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【市役所のインターンシップ志望動機】市役所職員とはどんな仕事か
市役所のインターンシップを考える上で、まず初めに理解しておきたいのが「市役所職員の仕事」の全体像です。
市役所は、私たち住民の生活に最も身近な行政機関であり、その業務は非常に多岐にわたります。
例えば、戸籍や住民票の発行といった窓口業務から、子育て支援、高齢者福祉、さらには都市計画や防災対策の立案まで、地域の暮らしをあらゆる面から支える役割を担っています。
志望動機を作成する際には、こうした業務の多様性を理解し、自分がどの分野に関心を持ち、どのように貢献したいのかを具体的に示すことが重要です。
インターンシップは、漠然としたイメージを具体的な業務理解へと深める絶好の機会です。
- 事務系:住民対応から政策立案まで幅広い業務
- 技術系:土木・建築・水道などインフラを支える仕事
- 総合職と一般職の違いも押さえておく
事務系:住民対応から政策立案まで幅広い業務
市役所職員と聞いて多くの人がイメージするのが、この「事務系」の仕事ではないでしょうか。
事務系の職員は、住民の生活に密接に関わる最前線の業務を担う、まさに「市役所の顔」とも言える存在です。
戸籍謄本や住民票の発行といった窓口業務はもちろん、国民健康保険や年金に関する手続き、子育て支援サービスの案内、税金の収納相談など、その業務内容は多岐にわたります。
さらに、数年ごとのジョブローテーションを通じて、防災計画の策定、地域のイベント企画、まちづくりの政策立案といった、よりスケールの大きな仕事に携わるチャンスもあります。
技術系:土木・建築・水道などインフラを支える仕事
市役所の仕事は、事務系の業務だけではありません。
地域の暮らしに不可欠な社会基盤、いわゆるインフラを支える「技術系」の職員も重要な役割を担っています。
具体的には、道路や橋、公園の整備計画を立てる「土木職」、公共施設(学校、公民館など)の設計や耐震補強を行う「建築職」、そして安全な水の安定供給を守る「水道職」など、それぞれの分野で高度な専門知識が求められます。
彼らの仕事は、住民が安全で快適な毎日を送るための土台を作る、非常に責任の大きいものです。
例えば、災害に強いまちづくりを進めるためのインフラ整備や、老朽化した公共施設の改修計画など、長期的な視点を持って地域の未来をデザインしていきます。
専門知識を活かして、目に見える形で地域社会に貢献できる点は、技術系職員ならではの大きなやりがいと言えるでしょう。
総合職と一般職の違いも押さえておく
市役所の採用区分には、大きく分けて「総合職」と「一般職」が存在します。
自治体によって呼称は異なりますが、その役割には明確な違いがあるため、インターンシップの志望動機を考える上でも理解しておくことが大切です。
一般的に「総合職」は、将来の幹部候補として採用され、数年ごとに様々な部署を経験しながら、政策の企画・立案といった自治体運営の中核を担う役割を期待されています。
幅広い視野と高い問題解決能力が求められるのが特徴です。
一方、「一般職」は、特定の部署で比較的長く働きながら、窓口業務や書類作成といった定型的な業務を中心に担います。
専門的な知識やスキルを深め、その分野のスペシャリストとして活躍することが期待される職種です。
自分のキャリアプランや働き方の希望に応じて、どちらの職種がより自分に合っているかを考えてみましょう。
【市役所のインターンシップ志望動機】市役所職員に向いている人の特徴
市役所職員と聞くと「安定している」「真面目」といったイメージを持つ人が多いかもしれません。
もちろんそれらも一つの側面ですが、実際の業務では、それ以上に多様な能力や資質が求められます。
市役所は、年齢も職業も価値観も異なる、あらゆる住民のための組織です。
そのため、一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、時には複雑な課題に対して粘り強く取り組む姿勢が不可欠となります。
- コミュニケーション力があり住民の声を大切にできる
- 問題解決能力があり主体的に動ける
- 継続力があり地道な業務もコツコツ取り組める
コミュニケーション力があり住民の声を大切にできる
市役所職員にとって、コミュニケーション能力は最も重要なスキルの一つです。
なぜなら、市役所の仕事は常に「住民」が中心にあるからです。
窓口には、様々な要望や不安、時には厳しい意見を持った方々が訪れます。
そうした多様な声一つひとつに丁寧に耳を傾け、相手が本当に伝えたいことは何かを正確に理解する「傾聴力」がまず求められます。
その上で、複雑な行政サービスや制度の内容を、誰にでも分かるように噛み砕いて説明する「伝達力」も不可欠です。
相手の立場や感情を尊重し、信頼関係を築きながら対話を進める力は、あらゆる部署で必要とされます。
問題解決能力があり主体的に動ける
「公務員の仕事は前例踏襲」というイメージは、もはや過去のものです。
現代の地域社会は、少子高齢化、防災、環境問題など、複雑で解決が難しい課題に直面しています。
こうした前例のない課題に対して、マニュアル通りに対応するだけでは不十分です。
市役所職員には、現状を正確に分析し、「何が本当の課題なのか」を自ら見つけ出す探求心と、その解決に向けて主体的に行動する力が強く求められています。
継続力があり地道な業務もコツコツ取り組める
市役所の仕事には、政策立案のような華やかな業務がある一方で、その大部分は地道で目立たない業務の積み重ねで成り立っています。
膨大な量の書類作成やデータ入力、法令に基づいた厳密な事務処理など、正確さと根気が求められる仕事は少なくありません。
こうした業務は、一つひとつが住民の生活を支える上で欠かせない重要なものです。
そのため、派手な成果が出なくても、日々の業務に責任感を持ち、コツコツと着実に取り組める継続力は、市役所職員として働く上で不可欠な資質と言えます。
【市役所のインターンシップ志望動機】市役所が志望動機を重視する理由
数ある企業のインターンシップの中でも、特に市役所をはじめとする公的機関では「志望動機」が非常に重視される傾向にあります。
なぜなら、市役所の仕事は民間企業とは異なり、利益追求を第一の目的としていないからです。
その代わりに求められるのは、地域社会に貢献したいという強い意志と、住民全体のために奉仕する高い倫理観です。
採用担当者は、志望動機の内容を通じて、応募者がそうした公務員としての価値観を持っているか、そして、その自治体で働くことへの熱意がどれほど本物かを見極めようとしています。
単に「安定しているから」といった理由だけでは、他の就活生との差別化は難しいでしょう。
- 人柄や価値観との適合性を見極めるため
- 自治体への貢献意欲を確認するため
- 実際に働くイメージを持っているか判断するため
人柄や価値観との適合性を見極めるため
市役所の採用担当者は、志望動機を通じて、応募者の「人柄」や「価値観」が、公務員として、そしてその自治体の職員としてふさわしいかどうかを見ています。
市役所職員は、法律や条例に基づいて公平・公正に業務を遂行する義務があり、一部の人の利益のためではなく、住民全体の奉仕者でなければなりません。
そのため、誠実さ、責任感、そして高い倫理観といった資質は不可欠です。
志望動機に書かれたエピソードや言葉の選び方から、あなたがどのようなことにやりがいを感じ、何を大切にして行動する人物なのかを読み取ろうとしています。
自治体への貢献意欲を確認するため
市役所が志望動機を重視するもう一つの大きな理由は、応募者がその「自治体」に対してどれほどの貢献意欲を持っているかを確認するためです。
全国に数多くの自治体がある中で、「なぜうちの市役所なのか」という問いに明確に答えられなければ、採用担当者を納得させることはできません。
そのためには、その自治体が持つ特徴や魅力、そして抱えている課題について深く理解している必要があります。
単に「地元だから」という理由だけでなく、そのまちの歴史や文化、将来のビジョンについて自分なりの考えを述べられると、熱意の高さが伝わります。
実際に働くイメージを持っているか判断するため
志望動機は、あなたが市役所の仕事をどれだけ具体的に理解し、そこで働く自分をイメージできているかを判断するための材料にもなります。
採用担当者は、「入庁後に理想と現実のギャップを感じて、早期に離職してしまうのではないか」という懸念を常に抱いています。
そのため、インターンシップの段階から、応募者が市役所の業務内容や役割について、現実的な理解を持っているかを確かめたいと考えているのです。
例えば、「市民の多様なニーズに応えるため、窓口業務で傾聴力を磨きたい」「貴市の〇〇という課題に対し、大学で学んだ△△の知識を活かして解決策を考えたい」といったように、具体的な業務と自分の関心を結びつけて語ることができれば、説得力が増します。
【市役所のインターンシップ志望動機】志望動機を書く前に行うべき準備
質の高い志望動機は、思いつきで書けるものではありません。
特に市役所のインターンシップでは、地域への理解度や貢献意欲の深さが問われるため、事前の準備が合否を大きく左右します。
多くの学生が応募する中で、ありきたりな内容では担当者の印象に残りません。
自分ならではの視点を盛り込み、熱意と論理性を両立させた志望動機を作成するためには、周到な準備が不可欠です。
- 自己分析を行い、行政との接点を見つける
- 地元や受けたい自治体の政策・課題を調べる
- 他官庁や民間との違いを理解しておく
自己分析を行い、行政との接点を見つける
志望動機作成の第一歩は、自分自身を深く理解する「自己分析」から始まります。
これまでの人生を振り返り、自分がどのような経験から何を学び、どんな時にやりがいを感じてきたのかを言語化してみましょう。
特に、「なぜ自分は民間企業ではなく、市役所という公的な機関で働くことに関心を持ったのか」という問いは、何度も自問自答を繰り返す必要があります。
例えば、サークル活動で多様な意見をまとめた経験があるなら、それは市役所の「調整力」に繋がるかもしれません。
アルバイトで顧客の課題解決に喜びを感じた経験は、「住民サービスへの貢献意欲」として語ることができます。
地元や受けたい自治体の政策・課題を調べる
自己分析で自分の軸が見えたら、次に取り組むべきは「自治体研究」です。
インターンシップに参加したい市役所の公式ウェブサイトを隅々まで読み込むことから始めましょう。
特に、「総合計画」や「市政だより」などは、その自治体が目指す将来像や、現在進行形で取り組んでいる重要政策を知るための貴重な情報源です。
例えば、「子育て支援に力を入れている」「デジタル化を推進して市民サービス向上を目指している」「防災対策を強化している」など、その自治体ならではの重点施策が見えてくるはずです。
さらに、人口推移や産業構造といった客観的なデータから、その自治体が抱えている根本的な課題は何かを自分なりに考察することも重要です。
他官庁や民間との違いを理解しておく
「なぜ市役所なのか」という問いに説得力を持たせるためには、「なぜ国や県、あるいは民間企業ではダメなのか」という視点を持つことが非常に有効です。
それぞれの組織が持つ役割の違いを理解することで、市役所ならではの魅力や意義をより深く語れるようになります。
例えば、国の省庁が法律や制度といった大きな枠組みを作るのに対し、市役所はそれを住民一人ひとりの生活に直結する形で実行していく、最も現場に近い存在です。
【市役所のインターンシップ志望動機】市役所インターンに参加する目的を明確にする
市役所のインターンシップに参加するにあたり、「なぜ参加したいのか」という目的を明確に言語化しておくことは非常に重要です。
採用担当者は、単に「経験してみたい」という受け身の姿勢の学生よりも、「〇〇を学び取りたい」「△△を確認したい」といった具体的な目的意識を持った学生を高く評価します。
目的が明確であれば、インターンシップ期間中の行動も主体的になり、より多くのことを吸収できるはずです。
そして、その前向きな姿勢は、選考においても必ずプラスに働きます。
インターンシップを単なる職場体験で終わらせず、自分のキャリアにとって意味のあるステップにしたいという意欲を示すことが大切です。
- 行政の現場を体験して将来の適性を確認したい
- 地域課題への理解を深めたい
- キャリア選択に役立てたいという意欲を見せる
行政の現場を体験して将来の適性を確認したい
志望動機として最もストレートで伝わりやすいのが、「行政の現場を体験することで、自分が市役所職員として働く適性があるかを確認したい」という目的です。
多くの学生にとって、市役所の仕事はウェブサイトや説明会で情報を得ることはできても、その実態はイメージしにくいものです。
窓口での住民対応の雰囲気、職員同士のコミュニケーションの取り方、政策が決定されていく過程の空気感など、実際にその場に身を置かなければ分からないことはたくさんあります。
インターンシップを通じて、仕事のやりがいや面白さだけでなく、厳しさや難しさも体感したいという真摯な姿勢を伝えることが重要です。
地域課題への理解を深めたい
市役所のインターンシップは、自分が関心を持つ地域課題について、その最前線で理解を深める絶好の機会です。
「私は貴市の〇〇という課題に関心があり、その解決に貢献したいと考えています。
インターンシップでは、行政がその課題にどのように向き合っているのかを現場で学びたいです」というように、具体的な問題意識を参加目的に繋げると、非常に説得力のある志望動機になります。
例えば、大学のゼミで地方創生について研究している学生であれば、その自治体が実施している移住定住促進策の現場に参加し、机上の知識だけでは得られないリアルな現状や課題を把握したいという目的を語ることができるでしょう。
キャリア選択に役立てたいという意欲を見せる
インターンシップを、自身のキャリア選択における重要な判断材料としたい、という前向きな意欲を示すことも有効なアプローチです。
就職活動という人生の大きな岐路において、市役所での仕事が本当に自分に合っているのか、やりがいを持って長く働き続けられるのかを真剣に考えたい、という姿勢は、誠実な印象を与えます。
特に、民間企業と公務員のどちらを選ぶべきか迷っている学生にとっては、その両方を比較検討するための貴重な機会となるはずです。
その場合、「民間企業にはない、市役所ならではの仕事の魅力や社会的意義を肌で感じることで、自身のキャリアについて深く考え、納得のいく選択をしたい」と伝えることで、目的意識の高さをアピールできます。
【市役所のインターンシップ志望動機】評価される志望動機の構成と書き方
市役所のインターンシップで評価される志望動機を作成するためには、内容だけでなく「構成」も非常に重要です。
伝えたいことがたくさんあっても、話の順序が分かりにくければ、あなたの魅力や熱意は半減してしまいます。
採用担当者は、毎日多くのエントリーシートに目を通しているため、端的で論理的な文章を好みます。
そこでおすすめしたいのが、ビジネスシーンでも基本とされる「PREP法」を意識した構成です。
これは、「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順で話を進めるフレームワークのことで、誰が読んでも理解しやすいというメリットがあります。
この構成に沿って書くことで、あなたの考えが整理され、伝えたいことが明確になります。
- 結論から述べる
- 理由と具体的エピソードで説得力を持たせる
- 将来的な貢献意欲で締めくくる
結論から述べる
志望動機を書く上で最も重要な原則は、「結論から述べる」ことです。
文章の冒頭で、「私が貴市のインターンシップを志望する理由は、〇〇だからです」というように、あなたの最も伝えたい核心部分を明確に示しましょう。
なぜなら、採用担当者は数多くの応募書類を読まなくてはならず、最初に結論が分からない文章は、読み進める意欲を削いでしまう可能性があるからです。
冒頭で志望理由を簡潔に提示することで、担当者は「この学生は、こういう目的で応募してきたのだな」と全体像を把握でき、その後の文章もスムーズに読み進めることができます。
理由と具体的エピソードで説得力を持たせる
結論を述べた後は、その理由を具体的なエピソードを交えて説明し、説得力を持たせるパートに移ります。
なぜ、あなたがそのように考えるようになったのか、その背景にあるあなた自身の「物語」を語ることで、志望動機に深みとオリジナリティが生まれます。
例えば、「住民の声を直接聞く仕事に魅力を感じる」という理由を述べたなら、そのきっかけとなったアルバイトでの接客経験や、ボランティア活動での経験などを具体的に記述します。
将来的な貢献意欲で締めくくる
志望動機の締めくくりには、インターンシップでの経験を未来にどう繋げていきたいか、という将来的な貢献意欲を述べることが不可欠です。
インターンシップはゴールではなく、あくまでキャリアのスタートラインです。
採用担当者は、あなたがこの経験を通じて成長し、将来的に自分たちの自治体で活躍してくれる人材になることを期待しています。
「このインターンシップで学んだ〇〇という視点を活かし、将来的には貴市の△△という分野で住民の暮らしを豊かにしたいと考えています」といったように、インターンシップ参加が、あなたのキャリアビジョンを実現するための重要なステップであることを示しましょう。
【市役所のインターンシップ志望動機】志望動機の差別化ポイント
市役所のインターンシップは人気が高く、多くの学生が同じような志望動機を書いてしまいがちです。
「地域に貢献したい」「安定しているから」といったありきたりな理由だけでは、採用担当者の心には響きません。
数ある応募書類の中から「この学生に会ってみたい」と思わせるためには、あなたならではの視点や経験を盛り込み、他の学生との「差別化」を図る工夫が不可欠です。
差別化といっても、奇をてらったことを書く必要はありません。
大切なのは、いかに深く自己分析と自治体研究を行い、自分と志望先との接点を論理的に、そして情熱的に語れるかという点です。
- 志望自治体の具体的な課題や施策に言及する
- 自分の経験や学びがどう活かせるかを明確にする
- 市役所と他業種の違いを理解した上で選んでいることを伝える
志望自治体の具体的な課題や施策に言及する
他の学生と差をつける最も効果的な方法の一つが、志望する自治体の具体的な課題や施策に言及することです。
公式ウェブサイトや広報誌を読み込み、「貴市が推進している〇〇プロジェクトに感銘を受けました」「人口減少という課題に対し、△△というアプローチで貢献できるのではないかと考えています」といったように、自分なりに調査・分析したことを盛り込むと、志望度の高さが格段に伝わります。
可能であれば、人口や財政状況といった具体的な数値を引用できると、さらに説得力が増すでしょう。
単に施策を褒めるだけでなく、その施策に対して自分がどのように関わり、貢献していきたいかという未来志向の視点を加えることが重要です。
これにより、単なる評論家ではなく、当事者意識を持った有望な人材であることをアピールできます。
自分の経験や学びがどう活かせるかを明確にする
自己分析で見つけた自分の強みや、大学での学びを、市役所の業務と具体的に結びつけて説明することも、重要な差別化ポイントです。
例えば、「大学のゼミで学んだ統計分析の手法は、貴市の政策立案におけるデータに基づいた意思決定に貢献できると考えています」や、「飲食店でのアルバイトで培った傾聴力は、多様な住民の方々の声に寄り添う窓口業務で必ず活かせます」といったように、自分の持つスキルや経験が、行政の現場でどのように役立つのかを具体的に提示しましょう。
多くの学生が「コミュニケーション能力があります」といった抽象的なアピールに留まる中で、このように具体的な業務と結びつけて語ることで、採用担当者はあなたが働く姿をリアルにイメージすることができます。
市役所と他業種の違いを理解した上で選んでいることを伝える
「なぜ民間企業ではなく、公務員なのか」「なぜ国や県ではなく、市役所なのか」。
この問いに対するあなた自身の答えを明確に持っておくことは、志望動機の説得力を高める上で非常に重要です。
様々な選択肢がある中で、それぞれの役割や特徴を比較検討した結果として、「それでも私は市役所で働きたい」という結論に至ったプロセスを示すのです。
例えば、「利益追求を目的とする民間企業も魅力的ですが、私はより多くの人々の生活の土台を支える公共性の高い仕事にやりがいを感じます」といった説明が考えられます。
【市役所のインターンシップ志望動機】志望動機を書く際の注意点
熱意を込めて志望動機を書き上げたとしても、たった一つの不用意な表現が、あなたの評価を大きく下げてしまう可能性があります。
特に公務員の志望動機においては、その言葉選びに細心の注意を払う必要があります。
採用担当者は、あなたが将来、住民の前に立つ公人としてふさわしい品格やバランス感覚を持っているかどうかも見ています。
良かれと思って書いた内容が、実はマイナスの印象を与えてしまうケースも少なくありません。
例えば、安定志向を強調しすぎたり、他の業種を不必要に否定したりするような表現は避けるべきです。
あなたの長所や熱意を伝えるつもりが、裏目に出てしまわないように、客観的な視点で自分の文章を何度も読み返すことが大切です。
- 安定志向だけの動機にならないよう注意する
- 民間企業を否定するような表現を避ける
- 抽象的な表現ではなく具体的な行動や成果を記載する
安定志向だけの動機にならないよう注意する
公務員の魅力として「安定性」を挙げる学生は少なくありません。
もちろん、安定した環境で腰を据えて長く働けることは大きなメリットですが、それを志望動機の前面に押し出しすぎるのは避けるべきです。
採用担当者から「この学生は、仕事への意欲よりも、ただ安定が欲しいだけなのではないか」と見なされ、成長意欲や貢献意欲が低いと判断されてしまう危険性があるからです。
もし安定性に触れるのであれば、「安定した基盤の上で、長期的な視点を持って地域課題にじっくりと取り組み、専門性を高めていきたい」というように、安定を目的ではなく、地域貢献という目的を達成するための「手段」として位置づけることが重要です。
民間企業を否定するような表現を避ける
市役所を志望する理由を明確にするために、民間企業との違いに言及することは有効な手段です。
しかし、その際に「民間企業は利益ばかりを追求していて社会貢献度が低い」といった、一方的に民間企業を否定したり、見下したりするような表現は絶対に避けましょう。
こうした表現は、あなたを視野が狭く、他者への配慮に欠ける人物であると印象付けてしまいます。
民間企業もまた、質の高い商品やサービスを提供することで社会を豊かにしており、その役割は非常に重要です。
市役所と民間企業は、それぞれ異なるアプローチで社会に貢献している対等なパートナーです。
比較する際は、あくまで客観的な事実に基づいて役割の違いを説明し、「自分自身の価値観ややりがいが、より市役所の仕事と合致している」というポジティブな文脈で語ることが大切です。
抽象的な表現ではなく具体的な行動や成果を記載する
「地域社会に貢献したい」「コミュニケーション能力を活かしたい」といった言葉は、多くの学生が使うため、それだけではあなたの魅力は伝わりません。
志望動機においては、こうした抽象的な表現をできる限り避け、具体的なエピソードや行動、そして可能であれば数字を用いて語ることが非常に重要です。
例えば、「貢献したい」ではなく、「大学のゼミで学んだ〇〇の知識を活かし、貴市の△△という課題解決に貢献したい」と述べる方が、はるかに具体的で説得力があります。
「コミュニケーション能力」も同様に、「アルバイト先の飲食店で、お客様の要望を丁寧にヒアリングし、リピート率を前月比で10%向上させた経験があります」と説明すれば、あなたの能力が客観的に伝わります。
【市役所のインターンシップ志望動機】志望動機例文
ここまで志望動機の書き方やポイントを解説してきましたが、やはり具体的な例文を見ることで、よりイメージが湧きやすくなるでしょう。
ここでは、様々な切り口から作成した志望動機の例文をいくつか紹介します。
ただし、一つ注意してほしいのは、これらの例文をそのままコピーしてはいけないということです。
例文はあくまで、あなたの考えを整理し、文章を組み立てるための「たたき台」として活用してください。
- 地域貢献を軸にした志望動機
- 行政の仕事理解をアピールする志望動機
- 防災・福祉などの関心テーマから書く志望動機
- 自己分析と行政職の適性を結びつけた志望動機
- 市役所と他官庁との違いを踏まえた志望動機
- キャリアビジョンと結びつけた志望動機
- 志望自治体の施策・取り組みに共感した志望動機
地域貢献を軸にした志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、生まれ育ったこの街に恩返しをしたいという強い想いがあるからです。
幼い頃から地域のイベントや清掃活動に親しんできた中で、住民の方々の温かさや、暮らしやすい環境を支えてくださっている市役所の方々の存在を身近に感じてきました。
特に、大学時代に地域の子供たちを対象とした学習支援ボランティアに参加した際、様々な家庭環境にある子供たちと接する中で、一人ひとりに寄り添った行政サービスの重要性を痛感しました。
この経験から、今度は私が、住民の最も身近な存在として地域を支える側になりたいと考えるようになりました。
インターンシップでは、市民協働の現場などを体験し、多様な住民の方々と行政がどのように連携してまちづくりを進めているのかを肌で学び、将来、貴市の一員として地域に貢献するための礎としたいです。
行政の仕事理解をアピールする志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、大学の行政学ゼミで学んだ知識を、実際の現場で深めたいと考えているからです。
ゼミでは、地方分権や公民連携といったテーマについて研究し、これからの自治体には、前例踏襲にとらわれない柔軟な政策立案能力が不可欠であると学びました。
中でも貴市が先進的に取り組んでいる「データに基づいた政策立案(EBPM)」に強い関心を持っています。
理論として学んだことが、現場でどのように実践され、どのような課題に直面するのかを自身の目で確かめたいです。
インターンシップでは、職員の方々が日々どのような情報をもとに意思決定を行い、それが市民サービスにどう反映されているのかを間近で学ばせていただきたいです。
この経験を通じて、行政の仕事への理解を立体的なものにし、将来、貴市の政策形成に貢献できる人材になるための第一歩としたいと考えています。
防災・福祉などの関心テーマから書く志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、近年多発する自然災害を踏まえ、貴市の防災対策の現場を学びたいと強く願っているからです。
東日本大震災をきっかけに防災への関心を深め、大学では防災士の資格を取得し、地域の防災訓練にも積極的に参加してきました。
その中で、行政によるハード面の整備だけでなく、住民一人ひとりの防災意識を高めるソフト面の取り組みの重要性を学びました。
貴市が特に力を入れている、高齢者や障がい者といった災害時要援護者の避難計画策定について、具体的にどのようなプロセスで計画が作られ、地域住民に周知されているのか、現場のリアルな声をお聞きしたいです。
インターンシップを通じて、防災行政の最前線にある課題とやりがいを体感し、将来、専門的な知識と住民に寄り添う視点を両立させながら、誰もが安心して暮らせるまちづくりに貢献したいと考えています。
自己分析と行政職の適性を結びつけた志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、自身の強みである「多様な意見を調整し、一つの目標に導く力」が、行政の仕事、特に貴市の現場でどのように活かせるのかを確かめたいからです。
学生時代、文化祭実行委員会の企画責任者として、所属の異なる複数の団体と粘り強く対話を重ね、一つのイベントを成功に導いた経験があります。
それぞれの立場や想いを尊重しながら、全体の利益を最大化するために議論を尽くすプロセスに、大きなやりがいを感じました。
この経験から、利害関係が複雑に絡み合う課題に対して、関係者と協力しながら解決策を導き出す市役所の仕事に強い魅力を感じています。
インターンシップでは、職員の方々がどのように合意形成を図っているのかを学びたいです。
そして、自身の強みが公務員として貢献できるという確信を得て、将来のキャリア選択に繋げたいと考えています。
市役所と他官庁との違いを踏まえた志望動機
私が行政機関の中でも特に貴市でのインターンシップを希望する理由は、国の政策というマクロな視点よりも、住民一人ひとりの顔が見える距離で、日々の暮らしに直接貢献する仕事に強いやりがいを感じるからです。
就職活動を進める中で、国家公務員や県職員の業務説明会にも参加しましたが、そこで感じたのは、より現場に近い場所で、住民の声に直接応えたいという自身の想いでした。
貴市は、市民との対話を重視した「タウンミーティング」を積極的に開催するなど、住民との協働によるまちづくりを推進している点に深く共感しています。
国や県と連携しながらも、地域の実情に最も精通した基礎自治体だからこそ担える役割とは何か、そしてその最前線で働くことの意義と責任を、インターンシップを通じて学びたいと考えています。
この経験は、私が生涯をかけて働く場所を選ぶ上で、かけがえのない指針になると確信しています。
キャリアビジョンと結びつけた志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、将来、地域の産業振興に携わり、地元経済の活性化に貢献したいというキャリアビジョンを持っているからです。
大学では経済学部に所属し、中小企業論を専攻する中で、地域に根ざした企業の独自技術や魅力が、地域全体の活力を生み出す源泉であることを学びました。
貴市が地元企業と連携して推進している特産品開発プロジェクトについて、行政がどのような役割を果たし、企業の成長をサポートしているのか、その具体的なプロセスを現場で学びたいと考えています。
インターンシップでの経験は、私のキャリアビジョンの解像度を高め、目標達成のために今何を学ぶべきかを明確にする上で不可欠です。
将来的には、この経験を活かして貴市の職員となり、企業の持つ可能性を最大限に引き出すことで、活気あふれるまちづくりに貢献したいと強く願っています。
志望自治体の施策・取り組みに共感した志望動機
私が貴市のインターンシップを志望する理由は、貴市が先進的に進めている「スマートシティ構想」に深く共感し、その一端に触れたいと考えたからです。
私は大学で情報科学を専攻しており、デジタル技術を活用して社会課題を解決することに関心があります。
数ある自治体の中でも、貴市がAIやIoTを導入して交通や防災、市民サービスといった多分野での利便性向上を目指している点に、未来のまちづくりの可能性を感じました。
特に、市民のデータを活用して、より個別最適化された行政サービスを提供するというビジョンに魅力を感じています。
インターンシップでは、こうした先進的な取り組みが、どのような理念のもと、どのような職員の方々の手によって推進されているのかを肌で感じたいです。
そして、自身の専門知識が、これからの行政の現場でどのように貢献できるのかを探る機会としたいと考えています。
まとめ
本記事では、市役所のインターンシップの志望動機を作成するためのポイントを、仕事内容の理解から具体的な書き方、注意点、そして例文まで網羅的に解説してきました。
市役所の志望動機で最も重要なのは、「なぜ公務員なのか」「なぜこの自治体なのか」そして「インターンシップで何を得て、将来どう活かしたいのか」という一貫したストーリーを、あなた自身の言葉で語ることです。
そのためには、徹底した自己分析と自治体研究が欠かせません。
自分の強みや価値観と、自治体の課題や政策を結びつけ、あなたならではの貢献意欲をアピールしましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート