理系学生の技術面接とは?気を付けるべき注意点やよくある質問例などを解説

理系学生の技術面接とは?気を付けるべき注意点やよくある質問例などを解説

技術職や研究職など理系の職業の就職活動をしている方は、「技術面接」があることをご存知でしょう。 「技術面接って、何を聞かれるんだろう」 「どんなふうに対策をしたらいいのかな」 「面接を受けるとき、特に注意することはあるだろうか」 こんなふうに、不安や疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、技術面接に関する詳しい説明や注意する点などの基礎的な知識に加え、具体的な面接の質問と回答例、技術面接を有利に進めるための方法を紹介しています。

この記事を読むことで、技術面接を受けるにあたっての心構えや気を付けるべきことを確認できます。それらの知識を元にすれば、余裕を持って技術面接にのぞみ、良い結果を得ることができるでしょう。

技術面接を受けて理系の職業につきたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

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そもそも理系学生の技術面接って?

理系の学生の就活において行われる、特徴的な面接が「技術面接」です。

技術面接とは、技術職や研究職を採用する際に行われる面接試験です。

大学や大学院における研究について問われることが多く、プレゼンを行うこともあります。充分な準備を必要とする面接試験といえるでしょう。

面接官の評価ポイント

技術面接は、内容的に通常の面接とは違うため、人事の面接官ではなく、技術部門に所属している社員が面接官となることがあります。そのため、専門的な内容を深堀りして聞かれる可能性が高いです。アピールできるポイントを事前にまとめておきましょう。

もちろん、技術面だけではなく、他のポイントもチェックされ、評価されます。ここでは、技術面接で面接官がどのようなポイントを評価するかを見ていきます。

  • コミュニケーション能力
  • プレゼンテーション能力
  • 専門性や技術力
  • 議題解決能力
  • 論理的思考力

コミュニケーション能力

文系の面接に限らず、技術面接でも「コミュニケーション能力」はチェックされるポイントのひとつです。

技術職や研究職であっても、ずっと1人で作業をするわけではありません。研究内容についてプレゼンテーションしたり、セミナーを行ったりする機会はたくさんあります。そのときに、コミュニケーション能力が重要になってくるのです。

専門知識がない人に対して、研究内容をわかりやすく論理的に説明できるか、質問に適切な回答を返すことができるか、といったポイントがチェックされます。また、チームでの仕事を円滑に進めるための基本的なコミュニケーション能力があるかも判断されます。

プレゼンテーション能力

技術職であっても、プレゼンテーションを行う場面は頻繁にあります。社内ではもちろん、取引先へのアプローチなどでプレゼンテーションが必要です。技術面接ではプレゼンテーション能力もチェックされるポイントになります。

就職してからのプレゼンは、知識が浅い人向けに行うことも多いです。そのため、質問に的確に答えられるか、論理的な説明ができるか、といった能力をチェックされます。定められた時間内にプレゼンを終了できるかもチェックポイントです。

わかりやすい資料を作成できるかという点も見られているので、見やすく、シンプルにまとめると良いでしょう。

専門性や技術力

技術面接では、専門性や具体的な技術力を持っているかが、重要なチェックポイントになります。未経験の分野でも積極的に学習していく姿勢や、知識の吸収欲などをアピールすることも大切です。

技術職や研究職を募集している企業の多くは、商品開発をメインにしているか、メーカーです。そのため、基礎的な知識があるかをチェックされます。即戦力と判断してもらうために、研究の実績や身につけたスキル、学んできた知識などを、わかりやすく面接官に伝えましょう。

課題解決能力

研究生活の中で発生した課題を、どのように解決してきたかというのも重要なポイントになります。課題ごとに適切な解決策を考えたり、臨機応変に対処したりできる人物かをチェックされます。

面接官は、入社後に持っている能力を活かすことができる人材か、新しい課題を解決していけるのか、という点を見ています。技術力だけではなく、思考力や判断力など、いろいろなスキルを見られていることを意識しましょう。

論理的思考力

技術職や研究職において、仕事を進める上で必要な基本的な能力が、論理的思考力です。言っていることが論理的でないと思われたら、不合格になることもあり得ます。

論理的思考力には、課題の特定、課題解決に向けての仮説構築やアプローチ方法、結果についての考察、今後の課題にどのように繋げていくか、などが含まれます。専門分野のみならず、他の分野での研究にもアプローチし、解決できるという柔軟性をアピールするチャンスです。

技術面接で気を付けたい6つのポイント・注意点

技術面接においては、失敗しないためのポイントがいくつかあります。ここでは、面接の前に気を付けたいポイントを6点とりあげるので、順番に見ていきましょう。

  • 自分の言葉でわかりやすく話す
  • 口調を気にしすぎない
  • 具体的なエピソードを交えて伝える
  • プレゼン資料は見やすく工夫する
  • 専門知識は面接官の理解に合わせて伝える
  • 学会発表とは区別する

1:自分の言葉でわかりやすく話す

企業に採用してもらうためには、自分の人となりを知ってもらう必要があります。人間味があって、親しみやすい人物だと印象づけることが大切です。

自分を知ってもらうには、質問に対する回答や自己PRを、決まり文句ではなく、自分自身の言葉で話すと良いでしょう。自分自身が考えた言葉で、わかりやすく伝えることが大切です。

2:口調を気にしすぎない

研究についての質問に答えるときは、専門用語や技術的な表現を使うため、どうしても口調が硬くなりがちです。口調が硬すぎると、自分なりの言葉を使えず、人となりや自分らしさを面接官にアピールすることができません。

あまり砕けすぎた口調では印象が悪くなりますが、話しやすく聞きやすい雰囲気になることを心がけ、意識して柔らかい口調で話しましょう。

3:具体的なエピソードを交えて伝える

研究の内容や学生時代の生活について聞かれたときには、具体的なエピソードを交えることで、求められている能力や自分の強みなどをアピールできます。

具体的なエピソードがあると、研究に対する姿勢や、学生時代にどのような生活を送ってきたかが、よりわかりやすく面接官に伝わり、親しみを感じてもらえるのです。

4:プレゼン資料は見やすく工夫する

技術面接では、資料を提示してプレゼンテーションする場合があります。スクリーン表示でも、プリントの配布でも、資料はわかりやすく見やすいものになるように工夫しましょう。

わかりやすい資料は、プレゼンされる側の理解の助けになるばかりでなく、自分の説明もやりやすくなります。

文字だけ、図表だけの資料にならないようにすることが重要です。文字と図表のバランス、文字色や強弱などを意識し、面接官にわかりやすい資料になるように心がけましょう。

5:専門知識は面接官の理解に合わせて伝える

技術面接の面接官は技術職であることが多いですが、あなたの研究分野に詳しいとは限りません。そのため、自分の研究分野について説明するときは、相手にわかりやすく伝わるようにしましょう。

まずは相手が、あなたの研究分野について、どれほどの知識を持っているかをその場で見極める必要があります。どの程度の専門用語ならば使ってよいかを判断し、理解できる用語で説明するのです。

また、技術的な知識をまったく持たない人事部の人が面接官になる可能性もあります。その場合には、なるべく専門用語を使わないように意識して説明しましょう。

6:学会発表とは区別する

技術面接と学会発表とはよく似ていますが、評価されるポイントはまったく違います。

技術面接では、自分の研究のオリジナルな部分や内容をわかりやすく伝えなければなりません。どのように研究を進めたのかという過程を説明することも大切です。

学会発表では、説明がより専門的になります。研究から導き出された結果と、それについての考察が重要なポイントです。また、個人の成果ではなく、グループでの研究結果が注目されます。

技術面接で使えるプレゼン構成(一例)

プレゼンテーションの構成について、ひとつの例を紹介します。あくまでも一例なので、実際の技術面接においては、よりわかりやすく、自分の強みをアピールできるように工夫してみてください。

ここでは、プレゼンを5つのポイントから構成する方法を紹介しています。5つのポイントとは、導入、目的、実験方法、実験結果と考察、まとめと結論の5点です。

「導入」では、自分の研究分野やテーマの背景にあるものを伝えます。専門用語はなるべく使わず、わかりやすくて面白そうな研究だと思わせることが大切です。

次に、研究の「目的」について説明します。その研究によって、どんな事柄を明確にするのかを伝えるのです。他の人の類似の研究と比較して、わかりやすく説明すると良いでしょう。

また、研究室において自分がどんな役割を担っていたかを付け加えることで、複数の人と共同で作業をしたときに協調性があることもアピールできます。

3番目は、研究の「実験方法」です。出てくる課題を、どんなふうに解決していくのかを具体的に述べます。自分が考えた手順や実践方法、出てきた困難を乗り越えた過程などを、わかりやすく説明しましょう。

続いて「実験結果と考察」ですが、技術面接では実験結果をさほど重視していません。それよりも、実験結果から何を得たか、次の課題を見つけられたか、といった考察部分をメインに伝えます。

最後の「まとめと結論」では、「目的」をどれだけ達成できたかを説明します。同時に、その研究を通して自分が何を得たのかも伝えると良いです。実験の内容や結果が志望動機に繋がっているのなら、その点もわかりやすく説明し、アピールしましょう。

技術面接でよく聞かれる質問例・回答例

技術面接では、専門的な質問をされることが多いです。何も対策を練らずに面接にのぞんでも、論理的な回答をすることはできません。あらかじめ、よく聞かれる質問をチェックし、回答を考えておくのが良いでしょう。

ここでは、技術面接でよく聞かれる質問例と、その回答例を紹介します。

質問①研究テーマを教えてください

「研究テーマを教えてください」は、質問される可能性が非常に高い質問です。回答例は以下のとおりです。

私は、○○大学、○○学部、○○学科の△△研究室で、××を専攻しています。△△研究室では、□□の分野を専門に研究しておりました。

何を専攻していたかを伝えて、研究概要をわかってもらいます。なるべく専門用語を使わず、わかりやすく説明しましょう。

質問②研究室を選んだ理由を教えてください

「研究室を選んだ理由を教えてください」という質問は、就職志望者がどんなことに興味を持っているかを知るためです。回答は以下のとおりです。

○○に興味があり、より詳しい知識を得たかったので、その専門である△△研究室を選びました。

最初に、その研究室を選んだ理由をはっきりと述べ、何を学びたかったのかと合わせて、わかりやすく説明すると良いでしょう。探究心を持って研究していることをアピールできます。

質問③興味を持ったきっかけを教えてください

「興味を持ったきっかけを教えてください」という質問では、自分が研究テーマを選んだ理由をはっきりと説明する必要があります。回答例は以下のとおりです。

小さいころから、機械の仕組みに興味がありました。自分で電子工作をするようになり、複雑な機械を作るにつれて、それを動かす電子回路の設計や製作について学びたいと思うようになりました。

どんな事柄に興味を持って、どのように研究に取り組んできたかを明確に述べ、探究心を持っていることを合わせてアピールしましょう。

質問④研究のオリジナリティを教えてください

「研究のオリジナリティを教えてください」という質問には、自分が見つけだしたアプローチ方法など、オリジナルな部分を強調することが大切です。回答例は以下のとおりです。

○○研究室では、△△をテーマにした研究に取り組んでおり、□□の働きについて実験しています。私は、実験の手順に××の技術を利用すると良いのではないかと仮説を立てて取り組んできました。

大学の研究室の研究内容は代々同じなのでは、という印象があります。自分なりに見つけた、今までとは違うアプローチ方法や実験の手順などを説明して、単に実験を踏襲してきただけではないというアピールをしましょう。

質問⑤研究をする上で意識していることを教えてください

「研究をする上で意識していることを教えてください」という質問には、研究に対する考え方、取り組み方をありのままに伝えましょう。回答例は以下のとおりです。

研究する上で意識しているのは、周囲に相談する姿勢です。相談することで、効率よく研究を進めることができます。これは相談に乗ってくれる周囲の人たちのおかげなので、自分でも同期や後輩の相談には積極的に応じています。

ずっと意識し続けている結果として、自分がどう変わったかなどを論理的に説明しましょう。主体性や協調性についてアピールできれば、良い印象を持ってもらうことができます。

質問⑥研究で得られたものを教えてください

「研究で得られたものを教えてください」という質問は、単にどのような知識やスキルを得たのかを聞いているわけではありません。研究を進める上で、どのようにして困難を解決してきたかなどの過程を伝えることが重要です。回答例は以下のとおりです。

○○についての研究では、××という新しい考え方を知りました。実験の結果が思わしくないときもありましたが、別の実験と結果を比べることで、仮説を裏付けて成果を上げることができました。

技術力や専門的知識の獲得はもちろん、課題を解決する力や論理的な思考能力、最後まで業務を遂行する力といったスキルが身についたことも積極的にアピールしましょう。

質問⑦あなたの研究は入社後どのように活かせますか

「あなたの研究は入社後どのように活かせますか」という質問には、専門的知識だけでなく、研究過程で身につけたスキルも答えると良いでしょう。回答例は以下のとおりです。

研究室では○○という設備を扱っていました。御社の研究室にも同様の設備があると知りましたので、すぐに業務に携わることができます。また、何度も実験を繰り返す必要があったため、辛抱づよく地道な作業の積み重ねをすることで結果を出せるようになりました。

具体的な業務に役立つスキルはもちろんのこと、研究を通して課題解決力を身につけたことまでアピールすれば、良い印象を持ってもらえるでしょう。

質問⑧あなたの研究は社会にどのように活かせますか

「あなたの研究は社会にどのように活かせますか」という質問には、現時点と将来的なもの、2つの価値を具体的に伝えることが大切です。回答例は以下のとおりです。

私が研究していた技術は、○○の製作や△△といったサービスに使われています。将来的には、××などの製品製作にも応用できると言われており、□年後くらいには実用化できる見通しが立っています。

実際のデータや具体的に役立っている例をあげて、わかりやすく説明することが大切です。現時点では役立っていない研究ならば、「将来的に××に役立てられる」というように、先を見すえた回答をすると良いでしょう。

質問⑨研究で困難な状況になったときどのように解決しましたか

「研究で困難な状況になったときどのように解決しましたか」という質問は、課題を解決する能力を見るためのものです。回答例は以下のとおりです。

研究の過程で、思うような実験結果が出ないことがありましたが、辛抱づよく実験を繰り返しました。同時に、海外の論文を調べ、問題点を推測して実験手順を変えることで、仮定していた結果を裏付けることができました。

困難な課題を乗り越えるためには、問題点を分析して原因をはっきりさせることが大切です。どのように考え、どんな方法で原因をつきとめて解決に到ったかを具体的に伝えましょう。

質問⑩研究室内でのあなたの立ち位置を教えてください

「研究室内でのあなたの立ち位置を教えてください」という質問は、技術面接特有のものです。回答例は以下のとおりです。

○○人が所属している研究室で、私は××のための実験を担当していました。主な作業は△△や□□といったものです。少人数の研究班で、他の人との連携が重要でした。チームに貢献できるよう、○○という点に気を付けておりました。

協調性や主体性を見るための質問なので、具体的なエピソードを交え、チームプレイに尽力していたことをアピールしましょう。

質問⑪博士課程に進学しようと思いませんでしたか

院生の就活ならば、「博士課程に進学しようと思いませんでしたか」と、まず間違いなく質問されます。回答例は以下のとおりです。

1番の理由は経済的なものです。少しでも早く社会に出て、社会に役立つ製品を生み出すという実績をあげたいと思っています。また、研究職以外の業種にも興味があり、多角的に展開している御社ならば、新たなスキルを身につけられると考えました。

ポジティブな内容ならば、どのような回答でも構いません。しっかりした根拠を持ち、論理的に説明しましょう。

質問⑫何か質問はありますか(逆質問)

「何か質問はありますか(逆質問)」に対して「特にありません」と答えるのはNGです。その企業に対して興味がないと受け取られ、マイナスのイメージにしかなりません。その点を押さえての回答例をいくつか挙げておきます。

・入社前に勉強しておくべきことは何でしょうか。 ・研究職として勤める上で気を付けるべきことはあるでしょうか。 ・御社の社員として、私に不足している部分があれば、教えていただきたいです。

逆質問は3個以上準備しておくと良いでしょう。企業のホームページを見ればわかるようなことを聞かない、待遇面についての質問ばかりしない、といった点に注意が必要です。

技術面接の対策方法

技術面接の対策は簡単ではありません。しかし、対策方法はあります。

ここでは4つの対策方法を紹介しますので、技術面接の対策方法に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

過去の選考情報を調べておく

過去の技術面接で出された質問がわかれば、対策しやすくなります。

過去の選考情報を集めて公開しているサイトがあるので、積極的に活用しましょう。技術面接の具体的な対策方法をまとめたサイトもあります。

理系向けの就活エージェントで情報を入手する

個人での就職活動では、情報を得るにも限度があります。また、正しい就活をしているのかという不安も出てくるでしょう。

こうした心配は、理系向けの就活エージェントに登録することで解決できます。就職面接のうちでも、理系向けの面接に特化した情報を得ることができるので、おすすめです。

研究室の教授に模擬面接をしてもらう

研究内容の理解に間違いがあると、技術職の面接官に深堀りされたときに筋道だった回答ができません。その結果、論理的思考能力がないと判断されてしまいます。

研究内容をきちんと理解しているかどうかを確認するには、研究室の教授に模擬面接してもらうのが良いでしょう。

ただし、教授は技術面接の評価基準まで理解していないかもしれません。理系の就活について詳しく知っている人に、具体的な回答の組み立て方をチェックしてもらう必要があります。

逆質問をいくつか準備する

逆質問は、応募している企業について、詳しく知ることができる大切な機会です。機会を無駄にしないためにも、逆質問は少なくとも3~5点ほどは準備しておきましょう。

逆質問を通して、「この企業について詳しく知り、ぜひ入社したい」という熱意をアピールできます。仕事に対する意欲や企業への強い関心などを伝えましょう。

技術面接について理解して就活を有利に進めよう

技術面接は、研究内容について深堀りし、詳しい内容を聞いてきます。面接官は、研究そのものではなく、研究に取り組む姿勢や考え方、新しい課題が出てきたときに、どんな行動をするかといった点に注目しているのです。

協調性があるか、主体性を持っているか、論理的な思考能力があるか、などについてもチェックしています。

そうした点を理解し、アピールするポイントを確実に押さえておけば、就活を有利に進めることができます。技術面接はけっして難しいものではありません。しっかりと準備して合格を目指しましょう。

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