はじめに
企業から内定を出されても、すぐには返事ができないことも多いと思います。
他社の選考結果を待っている場合や、返事をする前に吟味をしたい場合など、状況はそれぞれですが、そんなときに使えるのが内定保留です。
しかし保留するといっても、いつまでも結論を先延ばしにすることはできません。では具体的に、内定保留はどれくらいの期間可能なのでしょうか。
また、それにより、どのようなリスクがあるのでしょう。
内定保留の目安は一週間
内定保留の目安は、大体一週間とされています。
ただし全ての企業が内定保留に応じてくれるわけではありません。
企業によっては待ってもらえないこともあり、その場で返事をするように求められる場合もあります。
ただしこれは珍しいケースで、一般的には「一週間ほど考えるお時間をいただきたいのですが……」と正直に伝えれば、大抵の企業はこれを承諾してくれます。
内定保留の期間が長くなると、それだけ相手企業に迷惑がかかってしまいます。
入社後しばらく、印象が悪くなってしまう可能性も否定できません。
どんなに長くても、入社の1ヶ月前には連絡をすべきです。
このころには配属が決まり、配属予定の部署でも内定者を受け入れるための準備を進めています。
この時期になって内定辞退をするのは「非常識だ」と言われても仕方ないでしょう。
しばらく返事を待ってほしいときは「〇日までに結論を出すのでどうかお待ちください」と期限を示すのが丁寧な方法です。
一週間以上保留したい場合
では、もしも一週間以上内定保留をしたい場合にはどうすれば良いのでしょうか。
期間にも寄りますが、それだけの期間内定を保留したい事情を、正直に話すのが最も確実です。
他の企業の選考結果が出てから決めたいというのであれば、そう伝えた方がいいですし、田舎の祖父母に相談したいと思うのであれば、やはりそう伝えた方がいいでしょう。
内定保留を受けている企業としても、候補者が自分の会社に入ってくれるのか、他の会社に行ってしまうのか不安で仕方がありません。
お互いが疑心暗鬼にならないためにも、誠意のある対応を心がけて行動することが大切になります。
内定保留をしたことで生じるリスク
内定保留をすることで、思わぬ結果を招くということもあります。
極端な場合、内定保留を理由に内定が取り消されるというケースもあるでしょう。
ですが普通に内定保留の意思を伝えただけではこのようなことにはなりません。
こういったリスクを回避するためにも、内定保留をする場合にはなるべく早期に連絡をすることが大切となります。
早い段階で連絡を行い、先程述べたような順序で説明をすれば、余程の問題がない限りは内定取り消しなどの事態には陥りません。
保留をすることを恐れ、返事を有耶無耶にしていても良いことは何もありません。
内定を受けるか断るか悩んでいる場合には、とにかくその旨を企業側と共有することが大切となります。
就活が始まると、こういったシチュエーションに遭遇する可能性はままあります。
だからこそ、実際そうなる前に、正しい段取りを把握しておきましょう。
内定を取り消される可能性がある
内定保留をすることで内定を取り消されるということも発生し得ます。
しかし、早期に連絡しておくことで高い確率で内定取り消しされるという事態を避けることが可能ですので、悩んでいる方は早めの連絡をおすすめします。
企業への連絡が遅れたり、歯切れの悪い話し方をしたり、返事を出す時期を伝えなかったりした場合はトラブルが起きやすいので注意しましょう。
企業からハラスメントを受ける可能性がある
内定保留をすると、採用担当者から「オワハラ」を受ける可能性もあります。
具体的には「ほかの企業の選考をこれ以上受けないでもらいたい」「必ず入社すると一筆誓約書をしたためてほしい」と言われることが考えられるでしょう。
こういったやり方に圧力や不快感を覚える方も多いです。
もしその企業がそれほど志望度の高いところではなかった場合、思い切って辞退してしまう手もあります。
オワハラがしつこいと感じる場合や、人事担当者の態度が内定保留した途端に急変したという場合はよく考えましょう。
内定保留を申し出る際の流れ
次に、内定保留を申し出る流れをご紹介します。
電話、またはメールで伝える
伝えるのはどちらでも構いません。
ただしその場で内定を言い渡された場合には、可能な限り口頭で伝えるようにしましょう。
それ以外の場合は、メールの方が十分に準備や見直しができるので、電話よりもオススメです。
内定保留をする場合は、できれば電話とメールの両方で連絡をしてください。
電話はすぐに相手と連絡がつきやすく、返事を待たせずに済むメリットがあります。
一方メールは「内定保留の連絡を入れた」という記録が相手の受信記録に残り、のちのちの不要なトラブルを防ぐ意味が大きいです。
営業時間外や休日に気兼ねなく連絡できるのも、メールの利点といえるでしょう。
先にメールで連絡を入れ、メールの本文で「あらためて電話でも連絡します」と伝える方法もあります。
伝えるべき内容
内定保留の連絡をする際、相手に伝えるべき内容をまとめました。
ただ「内定承諾の返事を待ってください」だけでは、あまり心証がよくありません。
伝えるべきポイントはしっかり伝え、相手に失礼のないようにしましょう。
特に迷っているものの入社を前向きに考えている場合、入社を前提に考えていることや、返事をする具体的な期日について伝えるほうが賢明です。
常に礼儀正しい連絡を心がけ、入社時に気持ち良く歓迎されるようにしておきましょう。
①内定保留する理由
メールや電話の中では、先ず内定保留の意思を伝えます。
この部分が連絡の要件にあたることなので、なるべく早い段階で簡潔に伝えましょう。
内定保留の意思を伝えたら、その次にその理由を話します。
この部分もあまり時間をかけすぎず、わかりやすく伝えるように心がけてください。
そして内定保留についての話でも、あくまでその企業への興味や、志望度の高さはあるということを上手に伝えましょう。
ただし、よく見られようとするあまり嘘をついたりするのはダメです。
正直に理由を伝えて、丁寧な対応で正直に話をするようにしてください。
②内定留保する期間
内定保留の意思と、その理由を伝えたら、最終的な結論を出せる時期について説明します。
この部分を伝えなければ、向こうとしてもいつまで保留すればいいのかわかりません。
期間は既に述べた通り、大体一週間程度が一般的とされています。
③入社意欲があること
内定保留の際にしっかり入社意欲を伝えておくと、採用担当者が無理に誓約書を書かせるといった手段をとることなく、快く内定保留を承諾してくれる可能性が高いです。
入社後の先輩社員の印象を良くするためにも、入社意欲があることを伝えておくことに大きな意味があります。
その際の内定保留理由に関しては「ほかに選考を受けた・お世話になった企業の評価を最後まで聞き、すべての企業に断りを入れてから返事を出したい」といった伝え方が可能です。
【内定保留の期間】内定保留後の対応に関するポイント
内定保留後の対応について、気をつけたいポイントについて見ていきましょう。
多くの採用担当者は、内定を出してからも本当に全員辞退せず入社してもらえるかとても不安に思っています。
1人だけ内定保留したいという返事があった場合「入社直前で内定を蹴られるのではないか」「他の人よりモチベーションが低いのではないか」と考えてしまうのも無理はありません。
保留の連絡をしたあとの丁寧な対応で、決して入社のモチベーションが低くないことを理解してもらいましょう。
内定を承諾する場合
内定を承諾する場合は、内定を保留していただいたことへのお礼と入社の意思を丁寧に電話やメールで伝えます。
待たせた期間が長くなった場合、そのことも謝罪しておきましょう。
入社の意思表明に関しては、ただ「入社させていただきます」だけでは熱意が伝わりにくいです。
「入社後に誠心誠意、一生懸命働きたい」という決意の一文を添えるだけで、相手の印象は大きく変わるでしょう。
長文にする必要はありませんが、最低限お礼の気持ちや心から入社を望んでいる気持ちが伝わるよう心がけてください。
内定承諾のメール例文
タイトル:「内定承諾のご連絡/〇〇大学××学部(氏名)」
〇〇株式会社
人事部 〇〇部長
お世話になっております。
貴社の来年度総合職採用試験を受け、内定をいただきました、〇〇大学××学部の(氏名)です。
この度は内定の通知を頂戴しておきながら、私の身勝手な都合により即座に内定承諾の連絡ができなかったことをお詫びいたします。
再考した結果、謹んで内定を受け、入社させていただくことを決めました。
入社後はご期待に添えるよう、微力ながら全力を尽くし日々の業務に励む所存です。
寛大にも返事を出すまでの猶予期間をいただけたことに対し、心から感謝申し上げます。
今後とも、何卒宜しくお願いいたします。
〇〇大学××学部
(氏名)
電話:xxx-xxxx-xxxx
Mail:(メールアドレス)
内定を辞退する場合
内定を取り消してもらいたい場合の連絡も、相手に失礼のないようにご注意ください。
内定を辞退する意思だけでなく、返事を待ってくれたことに対するお礼・辞退することへの謝罪を伝えましょう。
お詫びの気持ちを込めつつも、内定を受け入れられないことは明確に伝える必要があります。
お世話になった担当者に辞退の連絡をするのは心苦しいですが「辞退したい気持ちが強いです」といった表現を使わずはっきり「辞退いたします」と述べましょう。
内定辞退のメール例文
タイトル「内定辞退のご連絡/〇〇大学××学部(氏名)」
〇〇株式会社
労務部人事課 〇〇人事課長
お世話になっております。
貴社から内定をいただいておりました、〇〇大学の××です。
この度は内定の承諾までにお時間をいただき、誠に申し訳ございませんでした。
熟慮の結果、貴社の内定を辞退したくご連絡いたします。
内定通知をいただいたにもかかわらず、ご期待に添えず大変申し訳ありません。
本来直接訪問して謝意を伝えるべきところ、メールにてご連絡差し上げることも何卒ご容赦ください。
説明会から面接まで終始お世話になった〇〇人事課長をはじめ、採用に関わってくださった皆様には心から感謝しております。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
〇〇大学××学部
(氏名)
電話:xxx-xxxx-xxxx
Mail:(メールアドレス)
内定保留を断られた場合
どれだけ丁寧に連絡をしても、企業によっては内定保留を断られることもあります。
稀なことですが、もしも内定保留を断られた場合には、しっかりと契約書などの書類を読み込みましょう。
その上で問題がなく、企業に対する志望度も高いのであれば、思い切って内定を受けるのもありでしょう。
契約書に書かれていることや、それ以外でも不明な部分があったときは、担当者に問い合わせるようにしてください。
時間がないときだからこそ、疑問を残さないようにするのも大切です。
その上で納得できなかったり、返事をしてもらえなかったりした場合には、残念ですが縁がなかったと考え、断るという選択肢もあるでしょう。
一生にも大きく関わる選択なので、軽率に決めないことが大切です。
終わりに
内定保留は特別なことではなく、多くの就活生が当たり前に行っていることです。
一生働くことになるかもしれない会社選びですから、真剣にじっくりと考えるのは当たり前のことです。
ただしその際には、今回ご紹介したように、誠意をもって丁寧に相手側に保留の意思を伝えることを心がけてください。
そのようにすれば、企業側も理解を示してくれる可能性が高くなります。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート