はじめに
新卒採用にあたっては、ほとんどの企業が履歴書とは別にエントリーシートの提出を求めます。
エントリーシートは、企業へ自分をアピールするうえで、大きな意味があるものです。
その書き方やポイントを理解しておけば、効果的なアピールができます。
しかしながら、書いたことのないものをどう書けば良いのか、何からはじめれば良いのかと、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はこれから就活を控えている学生や、現在就活中の学生向けに、エントリーシートの書き方や、注意点について解説します。
エントリーシートとは?
基本的に、アルバイトなどの求人にはエントリーシートを用いることはありません。
就活の際に、はじめて目にする方がほとんどでしょう。
そのため、そもそもエントリーシートとはどんなものなのか、イメージがわかない方も多いです。
エントリーシートには、氏名や住所、学歴といった基本的な情報を記入する欄に加えて、志望動機や自己PRなどを問うための設問が並んでいます。
はじめて書く場合には、形式に慣れるのにも一苦労です。
また、エントリーシートと履歴書の両方を提出させる企業が多いため、履歴書との違いを理解しておくのも大切です。
効果的なアピールをするためには、エントリーシートと履歴書それぞれの目的や特性を知ったうえで、書き分ける必要があります。
履歴書との違い
エントリーシートと履歴書との大きな違いは、その提出目的です。
エントリーシートは、企業に対して熱意やポテンシャルをアピールするのが目的です。
そのため、基本情報よりは志望動機や自己PR、学生時代の取り組みなどについての記入スペースが多く設けられています。
エントリーシートの記入においては、自分自身の魅力を示すための文章作成・情報伝達能力も必要です。
一方、履歴書はこれまでの経歴を簡潔に伝えるための書類です。
自己PRの欄があるものも多いですが、エントリーシートと比較して、スペースが小さめに設けられています。
履歴書の記入において重要なのは、正確かつ簡潔であることです。
【エントリーシートの書き方】エントリーシートではどのようなことが質問される?
エントリーシートの記入にあたっては、前もって準備するのが大切です。
準備せずに行き当たりばったりで記入すると、内容を考えるのに精いっぱいで、結果的に雑な書き方になってしまう可能性があります。
せっかく魅力をアピールできる場面であるにもかかわらず、中途半端な内容になってしまいます。
よく問われる質問の内容を把握し、準備をしておけば、スムーズにエントリーシートを記入でき、魅力を最大限に伝えられるでしょう。
以下に、エントリーシートで質問されやすい内容について紹介します。
自己PR
自己PRは、単に趣味や特技を書くものではなく、社会において活躍するため、自分のポテンシャルや長所をアピールするのが重要です。
そして、自己PRの内容が企業の求める人物像に沿っていれば、採用担当者は興味を抱いてくれるでしょう。
書くためのポイントは、「再現性」を示すことです。
長期的に働く可能性がある社員に対して企業が求めるのは、一時的な成果でなく、さまざまな環境下で成果を残し続ける社員です。
つまり、アピールした能力を社会に出てからも発揮できると納得してもらうために、自分の強みに再現性をもたせる必要があります。
言い換えれば、強みやエピソードそのものよりも、その再現性を印象づける伝え方が重要といえるでしょう。
志望動機
企業は、入社後に高いモチベーションをもって業務に取り組める社員を求めています。
そのモチベーションの高さをはかるための設問が、志望動機です。
つまり、志望動機を通じ、入社した企業において高いモチベーションで働けることを、明確に示す必要があります。
記入に際し、高いモチベーションの具体的な理由を伝えるのがポイントです。
漠然と「かっこいい」「成長したい」と書くだけでは、効果的とはいえません。
動機の根拠を述べ、想いの強さや、想いを抱くようになった理由をアピールしましょう。
学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
学生時代に力を入れたことに関する設問は、「ガクチカ」という単語が生まれるほど、頻出の質問です。
聞かれる理由は、経験のレベル・スペックを把握するため、またその企業に適した人材かどうかを判断するためです。
レベルの高い経験・実績のある就活生は、その時点で優秀だと判断できます。
ただ、重要なのはエピソードの大小だけではなく、そのエピソードを通じて何を得たのかという点です。
突出した経験でなくても、努力の過程をアピールできれば効果的です。
自分自身の性格
エントリーシートでは、「自覚している性格」についても聞かれることがあります。
質問の意図は、就活生の人間性を把握し、企業とのマッチ度を確認することです。
