はじめに
あなたの自分軸は何でしょうか。
そう質問されても答えられない方が大半だと思います。
自分史を作ると「自分軸」に気付けます。
また、自分の強みが何かわかるのです。
企業を選ぶにあたって自分軸がないと闇雲に流されてしまいます。
「こんなはずじゃなかった」と後悔する未来になるかもしれません。
自己分析のファーストステップとして、自分史を作成することを強くおすすめします。
自分の強みを発揮できる場所を見つける手がかりになるのです。
自己分析は自分史を作るとこから?
「自分史」で今までの人生に焦点を絞ることができると、自己分析が容易になります。
自己分析では興味のあることや将来どのようになりたいか考えをハッキリさせる作業です。
これは意外と難しい作業です。
手がかりがなければ曖昧なまま進めることになります。
ですので少し焦点を絞って「自分史」を作るのです。
自分史を作ると過去の経験を客観視することができ思考が整理されます。
未来のやりたいことや得意なことは過去と地続きです。
自己分析は自分史を作るところから始めましょう!
ぜひ紙とペンを片手に読み進めてみてください。
自分史とは?
自分史とは自分の歴史です。
自分の年齢や学年と出来事を一覧にするとわかりやすいでしょう。
自分史作成は過去を検証する作業です。
今は人生100年時代と言われています。
健康寿命が延び社会システムは古いものから新しいものへと変化しています。
高齢者となっても学びや活躍の場があるのです。
大学生で勉強が終わりではなく、社会人となっても学びは続きます。
ですのでこれから自分がどういう方向に進みたいか、過去から検証しましょう。
平凡な人生と思っていたのがこんな経験をしたという再発見につながります。
産まれてから就職するまでが人生の第一ステージです。
働いて社会の中心を担う第二ステージに進むため、自分史で第一ステージを振り返りましょう。
自分の人生を文章に起こす
現代はパソコンとスマホの普及により物を書かなくなったと言われています。
写真や動画も気軽に撮影できるので自分の情報は膨大なものになります。
だからこそ文章に起こして考える必要と言えるでしょう。
書いているうちに大切な記憶がよみがえることもあります。
自分の人生を文章に起こすことは歴史の記録です。
実際の体験から得た教訓や学びはとても貴重なものです。
書き記すことで明確なものとなります。
自分史を作ることによる効果
自分軸がわかることのほか、自分史を作ることによる効果はほかにもあります。
生まれてから学業が終わるまでの人生の第一ステージを俯瞰して見られることで、自分のルーツをたどれるのです。
ルーツは自分自身を形成するアイデンティティーのもととなっています。
自分史でルーツをたどることで、具体的には次のような効果が期待できます。
見逃していた過去が出てくる
すっかり忘れていた記憶から、努力が認められた瞬間や憧れた人がいたことなど思い出すことがあります。
「自分がこういった考えを持ったのはこの出来事があったからなんだ」と腑に落ちる感覚を味わうことがあるかもしれません。
過去の気付きは成長の種です。
当時どんな言葉を交わしたか、どんな心境だったかまで思い出してみましょう。
当時はこう思っていたが振り返ると実際はこうだったというように、時間を経たことで過去への解釈が変わっているかもしれません。
それは当時から成長しているから見方が広がったと言えます。
嫌な過去だったとしても感謝や気付きに変えられると思えば向き合えます。
人生における歴史の整理
時系列に出来事を追うと人生における歴史の整理ができます。
小学校のときは国語が得意だったけど、中学に上がると得意科目が数学になったなどです。
勉強というジャンルの歴史の変遷がわかります。
勉強のほかにも、スポーツや興味のあったことなどジャンルを絞って自分の歴史を整理してみてください。
歴史の流れをつかむと未来はこういうふうにしようという展望が見えてきます。
性格や傾向の発見
性格や傾向の発見も自分史の効果です。
実は社交的な性格だった・細かいことに気付きやすい性格だったなど自分の性格を発見すると、どのような職場が良いか検討できます。
また、いくつもの成功と挫折の経験から、自分の勝ちパターンや失敗傾向も発見できます。
性格や傾向の発見は、どんな社風の会社が自分に合うのか考える材料になります。
3つ子の魂百までと言いますが、小・中・高・大と通して変わらなかった考え変わった考えがあると思うので書き出してみるといいでしょう。
環境によって人の振る舞いは変わるので、どんな環境でも変わらなかった考えがあれば、それはあなたの本質的な人間性と言えます。
自分の軸が見つかる
自分軸とは、言動のおおもととなる思考のことです。
思考がブレていると行動が行き当たりばったりとなり一貫性を持たず人生の迷子になってしまいます。
思考が言葉や行動となってあらわれます。
誰のために、何のために、自分史ので出来事から点と点をつなげてみてください。
何を大切にして生きていくか見えてくるはずです。
自分軸があると「その会社で何をしていきたいか」という難しい質問にも答えられます。
自分のことが好きになる
自分史を作ると自分のことが好きになります。
自分の欠点や挫折ばかりではなく、頑張ったことも同時に思い起こせるからです。
内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成25年度)によると
「私は、自分自身に満足している」という問いで「そう思う・どちらかと言えばそう思う」の計は日本人45.8%、アメリカ人は86.0%となっています。
