旅行業界の動向は?主な職種や最新動向・活かせる資格も併せて紹介

旅行業界の動向は?主な職種や最新動向・活かせる資格も併せて紹介

はじめに

「旅行業界で働くことには前々から興味があったが、新型コロナなどで大手企業を含めて業界全体が疲弊しているイメージがあり、今一度動向を確認したい。」 「一昔前は旅行業界への就職は花形というイメージがあったが、最新の状況を知りたい。」 このような願いや悩みを持った旅行業界への就職者は多いでしょう。

この記事では、旅行業界の仕組みや商品、現状や代表的な大手企業について具体的に解説しています。

この記事を読めば旅行業界への理解が深まり、自分の適性を見極めたり就活の選択肢を増やしたりするのに役立ちます。

旅行業界の企業に対しての就活を行う前に、ぜひこの記事をよく読んで旅行業界の知識を蓄えておきましょう。

旅行業界とは?

旅行業界とは、旅行者のための移動手段や宿泊手段、パッケージ旅行のプラン作成や販売などを手掛ける事業に携わる企業の業界のことです。

サービスを提供する上で、交通サービスを提供する施設や企業だけでなく、IT系企業などともつながりがあります。

従って、旅行業界だけでなく上記のような関連している業界のことも知っておけば、就活をより優位に進めることも、その後の仕事に役立てることもできます。

旅行業界の仕組み

旅行業界は大きく分けて旅行会社と旅行代理店、そしてOTAという業態に分けられます。

それぞれビジネスの形態は異なりますが、交通機関や宿泊業者、旅行する個人からの手数料が収益の根幹となります。

旅行業界に就職する際はどの地域へのサービスを提供しているかだけでなく、どのようなビジネス形態を取っているかも知っておく必要があります。

旅行会社

旅行会社にも様々な種類があり、海外旅行も国内旅行も企画できる会社もあれば、国内の特定領域だけしか企画できない会社もあります。

旅行会社の業務内容は多岐に渡り、市場のマーケティングや現地のレジャー関連の企業と協力して商品企画を組み立てることなどがあります。

会社によってはこれらの業務を一人で担当することもあれば、各業務領域のスペシャリストを集めて業務を進める場合もあります。

旅行代理店

旅行代理店とは旅行会社と代理店契約を結び、ツアーなどの旅行商品を旅行者に代理販売する企業のことです。

例えるならば、旅行業界の卸売業者や小売業業者、という立ち位置の企業です。旅行斡旋業者、ツーリストビューローなどと呼ばれることもあります。

営業保証金や基準資産などに制限がないため、他のビジネス形態の企業と比べ、参入障壁が低い企業となっております。

OTA

OTAとはインターネット上だけで取引を行う旅行会社のことで、旅行会社と同じように宿泊業者の手配や宿泊と移動手段のセット販売なども行います。

旅行者から見るとパッケージ旅行の検索や閲覧などがしやすく、自分が求めているパッケージ旅行を見つけやすいため人気が高まっています。

サイト構築のノウハウや、オンライン上での旅行者のリストを既に持っている企業などからの参入も相次いでいる状況です。

旅行業界の商品の種類は?

旅行業界の収益の根幹は前述したように旅行者側か、移動サービスや宿泊サービスを提供する側の手数料、もしくはその両方からの手数料があげられます。

これらの収益を確保するために、旅行会社は募集型企画旅行や受注型企画旅行、手配旅行などの商品を販売しています。

旅行業界への就職を希望しているのであれば、これらの商品についての理解を深めておかなければなりません。

募集型企画旅行

募集型企画旅行は訪問するエリアやテーマなどを旅行会社が考え、移動手段や宿泊手段などの面倒も旅行会社が見る形態の商品です。

パッケージ旅行としてこれらのサービスを提供しており、自社の店舗やサイト、旅行代理店などで販売されています。

自由な行動が制限されますが、移動手段としてバスを貸し切ってくれる場合も多いため、海外でも安全に観光できる場合が多いです。

受注型企画旅行

受注型企画旅行とは、旅行者からの依頼に基づいて旅行計画を作成した形態の商品です。

旅行ニーズを持つ個人や法人の要望を聞いた上で、ノウハウやコネクションを持つ会社が旅行のプランを取りまとめて販売する、いわばオーダーメイドの商品です。

学校向けの修学旅行や企業向けの研修旅行などでこの形態の商品が購入され、利用されるケースが多いでしょう。

手配旅行

手配旅行とは、旅行者からの依頼に基づいて宿泊施設や乗車券などを会社側が手配する形態の商品です。

受注型企画旅行よりもさらに旅行者側が主体的にプランを考え、旅行会社に具体的な指示を出す形になります。

旅行者側の自由度が高くなる半面、多くのことを旅行者が考えなければならないため、海外旅行し慣れている人でないと適切なプランを練りにくくなります。

旅行業界の主な職種

ここからは、旅行業界の主な職種について紹介していきます。

旅行業界には専門的な業務があり、それらの職種に従事するためには専門的な知識やスキルが必要です。

また、オンラインのみでパッケージ旅行を販売しているような会社には営業職がないなど、会社のビジネス形態によっては一部の職種の従業員がいないなどの差があります。

アテンダント

アテンダントという言葉は接客係や案内係という意味で、旅行業界におけるアテンダントは言葉の意味通り、接客やお客様対応を主な業務内容としています。

アテンドの中でも特にフライトアテンダントは女性の職種というイメージが強いですが、男性も少しずつ増えています。

また、新幹線や飛行機などの中で車両販売を担当する職員のこともアテンドスタッフと呼ぶ場合が多いです。

ツアープランナー

ツアープランナーは、会社が販売する旅行プランやパッケージ旅行の企画などを行う職種のことです。

マーケティングの結果を基に、どこの国のどこを訪問し、どのようなホテルに行くのかなどのプランをパッケージ化します。

ツアープランナーは旅行業界ならではの職種であるため、専門性が高く、企業からのニーズも高くなっている職種です。特に、旅行会社やOTAの形式を取っている企業の間では価値が高いでしょう。

個人営業

旅行会社における個人営業は自社の店舗を持つ大手旅行会社に多い職種で、カウンターで個人客に対し、相手の意向に沿った旅行プランの提案を行います。

旅行先から交通手段、予算まで相手に寄り添って考え、提案する職業であるため、コミュニケーション能力が特に必要とされます。

他の業界では個人営業と聞くと訪問販売のような形式をイメージする場合が多いですが、旅行業界の場合は店舗勤務のスタッフのことを個人営業と呼ぶ場合が多いです。

法人営業

旅行業界の法人営業は、主に官公庁や学校、企業などに団体旅行や研修旅行のプランの提案や営業を行います。

個人の旅行客よりも一つのパッケージ当たりの単価がずっと高くなるため、商談を成立させられれば会社の売り上げへの貢献度も高くなります。

従って、会社の中でも責任感の大きい職種となり、他の職種と比べても経験や能力が高い社員がこの職種に従事する場合が多いです。

旅行業界の現状は?

日本の旅行業界は新型コロナの流行までは順調に成長していましたが、新型コロナの影響で非常に厳しい状態となっています。

旅行関連の企業の倒産数も新型コロナの流行以降徐々に増えているような状況で、新型コロナの流行による旅行業界全体の損失は数兆円にもなります。

売り上げが新型コロナの流行以前の半分未満になったという事例も多く、旅行業界が現在おかれている状況は厳しいといえます。

旅行業界の今後の展望

前述した通り、新型コロナの流行の影響で旅行業界が現在おかれている状況は厳しいものの、逆にいえば新型コロナの流行が落ち着けばまた旅行への需要が回復する見込みは高いと考えられるでしょう。

特に日本の場合は、大阪万博などの世界的なイベントが控えているため、新型コロナ以前のように多くの訪日客を迎え入れられる可能性が高いです。

ただし、環境問題などへの取り組みはこれまでにも増して世間からの目線が厳しくなるため、旅行業界もSDGsなどの事柄についてより真剣に考えていく必要があります。

旅行業界の最新動向

旅行業界に限らず、新型コロナの流行はビジネスのあり方や企業の経営環境を大きく変化させました。

旅行業界も新型コロナの流行によって大きな影響を受け、新しい変化が起こり、業界に新たなビジネスの形態や技術を生み出しています。

ここからは旅行業界の最新動向を解説していくため、旅行業界を志望している人はしっかり確認しておきましょう。

ワーケーション

ワーケーションとは非日常の土地で仕事をしながら旅行もする行為のことで、新型コロナの影響で在宅勤務が急速に普及したことを背景にこの言葉も普及しました。

ワーケーションにも様々な形態があり、生活拠点を定期的に変えながら仕事をする形態のものや、前述したように休暇で観光を楽しみつつ仕事をする形態のものもあります。

働き方改革への対応や福利厚生の向上だけでなく、環境を変えることでクリエイティブな発想が生まれやすくなるなど、被雇用者だけでなく企業にもメリットがあります。

通販・ECの活性化

デジタルトランスフォーメーションという言葉が盛んに叫ばれているように、旅行業界もオンラインでの販売やサービスに力を入れる必要があります。

前述したようなOTAだけでなく、宿泊施設の予約などのサービスを提供している企業も多くなってきました。

ネットは日本だけでなく世界中で接続できるため、日本語以外の言語にも対応して海外の顧客を獲得する必要があります。

ビッグデータの活用

今後旅行者の思考は複雑化することが予想され、同じリピーターでもライトなリピーターなのか、ヘビーなリピーターなのかでニーズが異なる可能性が高くなるでしょう。

旅行業界では前述したように、複雑化した旅行者のニーズを的確に把握するためにビッグデータの活用が求められます。

ビッグデータを活用することでこれまでの膨大なデータを調査できるため、行動パターンを細かく分析することが可能になります。

MICE

MICEとはビジネストラベルの一つで、個人旅行よりも規模が大きく訪問先での消費額も大きいため、世界各国がMICEの招致に力を入れている状況です。

MICEは単なる研修旅行だけでなく、企業等の会議や国際機関による国際会議、見本市などの形態を取っています。

MICEがもたらすメリットは地域経済への貢献だけでなく、その国や地域のプロモーションも含まれます。

統合型リゾート

統合型リゾートとはホテルやレストラン、ショッピング施設だけでなく、国際会議場施設を始めとするMICE施設やカジノなどまでもが揃っている施設のことです。

近年の日本でも成長戦略の目玉とされており、その建設と運営を通じて観光振興や地域活性化に寄与することが期待されています。

既にいくつかの地域が統合型リゾートの誘致に立候補している状況であり、旅行業界も動向を気にしておく必要があります。

旅行業界と関連業界とのつながりは?

旅行業界をより発展させビジネスを促進させるためには、旅行業界の企業は他の業界の企業との連携も促進させています。

航空会社や空港は今も昔も旅行業界とは密接に関っており、近年ではIT業界との関りも深くなっています。

旅行業界で働く際は、関連業界とのつながりや関連業界のビジネスについても知っておくとメリットが大きいでしょう。

ホテル

旅行業界の企業は、ホテルなど国内外の宿泊施設と契約を結び、宿泊用の部屋をパッケージ旅行に組み込んでいます。

特に海外の場合、韓国など地理的に近い国を除いて日帰りで旅行する事例は少ないため、海外のホテルとの提携は必要不可欠です。

ホテルについても高級路線にするか、コストパフォーマンス重視にするかでパッケージに組み込むものを使い分ける必要があります。

空港・航空

航空会社から座席を大量に仕入れてパッケージ旅行の中に組み込み、スケールメリットによって交通費を安くすることが可能です。

旅行会社を通して飛行機のチケットを販売することで、個人で飛行機のチケットを手配するよりも安価に販売できます。

また、航空会社から見ても空席のリスクを軽減でき、空港に出店しているお店で買い物をしてくれるなどのメリットが期待できます。

鉄道

国内旅行を企画する際は鉄道会社との提携や協力が必要不可欠ですが、日本の場合は鉄道会社が旅行会社も経営している場合が多いです。

旅行会社だけでなくホテルや百貨店、バス会社なども鉄道会社が経営している場合も多いため、国内旅行であれば一つの鉄道会社が経営する会社だけで旅行が完結することもあり得ます。

国内旅行の場合、新幹線だけでなく寝台列車なども使用する場合もあり、移動手段は多種多様です。

地方自治体

旅行業界の企業が日本各地の地方自治体と協力することで、各地の観光資源を発掘して国内外の旅行者に情報を発信し、新たな顧客獲得につながる可能性が高くなります。

地方自治体としても良いプロモーションの場となるだけでなく、地域経済の発展にもつながるなどのメリットがあるため、ウィンウィンの関係になれます。

IT系企業

旅行パッケージのオンライン販売だけでなく、外国語の翻訳アプリや観光情報の提供、ビッグデータによる顧客分析など、旅行業界の企業がIT技術を活用するケースは徐々に増えています。

従って、旅行業界とIT業界のつながりも年々密接になってきています。旅行業界への就職を考えている場合、年々進化していくIT技術のこともキャッチアップし続けなければならなくなる可能性が高いでしょう。

旅行業界の求める人物像は?

旅行業界で働く上で交通機関や宿泊施設などに対する知識も必要とされますが、それ以上に大切なこともいくつかあります。

まず、他の業界と同じようにコミュニケーション能力はとても大事です。旅行業界は接客や電話対応の機会も多いためなおさら大事です。

また、旅行者のニーズやリクエストを的確に読み取り臨機応変な対応ができる機転も重視されます。

旅行業界でアピールできる自己PRの書き方

旅行業界で自己PRを作成する際は、旅行好きであることや旅の経験が豊富であるということ以外の点もアピールする必要があります。

そもそも旅行業界を希望する時点で、旅行や新しい土地に出かけることに対して関心が強い人である可能性が高いからです。

旅行業界で就職活動を行う際に、効果的にアピールできる自己PRの書き方は以下のようになっています。

まずは結論

旅行業界に限ったことではありませんが、自己PRを書く際はまず結論から始めることが重要です。

最初に自らの強みなどの結論を書くことで文章が読みやすくなり、記憶にも残りやすくなるため、企業の採用担当者に好印象を残すことが可能です。

また、結論部分はいくつも羅列しないように注意することで、さらに良い自己PRにすることができます。

結果や学んだこと

学生時代での経験やそこから学んだこと、そしてそれをどう今後に活かすかは自己PRにおいて非常に重要です。

自己PRにおいて具体性はとても重要であるため、過去に経験した結果やそこから学んだことを書く際は、相手が簡単にイメージできるように注意する必要があります。

入社後のビジョン

就職活動で自己PRを行う際は、今後の仕事内容に合わせたものにする必要があるため、入社後のビジョンも重要です。

入社後は自らのどのような能力を活かしてどのような仕事をしたいのか、どのような人材になりたいのかをアピールする必要があります。

旅行業界の志望動機の書き方

旅行業界への就職の志望動機を書く際は、自己PRと混同しないように気を付ける必要があります。

志望動機については自己PRと違い、自分が企業にどのようなことを求めるかを明確にする必要があります。

旅行業界の志望動機を書く際はなぜ旅行業界なのか、そして旅行業界の数ある企業の中でも、なぜその企業に志望したのかを明確にしなければなりません。

旅行業界の大手企業5社

旅行業界で就職活動を行う際は、日本の旅行業界の大手企業は把握しておくと良いでしょう。

同じ大手でも得意としている商品の種類やコンセプト、経営方法などに差があり、多種多様となっています。ここでは、日本の旅行業界の大手企業を5社紹介します。

1:株式会社 JTB

株式会社JTBは、新型コロナの流行以前は旅行取扱額全体で約1兆円以上の収益をあげている、日本旅行業界の老舗企業の一つです。

国内旅行においても国外旅行においても様々な種類の商品を販売しているだけでなく、ECサイトの運営にも力を入れています。また、オンラインでも実店舗でも旅行プランの相談が可能です。

2:株式会社エイチ・アイ・エス

株式会社エイチ・アイ・エスは取引額の大半が海外旅行であり、海外旅行に強みを持つ会社です。

旅行関連の事業以外にもテーマパークやホテルの運営から、旅行とは関連の薄いロボット事業なども手掛けています。

新規プロジェクトの中には投資プロジェクトや飲食などもあり、事業の多角化を進めている状況です。

3:KNT−CTホールディングス株式会社

KNT−CTホールディングス株式会社は各地方に連結子会社を持っているため、着地型の旅行プランに強みを持っています。

KNT-CTホールディングスは、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの二つの会社が経営統合を行った結果生まれた企業です。国内旅行や海外旅行に留まらず、宇宙旅行にも参入しています。

4:東武鉄道株式会社

東武鉄道株式会社が運営する旅行会社である東武トップツアーズが販売する旅行関連の商品は、東武線沿線の旅行地に強みを持っています。

SLや寝台列車などを活用した旅行も展開しているのが特徴です。東武トップツアーズは東京に本社を構えていますが、アメリカや中国などにも支店があります。

5:株式会社日本旅行

株式会社日本旅行はJR西日本グループが運営している旅行サービス企業の大手で、国内パック旅行シリーズの赤い風船や、海外旅行シリーズのマッハなどを販売しています。

上記の商品に限らず、国内旅行、海外旅行共に豊富な品揃えを誇っています。学生旅行やひとり旅など、様々なコンセプトの商品を用意しているのも特徴です。

旅行業界について理解を深めよう

旅行業界の企業への就活を成功させるには、まず旅行業界についての理解を深める必要があります。

一口に旅行業界といっても、各企業が得意としている事業分野や展開している事業は多種多様です。

旅行業界の大手企業の特徴や商品についての知識、そして旅行業界の職種への適性をアピールすることで、就活が成功する可能性が高くなります。

RECOMMEND この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

広告掲載をご検討の企業さまへ