「文系でSEはやめとけ」そう言われる本当の理由とリアルを徹底解説!

「文系でSEはやめとけ」そう言われる本当の理由とリアルを徹底解説!

はじめに

近年、文系出身のSEが増えてきています。

皆さんの中にも、文系出身だけどSEに興味があるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし理系出身者の仕事であるというイメージが先行しているため、「文系でSEはやめとけ」といわれてしまうこともあります。

今回は、「文系出身者だけどSEに興味がある」という方に向けて、「文系はSEやめとけ」といわれる本当の理由やリアルに文系出身SEのリアルについて解説していきます。

【文系でSEに就職】やめとけと言われる3つの理由

そもそもなぜ、「文系でSEはやめとけ」と言われてしまうのでしょうか。

その理由は大きく分けて3つあります。 

①働き方が案件による

②技術力が理系と比べると劣る

③入社してから適性がないと気づく

です。

まずは文系でSEはやめとけと言われてしまう理由を理解し、自分にその覚悟があるかを判断することにしましょう。

働き方が案件による

1つ目に、働き方が案件によるからです。

これは文理問わず言えることですが、いわゆる「下流」の案件にあたってしまうと、働き方がブラックになってしまいます。

これには、SEの業界が「多重下請け構造」と呼ばれるピラミッド型の構造になっていることに原因があります。

一次請け、二次請けなどの上流では質が良いですが、どうしてもピラミッドの下に行けば行くほど、低賃金・長時間労働になってしまうのが現状です。

基本的に上流の案件よりも下流の案件のほうが多いため「働き方が悪い」といわれることがあり、SE業界全体の問題でもあります。

技術力が理系と比べると劣る

2つ目に、技術力が理系と比べると劣るからです。

大学や大学院で情報系の学問を学んでいる理系学生は、学生時代からプログラミングに触れており、知識・技術的な基礎ができています。

一方で、文系の学部では基本的にプログラミングをメインで学ぶということが少ないので、圧倒的に不利な立場からスタートしなければなりません。

そういった理由で、キャッチアップが非常に大変なため、文系でSEはやめとけと言われてしまいます。

入社してから適性がないことに気づく

3つ目に、入社してから適性がないことに気づくという場合があります。

文理問わずSEを募集している企業もあるため、内定を得ること自体は可能です。実際に、将来性や手に職がつくという点から、SEを志望する人は多いようです。

ただ、実際に働いてみて「思ってたのと違う」と気づく人も少なからず存在します。

SEに限った話ではありませんが、業界や働き方の理解が不十分だと、入社後に理想と現実のギャップに苦しめられることになります。

【文系でSEに就職】新卒の市場では増えている訳

以上のように、文系がSEを目指す際に注意しておかなければならないこともあります。

しかし一方で、最近は「文系かつ未経験」であっても採用する企業が増えてきており、SEは文系にも門戸が広がってきています。

その理由としては、

IT人材の不足

技術力だけで評価される時代ではなくなった

文系で活躍しているSEが実際にいるから

の3点が挙げられます。

IT人材の不足

1つ目に、IT人材の不足です。

「日本は、ほかの先進国に比べるとIT化が非常に遅れている。」という言葉を皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

実際に、スイスの国際経営開発研究所(IMD)による「世界デジタル競争力ランキング2022」によれば、北米やヨーロッパ各国が上位を占め、韓国が8位、台湾が11位、中国が17位という結果の一方、日本は29位という位置付けでした。(注1)

そこから、日本はもっとIT化を進めていかなくてはならないという風潮が生まれ、IT化が急速に進められています。

このような中、理系の学生では人手不足となってきたため、文系にも門戸が開かれるようになりました。

(注1):IMD「World Digital Competitiveness Ranking 2022」

技術力だけで評価される時代ではなくなった

2つ目に、技術力だけで評価される時代ではなくなったという理由があります。

SEに限った話ではないですが、ビジネスの現場では技術力が高いというだけではクライアントの心をつかむことはできません。

大事なのは、「いかにクライアントの課題を解決できるか」という点にあります。

そしてSEも、技術力が高いだけでは、評価されない時代になってきています。

顧客の課題を解決するために、クライアントの要望を引き出せる能力や、問題を明確にできる能力、チーム内としての仕事を円滑にするコミュニケーション能力も重視されるようになってきています。

そのような定性的な素質に長けた人材は、文系であっても重宝されます。

文系で活躍しているSEが実際にいるから

3つ目に、文系で活躍しているSEが実際にいるからです。

実際に、文系でもSEとして活躍している方々がすでに多くいらっしゃいます。

先ほども解説した通り、文系出身者と理系出身者の間には、最初大きな差があるのは事実ですが、その差を埋めることができれば、両者にもはや差はありません。

既に文系出身でもSEとして活躍できるという前例があるので、文理問わずに募集をかけても、何らおかしいことではありません。

【文系でSEに就職】企業視点のメリット・デメリット

ここからは、文系の学生を採用することの企業側のメリットとデメリットについて解説していきます。

確かに、情報系の経験がある理系学生の方がSEとしての素養があると期待できますが、組織にとって必要な能力に長けているのであれば、文理問わず重宝されます。

まずは、文系の学生を採用することの企業側の心理について見ていきましょう。

メリット

まずはメリットです。

企業としては、文系であっても以下の能力に長けている学生は採用に前向きになります。

・リーダーの素養がある

・顧客との取引をスムーズに進めることができる

・全体を俯瞰して捉えることができる

もしご自身が選考に進む場合は、これらの能力をアピールすると効果的でしょう。

リーダーの素養がある

1つ目に、リーダーの素養です。

理系の学生はコツコツとがんばる反面、主体的な行動力に欠ける側面があるという傾向があります。

これは、「担当教授の指示を仰ぎながら自身の研究に没頭してきた」という学生時代の過ごし方に関係しています。

一方で、文系出身の学生は部活・サークル・バイトなどの学外での活動において、リーダーシップを発揮してきた経験が多い傾向があるので、文系学生にも募集をかけるメリットが存在します。

SEの仕事はチームで動くことが多いため、チームを先導してくれるリーダーの素養を兼ね備えた人材は、文理問わず重宝されます。

顧客との取引をスムーズに進めることができる

2つ目に、顧客との取引をスムーズに進めることができる能力が期待されています。

簡単に言えば、傾聴力と提案力です。

SEの仕事はクライアントの課題を解決することにあるので、クライアントとうまくコミュニケーションが取れる人材は重宝されます。

クライアントの課題をうまくヒアリングすることができれば、それに合った最善の解決策を提示することにつながりますし、自社の解決策をうまくアピールすることができれば、クライアントの満足度向上につながります。

また、思考の言語化に長けていれば、組織の潤滑油として機能してくれることが期待できます。

全体を俯瞰して捉えることができる

3つ目に、全体を俯瞰して捉えることができる能力が期待できます。

1つの仕事に熱中できる「一点集中型」の能力に長けた人材は、プログラマーに向いているため「プレイヤー」として腕を磨いていくことが期待できますが、「マネージャー」としては期待できません。

プロジェクト全体の動向を把握したり、チームメンバーを管理したりするための「全体を俯瞰して捉える能力」を備えた人材は将来的にマネージャーとして期待でき、採用するだけの価値があります。

デメリット

企業が文系学生を採用することにはメリットがある反面、デメリットも存在します。

 ・研修に時間がかかる

 ・やってみて合わない場合がある

という点です。

研修に時間がかかる

1つ目に、研修に時間がかかるというデメリットがあります。

先ほども触れましたが、文系学生の多くが情報系の知識が自社の要求するレベルに達していなかったり、基礎的な技術が備わっていなかったりするので一から丁寧に教育していかなければなりません。

未経験者でも十分にキャッチアップできる研修マニュアルなどが存在している企業や新人教育に人員を割く余裕がある企業であれば可能ですが、そのような余力がない企業の場合は、手取り足取り教育を行うことはできません。

やってみて合わない場合がある

2つ目に、やってみてはじめて自分に合わないと気づくことがあるという点です。

大学の授業などで触れた経験が無かった場合、仕事の進め方をあまり理解せずに入社してしまうということが発生します。

そのような場合、入社して初めて自分には適性がないと気づくことになってしまい、短期離職につながります。

そうなると、企業としても採用・教育コストが無駄になってしまうし、就活生としても新卒カードを失ってしまうことになるので、両者にとって不利益しかありません。

【文系でSEに就職】活躍できる可能性は?

さて、結局のところ、文系でもSEとして活躍できる可能性はあるのでしょうか。

結論からいうと、「ある」と言えます。

確かに、企業をしっかりと吟味して、SEとしてキャリアアップが望める企業だけを選ぶ必要がありますが、文系であってもちゃんとSEとして活躍することができます。

上記に述べた通り、文系出身者には知識・技術の観点からは理系学生よりもスタート時点では不利ですが、他に優れた能力を備えている場合はダイヤの原石として期待できます。

このことから、文系でもSEとして活躍できる可能性は十分にあります。

【文系でSEに就職】SEに必要な素質とは

では、SEとして活躍していくためにはどのような資質が必要なのでしょうか。

それは、 

①コミュニケーション能力

②チームワーク力

③論理的思考力

④コツコツした作業が得意

以上の4つの素質です。

ここからはこの4つの資質について解説していきます。

もしSEとしての採用を希望するのであれば、これらの能力が発揮されたエピソードをガクチカとしてアピールするのがよいでしょう。

コミュニケーション能力

1つ目に、コミュニケーション能力です。

会社という組織の中で働く以上、他者とのコミュニケーションは避けられません。プロジェクトチーム内でのやり取り、外部とのやり取り、クライアントとのやり取り、どこを切り取っても他者とのコミュニケーションから逃れることはできません。

相手の意見を聞く力、自分の意見を発信する能力はいついかなる時も重要で、その力が高いほど、会社の中でも必要不可欠な存在になっていきます。

チームワーク力

2つ目に、チームワーク力です。

SEの仕事は、たった1人でやっていくものではなく、チーム全体で連携しながら進めていくことが大切です。

たとえ自分とはそりが合わないメンバーがいたとしても、協調する能力やうまく巻き込んでいく能力がないと、スムーズに業務を進めることができません。

独りよがりにならずに、チーム全体で動くことを優先できる能力が必要です。

論理的思考力

3つ目に、論理的思考力です。

SEの仕事に限らず、ビジネスには論理的思考力が不可欠です。頭を使う仕事では、論理的思考力なくして物事は進みません。

論理的に物事をとらえる力は、一朝一夕に身につけることはできませんが、鍛えることは可能です。話の組み立て方や、物事の捉え方などを論理的なものに変えていくようにしましょう。

コツコツした作業が得意

4つ目に、コツコツした作業が得意という資質です。

コミュニケーション能力、チームワーク力、論理的思考力は社会人として必須ですが、SEの仕事は、コツコツとした地味な作業が多いのも事実です。

そのため、細かい作業が苦にならないというのは非常に重要な能力です

コツコツとした作業が得意、苦にならないという方は、それらの能力が発揮されたエピソードをアピールすると、好印象を与えることができるでしょう。

【文系でSEに就職】今からやっておくといいこと

このように、SEの仕事は文系にも門戸が開かれているため、志望しても全く問題ではありません。

アピールできるポイントがないと不安という方もいらっしゃるかもしれませんが、今からでも面接に間に合うので問題ありません。

短期的にできる対策としては、

 ・プログラミングに触れてみる

 ・ITパスポートを取得する

 ・企業のインターンシップに参加する

などが挙げられます。

SEを志望しているという方は、ぜひ検討してみてください。

プログラミングに触れる

1つ目に、プログラミングに実際に触れてみましょう。

プログラミング関連の書籍もありますが、まずはネット上から無料のプログラミング教材にアクセスしてみることもできます。

例えば、「プロゲート」や「ドットインストール」などは会員登録が必要ですが、レッスン形式で受講できるので初心者にもハードルが低いでしょう。

また、京都大学がネット上で公表している「プログラミング演習 Python 2021」はPDFファイルなので最もアクセスしやすく、内容自体も高く評価されています。

まずはこれらに目を通し、プログラミングに興味が湧くか確認しましょう。

ITパスポートの取得

2つ目に、ITパスポートの勉強をしてみるというのも効果的です。

ITパスポートを勉強することで、知識的な面からITを学ぶことができます。

また、就活中にITパスポートを取得しきるほどの勤勉さがあれば、未経験であっても働きながら成長していくことができるという指標にもなります。

ただし、一般的に就活中は大学や部活・サークル、バイトなどの活動と並行して就活を行わなければならないため、多忙を極めることになるという覚悟は必要です。

インターンシップに参加

3つ目に、企業のインターンシップに参加するという方法があります。

企業のインターンシップに参加すると、実際の社内見学ができたり、社員の方々と座談会ができたりするので、業務理解を深めることができます。

会社説明会や企業HPではわかりにくかった仕事の進め方などを、より深く理解することができるので、入社後のギャップを埋めるという観点からも非常に効果的です。

インターンに参加するには間に合わない、または選考から落ちてしまったという場合は、OB訪問をして業務理解を深めるという方法も考えられます。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、特に文系のSE志望の学生に向けて、

 ・「文系でSEはやめとけ」と言われてしまう理由

 ・企業が文系であってもSEとして採用する理由

 ・SEとして活躍できる資質

 ・SEとして採用されるために、今からやっておくとよいこと

などについて解説してきました。

今回解説した通り、SEの門戸は文系にも開かれてきており、実際に活躍されている方もいらっしゃいます。さらに、文系出身者特有の資質が重宝されるケースもあり、経験が無くとも十分に活躍することができます。

「文系出身だけど、SEになりたい」と考える人は、ぜひ前向きに検討してみましょう!

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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