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ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」
就職活動では、企業からほぼ必ず「学生時代に力を入れたこと(=ガクチカ)」について問われます。
これは、学生の人間性や価値観、仕事への向き合い方を知るための定番質問です。
企業が求めているのは「特別な成果」ではなく、「その経験を通して、どんな困難に向き合い、どう乗り越え、何を学んだか」です。
企業がガクチカで見ているポイント
- 課題解決力:何に課題を見出し、どう工夫したか
- 主体性:自ら動き、周囲を巻き込めたか
- 協調性:チームの中でどう貢献したか
- 成長力:経験から何を学び、それをどう活かそうとしているか
エピソードの「中身」ではなく、「姿勢と行動」を見ています。
表面的な説明ではなく、自分ならではの視点や工夫があるかがカギになります。
ガクチカとして強いエピソードとは
強いガクチカの特徴は以下の通りです。
- チームの中での自分の役割が明確
- 定量的な成果を提示できる
- 課題→行動→結果→学び」の流れが明確
例えば「○○を工夫し、来場者を前年の1.5倍に増やした」など、数字で語れる成果は説得力があります。
また、難題にどう取り組んだか、プロセスを丁寧に語れると高評価です。
学祭実行委員が強いガクチカになる理由
学祭実行委員の経験は、多くの企業にとって社会人基礎力が備わっている証拠として評価されやすいです。
- 主体性をアピールできるから
- 人のために動けることが伝わるから
- 多くの企業が求める人物像に近いから
理由をひとつずつ細かく解説していきます。
主体性をアピールできるから
学園祭の準備や運営は、決められたマニュアル通りに動くだけの活動ではありません。むしろ、「課題に気づき、自ら提案し、実行する」ことが求められる現場です。
予期せぬトラブルも多く、柔軟な対応と即決が問われます。
たとえば、「雨天時の対応マニュアルがない」「協賛企業との連絡が滞っている」「ステージイベントの人手が足りない」といった課題が発生した際、主体的に動ける人は、組織にとって非常に重要な存在になります。
企業の人事担当者は、学生の主体性を確認する際に「誰かに言われたからやったのか」「自分で課題を見つけたのか」という点を重視します。
学祭実行委員での経験では、自分の意思で何かを変えようとした行動を具体的に伝えることができれば、非常に強力なアピールになります。
自分がリーダーでなかったとしても、「自分の判断で工夫したこと」や「行動のきっかけが自分発信だったこと」をしっかり語れるようにしましょう。
人のために動けることが伝わるから
学園祭は、単なる大学内イベントではありません。来場者、出演者、地域住民、協賛企業など、多くの人々に喜んでもらうために行う「公共性の高いプロジェクト」です。
運営に携わる中で、「お客様視点」「相手の立場で考える力」「周囲のために自分ができることを考える習慣」が自然と養われます。これらは、どの業界に進むとしても社会人として必須の能力です。
また、誰かの期待に応えたい、喜んでもらいたいという気持ちがあるからこそ、困難な課題にも前向きに取り組む原動力になります。
たとえば、「ステージイベントに出演する学生が不安そうだったので、一緒にリハーサルを付き添った」「小さな子どもでも楽しめるスペースを自主的に企画した」などの経験は、利他性や気配り力として伝えることができます。
企業は、利己的ではなく、チームやお客様のために動ける人材を求めています。学祭実行委員の経験は、それを裏付ける強い証拠になるのです。
多くの企業が求める人物像に近いから
どの業界・企業であっても、人材に求める力には共通点があります。特に多く挙げられるのが、以下の3つです。
- 主体性:自ら考えて行動する力
- 協調性:多様な人と円滑に協力できる力
- 課題解決力:問題に向き合い、工夫と実行で打開する力
これらは、実際に学祭実行委員の活動にすべて当てはまる要素です。大規模なイベントの運営では、計画・人間関係・予算・安全対策など、さまざまな場面で思考力と行動力が必要とされます。
さらに、チームで動く中で相手の意見を尊重し、協力して結果を出すプロセスは、まさに実社会での仕事の進め方そのものです。
企業からすれば、学祭実行委員の経験がある学生は「すでにビジネスの基本を体感している」と映ります。
そのため、学祭実行委員の経験を正しく伝えることで、「入社後に活躍するイメージが湧く人材」と認識してもらえるのです。
学祭実行委員のガクチカの作り方構成
ガクチカは構成が命です。
以下の6ステップに分けて整理すると、論理的かつ伝わる文章になります。
1. 結論「学生時代に力を入れたことは学祭実行委員です」
冒頭で何の話かを明確に伝えることが重要です。
「私は学生時代、学園祭実行委員としての活動に力を入れてきました。」と結論から入ると、採用担当者にわかりやすく伝わります。
例文
私は大学2年から3年間、学園祭実行委員として活動しており、特に3年時には企画チームのリーダーとして、来場者満足度の向上に注力しました。
2. 状況「〜という活動をしていました」
どのような規模の学園祭で、どんなチームの中で、どんな役割だったのかを説明します。
- 来場者数、予算規模
- 自分のポジション(例:企画リーダー、渉外担当など)
- 期間・頻度・活動内容の概要
例文
学園祭は来場者数1万人規模、30を超える企画が並ぶ大規模イベントです。私はその中で、約15名が所属する企画チームのリーダーを務め、ステージ企画の立案から運営までを担当していました。毎週の定例ミーティングの司会進行や、企画プレゼン資料の作成なども行いました。
3. 課題「活動の中で〜ということがありました」
ガクチカの核心部分です。
「順調だった話」よりも、「困難をどう乗り越えたか」に注目されます。
たとえば以下のような課題が考えられます。
- 来場者数が前年より減少傾向
- チーム内の意見がまとまらない
- 外部との連携がうまくいかない
例文
前年のステージ企画は「例年通り」で終始しており、アンケートでも「目新しさがない」との声が多く寄せられていました。そのため、前年を超える企画をつくることが、今年度の大きな課題でした。
4. 行動「課題を解決するために〜をしました」
課題に対し、どのような工夫・行動をしたかを詳しく伝えます。
重要なのは、「自分の考え」で「どう動いたか」。周囲への働きかけもポイントです。
例文
私は「観客が一体となれる企画」をコンセプトに、新たに「学生参加型のダンスコンテスト」を提案しました。その実現に向けて、SNSを通じた参加者募集、地域ダンスチームとのコラボ、運営チームとの役割分担の再設計などを行い、チーム全体の協力を得て準備を進めました。
5. 結果「行動によって〜という結果になりました」
成果は、できるだけ数値や具体的な変化で示しましょう。
例えば「来場者数が増えた」「満足度が高かった」と伝えるよりも、「来場者数が1.5倍に」「アンケート満足度が90%以上」など具体的な方が伝わりやすいです。
例文
結果として、ダンスコンテストには計12組が参加し、観客席の稼働率はステージエリア全体で95%を超えました。また、来場者アンケートでは「ステージ企画が面白かった」という回答が前年の1.4倍となり、参加者・来場者の満足度向上に貢献できました。
6. 学び「〜を学んだので入社後は〜という形で生かしていきます」
最後に、経験から得た学びと、入社後にどう活かすかを結びつけます。
企業の求める人物像と合致していると、より高評価です。
例文
この経験を通して、相手のニーズをくみ取りながら、自ら提案し周囲を巻き込んで形にする力の大切さを実感しました。御社においても、チームの一員としてお客様視点を大切にし、主体的に行動することで価値提供に貢献していきたいと考えています。
学祭実行委員のガクチカを作る際のポイント
学園祭実行委員の経験は、多くの企業にとって魅力的なエピソードですが、伝え方次第で印象が大きく変わります。
たとえ実績が豊富でも、「話がまとまらない」「成果がぼやけている」「企業への貢献が見えない」といった状態では、高評価につながりません。
ここでは、学祭実行委員の経験を「伝わるガクチカ」に変えるための3つの重要ポイントをご紹介します。採用担当者の視点を意識して、具体性と再現性を意識して構成していきましょう。
エピソードは一つに絞る
学園祭ではさまざまな経験をするため、つい「あれもこれも話したい」となりがちですが、エピソードを複数並べると、焦点が定まらず印象に残りづらくなります。
一つのエピソードを選び、課題・行動・成果・学びを深く掘り下げることで、あなたの強みや成長プロセスがより鮮明に伝わります。
例えば、以下のような選び方ができます。
- 前年より来場者を増やすために工夫した広報戦略
- チームの分裂危機をまとめあげた組織マネジメント
- 地域企業との連携を実現させた渉外交渉
自分が最も主体的に関わり、影響を与えたと実感できる出来事を選ぶと、面接でも深掘り質問に対応しやすくなります。
成果は数字を用いて定量的に表す
ガクチカで評価されるポイントの一つが「結果をどう示せるか」です。「頑張った」や「成功した」だけでは、採用担当者にはその価値が伝わりにくいのが現実です。
そこで重要なのが、成果を数字や事実で表す「定量化」です。例として以下のような表現が考えられます。
- SNSフォロワー数を2ヶ月で1,200人増加させた
- 来場者満足度アンケートで『非常に満足』が90%を超えた
- 協賛企業を5社から12社に増やした
数字に裏打ちされた成果は、あなたの行動の価値を客観的に伝える材料になります。たとえ結果が目立たない場合でも、「〜%改善」や「前年比〜倍」といった工夫で説得力を加えることが可能です。
学祭実行委員から学んだことを入社後どう活かすか伝える
ガクチカを通じて最も大切なのは、「この人は入社後も活躍できそう」と思わせられるかどうかです。ただの思い出話で終わらせず、自分の学びと企業が求める人物像を結びつけることが重要です。
以下のように「学び」と「入社後の活かし方」をセットで語ると、好印象につながります。
- 課題を前向きにとらえ、自分なりの方法で解決する力を身につけたため、入社後は業務効率の改善提案などでも貢献したい
- チームをまとめる難しさと大切さを学んだため、配属先でも周囲との信頼関係構築を意識したい
「自分の過去」だけでなく、「会社での未来」を語れるガクチカは、面接官の記憶に残ります。
学祭実行委員のガクチカ例文
ここでは、実際の選考で高評価が期待できるガクチカ例文を3つご紹介します。
すべて学祭実行委員での経験をベースにしており、それぞれ違った視点(広報・チーム運営・渉外)から自分の強みを表現しています。
また、各例文の下に「この例文のポイント」を掲載しています。
自分のエピソードと照らし合わせながら、構成や伝え方の参考にしてください。
入場者数を増やしたエピソードのガクチカ例文
ガクチカ例文
私は学園祭実行委員として、入場者数の増加を目指し広報戦略を担当しました。
前年の来場者数が減少傾向だったため、SNSを活用した情報発信を強化し、特にInstagramではターゲットに合わせた投稿を1日2回行いました。
また、地元のカフェと連携したキャンペーンも展開。
その結果、来場者数は前年比150%を達成し、地域メディアでも取り上げられました。
この経験から、ターゲットを分析し行動を最適化する重要性を学びました。
- 課題設定:「来場者数の減少」という明確な課題に取り組んでいる
- 行動:SNS活用や地域との連携という複数の施策を自ら考え実行
- 成果:「前年比150%」「地域メディア掲載」など定量的に評価可能
- 学び:「分析と最適化」というビジネスでも重要な視点を習得
組織作りに注力したエピソードのガクチカ例文
ガクチカ例文
私は企画チームのサブリーダーとして、チームの方向性が定まらない課題に直面しました。
メンバー間での意見の食い違いが原因だったため、週1回の意見交換会を導入し、対話を通じて相互理解を深めました。
さらに、議事録を共有し、決定事項の可視化も行いました。
結果、チームの結束力が高まり、予定より1週間早く準備を完了。
信頼関係を築くことの重要性と、情報共有の工夫が生産性を高めることを実感しました。
- 課題:抽象的になりやすい「チームのまとまり」を具体的に表現
- 行動:会議運営、議事録共有など、業務で役立つ実践力が伝わる
- 成果:「1週間早く準備完了」という具体的な結果で信頼感アップ
- 学び:「信頼関係・共有・対話」=社会人に必要な基本スキルの習得
外部との関わりで工夫したエピソードのガクチカ例文
ガクチカ例文
私は渉外担当として、地元企業との協賛交渉を担当しました。
前年は協賛が5社でしたが、提案資料のデザインや説明内容を改善し、「地域貢献型PR企画」として価値を伝える工夫を重ねました。
その結果、10社から協賛を得ることができ、学園祭の規模拡大にもつながりました。
この経験から、相手視点に立ってニーズを捉え提案する力を養うことができました。
- 課題:前年からの「協賛数を増やす」=営業活動に近いリアルな課題
- 行動:「資料改善」「企画提案」など提案型の行動が光る
- 成果:「5社→10社」という2倍の成果を明示
- 学び:「相手目線」「提案力」というBtoB業界でも重視される能力
学祭実行委員のガクチカに関するよくある質問
学園祭実行委員の経験をガクチカとして書く際、就活生の方からよくいただく質問をまとめました。
「似たような経験の学生が多そうで不安…」「リーダーじゃないけどアピールになるの?」「成果が数字で出ていない…」といった悩みに対して、就活アドバイザーの視点で丁寧に回答します。
Q. 他の人と似たような経験でも大丈夫?
問題ありません。たしかに学園祭実行委員の経験は多くの学生が持っているため、表面的には似たエピソードに見えるかもしれません。
しかし、企業が見ているのは「何をしたか」ではなく、「その経験を通じて何を考え、どう工夫し、どんな行動をしたか」です。
たとえば同じ「広報担当」でも、SNS戦略に注力した人、街頭プロモーションを工夫した人、参加型キャンペーンを企画した人では、取り組みの深さもアプローチも異なります。
つまり、自分ならではの視点や工夫、課題解決のプロセスを明確に伝えることで、十分に差別化することが可能です。
Q. リーダーでなくてもアピールできる?
もちろん可能です。就活では「リーダー経験」ばかりが重視されるイメージがありますが、実際の現場で求められるのは、「与えられた役割の中でどれだけ価値を発揮できたか」です。
たとえば、縁の下の力持ちとしてチームの調整役を担った、苦手な作業を積極的に引き受けた、周囲に働きかけて雰囲気を改善したなど、リーダーではない立場でも主体的に動いた経験は高く評価されます。
企業は、「自律的に動ける人」「周囲と協働できる人」を求めており、ポジションの名前よりも行動の中身を見ています。
Q. 成果が数字で出ていなくても良い?
数字で語れる成果があればベストですが、必須ではありません。重要なのは、その行動がどんな影響を周囲に与えたかを具体的に示せるかどうかです。
たとえば、「メンバーのモチベーションが向上した」「前年は出展を辞退していた団体が参加してくれた」「運営後に『あなたがいて助かった』と声をかけてもらえた」など、周囲からの評価や変化した事実も立派な成果です。
また、数字で表せない「プロセス面での成長」や「信頼関係構築」も、企業が高く評価するポイントです。数字がない場合は、周囲の反応やビフォーアフターの変化を軸に語ると効果的です。
学祭実行委員のガクチカまとめ
学園祭実行委員の経験は、企業にとって「社会で活躍できる素養」が詰まったガクチカになります。
課題に向き合ったプロセスを丁寧に描き、入社後の活かし方まで伝えることで、他の学生と差をつけられます。
「自分にしか語れない経験」が、きっとあなたの就活を強く支えてくれるはずです。
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