はじめに
どなたも「生協」という言葉をどこかで聞いたことがあることと思います。
生協といえばCO.OPという文字を掲げた小型トラックや、ケースに入った商品が玄関先に届けられるイメージを思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。
生協は日ごろ利用している宅配サービスやお店だけでなく、学生たちの学び舎である大学構内にも「大学生協」という形で存在しているのです。
大学生協は何をしているのか、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは大学生協とは何か、そのメリットやデメリットについて解説します。
大学生協とは
大学生協というのは「大学生活協同組合」の略で、「ユニコープ」とも呼ばれています。
協同組合というのは利用者の一人ひとりが出資金(お金)を出し合って、協同で運営し、利用する組合のことをこのように呼んでいるのです。
その考え方は、一般の生協も同様です。
消費者自らが出資して、自分たちの暮らしを便利に、そして暮らしの質をよりよくしようというコンセプトのもとに成り立っています。
大学生協は加入する学生や大学院生また教職員が、運営するための出資金を出し合って協力して運営している組合です。
出資金をもとに、学生など大学に関わる組合員らは、商品を購入したりさまざまなサービスの提供を受けたりできます。
ただし、必ず加入しなければならないわけではありません。
しかし加入することでそのメリットは大きく、出資金を1度支払って申し込めば、大学生協の組合員となると卒業までずっとさまざまなサービスを利用できるのです。
また大学以外では短大や高専、専修大学や専門学校などの学校にも大学生協が存在します。
一般的な生協との違い
生協というとスーパーマーケット同様に食材などの商品を購入できたり、買い物に行かなくても、注文すれば自宅まで商品を配達してくれたりすることをイメージされるのではないでしょうか。
大学生協も一般的な生協も、加入した組合員が出資金を出して自分たちで運営し、自分たちで利用していくという理念は同じです。
では何が大学生協と一般的な生協との違いなのでしょうか。
大学生協は、以下の3点で一般的な生協と異なっています。
・事業が大学構内に限定されていること
・脱退は学生の場合「卒業」のタイミングであること
宅配が利用できない
一般的な生協は、注文された商品を自宅まで宅配するサービスを行っていますが、大学生協には宅配サービスはありません。
たとえば一般的な生協は、週に1回決まった曜日と時間帯に、組合員があらかじめ注文した商品(食材から家庭雑貨、衣類などまで)を配達してくれます。
一方、大学生協の大学構内にある店舗は、コンビニと同じような品ぞろえで、一般的な生協のような生鮮食品の販売をしていないため宅配は受けられません。
ただ北海道や東北の大学などでは、地域がら大学生協で灯油の宅配をしているところもあります。
事業が大学内に限定されている
大学生協と一般的な生協の違いは、先の解説でも少し触れましたが、店舗がどこにあるかも違います。
一般的な生協は地域内に店舗はありますが、大学生協は大学の構内に限られています。
大学にいるときは便利ですが、たとえば休日に「本を安く買いたい」などという場合、休日でも大学まで行かなければなりません。
自宅から大学まで近いのなら問題ありませんが、電車に乗り継ぐなど自宅から遠くに大学がある場合は億劫に感じてしまうこともあります。
脱退は「卒業」のタイミング
大学生協と一般生協の違いは、脱退する方法にもあります。
一般的な生協は脱退の手続きをしない限り、いつまでも会員でいることができるのです。
それに対して大学生協は、その事業が大学構内に限られているため、卒業のタイミングで脱退となります。
一般的な生協を脱退する理由の多くは、引っ越しなどでその地域から離れる場合です。
学生以外で教員や職員など大学関係者の組合員においては、退職を理由に大学を離れるときに脱退となります。
大学生の加入率
商品の購入だけではなく、さまざまなサポートを受けられる大学生協ですが、実際にどれぐらいの学生や教員及び職員が利用しているのでしょうか。
大学ごとで若干の差はありますが、大学生協の加入率はとても高いといわれています。
数字にすると一般的には80%以上の加入率です。
大学によっては、加入率が90%を超えることも珍しくありません。
それだけ、大学生や大学の教員にとっては大学生協の存在は日々のなかから切り離せないものとなっているのです。
大学生協に入るメリット
学生をはじめ、大学関係者のほとんどが加入するといっても過言ではない、大学生協のメリットについて解説します。
まず大学生協に加入すると組合員証が付与されて、それを提示すれば割引などのさまざまなサービスが受けられます。
受けられるサービスは大学によって異なるため、自分の大学の生協などで受けられるサービスを調べてみましょう。
たとえば地方からの入学者や留学生は、大学生協で下宿となるマンション探しをサポートしてくれるサービスもあり、便利に活用できます。
受けられるサービスの例
実際に大学生協で受けられるサービスの例をいくつかご紹介します。
すべての大学に共通するサービスではありませんが、大学生協を知るための参考にしてください。
・書籍・雑誌・コミックや教科書を割引(約10%)で購入できる
・内容の充実した学食が安く食べられる
・自動車学校の教習を割引料金で受けられる
・各種資格の取得申込や資格スクールの受講料が割引になる
・学生生協共済(大学生専用で内容が充実している共済)に加入できる
・生協が管理する賃貸物件を仲介料無料で紹介してもらえる
・研修旅行など割引で行けるほか飛行機やホテルの手配もしてもらえる
・クレジットカードの申し込みや利用ができる
・4年間保証つきで学生が使用するのに最適なパソコンを購入できる
一般的に上記のようなサービスが受けられます。
学生にとっては教科書や本など日用品が安く買えたり、資格や旅行に割引価格で行けたりすることは出費を減らせるうれしい点です。
特に一人暮らしにとっては、出費を減らせる点はありがたいことでしょう。
大学生協に入るデメリット
どんなことにもメリットがあればデメリットもあります。
大学生協の組合員になるとたくさんのメリットはありますが、ここではデメリットとなる点を書き出してみました。
大学生協は加入する前の段階にデメリットがあります。
加入の際に出資金を預けたり、加入の手続きがあったりする点などが主なデメリットです。
以下に大学生協のデメリットとなる点の詳細を解説していきます。
詳細を知れば、大学生協のデメリットの回避につながることもありますので目を通してみてください。
出資金を預ける必要がある
大学生協に加入する場合は、最初に出資金を支払う必要があります。
その金額は大学によっても異なりますが、15,000円~50,000円くらいに設定されています。
大学によって金額に差があるものの、出資金については比較的高めに感じてしまうという方も多いでしょう。
しかしこの出資金は卒業するとき、もしくは職員なら、退職する際に全額返還されるため、支払うという認識ではなく預けると思えばデメリットにはなりません。
加入の手続きがある
大学生協に加入するには手続きが必要で、それが面倒に感じてしまう方もいるでしょう。
加入するためには、大学生協の窓口で指定の大学生協申込用紙をもらい、自分と保護者の情報を記入します。
そして、郵便局で払込取扱票を利用して出資金を払い込み、加入となります。
学校によってはネットから申し込める大学もあるようですが、加入の際にこのような手続きが必要な点はデメリットでしょう。
また、後述するように脱退の手続きも必要になる点も押さえておきましょう。
利用時の注意点
一度加入してしてしまえば、そのあとは便利に利用できる大学生協ですが、利用するにあたり注意点がいくつかあります。
ここで解説しておきますので、注意事項に留意して、組合員である期間は有効に利用しましょう。
たとえば学生の方は、卒業時に手続きを忘れてしまうと出資金の返還を受けられなくなってしまうなど、重要な注意点もあります。
大学生協に入りたいと考えている方は、注意点を押さえたうえで、加入手続きへと進みましょう。
組合員証の取り扱い
大学生協に加入して組合員になると組合員証が発行され、それを使ってさまざまなサービスを受けられます。
カードを忘れてしまうと、優待や特典は受けられないのでご注意ください。
万が一、紛失してしまった場合は再発行してもらえますが、再発行には手数料がかかります。
また再発行するには、学生証や身分証が必要となりますので覚えておいてください。
組合員証を再発行する場合には時間がかかることもあるため、紛失しないように注意しておくことも大切です。
卒業時の脱退手続き
卒業時(教員など職員は退職などの理由による脱退するとき)には、脱退手続きをしなければ出資金の返金を受け取ることはできません。
すべての大学に共通するわけではありませんが、学生の場合は卒業時の12月頃に、大学生協のホームページやダイレクトメールにて出資金返還のお知らせが届きます。
たとえば卒業まで在籍せずに退学してしまった学生の方においても、その大学の生協が定める期間に脱退手続きをすれば出資金は返還されます。
しかしながら脱退手続きを忘れてしまい、卒業後も組合員になったままの人がいるのです。
そうならないように注意しましょう。
まとめ
大学生協は、大学内で事業を展開している生協です。
そのため、一般的な生協のような宅配サービスはありません。
大学生協のへ加入は任意であり、出資金などをデメリットに感じてしまう方は入らなくても問題ありません。
また、入ったあとに脱退することも自由です。
しかし学生や教職員にとっては、利用できると便利なサービスがたくさんあります。
加入にあたり出資金が必要となりますが、学生の場合は卒業時に、教員や職員の場合は退職などの理由により脱退するときに手続きをすれば全額返還されます。
手続きが面倒でも1度済ませてしまえば、さまざまなサービスが利用できるのです。
割引サービスなどで学生生活をさらに充実させられる可能性もあるので、ぜひ加入をご検討ください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート