【例文あり】内閣官房の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【例文あり】内閣官房の志望動機の書き方とは?書く際のポイントや求められる人物像も解説

【内閣官房の志望動機】内閣官房とは

内閣官房は、内閣総理大臣を直接支え、内閣の重要政策を企画立案し、総合調整を行う内閣の補助機関です。

各省庁がそれぞれの所管分野(例:厚生労働省なら医療・福祉、国土交通省ならインフラ)を担当するのに対し、内閣官房はそれら特定の省庁だけでは対応しきれない国政上の重要課題を一手に引き受けます。

具体的には、国家安全保障、危機管理、サイバーセキュリティ、拉致問題、そして一億総活躍社会の実現など、政権が最優先で取り組むべきテーマについて、総理の意向を受けて司令塔としての役割を果たします。

志望動機を考える上では、この「省庁の上にある調整機関」という特殊な立ち位置を正確に理解しておくことが第一歩です。

内閣官房の業務内容

内閣官房の業務は極めて広範囲に及びますが、その核心は「内閣の重要政策の企画立案・総合調整」と「情報の収集・分析」、そして「危機管理」の3点に集約されます。

まず、アベノミクスやデジタル田園都市国家構想といった、国全体の方向性を決定づける政策の立案を行います。

ここでは、関係省庁と連携しながらも、省益を超えた国全体の最適解を導き出す高度な調整業務が発生します。

次に、国内外の情勢に関する情報を収集・分析し、総理が必要な判断を下せるようサポートするインテリジェンス機能も重要です。

そして何より、大規模災害やテロ、感染症のパンデミックといった国家の緊急事態において、初動対応の指揮を執る危機管理の中枢としての役割は、国民の生命と財産を守る最後の砦と言えるでしょう。

内閣官房の特徴

内閣官房の最大の特徴は、組織の構成員の多くが各省庁からの出向者で構成されている「混成部隊」である点です(ただし、近年は内閣情報調査室など独自採用の枠組みや、内閣府採用からの配属も存在します)。

財務省、外務省、警察庁など、異なるバックグラウンドを持つプロフェッショナルたちが集結し、それぞれの専門知見を持ち寄りながら一つのチームとして機能しています。

この多様性こそが内閣官房の強みであり、同時に難しさでもあります。

異なる省庁の論理や文化を理解した上で、総理官邸という一つの方向に向かってまとめ上げる力が求められる職場です。

また、政治との距離が極めて近く、国会対応や総理の記者会見の準備など、政治家と行政官の接点として、非常にスピーディーかつミスの許されない緊張感のある環境であることも大きな特徴です。

【内閣官房の志望動機】内閣官房の魅力

内閣官房で働くことの魅力は、文字通り日本の舵取りを行う現場に身を置けることに尽きます。

新聞の一面を飾るような国家プロジェクトや、歴史の教科書に載るような外交・安全保障の決断に、裏方として関与できる経験は、他のどの組織でも得られないものです。

また、特定の分野に縛られることなく、その時々の政権が重視する最重要課題に取り組めるため、常に時代の最先端で行政官としての腕を磨くことができます。

ここでは、就活生にとって特に響く内閣官房ならではのやりがいや魅力を、3つの視点から具体的に掘り下げていきます。

国家の中枢で総理を支えるスケール感

内閣官房の仕事は、内閣総理大臣の意思決定に直結しています。

自分が作成した資料やデータが総理の手元に届き、それが閣議決定や首脳会談の発言として形になる瞬間には、震えるほどの責任感と高揚感を感じることでしょう。

一省庁の担当者としてでは見ることのできない、国家レベルの視座で物事を考え、動かすことができるのは、この組織だけの特権です。

日本の未来を左右するような重大な局面において、黒衣(くろご)として総理を支えるという誇りは、激務と言われる環境下でも職員を突き動かす大きな原動力となります。

自分の仕事が国を動かしているという確かな手応えを感じられる点は、公務員として最高峰のやりがいと言えます。

省庁の壁を超えた「オールジャパン」の仕事

縦割り行政の弊害が指摘される中で、内閣官房は各省庁の壁を取り払い、国としての一体感を醸成する役割を担っています。

例えば、少子化対策であれば厚生労働省だけでなく、内閣府、文部科学省、国土交通省など複数の省庁が関わりますが、それらを統括し、ベクトルを合わせるのが内閣官房です。

特定の省益にとらわれることなく、純粋に「日本にとって何が最善か」という国益第一の視点で政策を推進できる環境は非常に魅力的です。

多様な省庁から集まった優秀な人材と切磋琢磨し、それぞれの知見を融合させて新しい解決策を生み出すプロセスは、行政官としての視野を飛躍的に広げてくれるでしょう。

国家の危機を救う「最後の砦」としての使命感

地震や豪雨などの大規模災害、あるいはテロや他国からの武力攻撃といった有事の際、内閣官房は政府の対策本部として機能し、国民を守るための初動対応を指揮します。

一刻を争う状況下で、正確な情報を集約し、自衛隊や警察、消防、地方自治体へ適切な指示を出す業務は、極めて高いプレッシャーを伴いますが、それ以上に深い意義があります。

平穏な日常が脅かされたとき、国民が最後に頼る組織の一員として最前線に立つことは、公務員としての本懐です。

人々の当たり前の生活を守り抜くという崇高な使命感を持って働けることは、内閣官房を志望する最大の理由になり得るでしょう。

【内閣官房の志望動機】内閣官房の求める人物像

内閣官房は、各省庁のエース級が集まる組織であり、求められる能力の水準も非常に高いものがあります。

単に事務処理能力が高いだけでなく、政治的な感度や、極限状態での判断力、そして何よりも国家に対する揺るぎない忠誠心が求められます。

新卒採用(主に国家公務員試験を経ての官庁訪問)においては、現時点での完成度よりも、将来的にこうした過酷な環境に適応し、成長できるポテンシャルがあるかどうかが重視されます。

ここでは、特に内閣官房という組織の特性上、欠かすことのできない3つの資質について詳しく解説します。

高い視座と国益を第一に考える俯瞰力

内閣官房の職員には、個別の省庁や業界団体の利益ではなく、日本全体の利益を最優先に考える姿勢が求められます。

そのためには、物事を部分的に見るのではなく、政治、経済、外交、社会情勢など、あらゆる要素を考慮に入れた上で、全体最適を導き出すマクロな視点と俯瞰力が必要です。

目の前の業務に埋没するのではなく、「この政策は10年後の日本にどう影響するか」「国際社会において日本はどう振る舞うべきか」といった大きな問いを常に自分に投げかけられる人物が適しています。

狭い専門性に閉じこもらず、常に世の中の動きにアンテナを張り、幅広い分野に関心を持てる知的好奇心の旺盛さも重要な資質です。

利害関係を調整し合意形成を図るタフな調整力

内閣官房の仕事の多くは、意見の異なる省庁間や、政治家との調整業務です。

それぞれが「正しい」と信じる主張をぶつけ合う中で、妥協点を見出し、一つの結論へと導いていく作業は、精神的にも肉体的にもタフさが求められます。

相手の立場を尊重しながらも、言うべきことは毅然として主張し、粘り強く交渉を続ける高度なコミュニケーション能力が不可欠です。

また、時には理不尽な状況や急な方針転換に直面することもありますが、そうした事態にも動じず、感情をコントロールして冷静に対応できるストレス耐性も必要です。

困難な壁にぶつかっても逃げ出さず、泥臭く汗をかいて調整に奔走できる人物こそが、現場では最も信頼されます。

有事の際に迅速かつ的確に行動できる判断力

危機管理を担う内閣官房では、平時の論理が通用しない緊急事態に直面することが多々あります。

情報が錯綜し、状況が刻一刻と変化する中で、前例踏襲ではない柔軟な思考と、瞬時の判断力が求められます。

上司の指示を待つだけでなく、自分なりに状況を分析し、「今何をすべきか」を自律的に考えて行動できる主体性が重要です。

また、ミスが許されない緊張感の中でも萎縮することなく、スピード感を持って業務を遂行できる胆力も必要です。

正解のない問いに対して、限られた時間と情報の中でベストな解を出し続ける覚悟と能力を持った人物が、内閣官房の未来を担う人材として期待されています。

【内閣官房の志望動機】志望動機を作成する際のポイント

内閣官房の志望動機を作成する際は、他の省庁との違いを明確にしつつ、なぜあえて最も厳しい環境と言われる内閣官房(あるいは内閣府採用からの配属)を目指すのかを論理的に説明する必要があります。

多くの学生は「内閣府」の官庁訪問を通じて内閣官房の業務に関わることを目指しますが、その中でも特に「官房機能」に惹かれる理由を深掘りしましょう。

ここでは、面接官に「この学生なら内閣官房の激務にも耐え、貢献してくれるだろう」と思わせるための、志望動機構成の重要なポイントを解説します。

なぜ「内閣官房」かを明確にする

志望動機の核となるのは、「なぜ他の省庁ではなく内閣官房なのか」という点です。

例えば、教育なら文科省、経済なら経産省という専門省庁がある中で、なぜそれらを統括する立場を希望するのか。

その答えとして有効なのは、「特定の分野に限らず、複合的な課題を解決したい」という視点や、「省庁間の隙間に落ちてしまうような新しい課題に取り組みたい」という意欲です。

また、既存の縦割り行政では解決できない課題に対して、省庁横断的なアプローチで挑みたいという意志を明確にしましょう。

「調整」という言葉を単なる事務作業としてではなく、政策を実現するためのダイナミックな手段として捉えていることをアピールすると、理解の深さが伝わります。

実体験に基づく課題意識を盛り込む

説得力のある志望動機には、必ずあなた自身の原体験が必要です。

「ゼミで日本の安全保障について議論し、司令塔機能の重要性を痛感した」や、「ボランティア活動で複数の組織間の連携不足による非効率さを目の当たりにし、調整役の必要性を感じた」など、具体的なエピソードを交えることで、志望理由にリアリティが生まれます。

単にニュースを見て感じたことだけでなく、自分自身が行動し、肌で感じた課題意識をベースにすることで、借り物ではないあなただけの熱い想いを伝えることができます。

その経験が、なぜ「国の中枢」で働きたいという動機に繋がったのか、論理の飛躍がないように丁寧にストーリーを組み立ててください。

入省後のキャリアビジョンを描く

内閣官房(内閣府)の業務は多岐にわたるため、漠然と「働きたい」と言うだけでは不十分です。

「内閣情報調査室でインテリジェンスのスペシャリストを目指したい」のか、「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)で国のデジタル基盤を守りたい」のか、あるいは「内閣府の部局と連携して経済財政運営に携わりたい」のか、ある程度の方向性を示すことが大切です。

もちろん、配属は希望通りになるとは限りませんが、具体的なビジョンを持っていることは、業務研究の深さと意欲の表れとして評価されます。

将来どのような行政官になりたいかという長期的な目標と、内閣官房での経験がどう結びつくかを語れるようにしておきましょう。

自身の強み(調整力やタフネス)をアピールする

内閣官房は激務であり、高度な調整能力が求められる職場です。

そのため、あなたの持つスキルや性格が、この組織に適していることを証明する必要があります。

「サークル長として対立する意見をまとめ上げた経験」や、「学業とアルバイトを両立し、厳しいスケジュールを管理し抜いた経験」など、調整力、交渉力、体力、精神的なタフネスを裏付けるエピソードを盛り込みましょう。

特に、異なる立場の人々を繋ぐ力や、困難な状況でも粘り強く取り組む姿勢は、内閣官房の職員として最も求められる資質の一つです。

自分の強みが、総理を支える黒衣としての業務にどう活かせるかを具体的にイメージさせる内容にしてください。

【内閣官房の志望動機】志望動機を伝える際の注意点

内閣官房への志望度は高くても、表現の仕方を誤ると「組織を理解していない」「適性がない」と判断されてしまうリスクがあります。

特に、政治と行政の役割分担や、実務の泥臭さを理解していないような発言は致命的です。

また、内閣官房はあくまで「内閣の補助機関」であり、自分が主役になって目立ちたいというタイプには不向きです。

ここでは、志望動機を練り上げる際に必ずチェックしておきたい、陥りやすい罠と回避策について解説します。

これらを踏まえて、プロフェッショナルな行政官の卵としての信頼感を勝ち取りましょう。

どの企業・組織でも通じる内容にしない

「日本を良くしたい」「人の役に立ちたい」といった抽象的な動機は、公務員全体、あるいは民間企業でも通用してしまうため、内閣官房の志望動機としては不十分です。

内閣官房の固有の機能である「危機管理」「省庁横断的な調整」「総理の補佐」というキーワードに触れ、他の組織では代替できない理由を語る必要があります。

また、単に「スケールの大きな仕事がしたい」というだけでも説得力に欠けます。

そのスケールの大きさの中で、具体的にどのような役割を果たしたいのか、どのような貢献ができるのかまで落とし込んで語ることが重要です。

組織の機能を具体的に理解していることを示すためにも、固有名詞や具体的な政策名を挙げるのも一つの手です。

政治家と行政官の役割を混同しない

内閣官房は政治の中枢に近い場所にありますが、職員はあくまで行政官(公務員)です。

政策の最終的な決定権は政治家(総理や大臣)にあり、職員はその判断材料を提供したり、決定事項を実行に移したりする役割を担います。

「私が日本をこう変える」といった政治家のような発言や、特定の政治思想に偏った主張は、行政官としての中立性や職務理解を疑われる原因となります。

あくまで「黒衣」として、政権の方向性を技術的・専門的な見地から支えることに徹するというスタンスを崩さないようにしましょう。

自分の理想を語ることは大切ですが、それは民主的なプロセスを経て選ばれた政治家を補佐することを通じて実現する、という謙虚さを忘れてはいけません。

華やかなイメージだけで語らない

ドラマや映画の影響で、内閣官房の仕事に対して華やかでかっこいいイメージを持っている人もいるかもしれません。

しかし、実際の業務は膨大な資料作成、根回し、待機時間の長さなど、極めて地味で泥臭いものです。

「かっこいいから」「エリートが集まる場所だから」といったミーハーな動機は、採用担当者にすぐに見透かされ、「激務に耐えられないだろう」と判断されてしまいます。

華やかな成果の裏には、膨大な努力と忍耐があることを理解していることを示しましょう。

「地味な調整業務こそが国を動かす鍵である」といった、実務の厳しさを受け入れた上での志望動機であれば、地に足のついた人材として評価されます。

【内閣官房の志望動機】内閣官房の志望動機例文

最後に、これまでのポイントを踏まえた内閣官房の志望動機例文を3パターン紹介します。

これらは、内閣府の採用選考や、内閣情報調査室などの独自採用において、官庁訪問を行う際を想定したものです。

それぞれの例文は、「省庁横断的な課題解決」「危機管理への使命感」「インテリジェンスへの関心」という異なるアプローチで書かれています。

これらを参考に、自分の言葉でリライトし、あなただけの熱意が伝わる志望動機を作成してください。

例文1:省庁横断的な課題解決(内閣府・官房全体)

私は、省庁の枠組みを超えた連携を推進し、複雑化する社会課題を根本から解決したいと考え、貴組織を志望します。

大学時代、地域創生のプロジェクトに参加し、観光振興と交通インフラ整備が別々の部署で進められ、相乗効果が生まれていない現状にもどかしさを感じました。

この経験から、縦割り行政の弊害を解消し、国全体最適の視点で政策を統合する「調整役」の必要性を痛感しました。

貴組織に入省後は、内閣の重要政策である地方創生や少子化対策において、関係省庁のハブとなり、政策の実効性を高める調整業務に携わりたいです。

私の強みである「異なる意見を粘り強く調整する力」を活かし、オールジャパン体制の構築に貢献したいと考えます。

例文2:危機管理への使命感(内閣官房・防災)

私は、国家の危機管理の中枢において、国民の生命と財産を守る最後の砦としての役割を果たしたいと考え、貴組織を志望します。

昨今の激甚化する自然災害や、予期せぬ感染症の拡大を目の当たりにし、平時からの備えと有事の際の迅速な初動対応がいかに重要であるかを痛感しました。

各省庁がそれぞれの専門分野を持つ中で、それらを瞬時に統括し、総理の指揮の下で組織的に対応できるのは内閣官房だけです。

私は、大学のアメリカンフットボール部で培った「プレッシャー下での冷静な判断力」と体力には自信があります。

いかなる緊急事態においても、国民の安全を最優先に考え、泥臭く現場を支える行政官として全力を尽くす覚悟です。

例文3:インテリジェンスへの関心(内閣情報調査室)

私は、正確な情報の収集と分析を通じて、日本の安全保障と国益を支えるインテリジェンス業務に従事したいと考え、貴室を志望します。

国際情勢が不透明さを増す中、国家の意思決定において「情報」の持つ重みはかつてないほど増しています。

大学での国際政治学の研究を通じ、表面的なニュースの裏にある真実を見極めることの難しさと重要性を学びました。

私は、貴室において、多角的な視点から情報を分析し、政策決定者に資する質の高い情報を提供するプロフェッショナルになりたいと考えています。

地道な調査を厭わない探究心と、客観的事実を追求する誠実さを武器に、日本の平和と安全を陰から支える「知の守護者」として貢献したいです。

まとめ

内閣官房の志望動機を書き上げるためには、まず組織の特殊性である「総理の補佐」「省庁横断」「危機管理」という役割を深く理解することが出発点です。

その上で、なぜあなたがその厳しい環境に身を置き、何を成し遂げたいのかを、自身の原体験と紐付けて語る必要があります。

華やかなイメージの裏にある地道な調整業務や重い責任を直視し、それでもなお「国のために尽くしたい」という覚悟を示すことができれば、採用担当者の心を動かすことができるはずです。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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