はじめに
企業の面接に臨む時は誰しも緊張するものでしょう。
しっかりと自分の意見を言えるか、企業に対して自分をアピールできるかなどいろいろなことを考えるはずです。
そんな就活生に対してすべての企業が優しく接してくれるとは限りません。
中には圧迫面接と呼ばれる態度で対応してくる面接官もいるくらいです。
こうした圧迫面接は残念ながらなくなることはありません。
就活生にとってできるのは、圧迫面接の実態を探りつつ、どうやったら相手のペースに巻き込まれることなく面接ができるかを模索することです。
圧迫面接とは?
圧迫面接とは、威圧的な態度を取って就活生に面接をする態度を指します。
また、就活生にとって答えに窮するような質問をしてくるような面接スタイルを指すこともあるでしょう。
この他、就活生の意見に対して頭ごなしに否定し、自分の意見を一方的におしつけるような態度を取ることもあります。
就活生は基本的にマナー良く面接に臨むべき、と教育されることがほとんどですが、面接担当者は時にそんなことはお構いなしに対応してきます。
こうしたマナーの悪い面接担当者のことを総称して圧迫面接と呼ぶのです。
実際にあった圧迫面接の例
一口に圧迫面接といってもさまざまなタイプがあります。
実際にどんな面接なのかをイメージできなければ事前対策もしづらいでしょう。
そこで、ここからは実際に就活生が出くわした圧迫面接の事例について紹介していきます。
回答に対して「なぜ?」や「どうして?」と繰り返し質問する
たとえば企業の志望動機について就活生が回答したとしましょう。
一通り回答が終わった後で、面接担当者がなぜ弊社のここの分野について魅力的に感じたのか、と聞いてきます。
こうした「なぜ?」自体は特別珍しいことではありません。
しかしながら、時にしつこく「なぜ?」や「どうして?」と繰り返してくる面接担当者もいます。
そのサークルに入ったのはなぜか、そのバイトをしていたのはなぜか、その大学に入ったのはなぜか、といった具合に繰り返してくるのです。
このように根掘り葉掘り聞かれてしまうと、就活生としては圧迫感を感じてしまうでしょう。
実際にこういった面接担当者に出くわした時、問い詰められるような気がしてより緊張してしまった、という就活生も存在します。
面接中、常に無表情または威圧的な態度を取る
就活生が面接に臨む時は基本的ににこやかに話すよう指導されます。
そうしたほうが好印象を与えやすいですし、場の雰囲気も良くなるからです。
とはいえ、そうした就活生の態度に反して無表情を貫く面接担当者も少なくありません。
就活生がどんな答え方をしようと一切表情を変えることなく次の質問に移るというケースはよくあるようです。
また、時には険しい表情を浮かべて威圧的な態度を取る面接官に出くわした、という報告もあります。
こういった人に出くわすと、常に笑顔でいるのはなかなか難しくなってしまうでしょう。
回答すべてに否定をしてくる
ある就活生はボランティアの経験を面接で話したことがありました。
ボランティアを通して誰かのために働くことのすばらしさを理解した、という趣旨の話をしたのです。
しかしながら、面接担当者はすぐさま否定してきました。
ボランティアはお金にならないのになぜそんな思いを抱けるのか理解できない、と言ってきたそうです。
以降その就活生はあらゆる回答をしても面接担当者に否定され、すっかり対決ムードに陥ってしまいました。
これではしっかりとした面接が行われることはないでしょう。
面接中に怒鳴られる
最後に極めてまれな例ではありますが、面接中に大きな声をあげられた、という例を紹介しましょう。
さすがに今の時代にそんなことが行われているはずはない、と思いたくなるところですが、実際に体験した人はある程度いるようです。
最悪の場合、何社も面接を受けているものの思わしい結果が得られていない就活生に対して、君なんか雇う会社はないよ、と罵声を浴びせた面接担当者もいます。
単に怒鳴るだけでなく、就活生の人格を否定するような発言をする人もいるのです。
なぜ企業は圧迫面接を実施するのか
まず圧迫面接には二つのタイプがあります。
一つは企業側が面接がなんであるかを理解していないこと、そしてもう一つが就活生による誤解です。
面接が就活生の能力を見極める場所であることはいうまでもありません。
そこで、もし高圧的な態度を取られたらこの学生は耐えきれるか、ということをチェックする面接官が現れてしまうのです。
確かに実際に就職したらそうした場面に出くわすことは少なくないでしょう。
とはいえ、捉え方によっては企業の言いなりになれる人材かどうかをチェックしている、とみなされてもおかしくありません。
企業と社員はあくまで対等な関係にあるべきであって、上下関係に置かれるべきではないのです。
