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はじめに
転職活動の際、どんな書類であっても必ずどこかに志望動機や志望理由などといった、その会社に応募するための理由や応募した動機を書く欄が設定されています。
ここを空欄で出すのは選考にも大きなマイナスになることが多く、まず書かないという選択肢はありません。
とはいえ、こういう書き方をすればいいという書き方はいくつかあり、実際にはそう難しいことではありません。
ここでは大まかな書き方と書くべきポイント、逆に書いてはいけないことなどを紹介しましょう。
【転職の志望動機の書き方】受かる志望動機の構成
実は志望動機の書き方についてはある程度流れがあります。
最初に、志望する理由を的確にしましょう。
次に、その動機に関連するエピソードをつけて志望動機の理由の補完をし、さらにその会社ではないといけない理由を書いてください。
最後に、入社後に自分がどう活躍するのかを述べて締めます。
この流れはある意味王道の書き方なので、基本的な書き方や内容の順番として、まずこの書き方をやってみましょう。
慣れてくれば少々の変形は構いませんが、基本はこの書き方です。
志望する理由を最初に述べる
最初に明確に「志望する理由」を書きましょう。
これはどういうことかと言うと、そもそもどうしてこの会社に入りたいのか、なぜうちなのかということを企業側も知りたいわけです。
このため、最初にどういう理由でその会社を志望するのかを明確にしておきたいところでしょう。
具体的には「自分の経験を活かせると思い、志望しました」とか「母が怪我をした際、病院の介助の方にたくさん手助けしていただいたので、病院の仕事に興味が湧きました」というようなものです。
とくにこの部分は長くなりがちですが、できるだけ長くなく、ざっくりとどういう理由なのかを伝える一文で構いません。
後で説明したりエピソードを追加したりできますので、あまり長くならないように注意しましょう。
志望動機と関連するエピソードで理由の補完をする
次に、志望動機と関連するエピソードを書きましょう。
これがあると、志望動機の理由が口先だけの理由ではなく、より理由を明確にし、その志望動機に論拠や根拠、あるいは明確な説得力が産まれるでしょう。
基本的にこの部分が強固だったり具体的であったりすればあるほど良く、逆にこの部分があやふやであればあるほど採用される可能性は少ないでしょう。
たとえば「在学中に資格を取りましたが、卒業時にはこの方面に進むことは叶いませんでした。ですがその後も自分なりに学習や研究を続け、腕を磨いたので経験を活かせる企業を求めていました」とか「母の骨折で入院した際、自分ではよくわからない体位交換や介助の負担について相談していただき、この仕事に感銘を受けて応募しました」というようなものです。
その会社でなくてはいけない理由を書く
また、その会社ではなくてはならない理由もきちんと書いてください。
というのもほかの会社ではなくどうしてうちの会社に、というのはどの会社も気になるところなので、他の会社にはない個性を書いたり、自分なりの言葉でその意図を伝えたりしましょう。
たとえば「御社では技術力やそれを裏打ちする資格があれば、キャリアがなくても活躍できると書かれていました」とか「私は類似する仕事に経験がありますが、今回はとくに少し違う仕事となりますので、教育がしっかりしており、なおかつ法律や公的補助についても詳しいこちらの会社を志望しました」というような内容です。
少なくともよそにはないその会社の個性に触れることや、より良さそうと思う点を書き出しましょう。
入社後、どう活躍するのか述べる
最後に、その会社でどうやって活躍するつもりなのか、その会社でどうやって役に立つと思っているのかを書いて、締めの文章とします。
具体的には「学習してきた経験を活かすことと、取得した資格を活かすことで企業に貢献し、将来的に中核となるビジネスをもっと大きく育てたいと思っています」とか「将来的に介護の資格や福祉にまつわる資格を取り、経験を積んで、さまざまな人のお役に立ち現場で活躍できるような人になりたいと思っています」というような文章です。
少なくとも自分の強みや経験を活かしてどうなりたいか、ということを将来的に明確に伝えられるようにしましょう。
そうすることで面接官にも自分の将来をイメージさせやすく、なおかつ採用してもらう確率を上げます。
【転職の志望動機の書き方】志望動機を書く際の5つのポイント
ここまで、ざっくりと志望動機の構成や書く流れについて紹介しました。
ただ、この順番を守ることは当然なのですが、それ以外にも気をつけるポイントがいくつかあります。
ここでは5つのポイントを紹介しますので、できるだけこれらの要素を盛り込んで書いてみてください。
なお、このポイントを守った方が採用される確率は格段に上がりますが、どうしても入れると不自然になったりおかしくなったりする場合は無理に入れる必要はありません。
ただし、できるだけ入れるようにしてください。
企業の求める人物を理解する
まず、その企業が求める人材はどういう人材なのか、という点は最低限理解しておいてください。
というのも基本的にどの企業も、こういう人材がほしいのだということを考えた上で人材募集をかけています。
とくに会社の風土や採用したい人の人柄によって、募集するメディアや求人サイトを使い分けている企業も多くなっていますので、どういう人がほしいのかを考えた上で応募しましょう。
実はここが明確ではないと、落とされる可能性も高くなります。
実は募集をかける段階ではあまり表立って表明できませんが、年齢や性別、キャリアなどについてもある程度絞り込んで募集しているケースもありますので、その条件に自分が会うのなら、その条件をアピールするのも方法です。
企業だけでなく業界、業種も踏まえて考える
次に、企業ではなく、さらに業種や職種も踏まえて考えましょう。
一般的に企業のほしい人柄というだけではなく、業種や職種などによっても求める人材の内容やほしいスキルには違いがあります。
たとえば看護の資格を持っている人なら医療や介護業界では採用されやすいかもしれませんが、それ以外の業界では看護の資格を持っていることはあまり売りにはなりにくいでしょう。
むしろ「丁寧な仕事をします」とか「細やかな仕事ができます」という方がアピールにつながるかもしれません。
業種や職種ごとに求められるカラーや意味を理解し、その上で自分がどうなりたいか、どうありたいかを考えてアピールできるようにしましょう。
少なくとも業界がどういう業界なのかの理解をアピールできるほどの知識は必要です。
自分の能力やスキルのアピールも盛り込む
その一方で、自分の能力やスキルのアピールも盛り込んでください。
これは自分に何ができるということで、どういう経験をしてきたのか、どういう資格を持っているのか、などがその主流になります。
基本的に転職の際には、職歴や経験を重視する傾向が見られますので、職歴や経験があることは十分なアピールポイントとなるでしょう。
また、資格も経験が薄い場合はプラスになり、また難易度の高い資格ならば未経験者でも採用される可能性はあります。
これらがなくても、性格特性や過去に褒められたことが仕事とプラスに関わる場合、志望動機に盛り込める場合もあります。
たとえば細かい作業が発生する仕事の場合は手先が器用なこと、力仕事がある仕事の場合は力持ちだということなどがアピールできるといいでしょう。
伝えたい内容を1つに絞る
また、伝えたい内容はできるだけ1つに絞ってください。
というのも、いくつものエピソードを羅列したり、いくつものアピールポイントがあったりしたとしてもその内容を書くのはよくありません。
文章が長くなりがちで読みにくくなり、読んでいる人にあまりいい印象を与えません。
また、取っ散らかった印象になり、ゴチャゴチャした人間だと思われる可能性も高くなります。
もし職歴と性格面をアピールしたいのなら、できれば職歴は職務経歴書などでもアピールして、性格面を中心にしましょう。
エピソードが複数ある場合でも、どれか1つだけを書くのが基本です。
複数書くとやはりゴチャゴチャしてしまいますので、できるだけ1つのポイントにまとめて簡潔に説明してください。
入社後、どんなことで貢献していくかを過去の実績をベースに書く
最後に、入社後にどんなことで貢献していきたいかを伝え、締めとしましょう。
これはよくある「入社した際には、こういうことをしていきたいです」というような内容です。
ただし一歩進んで、どうやって会社に貢献できるか、どうやって企業の成長や経営にプラスになるか、ということまで伝える方がいいでしょう。
このときのポイントは、過去の実績をベースにして書くことです。
よくあるのが「これまでの経験を活かしてこう活躍したい」というものですが、経験がなくても資格があれば「資格で得た知識や技術を活かしてこう活躍したい」と書き、それ以外の場合でも「こういう特性があるのでこうやって活躍したい・御社に貢献したい」と伝えるようにしましょう。
【転職の志望動機の書き方】志望動機を書く際の3つNGポイント
これまで、志望動機の文章構成や入れ込むべきポイントについて紹介してきました。
これである程度文章は作れたかもしれませんが、実は入れてはいけない文章やNGなアピールポイントがいくつかあります。
ここでは、入れてしまうと逆にイメージが悪くなるNGポイントを紹介しましょう。
採用されたいなら、これらのポイントは極力志望動機の文章そのものから排除しておきましょう。
自分にとってより良い志望動機になるように確認しておきたいところです。
「企業理念に共感した」は根拠がないとNG
まず、よく聞く言葉でNGなのは「企業理念に共感した」というものです。
これの何がまずいのかと言うと、企業理念に共感したというだけでは「具体的にどこに共感したの?」と思ってしまいます。
また、どういう企業理念なのか理解していない場合、その企業理念とズレた志望動機になりやすくなります。
具体的にどこに共感したとか、企業理念のどこに共感した、具体的にはどういう風に共感したのか、ということを書く必要があります。
たとえば「言葉を大事にする企業という企業理念に共感しました」というよりも「言葉を大事にするという企業理念に共感し、また御社の出版物や社長の著作はどれも言葉がやさしく文体が明るいので、校正の技能が伸びそう思い志望しました」というようなものです。
サービスを利用していたからはNG
次によくあるのが「サービスを利用していたから」というものです。
サービス利用者であることをアピールする場合は悪いことではありませんが、ただ利用者であるというだけでは何が良かったのでどう転職して活かしたいか、ということがわかりません。
このため、ただ「サービス利用者です、御社を志望します」ではなく「サービスを利用してサービスの快適さや細部までユーザーライクな仕様が気に入り、御社のユーザーサポートやユーザー第一主義を肌で感じることができました。サポートデスクの運営で得た経験を活かし、御社のサポートをより丁寧でスピード感あふれる、ユーザーライクなものにしていきたいと思っています」というように、しっかり自分の考えをアピールしましょう。
学びたいなど自分主体の志望動機はNG
最後に、学習したい・学びたい・スキルを身につけたい、というのはよく聞く言葉ですが、実はこれもNGです。
学ぶのは技術向上やスキルアップのために大事なことではありますが、成長は自分で行うもので、企業の教育システム頼りでばかりいると、まず成長することはありません。
とくに企業が未経験者歓迎だったり、教育システムをアピールした求人を出したりしていると、こういった志望者が増え、あまり魅力を感じなくなってしまいます。
このため、基本的には「経験を活かしたい」ということを絡めましょう。
たとえば「これまでインターネットのサポートをやってきましたが、より技術的な仕事がしたいと思い御社を志望しました。
御社の教育システムやOJTで学習し、その上でエンジニアとして中核を担える人材になりたいと思っています」というようなものです。
【転職の志望動機の書き方】業界別!志望動機例
それでは、志望動機の文章をいくつか紹介していきましょう。
実際には多くの書き方がありますが、ここでは新卒向け、第二新卒向け、既卒である程度経験がある人向けの文章を紹介していきます。
なお、ここに書いたのはあくまでも例文です。
これらを元に自分らしい文章を考え、なおかつエピソードに具体性を持たせることによって、転職活動により有利になる採用文章がいくつか作ってみてください。
まずは試しに書いてみることもオススメです。
未経験職への転職の志望動機例
『私が御社の営業職を志望する理由は、御社のサポートまで含めた営業活動が魅力的だと感じたからです。
小さい頃から御社の製品のファンで、いろいろな製品を食べてきました。
素朴な味わいとやさしい可愛らしいパッケージに親しみを感じており、御社の営業スタイルにもそのパッケージのようなやさしさを感じたことがきっかけです。
また、これまでやってきた事務職でのサポート業務ではさまざまな企画実行のためのサポート業務を中心にしてきました。
継続的な小売店様へのサポートを統括的に任せていただける店や、販売促進も含めた活動を行うと知り、永続的に関係づくりができそうなことや継続していろいろな提案ができることが魅力的だと感じて、御社を志望しました」
第二新卒での転職の志望動機例
「私は過去に営業事務で2年働いてきました。
今回御社を志望したのは、社会人として基本的なスキルを身につけ、なおかつサポートやバックオフィス業務を経験した今、あらためてよその会社で働いてみたいと思うようになり、とくにBtoCで興味のある分野であるインターネットサービス業界で働いてみたいと思いました。
御社であれば教育システムが充実している上にさまざまな経験を積めることと、これから発展しそうなインターネット業界でさまざまなポジションを経験できるという職種でしたので、できるだけお役に立てるように基本情報技術者の資格を取得し、基本的な知識を身につけた上で、あらためてさまざまな現場を体験できるようなマルチエンジニアの職種を志望しました」
同業他社への転職の志望動機例
「マッサージ師として10年ほど働いてきました。
これまでの仕事はお客様への施術と商品の案内でしたが、近年になって美容ケアやコルギ、スキンケアなどに需要が高まってきたため、美容に関する業界に転職したいと思い、貴社を志望しました。
基本的に私はこれまでお客様に快適に過ごしていただくことを第一に考えていましたが、徐々に店舗運営などにも興味が湧いてきました。
ただ、今の店舗ではマッサージのみ、とくに健康方面にアプローチするようになってきましたので、今の店舗とのズレを感じて転職活動を行っております。
こちらならマッサージに美容やケアのアプローチをしていることや、女性のお客様が多いので、これまでの健康や内側からのケアに関するマッサージを行い、将来的には店舗経営にも関わりたいと思っています」
【転職の志望動機の書き方】完成した志望動機をチェックする際のポイント
さて、ここまでである程度志望動機の文章が思いついた人もいるかもしれません。
実際に書き出した人もいるでしょう。
これはとてもいいことなのですが、必ず一度は見返してみましょう。
志望動機をチェックしてみるのです。
また、いきなり履歴書やエントリーシートに書くのではなく、まずはパソコンやスマートフォンなどに書いてみて修正点をチェックして修正を加え、いいと思ったらそれを実際の書類に書くようにすると、書き直しや書き損じのミスがなくなります。
求める人物と自分の志望動機に関連性があるか
まず、企業が求める人物と自分の志望動機を見比べて、あらためて志望動機にその人物像が見いだせるか、考えてみましょう。
たとえばサポートスタッフがほしいのに積極的にアピールできる積極性を打ち出すとミスマッチで、この場合はとくに丁寧な対応やスピーディな対応ができることを表に出す方が良いでしょう。
また、企業が求める人物がわからない場合は、一般的にこの仕事はどういう人が求められているのか、ということから考えてもいいでしょう。
経理の仕事の人間が数字に弱いのは良くないでしょうし、総務の仕事をしたい人が人間嫌いだとやはり業務に支障が出やすいので、経理の仕事なら細かく数字に強い点、総務の仕事なら人と関わるのが好きで企業運営に貢献したい点などを出してください。
志望動機の中に根拠となる具体的なエピソードが入っているか
次に、志望動機の中に根拠となるような具体的なエピソードがあるかどうかです。
根拠となるようなエピソードがあると、それだけで格段に説得力が高まります。
たとえば何が問題だったのかということや、御社に魅力を感じたポイント、転職をしたいと思った理由などは、具体的なエピソードが必要です。
とくに転職の場合は一体どこに不満があって転職するのかが明確で、御社ではどういう活躍を期待するか、ということを明確にするだけで、格段に説得力が増します。
たとえば「前の会社ではできなかったスタイルがこの会社ではできる」「前の会社ではできなかったことがこの会社ではできる」というようなもので、基本的に足りない部分を補ったり、今の会社の残念な点をこの会社なら実行できる、という流れで書いたりするといいでしょう。
アピール内容は1つに絞れているか
また、文章中にアピール内容は1つにまとめてください。
というのも、何が不満でこの会社に魅力を感じた、というストーリーを書く際に、エピソードが多くなると読みにくくなるのです。
また、脱線しやすくストーリーがゴチャゴチャしてしまう上に、単純に文字数が増えて読みにくくなってしまいます。
いくつか魅力的に感じるポイントもあるかもしれませんが、基本的に文章中にアピールするポイントは1つにまとめて、できるだけすっきりした文章にするようにしましょう。
志望動機欄は提出書類の中でも大きな面積を持ってはいますが、長い文章をたくさん書けるほどの面積ではありません。
できるだけ文章中はすっきりしておき、アピール内容は1つにまとめるようにしましょう。
誤字脱字や余白のチェック
最後に、誤字脱字や空白などのチェックは忘れないようにしてください。
よく誤解されやすいのですが、提出する書類はどれも正式な書類なので、その書類にミスや瑕疵があるとそれだけでそそっかしいとかうっかりしていると取られ、あまり良い印象は与えません。
とくに経歴の数字は重要で、大学の入学年や卒業年、働いた年数などは間違いがないようにしましょう。
同時に、空白なども気をつけてください。
基本的に文章の書き出しの一字下げなどは必要ではありませんが、あるといいでしょう。
ただしインターネット上では書き出しの一字下げなどはしないのが基本です。
また、不要なところに不要な空白があるのは好ましくありませんが、必要以上に空欄を埋めようとして長々と書くのも好ましくありません。
まとめ
近年では、転職活動の際に履歴書をパソコンで作る人もいたり、エントリーをインターネット上で行ったりし、履歴書は提出しない企業も出てきています。
ただし、その一方でどのような場面でも志望動機は聞かれますので、必ず準備しておきましょう。
なお、ここで書いたことは面接のときにも聞かれる可能性がかなり高いので、さらに補いたいことや面接時に話したいことと履歴書に書くべきことは明確に分けておきましょう。
口頭で説明した方が早い場合でも、できるだけ内容は簡潔に書くようにしておきたいところです。
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