また、ミスマッチによる早期離職を防ぐねらいもあります。
記入にあたってのポイントは、深く自己分析したうえで、企業へ好印象が与えられる性格を選ぶことです。
自分の性格で、採用担当者が採用したいと思う性格、企業の特色に沿った性格を選び、その根拠となるエピソードを書きます。
性格を述べるだけでなく、具体的なエピソードを添えて、説得力をもたせましょう。
挫折経験
人生における挫折経験も、エントリーシートで問われやすい内容です。
企業はこの設問を通じ、熱中し、努力した経験と、問題解決に取り組む人間性や思考プロセスを見ます。
挫折ととらえられる経験がなく悩んでしまう場合は、人生でもっとも苦労した経験や、達成感を得た経験があれば、その背景でどのような努力や失敗があったかを書くと良いでしょう。
重要なのはただ経験を書くのではなく、その挫折をもとに、どう復帰したのかを示すことです。
就職してからのビジョン
エントリーシートでは、キャリアプランや将来のビジョンを問われることも多いです。
設問の意図は、就活生の目標と企業の方針との間でミスマッチがないか確認することです。
そのため、記入するにあたっては、しっかりと企業研究しておく必要があります。
企業の方針すべてに合わせて書く必要はありませんが、あまりにずれていると、早期離職につながるという印象をもたれてしまいます。
自己分析と同時に企業の分析も進め、就職してからのビジョンを固めておきましょう。
【エントリーシートの書き方】エントリーシートを書く際の注意点
エントリーシートを作成するにあたり、書き方やマナーに関する注意点は理解しておきましょう。
書き方やマナーでネガティブな印象を抱かれてしまっては、どんなに魅力的な内容であってもうまく伝わらず、残念な結果を招きかねません。
そもそも注意点を無視した書き方では、内容を読んでもらうことも叶わない可能性があります。
一方で、注意点をきちんと意識してエントリーシートを作成できれば、志望先の企業へのアピールとしても有効です。
以下では、エントリーシートを書くにあたり押さえておきたい注意点をいくつか紹介します。
文章として成立しているかどうかに気をつける
エントリーシートは記入する項目がさまざまで、書くことは多く、指定された文字数内に納めなければなりません。
書きたいことがあっても、文章がうまくまとまらない・わかりにくい・何を伝えたいのかわからなくなってしまうなど、悩みを抱える就活生も多いでしょう。
エントリーシートは、自分を企業へプレゼンするものです。
小説のような美しい文章というよりは、正確でわかりやすい文章であることが重要です。
誤字があまりにも多かったり、文章がねじれていたりすると、評価を下げてしまう可能性があります。
文章のねじれを防ぐため、一文はできるだけ短くまとめ、接続詞の多用も避けましょう。
また、推敲を重ねて、より洗練された文章にするのもポイントです。
手書きで間違えても修正液や修正テープは使わない
手書きでエントリーシートを作成することも多いですが、書き損じた際に修正液や修正テープを使用しないように気をつけましょう。
修正液や修正テープの使用は、見栄えが悪くなるだけでなく、書類の改ざんを疑われるため、マイナスの印象を与えてしまいます。
最悪の場合は、エントリーシート自体が無効となってしまう可能性もあるので、注意が必要です。
記入を間違った際には、誤字部分を二重線で消し、訂正印を押しましょう。
なお、訂正印は実印や銀行印などではなく、認印を使用するのもマナーです。
ただし、訂正が多すぎるとエントリーシートが見にくくなるので、その場合には新しいものに書き直します。
手書きの場合は消えるボールペンを使わない
エントリーシートには、修正液や修正テープを使用できません。
消せるボールペンの使用を考える方もいますが、エントリーシートの記入に消せるボールペンを使ってはいけないのです。
消せるボールペンは消しゴムで消せるものではなく、熱に反応して消える原理のボールペンです。
なんらかの事情で、熱が加わった際に消えてしまう可能性があります。
最悪の場合だと、白紙の状態で企業に届くおそれもあります。
そのようなリスクを避けるためにも、消えるボールペンを使用するのはやめましょう。
履歴書と内容が重複しても大丈夫
ほとんどの場合、履歴書とエントリーシートの両方を提出します。
これら2つの内容が重複してはいけないのではと考えてしまいがちです。
しかし、提出する目的が異なる書類なので、内容が重複しても問題ありません。
履歴書とエントリーシートのどちらにも「自己PR」と「志望動機」の欄があった場合、選考ではエントリーシートの内容をメインに見られる可能性が高いです。
そのため、エントリーシートの「自己PR」や「志望動機」の欄には詳しく書き、履歴書ではその内容を要約して書くというように書き分けても良いでしょう。
【エントリーシートの書き方】PREP法を使用してエントリーシートを書こう!