その点でこうした圧迫面接をあえて行っているという企業は、面接の意味をはき違えているとしか言いようがありません。
また同様に、学生の議論能力を試すためにあえて否定的な態度を取るという企業もあるでしょう。
これについても間違った対応といわざるを得ません。
議論は何でもかんでも否定すればいいというものではないですし、何より面接は議論の場所ではありません。
学生の意見に耳を傾けるのが面接担当者のあるべき姿勢であって、面接担当者の意見をぶつけるのは間違った姿勢なのです。
このように面接の意味をはき違えている企業がいる一方で、必ずしもそのつもりでないのに学生に誤解を与えている面接担当者も存在します。
たとえば執拗に「なぜ?」や「どうして?」と訊ねてくる担当者は、あくまでも就活生の人となりを知りたがっているだけです。
それが就活生に対して圧迫感を与えてしまう一面は否定できませんが、面接の基本である就活生の性格を見極めるということはできています。
こうした事例については就活生側が認識を改めて、決してこの人は圧迫するつもりで面接をしているのではない、と思うべきでしょう。
圧迫面接を受けた時の対処法
それではここからは圧迫面接と思しき態度に出くわした時、どうやって対応したらいいかを見ていきましょう。
回答に対して「なぜ?」や「どうして」と繰り返し質問する
これについては学生側にも問題がある可能性があります。
自分ではしっかりと回答したつもりが、面接担当者にとっては曖昧な回答に思えるという例はしばしばあるのです。
よって、こうしたことを起こさないためにも回答は曖昧なところがないように、明確に答えるようにしましょう。
それでも「なぜ?」や「どうして?」と聞き返されてしまった際は、真摯に追加の回答をするように心掛けるべきです。
繰り返し質問してくるということは、面接官が深くあなたのことを理解しようとしてくれている証拠でもあり、チャンスでもあります。
そうした場面自体をポジティブにとらえるようにしましょう。
面接中、常に無表情または威圧的な態度を取る
面接担当者はあくまですべての就活生に対してフラットな態度を取らなくてはいけません。
たとえば男性の就活生に対しては冷淡に接する一方で、女性の就活生に対しては好意的な態度で接しているとなったら不平等でしょう。
こうしたことを避けるために無表情を貫いている可能性も十分にあるのです。
こうした事例に出くわした時は、その人があくまでも仕事でこうした表情をやっているのだ、と一旦落ち着くようにしましょう。
また、威圧的な態度に見えるような人もあくまで意図してそうなっているわけではない可能性もあります。
普段通り話しているつもりなのに相手には怒っているように見える、という例は珍しくありません。
これについてもそういう人もいるのだ、と大らかに接するようにしましょう。
回答すべてに対して否定してくる
就活生の意見に対して否定してくるような面接担当者に出くわした場合は、相手の土俵に乗ってはいけません。
向こうの狙いは就活生の平静を乱すことにあります。
挑発に乗せられて自分を見失うようなことがあってはいけません。
ですからもし自分の意見を否定されたら、そうですか、と軽く受け流すくらいで十分です。
そういう意見を持っている人もいるのだ、と一度受け止め、あくまでも自分の意見を貫くようにしましょう。
もしかしたらその企業の内定は得られないかもしれませんが、長期的に見れば自分の意見を貫き続けたほうが得が多いです。
面接中に怒鳴られる
もし面接の最中に大きな声を張り上げられた場合は、その企業の見識を疑ったほうがいいです。
面接担当者の性格だけでなく、そうした社員に面接を任せている人事の責任もあります。
仮に面接を通過し、内定を得たとしても、良い環境で働ける可能性は少ないでしょう。
就活生にとって内定を得られるかどうかは死活問題ですが、自分にとって嫌な環境で働くのは損という他ありません。
もし面接担当者の態度が耐えられないものだったら、勇気をもってその企業に就職するのをあきらめることを勧めます。
どうしてもその会社に入ってしたい仕事があるというならともかく、嫌な性格を持っている人とともに仕事をするのはあまり意味がありません。
圧迫面接を受けた時のNG行動
圧迫面接は、就職活動をしていれば誰でも出くわす可能性のある面接形式の1つです。
圧迫面接には、いろいろな切り抜け方があります。
ただし、以下に記す4つの行動については、どう解釈しても面接官に良く映らないので、やってはいけない行動として頭の片隅に留めておいてください。
・泣き出す
・黙り込む
・イライラする
・途中で退出する
どの行動も、困難に直面した際の対応力が問われる場面です。
もしやってしまったときの、対策方法についても解説するので参考にしてください。
泣き出す
圧迫面接を受けていると感じても、泣いてはいけません。
企業が学生に対して圧迫面接をする理由の1つに、ストレス耐性を見ている場合があります。
学生が追い詰められた際、どのような受け答えをするのか、自分が責められていると感じた際にどんな反応をするのかを企業は見ているのです。
圧迫面接で泣いてしまうと、ストレス耐性がまるでないと判断されてしまうでしょう。
どれだけ質問され続けても、威圧的な態度で迫られたとしても、決して涙を流してはいけません。
言われたことを真に受けて、その場でボロボロと泣き出すのはやめましょう。
感情が高ぶって涙が出てしまうという人もいますが、どう言い訳しても、涙を浮かべている状態が良くありません。
改善策
もし、圧迫面接で泣いてしまったのなら、以下の言葉で面接を自分のペースへと引き戻しましょう。
「申し訳ございません。涙が出てしまったので、お時間をいただけますか。」
「気持ちが高ぶって涙が出てしまったので、少しお時間をください。」
泣いてしまった自分自身のメンタルと、その場の空気を入れ替えましょう。
もはや、出てしまった涙はもとに戻せないので、泣いてしまった理由に言及して、その場を乗り切ることが大事です。
決して「面接官の雰囲気が怖かったから泣いた」と言ってはいけません。
黙り込む
圧迫面接を受けた際、黙り込んで何も返答を返せないという状態も良くありません。
圧迫面接の形式もさまざまで、学生があえて言葉を返せないようにまくしたてたり、質問攻めにしたりするやり方があります。
このタイプの圧迫面接で黙り込んでしまうと、客先でクレームを受けたときの対応力がないとみなされてしまいます。
決して黙り込むことがないようにしなくてはなりません。
また、相手が主張を繰り広げる場合、黙っていながらもきちんと相手の言いたいことを自分なりに解釈しながら聞きましょう。
クレームをきっかけに、顧客から大きな信頼が得られたという話はよく聞きます。
相手に文句をぶつけられているときこそ、真摯に内容を聞いて、改善策に活かす必要があります。
面接でも同じような対応ができると、面接官にも対応力を認めてもらいやすいでしょう。
改善策
もし、圧迫面接で黙り込んでしまった場合は、シンプルに黙り込んでしまった事実について謝罪しましょう。
「返す言葉もありません。」
「仰るとおりです。」
「返す言葉が出てこず、申し訳ありません。」
上記のような内容でかまいません。
ここでは、相手の求める返答ができないことに対する謝罪を伝えながら、相手の怒りを真摯に受け止める姿勢をアピールします。
そして、相手の話すスピードやボルテージが下がったところで、自分から話を切り替えていきましょう。
別の話題に話をつなげられるよう、舵取りができるとベストです。
イライラする
圧迫面接を受けてイライラした姿を見せてしまうと、感情に任せて行動するタイプだと判断されてしまいます。
いきなり初対面の面接官に、自分自身の人生が否定されるような言葉を浴びせられると、誰だって腹が立ちます。
しかし、いくら挑発されたからといって、感情任せに受け答えをしてはいけません。
感情のコントロールは、社内外の人間関係を円滑にし、自分自身に対する評価を高めてくれる重要なスキルの1つです。
どれだけ腹が立っても、その感情を表に出して得をするという場面はなかなかありません。
企業で働いていると、必ず他者と関わり合いながら仕事を遂行することとなります。
ときには馬が合わない、いけ好かない人とも仕事をすることがあるでしょう。
圧迫面接では、そうした場面でのストレス耐性を見ている場合があります。
挑発に乗ってイライラしてはいけません。
改善策
圧迫面接を受けて、イライラした態度を取ってしまったら、まずは自分の怒りを鎮めることに注力します。
相手にイライラが伝わってしまう前に「申し訳ございません、少し考える時間をいただけませんか。」などと言って話を中断します。
イライラしたということは、本当のことを言われて腹が立ったか、あまりにも的外れな話をされて頭にきたかのどちらかでしょう。
たとえ事実であったとしても、言われたことに対して横柄な態度を取ってはいけません。
すぐに気持ちを切り替えて、自分から挑発的な態度を取らないようにしましょう。
途中で退出する
よほどのことであっても、圧迫面接を受けて途中で退出するようなことがあってはなりません。
面接の途中でその場を退出してしまうということは、そこで選考自体が終了してしまうのと同じことです。
どれだけ威圧的な態度を取られようが、イライラさせられようが、自分からその場を投げ出すような真似はいけません。
かっこよく途中で退出して、話が丸く収まるのはドラマの世界だけです。
志望する企業であっても、面接練習に訪れた企業であっても、面接途中にその場を出ていくというような、幼稚な行動は控えましょう。
圧迫面接されているなと感じたら、相手に思う存分横柄な態度を取らせて話をさせましょう。
「帰って。」と言われても「どうしても貴社で働きたいという気持ちが伝わるまでは帰れません。」というような気概を見せるくらいでかまいません。
改善策
途中でその場を去りたくなるような、圧迫面接を受けた場合、限界点に達しているのならその場を出てしまってもかまいません。
見極めの難しいところですが、もし、面接官の質問や態度に我慢がならず「もうこの企業とは縁を感じない」と思ったのなら面接を中断しましょう。
「今回の面接を通じて貴社で働く気持ちがなくなりました。申し訳ございませんが、ここで辞退させてください。」と伝えて部屋をあとにします。
就活は、企業との相性を見極めて自分とのマッチングをはかる場です。
会社のやり方が性に合わないと感じたのなら、潔く諦めて次にいくのも1つの手です。
圧迫面接には事前準備で対抗しよう
圧迫面接を受けた場合に備えて、面接対策では以下の3つに注力してみてください。
・質問を深掘りして考える
・面接に対する自信をつける
・選考内容の1つだと割り切る
恐怖を感じたら、イライラさせられたらと、圧迫面接に身構える気持ちもわかります。
しかし、上記3つのエッセンスはすべて面接での受け答えの精度を高める内容でもあります。
圧迫面接を受けなくとも、自分自身を深く見つめ、より洗練された受け答えをするには欠かせないと考えてください。
質問を深掘りして考える
圧迫面接に対する事前準備の1つに、質問を深掘りして考えるというものがあります。
これは、質問に対する回答の内容をブラッシュアップする対策の1つです。
たとえば「あなたを動物にたとえてください。」という質問に対し「何事も愚直に全力で取り組めるイノシシです。」と答えたとします。
そこから、本当にイノシシで合っているのか、具体的なエピソードには何があるのか、自分の良さが活かされる場面はいつかと考えます。
質問を想定して準備することと同じように、質問に対してその回答が合っているのかを考えると、さらに幅広い質問に対する対策を立てられるでしょう。
面接官から「なぜ?」「本当に?」と、質問攻めにあったとしても、的を射た回答をしながら、その場を切り抜けられます。
面接に対する自信をつける
圧迫面接対策のみならず、面接に対する自信をつけられると、今後の大きな財産となります。
面接は、その場の雰囲気に場慣れしておくことが、大きな対策へとつながるでしょう。
親や友人、知人を頼って面接の練習をこなすのはとても良いことです。
「自分と近しい人との練習は何だか恥ずかしい」という人は、キャリアセンターや就活エージェントを活用してもかまいません。
どれだけ緊張していても、場数を踏んで練習したことは自分を裏切りません。
受け答えがスムーズにできるよう、何回でも練習しましょう。
回数をこなせばこなすほど「あれだけ練習してきたから大丈夫」と面接に対して、落ち着いて臨めるようになります。
面接に対する自信がつけば、面接官にどのような態度を取られても安心して受け答えができるでしょう。
選考内容の1つだと割り切る
圧迫面接を受けたら、選考内容の1つと考えて割り切り、心の落ち着きを取り戻しましょう。
圧迫されようが、面接ともなればやることは1つです。
自分自身がどのような人間で、なぜこの会社で働きたいと考えているか、どのように活躍するかのビジョンを語るだけです。
人事担当者に自分の良さを知ってもらえることが、何よりも優先されます。
圧迫面接を受けると、自分を否定されたような気持ちになって落ち込んでしまう人もいます。
しかし、あくまで選考の一環で行われることです。
初対面の面接官が、露骨に嫌悪感を示してくる場合は「私に興味をもってくれている」ぐらいに考えても良いでしょう。
相手も業務の一環で面接を行っています。
本気であなた自身を否定し、「泣かせてやろう、イライラさせてやろう」とは思っていないので割り切った気持ちが大事です。
まとめ
ここまでは圧迫面接の事例と、その対処法について紹介してきました。
総じていえることとしては、なぜそのような面接が行われているのか、その背景を想像することが大事だということです。
ですので実際に就活を行う際は、他の人の体験談を踏まえつつ、そうした場面に出くわした時自分ならどうするか、とイメージトレーニングを行うことが大切でしょう。
場合によっては友人に頼んで圧迫面接のシミュレーションを行ってもいいです。
そうすれば似たような事例に出くわした時、落ち着いて物事に対処できるようになります。
冷静な態度で面接に臨めば、その分だけ面接担当者の心証も良くなるでしょう。
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