はじめに
就活を意識し始めた学生のなかには、自分の目指す業界や職種について、すでに方向性を定めた方も多いことでしょう。
近年、志望者が増えているIT業界は、その将来性や身につくスキルの高さから、特に人気のある就職先です。
実はIT業界へ就職を希望するならば、一般企業と同じようなスケジュールで行動していると、選考に間に合わない可能性もあります。
なぜならばIT業界は、ほかの業界よりも選考スタートが早い傾向にあるからです。
そこで今回は、IT業界への就職を有利に進めるための基本的な選考スケジュールや、通年採用、インターンなどについて詳しく紹介します。
基本的な就活スケジュール
就活スケジュールは、「3月に会社説明会、6月に選考開始」であるのが一般的です。
これは、就職活動のルールを定めてきた日本経済団体連合会(経団連)の指針に従っています。
経団連には、各種メーカー・商社・銀行など、約1,300社が会員として所属しています。
所属企業の多くは、経団連の方針を守っているのです。
2021年以降には、政府主導でルールを作り経団連に遵守を要請しています。
しかし、内容としては経団連の指針と変わりありません。
当面は、現行のスケジュールが維持されていく見込みです。
したがって今まで通りのスケジュールで就活を進めることになります。
IT企業は就活時期が早い
IT業界では、選考スケジュール自体がほかの業界と大きく異なる場合も多く、就活時期が前倒しになっているケースは多く見られます。
1月から選考を開始しているIT企業は多数あり、なかには10月からエントリー受付を開始するところもあるほどです。
また、IT業界のなかでもWeb系企業に多く見られる特徴として、通年採用の実施も多い点があげられます。
こうした早期採用の動きに順応できるかどうかが、IT業界での就活を成功させるポイントです。
具体的なスケジュールの把握と、有利に進めるための早めの準備開始が、IT業界を志望する就活生には求められます。
いずれにしてもIT業界を目指すならば、一般的な就活の広報活動解禁となる3月よりも前に、行動を開始することが求められるといえるでしょう。
なぜIT業界は就活時期が早いのか
IT業界の就活時期が早いことには、理由があります。
これには、就活ルールを周知している経団連への加入状況や、IT業界ならではの人材不足といった事情が関係しています。
また新型コロナウイルス感染症の流行により、就活の仕組みを大きく変えた企業が多いのも、IT業界の特徴といえるでしょう。
さまざまな要因で、IT業界の就活時期は早まっているのです。
その理由についても十分理解し、準備と対策を立てることが大切です。
経団連に所属していない企業が多いから
経団連たくさんの企業が加入しています。
しかし、実のところIT企業でこの経団連に加入している企業は、決して多くありません。
経団連へ加入するには、純資産総額や事業規模などの入会資格規定があります。
そのため、スタートアップ企業やベンチャー企業の多いIT業界とはなじみにくいといった事情もあります。
就活に関してもIT企業の多くは、そもそも経団連に加入していません。
したがって経団連が要請する就活ルールに縛られず、独自の就活スケジュールを展開する企業も多いのです。
また、IT業界は、社会へのデジタル技術の浸透など、そのニーズの拡大によって常に人材不足で悩んでいる傾向があります。
そのため、意欲のある就活生を早く自社で確保したいという事情もあるでしょう。
IT業界を志望するならば、こうしたIT業界ならではの事情を把握し、積極的に就活を展開しなくてはなりません。
新型コロナの影響は?
新型コロナウイルス感染症の流行は、社会に大きな影を落としました。
しかし、就活のスケジュール自体に大きな影響を与えてはいません。
一度にたくさんの人数が集まる会社説明会などは軒並み中止されました。
一方、同時期にオンラインでの開催に切り替えるなどの対応策も取られているため、ほとんど影響はないといえるでしょう。
説明会以外にも、選考面接を対面からWeb選考に切り替えた企業も多く見られます。
さらなる、インターンシップをオンラインで実施する企業も珍しくありません。
選考スケジュールに変動はないものの、こうしたオンライン化の動きによって、選考までの準備に時間がかかる可能性もあります。
安定したオンライン環境を整えて、画面を通した自分の見せ方やアピール方法について研究するなど、余裕をもって準備する必要があるでしょう。
IT企業の基本的な選考スケジュール
ここからは、IT業界の基本的な選考スケジュールについて、具体的にその詳細を見てみましょう。
ほとんどのIT企業は1月から選考を開始します。
そのため、一般的な就活開始の3月まで何もしていない状態だと、希望の企業へのエントリーが間に合わないかもしれません。
まだ先のことだと思わず、選考が始まるまでの期間では、業界研究や資格になど準備すべきことも考える必要があります。
また、IT業界を志望する学生は多いため、こうした準備の充実度が、ライバルに差をつける大きな一歩となるかもしれません。
各ステップのスケジュールをしっかり把握して、余裕のある就活を心がけましょう。
1月中旬〜
まずは、正月明けを目安に就活が開始すると考えましょう。
多くのIT系中小企業では、この時期に会社説明会や選考を開始します。
また、大手企業で会社説明会を開始するのが、この1月中旬です。
大手企業で、この時期に選考に入ることはほとんどありません。
しかし例外として、一部の大手企業では選考を開始するケースもあります。
このスケジュールは企業によってさまざまです。
自分の希望する企業の採用スケジュールについては、早めにチェックしておきましょう。
2月中旬〜3月中旬
2月の半ばころから、大手企業がエントリーシートの受付を開始します。
注意しておきたいのが、このESとともに、適性検査の結果の提出も求められるケースが多い点です。
適性検査としてポピュラーなSPI以外にも、CABやGABなどを選考過程に取り入れている企業も多いでしょう。
それぞれの適性検査には、検査目的や内容の特徴、求められる対策方法などがあります。
本命の大手企業の狭き門を通るためには、スケジュール的に余裕をもって、こうした適性検査の対策もしなければなりません。
3月中旬〜3月末
3月に入ると、就活生から提出されたESや適性検査の結果をもとに、大手企業が一次選考をおこないます。
3月中旬から3月末までには、その一次選考の結果が来るでしょう。
その結果次第では、つぎの手を考える必要があるため、この時期は気が抜けないものとなります。
大手企業が一次選考結果を出す一方で、中小企業では、内定者が出始めるでしょう。
この時期には、複数の企業から連絡やオファーが一気に来る状況も考えられます。
オファーを承諾するか、辞退するかについての決定はもちろん、各種連絡にはスピード感をもって対応しなければなりません。
4月〜
新年度が始まると、大手企業は、一次選考の通過者に対するつぎの選考を始めます。
一方で、大手企業よりも選考が早い中小企業では、この時期には、内定者の枠がほぼ埋まるでしょう。
したがって、エントリー自体を締め切ってしまう企業も出始めます。
IT企業は採用プロセスが明確で、スムーズなのが特徴です。
合理的な反面、決められた定員に対してシビアな選考がおこなわれるため、この時期には思うような結果を得られず焦ってしまう方も多いかもしれません。
しかし、内定辞退によって追加募集を実施している企業もあります。
常に情報収集をおこたらず、新たな気持ちで就活を進めてください。
通年採用を取り入れている企業も多い
1月から始まる、IT業界の就活スケジュールとは別に、通年採用を取り入れている企業も多くあります。
時期にかかわらず、1年を通して採用を続ける通年採用は、特にIT業界で多い人材確保の手法です。
通年採用は就活する学生にも、採用する企業にも、たくさんのメリットがあります。
また、1年生でも就活に参加できるなど、柔軟な対応をしている企業があるのも魅力の1つです。
一般的な一括採用だけではなく、通年採用の特徴もチェックして、より有利に就活を進めてみましょう。
通年採用とは
通年採用とは、企業が1年を通して時期を定めずに、必要に応じた採用活動をおこなうことです。
これは、即戦力採用を主流とする欧米各国や外資系企業では当たり前におこなわれてきた採用方法です。
近年では、日本でも通年採用のメリットに着目し、こうした採用方法を選択する企業が増えてきました。
通年採用をしているのはIT業界が多く、採用が決定する時期も早いのが特徴です。
もちろん、通年採用のメリットは、企業側だけでなく学生側にもあります。
そのため、通年採用を視野に入れた就活を展開するならば、従来のスケジュールにこだわらず、早めに行動を起こさなければなりません。
学生側のメリット
通年採用をする学生側のメリットは、主に2つあります。
1つ目は、ほかの企業の就活時期をずらせる点です。
締め切りに縛られないため、対策やスキルアップが万全になったタイミングで、自由に応募できるでしょう。
1社ずつゆとりをもって応募できるので、スケジュール的にも精神的にも余裕をもち、集中して就活を進められるでしょう。
2つ目は、自分のスキルを評価してもらえる点です。
通常の就活では応募が殺到するため、学歴などである程度ふるいにかけられます。
しかし通年採用ならば、1人の学生にフォーカスした選考がおこなわれるため、自分のスキルを正当に評価してもらえるのです。
企業側のメリット
通年採用に対する企業側のメリットも、学生のメリットと同じと考えてよいでしょう。
まず一般的な新卒一括型の就活時期とずれることで、採用する企業にも時間的な余裕が生まれるのは、最初のメリットです。
このため一人ひとりのスキルや経験、考え方といった深い部分まで評価したうえで、ミスマッチを防ぐ採用ができるでしょう。
また、学生が個々のスキルを磨いたうえで応募してくるため、優秀な人材を獲得しやすいのも大きなメリットです。
スケジュールに縛られることなく、自社だけにフォーカスして自分を売り込んでくる学生が選考対象となります。
そのため、その適正やスキルはおのずと高いものになります。
1年生でも就活ができる
通年採用企業のなかには、一般的な就活生だけではなく、1年生にも広くその門扉を開いているところも珍しくありません。
これは、4年後の卒業を見越して採用をおこなうもので、とても柔軟な就活スタイルだといえるでしょう。
もし1年生で選考に合格できなくても、つぎの年度にはまた挑戦することもできる、学生にとってメリットの多いシステムです。
1年生で就活問題がクリアできれば、残りの時間で研究などの学生生活を思い切り楽しめます。
また就職先が決まっていれば、就業までに必要な資格やスキルを身につけて、即戦力として仕事をスタートできるでしょう。
T業界の就活は早めに動き出すことが重要
IT業界の就活は、ほかの業界よりも前倒しで就活スケジュールが開始される企業も多く、通年採用などスケジュールに縛られない就活が展開されます。
そのため企業とコンタクトする前の準備は、さらなる早く着手しなければなりません。
スケジュールに余裕がなければ、十分な準備ができず自分の実力をアピールできないため、採用は困難になります。
業界研究や企業研究はもちろん、自己分析やインターンなど、就職に向けたすべての行動は、いつでも早めに起こすことを心がけましょう。
業界研究・企業研究をする
業界研究や企業研究は、就活の第一歩です。
特にIT業界は、業種や職種が多岐にわたります。
そのため、自分の適正や希望にそった仕事についてよく調査したうえで、方向性をはっきり定めることが大切です。
大きな成長の途中でもあるIT業界を志望するならば、その最新の流行を敏感に押さえておく感性も必要です。
さらなる、長期的な視点をもって、業界の将来性や課題についても把握しておきましょう。
また、IT業界に属する企業では、社風や企業文化に独自の特色のある企業も珍しくありません。
そのため、業界研究だけでなく、企業研究も入念にしておきましょう。
早めに業界・企業研究をして自分に合った企業を見つければ、やりがいを感じながら成長でき、長く安定して働ける環境も手に入れられます。
自己分析をする
就活をするうえで一番重要だともいえるのが、自己分析です。
自己分析とは、これまでの人生を振り返ってみて、得意とするものや好きなものを明確にしていく作業です。
学業やサークル、アルバイトなどの大学生活はもちろん、自分が志望するIT業界に興味をもったきっかけとなるような、子ども時代のできごとなども振り返ってみましょう。
こうした過去のエピソードが現在の自分を作り上げていると十分に理解すれば、企業探しの軸やアピールすべき自分の強みがわかります。
自己分析は、これからの自分の進む道を決める大切なプロセスです。
ありのままに正直な自分を見つめてみてください。
この自己分析を早めにしておけば、スケジュールに余裕をもって就活を進められるでしょう。
インターンに参加する
早めの就活準備としておすすめなのが、インターンシップへの参加です。
興味のある業界や企業を見つけたら、インターンに参加して、その空気を直に感じてみましょう。
このインターンでは、就職後に「こんな仕事だとは思わなかった」「こんな会社だとは思わなかった」といったミスマッチを防げます。
特に、数か月間じっくりと取り組む長期インターンでは、実際の業務を任せてもらえることも多く、自分と企業との相性を見極めることもできるでしょう。
またインターンに参加すると、選考でのアピールポイントとなるだけでなく、スキルや人間性を買われて直接採用のオファーが来ることも多くなります。
特に、即戦力となる人材を求めているIT業界では、インターン中に採用を決定する企業も珍しくありません。
まとめ
年々IT業界への就職は人気が高まっています。
しかし、内定を取るためにはスケジュールの把握と早めの準備が欠かせません。
具体的な選考スケジュールをチェックしたうえで、余裕をもって準備を始めましょう。
また、1月から始まる新卒一括採用以外にも、1年を通しておこなわれる通年採用や、インターンで採用に近づく方法など、有利な就活の道も押さえておかなければなりません。
IT業界ならではの特徴を知って、自分に合った企業を見つけたら、採用に向けて着実にスケジュールをこなしていきましょう。