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【財務の志望動機】財務とは
財務という職種は、企業活動の根幹である「お金」を管理・運用する重要なポジションですが、学生の皆さんの中には経理との違いが曖昧な方も多いのではないでしょうか。
簡単に言えば、経理が「過去のお金の流れ」を記録・管理する仕事であるのに対し、財務は「未来のお金の流れ」を作り出す仕事です。
企業が成長し、新たな事業を展開するためには資金が不可欠であり、その資金をどのように調達し、どのように配分するかを計画するのが財務の役割です。
企業の成長戦略に直結するため、経営層と近い距離で仕事をすることも多く、非常に責任の重い仕事と言えます。
しかし、その分だけ企業のダイナミズムを肌で感じることができ、経営視点を持ったビジネスパーソンとして成長できる環境があります。
ここでは、財務の具体的な業務内容や特徴について、詳しく解説していきます。
資金の調達や管理という観点から、その本質を理解していきましょう。
財務の業務内容
財務の業務は多岐にわたりますが、中心となるのは「資金調達(ファイナンス)」と「資金管理(トレジャリー)」、そして「財務戦略の立案」です。
資金調達では、銀行からの融資交渉や社債の発行、あるいは株式市場からの資金調達などを行い、事業に必要な現金を確保します。
ここでは、金融機関や投資家に対して自社の経営状態や将来性を論理的に説明し、有利な条件で資金を引き出す高い交渉力とプレゼンテーション能力が求められます。
一方、資金管理では、日々の入出金を管理し、支払いに滞りがないようキャッシュフローを監視します。
黒字倒産という言葉がある通り、利益が出ていても現金が枯渇すれば企業は存続できません。
そのため、将来の入出金予測を行い、手元資金の流動性を確保することは企業の生命線を守る行為といえます。
さらに、M&A(企業の合併・買収)や新規事業への投資判断に関わることもあり、ここでは投資対効果(ROI)の分析など、高度な財務知識と分析スキルを駆使して経営層の意思決定をサポートします。
このように、財務は単なる事務作業ではなく、企業の心臓部を動かす戦略的な業務を担っています。
財務の特徴
財務という仕事の最大の特徴は、業務の視点が常に「未来」に向いている点にあります。
経理が決算書作成などのために過去の実績を正確に処理することに重きを置くのに対し、財務は「これから会社がどう成長するか」「そのためにいくら資金が必要か」という未来の計画に焦点を合わせます。
例えば、数年後の工場建設や海外進出を見据えて、今から銀行との関係を構築したり、資金計画を策定したりするのです。
この未来志向のアプローチこそが、財務職の醍醐味であり難しさでもあります。
また、扱う金額の規模が非常に大きいことも特徴の一つです。
大企業であれば、数十億、数百億円という単位の資金を動かすことも珍しくありません。
自分の判断や交渉一つで、会社の資金繰りや株価に大きな影響を与える可能性があるため、常に緊張感が伴います。
しかし、それは裏を返せば、自分の仕事が会社の成長にダイレクトに貢献しているという大きなやりがいと達成感を感じられる環境でもあります。
社内外のステークホルダーと調整を行いながら、会社全体のバランスシートを最適化していくプロセスは、まさに経営そのものに触れる経験と言えるでしょう。
【財務の志望動機】財務の魅力
財務職を志望する学生が増えている背景には、この職種ならではの専門性とキャリアへの影響力の大きさがあります。
一般的にバックオフィス業務は「守り」の印象を持たれがちですが、財務は「守り」と同時に、企業の成長を加速させる「攻め」の側面も持ち合わせています。
若手のうちから経営に近い視座で物事を捉えるトレーニングができるため、将来的にCFO(最高財務責任者)や経営コンサルタント、あるいは起業家を目指す人材にとっても、非常に魅力的なフィールドです。
また、財務の知識は業界を問わず通用するポータブルスキル(持ち運び可能な能力)であるため、自身の市場価値を高めやすいという利点もあります。
数字という世界共通の言語を通じてビジネスを理解することは、どのようなキャリアを歩む上でも強力な武器となります。
ここでは、就活生の皆さんが志望動機を考える際に核となる、財務職の具体的な魅力を3つの観点から掘り下げていきます。
企業の成長エンジンとしての役割を理解し、自分のキャリア観と照らし合わせてみてください。
経営の中枢に関わる意思決定ができる
財務の仕事の最大の魅力は、経営の意思決定プロセスに深く関与できる点です。
新規事業の立ち上げ、海外拠点の設立、他社の買収など、企業の重要なプロジェクトには必ず「資金」の問題がついて回ります。
この資金面からの裏付けや実現可能性の検証を行うのが財務部門の役割です。
そのため、現場の最前線だけでなく、社長や役員といった経営層と直接コミュニケーションを取り、経営戦略の立案や実行をサポートする機会が頻繁にあります。
若手のうちから「会社がどこに向かおうとしているのか」という全体像を把握し、その実現のために必要なリソースを計算・調達する経験は、他の職種ではなかなか得られないものです。
単に数字を集計するだけでなく、その数字が意味することを読み解き、「この投資はリスクが高いが、リターンも見込める」「今の資金状況ではこのプロジェクトは時期尚早だ」といった提言を行うことも求められます。
このように、自分の分析や提案が会社の方向性を左右するという実感は、ビジネスパーソンとしての視座を飛躍的に高めてくれるでしょう。
高度な専門スキルと市場価値が得られる
財務職で得られるスキルは専門性が高く、かつ汎用性があるため、個人の市場価値を大きく向上させます。
財務諸表を読み解く力はもちろん、資金調達の手法、金融市場の知識、為替リスクの管理、企業価値評価(バリュエーション)など、習得すべき知識は多岐にわたります。
これらの知識は一朝一夕で身につくものではありませんが、実務を通じて磨き上げることで、どの企業に行っても重宝される代替の効かない人材になることができます。
近年では、コーポレートガバナンスの強化やグローバル化に伴い、高度な財務知識を持つ人材の需要はますます高まっています。
また、AIの進化によって単純な集計業務が自動化される中で、財務のような「高度な判断」や「戦略的な思考」を要する業務は、今後も人間が担うべき重要な領域として残り続けます。
財務のスペシャリストとしての道を極めることはもちろん、その知見を活かして経営企画やIR(投資家向け広報)などへキャリアの幅を広げることも可能です。
長期的なキャリア安定性という面でも、非常に魅力的な職種と言えます。
億単位の資金を動かすスケールの大きさ
財務の仕事におけるもう一つの魅力は、扱う金額のスケールの大きさです。
特に大手企業やグローバル企業においては、一つのプロジェクトで数十億円、時には数千億円という資金が動くこともあります。
日常生活では想像もつかないような巨額の資金を、自分の作成した計画や交渉に基づいて動かす経験は、財務職ならではの醍醐味です。
このスケールの大きさは、単に金額が大きいというだけでなく、それによって社会に与える影響力の大きさも意味しています。
例えば、巨額の資金調達に成功したことで新しい工場が建設され、そこに雇用が生まれ、地域経済が活性化するといった連鎖的なインパクトを生み出すことができます。
あるいは、M&Aによって技術力のあるベンチャー企業と手を組むことで、革新的な新製品が世に出るきっかけを作ることもできるでしょう。
このように、自分が管理・調達した資金が形を変え、社会に価値を提供していく過程を見届けることは、仕事に対する強い誇りと責任感を醸成します。
プレッシャーは大きいですが、それを乗り越えた時の達成感は何物にも代えがたいものです。
【財務の志望動機】財務に向いている人
財務職は、企業の資産を預かるという性質上、適性や性格が業務のパフォーマンスに大きく影響します。
単に「数字が好き」というだけでは不十分で、その数字の裏にあるビジネスの動きを読み解く洞察力や、社内外の利害関係者を調整する人間力も求められます。
企業はお金という血液を循環させ続ける必要があり、財務担当者はその循環を止めないための番人であり、同時に流れを良くする医師のような存在でもあります。
したがって、冷静沈着さと情熱の両方をバランスよく持っている人材が好まれる傾向にあります。
正確な事務処理能力はもちろん必要ですが、それ以上に、予測不能な事態に対して冷静に対処できる精神的なタフさや、論理的に物事を考え抜く力が重要視されます。
ここでは、財務職において特に重要とされる適性を3つのポイントに絞って解説します。
自分がこれらの特徴に当てはまるかどうかを客観的に分析し、自己PRや志望動機を作成する際の参考にしてください。
数字に強く論理的な思考ができる人
財務の仕事において、数字は「言語」です。
財務諸表や市場データなど、膨大な数字の中から法則性を見出し、現状の課題や将来のリスクを分析する能力が不可欠です。
しかし、単に計算が速いということではありません。
重要なのは、数字という客観的な事実に基づいて、論理的な仮説を立て、結論を導き出すロジカルシンキング能力です。
感情や直感に頼らず、データに基づいて「なぜ資金が必要なのか」「なぜこの調達方法が最適なのか」を説明できなければ、銀行や投資家、そして経営陣を納得させることはできません。
例えば、来期の予算計画を立てる際にも、過去のトレンド、市場の動向、競合の状況など、あらゆる変数を考慮して精度の高い予測を立てる必要があります。
ここで論理に飛躍があったり、根拠が曖昧だったりすると、会社の資金計画全体が狂ってしまうリスクがあります。
そのため、物事の因果関係を整理し、筋道を立てて考えることが好きな人や、複雑な事象を構造化して捉えることが得意な人は、財務としての高い適性を持っています。
常に「なぜ?」と問い続ける姿勢が、精度の高い財務戦略を生み出すのです。
プレッシャーに強く責任感がある人
財務担当者は、企業の存続に関わる重大な責任を負っています。
資金がショートすれば会社は倒産してしまうため、資金繰りの管理には一切のミスが許されません。
また、巨額の資金を動かす際の振込手続き一つをとっても、桁を一つ間違えれば取り返しのつかない事態になります。
このような緊張感の中で、常に正確かつ迅速に業務を遂行するためには、高いストレス耐性と責任感が求められます。
プレッシャーに押しつぶされることなく、それを適度な緊張感としてポジティブに変換できる強さが必要です。
また、財務の仕事は予期せぬトラブルの連続でもあります。
急な経済変動や取引先の事情によって、予定していた入金が遅れたり、資金調達が難航したりすることもあります。
そうしたピンチの場面でもパニックにならず、冷静に代替案を考え、粘り強く解決策を実行できる精神的なタフさが不可欠です。
「自分が会社を守るんだ」という当事者意識を持ち、最後まで仕事をやり遂げる完遂力のある人は、財務部門で信頼され、活躍することができるでしょう。
コミュニケーション能力と交渉力がある人
財務というとデスクワークのイメージが強いかもしれませんが、実際は非常に多くの人と関わる仕事です。
社内では経営陣への報告や各事業部との予算調整、社外では金融機関の担当者や投資家、監査法人との折衝など、多岐にわたるコミュニケーションが発生します。
特に資金調達の場面では、自社の要望を通しつつ、相手にとってもメリットのある条件を引き出す高度な交渉力が求められます。
相手の立場や意図を正確に汲み取り、信頼関係を構築する力がなければ、円滑な資金調達は実現できません。
また、専門用語が多くなりがちな財務の話を、専門外の人にも分かりやすく伝える翻訳能力も重要です。
事業部の担当者に予算削減をお願いしたり、経営陣に複雑な金融商品を説明したりする際には、相手の理解度に合わせて説明を変える柔軟性が必要です。
数字という無機質なデータを扱いながらも、最終的に人を動かすのは人間力と対話力です。
周囲と協力しながら物事を進めることが得意な人や、利害関係の調整にやりがいを感じる人は、財務職として大成する可能性を秘めています。
【財務の志望動機】財務に向いていない人
どのような職種にも向き不向きがあるように、財務職にも、性格や志向性によっては苦痛を感じてしまう人がいます。
ミスマッチを防ぐためには、華やかな側面だけでなく、地味で泥臭い側面や、求められる資質とのギャップを事前に理解しておくことが大切です。
「お金に関わる仕事=財務」という安易なイメージだけで志望すると、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
特に、財務は正確性と規律が求められる世界であり、クリエイティブな発想で自由にルールを変えていくような仕事とは性質が異なります。
また、結果が出るまでに時間がかかることも多く、短期的な成果を求めるタイプの人にはじれったく感じることもあるでしょう。
ここでは、一般的に財務職には不向きとされる特徴を3つ挙げます。
これらに該当するからといって諦める必要はありませんが、自分の弱点を自覚し対策を練るか、あるいは他の職種との比較検討を行う材料としてください。
細かい作業や確認が苦手な人
財務の仕事は、ダイナミックな資金調達だけでなく、日々の地道な入出金管理やデータ照合といった細かい作業の積み重ねで成り立っています。
1円のズレも許されない世界であり、契約書の条文一つ、送金データの数字一つに対して、徹底的な確認を行うことが求められます。
そのため、大雑把な性格の人や、細かい数字を見続けるのが苦痛な人にとっては、日々の業務が大きなストレスになる可能性があります。
「だいたいでいいだろう」という感覚は、財務においては命取りとなります。
些細なミスが会社の信用問題や巨額の損失につながるリスクがあるため、財務担当者には「慎重すぎる」くらいの姿勢がちょうど良いとされます。
もし、あなたが細かい作業よりもアイデアを出したり、直感で動いたりすることを好むタイプであれば、財務よりも企画職や営業職の方が能力を発揮できるかもしれません。
正確性よりもスピードや量を重視するスタイルの人は、財務特有の厳密な管理プロセスに窮屈さを感じてしまうことが多いでしょう。
変化を嫌い現状維持を好む人
財務は「守り」の機能を持つ一方で、変化する経済環境や会社の成長ステージに合わせて、常に最適な財務戦略を「変化」させていく必要があります。
金融市場のルール、税制、金利動向、そしてフィンテックなどの新しい技術は日々進化しています。
こうした外部環境の変化にアンテナを張り、新しい知識を吸収し続けなければ、適切な資金管理はできません。
そのため、学習意欲が低い人や、決まったルーチンワークだけをこなしていたい現状維持バイアスの強い人には不向きです。
また、企業が新しい事業に挑戦する際には、前例のない資金調達スキームを構築する必要に迫られることもあります。
「今までこうだったから」という前例踏襲の考え方しかできないと、会社の成長の足かせになってしまいます。
財務担当者には、リスクを正しく評価した上で、新しい手法に挑戦する柔軟性と変化への適応力が求められます。
安定を求めて財務を志望する人もいますが、実際には激しい変化の波に乗り続ける覚悟が必要な職種であることを理解しておく必要があります。
自分の判断で動くのが怖い人
財務の仕事は、最終的には経営判断につながる重要な情報を扱いますが、日々の業務においても大小様々な「判断」の連続です。
「この条件で銀行と交渉を進めてよいか」「今の資金残高で支払いを実行してよいか」など、自分の判断が会社の資金繰りに直結します。
そのため、常に上司の指示待ちで、主体的に判断できない人や、責任を負うことを過度に恐れる人には厳しい環境となります。
もちろん、独断専行は許されませんが、状況を分析した上で「自分はどうすべきと考えるか」という意見を持てない人は、財務としての付加価値を発揮できません。
特に緊急時には、限られた時間と情報の中で最善の選択肢を提案しなければなりません。
失敗を恐れて決断を先延ばしにしたり、他人の意見に流されたりする傾向がある人は、財務の現場で求められるスピード感と決断力についていけず、苦労することになるでしょう。
【財務の志望動機】志望動機を作成する際のポイント
財務職の志望動機を作成する際には、単に「財務に興味がある」と伝えるだけでは不十分です。
人気職種であるため倍率も高く、採用担当者は「なぜうちの会社の財務でなければならないのか」「この学生は財務として活躍できるポテンシャルがあるか」を厳しくチェックしています。
説得力のある志望動機にするためには、自分の経験や強みと、財務という仕事、そして応募企業の方向性を論理的に結びつける必要があります。
ここでは、他の候補者と差別化し、採用担当者の心に響く志望動機を構成するための4つの重要ポイントを解説します。
これらは、エントリーシート(ES)作成時だけでなく、面接での受け答えの際にも軸となる考え方です。
抽象的な憧れではなく、具体的で現実的なキャリアプランに基づいた志望動機を作り上げることで、あなたの本気度を伝えましょう。
なぜ「財務」かを明確にする
まず最も重要なのは、「なぜ営業や企画ではなく、また経理でもなく、財務なのか」という点を明確にすることです。
多くの学生が混同しがちな経理職との違いを理解していることを示しつつ、財務ならではの「未来の資金計画」や「資金調達」という業務に魅力を感じている理由を語る必要があります。
例えば、「過去の記録だけでなく、未来の投資に関わり企業の成長を直接支えたい」といったように、財務独自の機能に焦点を当てると良いでしょう。
また、その理由が自身の原体験に基づいているとさらに説得力が増します。
「ゼミ活動で予算配分の重要性を学んだ」「部活動で会計担当として資金不足を解消した経験がある」など、具体的なエピソードを交えることで、単なる知識としてではなく、実感を持って財務を選んでいることが伝わります。
「自分にとって財務とは何か」を言語化し、それが他の職種では代替できない理由を論理的に組み立ててください。
その企業でなければならない理由を伝える
「財務がやりたい」というだけでは、「では他の会社でもいいですよね?」と返されてしまいます。
その企業の財務部門でなければならない理由、すなわち「企業ごとの独自性」に触れることが不可欠です。
企業の成長フェーズ(創業期、拡大期、成熟期)や、事業展開(国内中心、グローバル展開、M&A積極化)によって、財務に求められる役割は大きく異なります。
志望企業の中期経営計画や有価証券報告書を読み込み、その会社が今どのような財務戦略をとっているかをリサーチしましょう。
例えば、「御社は積極的に海外M&Aを進めており、グローバルな資金調達に挑戦できる環境がある点に惹かれた」や、「安定した財務基盤を活かして新規事業へ大胆に投資する戦略に共感した」といった具体的な言及が効果的です。
企業の目指す方向性と、自分が財務として挑戦したいことが合致していることをアピールすることで、マッチングの高さを証明することができます。
自身の強みがどう活かせるかを示す
熱意だけでなく、自分がその会社に貢献できる人材であることを示す必要があります。
財務に向いている人の特徴(論理的思考力、ストレス耐性、交渉力など)を踏まえ、自分の強みが実務でどう活かせるかを具体的にイメージさせることが重要です。
資格(簿記やFPなど)を持っている場合はアピール材料になりますが、資格そのものよりも、その勉強過程で培った知識や継続力を強調する方が効果的です。
資格がない場合でも、「アルバイトで複雑なトラブルを冷静に解決した経験(ストレス耐性)」や、「サークルで対立する意見を調整して合意形成を図った経験(交渉力)」などは、財務の適性を示す強力なエビデンスになります。
「私の持つ〇〇という強みは、御社の財務部門における××という業務で活かせると考えています」というように、能力と業務の接続を明確に言葉にしてください。
入社後のキャリアビジョンを描く
最後に、入社後にどのように成長し、会社に貢献していきたいかという将来のビジョンを盛り込みます。
これは、長期的に働く意思があることを示すとともに、仕事への理解度の深さをアピールするためです。
「まずは正確な資金管理業務を通じて会社の金銭感覚を養い、将来的には大型の資金調達プロジェクトを主導したい」といったように、段階的な成長イメージを伝えると現実味が増します。
また、「CFOを目指したい」「海外現地法人の財務責任者になりたい」といった大きな目標を掲げるのも良いでしょう。
ただし、独りよがりな野心ではなく、あくまで「その企業の成長に貢献した結果としてのキャリア」であることを忘れないでください。
ビジョンが明確であればあるほど、採用担当者はあなたが入社して活躍する姿を具体的にイメージでき、採用への期待値が高まります。
【財務の志望動機】志望動機を伝える際の注意点
素晴らしい経験やスキルを持っていても、伝え方を間違えるとマイナスの評価につながってしまうことがあります。
特に財務のような専門職の場合、誤った認識や不適切な表現は「勉強不足」「適性なし」と判断される致命的な原因になりかねません。
志望動機は、自分を売り込むプレゼンテーションの場ですが、同時に「リスク管理ができるか」「客観的な視点を持っているか」という財務担当者としての資質も見られています。
ここでは、多くの就活生が陥りがちな3つの失敗パターンを解説します。
これらを避けることで、より洗練された、プロフェッショナルな印象を与える志望動機に仕上げることができます。
書いた内容を読み直し、これらの注意点に抵触していないか、客観的な視点でチェックする習慣をつけましょう。
どの企業・組織でも通じる内容にしない
「数字を扱うのが好きです」「企業の成長を支えたいです」といった抽象的な志望動機は、どの会社の財務職にも当てはまってしまいます。
このような「コピペ可能」な内容は、志望度が低いとみなされる最大の要因です。
数ある企業の中で、なぜその会社なのかという固有名詞や具体的な事実を必ず盛り込むようにしてください。
例えば、その会社の主力商品、独自のビジネスモデル、あるいは特定の財務指標(自己資本比率の高さやROEの目標値など)に触れることで、企業研究の深さをアピールできます。
「貴社の〇〇という事業戦略を財務面から支えたい」と具体化することで、あなただけの志望動機を作り上げましょう。
汎用的な言葉は、誰にでも言える言葉であり、誰の心にも響かない言葉です。
経理との違いを理解していないと思われる
前述の通り、財務と経理は密接に関わっていますが、役割は明確に異なります。
志望動機の中で「決算書の作成を正確に行いたい」「日々の帳簿付けを通じて会社を知りたい」といった内容ばかりを強調すると、「それは経理の仕事だね」と思われてしまいます。
財務職を志望する以上、「資金の調達・運用・管理」という財務特有の業務に焦点を当てる必要があります。
もちろん、経理の知識は財務にも必要ですが、それは手段であって目的ではありません。
「経理で得られる会計データを元に、どう未来の戦略を描くか」という視点を忘れないでください。
もし経理と財務が統合されている部署に応募する場合は、両方の視点を持っていることをアピールしつつ、特に財務的なアプローチに興味がある理由を補足すると良いでしょう。
専門用語を多用しすぎない
財務の勉強をしている学生にありがちなのが、知識をアピールしたいあまり、難解な専門用語や横文字を多用してしまうケースです。
「WACC(加重平均資本コスト)を最適化し…」「デットファイナンスとエクイティファイナンスのバランスを…」などと書き連ねても、実務経験のない学生が使うと薄っぺらく聞こえたり、単なる知識のひけらかしと捉えられたりすることがあります。
重要なのは、用語を知っていることではなく、その用語が意味する本質を理解していることです。
専門用語は必要最低限に留め、自分の言葉で分かりやすく説明するよう心がけましょう。
相手に伝わりやすい言葉を選ぶ能力は、財務担当者に必須のコミュニケーション能力の一部とみなされます。
平易な言葉で深い論理を展開できる人こそが、真に賢い人材として評価されます。
【財務の志望動機】財務の志望動機例文
最後に、これまでのポイントを踏まえた具体的な志望動機の例文を3つ紹介します。
これらはあくまでサンプルのため、そのまま使うのではなく、自分の経験や言葉に合わせてカスタマイズしてください。
それぞれ異なる切り口(成長戦略、堅実性、グローバル)で作成していますので、自分の志向に近いものを参考に、構成や表現のヒントとして活用してください。
例文1:成長戦略への貢献(300字程度)
私は、貴社の「技術力で世界を変える」という挑戦を、財務面から支えたいと考え志望しました。
大学のゼミで企業分析を行い、優れた技術を持ちながら資金繰りの悪化で成長機会を逃す事例を数多く目にしました。
この経験から、攻めの経営を支える強固な財務基盤の重要性を痛感しました。
貴社は現在、新領域への積極的な投資を掲げており、その実現には高度な資金調達戦略が不可欠だと考えています。
私の強みである「データに基づく論理的思考力」を活かし、最適な資金計画の立案や投資対効果の分析を通じて、貴社の持続的な成長と企業価値の最大化に貢献したいと考えています。
例文2:堅実性と信頼構築(300字程度)
私は、企業の信頼を守り抜く「最後の砦」として財務の仕事に従事したいと考えています。
カフェのアルバイトで売上管理リーダーを務めた際、日々の細やかな入出金管理と誤差の徹底的な原因究明を行うことで、店舗の利益率改善に貢献しました。
この経験から、数字に対する誠実さと正確性が組織の基盤を作ることを学びました。
貴社の「誠実な経営」という理念に深く共感しており、私の強みである「粘り強さと緻密さ」は、貴社の財務部門において確実なキャッシュフロー管理やリスクヘッジを行う上で最大限に発揮できると確信しています。
盤石な財務体制を構築し、貴社の安定経営に寄与します。
例文3:グローバル展開と資金調達(300字程度)
貴社のグローバル展開を資金面でリードするプロフェッショナルになりたいと思い、志望しました。
留学中に現地企業でのインターンシップに参加し、為替変動が利益に与えるインパクトの大きさを肌で感じました。
貴社は海外売上比率50%を目指しており、為替リスク管理や海外市場からの資金調達が今後の鍵になると考えています。
私は大学で国際金融論を専攻し、金融市場のメカニズムを学んできました。
この知識と、持ち前の「環境変化への適応力」を活かし、複雑化する国際財務の課題解決に取り組みたいです。
将来的には海外拠点の財務責任者として、貴社の世界的な飛躍を支える人材を目指します。
まとめ
財務職の志望動機を作成するためには、まず財務という仕事の「未来志向」な性質と、企業経営における重要性を正しく理解することが出発点です。
その上で、自分の性格や強みが財務の業務(論理的思考、プレッシャーへの耐性、交渉力など)といかに合致しているかを論理的に示す必要があります。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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