理系の就活面接では自己紹介において、大学での研究成果など専門的な内容とからめながら自分のアピールをすることがあります。自分の研究成果や研究能力を十分に伝えるためには、面接官との自然なコミュニケーションが欠かせません。
面接開始後すぐに求められる「自己紹介」は、面接官とのコミュニケーションのきっかけと位置づけられています。自己紹介を上手に利用することで、納得いく面接を実現できるでしょう。ここでは、自己紹介のポイントや例文をご紹介します。
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面接で自己紹介をする目的とは?
理系・文系にかかわらず、就活の面接では最初に「まず自己紹介をお願いします」などと指示されることがあります。
面接がスタートしたタイミングでは、就活生と面接官は対面したばかりで十分にコミュニケーションがとれていません。そのため、自己紹介を通してコミュニケーションのきっかけを作るというのが、面接官が最初に自己紹介を求める意図です。
志望動機や自己PRなどの重要なポイントは後で改めて質問されるため、自己紹介の部分ではあまり長く語りすぎず、簡単なプロフィールと挨拶にとどめましょう。自己紹介で伝えたい内容は、まず大学名と学部学科名、氏名です。続いて大学の研究内容や課外活動、なぜその企業を受けたかなど、後々面接で質問してほしいことを一言程度で簡単に伝えましょう。
自己紹介と自己PRの違い
自己PRが自身の強みや特徴で自分を印象付けることに対し、自己紹介はまず基本情報を伝えるものです。
面接では、限られた時間の中でこれらをバランス良く織り交ぜることが求められます。
注意点は「自己紹介」を求められた際に、PRに偏りすぎないこと。
あくまで自己紹介を主体とし、基本情報以外の部分で自身の強みを効果的に加えるのがポイントです。
面接官が何を知りたいのか、その意図を汲んで的確に答えることを常に意識しましょう。
理系学生が面接の自己紹介で伝えるべき内容
理系の方が面接の自己紹介で伝えるべき内容についても紹介します。
基本的に文系の方と変わりませんが、研究内容について強調する学生の方が多いということは覚えておきましょう。
基本情報や趣味・特技、熱意や意気込みについて語る部分はそこまで文系学生の方と変わりません。
大学、氏名などの基本情報
〇〇大学〇〇学部〇〇学科4年生の〇〇〇〇と申します。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
基本情報を伝えることは必須です。自分の氏名、大学名など、最低限の情報は最初に伝えるようにしてください。
ガクチカ、研究内容
私が大学生活で力を入れてきたことは〇〇に関する研究活動です。
特に〇〇の性能向上や効率化を目指した〇〇(例. 実験、シミュレーション)の取り組みを行ってきました。
この研究では〇〇(手法)を用いて〇〇を解明することを目指しており、その成果の一部を学会で発表する機会もいただき、他大学の教授の皆様からもお褒めの言葉をいただきました。
研究活動を通じて粘り強く課題に取り組む姿勢や仮説を立てて検証するプロセスの重要性を学びました。
また、研究室内でのディスカッションや共同作業を通じて、他者の視点を取り入れながら物事を進める柔軟性も養いました。
これらの経験は社会人として課題解決やプロジェクトに貢献する基盤となると考えており、特に新規事業に積極的に取り組む御社で活用できる経験であると考えています。
大学で力を入れていることや研究していることについて軽く触れましょう。深く説明しても専門的な内容は伝わりづらい可能性があるため、ここでは軽く触れる程度で問題ありません。
趣味、特技
私の趣味は筋トレで、週に5回ジムに通ってトレーニングを行っています。
大学に入るまでは線が細く、体調を崩しやすかったのですが、YouTubeでボディビルの大会の動画を観た際に、力強い人間になりたいと考え始めました。
当初は全く体が成長しませんでしたが、食事やトレーニングを研究し、工夫したところ、みるみる体が成長し、体重が増えない、もしくは減らないことに悩んでいる多くの友人のボディメイクを手伝うこともできました。
この経験を通じて、自分なりに工夫し、どうすればストレスを最低限に抑えつつ、最高の結果を導き出せるかを考える習慣が身につきました。
御社においても、ただ数字を出すことだけにとらわれず、長期的に安定して働けるよう、心身ともに負担の少ない最適な方法で業務に取り組む工夫をし続けたいと考えています。
趣味、特技に触れることで、自分の緊張感を解いたり、面接官に自分の人間性を知ってもらうことができます。
熱意、意気込み
御社は第一志望であり、御社のような企業で働くことこそ、私にとって長年の夢でした。
御社は常に新規事業に取り組み続けており、ただルーティンワークをこなすのではなく、成長のために新たな手法を取り入れ続けています。
このような常に挑戦し続ける姿勢こそ、私の理念と完全に一致するものであり、御社のような企業で成績を残すことこそ、自己実現を達成する方法であると考えています。
企業の目的と自分の人生において達成したい目標が共通しているということは業務において強烈なモチベーションとなり得ます。
内定をいただけた場合は、常に御社に最大限の貢献を残し、自身もやりがいを感じ、さらに仕事を楽しめるよう、取り組み続けたいと考えています。
熱意、意気込みもアピールすることで、自己紹介からその企業への志望度の高さをアピールすることができます。
選考やその企業への入社に対してどの程度熱量があるのかを素直に伝えましょう。
時間が余ったら面接の自己紹介で話しておきたい内容
基本的な自己紹介に加え、時間に余裕があれば自分らしさを伝える要素を盛り込みましょう。
・出身地
・好きな言葉
・好きな本や映画
・尊敬する人物
与えられた時間や面接の状況に応じて、これらの内容を効果的に付け加え、あなたの人柄を伝えましょう。
出身地
出身地を話す際は、その土地があなたに与えた影響まで語るのがポイントです。
地域の文化や自然の中で、どのような価値観や人となりが育まれたのかを説明しましょう。
例えば「自然豊かな環境で育ち、何事にも落ち着いて取り組む姿勢が身についた」といった具合です。
その土地ならではの背景と自分の人間性を結びつけて伝えれば、単なる情報で終わらず、面接官の印象に残りやすくなります。
好きな言葉
あなたの価値観や行動の軸となっている言葉を紹介するのも有効です。
その言葉の意味と、心に響いている理由や具体的なエピソードを説明しましょう。
例えば「失敗は成功のもと」を挙げ、試行錯誤を繰り返した研究活動と結びつければ、挑戦を恐れない姿勢や学び取る力をアピールできます。
あなたの人生や仕事への向き合い方が伝わり、人柄を深く印象づけられるでしょう。
好きな本や映画
好きな本や映画を取り上げることで、あなたの価値観や関心事を伝えることができます。
作品の簡単なあらすじに触れ、「なぜ心惹かれるのか」「どんなメッセージを受け取ったのか」を語りましょう。
例えば、主人公が困難を乗り越え成長する物語を挙げ、「目標達成への過程に共感する」と話せば、粘り強さを示せます。
作品の好みを通して、あなたの人間性や志向性を効果的にアピールしましょう。
尊敬する人
尊敬する人物を挙げることで、あなたの価値観を示すのも良い方法です。
その人物のどのような功績、考え方、生き方に惹かれ、なぜ尊敬しているのかを具体的に説明しましょう。
例えば、特定の科学者を挙げ「逆境の中でも諦めずに真理を探究し続けた姿勢」を語れば、あなたの研究や仕事への誠実さを示せます。
尊敬する人物を通して、自身のあり方や目指す目標を面接官に伝えましょう。
理系学生が面接の自己紹介で押さえるべきポイント
ここからは、理系学生が面接の自己紹介で押さえるべきポイントを具体的に解説します。
自己紹介に絶対の正解はありませんが、論理的かつ魅力的に自分を伝えるための要点はあります。
自己紹介が苦手な方、さらに磨きをかけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ガクチカを入れる
自己紹介に「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」を簡潔に盛り込むのも有効です。
研究やゼミ、アルバイトといった経験は、あなたの強みを示す絶好の材料になります。
ただし、自己PRのように長々と語るのは禁物です。
「〇〇の研究で課題解決能力を培いました」など要点を絞って伝え、面接官がさらに質問したくなるようなコミュニケーションのきっかけを作りましょう。
入社意欲を盛り込む
自己紹介の締めでは、入社への熱意を簡潔に伝えましょう。
数ある企業の中で「なぜこの会社なのか」を示すことで、あなたの本気度が伝わり、良い印象を残せます。
「貴社の〇〇という事業に強く惹かれており、自身の△△の専門性で貢献したいです」のように貢献意欲を添えることで、入社後の活躍イメージを面接官に与えましょう。
印象よく伝える
話す内容と同じくらい、表情や視線といった非言語的な情報も重要です。
常に笑顔でいる必要はありませんが、口角を少し上げ、明るい表情を心がけましょう。
面接官の目を見て話すことで、あなたの誠実さが伝わります。
複数の面接官がいる場合は質問者を中心に、時折他の人にも視線を配るのが基本です。
自信のある態度は熱意の表れ。
言葉に詰まっても下を向かず、前向きな姿勢を保ちましょう。
【学部別】理系学生の自己紹介例文とポイント
続いて、理系の学生の方の自己紹介の例文とポイントについて紹介します。
理系の代表的な9つの学部を厳選したため、あなたの学部や学んできた内容に最も近いものを中心に参考にしてみてください。
例文のポイントがどのような点にあるのかについても紹介しています。
1. 理学部
〇〇大学理学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
大学では物理学を中心に学び、特に新素材の特性解析をテーマにした研究に取り組んでいます。
〇〇(例. 超伝導材料の応用や光学特性の評価)実験とシミュレーションを組み合わせたアプローチを採用し、新たな知見を追求しています。
研究を通じて、論理的に課題を整理し、仮説を立て、それを検証するプロセスの重要性を学びました。
趣味は読書とサイクリングで、読書では科学の最新トピックを扱った書籍を読むことで知識を深めています。
これまでの研究活動や学びを活かし、御社の製品開発に貢献できる人材を目指しています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
研究内容については、ざっくりとした説明で構いません。
面接の後半で深掘りされる可能性があるため、この段階で詳細を1から10まで説明する必要はないのです。
「これまでの研究活動や、学びをどう活かすかについて述べるべきだ」と思うかもしれませんが、その点についても後ほど聞かれるため、自己紹介部分では簡潔に説明するだけで十分です。
2. 工学部
〇〇大学工学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
大学では機械工学を専攻し、自動車の燃費向上に関する研究に取り組んでいます。
具体的にはエンジン内部のエネルギー損失を最小限に抑える設計や、軽量化素材の使用による車体の効率化をテーマにしています。
研究を通じて、設計ソフトを駆使して試行錯誤を重ね、最適な構造を見つけ出すスキルを磨きました。
趣味はDIYで、自作の機械や小型装置を作ることを通じて手先の器用さと創造力を高めています。
これまでの経験を基に、御社の技術革新に積極的に貢献したいと考えています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
工学部の場合も基本的なポイントは同じです。
どのような研究をしており、どのような実験などを行っているかについて、簡単に述べましょう。
また、例文の中で趣味が研究内容や受ける企業の業務内容に関連している場合、より説得力のあるアピールになります。
3. 理工学部
〇〇大学理工学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はこのような場を設けていただき、ありがとうございます。
大学では応用化学を専攻し、触媒技術の改良を通じた化学反応の効率化をテーマに研究を行っています。
具体的には〇〇触媒を用いた新たな化学プロセスの開発を目指し、実験とデータ解析を重ねています。
研究を通じて、細かなデータを丁寧に分析し、そこから有用な結論を導き出す力を培いました。
趣味はアウトドア活動で、キャンプや登山を通じて自然の中で新たなインスピレーションを得ることを楽しんでいます。
これらの学びと経験を活かし、御社の研究開発に積極的に貢献したいと考えています。
本日はよろしくお願いいたします。
どのような研究をしているかをざっくり説明した後に、どのような能力を身につけたのかを簡潔に述べています。
趣味と研究や業務内容が一見関連しない場合でも、「インスピレーションを得ることを楽しんでいる」といった表現を用いることで、間接的に関連性を示すことができます。
4. 医学部
〇〇大学医学部医学科の〇〇と申します。
本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
大学では内科学を中心に学び、特に診断技術の向上をテーマにした研究を行ってきました。
また、研究では病気の早期発見を目指した検査技術の改良に取り組み、データの分析や報告書の作成を通じて課題を論理的に解決する力を養いました。
趣味は音楽鑑賞とピアノで、心をリフレッシュさせるための大切な時間としています。
これまでの学びと経験を活かし、貴院で患者様に安心感を与える医療を提供しつつ、自身の医療技術をさらに高めていきたいと考えています。
本日はよろしくお願いいたします。
医学部の方の場合、自己紹介だけで評価が大きく左右されるということはありません。
よほどおかしなことを言わない限り、特に問題になることは少ないでしょう。
医師という職業は心身ともに大きなストレスがかかる仕事であるため、どのようにリフレッシュしているかを述べている点は高評価につながります。
5. 看護学部
〇〇大学看護学部看護学科の〇〇と申します。
本日はこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
大学では基礎看護学を専攻し、特に臨地実習を通じて患者様に寄り添うケアの実践に力を入れてきました。
特に、患者様一人ひとりの症状や心理状態に応じた適切な看護計画を立案し、実践する経験は今の私を作っていると考えています。
実習では患者様の小さな変化に気づき、迅速に対応する観察力を磨くと同時に、医師や他職種と連携することでチーム医療の大切さを学びました。
趣味は料理やフラワーアレンジメントで、創造力を活かして新しいことに挑戦することが好きです。
これまでの学びと経験を基に、患者様の信頼を得られる看護師として、貴院に貢献したいと考えています。
本日はよろしくお願いいたします。
こちらの方は実習を通じてどのような経験をし、どのような学びがあったのかについて説明できているため、就職後即戦力として活躍するイメージを簡潔に伝えられています。
趣味と業務内容の関連性はあまりないように思いますが、必ず関連させなければならないというわけではないですし、簡潔に説明できているため、十分でしょう。
6. 歯学部
〇〇大学歯学部歯学科の〇〇と申します。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
大学では予防歯科の重要性について研究し、特に地域社会における口腔ケアの普及に力を入れてきました。
研究では虫歯や歯周病の予防効果を高める新たな歯科製品の開発に関する実験を行い、その有効性を検証しています。
趣味はランニングと映画鑑賞で、ランニングでは集中力と体力を高め、映画鑑賞では新しい視点や発想を得ることを楽しんでいます。
これまでの経験を活かし、貴院で患者様の健康を支える歯科医師として成長したいと考えています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
こちらの例文はこれまでどのような研究を行ってきたか、現在どのような研究を行っているかについて非常に分かりやすく説明できています。
また、歯科医師も体力勝負的な要素が強いため、普段からランニングで体を鍛えていることは高評価につながるでしょう。
7. 獣医学部
〇〇大学獣医学部獣医学科の〇〇と申します。
本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
大学では動物の感染症予防に関する研究に取り組み、特に〇〇(例. ウイルス感染メカニズムや予防ワクチンの開発)の分野を専門としています。
また、動物病院での実習では診療の補助を通じて、飼い主様との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルを磨きました。
趣味は写真撮影と登山で、自然の中で動物の魅力を感じ取ることが心のリフレッシュにつながっています。
これまでの学びや経験を活かし、貴院で動物と飼い主様に安心を提供できる獣医師を目指していきたいと考えています。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
こちらの方はただ研究に取り組んでいただけでなく、獣医師として大切な飼い主とのコミュニケーションスキルを磨いたことを強調できているため、高く評価されるでyそう。
また、獣医師も命を扱う仕事であり、ペットを看取ることなども多いため、心のリフレッシュができる趣味を持っていることを伝えられているのも高評価と言えます。
8. 農学部
〇〇大学農学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
大学では食品生産学を専攻し、地域農業の持続可能性向上をテーマに研究を行っています。
研究ではデータをもとにした栽培方法の改善や、現場での実証実験を通じて、地域の農家と協力しながら課題解決を目指しています。
この経験から、問題を俯瞰的に捉え、多様な関係者と連携して解決に導く力を培いました。
趣味は家庭菜園と料理で、育てた食材を使って新たなレシピを考案することを楽しんでいます。
これまでの研究と経験を活かし、御社で食の安全と持続可能性を支える取り組みに貢献したいと考えています。
本日はよろしくお願いいたします。
こちらの方はどのような研究を行っており、そしてどのような学びがあったのかについて非常に分かりやすく説明できています。
また、趣味は家庭菜園と料理ということで、完全に研究や業務内容と結びついており、まさに企業に最適な人物であるという印象を与えやすいでしょう。
9. 情報学部
〇〇大学情報学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はこのような場をいただき、ありがとうございます。
大学ではデータサイエンスを専攻し、特にAI技術を活用した画像解析に関する研究に取り組んでいます。
特に医療分野での画像診断支援システムをテーマに、AIモデルの精度向上や効率的なアルゴリズムの開発に力を注ぎ、大量のデータを効率的に分析し、その結果を応用する力を磨いています。
趣味はプログラミングとゲーム開発で、自らのアイデアを形にするプロセスを楽しんでいます。
これまでの経験を活かし、御社で技術革新に貢献し、新たな価値を創出する人材を目指しています。
本日はよろしくお願いいたします。
こちらの方はどのような研究を行っており、そしてその知識をどのような場面に応用しているのかについてわかりやすく説明できています。
また、趣味もプログラミングとゲーム開発ということで比較的業務内容に近く「得意」なだけでなく「仕事に楽しんで取り組める可能性が高い」と判断されるでしょう。
【アピール別】理系学生の自己紹介の例文とポイント
これまでの自己紹介が、就職活動の面接でそのまま通用するとは限りません。
面接では、アピールしたいご自身の強みに合わせて内容を戦略的に調整する必要があります。
ここからは理系学生の皆さんに向け、アピールしたいポイント別の自己紹介例文を6パターン紹介します。
ご自身の経験に最も近いものを参考に、あなただけの自己紹介を組み立ててみましょう。
サークル活動(技術系)での問題解決力をアピール
〇〇大学工学部機械工学科の鈴木です。
私はロボット製作サークルで、大会に出場するロボットの設計リーダーを務めました。
開発当初、各メンバーが担当する部品の連携がうまくいかず、プロジェクトが停滞する問題がありました。
そこで私は、定期的な進捗共有会と、共通の設計ルールを設けることを提案・実行しました。
これにより、メンバー間の意思疎通が円滑になり、無事にロボットを完成させ、大会では技術賞を受賞することができました。
この経験で培った問題解決能力とチームでの調整力を、御社の製品開発の現場でも活かしたいと考えております。
本日はよろしくお願いいたします。
研究活動での論理的思考力・探求心をアピール
〇〇大学大学院 理学研究科 物理学専攻の佐藤です。
大学院では「次世代半導体材料」に関する研究に取り組んでいます。
研究では、従来の理論では説明できない実験結果が出ることが多々ありました。
その度に、結果を失敗と捉えるのではなく、新たな発見の糸口と考え、仮説の再構築と検証を数えきれないほど繰り返しました。
その結果、新しい物性メカニズムの一端を解明し、学会で発表する機会も得られました。
研究活動で培った論理的思考力と、未知の課題に対する探求心は誰にも負けません。
この強みを活かし、御社の技術革新に貢献したいです。
本日はよろしくお願いいたします。
アルバイト経験(塾講師)での伝達力をアピール
〇〇大学情報科学部の高橋です。
私は大学時代、個別指導塾の講師として3年間、中学生に数学を教えてきました。
当初、公式を暗記させるだけの授業では生徒の成績が伸び悩んでいました。
そこで、生徒一人ひとりの理解度を分析し、「なぜこの公式が必要なのか」という本質的な部分を、身近な例えを用いて図解するなど、伝え方を工夫しました。
結果、担当生徒のテストの平均点を20点以上引き上げることに成功しました。
この経験で身につけた「複雑な事柄を、相手に合わせて分かりやすく伝える力」は、技術者として社内外の方と連携する上で必ず役立つと確信しております。
本日はよろしくお願いいたします。
趣味(プログラミング)での自主性と創造性をアピール
〇〇大学理工学部システムデザイン学科の伊藤です。
私の趣味は、個人でWebアプリケーションを開発することです。
大学の講義で学んだ知識を実践に活かしたいと考え、独学で追加の言語を習得し、日々の学習記録を管理するタスク管理ツールを開発しました。
企画から設計、実装、運用まで、すべての工程を一人でやり遂げたことで、ものづくりの全体像を掴むことができました。
この趣味で培った「目標達成のための自主的な学習能力」と「ゼロから価値を創造する力」を活かし、常に新しい技術へ挑戦し続ける御社の一員として貢献したいです。
本日はよろしくお願いいたします。
部活動(体育会)での目標達成意欲をアピール
〇〇大学生命科学部の渡辺です。
私は大学でアメリカンフットボール部に所属し、ディフェンスチームの戦術分析を担当していました。
前年度、私たちのチームは失点が多く、敗戦が続いていました。
私は過去の試合映像を徹底的に分析して相手チームの攻撃パターンをデータ化し、それに基づいた新しい守備戦術を考案・提案しました。
チームメイトと議論を重ねて戦術を浸透させた結果、シーズン失点を前年の半分に抑え、チームを地区リーグ3位に導きました。
この経験で得た「現状を分析し、目標達成のために粘り強く行動する力」で、御社の事業目標達成に貢献したいと考えております。
本日はよろしくお願いいたします。
自己紹介を英語で行う場合
Hello, my name is Kenji Yamamoto from the Department of Computer Science at Shukatsu University.
(〇〇大学コンピュータ科学科の山本健司です。)
In my academic research, I have been focusing on machine learning, specifically developing an algorithm to improve image recognition accuracy.
(大学の研究では、機械学習、特に画像認識の精度を向上させるアルゴリズム開発に注力してきました。)
Through countless trials and debugging, I successfully improved the accuracy rate by 5% compared to conventional methods. This experience has strengthened my logical problem-solving skills and my perseverance.
(無数の試行錯誤とデバッグを経て、従来の手法より認識率を5%向上させることに成功しました。この経験は私の論理的な問題解決能力と忍耐力を高めてくれました。)
I am eager to apply these skills to contribute to your company's innovative projects. Thank you for your time today.
(このスキルを、御社の革新的なプロジェクトに貢献するために活かしたいと強く願っています。本日はお時間をいただきありがとうございます。)
理系学生の面接の自己紹介で見ている部分
自己紹介は、面接官にとって重要な評価の機会です。
その短い時間で、あなたのどこに注目しているのでしょうか。
ここでは、面接官が特にチェックしているポイントを具体的に解説します。
マナーができてるか
面接官がまずチェックしているのは、社会人としての基本的なマナーです。
優れた専門性も、相手への敬意や円滑なコミュニケーションの土台となるマナーがあってこそ活かされます。
特に、ポテンシャルを重視する一次面接では、この点が厳しく評価される傾向にあります。
具体的には、清潔感のある身だしなみや明るい表情、正しい敬語の使い方、そして相手の話を真摯に聞く姿勢(視線や相槌)などが見られています。
これらは意識すれば改善できるスキルです。
友人やキャリアセンターと模擬面接を重ね、自信を持って自然に振る舞えるように準備しておきましょう。
コミュニケーション能力
マナーと並んで、自己紹介で厳しく見られているのがコミュニケーション能力です。
多くの企業が採用で最も重視するスキルとして挙げており、自己紹介とその後の質疑応答を通じて、学生の対話能力を評価しています。
ここで言う能力とは、単に話がうまいことではありません。
面接官が最も注目しているのは「質問の意図を正確に汲み取り、的確な回答を返せるか」という点です。
特に理系職では、専門的な内容を分かりやすく説明する力が不可欠。
結論から簡潔に話すことを意識し、円滑な会話のキャッチボールができることを示しましょう。
対応力
予期せぬ状況への対応力も、自己紹介で見られる重要なポイントです。
「1分でお願いします」といった突然の時間指定は、その典型的なテストと言えるでしょう。
この課題で見られているのは、単に話を要約する速さではありません。
与えられた制約の中で、最も伝えたい自分の強みや要点を瞬時に判断し、構成し直す能力です。
研究開発の現場でも求められるこの種の柔軟性を示すため、30秒・1分・3分など、複数のパターンの自己紹介をあらかじめ準備しておくと、自信を持って対応できます。
理系学生の面接の自己紹介で注意すること
自己紹介は、あなたの第一印象を決定づける重要な場面です。
しかし、アピールを意識しすぎるあまり、かえってマイナスの印象を与えてしまうケースも少なくありません。
ここでは、そうした事態を避けるために、新卒面接の自己紹介で特に気をつけるべきポイントを具体的に解説します。
アピール中心にしない
自己紹介で気をつけるべき最初のポイントは、アピール中心にしすぎないことです。
自分を良く見せたいという気持ちから、スキルや実績を詰め込みたくなるかもしれませんが、それは自己PRの役割です。
自己紹介の目的は、あくまで「自分が何者か」という基本情報を伝えること。
ここでアピールが長すぎると「質問の意図を理解していない」「一方的に話している」と判断されかねません。
まずは氏名・大学・専攻といった基本情報を主体とし、アピール要素は最も伝えたい一点に絞って簡潔に添える、という構成を徹底しましょう。
シンプルな内容にする
自己紹介の内容は、誰が聞いても理解できるようシンプルに構成することが大切です。
特に理系の学生は、自身の研究内容などを話す際に、無意識に専門用語を使いがちなので注意しましょう。
面接官は、あなたの専門分野に精通しているとは限りません。
難解なキーワードを並べてもあなたの魅力は伝わらず、かえって独りよがりな印象を与えてしまいます。
「専門外の人にでも分かりやすく説明する能力」も評価対象です。
自身の強みや経験を、誰にでも伝わる平易な言葉で語ることを心がけましょう。
言葉遣いに気をつける
基本的なことですが、言葉遣いはあなたの社会人としての信頼性を測る重要な指標です。
過度に堅苦しくなる必要はありませんが、丁寧語(です・ます調)を徹底し、尊敬語・謙譲語を場面に応じて正しく使う意識を持ちましょう。
友人同士で話すような言葉や不適切な略語は、学生気分が抜けていないと判断されるため厳禁です。
また、自己紹介の冒頭で「本日は、面接の機会をいただきありがとうございます」のように、感謝の気持ちを伝えることも非常に効果的です。
それだけで誠実な人柄が伝わり、場の空気を良いものにすることができます。
自己PRとは明確に分ける
自己紹介と自己PRの役割は、明確に区別して臨みましょう。
自己紹介は「自分が何者か」を伝える挨拶であり、自己PRは「自分がいかに企業に貢献できるか」を売り込むプレゼンテーションです。
自己紹介の段階で自身の能力や実績を過剰に語ると、自慢話のように聞こえ、傲慢な印象を与えかねません。
含めるアピール要素は、あくまで人柄やポテンシャルを感じさせる「さわり」程度に留めるのが賢明です。
冷静かつ謙虚な姿勢を保ち、事実を客観的に述べることで、信頼感のある第一印象を築きましょう。
ES・履歴書と一貫性を持たせる
自己紹介で話す内容は、提出したエントリーシート(ES)や履歴書との一貫性が絶対条件です。
多くの場合、面接官は手元の書類に目を通しながら、あなたの話を聞いています。
その場で初めて聞く強みや、書類と矛盾するエピソードが出てくると、話全体の信頼性が揺らぎ、不誠実な印象を与えてしまいかねません。
面接直前には、必ず提出書類を完璧に再確認すること。
あなたという人物像にブレがないよう、発言と記述を一致させることを徹底しましょう。
自己紹介は1分程度で
特に時間の指定がなければ、自己紹介は1分程度で簡潔にまとめるのが理想です。
冗長な話は要点がぼやけ、聞き手の集中力を奪ってしまいます。
これはビジネスの基本である「要点を絞って簡潔に伝える能力」を示す最初の機会と考えましょう。
一般的に、人が1分間で話せる文字数は300字前後と言われています。
基本情報に加え、最も伝えたい強みやエピソードを1つに絞り、この文字数を目安に構成するのがおすすめです。
実際に声に出して時間を計る練習を繰り返し、最適な時間感覚を体に覚えさせましょう。
理系学生からのよくある質問
最後に、理系学生の皆さんが抱えがちな自己紹介の疑問にお答えします。
「英語で」「30秒で」といった、頻出の質問や特定の状況への対策をここで確認し、万全の準備を整えましょう。
英語で求められたら?
外資系やグローバルに事業展開する企業では、英語での自己紹介を求められることがあります。
語学力そのもの以上に、物怖じせず対応する姿勢が評価されるため、入念な準備で自信をつけましょう。
まずは、基本情報と自身の研究・強みをまとめたシンプルな英文を作成し、スムーズに言えるまで何度も音読練習を。
当日は、完璧な発音を目指すよりも、アイコンタクトや明るい表情を意識し、堂々と話すことが大切です。
あなたの将来性や熱意を伝える絶好の機会と捉え、前向きに臨みましょう。
IT企業の面接で効果的な自己紹介を知りたい
IT企業の自己紹介では「技術への純粋な興味」と「具体的なアウトプット」を結びつけて語るのが鍵です。
「〇〇という技術に可能性を感じ、独学でWebサービスを開発しました」のように、情熱を行動で裏付けましょう。
コンテストの入賞実績や、個人開発、オープンソースへの貢献などは、あなたのスキルレベルと学習意欲を客観的に示す強力な武器になります。
ただ「できます」と話すのではなく、作ったものや実績という「証拠」を提示することで、即戦力としての期待感を格段に高めることができます。
理系の面接の自己紹介を30秒でと言われたら?
30秒という厳しい時間制限は、情報の取捨選択能力と要約力が試される場です。
多くの情報を詰め込もうと焦るのは逆効果。
伝えたいメッセージを一つに絞り込みましょう。
「〇〇大学の△△です。□□の研究で培った課題解決能力が強みです。この力を御社で活かしたいと考えております」のような【基本情報+最も伝えたい強み1点+貢献意欲】という構成が黄金律。
150字程度のスクリプトを準備し、時間を計りながら練習を重ねましょう。
時間内に的確に終えることで、対応力の高さも同時にアピールできます。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート