はじめに
地方を離れて東京で生活したいと思っていても、二の足を踏んでいるという方が多くいるでしょう。
高校進学、大学進学、就職、さまざまなタイミングで上京を考える機会があります。
しかし新しい土地へ移り住み、生活を始めるのは勇気がいるものです。
ばく然と東京への憧れはあるものの、東京での生活は実際にどんなものなのか、生活に馴染めるのか想像できず心配になることがあるでしょう。
東京といえば華やかなイメージも強いですが、もちろんデメリットもあるのです。
今回は上京で失敗しないために、上京して東京で生活する場合と、地元に残る場合のメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。
上京をしようかどうか、悩まれている方はぜひ参考にしてください。
上京することのメリットとは
地方から上京するメリットには何があるのでしょうか。
お洒落な店が多い、東京という響きだけでカッコ良さを感じるということもありますが、東京で生活をするメリットは数多くあります。
東京は2021年4月の時点で約1400万人もの人が生活をしているのです。
日本の人口において10%以上を占めているのです。
人口が多ければ、雇用の量、情報の量、流通、お金の流れなどすべてが地方より活発に動いていきます。
東京で生活をすれば最新の情報や、高度な経済の実態に触れられるのです。
今回は数あるメリットのなかから3つに話を絞り紹介します。
選択肢が多い
東京で生活をしているだけでも自然と選択肢は多くなります。
特に仕事の選択肢はさらに広がるでしょう。
企業の多くは東京に本社を構えており、地方に本部を置く企業でも東京に支社を構えていることが多くあります。
これにより就職の選択肢、就職後のキャリアアッププランも地方より多く存在します。
プライベート面では、飲食店やショッピングモール、百貨店などの多さも地方とは比べものにならないほど充実しています。
つまり遊ぶ選択肢、商品を購入する際の選択肢も必然と増えていきます。
こんな仕事がしたい、こんな遊びをしたい、こんなものが欲しいと思ったときに、物理的な不可能はほぼないといえるでしょう。
また、地方では地域のコミュニティは限られていますが、東京では人口が多いためにコミュニティも多くあり、人間関係においても選択肢が多いといえるでしょう。
なんでもできる
東京都に住む人へのアンケートで東京の自慢できるところを聞いたところ、「なんでもある」という回答が1番票を集めたという統計があります。
なんでもあるということは、「なんでもできる」ということです。
海外からの日本初進出は、まず東京で試されることも多く、最新の流行に乗り遅れることなく情報を手に入れられます。
また各都道府県のアンテナショップも充実しています。
ショッピングモールでも、北海道フェアや沖縄フェアなど不定期で開催されており、東京にいながら各都道府県の名産品を手に入れることも可能です。
サークルなどのコミュニティも充実しており、自分と趣味の合う仲間を見つけることも容易でしょう。
娯楽、レジャー施設なども充実しており、お金さえかければ、やりたいと思ったことをすぐに実行できるのは東京ならではです。
新しい価値観を手に入れられる
先ほども紹介したように、東京には1400万人もの人が暮らしています。
この1400万人のうち、約45%が地方から上京してきた方だというデータがあります。
また約4%の56万人が海外出身者です。
職場だけでは人との交流は限定されてしまいます。
しかし、イベントやサークルに自発的に参加をすれば、新たに多くの人と出会う機会を得られるのは東京ならではでしょう。
さまざまな地域で生まれ育ち、それぞれ違ったバックグランドをもつ人たちに出会うことができるのです。
多くの人と出会うことで自分とは違った考え方、違う視点からのものの見方などを学べるでしょう。
新しい価値観を手に入れることで、今までとは違った新しい自分を見つけられるかもしれません。
上京することのデメリットとは
ここまで上京することのメリットを紹介してきましたが、上京にはメリットしかないわけではなく、デメリットもあります。
上京への憧れからメリットのみに目がいってしまうこともあるでしょう。
しかしデメリットのことを考えないと、上京後に理想との間にギャップが生じ、挫折をする可能性があります。
メリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが上京を成功させるうえで重要です。
今回は3つのデメリットを例にあげるので参考にしてください。
物価が高い
「東京は物価が高い」という話はよく耳にします。
実際に東京の物価を数値で見てみましょう。
全国の平均を100とすると、東京の物価は104.4と平均よりも物価の高いことがわかります。
特に東京での生産が少ない生鮮食品は高くなる傾向にあります。
家賃に関しては134.5と非常に高いです。
家賃相場の高い東京では、スーパーや商業施設などの家賃も上がり、企業は利益を確保するために、商品の売価を地方より高く設定する傾向にあります。
このため衣食住のすべてにおいて物価が高くなるのです。
東京では家賃だけでなく、駐車場料金も地方と比べ高いです。
月極駐車場の全国平均金額は約8400円ですが、東京では平均31000円と高額になっています。
こちらは平均であり、相場ではありませんが、地方と比べても高額であることがわかります。
東京すべての地域で物価が高いというわけではありません。
上京を考える際には自分の生活、収入にあった土地を選定することが重要になるでしょう。
人が多い
東京はどこへ行っても人が多いです。
新宿や渋谷などの繁華街に人が多く集まることは容易に想像できます。
しかし、東京は繁華街以外でもどこへ行ってもたくさんの人がいます。
コンビニ、スーパーにちょっとした買い物へ行くにしても、人との交流は避けられないでしょう。
外出の際はどこに行くにしても人混みのなかを歩かなければならないのです。
人混みといえば、満員電車で気が滅入ることもあります。
通勤と帰宅ラッシュ時は特に混雑し、電車に箱詰めになり、身動きがとれない程になります。
これらの時間帯には乗りたい電車が来ても、すでに満員で乗れず、さらに数本電車を待たなければならないというケースも多々あるのです。
通勤と帰宅で毎日電車を使わなければならない人にとって、東京の満員電車は想像以上に苦痛に感じられるでしょう。
移動が不便
東京は、電車やバスの公共交通機関がほかの地域より発達しています。
主要路線はピーク時には、3分間隔で電車が来るので交通の利便性は高いです。
しかし、電車やバスの乗り継ぎには路線図などを理解する必要があります。
最近ではアプリやインターネット情報で簡単に検索できますが、慣れるまでには時間を要するでしょう。
公共交通機関を利用すれば自宅から駅までの往復、電車の乗り継ぎ、駅から目的地までは歩く必要があり、地方よりも歩く頻度は多くなります。
車で移動をするにしても、先ほどの物価が高いというところでも述べたように、都内は駐車場の料金が高いです。
駐車場へ一時的に駐車するにしても、出費は多くなるでしょう。
繁華街では駐車できる場所も限られているため、土地勘がない場合は事前に駐車場を調べる必要があります。
地元に残ることのメリット
ここまでは上京することのメリットをあげてきましたが、地元に残る、という選択肢にもメリットがあります。
上京のメリットとデメリットだけに注目するのではなく、地元に残ることで得られるメリットについても考えてみましょう。
上京が必ずしも正解というわけではありません。
ここでは地元に残るメリットを3つ例にあげていきます。
生まれ育った地元に残ることのよさを再認識し、上京することで得られるメリットと比較してみましょう。
慣れた土地で過ごせる
自分が生まれ育った町で過ごせることは、それだけで安心感があります。
地元であれば、かかりつけの病院があったり、親や友達から情報を仕入れたりすることも容易にできます。
日用品や衣類などの買い物に関しても、どこに、何が、どれぐらいの価格で売っているなどの情報は調べるまでもないでしょう。
上京をすれば、生活環境が大きく変化します。
スーパーや商業施設、病院など近隣にどのような施設があるのかを調べるところから始めなければなりません。
また、これらを調べるにしても情報が多く、どこが自分に合っているのかを精査することに手間と時間がかかります。
今までと違った土地で生活を始めることは、最初のうちはストレスを抱える可能性があるのです。
今までと生活が変わらない
就職をすると忙しくなり、仕事に慣れるまでの間は疲労、ストレスを感じることがあるでしょう。
上京をした場合は仕事での疲労に加えて、今までとは違った日常生活に、より一層ストレスを感じてしまい、疲労がとれないこともあります。
新しい仕事に加えて、新しい生活をスタートさせるには、多くのエネルギーが必要になります。
しかし地元に残っていれば、生活が大きく変わることはないのです。
家に帰る道や、家に帰ってからの日常の過ごし方は、何も変わらないからです。
これまでのように趣味の時間を楽しむことができ、行きつけの店などに行けばリフレッシュもできます。
生活環境の変化がないことでストレスを軽減し、仕事に集中できるでしょう。
何かあっても親や友達を頼りやすい
地元に残る最大のメリットは、親や友達などに頼りやすいことがあげられます。
上京をした場合にはコミュニティを新しく築く必要があり、何かあったときに頼れる存在ができるまで時間を要します。
地元であれば、家族や付き合いの長い友人にちょっとした愚痴や相談もしやすい環境にあるといえるのです。
自分が病気になったとき、怪我をしてしまったとき、車のガソリンが切れてしまったときなどの非常事態にも頼れる人が身近にいれば安心して生活できます。
また子どもが生まれたときに、仕事でどうしても子どもを預けなければならない場合や、子どもが急に体調を崩したときなど、家族が身近にいれば頼ることができるのです。
このことから、家族や多くの知人がいる地元に残ることはメリットがあるといえるでしょう。
地元に残ることのデメリット
地元に残るメリットを見てきましたが、地元に残ることにもデメリットはあります。
生活環境が変わらないことで交友関係が限定され情報の量が少なくなってしまうこと、仕事でのキャリアアップの道が少ない、就職、転職の選択肢が少ないなどがあげられます。
常に変わらない生活に身を投じることで、成長の幅を狭めてしまう可能性もあるのです。
ここでは給料に関すること、イベントに関するプライベート面でデメリットを例にあげていきます。
給料が低い
東京は全国で一番給与水準が高い都市です。
都道府県別の最低賃金を比較してみましょう。
2020年10月から東京の最低賃金は1013円となり、最低賃金の全国平均である902円と比べ111円高くなっています。
最低賃金の低い地域では792円となっており、東京とは221円もの差があるのです。
また、2021年の10月からさらに最低賃金は上がると予測されています。
つまり東京では地方に比べ高収入が見込めます。
しかし、東京は先ほども述べたように物価が高く、支出も多くなるでしょう。
コロナ禍でリモートワークが増えた最近では、東京の企業に就職し、物価の安い地方に住み、自宅からリモートワークをするという人も増えてきています。
高収入を得ながら支出を抑えることも可能です。
高収入を目指すのであれば、上京をしたほうがチャンスはあるでしょう。
イベントなどに参加しづらい
東京では東京ドームや日本武道館、東京ビッグサイトを始め、多くの大型イベントスペースがあります。
好きなバンドやアイドル、漫画やアニメなどのイベントがあった場合、東京で開催されないものは少ないです。
またイベントの開催件数も多く、音楽や漫画などのイベントに限らず、謎解きイベントや各種スポーツの大会、セミナーなど多岐にわたったイベントが東京では開催されています。
東京に住んでいれば、休みさえとれれば自分の好きなイベント、興味のあるイベントに気軽に参加できるでしょう。
地方からではイベントのために結局東京へ出向く必要があり、宿泊しなければならないこともあります。
宿泊が伴えば予定の調整はより難しくなります。
交通費や宿泊費が高額になってしまい、イベントに参加できないこともあるでしょう。
最初は頼れる人が周りにいない
上京をしたばかりでは、仕事を始めるまでは仲の良い友達はいないでしょう。
頼れる人がいなければ、不安や不満も1人で抱えこんでしまいます。
不安と不満を吐き出せなければ、ストレスが溜まってゆき、結局は地元に帰ることになってしまいます。
仕事が始まれば、同僚と食事に行く機会なども増え、交友関係は深まっていきますが、頼れるほどに信頼関係を築くには時間がかかるでしょう。
また、休みの日には仕事のことを考えたくないという人もいます。
この場合は職場以外での友人を探す必要があります。
そのために社会人サークルや、習い事、共通の趣味をもつ人の集まりに参加するなど、積極的に動かなければなりません。
新しい交友関係を構築することにも労力を要するのです。
上京する理由や目的を考えることが後悔しない秘訣
ここまでにも述べたように状況にはデメリットもあり、なんの目標もなく上京をしたときにギャップを感じ、後悔をしてしまうことがあります。
東京に行けばなんとかなると思っても、自分で目標をもち、行動できなければどうにもならないのが現実でしょう。
上京を成功させる秘訣は、なんでもよいのでなぜ上京したいのか理由と目的を見つけることです。
希望の職に就きたい、希望のキャリアアップがある、高収入を得たい、多くの人に出会っていろいろな価値観を吸収したいなど、自分が東京で何をしたいのか具体的にイメージすることです。
なかには憧れの有名人に会いたいや、休みの日に好きなイベントに参加したいなど、プライベート面での目標をもたれる方もいるでしょう。
何も目的がなければ、少しの挫折やギャップで辛くなり、上京したことを後悔し地元へ戻ることを考えてしまうかもしれません。
上京すれば、必ず理想とのギャップは少なからず生じます。
モチベーションを高く保つためにも、自分なりの上京する理由と目標を考えてみましょう。
おわりに
ここまで上京すること、地元に残ることのメリットとデメリットを説明してきました。
地元に残れば、安心して今までどおり、安心して生活できます。
上京をすることのメリットは理解しつつも、デメリットの面を不安に感じてしまい、上京を断念する方も多くいます。
しかし上京のメリットは、地方で体験できないものがほとんどです。
特に仕事上で多くの同僚や上司、取引先と接することで、仕事の取り組み方、問題の解決方法などの引き出しは格段に増えるでしょう。
たとえ上京に失敗して地元に帰ることになったとしても、それは地元のよさを再認識できたとポジティブにとらえられます。
一度は上京し、多くの人と交流をもち、多くの情報に触れ、新しい生活を体験してみるのもよいのではないでしょうか。
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