就職活動では、就活の軸を定めることが大切です。また、選考の中で聞かれることも少なくありません。
就活の軸には様々なものがありますが「社会貢献」を就活の軸にしたい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、就職活動において、社会貢献の話題を軸とするのは良いのかどうか、またアピールする際の注意点や軸にする際のポイントをくわしく紹介いたします。
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社会貢献を就活の軸にするのはあり?
まず結論として、社会貢献を就活の軸にするのは全く悪いことではありません。
むしろ「志の高い、熱い人物だ」と思ってもらえることでしょう。
しかし「社会貢献」と説明するだけで、その具体性が見えてこなければ意味がありません。
ただ社会貢献したいと話すだけでは抽象的であり、あまり良い印象を与えられないからです。
そこで、自分の就活の方向性をより明確にするためにも「自分にとっての社会貢献の定義は何なのか?」について考えてみてから取り組むことをおすすめします。
社会貢献を就活の軸にする際のポイント
続いて、社会貢献を就活の軸にする際のポイントについても紹介します。
以下のポイントをしっかりと理解した上で取り組むことで、より相手が納得できる回答を用意できます。
なぜ社会貢献がしたいのかを明確にする
まずは、なぜ社会貢献がしたいのかについて明確にしましょう。
「社会貢献」という言葉の意味は広く、多くの人が魅力を感じるものですが、具体性を伝えるためには背景にある自分自身の考え方や体験を掘り下げることが不可欠です。「社会貢献がしたい」と考える背景には、誰しも影響を受けた出来事や経験があるはずです。
それを自分の言葉で整理し、納得感のある理由を説明することが求められます。理由が曖昧であったり、相手の印象を良くしようとする意図が透けて見えたりすると、社会貢献を就活の軸とする意味がなくなってしまいます。
「地域活動への参加を通じて、周囲に与えるポジティブな影響を実感した」など具体的なエピソードを踏まえて、なぜ自分が社会貢献を重要視しているのかを説明すると説得力が増します。背景をしっかりと伝え、軸の一貫性を評価されやすいようにしましょう。
具体的な自分の原体験を述べる
自分の原体験を具体的に述べることも重要です。原体験とは「自分の価値観や考え方に強く影響を与えた過去の出来事」であり、それを軸にしたストーリーは面接官に深い印象を残すものです。
ただ「社会貢献がしたい」と主張するだけでは薄っぺらい印象になりやすいため、自分がその考えに至ったきっかけを言葉にする必要があります。
ボランティア活動や地域貢献の経験、家族や知人の影響など、自分の価値観を形成した背景があるはずです。これを具体的に語ることで、社会貢献を軸とする理由に説得力を持たせることができます。
また、原体験を通じて学んだことや感じたことを明確に伝えることで、面接官はあなたの人間性や価値観を深く理解できるでしょう。
どんな社会貢献がしたいのかを具体的に伝える
社会貢献を就活の軸に据える際には、どのような社会貢献をしたいのかを具体的に伝えることが求められます。
全ての企業は何らかの形で社会に価値を提供しているため、社会貢献がしたいとだけ述べるとどの企業にも当てはまる浅い印象を与えてしまいます。
したがって、自分の目指す社会貢献の方向性を明確にして具体的なビジョンを伝えることが必要です。「地域社会の活性化に貢献したい」「環境問題の解決に取り組みたい」など自分の目標を具体化し、それがどのように実現可能であるかを示すと説得力が増します。
この際、自分の原体験や価値観と結びつけることで、個人的なストーリーとしてより伝わりやすくなることでしょう。
就活の軸のクオリティをさらに高めたいと考えている方や、就活の軸についてより深く知ってから取り組みたいと考えている方は以下の記事を参考にしてみてください。
社会貢献と企業の事業を結び付ける
社会貢献を就活の軸とするには、その内容と企業との結び付きを見つけることが大切です。
一口に「社会貢献」と言っても、内容が抽象的になりすぎてしまったり、どの企業にも当てはまってしまったり、就活の的を射ていないものになってしまったりしてしまいます。
それらを防ぐためには、社会貢献の内容を具体化し、企業がどんなものを求めているのか、どんな取り組みで社会貢献を行っているのか結び付きを考えることが大切です。
それらが見えてくれば、内容が具体的になり、ビジョンや想いがはっきりして、企業への熱意も伝わりやすくなります。
就活の軸を社会貢献にするには、このポイントに注意して、その内容をこれから受ける先の企業の特色や取り組みとリンクさせ、自分がどのように貢献できるかをよく考えましょう。
社会貢献を就活の軸にする際の注意点
社会貢献というテーマを就職活動の軸にする場合は、いくつかの注意点があります。
注意すべきポイントは「抽象的すぎること」「どの会社にも当てはまってしまうこと」、「社会貢献が企業の最終的な目的ではないということ」の3つです。
これらのポイントに当てはまって、面接官に悪い印象を与えないよう、事前にしっかりと社会貢献について考えておきましょう。
以下でそれぞれくわしく説明していきますので、社会貢献を軸にしようと考えている方はチェックしてみてください。
社会貢献と会社の利益を結びつける
社会貢献と会社の利益は必ず結びつけて説明しなければなりません。
「私は貴社で社会貢献をしたいです。」に終始する話だと「この人がやりたいことは社会貢献だけなのか?うちには貢献してくれないのか?」と思われてしまいます。
当然ながら、企業は社会貢献を第一優先しているわけではありません。
社会貢献が最優先ならば、もはやそれは「企業」ではなく「NPO」ですし、最も重要なのは「利益を生み出して、社員の生活を担保すること」です。
したがって、ただ社会貢献をしたいと述べて終わるのではなく、自分が社会貢献をすることは会社の利益にどのように結びついているのかについて説明する必要があります。
例えば、その企業がSDGsを掲げているならば「その取り組みに貢献することで企業のイメージを良くし、売上を伸ばす」といったように、社会貢献と会社の利益を両立した回答を用意する必要があります。
「100%、社会貢献だけについてしか触れていない回答」は内定を遠ざけることでしょう。
浅く思われないようにする
「社会貢献」という言葉は非常に意味が広く、そして抽象的すぎるため、そのまま使うと浅はかな印象を与える危険があります。
具体的なエピソードや理由をもとに深く掘り下げることを心がけましょう。
社会貢献を軸にするのであれば、どのような経験がその考え方に影響を与えたのかを明らかにし、それが自分にとってどれだけ重要な価値観なのかを明確に伝えることが大切です。
「大学時代に地域のゴミ拾いに参加した結果、地域社会への関心が深まった」といったエピソードを用いると仮定すると、その活動を通じて具体的に何を感じ、どのように自分の考え方が変わったのかを説明することが求められます。
また、活動の結果として自分が得たもの、そこからどのような行動につなげたのかを話すことで、エピソードに深みを持たせることも大切です。
社会貢献だけがやりたいと思われないようにする
先ほど話した部分と少し重なる部分もありますが「社会貢献だけをやりたい」と思われてしまうような回答は絶対に避けてください。
企業は利益を追求する組織であり、社会貢献はその中の一部分に過ぎません。
社会貢献だけを目的にする姿勢を見せると「この人は会社の利益への貢献が期待できない」と思われてしまう可能性があります。
当然ながら、会社の利益に貢献しないと思われてしまうと内定の確率が遠ざかってしまうため、社会貢献が企業の利益や業績にどう結びつくのかを説明することが大切です。
「環境問題に取り組む製品の開発を通じて、企業の市場価値を高める」といった目標を示すことで、社会貢献と企業の利益が両立する姿勢を示しましょう。
このように、社会貢献の目標を企業の成長と関連付けることで、実現可能性の高いビジョンとして伝えることができるのです。
企業研究を綿密に行う
企業研究は必ず、綿密に行うようにしましょう。
社会貢献という言葉自体が非常に幅広い意味を持つため、企業と自分の考え方が一致しない場合、ミスマッチが生じてしまう可能性があります。
したがって、自分が目指す社会貢献が志望企業のビジョンや事業内容と合致しているかを確認することが重要です。
環境保護に関心があるならば、その企業がどのような取り組みを行っているかを調べることで、自分の考えと企業の方向性を一致させられます。
また、企業の活動に関連付けて自分がどのように貢献できるかを具体的に説明することで、より共感を得られやすくなるでしょう。
「貴社のリサイクル事業を通じて環境の負荷を軽減し、より持続可能な社会の実現に貢献したい」といった形で、自分の目標を企業の活動に結びつけることが重要です。
社会貢献を就活の軸にする際の例文5選
例文①「発展途上国での教育支援がしたい」
貴社を志望する理由は、発展途上国での教育支援を実現できる環境が整っていると感じたためです。
貴社は発展途上国の子どもたちへの教育支援プロジェクトを数多く手がけており「教育を通じて未来を作る」という理念に深く共感しました。
私は大学では国際教育支援サークルに所属し、オンラインで英語教育を提供する活動に携わってきました。
その中で現地の子どもたちが教育を受けることで未来に希望を持つ姿に感動し、自分の人生をかけて教育格差に取り組みたいと考えるようになりました。
また、貴社のプロジェクトに参加する現地スタッフの声を読み、貴社の現場主義的な姿勢に共感を覚えました。
入社後は現地の教育支援プロジェクトに直接関わり、現場のニーズをしっかりと把握しながら、より効果的な教育プログラムの企画や運営に携わる所存です。
例文②「環境問題の解決に取り組みたい」
貴社を志望する理由は、環境問題の解決に向けた革新的な取り組みを行っているからです。
貴社は再生可能エネルギー分野における技術開発で先駆的な存在であり、その姿勢に深く共感しています。
私は大学のゼミでエネルギー資源の持続可能な活用について研究し、太陽光発電システムの導入計画を地域に提案した経験もあります。
その過程で技術だけでなく、地域住民の理解や協力が不可欠であることも痛感しました。
貴社では技術革新とともに、地域や社会全体の影響も重視して事業を展開していると伺い、まさに働きたい環境であると考えました。
入社後は貴社の環境技術をさらに発展させる一助となるべく、研究開発や事業計画に積極的に携わる所存です。
例文③「高齢者や障害者がよりよい生活を送れるようサポートしたい」
貴社を志望する理由は、高齢者や障害者がより良い生活を送れるためのサポートが可能だと考えたからです。
貴社は高齢者福祉やバリアフリー関連製品の開発において圧倒的なシェアを誇り、多様なニーズに応える姿勢に感銘を受けました。
私は大学時代、地域の福祉施設でボランティア活動を行い、高齢者や障害を持つ方々の日常生活を支える体験をしました。
その中で生活を改善するためのツールや環境がいかに重要であるかを実感し、技術の力で社会を変えたいと考えるようになりました。
貴社の製品は多くの人々を豊かにしており、私もその一端を担いたいと強く感じています。
入社後は現場のニーズを吸い上げながら、利用者にとってより親しみやすい製品開発に携わる所存です。
例文④「地域住民の健康維持や病気予防に貢献したい」
貴社を志望する理由は、地域住民の健康維持や病気予防に貢献するビジョンに共感したからです。
貴社は健康食品や医薬品の開発を通じて地域社会の健康向上に寄与しており、その事業内容に魅力を感じました。
私は大学で栄養学を専攻し、ゼミでは地域住民の栄養改善プロジェクトに参加しました。
地域の食習慣や健康意識に合わせた栄養指導を行った結果「子どもが風邪をひきにくくなった」と多くのご家庭から感謝されました。
この経験を通じて、地域密着型の取り組みが人々の生活にどれほどの影響を与えるかを学びました。
貴社の取り組みは製品を提供するだけでなく、地域住民との信頼関係を築きながら健康意識を高める点で非常に魅力的です。
入社後は地域住民との対話を通じて新たな課題を発見し、それを元にした商品開発やサービス提供を進めることで貢献する所存です。
例文⑤「被災地の復興支援がしたい」
貴社を志望する理由は、被災地の復興支援において素晴らしい成果を上げている点に共感したからです。
貴社は災害後のインフラ整備や地域再建プロジェクトに積極的に取り組んでおり、社会貢献の姿勢が明確であることに強く惹かれました。
私は大学時代、ボランティア団体に所属し、被災地での物資運搬や仮設住宅の清掃などを行った経験もあります。
その中で被災者の方々と直接ふれあい、生活再建の難しさや精神的な負担を肌で感じました。
復興支援には短期的な補助だけでなく、長期的な視点での地域社会の再建が重要であると考えています。
貴社の復興プロジェクトではインフラ提供にとどまらず、地域住民の生活再建やコミュニティの復活を重視している点が、私の価値観とまさに一致しています。
入社後は被災地の現場に積極的に携わりながら、地域の課題を把握し、その解決に向けた具体的な提案を行うことで貢献していきたいと考えています。
まとめ
今回は、就職活動において社会貢献というテーマを軸にしても良いのかについてご紹介いたしました。
社会貢献を就活の軸に定め、内容を抽象的にしまうと、印象が薄れてしまい、良い印象を与えられないのが現実です。
しかし、きちんとポイントを押さえて企業との結び付きをうまく理解できれば、上手にアピールすることも可能となります。
もし就活の軸を社会貢献にするのであれば、事前にこれらの点をよく確認し、内容を充実したものにできるよう、しっかりと準備をしてください。
就活の軸についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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