はじめに
就活の自己PRで良く使われるキーワードと言えば、「気配りができる」「責任感が強い」「社交性がある」などがあります。
それらと比較すると、「穏やかな性格」というのは就活の自己PRとしてはふさわしくないようにも思えます。
それがどのように仕事の成果に結びつくかわかりにくいからです。
しかし逆に言えば、その点をわかりやすく示せば穏やかさも立派な自己PRの素材となり得るのです。
その点について、具体例を示しながら説明していきます。
大学卒業後、大手人材会社に就職し、新人賞、MVPを受賞。その後、さらなるキャリアステップのため、ベンチャー企業にて人材コンサルティング事業部の立ち上げを行う。キャリアアドバイザー、採用コンサルタントを兼務し、1000名以上の学生と面談を実施し、100社以上の企業の採用コンサルティングを実施。また、就活セミナーの講師として、就活生に対して就活のノウハウも提供し、就活生、企業の目線から最適なアドバイスの提供を行う。
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性格が穏やかな人の特徴
まず、性格が穏やかというのはどのような状態であるのかを考えてみます。「物腰が柔らか」「物事に対してあまりイライラしない」「優しげで落ち着いている」「何事に対してもおおらか」などといった状態が連想できます。あとは、それらの状態が仕事の場面においてどのような効果があるかを分析すれば、それが自己PRの材料となります。
例えば、物腰が柔らかというのは対人関係に有利に働く場合が多く、接客や取引相手との交渉の場において相手が好感を抱いてくれやすいというメリットがあります。
このように、性格の穏やかな人の特徴を挙げつつ、仕事を行ううえでの利点と結びつけていきましょう。
困難な状況でも冷静でいられる強み
多くの人は仕事でミスがあった時にイライラしたり、パニックになったりしてさらにミスを繰り返しがちです。しかし、穏やかな性格の人はトラブルに見舞われた時でも自分を見失わずに問題に向き合うことができます。
そもそも、日頃から気持ちに余裕があるのでミス自体が少ないのも心の穏やかな人の特徴です。また、もしミスをしてしまったとしても自分ひとりで物事を解決しようとせず、素直に他人に助けを求めることもできるので、傷口が広がらずにすみます。
それに、他人のミスに対しても感情まかせに怒ることもありません。したがって、就活での自己PRでは「困難な状況でも冷静な判断を下せる」「他人のミスを厳しく追及するよりまず、一緒になって解決を図ることでお互いの成長に結びつけられる」などといった表現が可能になります。
信頼関係を構築できるムードメーカー
心穏やかな人は、多くの場合ムードメーカー的存在でもあります。ギスギスしている職場でも優しげで落ち着いている人がひとりいれば、雰囲気を和やかにすることが期待できます。また、会議が白熱しすぎて紛糾した場合でも冷静に話しをまとめてその場を収めることが可能です。
積極的なリーダーシップを取るタイプではありませんが、人間関係の緩衝材として組織に貢献することができます。さらに、常に客観的で冷静な判断を下せるということは、周囲との信頼関係を築く場合にも有利に働きます。
就活の自己PRをするのであれば「他人の意見に素直に耳を傾け、信頼関係を構築できる」といったところでしょう。
周囲に振り回されない安定感
心穏やかな人は、外部からの刺激に対しても耐性が高いので、周りに振り回されないという特徴もあります。それは、周りの状況に関わらず一定の成果を期待できるということにもつながります。また、周囲の意見に必要以上に引きずられて判断を誤るということもあまりありません。
さらに、自分のペースを乱さない態度には周りの人を冷静に立ち返らせる効果も期待できます。これらの要素は仕事を行ううえで決して目立つものではありませんが、長いスパンで考えると得難い資質だと言えるでしょう。
そこから、自己PRのフレーズとしては「どんな状況でも一定の結果を出せる安定感」「周りに流されない判断力」などがあります。
穏やかな性格を自己PRとして魅力的にアピールする方法
自己PRは自分を採用することによって、どんなメリットがあるかを主張するチャンスです。
自身の性格を強みとしてアピールする場合は、具体例を交えると良いでしょう。
なぜなら経験や知識と違って、内面的な特徴は実際の業務を行ううえでの利点と結びつきにくいからです。
企業側は採用するメリットを提示してほしいと考えているため、抽象的な表現は自己PRの場面ではふさわしくありません。
実際に穏やかな性格で良かった経験、周りにどういった影響を与えてきたか、そしてそれが仕事にどう活きるかを簡潔に述べることが大切です。
穏やかな性格を定義付け
穏やかな性格と一口に言っても、人によってその言葉の意味はさまざまです。
お互いに定義がすれ違った状態で意見や強みを主張しても「見当違いなことを言っている」と思われてしまう可能性があります。
特に性格などの概念を持ち出す場合は、自分の中でどのような意味をもっているのかをしっかりと言葉にしましょう。
このときも「~のような人」などのあいまいな表現ではなく、具体的に話してください。
認識を統一し、食い違いをなくすことでエピソードや、強みがより印象深くなります。
企業が求める人材との相性を確認
基本的に面接は1社だけということはほとんどなく、大半の人は複数社受けます。
そのときに1つの自己PRだけですべての企業に対応するのは難しいでしょう。
企業によって、求める人材や必要な人材、相性の良し悪しはさまざまです。
その会社が現在どういう人物や性格を求めているか事前に調査し、自己PRはいくつか用意しておきましょう。
必要とする人材と相性の良いエピソードを選択することによって、採用される確率は高まるはずです。
捉え方によっては短所となることも理解する
穏やかな性格というのは、場合によってはデメリットと捉える人もいるでしょう。
たとえば、営業などの自分を高めたり同僚と競ったりする仕事では、向上心や競争心が求められます。
穏やかな性格は、引っ込み思案・消極的などの印象をもたれてしまうかもしれません。
その場合、短所を長所に変える、または弱みであることを理解したうえで、どのように対策するかを伝えましょう。
また短所となり得そうな話をわざわざ伝える必要はないので、穏やかな性格が強みであることを中心にして、話を広げないのも1つの方法です。
穏やかな性格を自己PRする際の基本構成
まずエピソードを話す前に、穏やかな性格とは自分の中でどういう人のことを指すか示します。
次に、具体的なエピソードや体験談を交え、深掘りしていきましょう。
このとき、エピソードは独自性を重視し、量産型にならないよう注意します。
そして、穏やかな性格であることによって得た体験や経験が、仕事をするうえでどのような効果をもたらすか説明します。
最後に、自分が入社後どういった貢献をできるか、実際の業務内容と照らし合わせて提示しましょう。
結論は最初に明示
最初に結論を持ってくるやり方は、面接でも効果を発揮します。
結論ファーストで組み立てることにより、結論・理由・具体例・結論のように、そのあとの道筋を立てるのに役立ちます。
聞き手側も最初に結論がわかっているため理解しやすく、説得力も増すでしょう。
回りくどい話し方は内容がどうであれ「頭の整理ができない、論理的組み立てができない人だ」と思われてしまう可能性があります。
話の組み立て方に困ったら、このやり方を活用してみましょう。
具体的なエピソード
エピソードは量よりも質を重視しましょう。
なぜなら、自分ならではのエピソードは、そこから得られた経験も、よりユニークなものとなるからです。
テンプレートのようなエピソードは「そこで得る知見も中身のないもの」と捉えられてしまいます。
また、いくつも話されたあとでは、印象に残りにくく、結局何を言いたかったのかがわかりづらくなります。
自分らしさをアピールし、印象付けるためにも、自分だけの体験や経験を用意して、面接に挑みましょう。
入社後に活躍できることをアピール
面接に受かれば、当然その会社で働くことになります。
入社後の自分はどのポジションで、どのように活躍できるか、実際の事業内容を交えて話しましょう。
イメージがより具体的なほど、その会社に対しての熱意や理解度をアピールできます。
少し先のビジョンの解像度が高いほど、質問に対しても自分ならではの回答を導き出せ、ほかの人との差別化をはかれるでしょう。
面接官も、志望に強い意志がと感じ取ってくれ、採用に対して、より前向きになります。
自己PRで穏やかさをアピールする例文
自身のよさを最大限にアピールできるように自己PRの正しい書き方をチェックしてみましょう。
穏やかな点を長所や自身のよさとして伝える際の例文をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
例文①
私は、子どもの頃から穏やかな性格だと恩師や友人たちに言われます。
ちょっとしたことでイライラすることはありませんし、常に笑顔で過ごし落ち着いた生活を送っていたので、周囲の方たちには穏やかな性格だと思っていたのかもしれません。
私のこの穏やかな性格は、家族の影響を大きく受けていると思います。
両親ともに穏やかでいつでも居心地のよい温かな環境で大切に育ててもらいました。
私が御社に入社した際には、社内を和まし共に切磋琢磨しながら貢献できるよう努力したいと思います。
また、あらゆる問題に落ち着いて向き合い、周囲と力を合わせながら対処できる社員として活躍できればうれしく存じます。
例文②
私は、これまでどんな状況においても冷静に判断し、穏やかな気持ちでさまざまな物事を乗り越えてきました。
友人や家族と意見が衝突してしまったときにも冷静さを心がけることで相手の気持ちを読み取り、関係を悪化させることなくトラブルに対処することができました。
さまざまな困難にぶつかったとしても、その問題点や相手の意見を受け入れることを見失わずに対応できる自信があります。
御社に入社できた際には、私の穏やかな性格を活かして業務に邁進するだけでなく、社内の雰囲気を明るく穏やかにできるよう力を注いでいきたいと思います。
例文③
穏やかな性格は、私の一番の長所だと思っております。
私は小さな頃から穏やかな性格で人と揉めた経験がありません。
穏やかな分、消極的でおとなしいと指摘されることもありますが、落ち着きがあり、周りに癒しを与えられるのも自身の強みだと考えております。
学生時代はアルバイトを経験し、さまざまなお客様に対応しました。
中には、理不尽なクレーム対応に向き合わなければならず頭を抱えてしまうこともありましたが、不思議と相手に苛立ちを感じることはありませんでした。
上司や同僚にもどんなお客様にも穏やかに対応することができ素晴らしいと褒めていただき、現在でもその言葉が励みになっております。
今後も自身の強みである穏やかな性格を最大限に活かして、冷静に仕事に向き合うのはもちろんのこと、社員と歩調を合わせて業務に邁進するなど貴社に貢献できるよう努力して参ります。
自己PRは実際の体験に基づいて行おう
以上のように、「穏やかな性格」という一見扱いが難しそうなキーワードでも表現を変えて仕事と結びつければ、立派な自己PRとして成立することがわかります。
ただし、それを就活で使う際は、必ず自分が体験した具体的なエピソードに基づいて行ってください。それがあるのとないのとでは説得力に大きな差が生じてしまいます。