はじめに
就活で最初のハードルであり最大の悩みどころといえば、進むべき業界の選び方でしょう。
そこで役立つのが業界地図です。
ここではそもそも業界地図が何を意味するものなのか、どのように見て分析すればいいかも含め、就活市場がオススメする情報を紹介します。
業界地図とは
業界地図とは、主要企業を業界に分けてマッピングした企業図鑑のようなもので、基本的に年度ごとに出版されています。
それを見れば最新の動向やトレンドがつかめるほか、業界自体の規模が現在どのくらいかも知ることができるため、就活生には欠かせないバイブルです。
該当する業界で主要となる企業の業績や規模を知ることも可能で、同じ業界内でのシェアや競合する企業の関係性などもわかり、視覚的にわかりやすく解説されているのが特徴です。
もう一つの工夫が各ページともフォーマットを一定にすることで、業界をまたいで比較するのを容易にしている点でしょう。
業界同士を比較する場合にも、企業を比較する場合にも、レイアウトが同じなのでページをめくりながら簡単に比較分析ができるようになっています。
就活ですべきことは山ほどありますが、スタート地点で一番重要なのは、希望する業界を絞り込み、目指す企業の分析を行うことです。
まず業界そのものを調査分析し、狙う企業について調べ、しっかり前準備をすることで内定獲得により近づくことができるでしょう。
事実、狙い通りの結果を出せた人たちは、受験勉強のときと同じくらい企業研究に時間と労力を使ったと口にしています。
まだ就活を始めたばかりで何をすればよいかわからない人は、まず業界地図を手にするところから始めるとよいでしょう。
親族などが関係している業界に関しては、子どものころから情報が入りやすいのである程度は知識に触れることもできます。
でもまったく生活に関連がなかった業界のことは、一切知らないという学生もたくさんいます。
たとえば金融業界にはどんな企業が属するのか、ITはよく耳にするけれどどれくらいの規模なのか、まったくわからない人も少なくありません。
そもそも商社はどんな仕事をしているのか、メーカーと小売店は何が違うのか、そこからわからない人もいるでしょう。
経済新聞で勉強するのもいいですが、そもそも経済を動かしている業界や企業を知らなければ、書いてあることの意味がチンプンカンプンです。
それまでの人生で関わってこなかったのですから恥じる必要はありませんので、まず第一歩として業界地図を購入し、わからなくてもとにかく読み続けるのがよいでしょう。
業界地図では業界ごとに主力企業が紹介され、事業展望や今来ているビジネスなどがわかりやすく解説されています。
種類がありますが、文字だけのものはなかなか理解しにくいので、レイアウトが見やすく図解されているものがオススメです。
最初はすべてを理解できなくても、とにかく全業界の情報を大枠から掴み、経済を動かしている原動力を知りましょう。
その中でなぜか興味がひかれる分野があれば、それはもしかしたら自分が知らない自分に合致する業界かもしれません。
また、経済は一つの業界内で完結するものではないので、対象外の業界の動向も知っておくと、面接などでも非常に有利に働くことになります。
別業界でも必ずどこかでつながりますので、より深く経済の仕組みを知ることができます。
業界地図でわかること
業界地図でわかることはたくさんあります。
ただ最初は、軽く浅くでよいので、全部の業界に目を通しましょう。
就活を始めてから慌てて読み出すのでは効率が悪いですし、途中で何か興味を持ち始めた業界があっても、そこから方向転換するのは大きなタイムロスになります。
就活を始めるときに購入し、こんな世界があるんだなという程度でもよいので、全部の業界に複数回目を通してみましょう。
最初は流し読みで構いませんし、何度か目を通したら、あとは興味のあるところだけ深く読み進めるのコツです。
絞り込むときには、人の言葉や口コミなどに振り回されず、本当に自分が興味を持てる業界をいくつかピックアップするのが正解です。
学生にありがちなのは、大手企業だけ調べてそこで満足してやめてしまう誤りです。
特にBtoCの企業は消費者に近く、CMでもよく見かけるので親近感を持ちやすいですが、結局就活でもエントリーが偏るので無駄に競争相手が増えてしまいます。
同じ業界には、消費者が名前を知らないだけの優秀企業は非常にたくさんあります。
実際に社会人になると、その企業の売上のすごさやシェアにあとから驚くことが多々あるのですが、就活時にその実力を知らないで見過ごすのはあまりにもったいないことです。
業界地図を読んでわかることはたくさんありますが、まずはどんな業界があるのかということを知りましょう。
そして、今来ている業界、将来来ると予想される業界がどこなのかも理解しましょう。
業界くらい知っていると勘違いしている人もいますが、業界地図で仕分けされているカテゴリーは、飲食業や製造業などという大ざっぱなくくりではありません。
非常に細分化された情報が掲載されていて、近年では180種近くもの業界が掲載されています。
インデックスを見るだけでも見ごたえがありますが、その中から注目の業界がカテゴライズされ毎回巻頭で紹介されていますので、より詳しく知ることができるでしょう。
ほかにも国内外の市場規模や業界の動向、主要な企業同士の関係性もマッピングされ、どの企業とどの企業がどんな資本関係にあるかも把握することができます。
たとえばまったく別会社に見えても、ほかの企業が何%か出資していて子会社化しているといった関係性を知ることができます。
企業間には資本提携や業務提携などがあり、出資率によっては単なる出資先であったり子会社であったり、関連会社になったりするので非常に重要なポイントです。
またこうした関係性は年度によって大きく変化するため、業界地図は常に最新のものを入手しなければ意味がないことも覚えておきましょう。
そして該当する業界において主要な企業については、規模や業績、主力商品などの情報も得ることができます。
企業の業績といえば、多くの人が売上や利益はすぐに思い浮かびますが、利益にも営業利益や経常利益、純利益などの種類があります。
こうした財務用語も覚えておくと、業界地図でわかることがどんどん広がり、より深くなるでしょう。
もう一つ、就活するなら注目したいのが各社の平均年収と平均年齢です。
主要企業においてですが、どれくらいの初任給があって、年収がどれくらいになるかがわかりますので、狙いを決めるのにかなり重要なポイントといえます。
こうした業界全体の動きを見ることで、今後期待が持てるのはどこなのか、自分なりの注目企業を絞ることができるのです。
業界地図と四季報の違い
企業研究といえば、業界地図のほかに四季報というものがあります。
こちらも就活生のバイブルですが、両者は何が違うのでしょうか。
四季報は、企業のプロフィールや業績予想などのデータが掲載されていますが、業界地図と違って基本的に年4回出版されます。
業界地図では業界=産業ごとに規模や動向などを知ることができますが、四季報は業界というより企業ごとに細分化して見ることができるのが特徴でしょう。
つまり大枠でいえば、業界切り分けか企業切り分けかが大きな違いです。
インデックスを見ると一目瞭然ですが、業界地図では業界がインデックスになっていて、四季報では企業がインデックスになっているのが一般的です。
また、四季報の中には通常得られないニッチな情報に特化した版もあり、女性向けに特化したものでは女性採用数や既婚率、女性採用実績校などの情報や、産休育休の取得者数などが掲載されているものもあります。
たとえば希望先が本当に信頼できる企業なのか、将来性はあるのかといった面を調べたり、自分が挑戦して採用される見込みがあるかどうかを考察したりするのには四季報が役立つでしょう。
つまり、全体の動向を大まかに知るなら業界地図、企業ごとの詳細な情報を知るなら四季報を選び、両方を組み合わせて使い分けるのがよいでしょう。
就活のスタート時は業界地図で主要企業を把握し、ある程度ターゲットが絞れたら四季報でより深く企業理解を深めるのが正解です。
同じ出版社から、姉妹本として業界地図と四季報を両方出している場合もあります。
就活市場がオススメする業界地図
それではオススメする業界地図を紹介します。
業界地図は複数の出版社や新聞社から発行されていますが、中でもメジャーなものを挙げてみましょう。
①日経 業界地図
日本経済新聞社の発行です。
累計120万部で、業界の基本的な情報を知るのにピッタリな一冊です。
180業界ほどが収録され、それぞれの業界の基礎知識や最新動向がわかるほか、将来的な予想を晴れマークや曇りマークなどで現す業界天気図が好評となっています。
ひと目で理解しやすいレイアウトや図解が秀逸です。
②会社四季報 業界地図
東洋経済新報社の発行です。
全国大手書店調べでは8年連続の売上No.1を達成する業界地図で、姉妹本の会社四季報と同様非常に高い評価を得ています。
メインの地図のほかにトレンド解説などもされていて、四季報の経済記者が客観的視点で分析する欄外コラムなども掲載されています。
業界勢力図が図解されていてわかりやすいので、自分が志望する業界と近い業界も同時に理解を深めることができるでしょう。
③図解! 業界地図
ビジネスリサーチ・ジャパン著でプレジデント社の発行です。
就活を始めたばかりでまだ業界を絞り切れていない人や、自分が向く業界がわからない人にピッタリの一冊でしょう。
興味を持てる業界を知るためにまずは業界全体のことを勉強し、業界ごとに市場規模や事業内容、仕事内容などを知ることができます。
働く環境や年収などの項目もまとめられていますので参考になるでしょう。
まとめ
業界地図は、就活を開始するときに必須といえるバイブルです。
業界研究をしているかいないかで、就活の成果が大きく変わるといっても過言ではありません。
活用するポイントは、全体の動向を知りつつ自分に合う業界を知り、ある程度狙う企業を絞ったら面接対策だと考えて取り組むことです。
志望動機と直結する内容にもなりますので、是非オススメの3選からフル活用してみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート