はじめに
「新卒で製造業を目指すために何が必要なのだろうか?」 「製造業の仕事内容を知りたい」 「新卒は志望動機をどのように書いたらよいのか?」 このように、製造業への就活を目指す新卒の方には志望動機の書き方などたくさんの知りたいことがあるのではないでしょうか。
この記事では、製造業界の仕事内容などの基本的なことに加えて、志望動機でチェックしているポイントや志望動機を書くコツ、例文など製造業を目指す新卒の方への就活対策を紹介していきます。
この記事を読むことで、新卒の方は製造業界の内容や評価される人材像、面接の際のポイントなどがわかります。ここから得られた知識によって新卒の方が製造業界を目指すための志望動機の書き方や面接対策などへの理解が深まります。
製造業界を目指す新卒の方で志望動機の書き方など具体的なポイントを知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
製造業界とは?
私たちの身の回りにあるもの、その全てが製造業界による製品です。
食べ物や伝統的な製品に始まって、自動車や工業機械にいたるまで、あらゆる製品を作るのが製造業界、メーカー業界とも言われているものづくりの業界です。
製造業界とは、単に手作業で何かを作るだけではありません。
あらゆる機械や道具を使って原料を加工し、製品を作り販売する仕事であり、最先端のIT技術なども使い日々進化している業界です。
また、楽しみながら仕事ができるかがこの業界では大切です。
日本の製造業界は世界でも高い評価を得ており、日本経済を支える基幹産業でもあります。
製造業界の仕事内容
ものづくりというと、人の手でコツコツと何かを作るという印象が強いと感じる人も多いのではないでしょうか。
製造業界は素材や原料を仕入れて、それを加工して製品にし販売することで利益を得る業界のことです。
単に製造するというだけでなく、製品にして売るまで、さまざまなプロセスと仕事が存在します。
ここでは、大まかにどのような仕事があるのかを見ていくことで、志望動機にどのような内容を盛り込んでいくべきかがつかめるようになります。
これから志望動機を書くという人も、具体的な志望動機を練る前にしっかりと理解しておきましょう。
営業の仕事
どれだけよい製品を作っても、それが売れなければ無用の長物になってしまいます。
製造業界と言っても、そこには何かを作るということだけでなく、それを極大化させるための仕事が多く存在します。
そこで最初に挙げられるのが営業です。
例えば、取引先とよい関係を保って、どのような製品にニーズがあるかをくみ取るのは、営業担当者だからこそできる領域でしょう。
さらに、顧客にどのような提案すればよいか、外部からの情報を早く入手して社内につなげるのも営業の仕事に入ってきます。
このように、マーケティング力のある営業は、今やどの企業でも必要な戦力になってきています。
企画の仕事
ものづくりは、工場で決められた通りに黙々とものを作るだけだと思っている人も多いでしょう。
しかし、本当に売れるものづくりを実現するためには、いかに売れる製品を生み出すかという企画力が問われています。
その企画力とは決して難しくはなく、誰もがみずから学んだり、努力して磨いたりすることで身につきます。
大学で専攻しておらず未経験だからと引っ込み思案になる必要はないでしょう。
開発の仕事
製品を企画したり、営業して売ったりしていくのと同じように、ものづくりを支えるもう1つの柱が研究開発の仕事です。
開発とは、製品を完成させるための技術を研究することや、製品自体を開発するなどの仕事です。
既存の商品の改善開発や新商品の開発であれば、その企業の今後を支える重要な仕事となります。
また、素材や基礎技術の研究開発であれば、業界全体、ひいては産業の次世代を担う仕事となります。
このように、開発の仕事は長い目で見る必要がある領域ですが、本当にものづくりが好きだという人にはぴったりの仕事でしょう。
製造業の主な仕事内容について
製造業は各工程における部門が連携して製品を生産します。
それぞれの部門はどれも欠かせません。
ここからは生産工程における「生産管理」「製造や組立て」「加工や仕上げ」「仕分けや梱包」「点検」の5部門の仕事内容についてご紹介します。
製造業への就活を目指す新卒の方はしっかりと押さえておきましょう。
生産管理
市場のニーズや取引先からの需要などを把握して、生産する製品の数量を管理する仕事が生産管理です。
製品の数量管理になりますので、部品の調達量にも関係する重要な仕事です。
的確な生産管理ができなければ在庫を増えるなど企業の財務にも影響してしまいます。
製造や組立て
製造や組立ては製造業の基本となる部門です。
ハンダ付けなどの埋め込み作業や精密部品の組立てなどがあります。
人の手作業が中心となっていましたが、最近では機械による自動化も進み、生産性の向上が図られています。
加工や仕上げ
部品や材料を加工して新たな製品として完成させる部門が加工や仕上げです。
組立てと同様に製造業の主要なものとして食品加工や機械の部品加工などが挙げられます。
この部門も機械による自動化が進んでいますが、一方で手作業によるスキルも必要とされていますので、新卒などの未経験の方はスキルの会得が必要です。
仕分けや梱包
できあがった製品は点検を経て仕分け、梱包されて出荷となります。
仕分けは出荷先や製品ごとに区分される梱包前の仕事です。
仕分けや梱包の仕事は軽作業の仕事となりますが、正確な仕分けなど確実性を求められる部門となっています。
仕分けや梱包は、新卒など製造業の未経験者が従事することができる仕事です。
点検
点検は製品の仕分け、梱包の前に行われる重要な工程です。
法令に定められた規格や品質基準への適合を点検します。
この部門がしっかりしていないと法令違反やクレームにつながるため、生産工程の中でも重要な部門です。
新卒の方などの未経験者は、経験を積むことで就ける仕事です。
製造業を目指す新卒におすすめしたい資格
さまざまな機械や設備を扱う仕事が製造業です。
製造業には、生産工程の中でも安全対策を十分にとって仕事を進めることが求められています。
そのため、機械や設備などを取扱う際や安全な作業環境の維持、向上に向けて資格が必要となる場合があります。
製造業を目指す新卒には難易度の高い資格は取得しづらいものです。
しかし、新卒の資格取得が自分のキャリアアップにつながります。
ここからは製造業を目指す新卒におすすめの資格をご紹介します。
衛生管理者
衛生管理者は、常時50人以上の従業員を有する事業所や工場などに配置が必要となる国家資格です。
主な業務は、健康障害防止のために作業環境管理、労働衛生教育の実施などをします。
衛生管理者はいくつもの工場や作業場で必要とされるため、新卒にとってもおすすめの資格です。
出典:資格の紹介(第一種衛生管理者、第二種衛生管理者)|公益財団法人 安全衛生技術試験協会 参照:https://www.exam.or.jp/exmn/H_shokai502.htm
危険物取扱者
危険物取扱者は、危険物を取扱う業務に従事する際に必要となる国家資格です。
資格には甲種、乙種及び丙種の3種類があります。
甲種は全ての危険物、乙種と丙種は指定された危険物を取扱う際に必要です。
製造業の現場では危険物を取扱うことがあり、資格を取得するとさまざまな現場において汎用性があります。
新卒で製造業を目指す方には、キャリアアップの上からも衛生管理者と同様におすすめの資格です。
出典:危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター 参照:https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/
製造業の志望動機で採用担当者がチェックしているポイント
多くの職種が存在する製造業において、志望する会社が求めている人材がどのようなものか知っておくことは重要なポイントです。
志望する会社で希望の業務に適応できるか、学生時代に経験して身につけた技術や知識が活かせるか、やる気を持って業務に励めるか、周りとしっかりコミュニケーションが取れるかなど、採用担当者は細かくチェックしています。
面接で聞かれてから困ることのないよう、あらかじめ押さえておきたいポイントを解説します。
・会社の経営方針や社風と合っているか ・将来性はあるか ・やる気はあるか ・どんな人柄か
会社の経営方針や社風と合っているか
会社の経営方針や企業理念を知っておくことは重要なポイントです。
仕事をする上で社員が会社と同じ方向を向いていなければ、目標達成にコストと時間がかかってしまう可能性があります。
あらかじめHPを検索するなど、企業研究して志望する会社の経営方針や社風を頭に入れ、自分のアピールポイントと結びつけられるようにすると評価が得られるでしょう。
将来性はあるか
他の就活生に引けを取らないために、過去に経験がある場合は、入社してからの即戦力として役立つことを具体的にアピールしましょう。
ポイントとしては、根拠のない口だけのアピールにならないように具体的な数字やサービス名を用いて伝えることです。
また、将来どうなりたいかを明確に伝えることで将来性だけでなく、入社してからの成長も見込めるのでよい評価が得られるでしょう。
やる気はあるか
企業は入社してもらうからには長く勤めてもらいたいし、意欲を持って成長して欲しいと考えているため、やる気をアピールできると高い評価につながります。
採用担当者は日々多くの就活生と面接しているため、つけ焼き刃のやる気は見抜かれてしまうと考えていた方がよいでしょう。
そう思われないために入社してからの明確なビジョンを持っていることが重要で、何がしたいか、どのように貢献できるか、将来どうなりたいかを具体的に伝えましょう。
どんな人柄か
自分の人柄を把握していることは、自己分析ができていることのアピールになります。
自己分析ができていることで自分の強みや価値観、なりたい自分などをイメージできるので、適性のある会社を選んで就活できていると評価されます。
また、採用担当者はエントリーシートの印象と面接時の印象から、ギャップがないか、浅い知識や経験を誇張してごまかしていないかなどを見ているので嘘は避けましょう。
人柄を把握できているメリットには、企業との相性のよし悪しを判断できることも挙げられます。
企業が求める人柄であれば、やる気があって成長も期待できる人材として評価されるでしょう。
製造業の志望動機を書く9つのコツ
何度志望動機を書いても、今1つ満足したものが書けないと悩む人は多いのではないでしょうか。
ここでは製造業界について、なぜこの企業に入りたいのか、志望する理由を書くためのコツについて9つの項目を柱に紹介していきます。
この項目をよく読めば、たとえ文系の人でも、事務職を希望する人でも、製造業界を志望する動機を上手に整理する思考力を養うことができます。
志望動機の書き方に悩んでいる人は、ぜひ読んでみてください。
・企業や業界研究を行う ・やりがいについて書き起こす ・はっきりとした目的を書き出す ・企業が求めている人材を知る ・仕事に携わりたい理由をはっきりさせる ・入社後に貢献できることを考える ・入社後のキャリアプランを伝える ・経験者か未経験かによってアピールポイントを変える ・わかりやすい文章を心がける
1:企業や業界研究を行う
志望動機でアピールするポイントは「なぜこの企業を志望したのか」です。
その理由を書くには、業界と志望する企業をよく研究して把握する必要があります。
業界全体を調べるだけでなく、志望する企業をよく研究することで、志望動機はより明確になってくるでしょう。
自分がこの企業のどのような点に魅力を感じて志望することを決めたのか、その第一歩は志望する業界と志望する企業をじっくりと調べて研究することです。
それによって、おのずと志望動機の骨格が整ってくると言えます。
2:やりがいについて書き起こす
志望動機を書く中で正直な思いが表れる箇所が、やりがいについて書く部分でしょう。
やりがいとは自分が特に強みだと思っている部分が裏づけとなるため、その内容は人によって大きく異なりますし、その人となりが文章に出やすくなります。
そのため、志望動機でやりがいについて書く場合は自分がアピールしたい部分と、応募したい仕事について客観的に連結させて書くと論理的でわかりやすい内容になります。
その際には情熱的すぎる表現は避け、説得力を持たせると、読む側に対しても印象がよくなるでしょう。
3:はっきりとした目的を書き出す
なぜ自分がこの企業を志望したのか、はっきりとした目的を書き出す必要があります。
例えば、1つの商品に大きな魅力を感じている人は、「私もそのような商品を作りたい」などと書くことで、はっきりとした志望動機にできます。
こうしたことを志望動機にできるのは、製造業界ならではの特徴ですし、企業側からすると何よりもわかりやすいアピールになり得ます。
なぜこの企業を志望するのか、はっきりとした目的を挙げてみると自分の中の考えが整理できるでしょう。
4:企業が求めている人材を知る
製造業界が求める人材について、一般的には根気強く目標に立ち向かう人、チームワークを大切にできる人などが挙げられます。
企業のホームページや資料を見ると、求める人材像について多くは抽象的な表現されています。
しかし、他の資料と合わせて研究していくと、そこからどのような適性や資質、スキルを持つ人材を求めているのかがわかる場合があります。
新聞記事や企業研究の雑誌記事などには、意外にこのような情報が掲載されていることが多いため、ぜひ調査してみてください。
5:仕事に携わりたい理由をはっきりさせる
志望動機の重要な柱の1つに、「なぜ、その仕事をしたいのか」をはっきりと書くということがあります。
製造業界だから、単純に販売されている商品が好きだという理由だけでは訴えるものが弱い場合があります。
その商品を好きだからこそ、入社したらどう関わっていきたいのか、どれだけ研究しているのかをはっきりと表現してみましょう。
それにより、自分の志望動機もはっきりしますし、企業側からしても、どのポジションで働いてもらいたいのかが鮮明になってくるでしょう。
6:入社後に貢献できることを考える
志望動機を書く時、自分が入社したらどのようなことで企業に貢献したいか、貢献できるのかを考えてみたことはあるでしょうか。
製造業界の場合、形のあるものを世に送り出すという充実感や、人々の生活に役立っているというやりがいを得られたり、最新技術に触れられたりするなどの特徴があります。
このような点から遡って、自分が入社後に貢献できることは何かを具体的に考えてみてください。
例えば技術力がある、何らかの資格を持っている、チームワークが得意など、何でもかまいません。
自分が「これだ」と思えることを考えて、志望動機の下地を作ってみましょう。
7:入社後のキャリアプランを伝える
業界や志望する企業の将来性に魅力を感じた場合、自分が入社したあとはどのようにキャリアを積んでいきたいのかも浮かびやすくなります。
その際には、企業の動向を分析した上で、自分はどのような位置づけでキャリアアップを図りたいのか、志望した企業に重ね合わせた形でプランを考えてみることが重要でしょう。
企業側は、キャリアプランを聞くことで、なぜ自社を志望したのかを知ろうとしています。
プランを聞くことで、入社後に何をしたいのか、成長への意欲がわかるからです。
そのような点を踏まえて、目標を具体的に考えてみましょう。
8:経験者か未経験かによってアピールポイントを変える
経験者と未経験者ではアピールできる強みが違うので、そこを意識して採用担当者に興味を持ってもらえるような伝え方をしましょう。
経験者の強みは実績や経験で、具体的な数字を提示できたり、資格を持っていたりといった顕在的なアピールができます。
また、未経験者の強みは志望するきっかけや長所で、企業理念に沿った考え方であったり、未経験でも会社に貢献できる適性があったりするといった潜在的なアピールができます。
9:わかりやすい文章を心がける
採用担当者に興味を持ってもらうためには、書き出しを結論からにして、その後に理由や具体例を伝えましょう。
その際に文章の内容が長すぎると悪い印象を与えがちなので、短くまとめることがポイントです。
文章が思いつかない、上手く書けないといった場合には、例文集をサンプルとして参考にすると、わかりやすい文章が書けるようになるでしょう。
製造業界で評価される7つの人材像
ここまで、製造業界で自分の魅力をアピールできる志望理由を書くコツを説明してきました。
次は少し角度を変えて、製造業界で好まれるのはどのような人材像か、具体的なポイントを挙げて説明していきます。
これを理解することで、今の製造業界にはどのような人材像が必要とされているか見えてくるでしょう。
志望企業が望む人物像に自分を無理に当てはめる必要はありません。
どれか1つでも自分のアピールしたい部分と重なる点を自分らしく説明するようにしましょう。
1:周囲の人と協力できる
多くのものづくり企業では「協調性のある人」を望むとホームページに明記しています。
それほど、製造業界では、ともに何かを作り上げていく中で仲間の個性を尊重し、互いに感謝しつつ協力し合うという「協調性」を大きな徳目としています。
自分でアピールしたい性格と一致すると感じたら、具体的な場面を例に挙げて、企業側がどのような人物なのかを想像できるように説明するとよいでしょう。
2:向上心がある
「私は向上心があります」というだけでは主観的であるため、採用担当者からすると仕事に役立つ向上心なのか判断しかねてしまいます。
製造業界の志望動機に使いたい時は、どのような目標を掲げて、それに向かってどう活動したのかを中心に説明することが大切です。
結果がどうなったのかより、向上心を持ってどう努力したのかにポイントを置くようにしましょう。
3:探求心がある
探究心とは、ものづくり企業からするとプラスに評価したい項目でしょう。
何かを積極的に知ろうと努力することは、仕事にも反映されることが多いからです。
その一方で、自分の興味がある分野にしか探究心を持たない人か確認しようとするのも採用担当者です。
もしもあなたが、任された仕事に対して深く追求したり、上司や仲間から信頼されたりした経験があるのなら、それを長所としてアピールできます。
具体的な経験談やエピソードで立体的なアピールを心がけてください。
4:新しい取り組みに挑戦し続けられる
新しい取り組みに挑戦し続けられる人は、開発や企画などの職種に対して有効なアピールができる人材像だと言えます。
製造業界は、間違いなく結果を出す人を好む傾向が強い企業が多い業界です。
それだけに志望動機としては、志望する仕事や分野によって慎重に扱う必要があるでしょう。
また、単なるチャレンジを好むのではなく、仕事としての新しい取り組みには臆せずに挑戦するというふうに、伝えるポイントがぶれないよう気をつけてください。
5:根気強く仕事に取り組める
営業、企画、点検、加工など多くの職種がある製造業界ですが、それぞれで求められる根気強さに違いがあるので、志望する職種にフィットしたものをアピールしましょう。
根気強さには、黙々と同じ作業を続けられる継続力や失敗しても気持ちを切り替えてやり直せる精神力、ストレスを感じても上手に取り入れて成長につなげられるストレス耐性といったものがあります。
企業が求める根気強さを知るには、企業研究で社風や企業理念を参考にすると見えてくるでしょう。
6:真面目な性格で正確な作業が得意である
真面目さには「ルールを守る」や「仕事に集中して臨む」といった意味があり、正確な作業が得意なことをアピールするためには効果的な項目です。
大切なのは業務内容に合った真面目さをアピールすることで、過去のエピソードの中から仕事での再現性が高いものを結びつけて伝えると評価につながるでしょう。
注意したいのは真面目すぎないことで、頑固で融通が利かないと思われてしまうと、「機転が利かない」という印象を与えてしまう可能性があるので気をつけましょう。
7:ものづくりが好きである
ただ「ものづくりが好き」というだけではアピールにならないので、「好き」が入社後どのように活かされるのか具体的に伝えましょう。
目に見える成果や実績とは違って、熱意を表現するにはこれまでの経験で身につけたスキルが即戦力として貢献できるものであることをアピールする必要があります。
志望する会社でなければならない理由をつけ加えて具体的に伝えましょう。
【業種・業務別】製造業の志望動機の13の例文
自分なりに志望動機を書くコツはわかったけれど、アピールできる文章を書く自信がないという人はここからもう一踏ん張りです。
ここまで、製造業界の仕事を前提に、どのような志望動機をアピールできるのかを見てきました。
ここからは志望動機を書く際のポイントを、業種ごとに説明していきます。
自分が目指す業種や企業はどこに該当するかを念頭に置いておきましょう。
そうすることで、採用担当者にとって立体的なイメージの志望動機になります。
1:家電製造業の場合
ここでは、家電製造業の技術系職の志望動機例を挙げます。
ポイント ・家電製造業を選んだ理由 ・家電製造業の中でも貴社を志望した理由
「私はこれまでずっと貴社の家電製品に親しんできました。
大学では、自動製造装置の効率化について学び、研究してきましたが、これまで学んだことを礎にして、日本の家電企業を代表する貴社で、グローバル市場を引っ張るような製品の開発に寄与できたらと考えて志望を決意しました。
日本のものづくりの技術力は世界でも十分に認められています。
しかし、コストやスピードなどで少しずつ優位性が薄らいでいる今、リーディングカンパニーである貴社の一員として、改めて自動製造装置の開発改善を進めるとともに、その地位の回復に少しでも貢献できればと考えています。」
2:自動車製造業の場合
自動車製造業は、世界でも有数の大手企業が日本にそろっています。
動機が明確であり、説明にブレがないことが大切です。
ポイント ・なぜ貴社なのか ・入社後に取り組みたいこと
「私の故郷は寒冷地にあり、幼いころからこれまで寒冷地仕様の車の設計についてとても興味がありました。
あらゆる気候に対応できる車を安定供給するということは、今やライフラインと同じくらい大切な問題です。
私が専攻した機械工学の見地から、自動車の安定した稼働を追求する生産管理の仕事をぜひ貴社でやらせていただきたいと思うようになりました。」
3:衣料品製造業の場合
ここでは衣料品の製造管理を志望する場合を例にします。
衣料品販売などの経験がない人が志望する場合は、参考にしてみてください。
「昨年、大学の学祭で実行委員だった私は、スタッフウエアを作る担当になりました。
色合いや材料の選定から始まり、いかにコストを削減しながら指定した通りの品物を作ることが大変かを肌で感じると同時に、言葉にできないほどの楽しさと充実感を感じたのです。
完成品を手にした時には、このようなことを仕事にしたいと思うようになりました。
美しい洋服をデザインし、世に送り出せる生産管理の仕事こそ、アパレル業界の中核だと考え志望を決意しました。」
4:食品製造業の場合
食品製造業は、たとえ製造工程や扱う材料が異なったとしても、衛生面に対する意識が強く求められる業界です。
ポイント ・衛生面への意識の高さ ・仕事に役立つ資格の有無
「私は和食が大好きで、自宅で作るメニューはほとんどが和食です。
その和食に、こだわり抜いたオーガニック食材を使っている貴社の姿勢に大きな感銘を受けたのが高校生の時でした。
その後、栄養学を専攻したのも貴社の影響が大きいです。
貴社のオーガニック食材と健康に対する哲学が貫かれた和食メニューの普及に少しでも貢献したいという思いから志望を決意しました。」
5:化粧品会社の場合
化粧品業界は、最近になって業界全体が大きく変化しています。
製品が好きというアピールはすでに通じにくくなっています。
ポイント ・なぜ貴社なのか ・どのような貢献をしたいのか
「肌につけるものには敏感な私が、安心して使える化粧品が貴社の○○です。
自分が商品の素晴らしさについて身をもって体験することで、化粧品が合わずに悩んでいる人たちにもっと知ってもらえるような仕事をしたいと考えるようになりました。
しかし、それは私が自信を持っておすすめできる商品を販売している貴社だからこそ言えることだと気づいたのです。
それが決定的な理由となって貴社を志望することを決めました。」
6:品質管理の場合
品質管理とはどのような仕事か、必要なスキルなどを具体的に理解できていることをアピールするとよいでしょう。
ポイント ・品質管理に必要な特性をアピール ・必要なスキルや問題を解決する能力のアピール
「私は、担当教授のすすめで品質管理検定を調べ始め、品質管理という縁の下の力持ちのような存在を初めて知りました。
その後、ものづくりの業界の中でも特に自動車部品の品質管理の世界の厳しさを知りました。
品質管理は厳しい世界であると思いますが、その一方で他部署との調整や、問題の品質を見極めて問題を解決していくという課程が、私の適性に合っていると感じ、ぜひ品質管理の仕事をしたいと思い貴社に志望を決意しました。」
7:ピッキング作業の場合
ものづくりの業界で最後を飾るピッキング作業は、まさに正確さと丁寧さが命の仕事です。
志望動機にもこのような表現を盛り込んで熱意をアピールしましょう。
ポイント ・速さと正確さ ・なぜピッキング作業なのか
「これまでアルバイトで出荷作業に従事した経験がある私は、出来上がった製品が多く並ぶ中を自在に動いてピッキング作業する仕事が自分に合っていると感じてきました。
体を動かすことだけでなく、オーダー通りに数字を調整しながら出荷していくことが得意でもあります。
物流量の多さが特徴である貴社で、ぜひ貢献したいと思いました。」
8:ライン作業の場合
ライン作業とは、具体的にどのような仕事でしょうか。
ラインで製品を作っていく作業の場合もあれば、ラインオペレーターという仕事もあります。
どの場合でも、選んだ仕事について具体的な志望動機を書くとよいでしょう。
ポイント ・なぜこの仕事なのか ・入社後の自分の豊富
「私は1つの製品を効率よく正確に作り続ける仕事が好きです。
最初にそのことに気づいたのはアルバイトで働いていた時でしたが、そこで単にライン作業するだけでなく、数量や不良品の軽減を管理する仕事に大きな満足感を得られるようになりました。
中でも海外のライン工場を管理する部門がある貴社に大きな関心を持ち、志望しようと決意しました。
将来は、海外でも指導できるような立場になることが目標です。」
9:梱包や積み込み作業の場合
梱包や積み込みの仕事は、通信販売会社や部品メーカーといった大きな倉庫を持つ企業での活躍が主です。
商品や部品が破損しないように丁寧な作業が求められると同時に、大量の荷物を扱うため迅速に行動できることも重要です。
「私はさまざまな大きさや形のものを包装するのが好きです。
家族や友人へ渡すプレゼントは、必ず自分で包装したものを用意していました。
受け取った人からキレイに包装されていることを褒められるとますます包装が好きになり、将来は包装に関係した仕事をしたいと考えていました。
貴社でならそのやる気と適性を十分に活かせると感じ、社員として製造現場で働きたいというのが志望の動機です。」
10:点検や検品作業の場合
点検や検品作業する際に求められるスキルは、長時間同じ作業していても飽きないことや、常に高い集中力で作業に没頭できる根気強さです。
業務内容は簡単で体力やコミュニケーション力をあまり必要としませんが、黙々と作業できなければミスにつながってしまうので、点検や検品でなぜ製造業を選んだのか伝えましょう。
「私は学生時代、レストランでアルバイトしていた時にお客様へ料理を提供していました。
一言に提供と言っても料理をただ運ぶだけでなく、盛りつけに不備がないか、異物が混入していないか最終チェックする重要な締めのポジションです。
どんなに丹精込めて調理した料理でも、お金を貰っている以上は中途半端なものは提供できません。
アルバイトを続けているうちに、安心・安全な料理を提供しなければならないという使命感が生まれ、将来は異業種ながら製薬会社へ就職して医薬品製造業に携わりたいと考えるようになりました。
アルバイトで身につけた責任感や集中力を貴社で発揮できると感じ、志望を決意しました。」
11:加工業務の場合
加工業務には機械を用いて作業するものと、手作業によって加工するものとに分けられます。
自動車、精密機器、食品に代表される製造業3分野では、完成までに複数の工程を通る中で、機械と手作業両方の加工が行われるため、分野によってアピールするべきスキルが違ってきます。
「私は持ち帰り寿司のチェーン店で高卒から3年間、パートで勤務しました。
もともと食べることが好きで、飲食店や食品に関係する仕事をしたいと考えて求人へ応募したのが製造業への志望動機です。
食べ物を扱う際、特に気をつけなければならないのは衛生面で、職場では社内規定のもと消毒や手洗い、調理衣を清潔に保つなど衛生管理が徹底されていました。
年末年始は繁忙期で多くの予約注文が殺到するため、効率よく作業できるように各個人が担当する寿司ネタを限定して作り続けることを何時間も黙々とこなしたこともありました。
貴社でもその時の心地よい疲れと達成感を感じられると思い、就職を志望しました。」
12:研究開発業務の場合
ここでの研究開発とは、これまでにない新商品のアイデアを出して商品化したり、既存の商品を応用して世の中に出したりといった業務を指します。
やる気や向上心も大切ですが、より専門的な知識や経験を求められることから、学生時代に力を入れていたことがどれだけ研究開発と結びついているかが重要です。
「私は学生時代に在籍していたサークルを通じて新しくものを作り出すことに楽しさを感じ、将来は研究開発の職に就きたいと考えていました。
貴社に入社できた暁には、新商品やコストを抑えて量産できるシステムを開発し、コミュニケーションを通して今後の課題を見つけられるよう努力したいと考えています。」
13:商品企画業務の場合
商品企画はジャンルが幅広い職種で、行動力やコミュニケーション能力が求められます。
また、ユニークな発想と消費者が求めるものが一致していることも重要で、それをデータから読み取ってどのように開発につなげられるかをアピールしましょう。
「学生時代には、同じ世代の学生を対象にマーケティング調査をするサークルで活動していました。
実際に調査してみると、既存の商品をブラッシュアップしたものや今までにないものを求める声が多く、まだまだ商品企画には余地があると実感しました。
マーケティング調査の活動を通して、将来は商品企画業務の仕事をしたいと考えるようになったのが貴社への入社を志望する動機です。
入社できた暁には、既存商品のリニューアルと新商品はターゲット層に合った商品を提案することを重視し、企画段階で価格帯まで提示できるよう努力したいと考えています。」
製造業の志望動機を面接で伝える際のポイント
製造業の採用担当者に効果的にアピールするためには、いくつかの押さえるポイントがあります。
「なぜ製造業を選択したのかについての理由」を、自分の適性や考えを結びつけて伝えましょう。
「なぜその会社を選んだのかについての理由」を、志望したきっかけや他の会社にはない魅力などで伝えましょう。
「その職種を選んだ理由」を、なぜその職種でなければならないのかという考えや思いを伝えることも重要です。
「その会社で貢献できる自分の長所や人格」を、目的達成のために何ができるか、将来どのようになりたいかに結びつけて伝えましょう。
「経験の有無」についても重要で、経験者なら実績や資格でのアピール、未経験者でも学生時代の活動で活かせる部分や入社してから役立てるよう準備していることを具体的にアピールしましょう。
製造業界の志望動機を書く際に気をつけるべきこと
ここまで、製造業界での志望動機についてさまざまな角度から見てきました。
ものづくりは多岐にわたり、扱う製品もさまざまであるため、志望動機も人によって千差万別ですが、書き方についておわかりいただけたでしょうか。
具体的な製品や企業に合わせて、志望動機に書くべき点やアピールすることは大切ですが、ものづくり企業だからこそ、配慮する表現もあります。
採用担当者がマイナスなイメージで志望動機を読み終えることがないように配慮が必要な部分についてご紹介します。
論理的な文章の構成になるようにする
志望する企業やその商品が好きであればあるほど、熱意のこもった志望動機になってしまうものです。
しかし、その熱意ばかりが先走った内容では、それを読む側からすると不安感を与えてしまうことになりかねません。
志望動機は、論理的にも納得がいき、一緒に働いてほしいと思わせるような内容を中心に書きましょう。
文系の場合は意欲や情熱を前面に出す
例えば文系の専攻だったり、新卒だったりすると、ものづくりとは距離があると思って志望を躊躇してしまう人もいるでしょう。
しかし、それは実際にはあまり関係ありません。
文系だったり新卒だったりしても、どれだけ意欲や情熱があるかを前面にした志望動機はとても大きなアピールになります。
それは転職組でも同じことです。
要は、なぜその仕事なのか、なぜその企業なのか、どこまで深く掘り下げて志望したのかでしょう。
同じ業界の中での比較が重要となる
同様の製品を作っている企業が多い業界の場合、企業が恐れるのは優秀な人材が同業他社に行ってしまうことです。
そのため、志望動機や面接で同業他社との比較についての記載があったり、きちんと分析して答えられたりする人には大きなポイントが加算されます。
製造業界では、競合他社との比較は避けられないため、冷静に分析した上で自社を志望してくれた人材の信頼性は上がるでしょう。
好きな理由とあわせて研究と分析を行う
前述したように、他社との比較だけではなく、なぜその企業を志望したのか、研究と分析も記載できるとポイントが上がります。
それにより、その企業の商品が好きだというアピールにもつながります。
また、それについて自分なりの考えが志望動機に書かれていれば、自分なりにミスマッチしていないかチェックしたことにもつながります。
人と関わるのが苦手だということは書かない
黙々と自分の仕事をすることが好きだという人が製造業界に向いていると考える人は多いようです。
面接でも、人づき合いの中で特に苦手な人はどのようなタイプか聞かれることも増えてきました。
しかし、ものづくりが重要な業界だからといっても、ただ単に人と関わるのが苦手で、何かを作るのが好きだという表現を志望動機に書くことは、歓迎されません。
そのようなことを書かざるを得ない場合は、対処法や自分で努力している点などを書いて、最終的にポジティブな終わり方で表現することが大切です。
具体性のある文章にする
採用担当者に印象づけるためには、会社の企業理念と自分の経験を結びつけてアピールすることが重要です。
なぜこの業界を選び、その中から志望する会社に入りたいと思ったのか、具体的な動機を入社してからの役割や将来のビジョンで伝えましょう。
気をつけたいのは、採用されたいだけの内容になっていないかという点で、他の就活でも使い回せるものにならないように注意しましょう。
待遇面の希望を志望動機に盛り込まない
ここでの待遇とは給与や賞与、地位、勤務時間などのことを言います。
給与や勤務時間は会社を選択する上で重要なポイントですが、それを表立ってアピールすることは採用担当者に悪い印象を与える可能性があります。
会社は長く勤めてもらいたいと考えているので、アピールするのは待遇ではなく、やる気や将来性につながるものにしましょう。
製造業の志望動機について知識を深めよう
志望動機の書き方について、さまざまな業種を例にしてコツを紹介しました。
採用担当者が履歴書を読む際に、志望者の人となりを立体的に想像できる部分の1つが志望動機です。
なぜこの企業を選んだのか、どこまで調べているのか、一緒に働くことになったらどんなことを目指して頑張る人なのか、採用担当者は想像しながら志望動機を読み込みます。
この記事の内容を参考にして、抽象的な言葉ではなく、自分らしい言葉でしっかりとアピールしてみてはいかがでしょうか。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート