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はじめに
転職理由を聞かれてうまく答えることができなかったという経験をした人も多いと思います。
以前の職場の悪口ばっかり並べてしまう人もいますが、それではかえって印象を悪くしてしまいますので気をつけましょう。
ここでは転職理由を伝えるときに抑えておきたいポイントとして、転職理由を前向きに変換する方法について紹介します。
転職面接では「なぜ転職しようと思ったのですか?」と必ず転職理由を尋ねられますので、ポイントを理解して面接官に納得してもらえるような転職理由をあらかじめ考えておきましょう。
転職理由を前向きに変換する3ステップ
転職活動を行っている人の中には「退職理由」と「転職理由」を混同してしまっているケースが多く見られます。
退職理由というのは前の職場を辞めた理由でありネガティブな要素を若干含みますが、転職理由は「転職先でどのような仕事をしたいのか」、「経験やスキルを活かしてどんな貢献ができるのか」を伝えるものですからポジティブでなければいけません。
そこで必要なのが、ネガティブな要素をポジティブな言葉に変換するという作業です。
ここではその方法について3つのステップに分けてくわしく解説します。
ステップ①:現状の不満を洗い出す
転職理由を前向きに変換する最初のステップは退職理由、つまり「現在、職場でどのような不満を抱えているのか」を明確にすることです。
この段階ではネガティブな理由でもまったくかまいませんので、転職活動を始めるキッカケになった出来事などを思い返して、書き出してみましょう。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
・「毎日のように長時間の残業があり家族と過ごす時間や趣味に費やす時間がまったく取れない」
・「営業のノルマが厳しすぎてノルマを達成できないと他の社員の前で叱責される」
・「上司と意見が合わないため事あるごとに衝突してしまう」
・「先輩の社員よりも成果を上げているにも関わらず給料や昇進にまったく反映されないのでやる気ができない」
面接などで転職理由をうまく伝えることのできない人は、このステップ1の段階で思考がストップしてしまうケースがほとんどです。
その結果、転職理由をネガティブなまま伝えることになってしまうので、選考で落とされてしまうのです。
ステップ②:その不満が解消されたらどうなるかを考える
転職理由をポジティブに変換する2つ目のステップは「現在抱えている不満を解消することで、どのような変化が生じるか」について考えることです。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
・「毎日のように長時間の残業があり家族と過ごす時間や趣味に費やす時間がまったく取れない」→「残業時間が減って資格を取得するための時間やプライベートな時間が増える」
・「営業のノルマが厳しすぎてノルマを達成できないと他の社員の前で叱責される」→「一人ひとりの顧客と向き合う時間が増えて、心のこもった対応ができる」
・「上司と意見が合わないため事あるごとに衝突してしまう」→「信頼のできる上司と理解をしあって仕事をすることでチームワークを発揮することができる」
・「先輩の社員よりも成果を上げているにも関わらず給料や昇進にまったく反映されないのでやる気ができない」→「成果に応じた報酬がもらえることで仕事にやる気が生まれる」
このように変換するだけで転職理由が一転してポジティブになることがわかるでしょう。
ステップ③:不満が解消されたらどんな働き方がしたいかを考える
転職理由をポジティブに伝えるには、「不満が解消されることで転職先の会社にどのような働き方ができるか」を説明することも大切です。
応募先の企業で実現したいことを伝えることで、より前向きな姿勢をアピールできます。
・「毎日のように長時間の残業があり家族と過ごす時間や趣味に費やす時間がまったく取れない」→「残業時間が減って資格を取得するための時間やプライベートな時間が増える」→「取得した資格を活かしてより専門的な分野にも挑戦していきたい」
・「上司と意見が合わないため事あるごとに衝突してしまう」→「信頼のできる上司と理解をしあって仕事をすることでチームワークを発揮することができる」→「チーム全体で力を合わせることで、これまでよりもスケールの大きな仕事に取り組んでいきたい」
このようにステップ1・2・3と段階を踏んで考えることで、退職理由と転職理由に一貫性が出るため、採用担当者に対して「以前の職場での不満を解消することで、自社に入社したら活躍してくれるだろう」と思ってもらえるでしょう。
転職理由を前向きに言い換えた7つの例
ここでは、多くの人が転職の理由として挙げる事柄について「どのようしたらポジティブに変換することができるのか」ということを具体的な例を用いて紹介します。
「転職理由をどうやって前向きなものに変換したら良いのかわからない」「どうしても後ろ向きな理由になってしまう」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
ネガティブな事実を並べるよりもずっと印象が良くなるので、選考をクリアする可能性もぐっと高くなるでしょう。
社内の人間関係が嫌だ
「以前の職場では社員同士の人間関係がギスギスしていていたので、アットホームな社風の御社で働きたいと思い転職を希望しました」といったように、社内の人間関係を転職理由に挙げる人は少なくありません。
しかし、人間関係を転職理由とするのは本来あまり良いことではありません。
転職理由として書いて良いのは、転職することで以前の職場で抱えていた不満が解消できるものに限定するべきだからです。
人間関係の問題はどんな職場にも少なからずあるものです。
たとえ転職に成功しても、その後ずっと円満な人間関係が続くとは限りません。
採用担当者からすると「入社しても人間関係が悪くなったらまたすぐに転職してしまうのではないか」と思われてしまいます。
どうしても人間関係を転職理由とするならば、「自分たちのような若手の意見も反映してもらえる環境で良好なチームワークを築きながら仕事に取り組みたい」というようにすると前向きなものになるでしょう。
社長についていけない
会社の経営のあり方に不満を感じたことが転職のキッカケになったという人も多くいます。
会社の経営方針に納得がいかなかったり、社長が自分勝手で何でも自分一人で決めてしまったりするなどが退職の理由となったときは、転職理由をどのように伝えるのが良いのでしょうか。
「トップの考え方がワンマンでこれ以上ついていけない」ということを転職理由にするときは、トップを貶めるような表現を用いるのはNGです。
ここで使われている「ワンマン」という言葉も避けた方が無難でしょう。
たとえば「年齢や実績に寒霞渓なく、若者の意見も積極的にくみ上げる社長の考え方に共感して、この人の下で働きたいと思いました」とすると、以前の職場の社長を批判するようなネガティブな要素がなくなります。
また、「将来海外で仕事をしたいと思っているので、海外事業に対して積極的な姿勢を持つ御社への転職を希望しました」と将来の働き方に言及することで前向きな姿勢をアピールできるでしょう。
ノルマがきつい
とくに営業職では「ノルマがきつい」ということを転職の理由にする人が多く見られます。
たしかに、あまりにもきついノルマは転職理由としては十分説得力があります。
しかし、営業職であればどの職場にも多かれ少なかれノルマはありますので、単に「ノルマがきつかったから」という転職理由では「自分の営業成績が悪いことを隠すための言い訳ではないか」「ノルマを達成したいという気持ちが足りなかったのではないか」と思われてしまいます。
ノルマがきついことを転職理由として伝えるときは、転職先でどのようなスタイルの営業をしたいのかを伝えることが重要です。
たとえば「数字ばかりを気にするのではなく、お客様とじっくりと向き合って営業がしたい」、「お客様と信頼関係を構築することで、一時的ではなく末永く取引してもらえるような関係を目指したい」といったようにポジティブな内容に変換するようにすると、採用担当者に良い印象を与えられるでしょう。
残業が多い
近年は働き方改革が声高に叫ばれていることからもわかるように、日本の多くの企業ではサービス残業が当たり前のように行われていますし、過労死の問題がニュースなどで取り上げられることも珍しくありません。
一般的に1ヶ月80時間を超えるような残業は過労死につながるリスクが高く、残業時間が多いことを転職理由とするのは当然のことでしょう。
残業時間の多さを転職理由とする場合は、単純に「サービス残業が多くてプライベートな時間が取れない」といった伝え方は避けるようにしましょう。
これだと採用担当者は「うちの会社でも残業はあるのに大丈夫かな」「残業をお願いしたらすぐに辞めてしまうのではないか」と不安を持たれてしまうからです。
残業の多さを伝えるときも不満を伝えるのではなく「どのような働き方をしたいか」というポジティブな内容に言い換えることが大切です。
「効率的な職場メリハリのある働き方をしたい」といったように伝えると、前向きな姿勢を理解してもらえるでしょう。
通勤が大変
通勤時間が長いことを転職理由にして良いのか悩んでいる人もいるのではないかと思います。
「通勤が大変なので転職したい」なんて言ってしまうと「通勤時間が長いことは最初からわかっていたのだから、単に仕事を辞めるための言い訳なのではないか」「仕事に対する熱意や忍耐力がなさそうだからすぐに仕事を辞めてしまうのではないか」と思われてしまいそうで不安だという気持ちは理解できます。
結論を言ってしまえば、通勤時間が長いことは転職理由としては妥当です。
しかし、それをそのまま伝えるのは避けた方が良いでしょう。
「通勤に2時間近くかかるので毎朝早起きしなければならない。
もっとゆっくりしたいから転職したい」と伝えたら、上記のような印象を持たれてしまいます。
たとえば「これまで通勤に費やしていた時間を仕事に充てることで、お客様に接する時間を増やしたい」、あるいは「短くなった通勤時間を利用して資格を取ってスキルを磨きたい」といったように伝えれば、仕事に対して前向きな姿勢をアピールできます。
商品の質が低い
営業職では自分の会社の扱う商品やサービスが同業他社と比べて品質的に劣っていることが転職理由になることももあります。
自分の営業力が低いことで商品やサービスが売れないのであれば責任は自分にあると納得もできますが、元々自社の商品やサービスの品質が劣っていたり他社と比べて価格が高かったりするのであれば、どんなに頑張っても売上を伸ばすことは難しくなってしまいます。
このときも「自社の商品の品質が低くてなかなか売上につながらないので転職を希望しました」と、そのまま言ってしまうのはNGです。
これでは「自分に営業能力がないことを商品の品質のせいにしている」と取られてしまう可能性があるからです。
前向きな転職理由に転換するならば「御社の商品は品質が高いのでプライドを持って仕事に打ち込める」、「自信を持って商品をお客様に提供することで信頼関係を築き、営業としてのスキルを磨きたい」といったように伝えるのが良いでしょう。
給料が低い
転職理由として一番多いのは「給料が低いので、もっと給料の良い会社で働きたい」というものです。
給料が低いことは退職理由としては妥当なものですが、転職理由として「給料が安かったので転職を希望しました」と説明することには注意が必要です。
そのままでは「この人はお金のことしか考えていないのではないか」と良くない印象を持たれかねませんし、「他に給料の良い会社が見つかったら、またすぐに辞めてしまうのではないか」と疑われてしまうかもしれません。
給料が低いことを転職理由として伝えるときは、評価制度に焦点を当てて説明するのがオススメです。
たとえば「年功序列型の賃金制度ではなく、御社のように成果報酬型で努力や実績に応じた評価をしてくれる会社で働きたい」といった表現で伝えるようにすると、仕事への前向きな姿勢をアピールできるでしょう。
また、あわせて具体的なデータやエピソードを挙げつつ説明すると、より説得力が高くなります。
転職理由の回答例
ここまで説明してきたように、退職理由はネガティブなものであっても転職理由はポジティブに伝えるべきです。
また、企業側は「この応募者は入社後にすぐにまた辞めてしまったりしないか」ということを確認するために転職理由を尋ねているので、自分が将来活躍している姿というものを具体的にイメージさせることが重要です。
ここでは営業職・事務職・エンジニアについて転職理由を答えるときの回答例を紹介しますので、失敗しないように参考にしてください。
営業職の転職
"私が御社への転職を希望した理由は、成果報酬型の厳しい現場に身を置くことで営業としてのスキルを伸ばし、御社の業績に貢献したいと考えたからです。
私は前職でも営業職でしたが、以前の職場は年功序列風土が根強く残っていました。
物事を決めるときも上からのトップダウンで若い人の意見が聞き入れられることはなく、また、先輩より営業実績があっても、その成果が給与面や待遇面に反映されることはありませんでした。
よりシビアな職場で働くことで切磋琢磨しながら自らのスキルを磨き、新規顧客の拡大につなげられると考えて御社を希望しました。
また、前職ではマーケティング業務の経験もありますので、経験とスキルを最大限に活かして御社の業績に貢献したいと思っています。"
事務職の転職
"私は前職で約3年間にわたって資料作成や文書管理などのサポート業務に携わっていましたが、より幅広くスキルを身につけたいという想いから転職を希望しました。
前職は仕事そのものにはやりがいを感じてはいましたが、業務が細かく細分化されていたため毎日同じような仕事の繰り返しでした。
その結果、EXCELやWord、PowerPointといったアプリケーションのスキルは大幅に向上しましたが、それ以上のスキルについては身につけるのが難しいと感じました。
御社は事務職が営業職のサポートを担当するなど、より大きな裁量を持って仕事に取り組むことができる環境が整っているということで魅力を感じています。
将来は身につけたスキルを活かして営業職にも挑戦したいと考えています。"
エンジニア(IT)の転職
"私は前職でもエンジニアをしていましたが、御社の個人よりもチームワークを重んじる社風、業務の効率化に積極的に取り組む姿勢に魅力を感じたため御社への転職を希望しました。
前職では週に3日は始発電車で通勤して最終電車で帰宅するという生活をしていました。
また、それ以外の日も残業があることが当たり前という状態でした。
上司に人員を増員することなど具体的な進言も行いましたが、聞き入れてもらえずに改善の余地がないと感じました。
私は今後の仕事において今以上のスキルが必要だと感じていますが、現状では自己研鑽のための時間を十分に確保することが難しいため、御社へ転勤することで自分のスキルを伸ばすための時間を作りたいと考えて転職を決意した次第です。
入社後は身につけたスキルを活かして業績に貢献したいと考えています。"
まとめ
転職理由はネガティブなものになりがちですが、ポジティブに伝えるようにしましょう。
そのためには、最初に前職での不満を洗い出し、それをポジティブな表現に言い換えることが必要です。
「給料が安い」「残業時間が長い」といった不満ばかりを並べるのは避けるようにし、不満を解消できたらどうなるかということに焦点を当てると前向きな理由になります。
また、転職が成功して入社することになったときのことを考えて、将来自分がどのような活躍ができるか、具体的なイメージを印象づけることも重要なポイントです。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート