はじめに
インターネットの普及により、Web業界が提供しているサービスは、今や日々の生活に欠かせないものとなっています。
そんな身近なWeb業界への就職や転職を考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、Web業界の将来性、年収、職種、適している人物像、提供しているサービスの種類など、具体的にWeb業界のことを知っている人は多くないかもしれません。
この記事ではIT業界とWeb業界との違いなども含め、Web業界を正しく理解してもらうための情報を紹介していきます。
Web業界への就職や転職を考えている人は、業界の理解を深めるため、具体的な会社の選び方やキャリアプランの設定のためにこの記事の情報を役立ててみてください。
Web業界について
Web業界とは、インターネットを介してサービスを提供し、その対価で利益を出している業界です。身近なところで言うと、商品をオンライン上で購入できるECサイト、SNSやビデオオンデマンドといったサービスがあります。
ここ20年程で急速に発展したWeb業界ですが、ここではもう少し具体的にWeb業界について説明していきます。
IT業界との違い
Web業界とIT業界は、まったく異なる業界ということではありません。
IT業界という言葉は、ITを活用したサービスや製品を提供する業界の総称です。Web業界もインターネットという情報技術を介してサービスを提供する業界なので、IT業界と呼んでも間違いではありません。
Web業界の他に、IT業界に属するものとしては、ソフトウェア業界、ハードウェア業界、情報処理業界、通信インフラ業界などがあります。
つまり、IT業界にWeb業界が含まれているイメージで、ITを活用したサービスの提供をしている業界をIT業界の中で区別する時にWeb業界という言葉が使われる、と理解しておくと分かりやすいでしょう。
主な仕事内容
まず、Web業界の仕事として挙げられるのは、Webサービスの開発です。自社が提供する新しい製品やサービスを開発し、その製品やサービスの戦略をたてるなど、営業やマーケティングの知識も必要とされます。
そしてその開発した製品やサービスを提供するために、サイトを制作し運営しなければなりません。この部分はWeb制作会社に外注して対応する場合もあります。
その他にも、クライアント企業のためにサイトや広告などを作成し、運用を代行するWeb広告運用代行といった仕事もWeb業界の仕事の1つです。
Web業界の市場規模
総務省によると、インターネット附随サービス業の2019年度売上高は2兆7,953億円で、前年度比は3.9%増となっています。そしてその売上高は2013年から拡大傾向が継続しています。
サービス別の売上高はウェブコンテンツ配信業、ショッピングサイト・オークションサイト運営業、課金・決済代行業の順となっています。課金制のゲームなどの普及により、課金・決済代行業が順調に売り上げを伸ばしているようです。
出典:令和3年版 情報通信白書のポイント|総務省
参照:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nb000000.html
Web業界の将来性
スマホの普及が広がり、思いついた時にすぐにインターネットを利用できる環境が整いつつあります。そのような背景から、Webサービスは今後も需要が高まると考えられるため、Web業界自体の発展も続くことが見込めるでしょう。
少し前まであれば、PCやタブレットからのインターネットが主流でしたが、スマホユーザーが劇的に増えたことで、Web業界は新しいサービス提供や話題を呼ぶような画期的なサービスの開発に力を注いでいくと考えられます。
このように需要は依然として高く、Web業界はまだまだ伸びしろがあり、将来性のある業界と言えそうです。
おおよその平均年収
Web業界の代表的な職種である、Webディレクター・Webプランナー・Webデザイナーの平均年収は440万円程度となっています。
Webデザイナーの中には20代でスキルを磨き、30代に入ってからアートディレクターへキャリアアップしたり、Webディレクターにキャリアチェンジしたりするなどして年収を上げ、中には600万円という高収入を実現している人もいるようです。
Web業界の収入は自分のスキルに応じて上がっていく実力主義の世界です。年収を上げたい人は日々のスキルアップを考えながら業務に取り組んでいきましょう。
Web業界の主な職種
Web業界の中には色々な職種があります。ここでは7種の職種について説明しています。
自分のスキルがどの職種で活かせるのか、どの職種で働きたいかなど、ここでの記事を参考にして、Web業界での働き方を検討してみましょう。
Webマーケター
WebマーケターはWeb上で製品やサービスの販売・宣伝をすることで、集客やブランド認知向上を図り、売り上げにつなげる役割を担います。
Web上で展開されるプロモーションは、サイトへの訪問者数や成約率、ページ滞在時間など、成果を数字で可視化が可能です。そのため、色々な検証を取り入れたり、改善が比較的容易である点がメリットとなります。
Webマーケターはさまざまなプロモーション方法を駆使して、結果につなげなければなりませんが、この分野は非常に変化が激しく、数年前の技術は役にたたないと言われています。
そのため、Webマーケターは常に他サイトでどのようなプロモーションが展開されているのかといった、新しい情報を仕入れることがとても重要です。
Webプランナー
WebプランナーはWebサイトを制作する際に、クライアントから要望やイメージなどを聞いて方向性を定め、企画・設計する人のことです。WebディレクターとWebデザイナーの間に立って、プロジェクトを管理します。
WebディレクターはWebプランナーと一緒にサイトの企画や設計に携われますが、Webプランナーはクライアントよりの立場からプロジェクトを管理することがメインとなるでしょう。
通常であればWebディレクター、Webプランナー、Webデザイナーの役割はそれぞれ異なりますが、小さい規模の会社ではWebプランナーがディレクターとデザイナー業務を兼任することもあります。
このように幅広い役割を1人で担当することは大変ですが、経験を積めるという点ではやりがいのあるポジションでしょう。
Webプログラマー
WebプログラマーはショッピングサイトやSNSといった、Webサイトに特化したプログラミングをする人のことです。
システムエンジニアが設計した仕様書に沿って、JavaやPHP、Ruby、Pythonなどといった言語を用いたプログラミングでWebサイトの裏にある仕組みを構築します。
経験豊富なWebプログラマーとなれば、システムエンジニアが担当する設計や全体管理などの業務も担当できます。
最近では他職種からWebプログラマーになる人も増えてきていることから、Webプログラマーとして活躍し続けるには、日々新しい技術や知識を身につけるという姿勢が必要でしょう。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインを担当する人のことです。
具体的にはサイトの配色、レイアウト、使用される文字のフォントを選びます。デザインする際には見た目だけではなく、視認性や回遊性といった使いやすさも考えなければなりません。
また、サイトにデザインを反映するには、コーディングが必要です。場合によっては、このコーディングまでWebデザイナーが担当することもあるため、コーディングの知識があると有利に働くでしょう。
最近ではスマホからサイトを閲覧する人も多く、ユーザーが使用するデバイスの画面サイズにデザインが調整されるレスポンシブデザインが主流となります。
また、Webデザイナーとして活躍を続けるには、常にトレンドを意識してデザインに取り組む姿勢が必要です。
Webディレクター
Webディレクターは、Webサイトを構築する際のプロジェクトマネージャー的存在となる人です。企画立案から、制作、運用の一連の業務に携わります。
Web制作に関わる人たちをまとめながら、制作の進み具合や品質に問題ないか確認しつつ、プロジェクトが円滑に進むようチーム全体をまとめます。
Webディレクターはプランナーと一緒にクライアントや自社の要望・課題をヒアリングして企画提案するところから、見積もり、予算管理、スケジュール進行管理、コンテンツ品質管理、メンバー選定や運用更新まで、幅広く仕事をこなさなければなりません。
所属会社がサイト制作会社であれば、クライアントとの交渉という点も含まれてきます。
技術的な面だけではなく、マネジメント能力やコミュニケーション能力も必要とされるポジションです。
Webエンジニア
Webエンジニアは、Webサイトに関連するシステムの開発・保守を担当する人です。
WebエンジニアはJavaScriptを用いたフロントサイドと、RubyやPHPを用いたサーバーサイドで職種が分けられていることが多いです。
例えばECサイトでショッピングをする時のショッピングカート機能、これはフロントサイドの機能開発となります。そしてその購入手続きを完了させる機能、これはサーバーサイドの機能開発となります。
ECサイト以外にも、FacebookやTwitterなどのSNS、動画配信サービスなどのシステム開発・保守もWebエンジニアの仕事です。場合によってはHTMLやCSSを用いてデザインコーディングに携わることもあります。
Webプロデューサー
Webプロデューサーは、Webサイト制作をプロデュースする役割を担う人です。Webサイト制作の責任者的存在となります。
Webサイトのターゲットやコンセプト、イメージをプランナーやディレクターと一緒に作り上げ、納期や予算の決定、プロジェクトに関わる人員を選定も行い、プロジェクト全体を統括する役目です。
WebプロデューサーはWebサイト制作における実務経験だけではなく、マーケティングの知識、チームメンバーや外部とのコミュニケーションスキルやマネジメントスキルも求められます。
Webプロデューサーとしての能力があれば、Webサイト制作会社だけではなく、広告代理店や一般企業の広報部・企画部といったポジションで活躍できるでしょう。
Web業界が求める人物像とは?
Web業界で求められる人物像としては、コミュニケーション能力がある人、向上心がある人という点が挙げられます。
Web制作はチームで取り組みます。プロデューサーやディレクターを中心にデザイナー、エンジニアとのディスカッションを繰り返さなければなりません。
品質の良いWebサイトを制作するためには、チーム内でスキルや情報を出し合う必要があるため、コミュニケーションスキルが必要となるのです。
また、Web業界の技術はかなり早いペースで進化を続けています。常に新しい情報を取り入れようとする向上心の高い人が、Web業界では高く評価されるでしょう。
Web業界への転職や就職がおすすめであると言われる理由
Web業界では多くの職種があるので、色々なスキルを活かして活躍できそうですが、それ以外にもWeb業界への転職や就職がおすすめできる理由があります。
どのような理由があるのか、見ていきましょう。
スキルによっては年収1,000万円以上を目指せるから
Web業界は年功序列という風習はなく、経験やスキルで評価される世界です。就職先の選び方さえ間違わなければ、自身の経験やスキル次第で年収1,000万を目指すことも可能でしょう。
すでに名のあるベンチャー以外にも、これからスタートアップするベンチャー企業もねらい目です。スタートアップしたばかりの企業は、実績を積めば会社の成長と共に年収も一気に上がる可能性が高いといえます。
反対に低価の案件ばかりをとっている企業では、収入が低くなる傾向が強いため、就職先選びは慎重に行いましょう。
Web業界は努力した分それが年収として結果を出しやすい世界です。スキルアップへのモチベーションも維持でき、やりがいを感じられるでしょう。
出世しやすい傾向にあるから
多くの業界ではまだまだ高学歴志向であると言える中、Web業界の求人では学歴を問わない場合が多いです。
先述した通り、Web業界は実力主義の世界です。言い換えると、スキルや経験が重要視され、学歴はそれほど重要視されないということになります。
Web業界は学歴がなくてもスキルや経験があれば、高いポジションへの転職が可能です。Web業界では学歴がなくても、実績を積めば出世ができる世界と言えるでしょう。
将来性があるから
Web業界の需要は右肩上がりという点からも、将来性がある業界と言えます。Web業界が提供するサービスは私たちの生活を支えているといっても過言ではなく、需要も高い業界です。
また、スキルや経験があれば、フリーとしての活躍も可能となります。色々なキャリアパスを目指しながら、働ける業界と言えるでしょう。
未経験でも転職できるから
Web業界は需要が拡大している中、働き手の数は拡大に比例して増えていないことから、Web業界は人手不足の状況です。
経験者でなければ採用されない業界、というイメージがある方もいますが、人材確保のために未経験者でも採用している企業があるようです。
未経験でも基礎的なスキルがあれば理想ですが、何のスキルがないとしても採用してくれる企業はあります。ですが、Web業界で働きたいと思った時点で、スキルアップのための行動を起こしましょう。
需要が高いから
インターネットを介したサービスの提供により、家にいながら買い物ができ、家にいながら色々な映画や海外ドラマを見れるなど、私たちの生活を豊かにしてくれています。
また、スマホユーザー数の増加も加わり、インターネットを介したサービスの需要が下がるということはなさそうです。
これからも色々なサービスを提供していくことが求められる、業界と言えるでしょう。
Web業界の8つのサービス
Web業界が提供しているサービスには、Web広告、eラーニング、電子書籍、SNS、eコマース、ポータル、ソーシャルゲーム、キュレーションといった8つの種類があります。
ここではそれぞれのサービスについて説明します。
Web広告
Web広告は、インターネット上の媒体に掲載される広告のことを言います。
リスティング広告、アフィリエイト広告、SNS広告やバナー広告などがあり、クリック数や成果に応じて費用が発生する形態がとられています。
Web広告を利用するメリットとしては、細かなターゲティング設定が可能、少ない広告費で始められる、短期間で効果を得られる、効果測定により改善しやすい、広告出稿中でも変更が可能という点が挙げられます。
eラーニング
eラーニングとは、インターネットを活用した学習サービスのことを指します。パソコンやスマホを利用して学習をする形態です。新しい教育の形として、Web業界が提供しているサービスです。
すきま時間を活用したり、自分の好きな時間に学習ができる点や学習履歴から最適な学習方法が選択できたりする点がメリットです。
電子書籍
電子書籍とは、単行本や漫画、文庫本といった書籍を電子化し、インターネットを介してタブレットやスマホで購読できる環境を提供するサービスです。
月額〇円で読み放題といった、サブスクリプション型のサービスも多く用意されています。
メリットとしては端末1つで多くの本を読める、どこでも本を購入できる、持ち運びに便利といった点が挙げられます。
SNS
SNSとはSocial Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)の略で、インターネットを使い人との交流を促進するWebサービスです。
代表的なSNSNには、Twitter、FacebookやInstagramが挙げられます。会員として登録することで相手との個人的な対話、グループでの対話なども可能となります。
eコマース
eコマースとは、インターネットを介して売買や契約を行うサービスを指します。
ECサイトと聞けば、分かる方も多いのではないでしょうか。多くの人にお馴染のWebサービスと言えるでしょう。
ポータル
ポータルとは、インターネットを使う時に利用する検索サイトのことを指します。ユーザーが調べたいワードで検索すると、その結果を表示させるサービスです。
「Google」や「Yahoo!」といった検索エンジンが代表的です。この両方またはいづれかを利用したことがある人は多いのではないでしょうか。
ソーシャルゲーム
ソーシャルゲームとは、SNSを介してするゲームサービスのことを指します。
会員登録をしてアカウントを取得すれば、Webブラウザで利用できるのが特徴です。代表的なものとしては、パズドラと呼ばれるパズル&ドラゴンズやモンスターストライクなどが挙げられます。
キュレーション
キュレーションとは、Web上の情報を収集・選別・編集して、テーマ毎にまとまった情報を発信するサービスです。まとめサイトとも呼ばれることがあります。
インターネット上では、自分に必要な情報を集めるのに労力が必要です。このキュレーションサービスを利用すれば、労力をかけずに必要な情報を得ることができます。
Web業界へ未経験者が転職するには?
Web業界は未経験でも転職や就職ができる業界ではありますが、Web業界のすべてにおいて、そうであるとは言えません。一定以上のスキルや経験が求められる場合もあります。
ここでは、未経験からWeb業界の仕事に転職するためのポイントを紹介します。
大手有名企業ばかりをねらわない
Web業界でも、大手や有名企業に就職や転職を希望する人が多いという状況に変わりはありません。そうなると、やはりスキルも経験もある人が集まります。その中で未経験の自分が採用される可能性が低くなるのは当然です。
反対に人員の少ないスタートアップやベンチャー企業であれば、マネジメントやディレクションの経験はないとしても、それに携われるポジションでの就職ができる可能性も高くなります。
また、このような会社であれば、1人で担当する業務範囲が広いので、マルチなスキルが習得でき、そのスキルを活かして大手に転職するという方法もあるでしょう。
未経験でWeb業界に転職をしたいのであれば、大手以外のスタートアップやベンチャー企業を候補として選ぶことをおすすめします。
志望動機の書き方に工夫をする
未経験の場合、スキル面でのアピールポイントが少なくなってしまうため、志望動機のアピールの仕方が重要になります。
志望動機のアピールの仕方として、Web業界で働きたいという熱意だけだと、志望動機が抽象的となり、Web業界の会社なら自社でなくても良いのではといった、面接官の誤解を招きかねません。
志望動機では、Web業界で働きたいという熱意や自分のスキルをアピールすることも大事ですが、数あるWeb業界の中でなぜその会社を選んだのか、その会社での将来のキャリアプランなどを含める、といった形でアピールすると効果的です。
そのためには、志望する会社が携わっている業界の研究を入念に行い、将来性、課題や最新のニュースなどを含めて、なぜこの会社を選んだのか、その会社でどのようにキャリアを積みたいのか、という点を含めるようにしましょう。
Web業界について知ろう
Web業界の業種やサービス内容、将来性などについて説明をしてきました。
Web業界は経験とスキル次第では、高い収入も見込める業界です。年齢や学歴にも左右されないので、多くの人が高いポジションを目指せる可能性を秘めた業界とも言えるでしょう。需要も高いので、将来性という意味でも安心です。
Web業界を目指すのであれば、どのような業界であるかを知っておくことはとても重要です。
Web業界への転職や就職活動をする際は、ここで得られた情報を会社の選び方、業種の選択、キャリアプランの設定、志望動機の書き方などを検討する際に役立ててみてください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート