化粧品業界の動向は?主な職種や今後のビジネスチャンス・志望動機の書き方も紹介

化粧品業界の動向は?主な職種や今後のビジネスチャンス・志望動機の書き方も紹介

「化粧品が大好きだから化粧品業界に就職したいけれど、どんな職種があるのかな?」 「化粧品業界に興味はあるけれど、どんな業界なのかイマイチわからない。」 このように、化粧品業界への就職を視野に入れている人の中には、疑問や不安がある人も多いのではないでしょうか。

本記事では、化粧品業界の仕組みや主な職種、化粧品業界の現状、化粧品業界の志望動機の書き方とその例文などを紹介していきます。

この記事を読むことで、化粧品業界への知識が深まり、業界内でどのような仕事がしたいのかを検討しやすくなるでしょう。また、志望動機がうまく書けない時のヒントにもなります。

化粧品業界への就活を検討・視野に入れている人は、ぜひこの記事をチェックしてください。

化粧品業界とは?

化粧品業界とは、化粧品の研究や開発、製造、販売などを手掛ける企業の総称です。

化粧品の種類はスキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ボディーケア、バス用品、フレグランスなど多岐に渡り、近年では商品の細分化が進み、より多くの商品を生み出しています。

ここからは、化粧品業界について詳しく解説していきます。

化粧品業界の仕組み

複数の工程を経て、商品が消費者の手元に届けられます。

マーケティング部門で商品ニーズが絞られた後、製品の研究と開発が行われ、完成した商品を工場で生産します。そして商品コンセプトや客層のターゲットを決定、広報が雑誌や各種媒体に製品のお知らせをした後、商品が販売され消費者の手元に商品が届く仕組みです。

化粧品会社が小売り店舗やWebサイトを持つ場合と、卸を経て外部の小売店が販売する流通経路があります。

インターネット販売も増えた販売業態の変化

今までは、美容部員と呼ばれるメーカーの販売員から接客を受け購入する対面販売やセルフ販売、訪問販売、通信販売が主流でした。

近年ではネット環境が発達したことや、コロナ禍で外出する機会が減ってしまったこともあり、インターネット販売という新たな業態の動きも活発になっています。

ポイントを使って買い物をしたり、サイト独自のセールやイベントを利用しお得に楽しく買い物したりできる仕組みも人気の要因の1つです。

化粧品業界の主な職種

美容部員は店頭で商品を販売して、営業は担当の店に価格や販売計画の交渉、売上管理を行います。商品企画・マーケティングは、消費者のニーズを汲みながら新商品の企画や商品の販売戦略を練るのが仕事です。

開発・技術は、新成分や新商品の開発と、既存化粧品の品質評価研究も行い、製造では工場で商品の製造を行います。

また、海外展開を支える海外事業部や、すべての仕事をまかなう総合職など多岐に渡ります。

化粧品業界の現状は?

コロナ禍で、多くの業界に変化が訪れました。化粧品業界も例外ではありません。人々の行動制限やインバウンド現象などの困難を受けた昨今、各企業はどのような動きを見せているでしょうか。

常に進化し続け、人々を夢中にさせる化粧品の流れを紹介していきます。

  • 輸出の拡大
  • 新しい販路に注力する動き
  • メンズコスメ・エイジングケア等新たな市場開拓への動き

輸出の拡大

中国の化粧品輸入額が伸びを見せ、コロナ禍の輸入総額は前年を超えて約160億ドルとなっています。国別で見ると日本は総額の約25%を占めました。

この背景には、中国を中心とした海外で日本の化粧品の認知度が上がってきたことと、その安全性などが評価されていること、スキンケアが特に人気でコロナ禍の影響を受けづらいということが挙げられるでしょう。

新しい販路に注力する動き

コロナ禍でお店に足を運ぶ人が減り、従来の対面での販売が落ち込んでいることを受け、各社がネット販売に力を入れ始めています。

Zoomを使った無料カウンセリングや、美容部員がライブ配信をし、紹介した商品視聴している消費者がネットでそのまま買い物できるライブコマースが好調です。

また、YouCamメイクというカメラアプリでは、バーチャルメイクでいくつかのブランドのコスメを画面上で試すことができます。

メンズコスメ・エイジングケア等新たな市場開拓への動き

リモート会議で自分の顔を見る機会が増えたことや、男性の美意識向上の傾向が見られメンズコスメ市場は急拡大中です。

また、少子化の影響や国内市場が頭打ちであることを受け、化粧品各社が60代女性をターゲットにした商品の販売が増えてきています。

同様に加齢臭対策のボディソープやシャンプーなどのケア用品など、パーソナルなエイジングケアの悩みに対応する商品市場を広げようと、工夫が凝らされています。

化粧品業界の今後のビジネスチャンスは?

化粧品業界への就職を視野に入れている人は、将来性のある業界なのか気になるでしょう。移りゆく世の中だからこそ、従来とは異なる新たな発想を取り入れる企業が増えてきており、今後に期待が寄せられています。

化粧品業界は、どのような点に力を入れていくのでしょうか。業界拡大のための新たなビジネスチャンスについて紹介します。

  • 異業種の参入
  • インフルエンサーマーケティング
  • DtoCモデルの拡大
  • メンズコスメ市場の拡大
  • 越境ECの拡大
  • エステサロンとの提携による売上拡大

異業種の参入

2022年頃に大手家電メーカーのシャープは、化粧品事業に参入すると発表しました。2022年には保湿クリームなどのスキンケアを発売し、2023年以降には自社の美容家電と連携するスキンケア商品などを発売するとしています。

これまでにも写真フィルムで有名なFUJIFILMが、長年の技術を化粧品分野へ応用させ2007年頃にアスタリフトというブランドを立ち上げました。商品はヒットし、雑誌で数々の賞を受賞するなど快進撃を続けています。

このように、自社の強みを活かし、化粧品業界へ参入してくる会社は今後も増えてくる事が予想されます。

インフルエンサーマーケティング

InstagramやYouTube、Twitterの普及に伴い、化粧品を買う前にSNSで検索して情報を集める人が増えています。SNSでの口コミによる効果に強い美容業界は、美容系インフルエンサーを起用しPRをしてもらうことで企業や商品の知名度を上げる施策を取っています。

SNSで見た商品をそのままネットで買うこともできるので、人気インフルエンサーが紹介した化粧品は、完売や欠品が相次ぐ現象も起こっています。

DtoCモデルの拡大

SNSの普及により企業が消費者と直にコミュニケーションを取れるようになったことで、国内外の様々なメーカーがDtoCに取り組んでいます。商社や販売店を通さないため利益が大きく、直接顧客と接することで関係を強化させたり宣伝がしやすくなったりするメリットがあります。

特にコロナ禍においてECサイトで購入する人が増えたことや、直接お店に買いに行くのに抵抗のある人が多い男性用のコスメ市場の需要も拡大しています。

メンズコスメ市場の拡大

前述したように、身だしなみの一環としてスキンケアをする男性が増えてきています。また、男性インフルエンサーやアイドルがメイクをしている姿を目にすることが多くなり、ファンを中心として彼らに憧れメイクをする人も珍しくありません。

そして、ECサイトの普及で人目を気にせずコスメを気軽に買えるようになったということも、メンズコスメ市場の拡大を後押ししています。

越境ECの拡大

コロナ禍における化粧品の国内需要とインバウンドの減退を受け、ECを通した海外への販売網を広げる動きが広がってきています。最大の輸出国である中国では、独身の日にネットで大セールが行われるなど、Eコマースによる販売が好調です。

その流れを受け、SHISEIDOは中国市場でライブコマースを展開しています。今後も、越境ECの拡大を見せていくことでしょう。

エステサロンとの提携による売上拡大

化粧品メーカーがエステサロンと提携し、自社製品の使用・販売やプロフェッショナルラインを開発・提供していることがあります。製品を施術で使ってもらうことで売上が拡大し、さらにアフターケアとして販売すれば、美容に関心の高いコアなファンを獲得できるメリットもあるでしょう。

化粧品業界に向いている人とは

第一条件として、化粧品が好きということが挙げられます。好きなこと、興味のあることを仕事にすれば、熱意を持って毎日取り組めるでしょう。

また、毎シーズン新しい商品が出る業界なので、美意識やトレンドへの敏感性を持ち続けることも役に立ちます。携わる商品で人を幸せにしたい、役に立ちたいと思う気持ちのある人も向いているでしょう。

そして人の肌に直接付ける物を提供するため、安心と安全を心がける責任感の強さも必要です。

化粧品業界の志望動機の書き方

化粧品業界を志望した理由やその企業を志望する理由、この職種で実現したいことの3つが大きな核となります。

業界と志望する企業研究をしっかり行い、なぜ化粧品業界なのか、なぜこの企業でなければならないのかを伝えましょう。具体的なエピソードがあれば書いておくと個性になります。

また、志望の職種で実現したいことも、そう思うようになったきっかけや、具体的なアイデアを書くと熱意が伝わりやすいでしょう。

化粧品業界の志望動機の例文

実際どのように書くのかを、職種別に3つの例文を紹介します。上に書いたポイントを入れ込み、企業への思いや就職後の展望を簡潔に書いています。

志望動機の書き方につまずいたら、この例文を参考にしながら自分だけの文章を完成させてください。

美容部員

以前より、貴社のオリジナルな世界観が好きで愛用しております。美容部員さんがいつも私の肌悩みに親身になってくださる姿に感銘を受け、私も貴社で働き多くの方の悩みに寄り添った接客をしたいと思いました。

また、○○という商品が特に好きで、愛用しているうちに素肌に自信が持てるようになりました。私と同じ悩みを持つ方達に、この商品やブランドの製品の魅力を伝えていきたいと思いました。

商品企画職

私は、「貴社の美の力でよりよい世界を。」という理念に共感しています。私も御社の一員となり、美の力でよりよい世界を作るお手伝いがしたいです。

学生時代は、書店でアルバイトをしていました。日々発売される書籍を通じ、トレンドや世間のニーズに合わせた売り場作りを教えてもらっていました。貴社に入社した後も常にアンテナを張り巡らし、お客様が必要としている商品を企画・提供し貢献したいと思っています。

研究・開発職

私は貴社の業界をリードし、常に新しい技術を生み出す力に感銘を受け志望しました。私は貴社に就職したら、官能評価の研究をしたいと思っております。

肌の弱い人が毎日手に取りたくなるような、安全で心地のよい化粧品を作るのが夢です。そして、世界に通じるような新たな研究を行い、多くの方の美に貢献したいと考えて志望しました。

そのほかの例文

こちらの記事でも、化粧品業界の例文を紹介しています。

志望動機の例文を沢山見たい、という書き方はこちらもご覧ください。

化粧品業界の企業5社の紹介

化粧品業界に就職を希望する人は、大手企業の研究もしておくことをおすすめします。ホームページを見てみるだけでも、会社の特色の違いがわかります。

企業理念や会社の規模、会社の様子取り扱いブランドなどを見ながら、自分の将来のビジョンに当てはめて見てみるのもよいでしょう。また、希望の企業が見つかった時は、他社企業と比較することで、どこにより惹かれたのかを説明しやすくもなります。

資生堂

150年の歴史を持ち、2021年には売上10,352億円を打ち出しました。日本が誇る化粧品業界の人気メーカーです。世界の約120国や地域で事業展開しており、国内のみならず世界的な人気があります。

クレド・ポー・ボーテなど高価格帯のプレステージブランドを始めとした、3つのカテゴリーに分けられた約32のブランドを有しています。

出典:業績・推移データ|資生堂

出典:資生堂 企業情報|資生堂

コーセー

70年以上の歴史を持ち、2021年には2,793億円を売り上げました。コスメデコルテなどのハイプレステージブランドから、雪肌精などのブランドを展開しています。

コーセーサステナビリティプランを打ち出し、サステナビリティ視点を組み込込んだ事業内容を実践し、事業の成長と持続可能な社会の実現の両立を目指しています。

出典:KOSÉ REPORT 2021 統合報告書|KOSE

花王

約130年の歴史があり、2021年には化粧品事業で約2,390億円を売り上げています。SUQQUやKANEBOなどの高級ラインやKATEなど、約22のブランドを有しています。

ハイジーン&リビングケア・ヘルス&ビューティケア・ライフケア・化粧品・ケミカル事業の幅広い5つの事業展開をしている事も特徴です。

出典:セグメントの業績|花王

DHC

DHCは50年ほどの歴史を持っています。

委託翻訳業務から始まったDHCは化粧品、健康食品、医療品・遺伝子、食品、アパレル・インナーウエア・ビール、リゾート、ヘリコプター、翻訳・通訳、出版、教育、介護、ペット事業と、幅広い事業展開を行っているのが特徴です。

商品開発から宣伝活動、受注・発送、アフターフォローなどほぼすべての業務を自社スタッフが行っています。

ポーラ・オルビスHD

約90年の歴史があり、ビューティーケア部門の売上は2021年に約1,740億円に登りました。ハイプレステージのポーラやオルビスを始め、THREEなどを有する株式会社ACROやDECENCIA、ジュリークもポーラ・オルビスHDグループの傘下に入っています。

訪問販売、エステサロン、店舗があり、オルビスは通販や店舗など幅広い流通チャネルがあることも特徴です。

出典:セグメント別情報|ポーラ・オルビス ホールディングス

化粧品業界への理解を深めよう

化粧品業界について紹介しました。化粧品業界は美容部員や営業を始め、様々な職種から成り立つ業界ということがわかりました。

少子化問題やコロナ禍で苦戦を強いられる中、輸出の拡大やライブコマースなどを導入しながら日々新しい取り組みで成長を続けています。

化粧品業界に就職をしたい人は、企業情報や業界の動向をリサーチし、理解を深めることが重要です。志望動機の書き方に迷った時には、本記事を見返し参考にしてください。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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