履歴書やエントリーシートを作成する際にも、面接の際にも、とても重要になってくるのが志望動機です。
業界研究は志望動機をまとめるためには欠かせないステップですが、当然自分がこれから働く場なのですから、事前調査が必須なのはいうまでもありません。
ここでは業界や業種の理解を深めるために必要な業界研究を、具体的にどのように進めればいいのか解説します。
業界研究とは
企業研究は、就職活動で必須といわれる研究です。
目的をシンプルにいえば、これから自分が働く場の候補を見つけるためのリサーチであり、自分が望む仕事を見つけるための行動といえます。
そのため業界研究で一番重要なのは、自分と職場とのマッチングです。
人生の大半を費やす仕事において、選んで良かったと思える職場を見つけられるのは本当に素晴らしいことです。
当然、働き出してすぐにそんなことを感じられるほど社会は甘くないでしょうが、働き続けることで心から充実感を感じる場を得ることは大きな幸せです。
そのためにも志望する企業や業界のことをよく知り、自分が求め、相手先からも求められる業界・企業を見出す研究をしましょう。
業界研究の具体的な内容は、各業界の構造や特徴を知ることです。
そしてその業界や業界内にある企業に、どれくらい将来性があるかを知ることも重要となってきます。
売上高の推移や市場規模の推移などから年間成長率を把握し、経営の安定性や今後の成長率などを中長期で見ることも大切です。
また必要とされるスキルを把握するためには、どのような製品力や営業力が差別化となるのかも研究対象となります。
情報はインターネットからでも収集できますし、業界を解説した書籍を参考にすることも有効です。
実際に合同説明会に足を運んだり、OB訪問をしたりするのも良い手段です。
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業界研究のポイント
業界研究をするうえで持つべきものは、「正しい視点」です。
業界研究のやり方は学校で教えてもらうことではありませんので、ポイントを掴むまではなかなか苦労するかもしれません。
ここでは基本的な視点の持ち方について解説しましょう。
まず、「俯瞰的」な立場からの視点が大切です。
おそらく多くの学生は、それまでの生活で知り得た業界は範囲がとても狭いでしょう。
経済を動かしているのはもっと広範囲の業界ですから、まずは視点を広げるために、俯瞰して見ることを始めましょう。
自分の好き嫌いで情報を選ぶ前に、できるだけ多くの業界の情報を集めるのがポイントです。
そのうえで、「多角的」な視点を持つ必要があります。
これは就職情報サイトなどの利用がおすすめで、専門家がさまざまな視点から情報分析していますので、自分では気づかなかった多角的な見方ができるでしょう。
そして最後に、「中長期的」な視点を持つことが大切なポイントです。
特に市場規模の把握においては、就活をしている時点に目を奪われず、先を見据えて判断することが大切です。
たとえば、現在市場規模が大きく、この先もその規模は同程度維持される見込みだったとしましょう。
でも将来的には限られた一部の企業のみがシェアを独占する見込みの場合、それ以外の企業は淘汰されてしまうリスクが高くなります。
この場合、トップ企業を狙う分にはいいですが、同じ業界でも他の企業には同じだけの魅力があるとは言い難くなります。
このように、視点一つで見方が大きく変わるのがポイントです。
また、外部からの視点だけでなく、現場の視点を持つことも大切です。
そのためには、実際に働いている人の平均勤続年数などを調べ、若手が働きやすい業界や企業であるかを確認するのも重要なポイントです。
ただ、業界研究に限りませんが、まったく同じ情報であっても見方が変われば180度異なる見解になることも珍しくはありません。
たとえば、離職者が多いというだけでその企業を避けるべきとする視点がある一方、離職理由が「独立」だった場合、一概に魅力の少ない企業とは言い切れない視点も生まれます。
入社した若手が急速に成長し、スピーディーに巣立っていくような職場であれば、たとえ平均勤続年数が少なくてもとても成長しやすい企業である期待があります。
こうしたことから業界研究では、専門家の視点や現場の視点などから客観的に分析することに加え、自分自分の主観的な視点も大切にすることがポイントといえるでしょう。
業界研究のやり方
業界研究のやり方は、まずは難しく考えず、業界を広く知ることから始めるのがおすすめです。
全体像を捉えてから徐々に詳細に落とし込んでいくのが一番ですので、経済を支えている多くの業界・企業から取り掛かると良いでしょう。
日本には、世界には、どんな業界があるのか全体を眺めるところからスタートです。
そうしてしばらく見ていくと、徐々に自分が興味を持てる業界が見えて来ます。
なにをしているのか、どういう構造になっているのかなど、ささいな興味でも良いので、気になった業界をいくつかピックアップしてみましょう。
業界自体で2~3個に絞れたところで、主要企業をチェックします。
見知った大手企業があるかもしれませんし、それまで聞いたことのない企業が売上げトップの場合もあります。
ここからセカンダリーリサーチを開始します。
セカンダリーリサーチは、インターネットや書籍などで情報を集めるリサーチで、売上げや特徴の調査、業界や企業の抱える課題など業界のトレンドを知ることができます。
ある程度わかったところで今度はプライマリーリサーチにトライしてみましょう。
プライマリーリサーチというのは、実際に自分が足を運んで情報を集める行為です。
セカンダリーリサーチでは客観的な情報を広く集めることができますが、プライマリーリサーチは範囲は狭まるものの、より深い情報を得ることができます。
いかに体力に自信のある学生でも、気になるすべての業界の企業を調べて回ることはできませんので、セカンダリーリサーチで範囲を絞ってから行動に移すというのがセオリーです。
実際に足を運ぶチャンスは、合同説明会やセミナーなどがありますし、もっと絞り込めればOB訪問やインターンシップを利用するのも良い方法です。
活きた声を聞くことができますし、インターンシップなら実際に働いてみることができますから、格段に深い情報を得ることができるでしょう。
業界別!業界研究例
それではさっそく、業界別に研究例を紹介します。
どんな業界でどんなスキルが求められるのか、ぜひ参考にしてください。
アパレル業界
5兆円以上の規模を持つ、大きな業界です。
生活に密着しているため、伸び率は中程度ですが極端にぶれない安定的な市場です。
アパレル業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
IT業界
全体で17兆円を超える市場ですが、業界内は細分化されていて、インターネット業界、ハードウェア・ソフトウェア業界、情報処理サービス業界などがあります。
IT業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
総合商社
39兆円を超える業界規模を持ち、現在学生に高い人気があります。
取引相手は企業のためBtoBビジネスで、幅広い分野を取り扱い世界で活躍できる業界です。
総合商社の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
専門商社
実は46兆円という、総合商社を超える規模を持つ業界です。
医薬品や食品、燃料など特定の分野で専門的にBtoBビジネスを行う業界となります。
人材業界
7兆円市場といわれ、現在景気回復の影響を受けて高い成長率を誇ります。
海外進出に伴いグローバル人材などの求人が活発で、コンサルティング業務においても高い成長が見られます。
人材業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
金融業界
49兆円を超える業界市場規模を持ち、業界全体でも10位内に入る大規模市場です。
IT化やAI化の影響で変革期を迎えると予想されますが、経済活動においては非常に広い領域をカバーしている業界ですので、銀行や証券など希望に合わせた研究が必要です。
金融業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
通信サービス業界
2.4兆円市場といわれ、主にインターネット関連のサービスの他、電話関連業務を提供しています。
日々進化する分野で世界競争も激しいため、日々新しいものに触れていたい人材にはやりがいの高い業界です。
通信サービス業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
自動車業界
17兆円を超える市場規模であり、近年また成長が見られる業界です。
IT企業との関連やカーシェアなど新時代の始まりに際して各社どのような戦略を打ち出すかが注目されます。
自動車業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
化学メーカー
30兆円を超える業界規模を持ち、将来的な伸び率や収益性も見込める業界です。
石油依存の体制を変えるべく、世界的に新しい取り組みが積極的に行われている点に注目できます。
化学メーカーの業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
出版業界
業界規模は3,400億円超で、このところ伸び率と収益性が伸びているのが注目点です。
電子書籍市場が伸び始めていますがまだまだ小さいため、拡大はこれから先に期待されています。
出版業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
広告業界
7兆円を超える業界規模で、就職を志望する多くの学生が存在します。
出版業界など別業界との関連も強いため、業界は可能な限り広く研究分析しておく必要があります。
証券会社
4兆円を超える業界規模で、リーマンショック以降低迷していましたが近年また増加傾向に転じています。
インターネット型が堅調のため従来型が苦戦している現状には注目が必要です。
証券会社の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
教育業界
9,400億円を超える業界規模で、中学受験などを中心に伸びが見られます。
収益性が伸びているのは再編が加速していることに由来するため、買収や業務提携などの動きやIT化にも注目が必要です。
教育業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
航空業界
3兆4,000憶円を超える業界規模で、近年は徐々に増加傾向にあります。
多くの職種があり資格を必要とするため、どの分野で働きたいかによって事前分析が必要となります。
食品業界
29兆円を優に超える規模があり、主にBtoCビジネスを展開する企業が多い業界です。
就職希望者が非常に多く、大手企業はセミナーへ参加するだけでも高倍率のため、目に留まるだけの志望動機をまとめるためにも研究分析は必須です。
食品業界の業界研究を詳しくするならコチラも参考にしてみてください
業界研究を行う際に役立つ書籍
就職活動のための業界研究においては、どれだけ新鮮な情報を大量に集められるか、またそれを正確に分析できるかが重要になってきます。
そのために活用したいのが業界研究本です。
業界研究本は業界研究のスタート時に活用するのが効果的で、業界全体を把握するのに非常に役立ちます。
特定のビジネスモデルや構造などが解説されたものは、広く浅く業界を知るのに便利でしょう。
また、ある程度候補を絞った段階では、体験談や業界内の話題にフォーカスした書籍を活用し、リアルな職場をイメージすると良いでしょう。
さまざまな書籍が発刊されていますので、その時々に自分が必要とする情報が得られる書籍を選ぶのがポイントです。
業界研究を行う際に役立つ書籍に関する情報はコチラ
まとめ
業界研究を成功させるためには、まず業界全体を捉え、それぞれの業界ごとの特徴を理解し、成長性や将来性を知ることが大切です。
手段はインターネットや就職情報サイト、書籍の活用の他、新聞やニュースなどで常に最新の動向を得ておくのが良いでしょう。
ある程度絞った後は、実際に合同説明会やセミナー、OB訪問などに足を運び、生の声を聞くことも大切です。
インターンシップ制度などを利用できればぐっと仕事が身近になり、より満足のいく就活ができるでしょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート