エントリーシートは敬語で書くべき?作成時の注意点も解説

エントリーシートは敬語で書くべき?作成時の注意点も解説

 

はじめに

就職活動の最初の関門はエントリーシート、つまり書類選考です。

しかし、いざエントリーシート作成に取り掛かろうとして、書き方がわからずに困っていませんか。

今まで目上の人に対する文章を書いたことがない人は、適切な言葉づかい、特に敬語を使うべきか否かがわからず、迷うことがあるかもしれません。

この記事では、エントリーシートに適した言葉づかいや文体について、敬語を使う場合の注意点について解説します。

ぜひ、エントリーシート作成の参考にしてください。

エントリーシートは必ずしも敬語でなくても良い

エントリーシートは必ず敬語で書くものではありません

文法的に正しい文章であれば、敬語でなくとも選考に響くことはないのです。

自分が書きやすい文体で書いてください。

しかし、いわゆる話し言葉ではいけません。

エントリーシートは一種のビジネス文書なので、適した文体があります。

敬体(いわゆる「ですます調」)、あるいは常体(いわゆる「である調」)をおすすめします。

また、「ですます調」と「である調」は混ぜて使わず、必ずどちらかに統一してください。

ただし、就活生の8割は「ですます調」で書いている、という調査結果もあります。

そのため、「ですます調」を使わない場合は、それだけで目立つだろうという覚悟をしておく必要があります。

「ですます調」とは?

「ですます調」は、エントリーシートでもっとも多く用いられている文体です。

そもそも「ですます調」とはどんな文章の書き方なのでしょうか。

最大の特徴は、文字通り文末が「です」「ます」で締めくくられていることで、敬語の一種である丁寧語に分類されます。

ビジネスの場でも、取引相手へのメールや対外的に発表する報告書など、社外や目上の人に対する文書を書く際に、よく用いられている文体です。

なお、この記事も「ですます調」で書かれています。

「である調」とは?

「である調」は、「ですます調」に次いで、エントリーシートに用いられる機会が多い文体です。

文字通り文末が「である」「だ」と言い切られていることが特徴といえます。

ここで注意しなければならないのは、文中に敬語が使われていても、文末が「である」など言い切る形であれば、それは「である調」であるということです。

たとえば「そのとき、お客様がいらっしゃった」という文章は、「いらっしゃる」という敬語を含んでいますが、文末は「た」と言い切っているので、「である調」に分類されます。

エントリーシートをですます調で書くメリット・デメリット

エントリーシートでもっとも多く用いられている「ですます調」ですが、用いるうえではメリットだけでなくデメリットもあるのです。

ここでは、「ですます調」でエントリーシートを書くメリットとデメリットをそれぞれ3つ紹介します。

ぜひ、文体を選ぶ前に目を通してください。

また、デメリットとしてあげた部分に気をつけて文章を書けば、エントリーシートの質を高めることにもつながります。

すでにエントリーシートを書いた人も、ぜひ推敲の一助としてください。

メリット①丁寧な印象を与えられる

「ですます調」を使用する一番のメリットは、相手に丁寧な印象を与えられることです。

そもそも「ですます調」は敬語の一種です。

「ですます調」を選択している時点で、「あなたを敬っていますよ」という意思表示をしていることになります。

就職活動では、就活生は企業に選んでもらう立場です。

企業の採用担当者は、目上の人であるといえます。

その点「ですます調」は丁寧な印象を与えられ、しかも目上の人に対する敬意をもって文章を書いていると伝わるので、採用担当者は好ましく感じるのです。

メリット②相手にとって読みやすい

相手にとって読みやすいことも、「ですます調」のメリットです。

ビジネス文書でも多用され、面接での話し言葉にも近い「ですます調」なら、相手にとっても読みやすく、内容が頭に入ってきやすくなります。

一方、敬語であっても尊敬語謙譲語が多く使われた文章は、丁寧な反面、相手にうっとうしく感じられてしまう可能性もあるでしょう。

特にエントリーシートでは、登場人物の立場の違いなどは、重要な要素ではありません。

尊敬語や謙譲語を使ってしまうと、立場の違いに意識を取られてしまいます。

つまり、文章の内容という根幹よりも、立場の違いという枝葉が目立って、読みにくくなってしまうのです。

しかし「ですます調」であれば、丁寧な印象と読みやすさを両立することができます。

メリット③敬語を正しく使えることのアピールにもなる

「ですます調」を使うことで、敬語を正しく使えることのアピールになる、というメリットもあります。

採用担当者はエントリーシートを読むとき、文章の内容だけでなく、文法的に正しい文章であるかもチェックしています。

「ですます調」は敬語の一種である丁寧語に分類され、しかも、ビジネス文書でもよく使われる文体です。

つまり、エントリーシートで文法的に正しく「ですます調」を使えることは、入社後にビジネス文書でも正しい敬語を使えるというアピールになるのです。

デメリット①文章が長くなりやすい

「ですます調」の一番のデメリットは、文章が長くなりやすいことです。

たとえば「行った」と「行きました」では、「ですます調」の方が2文字多くなります。

小さな違いと思うかもしれませんが、その小さな違いが積み重なり文章が長くなるほど影響は大きくなります。

エントリーシートでは項目ごとに文字数が〇字以内、と制限されていることもあり、その文字数以内に収まるよう簡潔な文章を書けるかということも選考の要素です。

エントリーシートにおける文章の根幹は内容であり、表現は枝葉です。

「ですます調」にすることで文字数が多くなってしまって、自分の書きたい内容を削らなくてはいけないということでは本末転倒といえるでしょう。

デメリット②同じ文末表現が連続しやすい

同じ文末表現が連続しやすいことも、「ですます調」のデメリットです。

そもそも「ですます調」と呼ばれているくらいですから、文末が「です」「ます」ばかりになってしまうことは当然ともいえます。

もちろん、同じ文末表現が続いたとしても、文法的に間違いではありません。

しかし、相手に幼稚な印象を与えてしまったり、「あまり推敲せずに提出したのかな、我が社は本命ではないのかな」と感じさせてしまったりする可能性もあり、できるだけ避けたいところです。

デメリット③誤った敬語を使ってしまう可能性もある

誤った敬語を使ってしまう可能性があることも、「ですます調」のデメリットです。

特に多い間違いは、尊敬語と謙譲語を取り違えてしまうパターンです。

両者を取り違えてしまうと、目上の人を自分より下の立場に置いたり、自分を目上の人より上の立場に置いたりすることになるので、大変失礼な文章になってしまいます。

また、丁寧に書こうとするあまり「おいでになられました」などの二重敬語となるパターンにも、注意が必要です。

敬語がきちんと使えていないと、「入社後にビジネス文書の作成を任せられない」と判断されてしまいます。

エントリーシートをである調で書くメリット・デメリット

エントリーシートでは少数派の「である調」ですが、もちろんこちらにもメリット・デメリットがあります。

ここではメリットとデメリットをそれぞれ2つ紹介します。

先ほど紹介した「ですます調」のメリット・デメリットと比較して、自分に適した文体を選びましょう。

どちらの文体を選んでも、文法的に正しい文章であれば問題ありません

自分のエントリーシートには「である調」がふさわしいと判断したのであれば、少数派であっても気にする必要はないのです。

メリット①少ない文字数で書ける

「である調」を使用するメリットの1つは、少ない文字数で書けることです。

「ですます調」のデメリットとして、文章が長くなりやすいことをあげましたが、その対極に位置するメリットだといえるでしょう。

文字数に指定がある場合、その文字数内に文章を収められるかも選考の対象になります。

文章の表現よりも内容の方が重要なのはいうまでもありません。

敬語のために文字数を浪費して、自分の言いたいことを削ってしまっては本末転倒です。

文字数にとらわれず内容に集中して書けるというのは、大きなメリットといえます。

メリット②説得力が増す

文章の説得力が増すことも、「である調」のメリットです。

「である」「だ」と断定する形になるので、相手に「文章の内容に自信をもっているんだな」という印象を与えられるからです。

特に、自分の主観的考えではなく、大学での研究内容など客観的事実を書く場合に適しています。

また、断定形で言い切ることで、意志の強さも感じさせられます。

文章に説得力をもたせたいときや、意志の強さをアピールしたいときに有効といえるでしょう。

デメリット①固い印象になりやすい

「である調」を使用するデメリットの1つは、固い印象になりやすいことです。

「である」「だ」など、語感自体が固く、相手に威圧感を与えてしまうこともあります。

また、話し言葉で使われることはまずありません。

書き言葉としても、論文などの堅苦しい場面で使われることが多いため、経験的に固い印象を与えてしまうのです。

「ですます調」のメリットとして、やわらかく丁寧な印象になることをあげましたが、その対極にあるデメリットだといえるでしょう。

デメリット②上から目線の文章になりやすい

上から目線の文章になりやすいのも、「である調」のデメリットです。

たとえば研究内容などの項目を「である調」で書いた場合、教科書や論文に近い文章になり、特に専門外の読み手にとっては「教えてやるよ」と言わんばかりの、上から目線に感じられてしまうことがあります。

これは書き手の意識やテクニックの問題ではなく、「である調」そのものの性質によって生じる問題です。

したがって、書き方によって改善することはできません

上から目線の文章だと思われたくないのであれば、「である調」は使わないのがベターでしょう。

多くの就活生はですます調で書いている

就活生の8割は敬語、主に「ですます調」でエントリーシートを書いているというデータがあります。

就職活動では、就活生は企業に選んでもらう立場です。

つまり、企業の採用担当者は、目上の人であるといえます。

目上の人に対して敬語である「ですます調」を使うのは、自然な流れです。

もちろん、「である調」を使っても問題はありません。

しかし、どうしても「である調」を使いたいと思う理由がある場合に限った方が良いでしょう。

また、8割が敬語を使う中であえて「である調」を使うのなら、どうしても目立ってしまうことは確実です。

しっかり読み込まれても、恥ずかしくないエントリーシートに仕上げる必要があります。

特に「である調」を使いたいと思う理由がないのなら、「ですます調」を使うのが無難です。

文体を混ぜてはいけない

「ですます調」を使う場合も「である調」を使う場合も、必ずどちらか一方に統一しましょう。

一行目は「ですます調」・二行目は「である調」、長所を書くときには「である調」・短所を書くときは「ですます調」など、混ぜて使うのは厳禁です。

小説やエッセイなどの文芸作品では、あえて両者を混ぜて文学的効果をねらっている文章もあります。

しかしエントリーシートでは、そうしたテクニックは逆効果です。

1枚のエントリーシートで使う文体は、必ず1つに絞ってください。

敬語は正しく使おう!

敬語を正しく使えれば、相手に対して丁寧な印象を与えられます。

加えて、入社後にビジネス文書を書くうえでも大きな武器になります。

しかし敬語の使い方が間違っていると、かえって失礼にあたったり、無知な人だという印象を与えてしまったりするおそれがあるのです。

正しく敬語を使えるようになるために、まずは敬語について詳しくなりましょう。

敬語には大きく分けて3種類あり、それぞれ使い方は異なるので、各種類の特徴と使い方を紹介します。

①尊敬語

尊敬語は、動作の主体が客体より目上の立場であるときに使われる敬語です。

たとえば、「客が来る」を尊敬語で書くと「お客様がいらっしゃる」、「父が教授の話を聞く」を尊敬語で書くと「父上が教授の話をお聞きになる」となります。

例であげた通り「客→お客様」のように、名詞に「お」「ご」などの接辞や「様」「先生」などの敬称をつける、「来る→いらっしゃる」のように動詞自体が変化する、「聞く→お聞きになる」のように動詞の前後に「お…なる」をつける、といったパターンがあります。

この場合、「客」「父」が目上の立場にあたるわけです。

自分と相手との関係を表す文章では、「相手の立場を上げて敬意を表す敬語」と考えるのが良いでしょう。

②謙譲語

謙譲語は、動作の客体が主体より目上の立場であるときに使われる敬語です。

たとえば、「上司に意見を言う」を謙譲語で書くと「上司に意見を申し上げる」、「父が教授の話を聞く」を謙譲語で書くと「父が教授のお話をうかがう」、となります。

例であげた通り、「話→お話」のように名詞に「お」「ご」などの接辞や「様」「先生」などの敬称をつける、「言う→申し上げる」「聞く→うかがう」のように動詞自体が変化する、といったパターンがあります。

この場合、「上司」「教授」が目上の立場にあたるわけです。

謙譲の謙は「へりくだる」という意味です。

文字通り自分がへりくだることで、相対的に相手を敬う姿勢が示せます。

自分と相手との関係を表す文章では、「自分の立場を下げて、相手への敬意を表す敬語」と考えるのが良いでしょう。

③丁寧語

丁寧語は、読み手が書き手よりも目上の立場であるときに使われる敬語です。

つまり、文中に登場する人物間の上下関係は関係なく、読み手に対する敬意を示すものです。

また、敬意の有無に関係なく、文字通り丁寧な印象を与えたいときにも使われます。

たとえば、「客が来る」を丁寧語で書くと「お客が来ます」、「父が教授の話を聞く」を丁寧語で書くと「父が教授のお話を聞きます」、となるのです。

例であげた通り、「客→お客」のように名詞の上に「お」「ご」などの接辞をつける、語尾に「です」「ます」をつける、といったパターンがあります。

この場合、文中の登場人物の間に立場の上下はない、あるいは文を書くうえで、上下関係に配慮する必要がない状態です。

エントリーシートで敬語を使う際はここに注意!

エントリーシートで敬語を正しく使えれば、入社後にビジネス文書でも正しい敬語を使えるというアピールになります。

しかし、もし間違った使い方をしてしまうと、採用担当者に「常識を知らない人」「ビジネス文書の作成を任せられない人」と判断され、かえって逆効果になってしまいます。

そこで、敬語を使ううえで、特に間違いやすいポイントを3つ紹介しましょう。

エントリーシートを書いたら、必ず読み返してこのポイントをチェックしてください。

①尊敬語と謙譲語を間違えないようにする

敬語を使う場合に一番間違えやすいポイントは、尊敬語と謙譲語を取り違えて使ってしまうことです。

両者を取り違えてしまうと、目上の人を自分より下の立場に置いたり、自分を目上の人より上の立場に置いたりすることになるので、大変失礼な文章になってしまいます。

尊敬語を使って「先生が私におっしゃった」「お客様が食事を召し上がった」とするのが正しい文章なのに、謙譲語を使って「先生が私に申し上げた」「お客様が食事をいただいた」としてしまう、といった具合です。

このパターンの間違いは、自分では正しいと思い込んで使っているので、読み返してもなかなか気づけせん。

大学の就職担当者など、エントリーシートを読みなれている人に確認してもらうことで、このミスを防止しましょう。

②二重敬語にならないようにする

敬語を使うとき、二重敬語とならないようにすることも重要です。

二重敬語とは、「おいでになられました」「お召し上がりになられました」など、1つの単語に2つの敬語表現を使ってしまうことを指します。

二重敬語は皇族や、他国の王族に対してのみ使われる、特別な表現です。

エントリーシートでは使う機会がありません。

丁寧さを意識するあまり使ってしまう場合がほとんどで、読み返すと自分でも「なんだかまどろっこしいな」と気づくことができます。

エントリーシートを書いたら、必ず推敲しましょう。

また、Microsoft Wordなどの文章作成ソフトには校正機能があり、二重敬語も誤りとして指摘されます。こうした機能を使うのもおすすめです。

③「させていただく」を多用しない

「させていただく」を多用しないことも、敬語を使う場合に注意すべきポイントです。

「させていただく」という表現自体は謙譲語として間違っていないのですが、何度も使うとしつこい印象になってしまいます。

特に、相手の許可を取る必要のない動作にまで「させていただく」をつけると、相手はかえってうっとうしく感じます。

どうしても「させていただく」という言葉を使いたくなったら、ほかの言葉に置き換えられないか、一度立ち止まって考えましょう。

「後ほどご連絡させていただきます」ではなく「後ほどご連絡いたします」でも、十分相手に対する敬意は伝わります。

1枚のエントリーシートで「させていただく」を使うのは1回だけと決めて、それ以上はほかの表現を探して使うようにすれば、自分の語彙も広がり一石二鳥です。

まとめ

エントリーシートに適した言葉づかい、文体についてと、敬語を使う場合の注意点について解説しました。

その中でも使う人が多い敬語ですます調について詳しく解説しました。

ですます調とである調のどちらであっても、文法的に正しい言葉づかいであることが何より重要です。

文章を書いている最中は間違いに気づきにくいので、エントリーシートは必ず読み返し、推敲しましょう。

この記事も参考にして、ぜひ精度の高いエントリーシートを書き上げてください。

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