「運輸・倉庫業界の業界研究はどのようにすればいいの?」 「運輸・倉庫業界で活躍している職種って?」 「運輸・倉庫業界にはどんな企業がある?」 このように、就活を控えている人の中には、運輸・倉庫業界に興味を持っているという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、運輸・倉庫業界の職種や業界規模、運輸・倉庫業界に見られる動向や主な企業などを紹介しています。この記事を読むことで、運輸・倉庫業界についてより理解を深めることができるでしょう。
また、就活生が読んでおきたい運輸・倉庫業界研究に役立つ書籍なども紹介しているため、これから運輸・倉庫業界で就活を始めるという人も参考にできます。
倉庫業界について詳しく知りたい人は、ぜひこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
就活生の倉庫・運輸業界の業界研究について
就活を行う場合、業界研究を行うことで、自身が志望している業界への理解を深める必要があります。倉庫・運輸業界への就職を目指す場合も、大きくわけて3つの段階を踏んで企業研究を進めていくことが大切です。
ここでは、就活生が行うべき倉庫・運輸業界の業界研究について解説していきます。
業界全体を把握する
業界研究を行う場合、まずは業界全体を知ることが大切です。そのためには、倉庫・運輸業界に限らず、世の中にある色々な業界の中で、どのような企業がどのような役割を担っているのかという視点で把握する必要があります。
このように、大きく把握することにより、業界を大まかに理解することができるでしょう。また、その業界の代表的な企業について学ぶことで、自らの方向性についても検討するようにしましょう。
業界を深掘りする
業界の概要について把握したら、さらに業界を深掘りしていきましょう。倉庫・運輸業界内での企業ごとの違いを調べて、現状について把握しましょう。
具体的には、企業同士の資本関係や提携状況、業績、業界の成長見込みなどを調査し、自身がどの企業を志望するのか絞り込んでいきます。
業界の動向を調べる
最後に、業界の動向についてさらに詳しく調べていきましょう。具体的には、倉庫・運輸業界の各企業の状況を調査します。
さらに自己分析の結果と照らし合わせることで、どの企業を志望するのか決めていきましょう。
運輸・倉庫業界で見られる主な職種
運輸・倉庫業界に興味を持っている人の中には、具体的にどのような職種が存在するのか知りたいという人もいるでしょう。運輸・倉庫業界で活躍している職種には、倉庫の商品の管理を行う職種や自社のサービスを提案、販売する営業までさまざまな職種が存在しています。
ここでは、運輸・倉庫業界で見られる主な職種について解説していきます。
営業
営業とは、物品の保管や輸送などの作業を外注している顧客に対して、自社のサービスの提案、販売を行う職種です。倉庫業界の営業職は、顧客であるクライアント企業が抱えているさまざまな課題やニーズのヒアリングを行い、課題を改善するための提案を行います。
倉庫業界の営業職も、一般的な営業職と同様に高度なコミュニケーションスキルが求められます。また、最適な提案を行うためには、倉庫業に関する知識や自社の事業への理解が必要になるでしょう。
倉庫事務
倉庫事務とは、倉庫業に従事する人が円滑に作業を行えるように、さまざまな事務作業を行う職種です。
入庫した物品を把握し、倉庫のどこに保管するのか指示を行ったり、入庫や出庫のチェック、契約の手続き、支払いの管理、納期の確認といったさまざまな事務処理を行ったりします。
倉庫事務には一般的な事務としてのスキルだけでなく、倉庫業の業務についての理解が必要になるでしょう。
倉庫管理
倉庫管理とは、倉庫に入庫した物品の検品や梱包を行う職種です。検品とは、入庫した物品が倉庫のどこにいくつあるのか、物品に傷や破損などはないか、不良品ではないかといった確認を行うことを意味します。
また、梱包とは、倉庫にある物品を出荷へ向けて荷造りすることです。目的地に届くまでにさまざまな倉庫を経由するため、途中で物品が破損しないように、丁寧な梱包を行うことが重要になるでしょう。
このように、倉庫管理の仕事は物品のチェックや梱包であるため、丁寧かつ迅速な作業が求められます。また、倉庫管理は倉庫で物品を扱うため、フォークリフトなどの資格を持っていると幅広く活躍できるでしょう。
運輸・倉庫業界の業界規模について
運輸・倉庫業界の業界規模は、インターネット通販が普及してから安定して拡大しています。新型コロナウイルスが流行した2020年前後からは横ばいになっていますが、大きく減少しているわけではありません。
物流分野でのBtoC-EC市場の規模は、2013年では59,931億円でしたが、年々上昇を続け、2021年には132,865億円まで急激に上昇しています。また、その中でのEC化率も、2013年の3.85%から2021年の8.78%まで割合を増やしています。
出典:我が国の物流を取り巻く現状と取組状況|経済産業省・国土交通省・農林水産省 参照:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/pdf/001_02_00.pdf
運輸・倉庫業界に見られる4つの動向
運輸・倉庫業界への就職を目指す場合、前述のとおり現在の運輸・倉庫業界の動向や現状を踏まえた上で業界研究を行うことが大切です。それでは、現在の運輸・倉庫業界にはどのような動向があると言えるのでしょうか。
ここでは運輸・倉庫業界に見られる動向について解説していくため、参考にしてみてください。
1:M&Aや資本参加に積極的
運輸・倉庫業界では競争が激化していることにより、M&Aや資本参加も増加しています。近年の需要拡大によって今後も成長が期待されることから、新規参入が多い点も理由の一つです。
市場規模の拡大に合わせて事業の拡大を推進している企業も多いため、そのような企業が新規参入の企業とM&Aを行っています。
2:インターネット通販の普及による期待
前述のとおり、運輸・倉庫業界はインターネット通販の普及によって需要が増加しています。インターネット通販の需要増によって貨物量が増加したため、倉庫の需要も増しています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響によってインターネット通販の需要が拡大したことは、運輸・倉庫業界には追い風となりました。今後もインターネット通販により、運輸・倉庫業界の業績も上がっていくことが期待されています。
3:物流施設の自動化が進められている
運輸・倉庫業界でも人材不足が深刻化しつつあることから、物流施設の自動化や大型化が進められています。倉庫の設備を自動化することによって作業者を減らすことができるため、人材不足の解消に繋がると言えるでしょう。
また、近年では物流施設が増えたことによって業界内での競争が激しさを増しています。そのため、高機能設備を備えた施設などの開発も活発になってきています。
4:脱フロンに向けた取り組み
現在、日本では低炭素社会を早期実現するために、省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業補助金という補助金の公募を行っています。この事業は、フロンの排出を抑制するために、省エネ型自然冷媒機器を導入する事業に対して補助金を支給するというものです。
この事業では冷凍冷蔵倉庫も対象となっているため、倉庫業界全体として脱フロンへ向けた取り組みが行われています。
出典:脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業補助金の三次公募について|環境省 参照:https://www.env.go.jp/press/press_00541.html
運輸・倉庫業界の主な企業
運輸・倉庫業界への就職を目指すのであれば、どのような企業があるのか知っておく必要があります。自身の方向性にマッチした志望企業を見つけるためにも、各企業の情報を把握し、研究しておきましょう。
ここでは、運輸・倉庫業界の主な企業を紹介していきます。
三菱倉庫株式会社
三菱倉庫株式会社は、三大財閥の一つである三菱財閥を前身に持つ三菱グループに属している物流企業です。東京都中央区に本社を置く企業であり、もともとは「東京倉庫」という企業でしたが、社名変更によって現在の名称になっています。
三菱倉庫株式会社は「物流」と「不動産」という2つの事業を展開しており、運輸・倉庫業界での売上も上位に位置しています。
三井倉庫株式会社
三井倉庫株式会社は、三大財閥の一つである三井財閥を源流とする三井グループに属している物流企業です。東京都港区に本社を置く企業であり、倉庫事業の他、港湾運送事業や国際輸送などの物流事業、不動産賃貸業などさまざまな事業を展開しています。
国際物流にも力を入れているグローバルな企業であるため、海外にも多くの拠点を構えています。
株式会社上組
株式会社上組は、神戸市中央区に本店を置く物流企業です。事業内容としては国内物流事業がメインとなっており、港湾運送や国内運送、倉庫、工場荷役請負、国際運送などの事業を展開しています。
株式会社上組は港湾物流のリーディングカンパニーとして有名な物流企業だと言えるでしょう。国内の港湾インフラが潤沢で、国際物流のために海外の拠点も拡大しています。
株式会社住友倉庫
株式会社住友倉庫は、三大財閥の一つである住友財閥を源流とする住友グループに属している物流企業です。本社だけでなく複数の子会社、関連会社からなる企業で、国内物流や国際物流、港湾運送、アーカイブズ・トランクルーム、不動産開発や賃貸などの事業を展開しています。
このように複数の収益源を持っており、海外拠点も多数保有している大手物流企業です。
株式会社日新
株式会社日新は、国際輸送や国内輸送、倉庫、引越し、不動産事業などのさまざまな事業を展開している企業です。運輸・倉庫業界の売上高でも三大財閥を源流とする他の物流企業と並んでおり、海外拠点も多数保有しています。
そのため、世界的に活躍しているグローバルな企業だと言えるでしょう。
運輸・倉庫業界のこれからについて
運輸・倉庫業界の現状や動向を踏まえた上で、今後運輸・倉庫業界の企業は、どのような展望を持っているのでしょうか。ここでは、運輸・倉庫業界のこれからについて解説していくため、参考にしてみてください。
不動産事業の強化
運輸・倉庫業界の各社が保有している不動産では、賃料の低下や既存のテナントの入れ替えなどが発生しています。賃貸オフィスの需要自体は回復しつつありますが、今後はより一層の不動産事業への投資が必要になるでしょう。
不動産事業の強化の例としては、既存の賃貸オフィスビルのリニューアルによる収益力強化や、オフィスビルの建設などが挙げられます。
グローバル基準の組織体制や人材の強化
先に紹介したように、運輸・倉庫業界の代表的な企業の多くが海外拠点を多数保有しており、グローバルに事業を展開しています。物流企業の顧客である企業の多くが世界へと進出しているため、グローバルネットワークを強化する必要性が増してきていると言えるでしょう。
そのため、今後は海外へ進出する顧客に対して、国内と同水準のサービスを提供するためのグローバルな組織体制や人材の育成、強化が必要になっていくと言えます。
就活生が読んでおきたい運輸・倉庫業界研究に役立つ書籍
運輸・倉庫業界の業界研究をどのように行えばよいのかわからないという人もいるでしょう。運輸・倉庫業界の研究には、書籍を利用する方法があります。
ここでは、就活生が読んでおきたい運輸・倉庫業界研究に役立つ書籍を紹介していきます。
ビジュアル図解 物流センターのしくみ
「ビジュアル図解 物流センターのしくみ」とは、物流の中核を担っている物流センターにフォーカスした一冊です。本書では、流通が果たしている役割や、取り扱い商品、業態などの特徴、業務内容、在庫管理やコスト管理といったテーマを紹介しています。
また、物流のしくみを理解するためにはゼネコンや設計会社、物流会社などさまざまな関係者への理解も必要です。本書を読むことで関係者それぞれの価値観についても把握することができるでしょう。
図解でわかる 物流の基本としくみ
「図解でわかる 物流の基本としくみ」とは、物流の基本的な仕組みや実務知識、物流の問題点や改善方法などを図解によってわかりやすく解説した一冊です。
一般の人が物流を学ぼうと思っても、物流には多くの専門用語が登場するため、わかりにくいと言われています。本書では図解によってやさしく解説しているため、物流部門の担当者だけでなく、システム部門やコストダウンを目指す経営者などにもおすすめです。
運輸・倉庫業界の筆記試験への対策法
運輸・倉庫業界の選考では、筆記試験として「SPI」や「GAB」、「玉手箱」などが採用されるケースが多いです。そのため、運輸・倉庫業界を志望する場合は、問題集やアプリなどを使ってこれらの試験対策を行っておくことが大切です。
また、企業によっては能力テストと実力テストの2種類のテストを実施する「SCOA」を採用しているケースもあるため、SCOA対策も行っておくようにしましょう。
運輸・倉庫業界の面接対策
運輸・倉庫業界に限らず、就職活動の面接では面接官の質問の意図を理解した上で回答することが大切になります。
そのため、事前に運輸・倉庫業界の面接ではどのような質問がされるのかリサーチしておき、面接官の質問の意図や知りたいポイントを把握した上で適切な回答を行うことが重要だと言えるでしょう。
ここでは運輸・倉庫業界の面接対策を解説していきます。
「倉庫業界のイメージ」についての質問への対策
倉庫業界へのイメージについて尋ねられた場合は、正直に自身が抱いているイメージを答えると良いでしょう。運輸・倉庫業界を目指している就活生であれば、基本的にはポジティブなイメージを抱いているのではないでしょうか。
また、回答する際には自身が感じている倉庫業界へのイメージを素直に話すだけでなく、そのイメージを志望動機や入社に対する意気込みなどに繋げられると良いでしょう。
「物流に関わりたいと思ったきっかけ」についての質問への対策
きっかけについて質問された場合、面接官は就活生の志望度の高さを知りたいと考えています。ここでのポイントは、運輸・倉庫業界が物流にどのように役立っているのかを含めて回答することです。
そのため、回答する際には、なぜ物流に携わりたいと思ったのかという「きっかけ」から、自身が運輸・倉庫業界を選んだ「理由」へと繋がるように回答すると良いでしょう。
「将来の倉庫業界はどうなっていると思うか」についての質問への対策
倉庫業界の将来についての質問では、面接官は就活生の業界への理解度や思考力を知りたいと考えています。このような質問をされた場合、その場で考えて正確に回答することは難しいため、あらかじめ具体的に自分の意見を考えておくとよいでしょう。
事前に運輸・倉庫業界の現状についてリサーチし、思考できるだけの材料を揃え、自分なりの意見を考えた上で回答しましょう。
運輸・倉庫業界のESを記載するときのポイント
運輸・倉庫業界のESを書く際には、倉庫業界への自身の適性や倉庫業界で何をしたいのかをアピールすることが大切です。ここでは、運輸・倉庫業界のESを記載するときのポイントを紹介していきます。
- 倉庫業界への適性をアピールする
- 倉庫業界で自分が何をしたいか伝える
倉庫業界への適性をアピールする
ESでは自身の倉庫業界への適性をアピールし、将来性を感じてもらうことが大切です。どれだけ熱意のある人材でも、適性がないと判断されれば採用してもらうことはできません。
適性を伝えるには、まずは自身の長所を具体的に伝え、さらに長所をどのようにして倉庫業界で活かせるのか実際の業務を踏まえた上でアピールすることが大切です。
倉庫業界で自分が何をしたいか伝える
ESでは、倉庫業界で具体的にどのようなことを成し遂げたいのか伝えるようにしましょう。倉庫業界やこの企業でしかできないという志望度の高さをアピールし、面接官に熱意を伝えることが大切です。
そのためには、入社後に自分がどのような仕事をしたいのか、さらに他の会社ではなぜ希望が叶わないのかという理由を記載すると良いでしょう。
運輸・倉庫業界について知り就職を目指そう
倉庫・運輸業界への就職を目指すのであれば、十分な業界研究、企業研究を行うことが大切です。
この記事で紹介した運輸・倉庫業界の動向や主な企業、運輸・倉庫業界の選考対策などを参考に、運輸・倉庫業界への就職を目指してみてはいかがでしょうか。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート