に気をつけるべきことをお伝えします。
あなたの考える「相手目線」とは?
あなたに「相手目線」があるかどうか判断するために、企業はあなたがどんなことに留意して物事を進めるのかを見ています。しっかりアピールできるように、自分のどんな点が相手目線なのか書き出してみましょう。
例)
- 話し合いの時には、自分と反対の意見こそよく聞く
- 相手の言葉そのままではなく、相手が何を伝えたいのかを聞き取る
などなど、まずは簡単なメモで構いません。
あなたの考える相手目線な行動を書き出してみてください。
相手目線で、得られた結果はどんなもの?
次に、具体的なエピソードを文章化するためにあなたが相手目線の行動で得た結果を書き出します。経験に裏打ちされた強みとしてアピールするために、できるだけ具体的に書いてみましょう。
例)
話し合いの時には、自分と反対の意見こそよく聞く
アルバイト先でクリスマスメニュー開発をしたときのこと。男性客が多いお店だったが、女性のスタッフ中心にアイデアを出し合った。ホワイトオムライスにケチャップでサンタの絵を描こうという案が出たところで、男性スタッフから「ソースはデミグラスが良いのでは」と反対意見が出た。女性の皆はサンタの絵を描くところがポイントだと思っていたので、すぐには聞き入れなかった。私が「なぜ、デミグラスが良いと思うのか」と聞いてみたところ、「男性客が多いため、サンタの絵があることよりもオムライスが美味しいかどうかのほうが重要であり、オムライスのソースとして一般的なデミグラスソースのほうが良い。」という反対意見の理由を知ることができた。当初、自分を含む女性店員が見落としていた「当店のメインユーザーである男性に好まれるメニューかどうか」という視点を取り入れることができた。結果、デミグラスオムライスにサンタの旗を付けて出すことになり、クリスマス限定ランチメニューは大成功した。
相手の言葉そのままではなく、相手が何を伝えたいのかを聞き取る
アルバイト先でのこと。百貨店の洋菓子売場で働いていたとき、お客様から「甘いのを探している」とお問い合わせがあった。洋菓子売場には無いものをお探しなのではと思い、「和菓子売場でしたらもう少し奥にございます。」とお答えすると、「ありがとう。」と言って頂けた。お客様の話し方から、お客様のニーズを聞き取ることができた。
相手目線に立てる人がアピールできることとは?
相手目線に立つということは、相手の気持ちや真意をきちんと汲み取って行動するということです。
これは社会生活を送るうえでとても大切なことですし、もちろん仕事においてもより良い人間関係を構築したり、より良い業務成果を得たりすることに役立ちます。
社内外の人たちと接する機会の多い職種であればなおさらですが、どんな仕事も1人でできるものではありませんので、あらゆる職業に共通した優位性があります。
具体的にどのようなことがアピール可能か、まとめてみましょう。
クライアントとの関係値が築ける
クライアントから依頼を受けて業務を行う局面は、あらゆる業種業界に存在します。
たとえ自社で製品開発し、流通販売まで行っているメーカーであっても、各部署にはそれぞれクライアントが存在するのが一般的です。
いかなる大手企業であっても、一社だけですべての事業を回せるわけではありませんので、そこには必ずビジネスパートナーが存在し、立場的にクライアントとなる相手も出てくるのです。
そんなとき相手目線に立てるということは、クライアント側の気持ちに寄り添い、真のニーズに応えられることを意味します。
クライアントとしては、意図をしっかり汲み取ってくれるビジネスパートナーは非常に大切です。
もちろん良い関係が構築できますし、より良い成果が得られる期待もありますので、そうした立ち位置で仕事ができる人材は高く評価されます。
顧客視点の企画を作ってくれる
相手目線に立って仕事ができる人は、顧客視点の企画を作れる優秀な人材になり得ます。
あらゆる企業に顧客は存在し、事業成績を上げるためには顧客の賛同を得ることが必須なのは、もちろん言うまでもありません。
近年では世界中の企業がSNSなどを駆使し、顧客の動向を洗い出すマーケティング手法を展開していますが、これもひとえに顧客の視点を知り、真のニーズを探り出すためです。
相手目線に立てる人が顧客の立場に立ち、求めるものや今ある課題を探り出すことができれば、おそらくその事業は成功を収めることができるでしょう。
部下に好かれる
寄り添うべき相手は社外ばかりではなく、社内にも存在します。
新入社員の間は求められることはないにしても、将来的にマネージャーの立場に成長してくれそうな人材は、企業にとっては大きな宝と言えます。
新卒採用の時点で、この先部下を持ち、組織やプロジェクトの運営を担ってくれる期待のある人物は、積極的に採用する企業が大半でしょう。
相手目線に立てる人は部下に好かれる期待値が高いため、幹部候補としても名前が挙がりやすい傾向にあります。
仕事は1人でできるものではありませんので、組織として業務にあたる環境を整えられる能力は高く評価されます。
相手目線で相手のことを理解しようとする人材は、まさに企業にとって必要な存在と言えるのです。
相手目線に立てることを自己PRで伝えるときのポイント
相手目線に立てるという能力をアピールするときに、どのように伝えれば効果的な自己PRになるのでしょうか。
せっかく素晴らしいスキルを持っていたとしても、それがうまく伝わらなければ魅力は半減です。
採用担当者や面接官は日々たくさんの学生を審査していますので、その中でも目に留まりやすい伝え方をすることはとても大切です。
相手目線に立てるスキルを最大限に発揮し、わかりやすい文章構成で理解しやすい魅力的な自己PRを作成してください。
結論を最初に伝える
結論を最初に伝えるのは、ビジネス文書の構成としては基本になりますので覚えておきましょう。
問いに対してはまずは答えを用意し、その理由や裏付けはその後から述べます。
つまりこの場合は、「私の自己PRは、相手目線に立てることです」という書き出しが正解となります。
これは結論先行という形で、同じ回答でも印象が大幅に変わるのが特徴です。
たとえば趣味を聞かれた場合、「私は小学生の頃良く父に野球観戦に連れて行ってもらっており、そこで野球に興味を持ち、小中高と野球部に所属していたこともあって野球が趣味になりました」という答え方と「私は野球が趣味です。小学生の頃父とよく野球観戦に行ったことがきっかけです。それから高校までずっと野球部に所属していました。」という答え方では、明らかに後者のほうがわかりやすく、ロジカルな印象を受けるでしょう。
具体的なエピソードでアピールできる根拠を示す
結論を述べた以上、その結論に至った理由を述べることで説得力を増す必要があります。
これには具体的なエピソードでアピールすることが一番有力で、実体験の話を盛り込むことで相手を深く納得させることが目的です。
エピソードは志望動機などESのほかの項目とも連動してくる部分なので、自己PR欄だけでなく全体を見ながら内容を選んでください。
言っていることがチグハグにならないよう、トータルでマッチさせることが重要なポイントです。
自分が相手目線で物事を考えることができると自覚したのは、どういった経緯なのか、第三者が納得できるようなものを選びましょう。
また、独りよがりだと捉えられないよう、周りの人から言われたことや客観的な評価を取り入れるのも有効な手段です。
入社後、どのように強みを発揮するかを話す
自己PRの締めにあたる部分ですが、その強みが応募先企業でどのように有効活用できるのかを示す必要があります。
実際には、それがどれくらい発揮できるのか、どれくらい通用するかは想像でしかありません。
学生レベルですぐに企業で活躍できることはほとんどないのですが、それは採用担当者も重々承知のうえです。
肝心なのは、本人が自分のできることや強みをどれだけよく理解し、仕事に対して深く考えて行動しているかですので、自分なりに考えた貢献の仕方で構いません。
強みを発揮することで入社後に何を成し遂げたいか、大枠のビジョンを伝えるのが良いでしょう。
ただしどの事業部門に配属されるかわからない段階ですので、あまり職種は限定せず、広く通用するビジョンを伝えるほうが無難です。
相手目線に立てることを自己PRで伝える際のおすすめの構成
それでは、相手目線に立てるという自己PRをするときに、具体的にどのような構成で文章を組み立てていけば良いかを解説します。
意地の悪い見方をすれば、相手目線になれるなら、当然、採用担当者目線にもなれなければなりませんので、ハードルは決して低くありません。
口先だけだと捉えられないようにするためには、自分だけにしか語れない実体験を踏まえたエピソードを挙げて、真実味と企業への期待感を持たせることが大切です。
それではフレームに沿って見ていきましょう。
結論:私の自己PRは相手目線に立てることです(アピールポイント)
前述した通り、ビジネス文書では最初に結論がきます。
ここでは相手目線に立てることを伝えるのが目的ですので、書き出しはこの部分から始めましょう。
ただし、相手目線に立てるという意味はそのままでも、さまざまな言い換え表現があります。
冒頭でも述べたように、自分のどんな点が相手目線なのかを書き出し、エピソードに沿う言葉選びをすることもポイントです。
たとえば、「私の自己PRは、相手が傷つかないように配慮することができることです」「私の自己PRは、自分の意見を押し付けず、聞き上手なことです」といった表現でも、相手のことを思いやれるきめ細やかな能力や人となりが伝わってきます。
そこからアピールする文章につなげることも可能ですので、できるだけ他の人と被らない、読み手にとって新鮮に感じられる魅力的なフレーズを考えてみてください。
理由:なぜならば、〇〇で〇〇ということがあったからです
自分が相手目線に立てる人物だと自覚したのはどういった経緯なのか、その理由を挙げるフレームです。
ただ「相手の気持ちが気になる」だけでもいけませんし、「相手が考えていることがわかる」と言ってみても、それは独りよがりな思い込みかもしれません。
できるだけ第三者から言われたこと、評価された結果などを取り上げ、そこから自覚に至ったという形にするのがセオリーです。
たとえば、「なぜならば、ゼミに所属していた3年間、留学生から旅行や買い物のコーディネートを頼まれることが多かったからです」といった理由が妥当でしょう。
エピソード:私は〇〇で〇〇をしていました
エピソードは、先に挙げた理由を裏付けるための実体験を伝えるためのフレームです。
前述の例文なら、どのようなゼミで、どんな人が集まっていたのか、規模がどれくらいかなどをざっくり説明すると良いでしょう。
採用担当者はゼミの研究内容を詳しく知りたいわけではありませんので、シチュエーションが理解できる情報に留めるのがポイントです。
たとえば、たった3人しかおらず、自分以外は留学生ばかりというようなシチュエーションなら、頼まれ事をされるのも当然だろうという話になってしまいます。
他者を抜きん出たなんらかの強みがあるからこその自己PRですので、それがわかるような情報に触れておくと良いでしょう。
問題:その経験で〇〇という問題に直面しました
ここでは、自分が強みを発揮したことで問題を解決したエピソードにつなげるためのフレームです。
結論につながるように意識して、実体験の中から該当する内容を選んでください。
ただ、往々にして、日常生活において劇的なドラマが展開するようなことはあまりありません。
読み手が驚くような内容でなくても構いませんので、自分なりに工夫して乗り切った問題や課題を探してみてください。
前述の例では留学生から頼まれ事をしていましたが、たとえばそうした中で満足してもらえないことがあったとしたら、それは問題と言えるでしょう。
「その経験で、紹介した旅先を楽しんでもらえないという問題に直面しました」といった内容であれば第三者も容易に理解できる問題ですし、なぜだろうと興味を惹かれる展開にもなります。
行動:私は〇〇と考え、〇〇を行いました
問題をそのまま放置せず、解決するために取った行動を述べるフレームです。
行動するためには考えを整理しなければなりませんので、同時に想像力やロジカルな思考力もアピールすることができます。
そしてここで初めて自分の強みを発揮する局面となりますので、とても重要なフレームとも言えます。
そのときに自分がどのように考え、具体的にどう行動をしたかを述べてください。
先の問題であれば、「私は食事に問題があるのではないかと考え、ヒアリングを行いました」といった行動を挙げることで、問題の芯を捉えるために相手の気持ちや潜在的な欲求に寄り添う姿勢を見せることができます。
結果:その結果、〇〇となり、〇〇に大きく貢献しました
具体的な行動の結果、問題が解消し、より良い成果を得たというフレームです。
説得力を増すためには可能な限り数字を出すことがポイントですが、エピソードによっては少々数値化することが難しい場合もあるかもしれません。
前述の例なら、「その結果、信仰上食べられないものがあることがわかり、ハラール認証レストランをルートに組み込むことで心から楽しんでもらえるようになりました」といった結論が有効でしょう。
説得力ある数的な成果を盛り込むなら、「その後口コミで私のプランが広まり、10人もの留学生から相談を受けました。」といった数的表現を用いることも可能です。
誰もが客観的に理解できる数値は、ぜひ具体的な成果として盛り込みましょう。
結論:その経験を活かして貴社では〇〇で貢献していきたいと考えております
自己PRの結論としては、その強みが企業貢献につながることをアピールする必要があります。
このフレームでは、自分が相手目線で問題を解決することで、事業にプラスの成果を生むことができるという期待値を述べることが大切です。
前例であれば、「クライアントの不満を解消し、真のニーズに応える」能力の期待値にもなりますし、「適切なヒアリングで顧客の要望に寄り添う」という顧客満足度向上にもつながります。
こうした貢献は企業としても十分に期待できる能力と認められますので、ぜひ堂々とアピールしてください。
相手目線の自己PR例文
具体的な経験を思い出すことができたら、ここでいよいよ「自己PR」として文章化します。
私の強みは、反対意見をよく聞くところです。自分と違う意見にこそ、自分が思いつかなかった新しいアイデアがあると考えるからです。アルバイト先でクリスマスメニュー開発をした際、「ホワイトオムライスにケチャップでサンタの絵を描く」というメニュー案を考えました。そのメニュー案に対し、「ソースはデミグラスが良いのでは」と反対意見が出ました。なぜ、デミグラスが良いのか聞いてみたところ、「男性客が多いため、サンタの絵があることよりもオムライスが美味しいかどうかのほうが重要。オムライスのソースとして一般的なデミグラスソースのほうが良い。」という反対意見の理由を知ることができました。結果、当初見落としていた「メインユーザーである男性に好まれるかどうか」という視点を取り入れることができたため、クリスマス限定ランチメニューは大成功しました。色々な視点からの意見を取り入れ、お客様の役に立てる商品開発を目指したいと考えております。
私の強みは、相手の気持ちを聞き取る力です。言葉をそのまま聞くのではなく、相手が言いたいことは何かを考えながら話を聞きます。百貨店の洋菓子売場でアルバイトをしていたとき、お客様から「甘いのを探している」とお問い合わせがありました。「探している」という言い方から、洋菓子売場には無いものをお探しなのではと思いました。「和菓子売場でしたらもう少し奥にございます。お饅頭や羊羹の専門店がございます。」とお答えすると、「和菓子売場は向こう側なのね。ありがとう。」と言って頂き、お客様をお望みの売場に案内することができました。お客様の言葉づかいや話し方、その場の状況を見て的確なご提案ができる販売員になりたいと考えております。
まとめ
「相手目線」を自己PRで伝えるためには、相手目線で考え、行動することでどのような結果を出したのかを文章化することが求められます。
そのためには
- あなたにとって相手目線とはどのような考え方か?
- 具体的にどのような行動をして、どのような成果を挙げたのか?
以上をしっかり説明できるようにしましょう。是非たくさん書き出してみてくださいね!