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はじめに
「学生時代に頑張ったことは何ですか?」この質問、いわゆる「ガクチカ」は、エントリーシートや面接で必ずと言っていいほど聞かれる定番の質問です。
しかし、「サークルや部活で特別な実績はないし、アルバイト経験しかない…」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
実は、そのアルバイト経験こそが、多くの企業が求める「問題解決能力」をアピールするための絶好の材料になるのです。
この記事では、ありふれたアルバイト経験を、採用担当者の目に留まる魅力的なガクチカへと昇華させるための具体的な方法を、作り方のステップからエピソード例、さらには高評価を得るためのコツまで、余すところなく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、自分のアルバイト経験に自信を持ち、説得力のあるガクチカを語れるようになっているはずです。
あなただけの経験を武器に、就職活動を有利に進めていきましょう。
アルバイトのガクチカは問題解決能力のアピールにうってつけ!
多くの学生が経験するアルバイトは、実は「問題解決能力」という、企業が新卒採用で非常に重視するスキルをアピールするのに最適な舞台です。
なぜなら、アルバイトの現場は、日々大小さまざまな課題が発生する場所であり、学生という立場だからこそ主体的に課題発見から改善までを担う経験を積みやすいからです。
「売上が伸び悩んでいる」「新人スタッフがすぐに辞めてしまう」「お客様からクレームが多い」など、一見ネガティブに思える状況こそ、あなたの問題解決能力を示すチャンスの宝庫と言えます。
重要なのは、指示された業務をただこなすだけでなく、現状をより良くするために自ら考え、行動した経験を具体的に語ることです。
本章では、なぜアルバイト経験が問題解決能力のアピールにこれほどうってつけなのか、その理由を3つの側面から深掘りしていきます。
この点を理解することで、自分の経験のどの部分を切り取れば、魅力的なガクチカになるのかが見えてくるでしょう。
主体的に課題を発見しやすい環境
アルバイトという立場は、社員の方々と比べて業務範囲が限定的である一方で、現場の最前線にいるからこそ、日々の業務の中に潜む小さな課題や非効率な点に気づきやすいという大きなメリットがあります。
「もっとこの手順を簡略化できないか」「お客様はここで困っているのではないか」といった、社員では見過ごしがちな現場目線の気づきは、課題発見能力のアピールに直結します。
例えば、マニュアル通りの作業を繰り返す中で「なぜこの作業が必要なのだろう?」と疑問に思い、より効率的な方法を考えて提案した経験はありませんか。
それは、現状を鵜呑みにせず、常に改善の視点を持っている証拠です。
企業は、指示待ちではなく、自ら仕事の中に課題を見つけ出し、改善していける人材を求めています。
そのため、アルバイトという身近な環境で、主体的に課題を発見した経験は、あなたのポテンシャルを示す非常に強力なエピソードとなるのです。
試行錯誤と改善のサイクルを回しやすい
アルバイトの現場で発見される課題は、企業全体の経営戦略に関わるような壮大なものではなく、比較的身近で具体的なものが多い傾向にあります。
これは、ガクチカを語る上で非常に有利な点です。
なぜなら、課題が具体的であるほど、自分自身で改善策を考え、実行し、その結果を検証するという一連のサイクルを回しやすいからです。
例えば、「レジ締め作業に時間がかかりすぎる」という課題に対して、「現金の集計方法を変えてみてはどうか」という仮説を立て、実際に試してみて、作業時間がどれだけ短縮されたかを計測する。
もし効果がなければ、また別の方法を試す。
このような小さな成功体験や試行錯誤のプロセスは、まさにビジネスの基本であるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)そのものです。
大きな成果でなくとも、自分で考えた施策を実行し、粘り強く改善に取り組んだ経験は、あなたの着実な実行力と学びの姿勢を証明する貴重なアピールポイントになります。
多様な立場の人と協力する経験が得られる
ほとんどのアルバイトは、一人で完結する仕事ではありません。
店長や社員、先輩アルバイト、後輩、そしてお客様といった、年齢も立場も異なる多様な人々と関わりながら業務を進めていく必要があります。
時には、自分一人の力では解決できないような難しい問題に直面することもあるでしょう。
例えば、「特定の時間帯だけお客様からのクレームが多発する」という課題に対し、同僚と協力して原因を分析し、社員に報告・相談しながら改善策を講じた経験などが挙げられます。
このように、周囲の人々を巻き込み、それぞれの意見や立場を尊重しながら、チームとして課題解決に取り組んだ経験は、企業が求める協調性やコミュニケーション能力をアピールする上で非常に有効です。
自分とは異なる考えを持つ人々とどのように合意形成を図り、目標達成に向けて協力したのかを具体的に語ることで、組織の中で成果を出せる人材であることを強く印象づけることができるでしょう。
アルバイトのガクチカの作り方3ステップ
説得力のあるガクチカを作成するためには、単に経験を羅列するのではなく、論理的な構成に沿って話を組み立てることが不可欠です。
特に、問題解決能力をアピールする場合、どのような課題に対し、どう考え、どう行動し、結果どうなったのかを、誰が聞いても理解できるように整理する必要があります。
行き当たりばったりでエピソードを語り始めてしまうと、話が散漫になり、本当に伝えたい自分の強みがぼやけてしまいます。
そこで、ここではアルバイト経験を魅力的なガクチカへと昇華させるための、具体的な3つのステップをご紹介します。
このフレームワークに沿って自分の経験を整理することで、自己分析が深まるだけでなく、面接官の質問にもスムーズに答えられるようになります。
まずは難しく考えず、一つひとつのステップを着実にクリアしていくことから始めましょう。
この3ステップを実践すれば、あなたのアルバイト経験は、他の就活生と差がつく強力な自己PRの武器に変わるはずです。
ステップ1:課題の特定(Problem)
まず最初に行うべきは、自身のアルバイト経験の棚卸しです。
これまで働いてきた中で、「もっとこうだったら良いのに」と感じたことや、「困ったな」「大変だったな」というネガティブな記憶をすべて書き出してみましょう。
例えば、「新人の教育係を任されたが、教える内容が多くて大変だった」「商品の発注ミスが多く、廃棄ロスにつながっていた」「お客様アンケートの満足度が低かった」など、些細なことでも構いません。
この段階では、できるだけ多くのエピソードを洗い出すことが重要です。
そして、書き出したリストの中から、ガクチカの核となる「課題」を一つ選びます。
選ぶ際のポイントは、その課題に対して自分が主体的に関わった経験があるかどうかです。
店長や会社の方針として決まっていたことではなく、あなた自身が「これは問題だ」と認識し、改善したいと強く思ったものを選ぶことで、以降のステップで語るストーリーに熱意と具体性が生まれます。
ステップ2:目標設定と行動(Action)
次に、ステップ1で特定した課題に対して、どのような目標を立て、それを達成するために具体的にどのような行動を起こしたのかを明確にします。
ここでのポイントは、「なぜその行動を選んだのか」という思考のプロセスを丁寧に説明することです。
例えば、「新人の定着率が低い」という課題に対し、「まずは原因を探るために、新人スタッフ一人ひとりと面談する時間を設けた」や「業務マニュアルが分かりにくいと考え、図やイラストを追加して改訂した」といった具体的なアクションを挙げます。
そして、「なぜ面談が必要だと思ったのか」「なぜマニュアルの改訂が効果的だと考えたのか」という、行動の裏付けとなる自分なりの仮説や分析をセットで語れるように準備しましょう。
これにより、あなたは単なる作業者ではなく、自らの頭で考え、戦略的に行動できる人材であることを示すことができます。
複数の選択肢の中からその行動を選んだ理由を語ることで、あなたの思考の深さをアピールできます。
ステップ3:結果と学びの言語化(Result & Learning)
最後のステップでは、あなたの行動がどのような結果につながったのかを具体的に示します。
可能な限り、具体的な数字を用いて成果を伝えることで、話の説得力は格段に向上します。
「新人スタッフの離職率が3ヶ月で50%から10%に低下した」「廃棄ロスが月間平均3万円から1万円に減少した」のように、定量的なデータで示すのが理想です。
もし数字で表すのが難しい場合でも、「お客様から直接お褒めの言葉をいただく機会が増えた」「チーム全体の作業効率が上がり、残業時間が削減された」といった、具体的な変化を伝えましょう。
さらに重要なのが、その経験を通して何を学んだのかを言語化することです。
「この経験から、課題解決のためにはまず現状を正確に分析することの重要性を学びました」のように、得られた教訓を明確にし、その学びを今後社会人としてどのように活かしていきたいかを付け加えることで、ガクチカは単なる成功譚ではなく、あなたの成長ストーリーとして完結します。
問題解決能力をアピールできるアルバイトのエピソード例
問題解決能力をアピールするためのガクチカの作り方をステップごとに解説してきましたが、まだ自分の経験にどう当てはめれば良いか、具体的なイメージが湧かないという方もいるかもしれません。
理論を理解することも大切ですが、やはり具体的なエピソード例に触れることで、自分の経験を振り返るヒントが得やすくなります。
ここでは、多くの学生が経験するであろう3つの代表的なアルバイト(飲食店、塾講師、アパレル店)を例に挙げ、それぞれのエピソードがどのように問題解決能力のアピールにつながるのかを具体的に解説していきます。
大切なのは、エピソードの華やかさではなく、課題に対してどのように向き合い、考え、行動したかというプロセスです。
これから紹介するエピソード例を参考に、あなた自身の経験の中に隠れている「輝く原石」を見つけ出してみてください。
きっと、あなたのアルバイト経験も立派なガクチカになることに気づくはずです。
飲食店の売上向上への貢献
飲食店でのアルバイトは、売上という明確な指標があるため、問題解決能力をアピールしやすい宝庫です。
例えば、「ランチタイム後のアイドルタイム(客足が遠のく時間帯)の売上が低い」という課題を発見したとします。
この課題に対し、あなたは「この時間帯限定のセットメニューを考案してはどうか」と仮説を立て、店長に提案します。
ただ提案するだけでなく、近隣の競合店の価格帯やメニューを調査し、具体的なセット内容と価格設定までをまとめて提案することで、あなたの分析力と主体性を示すことができます。
結果として、提案が採用され、「アイドルタイムの平均客単価が150円上昇し、1ヶ月で店舗の売上が5万円増加した」という具体的な成果が出たとします。
この一連の経験は、現状分析から課題特定、具体的な施策の立案・実行、そして成果の検証まで、ビジネスにおける問題解決のプロセスそのものであり、あなたの能力を雄弁に物語るエピソードとなります。
塾講師としての生徒の成績アップ
塾講師や家庭教師のアルバイトも、生徒の成績という分かりやすい成果があるため、ガクチカとして非常に有効です。
例えば、担当していた生徒が「特定の単元(例えば数学の関数)でどうしても点数が伸び悩んでいる」という課題に直面したとします。
あなたは、ただテキスト通りの指導を繰り返すのではなく、「なぜこの生徒は関数が苦手なのか」という原因を深く分析します。
ヒアリングの結果、「一次関数と二次関数の違いが根本的に理解できていない」という本質的な課題を突き止めます。
そこで、学校の教材とは別に、その生徒の理解度に合わせたオリジナルの確認テストや補習プリントを作成し、継続的に学習をサポートします。
その結果、「次の定期テストで、数学の点数が30点アップし、生徒の学習意欲も向上した」という成果につながったとします。
この経験は、相手の課題に真摯に向き合い、原因を特定し、個別の解決策を粘り強く実行できるという、あなたの高い問題解決能力と寄り添う姿勢を証明してくれるでしょう。
アパレル店の新人教育の効率化
アパレルや小売店でのアルバイトでは、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献した経験も良いアピール材料になります。
特に、新人スタッフの教育は多くの店舗が抱える課題です。
あなたが教育係を任された際に、「新人スタッフが業務を覚えるまでに時間がかかり、一人立ちが遅れている」という課題を感じたとします。
原因を探ると、「マニュアルが文字ばかりで分かりにくく、人によって教え方もバラバラだった」ことが判明しました。
そこであなたは、既存のマニュアルを基に、商品のたたみ方やレジ操作などを写真や図で解説したビジュアルマニュアルを自主的に作成し、教育の標準化を店長に提案します。
さらに、覚えるべき業務をリスト化し、習熟度をチェックできる「新人用チェックシート」も導入します。
その結果、「新人スタッフの教育期間が平均2週間から1週間に短縮され、早期に戦力化できるようになった」とします。
これは、業務プロセスの非効率性を発見し、仕組みから改善することでチーム全体の生産性を向上させたという、極めて高く評価される問題解決エピソードです。
アルバイトのガクチカで高評価を得るコツ
アルバイト経験を題材にしたガクチカは、多くの学生がアピールするため、単に事実を話すだけではその他大勢に埋もれてしまう可能性があります。
採用担当者の印象に残り、高い評価を得るためには、伝え方に一工夫加えることが不可欠です。
せっかく素晴らしい問題解決の経験をしていても、その魅力が十分に伝わらなければ非常にもったいないでしょう。
ここでは、あなたのガクチカを一段階上のレベルに引き上げ、ライバルに差をつけるための3つの重要なコツを伝授します。
これらのポイントを意識するだけで、あなたの話の説得力や魅力は格段に増すはずです。
ただのアルバイト経験談で終わらせるのではなく、あなたという人材のポテンシャルを最大限にアピールするための戦略として、ぜひこれらのコツを実践してみてください。
面接官に「この学生は仕事ができそうだ」と感じさせることができれば、内定はぐっと近づきます。
具体的な数字を用いて成果を伝える
ガクチカにおいて、最も手軽かつ効果的に説得力を高める方法が、具体的な「数字」を盛り込むことです。
「売上を上げました」という曖昧な表現ではなく、「客単価を100円上げる施策を提案・実行し、月の売上を5万円向上させました」と語るだけで、聞き手の納得度は大きく変わります。
数字は客観的な事実であり、あなたの貢献度を明確に示すための強力な武器となります。
売上や客単価だけでなく、「新人教育の期間を3日から1日に短縮した」「業務マニュアルの改訂により、作業時間を15%削減した」「アンケートの顧客満足度を5段階評価で平均3.5から4.2に引き上げた」など、様々な要素を数値化できないか検討してみましょう。
たとえ小さな数字であっても、具体的な根拠があるだけであなたの話の信憑性は飛躍的に高まります。
自分の経験を振り返り、定量的に示せる成果がないか、ぜひ探してみてください。
再現性をアピールする
企業がガクチカを通して知りたいのは、過去の功績そのものだけではありません。
それ以上に、その経験から得た学びや能力を、入社後も発揮してくれるか(=再現性があるか)という点を見ています。
したがって、アルバイトでの成功体験を語るだけで終わらせず、その経験から得た「問題解決の型」や「学び」を、入社後の業務にどう活かせるかを具体的に示すことが極めて重要です。
「カフェの売上を分析して改善策を立案した経験で培った課題発見力を、貴社のマーケティング部門でも活かし、新たな顧客層の開拓に貢献したいです」といったように、企業の事業内容と自分の能力を結びつけて語ることで、面接官はあなたが自社で活躍する姿を具体的にイメージできます。
アルバイトという舞台で発揮した能力が、ビジネスというより大きなフィールドでも通用するポータブルスキルであることをアピールしましょう。
自分なりの工夫や思考プロセスを盛り込む
他の就活生と差別化を図る上で、「あなたならでは」の視点や工夫、つまりオリジナリティを語ることは欠かせません。
同じような課題解決の経験であっても、「なぜその課題に着目したのか」「なぜ数ある選択肢の中からその解決策を選んだのか」といった、あなたの思考プロセスを具体的に説明することで、話に深みと独自性が生まれます。
例えば、「他のスタッフが気づいていなかったお客様の小さな不満の声に耳を傾けたことが、課題発見のきっかけでした」といったエピソードは、あなたの優れた観察眼や顧客志向を印象づけます。
また、「当初はAという施策を試しましたが上手くいかず、原因を分析してBという施策に切り替えたことで成功しました」というような、試行錯誤の過程を正直に話すことも、あなたの粘り強さや学びの姿勢を示す上で非常に効果的です。
アルバイトのガクチカで問題解決能力をアピールする時の注意点
アルバイト経験は問題解決能力をアピールする絶好の機会ですが、伝え方を一歩間違えると、かえって自己中心的な印象や、大げさに話しているという不信感を与えかねません。
素晴らしい経験も、伝え方次第で評価が大きく変わってしまうのが就職活動の難しいところです。
アピールに夢中になるあまり、面接官が本当に知りたいポイントからずれてしまわないよう、注意すべき点をあらかじめ理解しておくことが重要です。
ここでは、アルバイトのガクチカで問題解決能力をアピールする際に、特に陥りがちな3つの落とし穴と、それを避けるためのポイントを解説します。
これらの注意点を事前に把握しておくことで、あなたのガクチカはより洗練され、採用担当者からの信頼を得られるものになるでしょう。
アピールすることと同じくらい、マイナスな印象を与えないようにすることも、ガクチカを成功させるための重要な要素なのです。
独りよがりな課題解決になっていないか
自分の功績をアピールしたい気持ちが強すぎると、「私が一人で全て解決しました」というような、独りよがりなストーリーに聞こえてしまう危険性があります。
しかし、実際の仕事はほとんどがチームで行うものであり、企業は組織の中で協調性を持って成果を出せる人材を求めています。
そのため、自分の行動が店舗やチーム全体の目標とどのように連動していたのか、という視点を忘れないようにしましょう。
「売上を上げたい」という自分の思いだけでなく、「店の経営に貢献したい」「チームの負担を減らしたい」といった、組織全体の利益を考えて行動したことを示すことが重要です。
また、課題解決の過程で、店長や先輩に相談したこと、同僚と協力したことなども正直に話すことで、あなたの謙虚さやチームワークを大切にする姿勢をアピールでき、より好印象につながります。
専門用語を多用しない
長年同じアルバイトを続けていると、その業界や店舗でしか通用しない専門用語や略語が、知らず知らずのうちに口癖になっていることがあります。
例えば、「昨日のロスは〇〇円で、SVから指摘が入ったので、FC向けの施策を考えました」といった話し方をしても、そのアルバイトを経験したことがない面接官には何のことか全く伝わりません。
ガクチカを話す際は、その業界について全く知識がない人が聞いても、すぐに情景が思い浮かぶような、平易な言葉で説明することを常に心がけましょう。
話す前に一度、家族や友人など、そのアルバイトについて詳しくない人に聞いてもらい、意味が通じるかを確認してみるのも良い方法です。
誰にでも分かりやすく説明できる能力は、ビジネスにおける重要なコミュニケーションスキルの一つとして評価されます。
「やらされ仕事」に聞こえないようにする
問題解決の経験を語る上で最も避けたいのが、「店長に指示されたのでやりました」というような、受け身の姿勢が透けて見えることです。
これでは、あなたの主体性や課題解決能力をアピールすることはできません。
たとえ行動のきっかけが社員からの指示だったとしても、その中で自分なりに工夫した点や、指示された以上の成果を出すために考えたことを具体的に盛り込むことが重要です。
「〇〇という課題を解決するように言われ、私はまず△△という方法で現状を分析することから始めました」というように、業務を「自分ごと」として捉え、主体的に取り組んだ姿勢を明確に打ち出しましょう。
面接官は、あなたが指示待ち人間ではなく、自ら考えて行動できる人材かどうかを見極めようとしています。
その期待に応えるためにも、常に能動的な言葉遣いを意識することが大切です。
アルバイトから問題解決能力をアピールするガクチカ例文3選
これまで、アルバイト経験を題材にしたガクチカの作り方、高評価を得るコツ、そして注意点を解説してきました。
ここまでの内容を踏まえ、いよいよ実践的な例文をご紹介します。
理論を学ぶことも重要ですが、完成形を見ることで、自分のエピソードをどのように文章に落とし込めば良いのか、より具体的にイメージできるようになるはずです。
ここでは、カフェ、個別指導塾、コンビニエンスストアという、多くの学生が経験するであろう3つの職種をピックアップし、それぞれで問題解決能力を効果的にアピールするガクチカの例文を作成しました。
これらの例文はあくまで一例であり、構成や表現を参考にしつつ、あなた自身の言葉で、あなただけのオリジナルなガクチカを作成することが最も重要です。
例文のどの部分が、これまで解説してきた「コツ」や「注意点」に対応しているのかを意識しながら読み進めることで、より深い学びが得られるでしょう。
例文1:カフェアルバイトで顧客満足度を向上させた経験
私が学生時代に最も力を注いだことは、カフェのアルバイトにおいて、お客様アンケートの評価を向上させた経験です。
当時、私が勤務していた店舗では、味や価格への評価は高い一方、「提供スピード」の項目だけが著しく低いという課題がありました。
私は、お客様の満足度をさらに高めたいと考え、この課題の原因分析から始めました。
まず、時間帯ごとの注文数と提供時間を1週間記録し、特に混雑するランチタイムに遅延が集中していることを突き止めました。
そこで、社員の方に相談し、他のスタッフとも協力しながら、注文頻度の高いドリンクの仕込みを事前に行うことや、レジとドリンク作成の連携手順を見直すことを提案、実行しました。
その結果、1杯あたりの平均提供時間を約45秒短縮することに成功し、3ヶ月後にはアンケートの「提供スピード」の評価を5段階中平均2.8から4.0まで引き上げることができました。
この経験から、客観的なデータに基づいて課題を分析し、周囲を巻き込みながら改善策を実行することの重要性を学びました。
貴社に入社後も、この課題発見力と実行力を活かし、チームの成果に貢献したいと考えております。
例文2:個別指導塾の講師として生徒の主体性を引き出した経験
私は個別指導塾の講師として、生徒の学習意欲を引き出し、担当生徒の退塾率をゼロにした経験に力を入れました。
当初、私の担当生徒の中には、宿題をやってこない、授業に集中できないといった学習意欲の低い生徒が複数名おり、保護者からも不安の声をいただいていました。
私は、成績向上のためにはまず生徒自身の「学びたい」という気持ちが不可欠だと考え、一方的な指導方法を見直すことにしました。
具体的には、毎回の授業の冒頭5分間で、生徒自身にその日の学習目標を立ててもらう時間を設け、対話を通じて目標達成への道筋を一緒に考えるようにしました。
また、保護者様との連携を強化するため、生徒の小さな成長や努力を具体的に記述した報告書を毎週作成し、共有しました。
この取り組みを続けた結果、生徒たちは徐々に主体的に学習に取り組むようになり、半年間で担当生徒8名全員の定期テストの点数を平均20点以上向上させることができました。
そして、私が担当した期間、退塾者は一人も出ませんでした。
この経験を通じて、相手の立場に立って課題の根本原因を探り、粘り強く働きかけることで状況を好転させられることを学びました。
例文3:コンビニエンスストアで廃棄ロスを削減した経験
私が学生時代に注力したことは、コンビニエンスストアのアルバイトにおいて、発注業務の改善を通じて食品の廃棄ロスを削減したことです。
私の店舗では、特に弁当や惣菜の廃棄が多く、経営を圧迫する一因となっていました。
廃棄を減らすことは、店舗の利益だけでなく社会的な貢献にも繋がると考え、私は発注担当を自ら志願し、改善に取り組みました。
まず、過去1ヶ月間の天候、曜日、近隣でのイベント情報と、廃棄された商品のデータを照らし合わせ、廃棄が発生しやすい条件を分析しました。
その分析結果から、「雨の日は揚げ物の需要が高まる」「給料日後は単価の高い弁当が売れる」といった独自の予測仮説を立て、日々の発注数を微調整していきました。
当初は予測が外れることもありましたが、店長からのフィードバックをいただきながら試行錯誤を重ねた結果、担当して3ヶ月後には、店舗の1日あたりの食品廃棄額を平均5,000円から2,000円へと60%削減することに成功しました。
この経験から、地道なデータ分析に基づいた仮説検証を繰り返すことの重要性を学びました。
この分析力と粘り強さを、貴社の業務においても必ず活かせると確信しております。
まとめ
今回は、アルバイト経験を題材に、企業から高く評価される「問題解決能力」をアピールするためのガクチカ作成術を、具体的なステップや例文を交えて詳しく解説してきました。
この記事を読んで、サークルや留学といった華やかな経験がなくても、日々のアルバイトの中にこそ、自分の強みを証明するヒントが数多く隠されていることに気づいていただけたのではないでしょうか。
大切なのは、経験の大小ではありません。
あなたが直面した課題に対して、どのように考え、主体的に行動し、何を学んだのかを、あなた自身の言葉で論理的に語ることです。
今回ご紹介したフレームワークやコツを参考に、ぜひご自身のアルバイト経験を振り返ってみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート