はじめに
今では多くの企業が、就職を控えた学生のためにインターンシップのチャンスを与えるのが当たり前の慣習となっています。
多くの学生がインターンシップに関して気にしているのが、インターンシップに参加する・しないで選考に影響が出るかどうかです。
インターンシップに参加すると、就職活動で優遇されることはあるのでしょうか。
この記事では、インターンシップ参加と選考の関係性についてまとめました。
期間中に意識すべき点や、良いインターンシップを探せるおすすめ就活サイトも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インターン参加で本選考優遇はあるのか
多くのインターンシップ募集要項では、インターンシップと本選考は関係ないと記載しています。
しかし、実際は多くの企業でインターンシップの結果を選考の材料にしているのが現状です。
インターンシップで気になった優秀な学生がいれば、当然人事担当者はその学生の印象が心に残ります。
最初から印象の良い学生が、就職活動で有利な立場に立てるのは当然です。
企業は優秀な学生に「インターンに参加していないから受けても落とされるのでは」と考え応募を控えてほしくないため、建前上インターンシップと選考が「関係ない」としておくのも理解できます。
インターンシップに参加していない企業でも評価が高ければ内定を得られますが、参加しておくとより有利になる程度は関係があると考えておきましょう。
インターン参加で優遇が起こりやすい企業のパターン
参加することでどの程度本選考が有利になるかは、インターンシップの形式や企業の方針によってかなり異なります。
以下の見出しでは、参加すると優遇を受けられやすいインターンシップのタイプをまとめました。
これらの特徴に当てはまるインターンシップは、参加するとかなり内定をもらえる可能性が高まります。
ただしこういったインターンシップは参加するための選考があり、人気企業ともなればインターンシップに参加するだけでも非常に大変です。
本選考優遇型
インターンシップで優秀な学生と認められた場合、本選考の序盤プロセスを免除してもらえる場合があります。
具体的には、エントリーシートの書類選考なしで面接が受けられるケースも多いです。
さらにインターンシップの結果を重く見る企業では、グループディスカッションや一次面接も免除など、かなり優遇されることもあります。
このように完全に優遇がはっきりしている企業だと、インターンシップの募集要項に明記していることも珍しくありません。
優遇を受けられるインターンシップに参加するのなら、必ず万全な準備をしていきましょう。
長期インターンシップの場合、期間中学業やバイトで休んでしまうことがないようスケジュール管理も大切です。
身だしなみを整える・企業について研究しておくといった当たり前の準備も欠かせません。
早期選考
最近は、就職試験を何回かに分けて実施する企業が増えてきました。
大学3年生のうちに、一部の学生に内々定を出してしまうところもあります。
インターンシップの優遇措置として、参加者の中から優秀な方だけを早期選考で呼ぶケースも多いです。
企業はあらかじめインターンシップを通して学生の有能さがわかっているため、面接2回程度で内定が出ることもあります。
早期選考に呼ばれなくても一般コースで内定をもらえる可能性はありますが、声をかけてもらえると、かなり高い確率で内定を得られるでしょう。
ただし、このコースで内定を得られるのは本当に優秀と認められる方だけです。
インターンシップに参加する大学2・3年生の夏~秋から、周りよりビジネス適性が高いことを示せるようになっていなければなりません。
インターンに参加するメリット
次に、インターンシップに参加するメリットを紹介します。
選考で優遇が得られる以外にも、インターンシップに参加するメリットはかなり多いです。
長期プログラムだと学業・アルバイトなどと両立させるのは難しいですが、少しでも就職活動を有利にしたいなら、ぜひ参加しておきましょう。
もちろん貴重な時間を割いて参加するため、成果を出して本選考で優遇されるのがベストです。
参加が決まったらプログラム内容をしっかり確認し、イメージトレーニングをしておきましょう。
内定が出る
インターンシップの目的に、社員が優秀な学生の目星をつけることが含まれている企業は多いです。
そういった企業では、良い成績をあげた学生にそのまま内定を出してしまうケースがあります。
たとえば営業のインターンシップでは、長期インターンシップの後半で仕事に慣れた学生が営業実績を上げてもおかしくありません。
社員に劣らない成果を示した方は、そのまま営業適性を認められて、内定を得る可能性があります。
エンジニアなどのインターンシップでも、プログラミングのスキルが認められれば、即戦力に近い人材として内定を得るチャンスがあると考えてください。
早いうちに内定をもらっておくと、大学生活の後半をより充実したものにできます。
学生のうちに留学などを経験しておきたい方にとっては、非常に大きなメリットでしょう。
インターン参加者のみを対象にしたイベントに参加できる
インターンシップの選考をパスして参加できる時点で、企業は学生にある程度プラスの評価を与えています。
そのため、インターン参加者のみを対象に就職関連のイベント案内をする企業も珍しくありません。
具体的には就活セミナー・就活対策イベント・メンター制度などです。
特にメンター制度では社員が親身に学生の相談を聞いてくれるため、仕事や企業に対する理解がよりいっそう深まります。
これらのイベントに参加できれば内定のチャンスも広がるため、インターンシップに参加する意義は大きいです。
ただし、すべての参加者ではなく一部の優秀な学生だけに案内を出す企業もあります。
インターンシップに参加できたからといって気を抜かず、最後まで良いアピールをしましょう。
本選考までの実践経験を積める
インターンシップに参加すると、それだけ就職活動の良い予行演習ができるのも大きなメリットです。
参加のために受ける選考でもグループディスカッション・面接などを経験し、本選考であまり緊張せずに済む学生もたくさんいます。
エントリーシートの書き方なども、インターンシップの時点で慣れておくと、就職活動本番でかなり有利です。
仮に選考に落ちてしまっても、なぜ落ちたか振り返ることで、本選考に向けた改善ができます。
特に面接で失敗する学生は非常に多いですが、就職活動本番ではなくインターンシップの時点で失敗するほうが、はるかにダメージは小さいです。
就職活動に不安がある方は、ぜひ本選考前にインターンシップで場数を踏んでおきましょう。
入社後のミスマッチを防ぐ
企業・学生双方に有益なインターンシップのメリットに、入社後のミスマッチを防げることがあります。
早期退職してしまう若手ビジネスマンの理由はさまざまで、会社の雰囲気が合わないために退職へ至るケースも非常に多いです。
学生はもちろん企業にとっても大きな損失で、このミスマッチはぜひ避けなければなりません。
インターンシップであらかじめ企業風土・職場の雰囲気を感じられれば、いざ入社してから「イメージと違う」と戸惑う可能性が低くなります。
そのためインターンシップに参加するときは、与えられた仕事・課題に集中するだけでなく、社員や会社の雰囲気が自分に合うかも考えてみましょう。
いくら仕事にやりがいがあると思っても、会社の雰囲気が悪い・自分と合わないと思ったときは選考を受けるか考え直してください。
優遇獲得のために、インターン中に意識するべきこと
学業や部活・アルバイトなどの時間を削ってインターンシップに参加するので、就活面での優遇が得られるならぜひ獲得しておきたいものです。
本選考で有利な立場に立つために、インターン中に意識すべきことはなんでしょうか。
以下の見出しで、インターン中に気をつけたいポイントについて3点紹介します。
特にインターンシップでは企画立案・プレゼントいったグループワークを課せられることが多いため、その中で注意すべきことを中心にまとめました。
発言をする
まず大切なことは、グループワークの中で自分から発言することです。
発言しないことには、まだ考えがまとまっていないのか・議論についていけていないのか担当社員も見極められません。
評価に困る学生は、結果的に「評価なし」となっても仕方ないでしょう。
ミスを恐れて発言できない学生もいますが、まずは発言するチャンスを逃さず、自分の考えを口に出してください。
自分が議論の口火を切る発言以外に、相手に質問をする・意見の補足をするといった形で発言チャンスを得ることも大切です。
ただし、自分だけが長くしゃべってしまわないように注意してください。
チームでほかの参加者がなかなか発言できていないことに気づいたときは、その人に意見をうかがうなど、気づかいを示すほうがプラス評価につながる場合もあります。
ワークの構造化・要点整理を自ら進める
グループワークでは、さまざまな役割の人が力を合わなければいけません。
良いアイデアを出せる人も重要ですが、実はグループワークを成功させるのにより大切なのは、話の構造化ができる方・要点整理できる方です。
この能力のある方がいないければ、複数の意見が出てくるだけで、なかなか話がまとまらず結論は導き出されません。
話を前に進めていくべき段階で、話の要点をまとめたり、今決めるべきことを提案できたりすると頭の回転の速さをアピールできます。
そうした能力に長けていると、グループワーク経験がありコミュニケーション能力が高い・しっかりインターンシップの対策をしてきたといった評価を得られる可能性も高いです。
大学の講義などでディスカッションの機会があれば、ぜひ要点整理を意識して参加してみましょう。
グループの発表者になる
要点整理・議長的な役割が苦手な方でも、アピールのチャンスはまだまだあります。
おすすめなのが、最後にグループワークの成果を発表する役割に立候補することです。
この役割は社員の目に留まりやすく、積極性のある学生と評価されることもあります。
社会人になってからも社内外でプレゼンを求められる機会は多いので、プレゼン能力の高さは非常に大きなアピール材料です。
論理的に話を展開できれば、文章力や論理的思考力もアピールできます。
大切なことは、社員から何か質問をされても対応できるようにしておくことです。
議論の段階で、想定される質問とその答えをしっかり準備しておきましょう。
もちろん、この作業は発表者だけでなく、グループのメンバー全員で関わる必要があります。
インターン探しにおすすめの就活サイト
続いて、インターンシップを探すのにおすすめの就活サイトを4つ紹介します。
インターンシップはほとんどが就活サイト・就活エージェントサイト経由での応募となるため、可能なら複数のサイトに登録しておきましょう。
実際にサイトに登録してみると、インターンシップを受け付けている企業が非常に多く、驚くかもしれません。
興味のある業界だけに絞っても、まだまだ候補となる企業はたくさんあります。
参加可能な日程かどうか・自分の参加目的とマッチするかを一つひとつ吟味するのはかなり時間がかかるため、早めに応募先選びを始めてください。
マイナビ
まず紹介するのは、二大就活サイトの1つ「マイナビ」です。
もう片方の二大就活サイト「リクナビ」と比べ、企業インターンの掲載数は3,000社ほど多くインターンシップ先探しで重宝します。
大手就職サイトであるため、インターンシップ期間が終わってからもお世話になることが多いでしょう。
また、自己分析ツールが複数用意されているのもマイナビの大きな特徴です。
具体的には「AI適職診断」「長所短所診断」「適職診断MATCH」といったツールが用意されています。
就職活動前に、自分の適性や長所・短所を知っておくことは非常に重要です。
自己分析ができていないと、なかなか面接を通過できません。
マイナビに登録したときは、就職活動が本格化する前に、インターンシップ先検索と並行して自己分析も取り組んでおきましょう。
リクナビ
「リクナビ」も登録しておきたいところです。
リクナビはマイナビと比較したときに、掲載企業数で7,000社ほど多いのがメリットと言えます。
もちろん、インターンシップ先探しでもリクナビが役立つ可能性は高いです。
インターン掲載企業数がマイナビより少ないとはいえ、リクナビだけで応募を受け付けている企業も決して少なくありません。
この2サイトは非常に多くの企業が利用しているため、就職を考える学生は登録必須です。
リクナビの利点として「OPEN ES」という機能が非常に便利なこともあげられます。
これはパソコン上でES作成ができ、作成したものを複数の対応企業に使い回せる機能です。
もちろん企業に合わせて一部書き換えなければいけないこともありますが、この機能があれば、ES作成でかなり時間を節約できます。
外資就活
外資系企業・グローバル展開している日系企業に興味がある方は、マイナビ・リクナビ以外のサイトにも登録しておくのがおすすめです。
特におすすめなのが「外資就活」で、このサイトには独自の選抜コミュニティがあります。
外資系企業は倍率の高い企業が多く、単に語学力を高めるだけでは簡単に内定を勝ち取れません。
インターンシップに参加して、できるだけ就活前から有利なポジションに立っておくことをおすすめします。
難関企業を志望している場合、マイナビ・リクナビといった定番サイトに加え外資就活など難関企業・外資系企業などに特化したサイトも登録しておきましょう。
大手サイトでは得られなかった、思わぬ耳寄りな情報が手に入ることもたくさんあります。
ワンキャリア
もう1つ紹介しておきたい就活サイトが「ワンキャリア」です。
インターン情報だけでなく、本選考の情報も掲載されています。
このサイトで注目したい特徴は、過去の内定者が提出したエントリーシートや、面接に関する情報も掲載されている点です。
なぜそのエントリーシートが高く評価されたのか、企業ごとにチェックしてみましょう。
企業によって評価ポイントが違うため、同じエントリーシートでも合否が分かれることはたくさんあります。
企業研究や自己分析がしっかりしていることを、内定者がどんな文でアピールしているかも参考にしてください。
自己分析やエントリーシート記入のコツを知っておけば、書類選考や一次面接を通過できる確率が飛躍的に上がります。
優遇インターンを実施している企業の一例
最後に、インターンシップで本選考に優遇措置を与えてくれる実在企業の例を見ていきましょう。
もちろんこれは直近の事例であるため、今後制度が変更になる可能性もあります。
次も同じ優遇措置を受けられるかはわからないので、興味をもった方は必ず就職サイトなどで自分が受ける年度の要項を確認してください。
反対に、今まで優遇措置を設けていなかった企業が、インターンシップを選考過程に入れてくるといった変化も考えられます。
特にベンチャー企業など先進的な考えをもっている企業は制度が変わりやすいため、要チェックです。
キーエンス
顕微鏡・自動制御機器などを製造販売している「キーエンス」は、社員を3つの職カテゴリーに分類しています。
営業やエリアマネージャーといった仕事を任されるビジネス職・開発に携わるエンジニア職・営業事務や人事などバックオフィスを担当するS職です。
キーエンスでは、このうちS職をインターンで採用しています。
インターンで優秀な方ほど選考のステップが少なくなり、特に優秀と認められた方は、最終面接からスタートする事例もあるほどです。
そのため、インターンシップに参加する学生もインターンの段階から本選考に入っていると考えて臨んでいます。
ここまでインターンシップと選考がつながっている企業は珍しいですが、優秀な方にインターン採用を実施している企業はほかにも多いです。
ソニー
大手企業の中では「ソニー」がインターンシップに優遇措置のある企業として知られています。
ただしソニーではいくつものプログラムが実施されており、1日だけの短期インターンシップでは優遇措置がありません。
選考倍率の高い就業型のインターンシップでは、優秀な学生と認められると懇親会に呼ばれることがあります。
懇親会で社員の方から有益な話が聞けるだけでも非常に魅力的ですが、さらに本選考へ呼ばれた際に一次選考を免除されるのが一番大きなメリットです。
もちろんソニーほどの企業となれば、これだけの優遇を受けられるのは本当に優秀な方だけです。
インターンシップも真剣勝負なので、結果にこだわることが求められます。
同様の優遇を優秀な学生に与える企業は、ソニー以外でも非常に多いです。
三菱地所
三菱地所も、大手企業の中で優秀なインターンシップ参加学生に本選考の優遇を与える企業として知られています。
こちらの場合、インターン参加者は全員本選考で課されるグループディスカッション・一次面接免除です。
かなりのアドバンテージですが、その分インターンシップ期間中、かなり学生のコミュニケーション能力・人間性がチェックされていると考えてください。
期間中に社員が学生の出来をチェックし、目をつけた学生に社員推薦を出すことがあるのも、三菱地所が実施するインターンシップの特徴です。
社員が一緒に働きたいと考える学生は、能力が高いだけでなく、企業の雰囲気・理念にマッチしています。
入社後に企業とマッチする学生を採用するのに、社員がインターンに来た学生を推薦する取り組みは非常に有意義です。
おわりに
長期就業型やグループワーク型など参加者の能力がはっきりわかるインターンシップは、多くの場合、その結果が本選考に向けた判断材料の一部になっています。
しかし基本的に本選考で優遇を受けられるのは、インターン担当社員が優秀と認めた方だけです。
倍率の高いインターンシップの選考に合格したからといって気をゆるめず、そこが就職活動のスタート地点と考えてください。
事前に与えられる課題がわかっている場合、グループディスカッションなどの練習をしておくのがおすすめです。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート