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はじめに
面接では学歴を確認するというよりは、なぜ、その大学や学部を選んだかを聞かれることがあります。
なぜ企業は大学を選んだ理由を尋ねるのかを理解することで、企業の意図や質問の目的に即した的確な回答をすることができます。
なぜ企業が面接で大学を選んだ理由を聞くのか、その意図や目的を知り、面接でなるほどと思わせる回答ができるように準備しましょう。
【大学を選んだ理由】なぜ企業が面接で大学を選んだ理由を聞くのか
大学を選んだ理由を聞かれると、中には学歴重視なのかなとか、偏差値の高い大学と低い大学で差別されてしまうのだろうかと勘繰ってしまう方もいるかもしれません。
ですが、書類選考が通っている以上、学歴や大学のレベルを問題にしているのではありません。
企業には求める人物像がある他、備えていてほしい知識や技術がある場合や社風とマッチした人材かを確かめたいと考えています。
確かめるための一つのアプローチが、入った大学や大学で何を学び、何を得たのかなのです。
あなたの興味関心を知るため
大学や学部を選ぶ段階で、その人は選択を行っています。
さまざまな学部がある中で、ある大学のある学部を選んだということは、そこで何か学びたいものや興味を持ったことがあるはずです。
どんなことに興味や関心を抱いて学部や学科を選考したのか、そして、そこで何を学べたのかを知りたいと思っています。
また、その興味や関心が就活における職種選びや企業選びにも反映されているのか、それとも、まったく関係のない選択に至ったのかもチェックされています。
学んだ学部と関連性の薄い業種や職種を志望している場合には、なぜ、そう考えるに至ったのかにも興味を示すわけです。
大学で学んでいる過程で違う分野に興味を示したのか、なぜそうなったのか、そこに選択のミスや考えのブレなどがなかったのかを確認したい意図もあります。
早い段階から将来のことを考えて行動できていたかを知るため
大学や学部を選ぶ際には、大学で学びたいことよりも、将来やりたい仕事があって、そこから遡って選択する方も少なくありません。
たとえば、自動車メーカーで開発や製造をしたいなら工学部に進学する、商社に就職したいなら商学部や国際関係学部などを選ぶといったものです。
また、〇〇の企業への就職実績が高いからと、就職したい企業への就職率が高い大学を選ぶ方も少なくありません。
有名私立大などを中心に学部ごとに、どの企業に何名就職したなどの実績を大学受験生たちに公開しています。
大学に入ってから将来の仕事や就職したい会社を考える人がいる一方で、幼いころからやりたい仕事がある人や早い段階から憧れる企業がある人もいるわけです。
企業としては、より早い段階から将来やりたいことを見つけ、そのために大学や学部を選ぶ学生さんには、より高い期待を抱きます。
大学やゼミでの学びや研究、技術の習得や資格の取得を通じて、即戦力としての活躍や将来を担う有望な人材になるかがチェックされています。
大学への向き合い方を知るため
大学も学部も豊富にある中で、なぜ、その大学を選んだのでしょうか。
同じ学部を有する大学は山ほどある中で、なぜ、その大学で学びたいと思ったのでしょうか。
もちろん、中には自分の学力レベルに合わせて選んだだけという方や、第一志望ではない大学に仕方なく進学したという方もいるかもしれません。
ですが、同じレベルの大学の中でもその1つを選んだわけですし、第一志望でなくても、数ある大学の中から受験をしたということは、その大学をなんらかの考えで選んでいるはずです。
大学によって伝統やカラーが異なります。
同じ偏差値レベルの同じ学部でも、整っている環境や教授陣、指導方針なども異なっています。
そうした事情を考慮して選んだのか、それとも、親や高校の先生、塾の講師などに言われるままに受験しただけなのか、就活生の回答から見破られてしまうこともあります。
同じ建築学部に進むにも、その大学を選んだのは最新の耐震性を学べる教授や設備が整っていたなど、こだわりを持って選んだ方もいることでしょう。
この大学に入りたいと思ったときのことを思い出して、なぜ、その大学を選んだのかをまとめておきましょう。
【大学を選んだ理由】面接で大学を選んだ理由を答える際のポイント
企業がなんの目的で大学を選んだ理由を尋ねるのかが理解できれば、回答の方向性が見えてきたのではないでしょうか。
もっとも、面接では長々と語るわけにはいかないので、ポイントを押さえて簡潔に伝えられるよう回答を準備しておくのがベストです。
押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
大学受験の際に考えていた自分の将来について話す
大学受験時に志望校を決めた際、何を目指して選んだのかを振り返ってみましょう。
たとえば、不動産会社で建築に携わりたいと考え、有名な教授のいる大学の建築学部を目指したとか、グローバルな時代にバイリンガルとして活躍したいと考え外語学科を目指したといった事柄を思い出してみましょう。
入学した後に大学で行っていることも話す
次に入学後にどんなことを学んだのか、どんな研究をしたのか、ゼミでの様子などを話します。
ただし、面接を受ける企業での仕事に結び付くようなことを中心にまとめることがポイントです。
研究テーマや身に着けた技術などについて話す場合には、あまり専門用語を使わないように気を付けましょう。
面接官が技術者とは限らず、技術に詳しくない方が面接官の可能性もあります。
また、専門的なことをわかりやすく語れることで、分析力や論理的思考力などの高さがチェックされます。
学んでいることを就職後どう活かせるのかを話す
いかに素晴らしい教授のもとで専門知識を得たといっても、それが面接を受ける企業で活かせないのであれば、企業にとっては魅力がありません。
専門知識や習得した技術、資格した資格をはじめ、大学で得た経験を就職後にどう活かせるのかをしっかりとアピールしましょう。
専門用語の使用をなるべく控える
自分が大学を選んだ理由を述べる際に気を付けたいのが、面接官がわからないような専門用語を用いるのを控えることです。
もちろん、説明に必要な専門用語がありますが、できる限り最小限に留め、わかりやすい言葉に置き換えて説明することが大切になります。
面接官は専門家ではないため、難しい言葉は理解できず、せっかく良い研究をしていても悪い印象にとらわれかねません。
そのため、わかりやすい言葉に置き換えて話すことで、伝わりやすさや面接官への印象も変わってきます。
また、違う言葉に置き換えることはご自身がやってきたことの理解を深めることにも役立ちます。
難しいことを簡単に話せることで、就職後もお客様に対してしっかりと説明できると好感をもたれるでしょう。
【大学を選んだ理由】面接で大学を選んだ理由の3つの例
では、面接で大学を選んだ理由を聞かれた際の回答例を実際に見ていきましょう。
構成などを参考にして、自分の場合について考えてみてください。
①建築学部から住宅メーカーの面接を受けるケース
〇〇大学の建築工学科では耐震構造研究で有名な△△教授が教鞭をとっており、耐震構造について実験ができる設備や企業との共同研究ができる環境が整っていたからです。
多数の応募者の中から選考を突破し、△△教授のゼミに入ることができ、実践的な研究と設計に取り組んできました。
御社では地震に強い家づくりに取り組んでおり、更なる技術開発や既存構造の改良に大学で学んだ知識と技術を活かせると志望しました。
② 商学部から不動産会社のマーケティング職の面接を受けるケース
マーケティングを学んでいく過程で、店舗を出すための市場調査に興味を持ち、卒業論文では競合が多いラーメン店出店のためのマーケティングをテーマに選びました。
御社では飲食店向けの立地コンサルティングを提供しており、緻密なマーケティングを通じて物件の提案をしています。
コンサルティングチームの一員として、大学で学んだマーケティングのノウハウを活かしたいと思い、御社を志望しました。
③福祉大学から老人ホームの介護職の面接を受けるケース
高齢化社会を支えていくうえでは、介護予防と少しでも自立した生活を送れることが大切と考え、リハビリの技術が学べる理学療法科を専攻しました。
大学時代に理学療法士の資格を取得し、老人ホームや病院のリハビリステーションでの実習も行い、実践的なノウハウを学んできたのが私の強みです。
御社では寝たきりにさせないための介護予防や、介護度が上がらないための取り組みをされています。
大学で学んだ知識や取得した理学療法士の資格を活かしたいと考え、志望しました。
【大学を選んだ理由】志望企業と大学の関連性がない場合の例文
大学を選ぶ際に、後の就職のことまで考えて選んでいる方も多いですが、中にはそこまで考えずに大学進学を進めた方も一定数いるでしょう。
たとえば、実家から近い大学や親から勧められたため進学した方など、将来を考えて進学しなかった方にとっては関連性を答えるのは困難ですが、大学中にさまざまなことから刺激を受け、就職先を決めることもあります。
その場合は素直に伝えることで、面接官への印象も変わってきます。
志望企業と大学の関連性がない場合について、例文を踏まえてご紹介します。
法学部から食品メーカーの面接を受ける場合
大学では、法律に関する知識や法律に対する考え方について学び、六法と呼ばれる憲法、民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法を学びました。
また、昔から食品に対して興味があり、自身が食べるものにはどのような法律があるかに興味があり、調べるようになったのです。
食品衛生法や食品表示法などから、詳細な法律に至るまで、多くの人が食べる食品の法律を守ることで、健康に過ごせる方が増えると考えて志望しました。
入社後は、既存商品はもちろん、新商品の開発に携わりながら、より健康で安心して食べられる食品の開発に従事したいと考えております。
また、グローバルにおける法律も勉強し、事業拡大にも力添えできればと考えています。
文学部から商社の面接を受ける場合
大学では、言語系、思想系、歴史系、行動系の4つがあり、言語系と行動系に興味を持ちました。
言語系では、日本語のほかに英語とドイツ語を学び、在学中は短期間ですが留学もし、現地の方と仲良くなることができたのです。
行動系では心理学を専攻し、人の心理と行動に関して研究し、考え方によって行動が異なりますが日本と海外でも似ている場合があると確認できました。
就職後は、留学の経験を活かし、日本だけでなく世界中に商品を知ってもらうように、アプローチしたいと考えております。
また、商品に対しての日本と海外の違いや心理的な要因からもどんな商品が好まれるかを考え、売上に貢献したいです。
理工学部から公務員の面接を受ける場合
理工学部では、機械工学を専攻し、AIやロボットに関して学んだのです。
世の中にはどんどんAIを搭載した新しいロボットやシステムが導入され、暮らしやすくなっており、私自身も貢献したいと考えました。
在学中は、自身が開発したロボットがコンテストで最優秀賞に選ばれるなど、さまざまな分野で実績を積むことができました。
就職後は、社内業務の効率化を検討する業務に就きたいと考えております。
AIやロボットなどが普及している今、業務を見直し、効率化を図ることで、より質が高い仕事や働きやすい環境を作ることができると考えました。
業務を自動化することで、より利用者に寄り添った仕事ができると期待しています。
【大学を選んだ理由】大学を選んだ理由がない場合の面接での回答方法
親に進められたから、高校の先生や塾の講師にここしか入れる大学がないと言われたからなど、自ら積極的に選んだわけではないという方もいるかもしれません。
また、東京の大学で入れるところならどこでも良かったとか、理数系科目が苦手だったから、とりあえず文学部に入ったという方もいることでしょう。
高校時代には将来やりたい仕事も決まっておらず、とりあえず大学に進学すれば、どこかに就職できるに違いないと、お金がかからない実家から通える大学を受験したといった方もいるはずです。
何か学びたいことがあったわけでもなく、将来のことを考えて選んだわけではなかったとしても、数ある大学の中から進学先として決定したわけです。
積極的な理由がなかったとしても、大学に入ったことで面接を受ける企業にエントリーするに至った理由を探してまとめてみましょう。
たとえば、「高校時代にはまだ将来のことを決めかねていましたが、これからはグローバルな時代だと思い、文学部の英文科を選びました。
〇〇大学を選んだのは、自宅から通える国立大学だったからです。
3人兄弟の長女なので、弟や妹の進学のことも考えると親に経済的な負担をかけたくないと考えました。
〇〇大学に入りたいと県外の遠方から進学した人と話をする中で、地元の魅力に気づくことができました。
地元に本社を置き、海外との取引も積極的に行っている御社なら、大学で磨いた英語力を活かしながら地域経済に貢献できると考え志望しました。」といった回答です。
【大学を選んだ理由】理由がない場合に答える際のポイント
高校生の頃から大学に入学する理由を持っていたという学生の方が少ないのではないでしょうか?
しかし、特にありませんではあなたの良さや人柄を伝えることもできないため、何かを伝えるようにしましょう。
ここでは、大学を選んだ理由を答える際に気をつけるべきポイントについて詳しく解説していきます。
大学を選んだ理由がないという方はぜひ参考にしてみてください。
素直に伝える
素直に、「最初は特に理由を持っていませんでした。」と伝えても特にマイナスになることはありません。
無理に嘘をつくよりは素直な印象を与えることもできるため、面接官によってはプラスに評価してくれるかもしれません。
就活をしていると周りの学生がみんなすごい人に見えて、エピソードで勝つために嘘をつく方もいますが、企業側としては嘘をついている学生がいればすぐにわかります。
バレた時のリスクを考えると、できるだけ素直に伝えるようにしましょう。
今はどう考えているのか
素直に伝えるといっても、大学入学前の正直な思いを伝えるだけでは不十分です。
大学入学前に何も考えていませんでしたといっても、高校生の頃の話なので面接官も特に気にしません。
しかし、大学に入学してから数年経ち、就職活動をしている現在はその大学で学んだことなどもあるはずです。
そうした学びまで伝えられると企業側もあなたの人柄やどういったことまで考えている学生なのかという部分がわかるので、なるべく具体的に伝えるようにしましょう。
【大学を選んだ理由】2つのNG例
大学を選んだ理由について答える際に気をつけるポイントについて解説しましたが、それらを踏まえた上でNG例について解説していきます。
NG例を知ることで失敗しない答え方がわかるため、面接でも有利に進めることができます。
ここではNG例とそのポイントまで紹介しているため、気をつけるべきポイントについて詳しく理解することができるでしょう。
自分で決めたものではない場合
大学入学するタイミングで一人暮らしをする方は多いと思いますが、私の場合は実家で犬を飼っていることと金銭的な理由で一人暮らしはできないと考えていました。
また、大学の学費などは親に出してもらう予定だったため、親の意見を参考にしようと決めていたため、大学を選ぶ際には家から近い距離で親と相談して決めました。
実際に〇〇大学入学後にはさまざまな経験をすることができたため、この大学に進学して良かったと考えています。
point
この例文では主体性のない人物像なのではないかという印象を持たれてしまいます。
もちろん実家から通う選択はいいのですが、犬を飼っているからという理由まで述べてしまうと、企業に入社する際にもこうした細かい福利厚生にこだわってミスマッチが起きるのではないかという懸念を持たれる可能性があります。
また、親に言われたからこの大学に入学したという選び方では、あなた自身がどのように考えているのか伝わりづらく、周りに流されてしまう人なのではないかという印象を与えます。
あなただったらどのように答えればいいのか一度考えてみるとこのNG例文から多くのことを学べるでしょう。
嘘をついている場合
私が〇〇大学に入学した理由は、豊富な留学制度が整っていると考えていたからです。
実際に〇〇大学に入学してからは△△へ1年間の語学留学をするなどして語学力をみがき、海外でも何の問題もなく生活できるレベルまで話すことができるようになりました。
御社に入社後もこの能力を活かして海外で仕事ができるように努力していきたいと考えています。
point
この例文では大学を選んだ理由から大学で学んだこと、就職後にやりたいことまで一貫性を持って伝えられる素晴らしいものです。
しかし、企業によってはここまで作り込まれたものを聞くと、高校生の頃から本当にそんなことまで考えていたのか疑問に感じる面接官がいるのも事実です。
そうすると、そこからさらに深堀をされることがあり、そうした時にうまく回答することができなければ嘘だと思われてしまいマイナス評価につながってしまうことがあります。
できるだけ嘘をつかずに素直に答えるようにしましょう。
まとめ
面接で大学を選んだ理由を聞かれるのは、将来のことを考えて選んだのかや、大学で何を学び、就職後にどう活かせるのかを確かめたいためです。
その意図や目的を踏まえ、ポイントを押さえて回答をしましょう。