日本の若者は自己肯定感が低い傾向にあるようです。
自己反省も大事ですが、自分の悪いところばかり見ていると失敗を恐れてチャレンジすることが怖くなってしまいます。
自分史から自分の良いところを見つけて自分を好きになるきっかけにしてみてください。
2ステップで自分史を作ろう
自分史を作る2ステップは、過去の棚卸しとその掘り下げ作業です。
まずは紙に縦軸を引きます。
ノート、ルーズリーフ、A4コピー紙、どんな紙でも大丈夫です。
左側は年齢または学年の欄です。
年齢または学年を書き出しましょう。
右側に出来事を記す欄になります。
小さい頃にヒントがあるかもしれないので、幼稚園や小学校時代から自分史を作ると良いでしょう。
過去の棚卸し
ノートの右側に学年にあわせて過去の出来事を書き出します。
過去の棚卸しです。
良かったこと悪かったこと、記憶にあるだけの過去を洗い出しましょう。
中学・高校時代は部活をする方が多いと思うので、どんな活動をしていたか書き出すのもいいでしょう。
プライベート、学校生活、自分の精神面の変化など自由に書きます。
あとで清書もできますので、紙が汚れることを気にせずに書いてみてください。
取得した検定や資格があればそれも書き出しましょう。
頑張ったこと
あなたが頑張ってきたことにやる気や興味が隠れています。
今までを思い出してみましょう。
頑張ったことの例
・漢字検定
・水泳
・学級委員
・アルバイト
・人間関係
あなたが今まで頑張ってきたことはどんなものがあるでしょうか。
頑張ったことには達成感や褒められた言葉が忘れられないなど思い出があると思います。
学級委員で皆をまとめるの大変だったなど、勉強だけでなく人間関係を学ぶこともあったと思います。
検定や資格は頑張った成果が見えやすく、あまり書くことがないという方は今からでも挑戦できると思います。
アルバイト経験のある方は仕事への責任感も学べたのではないでしょうか。
期間限定で頑張ったことだけでなく、今も継続していることもあれば書き出してみましょう。
今まで頑張ったこと、努力を続けていることが自分の武器となります。
印象に残っていることや、場所、気持ち
ノートに書き出した出来事の中にとくに印象に残っていることはないでしょうか。
そのときの場所と気持ちも書き出してみてください。
自分の感動ポイントがわかります。
選ぶのが難しいという方は学校生活を思い出してみてください。
印象的なイベントや大好きだった先生が言った言葉など思い出されないでしょうか。
とくに担任だった先生は強く影響された経験がある人もいると思います。
先生方は子どもたちの心に言葉を残してくれています。
留学、ペットを飼った、インターンをした、学校のイベントを成功させたなど、自分の感情や成長に訴えかける出来事を思い出してみてください。
「とくに何もない!」という方は、300メートルくらいの低い山登りがおすすめです。
初心者でも大丈夫で半日で「山に登った」という実績を作ることができます。
300メートルぐらいでも頂上の景色は素晴らしいものです。
忙しいことを言い訳にしないで何かを経験することをしてみてください。
挫折した経験
挫折した経験はマイナスではありません。
むしろプラスです。
困難に直面したあなたが立ち直ったのであれば、挫折によってとても成長したということです。
また挫折経験があれば、これから仕事で苦しいことがあっても乗り越える可能性が高いです。
挫折経験の例「大学受験の失敗」
第一志望を落ちてしまい、第二志望の大学へ行くことになった。
第二志望の大学ということで勉強意欲が落ちたが、サークル活動を通して勉強への情熱を取り戻した。
挫折経験の例「野球をしていたが怪我により野球をやめた」
野球に打ち込んでいたが、怪我により野球ができなくなった。
これから何をすればいいのかわからず燃え尽き症候群のようになってしまう。
たまたまアメフトと出会い、転向した中で努力を重ねレギュラーになった。
挫折したことだけでなく、どうやって立ち直ったのかも書き出すと良いでしょう。
仕事では言われてするルーティンの仕事だけでなく、問題解決能力も求められます。
立ち直ったプロセスは問題解決の練習になっているのです。
挑戦した経験
自分史に挑戦した経験も書き出しましょう。
挑戦した経験の例「アルバイトの定食屋で自分のメニューを作ってお客様に出すことができた」
アルバイトの日頃の仕事ぶりが認められ、店長から新メニューの作成を頼まれた。
先輩に相談に乗ってもらいながら1週間かけて新メニューの作成をした。
時間に追われながら最高の一品を完成することができ、メニューに加えてもらったときは感動した。
近しい記憶だけでなく、小学校時代にさかのぼって挑戦したことはありませんか。
就活ですべてをアピールするわけではありませんが、子どもの頃のチャレンジはあなたの人格形成に大きく影響していると思います。
書き出すと気付きがあるかもしれません。
スポーツで全国大会へ行った、ホームステイ経験をしたなど、幼い頃のチャレンジが今の興味とつながっていることがあります。
自分史の例
ここまで自分史の作り方を説明してきましたが、ここでは実際に筆者が行った自分史による自己分析をもとに自分史を作成してみましょう。
以下にあるのは筆者の自分史です。
実際には手書きで作成する方が多いと思うので、これを参考にしながら一度作成してみることをおすすめします。
以下のボタンからテンプレートがダウンロードできるので、近くのコンビニなどで印刷して使ってみてくださいね!
それぞれの過去のストーリーを細かく書き出す
新しい紙を用意してください。
ひとつの出来事を深堀りしていきましょう。
過去のストーリーを細かく書き出していきます。
出来事をひとつ選んで、紙の一番上に書いてください。
ここでは「頑張ったこと」に焦点をあてていきます。
ストーリーにすることでなぜあのとき頑張れたか、結果はどうだったかの前後関係を明らかにできます。
頑張った経験がこれからも何かを頑張る原動力となります。
頑張ったこと
それでは例を頑張ったことの例を見ていきましょう。
例「オーストラリアに語学留学をした」
なぜ頑張れたのか…将来は英語を使って仕事をしたいと思っていた。
そのためにどんな行動をしたか…積極的に現地の人と会話することとリーディング。
その結果どうなったか…日常会話が聴きとれるようになり、本がスムーズに読めるようになった。
何にしても成果はすぐに出ません。
地道な努力が必要です。
語学を習得するのは誰もができることではありません。
英語だけではなく、勉強方面で頑張ったことはないでしょうか。
高校時代学年で50番以内をキープするように頑張ったなど、未経験だった簿記の資格を取るため頑張ったなどです。
社会人になると勉強する時間はなかなかとれません。
勉強を頑張ったことはあなたの資産となります。
頑張ったこと
もうひとつ頑張った例を見ていきます。
こちらは行動面ではなく心理面です。
心は目に見えませんがとても重要です。
例「親が離婚して精神的に落ち込んでしまった」
なぜ頑張れたのか…母親の笑顔が見たかった。
そのためにどんな行動をしたか…料理を覚え母親に振る舞った。
その結果どうなったか…自分が笑顔になることで母親も笑顔にできた。
近年は離婚は珍しくないことです。
しかし、離婚によって子どもは傷つき大人になっても引きずることも珍しくありません。
一生解決しないモヤモヤを抱えることかもしれません。
そんな中でも目の前の誰かを笑顔にしたという経験は、どんな状況でも希望を失わないという精神的な強さを磨くものだと思います。
行動面・精神面での頑張りが今のあなたを形作っています。
印象に残っていることや、場所、気持ち
先ほど例に出した「頑張ったこと」の印象に残っていることや、場所、気持ちも書き出しましょう。
ひとつの出来事に1ページ使うつもりで書いてみてください。
すべてを出し切って読み返してみると、何か気付きがあるはずです。
頑張っていることが未来につながります。
あなたは何に対して努力できるでしょうか。
過去から見つけてみてください。
挫折した経験
挫折した経験を書き出すことは、これから困難に直面したときに役立ちます。
努力が報われるとは限りません。
むしろ努力しても報われないことの方が多いと言えます。
このような世界で挫折はむしろいい人生経験と言えるのです。
挫折経験のある人は多少の困難を乗り越えていける強さを身に付けているのです。
挑戦した経験
挑戦した経験を書き出すことは、自分が何に興味を持っているか明確にする行為です。
親や先生に言われたのではなく、自分から進んで挑戦したことは何でしょうか。
挑戦の結果失敗してもいいのです。
本当の失敗は何もしなかったことです。
その結果がどうであれ、あなたのチャレンジは人生の土台になります。
3ステップで自分史を活用しよう
自分史の欄をだいたい埋めることができたでしょうか。
おおまかにできたら自分史を活用していきましょう。
この作業では学年と出来事の欄とは別のスペースに書いたり、色ペンを使ったりしてみてください。
自分史からの気付きや深堀していく作業になります。
3ステップで順番に説明します。
自分の傾向を観察
1ステップでは自分の傾向を観察する作業になります。
自分史をサッと一読しなおしてみてください。
精神的に安定している、不安定だ、小学・中学はポジティブ傾向だったが、高校・大学ではネガティブ傾向にあるなど気付いたことはないでしょうか。
興味が転々としていても、興味が定まれば熱心に取り組んだ経験はなかったでしょうか。
その興味はどんなジャンルだったでしょうか。
その興味は今も続いているでしょうか。
自分史で気になるワードを赤ペンで丸付けするのもいいですし、文章で自分の傾向を言葉にするなど、自分史を見つめて向き合ってみてください。
どのポイントで何を感じてどんな行動をしたか?
2ステップではどのポイントで何を感じてどんな行動をしたか自覚する作業をします。
自分史の中からこの経験は大きかったという出来事を選んでください。
例「高校でバスケットボールをした」という出来事を選んだ場合
なぜ頑張れたのか…バスケットボールが好きだった、親友と一緒だった
その結果どうなったか…全国大会へ行った
そのためにどんな行動をしたか…朝の練習とチーム皆とコミュニケーションをとるように心がけたこと
自分史から選ぶ経験はいくつでもいいです。
これは自分にとって大きな出来事から考察していきましょう。
傾向から見える自分の性格や思考を言語化
3ステップでは傾向から見える自分の性格や思考を言語化します。
言語化することによって人にうまく伝えることができるようになります
1ステップと2ステップで書き出したことから性格や思考を導き出します。
例
性格…目標に向かってコツコツ頑張ることができる
思考…自分だけでなく周りの成長も大事 笑顔の世界を作りたい
部活やアルバイト経験があると学びも多く言語化しすいのではないでしょうか。
性格や思考から、チームで仕事するのがいいのか、主に一人で技術を磨いていく作業がいいのかなど見えてくると思います。
性格と思考のほか「興味」や「努力したこと」などに注目するのもいいと思います。
注目する項目をいくつか絞って自分の傾向を見つけてください。
難しい場合は他人に見せてみよう
自分史の活用を考えてきましたが、客観視が難しい場合は他人に見せて意見を求めてみましょう。
他人に見せるのはちょっと勇気がいりますが、独りよがりではなく視点が増えるというメリットがあります。
自分が正しいと思っていたことが違って見えていたり、意外な良が見つかったりと発見があるかもしれません。
他人の意見をすべて鵜呑みにするのではなく、他人の意見のいいところと自分の意見のいいところを融合してよりよい発想にしていきます。
親しい人に頼もう
他人の意見を求めるには、親しい人に頼むのが一番です。
家族や友人、恋人や先輩などあなたの性格を知っている人に見てもらうことが重要です。
良くも悪くも本質をついてくれるからです。
3人ほどに聞いてみてください。
家族や友人、恋人や先輩の意見はそれぞれ違うと思います。
意見が違う中でも言われている共通点はなかったでしょうか。
その共通点は「客観的に見たあなた自身」ということになります。
自分の声を録音して聞いたら違ったというように、あなたと他人から見たあなたはズレがあるかもしれません。
もちろん主観も大事ですが、素直に耳を傾けることで客観性に気付くことができます。
積極的に他人の意見を聞いていきましょう。
そしてより良い自分軸へと昇華していきましょう。
自分を客観視することが重要
人には自己実現欲求があります。
自分らしさや自分でいたいという思いです。
自分を客観視することがなぜ重要かと言うと、自分では気付かない部分に気付かせてくれるからです。
自分自身をより知ることで自己実現が叶います。
客観視の重要性はほかにも次のようなものがあります。
・視野が広がる
・理解しようという気持ちが生まれる
・感情に流されない
・自己中心的な部分を自覚できる
・悪いこだわりを捨てられる
・前向きに未来を選択できる
・レジリエンス(回復力)を持てる
人の心で厄介なのが感情です。
感情が高ぶればモチベーションが高く、低ければやる気を失いすべてが面倒くさくなってしまいます。
ただ人間ですので感情を無くすことはできません。
感情の波が過ぎ去ったら、客観視を心がけましょう。
客観視により自分自身では今まで気付かなかった部分に目を向けられます。
まとめ
自分史を書き出してみていかがだったでしょうか。
記事を読みながら書き出したという方も、これからじっくり取り組むという方も、完成時には充実感を覚えることと思います。
なんとなく就活するのはもったいない話です。
自分軸で歩めるよう心がけてみてください。
自分史があれば、迷いがあってもどちらに進むべきか方向性が見えてくるはずです。
また自己分析の一環としてだけではなく、自分史をその先の生き方の道しるべとして活用してみてください。
就活が終わっても学びは続きます。
人生のどの時点でもいい未来を選べるように、就活が終わっても時折見返すことをおすすめします。
あなたの自分史の作成がうまくいくことを願っています。