エントリーシートにおいて、話したい内容を的確に伝えるためには、PREP法を活用すると良いでしょう。
PREP法は、ビジネスで用いられることの多い文章構成で、「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順で作成する方法です。
はじめに要点を伝え、結論に至った理由を説明し、理由に説得力を示したうえで、最後に再度要点を述べる構成です。
PREP法は、ビジネスの場面で効率的に、自分の主張を伝えるのに有効な手法として、広く知られています。
以下では、PREP法のそれぞれのステップにおける書き方やポイントを解説します。
Point①(結論)
まず結論を伝える文章構成は、PREP法の大きな特徴です。
これによってその後に説明する理由や事例の理解が深まりやすく、読み手側のストレスも軽減されるメリットがあります。
最初に述べる結論では、自己PRであれば自分の強みを、志望動機であれば志望する理由を簡潔に示しましょう。
あとのステップで詳細を述べるので、この時点ですべてを細かく書いてしまわないように気をつけてください。
結論をシンプルにわかりやすく伝えることを意識するのが、大事なポイントです。
Reason(理由)
次に、なぜそのような結論に至ったのかを述べます。
理由は論理性が大切です。
因果関係を意識して書きましょう。
理由が思い浮かばない場合は、記入する前に明確化しておく必要があります。
最初の結論について、なぜそう思うのかを自問自答し、具体的な理由が出るまで繰り返すのがポイントです。
結論で述べた考えをもつきっかけとなった経験があれば、それを理由にするのがおすすめです。
理由を具体的なものにできれば、スムーズにそのあとの具体例を示すエピソードへつなげられます。
Example(具体例)
具体例では、先に書いた理由の詳細について書きます。
起きた出来事と、自分がそれに対して、どのように立ち向かったのかを示すステップです。
実際に体験した出来事を根拠として述べることで、結論とその理由により説得力をもたせられます。
加えて、その出来事に立ち向かううえで生じた困難などがあれば、追記すると良いでしょう。
それによって、自分の思考回路を見てもらえるので、自己PRにもつながります。
具体性が大切です。
抽象的な表現ばかりにならないように注意しましょう。
Point②(結論)
最後のステップでは、最初に主張した結果を再度述べます。
繰り返し主張することで、より印象づけるのがねらいです。
あわせて、企業に対して自分がどのように貢献できるのかも主張しましょう。
自分の強みや、その企業を志望する理由、これまで経験した具体例などをふまえて、就職後どのように役立てるのかをアピールします。
結論とこれまで述べてきた内容に一貫性をもたせられれば、採用担当者を納得させることが可能です。
その企業に就職して自分がチャレンジしたいことや、将来のビジョンについても言及すると、より具体的になります。
【エントリーシートの書き方】質問別に例文を紹介!
書き方や注意点はわかっていても、いざエントリーシートを書こうとすると、悩んでしまう方も多いでしょう。
そのような方は、例文を参考にして書くのがおすすめです。
企業の業界はそれぞれ異なるので、その業界にマッチした回答でなければなりません。
自分が志望する企業と同じ、もしくは近い業界の企業を志望するケースの例文をもとに書くと、書きやすくなります。
内定者のエントリーシートを参考にすれば、どうやってほかの就活生と差別化をはかるか、どうすれば自分の良さを効果的にアピールできるかといった点についてもヒントを得られるでしょう。
自己PR
チームを盛り上げながら、目標へ向かって粘り強くやり抜くことができます。
学生時代は、キャプテンとして毎日部員全員とコミュニケーションを取り、誰よりも練習してチームを活気づけるように意識していました。
そして、日々のつらい練習をやり抜いた結果、チームメイトや監督からの信頼を得られ、新しいポジションを任されることになったのです。
そこで毎日の練習の成果を発揮するという、好循環のサイクルを生み出せることに気づきました。
また、つらいことにも耐えながら、粘り強く努力することは、自分自身との戦いです。
それ同時に、長期的に見れば個人だけではなく、チーム全体にも良い影響を還元できると学びました。
志望動機
現在、大学の福祉学科に在籍しており、介護士を目指しております。
副詞に関する専門的な知識を学んだり、ボランティア活動で介護施設を訪れたりするうちに、将来は介護士として活躍したいと考えるようになりました。
貴社に魅力を感じる理由は、新人研修や外部講師を招いての講座など、介護技術の教育に力を入れているためです。
入居者の方に満足していただくためには、レベルの高い介護技術が必要だと考えております。
貴社では、介護士の技術向上のために学び続ける環境が整えられており、自身のキャリア成長にもつながると感じました。
入居者の方が不自由なく暮らせるように支援し、自分自身の存在価値を向上させたいと考えております。
学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
この長期インターンシップに参加した理由は2つあります。
まず、本格的に就活を開始する前に、志望している営業職が自分に適しているのか確認するためです。
そして、社会人となったあとに、1日でも早く即戦力となって活躍できるようにするためです。
結果として、20名のインターン生の中で1位の契約数を獲得し、何より楽しむことができたので、営業職は自分に合っていると確信できました。
その企業は、企業選びの軸である「法人営業」ではなかったため、入社はしませんでした。
しかし、インターンシップを通して「相手の悩みに寄り添うこと」と「とにかく訪問回数を増やすこと」という営業スキルを得られたのです。
入社後は、貴社の法人営業にて、これらのスキルを存分に活かし、1日でも早く即戦力として活躍することを約束します。
自分自身の性格
学生時代、サッカー部のマネージャーとしてチームをサポートしていました。
また、確執があった下級生と上級生との間に入り、双方の考えをヒアリングしました。
双方の考えを伝えていくことで、ムードも良好になり、チームの団結に貢献できたのです。
そして、アパレルメーカーで2年間、販売のアルバイトをした際は、ほかのアルバイトスタッフが社員との関係性に悩んでいました。
そこで、私は自ら間に入って双方の思いを伝えると同時に、スタッフみんなでディスプレイの変更を提案し、スタッフ間の団結をはかりました。
その結果、アルバイトスタッフが短期間で辞めることがなくなり、売り上げの向上にも貢献できた経験があります。
挫折経験
なぜなら、練習中に大きなケガを負ってしまったからです。
原因は過度な自主練習で、大きすぎる負荷を連日かけ続けていたことでした。
当時の自分はピークの状態で、タイムも伸びて絶好調だったのです。
そのため、誰よりも努力していたつもりでしたが、今となっては自分を過信していたのだと深く反省しております。
大変落ち込みましたが、治療中に正しいトレーニングの知識を身につけるためにスポーツ医学を学び、体作りのために栄養学も学びました。
身につけた知識は仲間に提供し、結果的にチームがレベルアップしたと思います。
試合には出られなかったものの、そのときのチームは歴代最高となる全国8位入賞を果たし、仲間から感謝されたことが大きな喜びです。
成果を出すには正しい知識をもって、チームで共有するのが重要だと学んだ経験です。
就職してからのビジョン
入社後は5年間で簿記検定の3級と2級、秘書検定の2級を順次取得する予定です。
秘書検定は事務全般の業務を担ううえで有益ですし、簿記検定準備で簿記の知識を得ることによって、営業事務や経理の業務の意味を理解し、作業効率を向上させるのに役立つと考えたためです。
また、仕事の場数も踏むことで、誰よりも経験とスキルを得ます。
そして部署内外での交流も深め、成績も残すことで、誰よりも仕事を任せられる存在になる所存です。
日々のIT技術の発展に遅れないように、業務で必要なツールはもちろんのこと、効率よく事務作業をこなせるように、活用できそうなツールを随時提案していきたいと考えています。
まとめ
エントリーシートを書くにあたって、注意すべき点やポイントについて理解できたのではないでしょうか。
エントリーシートは自分の魅力をアピールするためのアイテムなので、就活における重要度はかなり高いです。
より効果的にアピールするために、今回紹介した事柄をふまえて書いてみると良いでしょう。
書き方に迷った場合には、質問の内容や意図を意識して、PREP法や例文を参考にすると書きやすいです。
注意点やポイントを押さえたエントリーシートで、十分に自分の魅力をアピールできれば、採用の確率を高められます。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート