はじめに
海外で仕事をしたい方、外資系企業を志望する方は英文履歴書について知っておく必要があります。
英文履歴書は、単に日本語の履歴書を英語に翻訳して提出すればよいというものではありません。
日本語の履歴書と記載項目・効果的なアピールの仕方などかなり違う点が出てくるので、よく確認しておきましょう。
非常に特徴的な点が、「レジュメ」「カバーレター」という2つの書類を用意しなければならない点です。
カバーレターが冊子の表紙的な役割を果たし、レジュメが本文の役割を果たします。
表紙的な役割とはいえ、カバーレターもかなり重要なので手を抜けません。
それぞれ書き方にポイントがあるので、以下の内容を参考に基本を押さえておくようにしてください。
英文履歴書の内容
英文履歴書のレジュメは、日本でいう履歴書・職務経歴書の役割を両方兼ねた書類といえます。
日本だと、履歴書・職務経歴書ともにフォーマットが用意されていて、各記入欄に決まった内容を書くのが一般的です。
しかし英文履歴書はフォーマットが決まっておらず、何を中心に書くかでその内容も変わってきます。
学生の場合はこれまでの職歴でアピールできないので、学歴・学生生活・勉強してきた内容などを中心に効果的なアピールをしなければなりません。
英文履歴書に書くべき項目
英文履歴書(レジュメ)でも、記載しなければならない必須項目は日本と大きく変わりありません。
下記の7つが必要項目です。
- 個人情報
- 希望する職種
- 技能
- 職歴
- 学歴
- 活動
- スキル
しかしこれらの各項目も、日本の履歴書と同じ書き方をすればよいわけではありません。
ここからは、英文履歴書(レジュメ)で必須となる各項目の具体的な書き方・注意点を紹介します。
日本の一般的な履歴書との違いをよく理解し、つまらないミスをしないよう慎重に記載しましょう。
個人情報
まずは個人情報ですが、この項目も日本の履歴書とかなり違いがあります。
日本だと名前を書いたあとに生年月日や年齢・性別を書き、顔写真を添付するのが一般的です。
配偶者や家族に関して記載するフォーマットもあります。
しかし英文履歴書では、年齢や家族を書く必要もなければ、顔写真を添付する必要もありません。
必要なのは名前と連絡先だけです。
氏名は日本の住所地名と混同されないよう、中心に大きなフォントで記載することが大切です。
氏名の下に住所・電話番号・メールアドレスを順に記載します。
学生時代に英語の授業で習った方もいると思いますが、住所の記載ルールが日本と逆であることに注意してください。
マンション・アパート名と部屋番号が最初で、そのあとは番地・市区町村・都道府県・郵便番号という順番になります。
電話番号も日本国内の履歴書と違い、国番号(+81)を最初につけること・市外局番の頭にある「0」を外して書くことに気をつけなければなりません。
希望職種
希望職種(OBJECTIVE)は、応募したい仕事やポジション名(待遇)を記載します。
学生の場合は、ある程度省略することもできる部分です。
ただし、なぜこの仕事に応募したのか・自分がどうしてこの仕事にふさわしいかといった点もここに記載する必要があります。
「自分の〇〇というスキルを活かすため、〇〇という部署への配属を希望します」といった文章が一般的です。
日本だと「どの部署でも頑張ります」という意欲が評価されることもあります。
しかし、海外では自分の希望・キャリアビジョンなどをはっきり示さなければよい評価につながりません。
技能
続いて技能・スキルに関する項目です。
この項目に関しては、日本の履歴書にある「資格・特技」欄と比較的近いといえます。
日本の履歴書同様、箇条書きにしてわかりやすく記載するのがおすすめです。
日本語で「技能」といえば資格試験なども含みますが、海外でいうところの「SKILLS」はこういったものを含みません。
TOEICの点数などは「QUALIFICATIONS」として記載し、認定証・公的資格などをまとめて「SKILLS」と分けて記載する形になります。
「SKILLS」では、PC操作・プログラムなどの習熟度をアピールすることができます。
職歴
職歴の欄では、日本の履歴書と記載順が逆になることに注意しましょう。
日本では古い順に携わった職業・勤め先を記入しますが、海外履歴書では新しい順(クロノロジカル形式)で、逆になっています。
日本だと新卒の方が職歴の欄にアルバイト経験を書くことはあまりなく、自己PRなどでアピール材料にすることが多いです。
しかし海外履歴書では、新卒の方もこの欄に志望職種・業界と関連したアルバイトやインターンの経験を記載できます。
ただ関連のないアルバイト経験を長々と記載する必要はなく、多数のアルバイトを経験している学生も希望職種と関連した経験のみに絞って記載してOKです。
関連したアルバイト・インターン経験がない場合、学歴のあとにアルバイト経験を記載し周囲と協同して成果をあげたことなどをアピールしましょう。
学歴
英文履歴書では、学歴欄に大学以降の学歴のみを記載します。
記載順は学位(学士「Bachelor of 〇〇」・修士「Master of 〇〇」・博士「Doctor of 〇〇」)・専攻学科・学校名・卒業年度または在籍期間最終学歴の順です。
現役学生の場合は、年度に関する部分は「入学年度-current」と記載します。
学士号などの「of 〇〇」は当然学部の名前を記入するわけですが、日本語で同じ名前だとしても大学によって英語表記が違っている場合もあります。
自分の所属学部については、英語表記名をよく確認しておきましょう。
新卒の方は職歴でアピール材料が少ないため、ここに力を入れて書くことが大切です。
力を入れたゼミや研究室での取り組み、参加した国内外のセミナーなどで積極的にアピールしましょう。
活動
続いてサークルやボランティア活動などについて記載する欄です。
この項目は日本の履歴書にある「自己PR」欄に近い項目といえるでしょう。
サークルやボランティア活動などでどのような役割をこなしてきたか、志望者の人柄・個性の見えるよう記載することが大切です。
企業が求める人物像を事前に研究すること・仕事内容と活動から得られた経験を関連づけて記載することなども心がけましょう。
もちろん、いくらアピールできる内容でも英文に誤りがあっては逆効果です。
日本の履歴書以上に記載内容を吟味し、文法の誤りやスペルミスなどがないかも慎重に確認してください。
ネイティブの方が提供する英文添削サービスなどを利用し、提出前に書く練習をしておきましょう。
資格・スキル
資格・スキルは「QUALIFICATIONS」もしくは「PROFILE」として記載します。
前述の技能(「SKILLS」)とまとめて、「QUALIFICATIONS/SKILLS」といった形で記載する方も多いです。
職種に関連した語学・コンピュータのスキル・TOEICスコア・自動車免許の取得年などを記載しましょう。
言語に関しては母国語をはじめとし、語学力の高い順番で掲載します。
語学は「SKILLS」の欄に日常会話レベル・ビジネスシーンでもスムーズにコミュニケーションを取れるレベルなどと記載するだけでなく、「QUALIFICATION」で具体的なTOEICスコアを記載して説得力を高められます。
資格も職歴欄と同様、取得した順に新しいものから記載していく形です。
専門的なスキルが少ない学生の場合、「QUALIFICATIONS」ではなく「PROFILE」として経験を箇条書きすることもできます。
採用担当者が何を見るかを意識して書こう
採用担当者が自分のレジュメを見てどう思うか、どこを見るかを意識して書類作成しなければいけないのは日本語の履歴書も英文履歴書も同じです。
特に英文履歴書のレジュメは、「何がしたいか」ではなく「何ができるか」を知ってもらうことが大きな目的となります。
海外では日本よりも謙遜がよいアピール材料になりにくく、自分を過小評価せず、自信をもっていることを理解してもらうことが大切です。
単語の使い分け1つで、自分がどれほど才能に自信をもっているか・アルバイトやインターンでよい評価を得てきたかに関する採用担当者の印象が変わる場合もあります。
自分の能力を最大限評価してもらえるよう、単語レベルまでしっかり吟味して記載するようにしましょう。
日本の履歴書と英文履歴書の違い
日本の履歴書と英文履歴書の違いに関しても、簡潔にチェックしていきます。
以下で紹介するポイントは、日本の履歴書感覚で書いているとついミスをしてしまいがちなところです。
基本的なルールにしたがっていなければ、採用担当者に目を通してもらえない・相手にされない可能性もあるので注意しましょう。
まずはこれらのルールに慣れることを優先し、すらすら書けるようになったところで、一層魅力的なアピールができる英文履歴書作成にステップアップしてください。
パソコンで作成する
日本では履歴書を手書きすることが多く、事務系など仕事の丁寧さ・勤勉さを評価材料にするところでは手書き文字自体も評価対象の一部になりえます。
しかし英文履歴書はパソコンのみで作成するのが当たり前で、逆に手書きはNGと見なされます。
丁寧に時間をかけて書いたことを評価するのではなく、読みやすく書類が作られていることを優先する海外らしい考え方といえるでしょう。
この点をふまえ、フォントやレイアウトを工夫しより読みやすい書類を意識することが大切です。
個人情報や写真は入れない
英文履歴書では氏名や連絡先を記載する欄に、「生年月日」「性別」「年齢」「趣味・特技」「通勤手段」など日本で一般的に求められる個人情報を書く必要はありません。
この点でも日本とは異なり、仕事と関係ないことは履歴書でチェックしないという海外のビジネスに対する姿勢があらわれています。
顔写真も添付しないため、英文履歴書に写真が貼ってあれば採用担当者が戸惑ってしまう可能性も高いでしょう。
日本の履歴書に慣れていると、ついミスをしてしまう点なので注意が必要です。
志望動機・自己PRは書かない
志望動機・自己PRも英文履歴書のレジュメに記載する必要はありません。
志望動機は日本の履歴書でもっとも力が入る部分なので、ここも日本の履歴書を多く書いていると誤ってしまう可能性があります。
英文履歴書では、自己PRや志望動機を「カバーレター」という別の書類に書くのが一般的です。
学歴・職歴などの欄で志望職種に関連づけたアピールをすることはできますが、自分のパーソナリティや志望動機などについて深く書きすぎないよう気をつけましょう。
英文履歴書を書く際のポイント
英文履歴書を実際に書く際のポイントについても、いくつか紹介しておきます。
ほとんどの学生にとって、新卒での就職試験がはじめて英文履歴書を書く機会となるはずです。
最初はルール・形式に慣れていなくて当たり前です。
まずはルール通りに書けるよう練習・確認をしましょう。
ルールにのっとった見栄えのよい履歴書を提出することは、海外のビジネス慣習に理解があることのアピールにもつながります。
自信がないうちは、英文履歴書を書いたことのある方にお願いして、おかしいところがないかチェックしてもらうのも有効です。
パソコンで作成する
英文履歴書は手書きがNGなので、Wordなどの文書ソフトで作成していきます。
用紙のサイズはA4もしくはレターサイズで、できれば1枚以内で簡潔に収めるのが理想です。
文字の大きさに明確な決まりはありませんが、読みやすさを考えて本文を12~14ポイントで書くことをおすすめします。
「OBJECTIVE」「ECUCATION」などの見出しは、+2ポイントでわかりやすく表示しましょう。
氏名も同様に、中央上部に住所と混同されないよう大きなフォントで記載します。
もちろんフォントも、Times New Roman・Arialなど一般的に用いられる読みやすいものを使用しましょう。
わかりやすい言葉で簡潔に文章を書く
英文履歴書でも、相手にわかりやすい簡潔な文章であることが求められる点は日本と共通しています。
「OBJECTIVE」(希望職種)などは、つい自分の書きたいことを長く書いてしまいがちなので注意が必要です。
専門用語・略語などは避けるようにしましょう。
特にレジュメは「SKILLS」など見出しごとに項目が分かれているので、各項目で冗長な点がないかを確認することが大切です。
書ける項目に関しては箇条書きで記載すると、相手にすっきりしたレジュメという印象を与えます。
冠詞や主語は省略して書く
英文履歴書で用いる英文は、文頭の冠詞(a・the)や主語(I)を省略して書くのが普通です。
たとえば以前の職業や役職について書く場合は、「I」を省略して「Worked as」からスタートします。
実際に箇条書きで「I was」「I worked」「I contributed」といった文章が延々と並んでいると、ややしつこい印象を受けるでしょう。
英文法のテストなら間違った文章になりますが、レジュメではこのような記載が簡潔な印象を与えるので、この点にも注意が必要です。
まとめ
英文履歴書(レジュメ)の書き方や注意点について紹介してきましたが、いかがでしたか。
実際に書いてみると、シンプルな英語力だけでなくA4用紙1枚の範囲で簡潔な英文を作る能力・見やすい書類にまとめる能力なども試されていることがわかります。
また、「氏名、住所、連絡先」「学歴」「職歴」「スキル(パソコンスキルや語学力)」はどんな形式で書くにせよ、必要項目なので押さえておきましょう。
加えて住所などは、日本の履歴書とは記載順が異なるので注意が必要です。
英文履歴書はレジュメだけでなく、「カバーレター」という書類も提出を求められるのです。
レジュメとはまた違ったポイント・コツがあるので、こちらも事前に練習しておきましょう。
カバーレターの書き方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート