【例文あり】静岡県庁の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【例文あり】静岡県庁の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【静岡県庁の志望動機】静岡県庁とは

就職活動において、地方公務員、特に静岡県庁を志望する場合、まずはその多様性とポテンシャルを深く理解することが重要です。

静岡県は、世界遺産である富士山をはじめとする豊かな自然環境と、自動車や楽器、医薬品などの高度なものづくり産業、そしてお茶やみかんなどの農業がバランスよく発展しており、まさに「日本の縮図」とも言える豊かな県です。

また、地理的にも東京と大阪の中間に位置し、日本の物流や人流の大動脈を担っています。

志望動機を作成する上では、こうした恵まれた環境を活かしつつ、南海トラフ地震への備えや人口減少といった課題にどう向き合うかが問われます。

ここでは、静岡県庁が担う具体的な業務内容と、組織としての特徴について詳しく解説します。

静岡県庁の業務内容

静岡県庁の業務は、35の市町(うち2つは政令指定都市)を広域的に支援し、県全体の発展を牽引することです。

産業振興においては、既存の製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援や、次世代自動車(EVなど)への転換促進、さらには医療健康産業(ファルマバレープロジェクト)の推進など、時代の先端を行く産業政策を数多く手がけています。

農業分野でも、特産品のブランド化や海外輸出の促進など、攻めの農業を展開しています。

また、静岡県にとって避けて通れないのが「防災」です。

地震・津波対策、風水害対策などのハード整備に加え、地域防災力の向上といったソフト対策にも力を入れており、「防災先進県」として日本全体のモデルとなる取り組みを行っています。

これらに加え、教育、福祉、医療、環境保全など、県民生活のあらゆる場面を支えるための制度設計やインフラ整備を行い、安全で安心な「ふじのくに」づくりを進めています。

静岡県庁の特徴

静岡県庁の大きな特徴の一つは、県内に「静岡市」と「浜松市」という2つの政令指定都市(政令市)が存在することです。

政令市は多くの権限を県から移譲されているため、県庁はこれら2市以外の市町に対してよりきめ細かな支援を行いつつ、政令市とは対等なパートナーとして広域的な連携を図るという、高度な調整能力が求められます。

この「二重行政」を排し、いかに相乗効果を生み出すかが行政運営の鍵となっています。

また、組織文化としては、東西に長い県土ゆえの多様性を尊重し、柔軟で穏やかな風土があると言われています。

一方で、防災意識の高さや、新しい産業への感度の高さから、現実的かつ実直に課題に取り組む姿勢も根付いています。

近年では、リニア中央新幹線の工事に伴う水資源・環境保全の問題など、国や大企業とも対等に議論を交わし、県民の利益を守るために毅然とした対応をとる場面も見られ、地方自治の本旨を体現する組織としての側面も持っています。

【静岡県庁の志望動機】静岡県庁の魅力

静岡県庁で働く魅力は、何と言ってもその産業や文化の多様性に触れながら、日本全体の発展にも寄与できる点にあります。

ものづくり、観光、農業のすべてが一流であるこの県において、行政官として関われるフィールドは極めて広く、飽きることのない挑戦が待っています。

志望動機で魅力を語る際は、単に「住みやすい」というだけでなく、仕事としてのやりがいや成長環境に焦点を当てることが重要です。

ここでは、多くの職員が感じる静岡県庁ならではの魅力を3つの視点から掘り下げます。

「なぜ他県ではなく静岡なのか」を明確にするための材料として活用してください。

多彩な産業と自然が共存する「日本の縮図」

静岡県は、製造業出荷額などで全国トップクラスを誇る「ものづくり県」であると同時に、農林水産業も盛んな「食の都」でもあります。

この産業構造の多様性は、職員にとって活躍の場が無限に広がっていることを意味します。

ある時は最先端技術を持つ企業の支援に携わり、次の異動ではお茶農家のブランド戦略に関わるなど、幅広い分野の知見を深めることができる環境です。

また、富士山や伊豆半島、駿河湾といった世界に誇る観光資源を活用したツーリズムの振興や、南アルプスの自然環境保全など、グローバルな視点とローカルな視点の両方が求められる業務も豊富です。

このように、都市的な課題と地方的な課題の両方にアプローチできる点は、日本の縮図と言われる静岡県ならではの魅力であり、ゼネラリストとしての高い能力を養うことができます。

防災先進県として県民の命を守る使命感

静岡県庁の仕事には、常に「県民の命を守る」という崇高な使命が伴います。

長年、東海地震の発生が懸念されてきた地域として、静岡県は独自の防災対策を積み重ねてきました。

耐震化の促進、防潮堤の整備、地域コミュニティごとの防災訓練支援など、そのノウハウは全国でもトップレベルです。

この「防災先進県」の一員として、日本の防災スタンダードを作る最前線で働けることは、公務員として大きな誇りとなります。

災害対策はプレッシャーのかかる仕事ですが、それだけにやりがいもひとしおです。

発災時の迅速な対応はもちろん、平時から危機管理体制を構築し、「もしも」の時に一人でも多くの命を救うための準備をする仕事は、社会貢献の究極の形とも言えます。

強い責任感を持って人々の安全を支えたいと考える人にとって、これ以上ないフィールドと言えるでしょう。

政令市と連携し広域的な発展を牽引するスケール

静岡県庁は、県全域を俯瞰する広域自治体として、静岡市・浜松市という2つの強力なエンジン(政令指定都市)と連携しながら県政を運営します。

単独の自治体では解決できないような広域的なインフラ整備(道路ネットワークや港湾整備など)や、県境を越えた観光ルートの開発などは、県庁だからこそ主導できるプロジェクトです。

また、東西に長い県土の一体感を醸成し、地域間の格差を是正することも重要な役割です。

伊豆、東部、中部、西部という異なる文化圏を持つ地域それぞれの特性を活かしながら、オール静岡としての総合力を高めていくプロセスには、ダイナミックな面白さがあります。

狭いエリアにとどまらず、県土全体をデザインし、10年後、20年後の静岡の姿を描くスケールの大きな仕事に携われることが大きな魅力です。

【静岡県庁の志望動機】静岡県庁の求める人物像

静岡県庁が求めているのは、激しく変化する社会情勢の中で、静岡県の強みを伸ばし、課題を解決できる「行動力」と「人間力」を兼ね備えた人材です。

単に試験の点数が良いだけでなく、県民のために汗をかけるかどうかが重視されます。

志望動機や自己PRを作成する際には、県の人事委員会が公表している求める人材像などを参考にしつつ、自分の強みが組織のニーズに合致していることを証明する必要があります。

ここでは、特に重要視される3つの資質について解説します。

具体的なエピソードと結びつけてアピールできるように準備しましょう。

変化を恐れず新たな課題に挑む「挑戦心」

これまでの前例踏襲だけでは、人口減少や激甚化する災害、産業構造の変化といった難局を乗り越えることはできません。

静岡県庁は、困難な課題に対しても諦めずに、新しい発想で解決策を見出そうとする「挑戦心」を持った人材を求めています。

デジタル技術を活用した行政サービスの効率化や、新しい観光スタイルの提案など、若手の柔軟なアイデアが期待される場面は多々あります。

面接などでは、学生時代に新しい取り組みを行った経験や、失敗を恐れずにチャレンジした経験が高く評価されます。

「誰かがやってくれるのを待つ」のではなく、「自分が先頭に立って変えていく」という気概を示すことが大切です。

安定志向ではなく、変化をチャンスと捉えて前向きに行動できるマインドセットを持っていることが、採用選考における重要なポイントとなります。

県民の声に寄り添う「現場主義」と当事者意識

行政の仕事は、机の上だけで完結するものではありません。

特に静岡県庁では、現場に足を運び、県民の声に直接耳を傾ける「現場主義」が重視されています。

施策を立案する際にも、データを見るだけでなく、実際に困っている人々の状況や、現場の空気感を肌で感じ取り、実態に即した解決策を考える姿勢が必要です。

また、県民全体の奉仕者として、高い倫理観と当事者意識を持つことも求められます。

他人事のように課題を語るのではなく、「自分たちが静岡県を支えているのだ」という責任感を持って業務に取り組める人物かどうかが見られています。

ボランティア活動やアルバイトなどで、相手の立場に立って考え行動した経験は、この資質を裏付ける強力なエピソードとなるでしょう。

多様な主体をつなぎ相乗効果を生む「調整力」

県庁の仕事は、市町、国、民間企業、NPO、地域住民など、多様なステークホルダーとの協働によって成り立っています。

それぞれの立場や利害が異なる中で、対話を重ね、信頼関係を築きながら合意形成を図る「調整力」が不可欠です。

特に静岡県には多様な産業や地域性があるため、異なる価値観を持つ人々を繋ぎ合わせ、新しい価値を生み出すコーディネーターとしての役割が期待されます。

自分の意見を一方的に主張するのではなく、周囲の意見を丁寧に聞き取り、チームとして最大の成果を出せるように動ける協調性が必要です。

学生時代のチーム活動やサークル運営などで、意見の対立を乗り越えて一つの目標を達成した経験があれば、それは県庁職員としての高い適性を示す証拠になります。

【静岡県庁の志望動機】志望動機を作成する際のポイント

静岡県庁への志望動機を作成する際、多くの学生が「静岡が好きだから」という理由からスタートしますが、それだけでは倍率の高い選考を勝ち抜くことはできません。

採用担当者は「なぜ行政なのか」「なぜ静岡県庁なのか」「入庁後に何ができるのか」を論理的に知りたいと考えています。

ここでは、説得力のある志望動機を作成するための4つの構成要素を解説します。

これらのポイントを網羅し、あなただけのオリジナルなストーリーを構築してください。

なぜ「静岡県庁」かを明確にする

最も重要なのは、「なぜ静岡県庁でなければならないのか」という理由を明確にすることです。

出身者であれば地元愛だけでなく、「一度外に出たからこそ分かる静岡のポテンシャルと課題」を語ると説得力が増します。

県外出身者の場合は、「なぜ地元ではなく静岡なのか」を論理的に説明する必要があります。

例えば、「ものづくり産業の集積と豊かな自然環境のバランスに惹かれ、ここなら多角的な地域振興ができると考えた」といった具合です。

また、政令指定都市(静岡市・浜松市)との違いを意識することも大切です。

政令市が市民に密着したサービスを提供するのに対し、県は広域的な調整や産業全体の振興を担います。

この「広域性」や「スケール感」に魅力を感じていることを伝えると、役割理解が深いと評価されます。

自身の原体験に基づいたエピソードを盛り込む

志望動機に厚みを持たせるためには、あなた自身の具体的な体験談(原体験)が不可欠です。

例えば、「防災ボランティアに参加し、行政の支援体制の重要性を痛感した経験」や、「ゼミで地域活性化の研究を行い、静岡県の観光戦略に関心を持った経験」などです。

単にパンフレットで見た情報だけでなく、自分が実際に動いて感じたことをベースに志望動機を組み立てましょう。

エピソードがあることで、あなたの熱意の根拠が明確になり、採用担当者の記憶に残りやすくなります。

「きっかけとなった出来事」→「そこで感じた課題意識」→「だから静岡県庁で働きたい」という流れを作ると、論理的で分かりやすい文章になります。

自身の強みが入庁後どう活きるか具体的に伝える

熱意だけでなく、あなたが組織にとって「有用な人材」であることもアピールしましょう。

自己分析で見つけた強み(例:粘り強さ、傾聴力、企画力など)が、静岡県庁の業務においてどのように活かせるかを具体的に紐付けます。

「接客業で培った傾聴力を活かして、県民の潜在的なニーズを汲み取りたい」や、「部活動の主将として培った調整力を活かして、関係機関との連携をスムーズに進めたい」といった形です。

あくまで「県庁の仕事に貢献する」という視点で書くことが重要です。

自分のやりたいことだけでなく、組織が求めている能力と自分の強みがマッチしていることを示すことで、即戦力としての期待感を高めることができます。

長期的な視点でのキャリアビジョンを描く

採用担当者は、長く活躍してくれる人材を求めています。

そのため、入庁直後の希望だけでなく、将来的にどのような職員になりたいかというキャリアビジョンを示すことも効果的です。

「まずは現場で実務を学び、将来的には産業振興のプロフェッショナルとして県経済を牽引したい」や、「様々な部署を経験して視野を広げ、最終的には防災のエキスパートとして県民の安全を守りたい」などです。

静岡県庁はジョブローテーションにより多様な経験が積める職場です。

幅広い分野への関心と向上心を示しつつ、将来の目標を持っていることを伝えることで、仕事への本気度と成長意欲をアピールできます。

【静岡県庁の志望動機】志望動機を伝える際の注意点

どれほど良い経験を持っていても、伝え方を間違えると評価を下げる原因になります。

特に地方公務員の志望動機では、役割認識のズレや、曖昧な表現がマイナス評価に繋がることがあります。

ここでは、志望動機を作成する際や面接で話す際に注意すべきポイントを3つ解説します。

推敲の段階で必ずチェックすべき項目として活用し、隙のない志望動機に仕上げましょう。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

よくある失敗例が、「人々の役に立ちたい」「地元に貢献したい」「成長したい」といった抽象的な内容に終始してしまうことです。

これらはどの自治体でも、あるいは民間企業でも通用する理由であり、「静岡県庁ならでは」の志望動機になっていません。

これを避けるためには、静岡県独自の政策名(例:ファルマバレープロジェクト、ふじのくに防災減災対策など)や、具体的な地域課題に触れることが有効です。

「静岡県の〇〇という取り組みに共感し、自分もその一翼を担いたい」と具体的に述べることで、しっかりと企業研究(県庁研究)を行っていることが伝わります。

固有名詞や数字を用いることで、志望動機の解像度を高めましょう。

政令指定都市(静岡・浜松)との役割を混同しない

静岡県庁を志望する際に最も注意すべきなのが、政令指定都市(静岡市・浜松市)との役割の混同です。

「静岡市の中心部を活性化したい」「浜松の駅前開発に関わりたい」といった志望動機は、それぞれの市役所の管轄であり、県庁のメイン業務ではありません。

県庁はこれらを含めた県全体の調整や、市町村を跨ぐ広域的な課題解決を担います。

面接でも「それなら静岡市役所(浜松市役所)でいいのでは?」と突っ込まれる可能性が高いポイントです。

「特定の市だけでなく、県内全域の産業ネットワークを作りたい」や「市町村の枠を超えた広域防災体制を構築したい」というように、広域自治体としての視点を必ず盛り込むようにしてください。

憧れや評論家視点ではなく「当事者意識」を持つ

「静岡県は自然が豊かで素敵だから」「将来性があるから」といった評論家的な視点や、単なる憧れだけでは、仕事の厳しさに耐えられないと判断される恐れがあります。

行政の仕事は地味で泥臭い調整業務の連続であり、県民からの厳しい意見に晒されることもあります。

「良いところ」だけでなく「課題」も直視し、「自分が職員としてどう汗をかくか」という当事者意識(プレイヤーとしての覚悟)を示すことが重要です。

「課題解決のために、自分自身が現場で泥臭く動きたい」という姿勢を見せることで、信頼できる人物であるという印象を与えられます。

【静岡県庁の志望動機】静岡県庁の志望動機例文

最後に、これまでの解説を踏まえた志望動機の例文を3つ紹介します。

それぞれ異なるテーマ(産業振興、防災、多文化共生・移住)で構成しています。

これらを参考にしつつ、あなた自身の言葉や経験を織り交ぜて、オリジナルの志望動機を作成してください。

文字数はエントリーシート等で一般的によく求められる300字程度を目安にしています。

例文1:産業振興・ものづくり支援

私は、ものづくり県である静岡の産業競争力を高め、世界に誇れる「ふじのくに」の経済基盤を強化したいと考え、貴県を志望します。

大学時代、地元の中小製造業でのインターンシップを通じ、高い技術力を持ちながらも後継者不足やデジタル化の遅れに悩む現状を目の当たりにしました。

この経験から、個別の企業努力だけでなく、行政による広域的な支援ネットワークの構築が必要だと痛感しました。

広域自治体である貴県でこそ、企業間の連携促進や次世代産業への転換支援が可能だと考えます。

入庁後は、現場の声に耳を傾ける「傾聴力」を活かし、実効性のある産業支援策を立案・実行することで、地域経済の活性化に貢献します。

例文2:防災対策・危機管理

私は、「防災先進県」である静岡の安全を守り抜き、県民が安心して暮らせる社会基盤を築きたいと考え、貴県を志望します。

幼少期から防災訓練に参加し、地域の防災意識の高さを肌で感じる一方で、南海トラフ地震への備えは依然として最重要課題であると認識しています。

大学での防災ボランティア活動では、行政と地域住民の連携の難しさを学びました。

貴県に入庁後は、ハード面の整備だけでなく、地域防災力の向上というソフト面での対策にも注力したいです。

私の強みである「粘り強い調整力」を発揮し、市町や関係機関と連携しながら、災害に強くしなやかな県土づくりに全力を尽くします。

例文3:移住促進・多文化共生

私は、静岡県の多様な魅力を発信し、国内外から多くの人々を惹きつける開かれた地域社会を創りたいと考え、貴県を志望します。

大学時代、静岡県出身ではない友人たちに地元の魅力を伝えた際、豊かな自然や食文化に感動してもらい、誇らしく感じた原体験があります。

人口減少が進む中、関係人口の創出や多文化共生の推進は急務です。

貴県の多様性を尊重する風土の下、移住定住の促進や外国人材の活躍支援に携わりたいと考えています。

「行動力」と「語学力」を活かして、世界と静岡を繋ぐ架け橋となり、新しい活力が生まれる地域づくりに挑戦したいです。

まとめ

静岡県庁への志望動機を作成するためには、「日本の縮図」とも言える多様な産業や自然環境、そして「防災先進県」としての役割を深く理解することが出発点です。

その上で、広域自治体としてのスケール感や、政令指定都市との違いを明確にし、自身の経験に基づいた貢献可能性を論理的に伝える必要があります。

単なる憧れにとどまらず、課題解決に向けた当事者意識と挑戦心を示すことで、採用担当者の心に響く志望動機が完成します。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

RECOMMEND この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます